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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078478
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】扉開放補助装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/619 20150101AFI20240604BHJP
【FI】
E05F15/619
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190880
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 清
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA01
2E052DA08
2E052DB02
2E052EA03
2E052EB06
2E052EC01
(57)【要約】
【課題】扉開放補助装置を小型化する。
【解決手段】扉開放補助装置は、複数のギヤで構成され、入力側の駆動ギヤの駆動力を伝達する複数の従動ギヤを有し、出力側の前記従動ギヤの駆動力を、扉を開く力に変換する変換部を備える。前記出力側の従動ギヤは、回転軸を中心に揺動可能に構成された揺動ギヤである。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のギヤで構成され、入力側の駆動ギヤの駆動力を伝達する複数の従動ギヤを有し、出力側の前記従動ギヤの駆動力を、扉を開く力に変換する変換部を備え、
前記出力側の従動ギヤは、回転軸を中心に揺動可能に構成された揺動ギヤである、
扉開放補助装置。
【請求項2】
前記変換部の動作中に、操作者の手動操作によって、前記駆動ギヤの駆動力を前記揺動ギヤに伝達する経路を切断する切断部を備える、
請求項1に記載の扉開放補助装置。
【請求項3】
前記変換部の動作中に、当該変換部の動作を逆駆動する電力を駆動部に供給する予備電源を備える、
請求項1に記載の扉開放補助装置。
【請求項4】
前記変換部は、少なくともピニオンギヤを有し、
前記揺動ギヤは、板状に形成された本体の孔部の内周面に形成され、前記ピニオンギヤに噛み合うラックギヤである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の扉開放補助装置。
【請求項5】
前記変換部は、
前記駆動ギヤと、
直径が小さい小径ギヤと、
前記小径ギヤよりも直径が大きい大径ギヤと、
前記揺動ギヤと、
によって構成され、
前記ピニオンギヤは、前記小径ギヤである、
請求項4に記載の扉開放補助装置。
【請求項6】
前記変換部を構成する前記複数のギヤにおいて、前記入力側の駆動ギヤと前記出力側の従動ギヤとの間に配置された複数の従動ギヤは、前記小径ギヤと前記大径ギヤとの2種類のギヤによって構成される、
請求項5に記載の扉開放補助装置。
【請求項7】
前記揺動ギヤは、前記回転軸を中心にして一方側の第1位置と他方側の第2位置との間を揺動し、
前記揺動ギヤが前記第1位置に揺動されたことを検出し、かつ、前記第2位置に揺動されたことを検出するセンサを備える、
請求項1または2に記載の扉開放補助装置。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉開放補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マンション等の集合住宅は、室内の気密性が向上し、かつ、ファンを駆動することによって室内と室外との気圧差が大きくなるため、扉を開ける際に過大な力が必要となるおそれがあった。集合住宅は、例えばファンを駆動した状態において、扉を開ける際に300N程度の力を必要とし、このような状況では、例えば子供が扉を開けることが困難な場合もある。
【0003】
そこで、上記問題を解決するため、扉開放アシスト装置を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。当該扉開放アシスト装置は、室内と室外との間に、比較的大きな圧力の相違があった状態において、扉枠と扉との間に隙間を形成して扉を初動開放し、圧力差を解消することで、扉を開くことを容易にすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-208414号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された扉開放アシスト装置は、複数のアーム等を備えるため大型化するおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、扉開放補助装置を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る扉開放補助装置は、複数のギヤで構成され、入力側の駆動ギヤの駆動力を伝達する複数の従動ギヤのうち、出力側の前記従動ギヤの駆動力を、扉を開く力に変換する変換部を備え、前記出力側の従動ギヤは、回転軸を中心に揺動可能に構成された揺動ギヤである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る扉開放補助装置の一態様によれば、扉開放補助装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態に係る扉開放補助装置およびドアクローザが設けられた扉を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す扉開放補助装置を拡大した斜視図である。
図3図3は、図1に示す扉開放補助装置において、カバー部を取り外した状態の斜視図である。
図4図4は、図1に示す扉開放補助装置において、カバー部を取り外した状態を幅方向の一方から視た側面図である。
図5図5は、図1に示す扉開放補助装置において、カバー部を取り外した状態を幅方向の他方から視た側面図である。
図6図6は、図1に示す扉開放補助装置のブロック図である。
図7図7は、図1に示す扉開放補助装置が備える変換部の分解斜視図である。
図8図8は、図3に示す扉開放補助装置の初期状態の斜視図である。
図9図9は、図3に示す扉開放補助装置において、揺動ギヤを取り外した初期状態の平面図である。
図10図10は、図3に示す扉開放補助装置の初期状態の平面図である。
図11図11は、図3に示す扉開放補助装置の初動開放状態を示す平面図である。
図12図12は、図3に示す扉開放補助装置において、切断部によって、ギヤの駆動力を変換部に伝達する経路を切断した状態を示す平面図である。
図13図13は、図1に示す扉開放補助装置において、駆動部に流れる電流と時間との関係を示すグラフである。
図14図14は、第2実施形態に係る扉開放補助装置の装置本体において、カバー部を取り外した状態を示す斜視図である。
図15図15は、図14に示す装置本体において、揺動ギヤである第7の従動ギヤを取り外した状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に係る扉開放補助装置1について図面を参照して説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面における各要素の寸法の関係、各要素の比率などは、現実と異なる場合がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、1つの実施形態に記載された内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係る扉開放補助装置1およびドアクローザ15が設けられた扉11を示す斜視図である。図2は、図1に示す扉開放補助装置1を拡大した斜視図である。図3は、図1に示す扉開放補助装置1において、カバー部3を取り外した状態の斜視図である。図4は、図1に示す扉開放補助装置1において、カバー部3を取り外した状態を幅方向Xの一方から視た側面図である。図5は、図1に示す扉開放補助装置1において、カバー部3を取り外した状態を幅方向Xの他方から視た側面図である。図6は、図1に示す扉開放補助装置1のブロック図である。図7は、図1に示す扉開放補助装置1が備える変換部8の分解斜視図である。図8は、図3に示す扉開放補助装置1の初期状態の斜視図である。図9は、図3に示す扉開放補助装置1において、揺動ギヤを取り外した初期状態の平面図である。図10は、図3に示す扉開放補助装置1の初期状態の平面図である。図11は、図3に示す扉開放補助装置1の初動開放状態を示す平面図である。図12は、図3に示す扉開放補助装置1において、切断部9によって、ギヤ71~78の駆動力を変換部8に伝達する経路7Rを切断した状態を示す平面図である。図13は、図1に示す扉開放補助装置1において、駆動部6に流れる電流と時間との関係を示すグラフである。
【0012】
図1および図2において、Xは、扉開放補助装置1の幅方向である。Yは、扉開放補助装置1の前後方向である。Zは、扉開放補助装置1の上下方向である。Y1は、前後方向Yの前方である。そして、閉鎖状態にある扉11のハンドル13を室外側へ押すと扉11が開く。Y2は、前後方向Yの後方である。本実施形態に係る扉開放補助装置1は、幅方向Xと、前後方向Yと、上下方向Zとが相互に直交する。
【0013】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、扉11の例えば室内側に取り付けられる。そして、当該扉開放補助装置1を有する扉開閉システム100は、主ロック装置16と、副ロック装置17と、情報処理端末moと、ドアクローザ15と、を備える。
【0014】
扉11は、扉11および扉枠12に設けられたヒンジ(不図示)によって、扉枠12に対してヒンジの回転軸を中心に回転可能に支持される。そして、扉11は、ヒンジの回転軸を中心に、扉枠12の開口部12h(図4図5参照)を閉鎖した閉鎖状態と、扉枠12の開口部12hを開放した開放状態とに回転移動する。また、扉11は、例えばレバータイプのハンドル13と、主ロック装置16と、副ロック装置17とが設けられる。主ロック装置16および副ロック装置17は、自動(電動)操作または手動操作のいずれでも良い。また、主ロック装置16および副ロック装置17が自動(電動)操作の場合、自動(電動)操作部が扉11に内蔵される。これらのロック装置16、17は、不図示の商用電源6Eに接続された据え付けタイプでもよいし、電池等の内部電源を備えた自動操作部を装置本体に後付けするタイプでもよい。なお、主ロック装置16および副ロック装置17は、いずれか一方が自動(電動)操作で、他方が手動操作でもよい。
【0015】
主ロック装置16は、ロック本体16aと、ロック部材(不図示)と、ロック制御部16bと、ロック通信部16cと、を備える。ロック部材は、ロック本体16aに対して、扉11が開かれることを規制する規制位置と、扉11が開かれることを許容する非規制位置と、に移動可能に形成される。
【0016】
ロック制御部16bは、主ロック装置16の各部および副ロック装置17の各部に対して電気的に接続され、主ロック装置16の各部および副ロック装置17の各部を統括的に制御する。ロック通信部16cは、例えば、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信を介して情報処理端末moおよび扉開放補助装置1に接続され、情報処理端末moおよび扉開放補助装置1との間で情報や信号等の送受信を行う。この主ロック装置16は、操作者の手動操作によってロック部材を規制位置と非規制位置とに移動させることが可能である。
【0017】
情報処理端末moは、例えば、スマートフォンまたは携帯電話等である。情報処理端末moは、端末制御部と、端末通信部とを備える。端末通信部は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信を介して主ロック装置16および扉開放補助装置1に接続され、主ロック装置16との間および扉開放補助装置1との間で情報や信号等の送受信を行う。
【0018】
また、情報処理端末moは、ロック通信部16cを介して主ロック装置16との間で予め定められた認証処理を行うことによって、主ロック装置16および副ロック装置17に対して開錠指令の送信等の情報の送受信が可能となる。そして、情報処理端末moは、主ロック装置16に対して予め定められた設定距離内に移動した際には、所定の開錠指令を主ロック装置16に送信する。一方、主ロック装置16のロック制御部16bは、開錠指令が送信された場合、主ロック装置16のロック部材を非規制位置へ移動させると共に、副ロック装置17のロック部材を非規制位置へ移動させて扉11が開かれることを許容する。さらに、情報処理端末moは、主ロック装置16に対して予め定められた設定距離から外れた際には、所定の閉錠指令を主ロック装置16に送信する。一方、主ロック装置16のロック制御部16bは、閉錠指令が送信された場合、主ロック装置16のロック部材を規制位置へ移動させると共に、副ロック装置17のロック部材を規制位置へ移動させて扉11が開かれることを規制する。
【0019】
副ロック装置17は、ロック本体17aと、ロック部材(不図示)と、を備える。ロック部材は、ロック本体17aに対して、扉11が開かれることを規制する規制位置と、扉11が開かれることを許容する非規制位置とに移動可能に形成される。この副ロック装置17は、操作者の手動操作によってロック部材を規制位置と非規制位置とに移動させることが可能である。
【0020】
扉枠12は、開口部12hを有する。そして、当該開口部12hは、扉11の回転移動に伴って開閉される。扉枠12は、室内側に受け部14が設けられる。受け部14は、後述する変換部8の接触部78cに接触する。また、扉枠12および扉11は、ドアクローザ15が室内側に設けられる。ドアクローザ15は、開放位置にある扉11を、例えばバネ等の弾性体の弾性力を用いて閉鎖位置へ移動させる。
【0021】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、扉枠12に対して扉11を開いて扉枠12と扉11との間にわずかな隙間を形成して扉11を初動開放状態にする。このような扉開放補助装置1は、例えば、装置本体10と、上記した受け部14とで構成される。装置本体10は、一体的に形成され、図3図4に示すように、支持部2と、カバー部3(図2参照)と、予備電源4と、開放装置制御部5と、駆動部6と、複数のギヤ71~78で構成される駆動伝達機構7と、変換部8と、切断部9と、電源センサSE1と、位置センサSE2と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2と、を備える。
【0022】
支持部2は、例えば金属材料で形成され、扉11に取り付けられる。そして、支持部2は、予備電源4、開放装置制御部5、駆動部6、駆動伝達機構7、変換部8および切断部9を支持する。支持部2は、図3に示すように、第1支持部材21と、第2支持部材22と、第3支持部材23と、を備える。
【0023】
第1支持部材21は、板状の部材を折り曲げて形成され、扉11に取り付けられる取付部21aを備える。また、第1支持部材21には、第2支持部材22と、第3支持部材23とが取り付けられる。
【0024】
第2支持部材22には、駆動部6、駆動伝達機構7、変換部8および切断部9が取り付けられる。第2支持部材22には、当該第2支持部材22に対してそれぞれが回転可能な第1軸部22j1、第2軸部22j2が設けられる。第1軸部22j1には、後述する第1の従動ギヤ72および第2の従動ギヤ73が固定され、第2軸部22j2には、第5の従動ギヤ76および第6の従動ギヤ77が固定される。そして、第1軸部22j1と第2軸部22j2は、同一の軸を構成するが、第2支持部材22に対して別個に回転可能である。また、第2支持部材22には、第2ピン22p2(図9参照)が設けられる。第2ピン22p2は、第2支持部材22の上下方向Zにおける上方に位置する表面に設けられ、表面から上方に突出する。その上、第2支持部材22には、板状に形成された補助支持部24が設けられる。
【0025】
補助支持部24には、当該補助支持部24に対して回転可能な第4軸部24j4が設けられるとともに、第3ピン24p3および第4ピン24p4(図9参照)が設けられる。第3ピン24p3および第4ピン24p4は、補助支持部24の上下方向Zにおける上方に位置する表面に設けられ、表面から上方に突出し、かつ、図9に示すように、幅方向Xにおいて所定の間隔をあけ、かつ、幅方向Xに沿って配置される。第3支持部材23には、予備電源4、開放装置制御部5が取り付けられる。
【0026】
カバー部3(図2参照)は、例えば、合成樹脂材料によって形成され、後述する切断部9の操作レバー91、および、変換部8の接触部78cを除き、装置本体10を覆う。
【0027】
予備電源4は、変換部8の動作中に、当該変換部8の動作を逆駆動する電力を駆動部6に供給する。予備電源4は、内部に収容空間を形成する電池ボックス41と、電池ボックス41の内部の収容空間に収容され、装置本体10に電力を供給する複数の電池と、を備える。図4に示す予備電源4は、例えば、電池ボックス41の内部に単三の電池を2本有し、それらの電池が直列に接続される。
【0028】
開放装置制御部5は、回路基板51の回路(不図示)によって構成される。図6に示す開放装置制御部5は、装置本体10の各部を統括的に制御する。開放装置制御部5は、開放装置通信部52と、電源センサSE1と、位置センサSE2と、第1スイッチSW1と、第2スイッチSW2とに対して電気的に接続される。
【0029】
開放装置通信部52は、例えば、Bluetooth(登録商標)等の短距離無線通信を介して情報処理端末moに接続され、情報処理端末moと扉開放補助装置1との間で情報や信号等の送受信を行う。
【0030】
情報処理端末mo(図1参照)は、開放装置通信部52を介して扉開放補助装置1との間で予め定められた認証処理を行うことによって、扉開放補助装置1に対して、扉11を開く開扉指令の送信等の情報の送受信が可能となる。そして、主ロック装置16は、情報処理端末moから送信された開錠指令に基づいてロック部材を非規制位置へ移動させた後、開放装置通信部52を介して所定の開扉指令を扉開放補助装置1に送信する。一方、開放装置制御部5は、開扉指令が送信された場合、駆動部6を駆動して扉11を初動開放状態にする。
【0031】
電源センサSE1は、商用電源6Eから電力が供給されているか否かを検知する。言い方を変えると、電源センサSE1は、商用電源6Eの停電を検知することができる。そして、開放装置制御部5は、変換部8の動作中に、電源センサSE1によって商用電源6Eから電力が供給されていないと判断した場合、予備電源4の電力を駆動部6に供給することよって扉開放補助装置1を初期状態に復帰させる。
【0032】
位置センサ(センサ)SE2は、図7図8に示す揺動ギヤである第7の従動ギヤ78が、第4軸部(回転軸)24j4を中心にして一方側に揺動された第1位置と、第4軸部(回転軸)24j4を中心にして他方側に揺動された第2位置と、に揺動されたことを検出する。位置センサSE2は、例えばフォトインタラプターである。
【0033】
位置センサSE2は、センサ本体SE21と、センサ本体SE21によって検出する被検出体SE22と、を備える。
【0034】
センサ本体SE21は、第4軸部24j4の回転中心に対する径方向において対向するように配置された一対のセンサ部を有する。一対のセンサ部のうちの一方は、例えば、光を発する発光部であり、一対のセンサ部のうちの他方は、例えば、発光部から発された光を受光する受光部である。このようなセンサ本体SE21は、例えば、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78の上下方向Zの下方に位置する補助支持部24に取り付けられる。
【0035】
被検出体SE22は、センサ本体SE21における一対のセンサ部の間に配置された場合、発光部から発せられた光を遮断する素材によって形成される。被検出体SE22は、第4軸部24j4の回転中心に対して周方向に延在するように形成される。被検出体SE22は、例えば、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78の本体78aの上下方向Zの下面に取り付けられる。
【0036】
被検出体SE22における周方向の一方の端部SE221が、一対のセンサ部の間に配置された場合、位置センサSE2は、接触部78cが後述する初期位置に配置されたことを検出する。
【0037】
被検出体SE22における周方向の他方の端部SE222が、一対のセンサ部の間に配置された場合、位置センサSE2は、接触部78cが後述する初動開放位置に配置されたことを検出する。
【0038】
第1スイッチSW1は、商用電源6Eと駆動部6との電気的接続の途中に設けられ、ON/OFFすることによって、商用電源6Eと駆動部6とが電気的に接続された状態と、商用電源6Eと駆動部6との電気的な接続が切断された状態と、に切り替えることが可能である。
【0039】
第2スイッチSW2は、予備電源4と駆動部6との電気的接続の途中に設けられ、ON/OFFすることによって、予備電源4と駆動部6とが電気的に接続された状態と、予備電源4と駆動部6との電気的な接続が切断された状態と、に切り替えることが可能である。
【0040】
駆動部6は、駆動部本体61と、出力軸62と、を備える。図5に示す駆動部本体61は、商用電源6Eに対して電気的に接続され、商用電源6Eの電力によって出力軸62を回転する。駆動部本体61は、例えばモータである。より詳細に説明すると、駆動部本体61は、例えばDC(direct current motor)モータである。出力軸62には、後述する駆動ギヤ71が固定される。
【0041】
変換部8は、複数のギヤ71、72、73、74、75、76、77、78で構成される駆動伝達機構7を備える。つまり、変換部8は、複数のギヤ71、72、73、74、75、76、77、78を含んで構成される。その上、変換部8は、入力側の駆動ギヤ71の駆動力を伝達する複数の従動ギヤ72、73、74、75、76、77、78で、出力側の従動ギヤ78の駆動力を、扉11を開く力に変換する。
【0042】
駆動伝達機構7は、駆動ギヤ71と、第1の従動ギヤ72と、第2の従動ギヤ73と、第3の従動ギヤ74と、第4の従動ギヤ75と、第5の従動ギヤ76と、第6の従動ギヤ77と、第7の従動ギヤ78と、を備える。つまり、本実施形態に係る駆動伝達機構7は、例えば、8個のギヤ71~78で構成される。駆動ギヤ71および従動ギヤ72~77は、例えば平歯車である。
【0043】
駆動ギヤ71は、出力軸62に固定され、出力軸62の回転によって駆動ギヤ71が回転駆動する。駆動ギヤ71は、入力側に位置する歯車である。駆動ギヤ71には、第1の従動ギヤ72が噛み合う。
【0044】
第1の従動ギヤ72および第2の従動ギヤ73は、第1軸部22j1に固定される。つまり、第1の従動ギヤ72および第2の従動ギヤ73は、同軸であり、これらのギヤ72、73が一体的に回転する。従って、駆動ギヤ71の駆動によって、第1の従動ギヤ72が従動回転すると、それに伴って第2の従動ギヤ73も従動回転する。第2の従動ギヤ73は、第3の従動ギヤ74に噛み合う。
【0045】
第3の従動ギヤ74および第4の従動ギヤ75は、後述する操作レバー91に設けられた第3軸部91j3に固定される。つまり、第3の従動ギヤ74および第4の従動ギヤ75は、同軸であり、これらの従動ギヤ74、75が一体的に回転する。従って、第2の従動ギヤ73の回転駆動によって、第3の従動ギヤ74が従動回転すると、それに伴って第4の従動ギヤ75も従動回転する。第4の従動ギヤ75は、第5の従動ギヤ76に噛み合う。
【0046】
第5の従動ギヤ76および第6の従動ギヤ77は、第2軸部22j2に固定される。つまり、第5の従動ギヤ76および第6の従動ギヤ77は、同軸であり、これらの従動ギヤ76、77が一体的に回転する。従って、第4の従動ギヤ75の回転駆動によって、第5の従動ギヤ76が従動回転すると、それに伴って第6の従動ギヤ77も従動回転する。第6の従動ギヤ77は、第7の従動ギヤ78に噛み合う。第2軸部22j2は、第2支持部材22に回転可能に設けられる。また、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、第1軸部22j1と、第2軸部22j2とが同軸であるが、第1軸部22j1と第2軸部22j2とが別個に回転可能である。第2軸部22j2は、上下方向Zにおいて、第1軸部22j1の上方に配置される。
【0047】
第6の従動ギヤ77は、ピニオンギヤである。第7の従動ギヤ78は、ピニオンギヤである第6の従動ギヤ77に噛み合うラックギヤである。また、第7の従動ギヤ78は、出力側の従動ギヤである。揺動ギヤである第7の従動ギヤ78は、板状に形成された本体78aの孔部78bの内周面に形成される。
【0048】
従動ギヤ73、75、77は、同形同大に形成された同一形状の小径ギヤである。従動ギヤ72、74、76は、同形同大に形成された同一形状の大径ギヤである。つまり、従動ギヤ72、74、76の直径は、従動ギヤ73、75、77の直径よりも大きい。本実施形態に係る変換部8を構成する複数のギヤ71~78において、入力側の駆動ギヤ71と出力側の従動ギヤ78との間に配置された複数の従動ギヤ72~77は、小径ギヤ73、75、77と大径ギヤ72、74、76との2種類によって構成される。
【0049】
揺動ギヤである第7の従動ギヤ78は、上下方向Zから視た場合には、略扇形に形成される本体78aを有する。また、第7の従動ギヤ78は、回転軸である第4軸部24j4を中心に揺動可能に形成され、第4軸部24j4を中心にして一方側の第1位置と他方側の第2位置との間を揺動する。また、本体78aには、図7に示すように、上記した位置センサSE2が設けられる。
【0050】
本体78aには、接触部78cが設けられる。本実施形態の扉開放補助装置1は、駆動伝達機構7を構成する複数のギヤ71、72、73、74、75、76、77、78の従動回転に伴って、前後方向Yにおいて、第2支持部材22の後方側の端部22eから接触部78cが出没可能な態様で形成される。本実施形態に係る扉開放補助装置1は、接触部78cの前後方向Yの移動距離が例えば25mmに設定してある。
【0051】
また、本体78aは、第4軸部24j4の回転中心に対して、周方向に延在する孔部78a1を有する。孔部78a1には、補助支持部24に設けられた第1ピン24p1(図5図8参照)が挿通され、第7の従動ギヤ78の第4軸部24j4を中心とした揺動を案内する。
【0052】
接触部78cは、第7の従動ギヤ78の揺動によって扉枠12に設けられた受け部14に接触する部分である。このような接触部78cは、例えば、合成樹脂によって円環状に形成され、本体78aの前後方向Yの後方側に配置される。この接触部78cは、より摺動性の高い材料で形成することによって、扉開放補助装置1の動作にかかる動力の損失を減らすことができる。図10に示す接触部78cが最も前方側に移動した状態の前後方向Yにおいて、接触部78cは、受け部14に接触する。つまり、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、駆動部6を駆動した際、直ちに接触部78cが受け部14を押圧する。そして、接触部78cは、図11に示す操作レバー91が最も後方側に移動した状態では、接触部78cが受け部14を押圧することで扉11が前方側に移動し、扉11がわずかに開く。より具体的に説明すると、幅方向Xにおいてヒンジと反対側に位置する扉11の端部は、扉11と扉枠12との間にわずかな隙間(例えば10mm~20mmの隙間)が形成される。そして、扉11と扉枠12との間にわずかな隙間が形成された状態(初動開放状態)では、室内側と室外側との間の圧力差が解消され、扉11の閉鎖状態と比較して小さな力で扉11を開方向へ移動させることが可能である。
【0053】
次に、上記の構成を有する扉開閉システム100の初期位置について説明する。主ロック装置16のロック部材は、規制位置が初期位置である。扉11の初期位置は、クローザの弾性力によって、扉枠12の開口部12hが扉11で閉鎖された状態が初期位置である。そして、扉開放補助装置1は、操作レバー91が幅方向Xにおいて駆動ギヤ71に最も近接し、かつ、接触部78cおよび被検出体SE22が前後方向Yにおいて、最も前方側に位置する位置が初期位置である。
【0054】
次いで、上記の構成を有する扉開放補助装置1の動作について説明する。各部が初期位置に配置された状態において、情報処理端末moから開錠指令が送信された際、ロック制御部16bは、主ロック装置16および副ロック装置17のロック部材を規制位置から非規制位置へ移動させる。ロック部材が非規制位置へ移動された状態では、扉枠12に対して扉11が開かれることが許容される。その後、情報処理端末moは、開放装置通信部52を介して開放装置制御部5に、開扉指令を送信する。
【0055】
開放装置制御部5は、開扉指令が送信された際、商用電源6Eの電力によって駆動部6を駆動する。駆動部6が駆動された際、駆動部本体61は、出力軸62を回転する。そして、出力軸62に固定された駆動ギヤ71は、出力軸62を中心に回転する。例えば、図9に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、駆動ギヤ71は、矢印A1に示す反時計回りに回転する。なお、図9に示すように、駆動伝達機構7を上下方向Zの上方から視ると、第1軸部22j1と、第2軸部22j2とが重なる。
【0056】
駆動ギヤ71に噛み合う第1の従動ギヤ72は、駆動ギヤ71の回転によって、第1軸部22j1を中心に回転する。例えば、図9に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、第1の従動ギヤ72は、矢印A2に示す時計回りに回転する。
【0057】
第1の従動ギヤ72とともに第1軸部22j1に固定された第2の従動ギヤ73は、第1の従動ギヤ72とともに第2軸部22j2を中心に回転する。例えば、図示省略するが、上下方向Zの上方から視た場合、第2の従動ギヤ73は、時計回りに回転する。
【0058】
第2の従動ギヤ73に噛み合う第3の従動ギヤ74は、第2の従動ギヤ73の回転によって、第3軸部91j3を中心に回転する。例えば、図9に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、第3の従動ギヤ74は、矢印A3に示す反時計回りに回転する。
【0059】
第3の従動ギヤ74とともに第3軸部91j3に固定された第4の従動ギヤ75は、第3の従動ギヤ74とともに第3軸部91j3を中心に回転する。例えば、図9に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、第4の従動ギヤ75は、矢印A3に示す反時計回りに回転する。
【0060】
第4の従動ギヤ75に噛み合う第5の従動ギヤ76は、第4の従動ギヤ75の回転によって、第2軸部22j2を中心に回転する。例えば、図9に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、第3の従動ギヤ74は、矢印A4に示す反時計回りに回転する。
【0061】
第5の従動ギヤ76とともに第2軸部22j2に固定された第6の従動ギヤ77は、第5の従動ギヤ76とともに第2軸部22j2を中心に回転する。例えば、図9に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、第6の従動ギヤ77は、矢印A4に示す反時計回りに回転する。
【0062】
第6の従動ギヤ77に噛み合う第7の従動ギヤ78は、第4軸部24j4を中心に揺動する。例えば、例えば、図10に示すように、上下方向Zの上方から視た場合、第7の従動ギヤ78は、矢印A5に示す時計回りに揺動する。
【0063】
第7の従動ギヤ78に取り付けられた接触部78cは、第7の従動ギヤ78とともに揺動し、第7の従動ギヤ78の揺動によって、接触部78cは、前後方向Yにおける前方側から後方側へ移動する。その後、接触部78cは、第2支持部材22の後方側の端部22eから後方側へ突出して受け部14に接触する。そして、接触部78cが受け部14を押圧することで扉枠12に対して扉11が開く。
【0064】
本実施形態に係る開放装置制御部5は、接触部78cが受け部14を押圧する間は、室内と室外との気圧差によって比較的大きな押圧力を発生させるため、図13のT1に示すように、比較的に大きな電流(1.000mA)を駆動部本体61に流して、接触部78cを前後方向Yにおける前方側から後方側へ向けて移動する。また、開放装置制御部5は、図13においてT1で示す間、例えば、上下方向Zの上方から視た場合、出力軸62を反時計回りに回転する(図9の矢印A1参照)。
【0065】
そして、扉11が開くと、扉枠12と扉11との間に隙間が形成され、当該隙間が形成された初動開放状態において、扉11は、閉鎖状態と比較して、小さな力で全開位置まで開くことができる。
【0066】
受け部14を接触部78cが押圧した後において、開放装置制御部5は、図13のT2で示す所定のインターバルを設ける。
【0067】
その後、開放装置制御部5は、商用電源6Eの電力によって駆動部6を逆駆動する。逆駆動は、図13のT3で示すように、比較的に小さな電流(0.257mA)を開放装置制御部5によって駆動部本体61に流して、駆動伝達機構7を先ほどとは反対に動作させる。例えば、上下方向Zの上方から視た場合、開放装置制御部5は、駆動部本体61に電流を流して出力軸62を時計回りに回転させ、ギヤ71~78は、先程の矢印A1~A5で示した方向とは反対方向に回転し、接触部78cは、第2支持部材22の後方側の端部22eから退行し、扉11は、ドアクローザ15の弾性力によって扉枠12に対して扉11が閉まる。
【0068】
開放装置制御部5は、駆動伝達機構7の逆駆動を行った後は、図13のT4で示す所定のインターバルを設けた後、扉11の初動開放動作を終了して扉枠12に対して扉11を閉める。
【0069】
上記のような扉開放補助装置1において、変換部8の動作中に、例えば、停電が発生し、商用電源6Eから駆動部6に電力の供給が行われなくなった場合には、扉開放補助装置1の動作が途中で終了し、扉枠12に対して扉11が開いた状態となってしまうおそれがある。
【0070】
そこで、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、図6に示す予備電源4を備える。そして、開放装置制御部5は、電源センサSE1によって停電を検知した場合、第2スイッチSW2をONして、予備電源4と駆動部6とを電気的に接続し、駆動伝達機構7の逆駆動を行う。
【0071】
変換部8の動作中に停電が発生した場合には、扉枠12に対して扉11がわずかに開いた状態であるため、大きな力を必要としない。そのため、本実施形態に係る扉開放補助装置1の予備電源4は、例えば、2個の乾電池を直列につないで構成する。
【0072】
そして、予備電源4の電力を用いて駆動伝達機構7を逆駆動した後、開放装置制御部5は、第2スイッチSW2をOFFして、停電時の処理を終了する。
【0073】
次に、扉開放補助装置1が備える切断部9について説明する。操作者は、扉開放補助装置1の動作中、扉枠12に対して扉11がわずかに開いた状態において、扉11を閉鎖状態に復帰させたい要望がある。このため、操作者が切断部9を操作することで、扉枠12に対して扉11をわずかに開く動作を停止し、その後、扉11を閉鎖状態に復帰させることができる。
【0074】
切断部9は、変換部8を構成する複数のギヤ71~78で構成される経路7Rの途中で、駆動ギヤ71から伝達された駆動力を切断する。例えば、本実施形態に係る切断部9は、第2の従動ギヤ73と、第3の従動ギヤ74との間で、駆動力を切断する。より具体的には、例えば、変換部8の動作中に、第2の従動ギヤ73と、第3の従動ギヤ74との噛み合いを解除する。そして、第2の従動ギヤ73と、第3の従動ギヤ74との噛み合いが解除された状態では、ギヤ74~78が回転せず、扉11を開く方向へ移動することができない。そして、ドアクローザ15の弾性力によって、扉11が開放状態から閉鎖状態へ付勢され、扉11が閉鎖状態に復帰する。
【0075】
切断部9は、操作レバー91および切断部付勢部材91s等で構成される。操作レバー91は、図9に示すように、幅方向Xに延在する長孔91hを有する。長孔91hは、操作レバー本体91aを上下方向Zへ貫通するように形成される。このような長孔91hには、第3ピン24p3および第4ピン24p4が挿通される。第3ピン24p3および第4ピン24p4は、幅方向Xにおいて所定の間隔をあけ、かつ、幅方向Xに沿って配置される。それらのため、操作レバー91は、長孔91h、第3ピン24p3および第4ピン24p4によって、支持部2に対して幅方向Xに移動することが案内される。
【0076】
操作レバー91には、第3軸部91j3が回転可能に設けられる。第3軸部91j3には、第3の従動ギヤ74および第4の従動ギヤ75が固定される。
【0077】
切断部付勢部材91sは、例えば、金属材料で形成されたトーションバネであって、第2支持部に設けられた第2ピン22p2に取り付けられる。そして、切断部付勢部材91sは、X方向において、第3の従動ギヤ74と第2の従動ギヤ73とが噛み合うように、第3の従動ギヤ74を付勢する。
【0078】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、扉11が閉鎖状態にあり、かつ、図10に示すように、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78が最も前後方向Yの前方側に移動した初期状態を位置センサSE2で検出する。初期位置において、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78は、第4軸部24j4を中心に周方向の一方側である第1位置に配置される。その上、この初期状態では、接触部78cおよび被検出体SE22は、支持部2に対して前後方向Yの最も前方側に位置する。つまり、当該位置が、接触部78cおよび被検出体SE22の初期位置である。
【0079】
また、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、接触部78cに受け部14を押圧したことによって、扉11と扉枠12との間にわずかに隙間が形成された初動開放位置に扉11が移動すると、図11に示すように、接触部78cおよび被検出体SE22が前後方向Yの最も後方側に位置し、この初動開放状態を位置センサSE2が検出する。初動開放状態において、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78は、第4軸部24j4を中心に周方向の他方側である第2位置に配置される。初動開放状態にある接触部78cおよび被検出体SE22は、支持部2に対して前後方向Yの最も後方側に位置し、当該位置が、接触部78cおよび被検出体SE22の最大動作位置である。
【0080】
先ず、操作者は、非切断位置にある操作レバー91を摘む。操作レバー91が非切断位置にある場合、第3の従動ギヤ74と第2の従動ギヤ73とが噛み合う。
【0081】
次に、操作者は、非切断位置にある操作レバー91を、図12に示すように、幅方向Xの他方側へ移動させる。すると、操作レバー91の第3軸部91j3に固定された第3の従動ギヤ74および第4の従動ギヤ75が、幅方向Xの他方側へ移動し、第2の従動ギヤ73と第3の従動ギヤ74との噛み合いが解除される。これにより、変換部8の動作(変換部8によって、出力側の従動ギヤ78の駆動力を、扉11を開く力に変換する動作)が中止される。そして、扉11は、ドアクローザ15の弾性力によって閉鎖状態に復帰する。
【0082】
そして、操作者が操作レバー91から手を離すと、切断部付勢部材91sの付勢力によって、操作レバー91、第3の従動ギヤ74および第4の従動ギヤ75は、幅方向Xの一方側に移動して初期位置に復帰することで、第3の従動ギヤ74と第2の従動ギヤ73とが噛み合うことになる。
【0083】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。扉開放補助装置1は、出力側の第7の従動ギヤ78の駆動力を、扉11を開く力に変換する変換部8を備える。そして、変換部8は、複数のギヤ71~78で構成される。そのため、本実施形態に係る変換部8は、アーム等を有さずに構成されるため、扉開放補助装置1を小型化することができる。
【0084】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。扉開放補助装置1は、変換部8の動作中に、操作者の手動操作によって、駆動ギヤ71の駆動力を従動ギヤ72~78に伝達する経路7Rを切断する切断部9を備える。そのため、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、誤って扉開放補助装置1を駆動した際において、操作者の操作レバー91の操作によって、扉11が開かれることを防止すると共に、ドアクローザ15によって扉11を閉鎖位置へ移動させることができる。
【0085】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。扉開放補助装置1は、変換部8の動作中に、当該変換部8の動作を逆駆動する電力を供給する予備電源4を備える。そのため、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、扉枠12と扉11との間にわずかな隙間が形成された状態において、商用電源6Eが停電となった場合であっても、予備電源4から駆動部6に電力を供給することによって、変換部8の動作を逆駆動することができる。その結果、変換部8の動作中に商用電源6Eが停電となった場合であっても、扉枠12に対して扉11を閉めることができるため、停電時における防盗性を向上することができる。
【0086】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。揺動ギヤである第7の従動ギヤ78は、板状に形成された本体78aの孔部78bの内周面に形成される。仮に、揺動ギヤの外周面に歯部を設けると、当該歯部が外側に向けて突出するため、揺動ギヤが大型化する。本実施形態に係る第7の従動ギヤ78は、孔部78bの内周面に歯部が設けられるため、歯部が内側に設けて突出することとなるから、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78を小型化することができる。
【0087】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。本実施形態に係る変換部8は、駆動ギヤ71と、直径が小さい小径ギヤ73、75、77と、小径ギヤ73、75、77よりも直径が大きい大径ギヤ72、74、76と、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78と、によって構成され、ピニオンギヤは、小径ギヤである。
【0088】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。変換部8を構成する複数のギヤ71~78において、入力側の駆動ギヤ71と出力側の従動ギヤ78との間に配置された複数の従動ギヤ72~77は、小径ギヤ73、75、77と大径ギヤ72、74、76との2種類によって構成される。そのため、本実施形態に係る扉開放補助装置1は、部品点数を減少して、生産効率を向上することができる。
【0089】
本実施形態に係る扉開放補助装置1は、以下の構成を有する。扉開放補助装置1は、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78が回転軸である第4軸部24j4を中心にして一方側に揺動された第1位置と、第4軸部24j4を中心にして他方側に揺動された第2位置と、に揺動されたことを検出する位置センサSE2を1つ備える。そのため、扉開放補助装置1は、2つの位置センサで揺動ギヤの位置を検出する装置に比べて、センサの数を減少させて、装置を安価に製造することができる。
【0090】
上記した扉開閉システム100は、扉開放補助装置1と、主ロック装置16と、情報処理端末moと、ドアクローザ15と、を備える。そのため、扉開閉システム100によれば、操作者がハンドル13を触ることなしに扉11を開くことができ、かつ、扉11を閉めることができる。
【0091】
なお、上述した第1実施形態に係る扉開放補助装置1は、8個のギヤ71~78で経路7Rを構成するものを説明した。しかし、経路7Rを構成するギヤ71~78の数はこれらに限られず、任意の個数に設定することができる。
【0092】
(第2実施形態)
図14は、第2実施形態に係る扉開放補助装置1Aの装置本体10Aにおいて、カバー部3を取り外した状態を示す斜視図である。図15は、図14に示す装置本体10Aにおいて、揺動ギヤである第7の従動ギヤ78を取り外した状態の平面図である。
【0093】
なお、第2実施形態に係る扉開放補助装置1Aの構成において、第1実施形態に係る扉開放補助装置1と同一の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0094】
上記した第1実施形態に係る扉開放補助装置1の装置本体10は、切断部9を備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係る扉開放補助装置1Aの装置本体10Aは、切断部9を備えない。そのため、装置本体10には、操作レバー91および切断部付勢部材91sが設けられない。また、操作レバー91が設けられないため、操作レバー91の長孔91hに挿通される第3ピン24p3および第4ピン24p4を設ける必要がない。さらに、切断部付勢部材91sが設けられないため、第2ピン22p2を設ける必要がない。また、第3の従動ギヤ74および第4の従動ギヤ75を固定する第3軸部91j3は、第2支持部材22に設けられる。
【0095】
本実施形態に係る開放装置制御部5は、例えば、操作者による情報処理端末moの操作に基づき、または、商用電源6Eに停電が発生した旨の電源センサSE1の検知結果に基づき、予備電源4の電力を駆動部6に供給することによって、変換部8の動作中に、当該変換部8の動作を逆駆動する。
【0096】
本実施形態に係る扉開放補助装置1Aは、切断部9を備えないため、装置の部品点数を減少して製造を容易にすることができる。
【0097】
なお、上述した実施形態に係る扉開放補助装置1、1Aは、駆動部6が商用電源6Eに接続されるものを説明した。しかし、本実施形態に係る扉開放補助装置1、1Aは、それに限られない。例えば、扉開放補助装置1、1Aは、商用電源6Eに接続されず、不図示の電池等で構成された電源を備え、電源によって駆動部6を駆動してもよい。
【0098】
また、本実施形態に係る扉開放補助装置1、1Aは、扉11に取り付けられた装置本体10と、扉枠12に取り付けられた受け部14とを備えるものを説明した。しかし、本実施形態に係る扉開放補助装置1、1Aは、それに限られない。例えば、扉開放補助装置1Aは、一体的に形成された装置本体10のみで構成され、接触部78cが扉11の室内側の内面に接触可能なように、装置本体10を扉枠12に取り付けてもよい。このような扉開放補助装置1、1Aは、受け部14を備えないため、部品点数を減少することができる。その結果、扉開放補助装置1、1Aは、受け部14を扉枠12に取り付ける必要がないため、設置する際の作業工数を低減することができる。
【0099】
さらに、上述した扉開閉システム100は、情報処理端末moと扉開放補助装置1、1Aとの間で情報の送受信を行うものを説明した。しかし、扉開閉システム100は、それに限られず、扉開放補助装置1、1Aが人感センサ等の人間を検知するセンサを備え、当該センサの人間の検知に戻づいて扉開放補助装置1、1Aの駆動部6を駆動してもよい。また、主ロック装置16および副ロック装置17は、電動操作の装置に限られず、手動操作の装置でもよい。
【0100】
さらに、上記実施の形態により本発明が限定されるものではない。上述した各実施形態の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0101】
1、1A 扉開放補助装置、 71 駆動ギヤ(ギヤ)、 72 従動ギヤ(ギヤ)、 73 従動ギヤ(ギヤ)、 74 従動ギヤ(ギヤ)、 75 従動ギヤ(ギヤ)、 76 従動ギヤ(ギヤ)、 77 従動ギヤ(ラックギヤ)、 78 従動ギヤ(揺動ギヤ)、 7R 経路、 8 変換部、 9 切断部、 SE2 位置センサ(センサ)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15