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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078479
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240604BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J2/17 103
B41J2/01 305
B41J2/01 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190885
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 貢
(72)【発明者】
【氏名】西本 隆弘
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FC01
2C056HA29
2C056JC17
(57)【要約】
【課題】ミスト状の液体が、排気ファンに付着したり、筐体の外部に排出されたりしにくい画像記録装置を提供する。
【解決手段】画像記録装置100は、筐体1と、搬送路33と、記録ヘッド24と、記録ヘッド24よりもシートSの搬送方向の下流に位置しており、筐体1の外部に向かって開口する流出口110を有するエアダクト32と、流出口110に位置しており、エアダクト32内において流出口110へ向かって空気の流れ92を発生させる排気ファン112と、を備える。エアダクト32は、第1側壁41と、第1側壁41と搬送方向に対向する第2側壁42と、第1側壁41の下端部と第2側壁42の下端部とを連結する底壁43と、を有する。第1側壁41は、搬送方向の上流へ向かって開口する吸気口109を有する。流出口110は、吸気口109よりも左右方向の一方に位置する
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
上記筐体内においてシートが搬送される搬送路と、
シートに液体を吐出する記録ヘッドと、
上記搬送路の上方において上記記録ヘッドよりもシートの搬送方向の下流に位置しており、上記筐体の外部に向かって開口する流出口を有するエアダクトと、
上記流出口に位置しており、上記エアダクト内において上記流出口へ向かって空気の流れを発生させる排気ファンと、を備えており、
上記エアダクトは、
上記記録ヘッドよりも上記搬送方向の下流に位置しており、上下方向および上記搬送方向と交差する左右方向、ならびに上下方向に沿って拡がる第1側壁と、
上記第1側壁よりも上記搬送方向の下流に位置しており、上記第1側壁と上記搬送方向に対向する第2側壁と、
上記第1側壁の下端部と上記第2側壁の下端部とを連結する底壁と、を有しており、
上記第1側壁は、上記搬送方向の上流へ向かって開口する吸気口を有しており、
上記流出口は、上記吸気口よりも上記左右方向の一方、または、上記吸気口よりも上方に位置する画像記録装置。
【請求項2】
上記吸気口は、上記第1側壁に複数設けられており、
上記第1側壁において上記流出口に近い側の第1領域における上記吸気口の第1開口面積は、上記第1側壁において上記第1領域よりも上記流出口から遠い第2領域における上記吸気口の第2開口面積よりも、小さい請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記エアダクト内において上記排気ファンに隣接するフィルタを備える請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記フィルタは、上記エアダクトに着脱可能である請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記フィルタは、上記搬送方向に弾性変形可能なスナップ部を有しており、
上記スナップ部は、その弾性力によって第1側壁の内面に係止する請求項4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記底壁は、上記フィルタが上下方向に通過可能な装着口を有しており、
上記フィルタは、上記装着口を通して上記エアダクトに装着された状態において上記装着口を塞ぐ壁を有する請求項5に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記液体は、樹脂微粒子が水に分散したインクである請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記樹脂微粒子のガラス転移温度は、50℃未満である請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記インクは、25℃において液体として存在する有機溶剤を含み、
上記有機溶剤は、インク全体に対して占める割合が10重量%以下である請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記インクの表面張力は、32mN/m以下である請求項7から9のいずれかに記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録ヘッドから液体を吐出することによってシートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録ヘッドから液体を吐出することによってシートに画像を記録する画像記録装置として、例えば、特許文献1に記載された画像形成装置が知られている。特許文献1の画像形成装置は、インク塗布部、活性エネルギー光線照射装置、搬送装置、排気装置、およびインクミスト経路を備える。上記画像形成装置において、搬送装置によって搬送されるシートにインク塗布部から活性エネルギー光線硬化インクが吐出される。その後、活性エネルギー光線照射装置から活性エネルギー光線がシートに照射される。インク塗布部からインクが吐出されるときに、空中を浮遊する微小なインクミストが発生する。インクミストは、インクミスト経路、活性エネルギー光線照射装置、排気装置を通って外部へ排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-284892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された画像形成装置では、インクミストが排気装置を通って外部へ排出されるので、画像形成装置の周囲がインクミストによって汚れたり、排気装置を構成するファンがインクミストによって汚れたりしやすい。
【0005】
本発明の目的は、ミスト状の液体が、排気ファンに付着したり、筐体の外部に排出されたりしにくい画像記録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像記録装置は、筐体と、上記筐体内においてシートが搬送される搬送路と、シートに液体を吐出する記録ヘッドと、上記搬送路の上方において上記記録ヘッドよりもシートの搬送方向の下流に位置しており、上記筐体の外部に向かって開口する流出口を有するエアダクトと、上記流出口に位置しており、上記エアダクト内において上記流出口へ向かって空気の流れを発生させる排気ファンと、を備える。上記エアダクトは、上記記録ヘッドよりも上記搬送方向の下流に位置しており、上下方向および上記搬送方向と交差する左右方向、ならびに上下方向に沿って拡がる第1側壁と、上記第1側壁よりも上記搬送方向の下流に位置しており、上記第1側壁と上記搬送方向に対向する第2側壁と、上記第1側壁の下端部と上記第2側壁の下端部とを連結する底壁と、を有する。上記第1側壁は、上記搬送方向の上流へ向かって開口する吸気口を有する。上記流出口は、上記吸気口よりも上記左右方向の一方に、または、上記吸気口よりも上方に位置する。
【0007】
排気ファンにより、吸気口からエアダクト内に流入して流出口から筐体の外部へ排出される空気の流れが発生する。このため、記録ヘッドから吐出された液体からミストが発生すると、そのミストは空気とともに吸気口を通してエアダクト内に搬送方向に流入する。エアダクト内に流入したミストは、慣性によって搬送方向にまっすぐ流れやすいので、第2側壁に衝突する。これにより、ミストは、第2側壁に付着してエアダクトに捕捉される。その結果、ミストが、排気ファンに付着したり、筐体の外部に排出されたりすることが抑制される。第1側壁の下端部と第2側壁の下端部とを連結する底壁が設けられるので、第2側壁に付着した液体が第2側壁に沿って下向きに流れても、その液体は、底壁に捕捉される。したがって、エアダクトに捕捉されたミストが搬送路に流出することはない。
【0008】
(2)上記吸気口は、上記第1側壁に複数設けられてもよい。上記第1側壁において上記流出口に近い側の第1領域における上記吸気口の第1開口面積は、上記第1側壁において上記第1領域よりも上記流出口から遠い第2領域における上記吸気口の第2開口面積よりも、小さくてもよい。
【0009】
複数の吸気口を通してエアダクト内に流入する空気の量が均一になりやすい。このため、排気ファンから遠い位置でも吸気口を通してエアダクト内に空気が流入しやすい。
【0010】
(3)上記画像記録装置は、上記エアダクト内において上記排気ファンに隣接するフィルタを備えてもよい。
【0011】
排気ファンにミストが付着することがフィルタによって抑制される。
【0012】
(4)上記フィルタは、上記エアダクトに着脱可能であってもよい。
【0013】
フィルタがミストによって汚れても、ユーザは、フィルタを交換することによってフィルタの捕捉機能を維持することができる。
【0014】
(5)上記フィルタは、搬送方向に弾性変形可能なスナップ部を有してもよい。スナップ部は、その弾性力によって第1側壁の内面に係止してもよい。
【0015】
ユーザは、スナップ部を弾性変形させることにより、スナップ部と第1側壁の内面との係止を解除できるので、フィルタがボルトによって固定される場合に比べて、容易にフィルタを着脱できる。
【0016】
(6)上記底壁は、上記フィルタが上下方向に通過可能な装着口を有してもよい。上記フィルタは、上記装着口を通して上記エアダクトに装着された状態において上記装着口を塞ぐ壁を有してもよい。
【0017】
エアダクト内からインクが外部へ漏れることがより確実に防止される。
【0018】
(7)上記液体は、樹脂微粒子が水に分散したインクであってもよい。
【0019】
第2側壁に付着したインクが乾燥すると、樹脂微粒子が繋がった皮膜が第2側壁に形成されるので、吸気口を通してエアダクト内に流入したインクミストが皮膜に接触しても、複数の樹脂微粒子がインクミストの水に再分散することがない。このため、第2側壁に付着したインクが筐体の外部へ排出されることが抑制される。
【0020】
(8)上記樹脂微粒子のガラス転移温度は、50℃未満であってもよい。
【0021】
樹脂微粒子が繋がった皮膜が第2側壁に形成されやすいので、複数の樹脂微粒子が水に再分散することがより抑制される。
【0022】
(9)上記インクは、25℃において液体として存在する有機溶剤を含んでもよい。上記有機溶剤は、インク全体に対して占める割合が10重量%以下であってもよい。
【0023】
揮発しにくい有機溶剤の量が少ないので、第2側壁に付着したインクが乾燥しやすい。このため、複数の樹脂微粒子が繋がった皮膜が第2側壁に形成されやすい。
【0024】
(10)上記インクの表面張力は、32mN/m以下であってもよい。
【0025】
インクミストが第2側壁に衝突して付着したときに、インクが第2側壁に対して広がりやすいので、インクミストが乾燥しやすい。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、ミスト状の液体が、排気ファンに付着したり、筐体の外部に排出されたりしにくい。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】(A)は、プリンタ100の外観を模式的に示す斜視図、(B)は、筐体カバー13が開位置にあるプリンタ100を模式的に示す斜視図である。
図2図1の線II-IIに沿うプリンタ100の縦断面を示す模式図である。
図3図3は、エアダクト32を斜め上方から視た示す斜視図である。
図4図4は、エアダクト32を斜め下方から視た示す斜視図である。
図5図2の線V-Vに沿うエアダクト32の横断面を示す模式図である。
図6図6は、フィルタを示す斜視図である。
図7図7は、フィルタのスナップ部材52を示す斜視図である。
図8図8は、フィルタの装着部材53を示す斜視図である。
図9図9は、変形例の複数の吸気口109の配置を示す図である。
【0028】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ100について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0029】
実施形態では、プリンタ100が使用可能に設置された状態(図1(A)の状態)を基準として上下方向7が定義される。プリンタ100において排出口121が設けられている側を前側として、前後方向8が定義される。プリンタ100を前方から見て左右方向9が定義される。
【0030】
[プリンタ100の筐体1]
図1図2に示されるように、プリンタ100(画像記録装置の一例)は、インクジェット記録方式でシートSに画像を記録する。
【0031】
プリンタ100において、筐体1は、略直方体形状であり、プリンタ100の内部空間11を外部から区画する。筐体1は、筐体ケース12および筐体カバー13からなる。筐体ケース12の前壁122には、排出口121が形成される。排出口121は、左右に細長い矩形形状の貫通孔である。筐体カバー13は、筐体ケース12の後壁123に、軸受およびシャフト(図示せず)により取り付けられる。筐体カバー13は、シャフトの回転軸131(図1(B)参照)の周方向に閉位置(図1(A)に示される位置)および開位置(図1(B)に示される位置)の間で回動する。回転軸131は、左右方向9に平行である。閉位置の筐体カバー13は、筐体ケース12における上端の開口124を閉塞し、開位置の筐体カバー13は、開口124を開放する。なお、図1(B)には、筐体1内の構成は示されていない。また、以下では、特に断り書きが無い場合、用語「筐体カバー13」は、「閉位置の筐体カバー13」を意味する。
【0032】
[プリンタ100の内部構成]
図2に示されるように、プリンタ100は、内部空間11に、ロールホルダ21、テンショナ22、搬送部23、記録ヘッド24、支持機構25、ヒータ26、ヒータカバー27、排出ローラ28A,28B、基準板29、コンタクトイメージセンサ(「CIS」と称する)30、エアダクト32、排気ファン112、およびフィルタ51を備える。
【0033】
[ロールホルダ21]
内部空間11内で後方寄り且つ下方寄りには、隔壁135によりシート収容空間113が区画される。ロールホルダ21は、スピンドルやフランジを有しており、シート収容空間113内でフレームにより支持される。ロールホルダ21には、ロール体209が装着される。ロール体209には、シートSが芯管に巻回される。なお、ロール体209は、芯管を有さず、ロール状に巻回されたシートSでもよい。また、シート収容空間113には、シートSとして、長尺のファンフォールド紙、またはカット紙が収容可能であってもよい。ロール体209は、ロール体209の軸芯が左右方向9に平行になるように、ロールホルダ21のスピンドルに装着される。また、ロール体209の左端や左右中心は、ロールホルダ21への装着時、内部空間11内の基準位置に位置決めされる。ロールホルダ21は、ロール体209を、スピンドルの軸芯周りに回転可能にロール体209を支持する。隔壁135の後端と、後壁123との間には、シートSが通過する隙間136が形成されている。シートSは、ロール体209から引き出されて隙間136を通ってテンショナ22に向かって延びる。
【0034】
[テンショナ22]
テンショナ22は、隔壁135より上方且つ後壁123付近に位置する。テンショナ22は、内部空間11内で左右両端付近に位置する2つの第1フレームに支持され、2つの第1フレーム間で左右方向9に延びる。テンショナ22は、前後方向8に移動可能であり、バネにより後向きに付勢される。テンショナ22は、筐体1の外方を向く湾曲面221を有している。シートSは、湾曲面221に下方から巻き掛けられて湾曲面221の上端を通過して、テンショナ22の前方に位置する搬送部23に向かって延びる。テンショナ22に巻き掛けられたシートSには、テンションが付与される。
【0035】
[搬送部23]
搬送部23において、駆動ローラ231およびピンチローラ232は、テンショナ22の前方でフレームに支持され、左右方向9に延びる。ピンチローラ232は、駆動ローラ231の上端に上方から当接する。駆動ローラ231は、図示しないモータで生成された動力により左右方向9に平行な軸芯周り回転する。駆動ローラ231は、テンショナ22からのシートSをピンチローラ232とニップし、ニップから排出口121に至る搬送路33へと送り出す。シートSは、搬送路33において前方(搬送方向の一例)へと搬送される。
【0036】
[記録ヘッド24]
記録ヘッド24は、ピンチローラ232の前方且つ支持機構25の上方の位置で第2フレームに支持される。記録ヘッド24は、記録ヘッド24の下面に形成された複数のノズル241から、支持機構25に支持されたシートSへ向かってインクを吐出する。これにより、シートSの記録面にインクによる画像が記録される。記録ヘッド24は、インクタンクからチューブを介してインクの供給を受ける。
【0037】
インクは、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子、および有機溶剤を含有するPPインクである。インクは、熱可塑性樹脂微粒子が水に分散した状態である。インクは、その表面張力が32mN/m以下のものが使用される。インクの表面張力は、例えば、表面張力測定装置(DY-300:協和界面科学株式会社)を用いて求められる。インクは、液体の一例である。
【0038】
熱可塑性樹脂微粒子としては、例えば、市販品を用いることができる。熱可塑性樹脂微粒子は、例えば、モノマーとして、スチレン、塩化ビニル等を含んでもよい。熱可塑性樹脂微粒子は、1種単独または2種以上を組み合わせて用いることができる。熱可塑性樹脂微粒子としては、例えば、アクリル酸系樹脂、マレイン酸系エステル樹脂、酢酸ビニル系樹脂、カーボネート型樹脂、ポリカーボネート型樹脂、スチレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、プロピレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂及びこれらの共重合体樹脂等が挙げられる。熱可塑性樹脂微粒子のガラス転移温度は、50℃未満である。熱可塑性樹脂微粒子は、樹脂微粒子の一例である。
【0039】
有機溶剤としては、25℃において液体として存在するものが使用される。有機溶剤は、溶剤と水とを1:1で混合した際に、均一に混ざり合う溶剤である。有機溶剤としては、例えば、プロピレングリコール、エチレングリコール、1,2-ブタンジオール、プロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、1,6-ヘキサンジオール等が挙げられ、プロピレングリコール又は1,2-ブタンジオールが好ましい。その他の有機溶剤の例としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコールなどの炭素数1~4のアルキルアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2,6-ヘキサントリオール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルキレン基が2~6個の炭素原子を含むアルキレングリコール類;グリセリン、エチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、テトラエチレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル、ヘキシル)エーテル、プロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、ジプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、トリプロピレングリコールモノメチル(またはエチル、プロピル、ブチル)エーテル、テトラプロピレングリコールモノメチル(またはエチル)エーテルなどのアルキレングリコール類の低級アルキルエーテル類;N-メチル-2-ピロリドン、2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンなどが挙げられる。有機溶剤は、インク全体に対して占める割合が10重量%以下である。
【0040】
[支持機構25]
支持機構25は、ピンチローラ232より前方、且つ記録ヘッド24の直下に位置し、第3フレームにより支持される。支持機構25は、搬送ベルト251と、搬送ベルト251の左右両側でシートSを支持する支持部252と、を有する。搬送ベルト251は、モータで生成された動力により回転する。詳細には、搬送ベルト251において記録ヘッド24と直下で対向する搬送面が前方へと走行する。これにより、搬送部23から送り出されたシートSが前方へと摩擦搬送され、支持機構25の前方のヒータ26へと送られる。支持部252は、搬送ベルト251の搬送面と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。この支持面は、記録ヘッド24の直下で搬送されるシートSを支持して、ノズル241およびシートSの間の上下距離を維持する。なお、プリンタ100は、図示しない吸着機構によりシートSを支持面に吸着してもよい。
【0041】
[ヒータ26]
ヒータ26は、支持機構25より前方で第4フレームに支持され、左右方向9に延びる。ヒータ26は、伝熱プレート261と、フィルムヒータ262と、を有している。伝熱プレート261は、金属製であり、搬送ベルト251の搬送面と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。支持機構25から送り出されたシートSは、伝熱プレート261の支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータ262は、伝熱プレート261の下面に固定されており、コントローラの制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレート261を介して、伝熱プレート261上のシートSに伝わる。
【0042】
[ヒータカバー27]
ヒータカバー27は、ヒータ26から上方に若干離れて位置し、筐体カバー13の左壁132および右壁133(図1(B)参照)の間で前後左右に拡がる。ヒータカバー27は、伝熱プレート261の支持面全域を覆っている。ヒータカバー27内の左寄りの位置には、3個の拍車ローラ271が前後に並んでいる。右寄りの位置にも同様に、3個の拍車ローラ271が並んでいる。拍車ローラ271の各々は、左右方向9に平行な回転軸周りに回転可能にヒータカバー27に支持される。拍車ローラ271の各下端は、ヒータカバー27の下面に形成されたスリットから、ヒータカバー27の下面に対し若干下方に突出する。
【0043】
[排出ローラ28A]
排出ローラ28Aは、ヒータ26の前方に位置する。排出ローラ28Aは、左右方向9に沿って延びている。排出ローラ28Aは、第5フレームに回転可能に支持されている。排出ローラ28Aは、図示しないモータで生成された動力によって回転可能である。排出ローラ28Aは、上方に位置する拍車ローラ272との間でシートSをニップして後述の基準板29に向けて搬送する。拍車ローラ272は、第6フレームに支持された箱状の拍車ホルダ31に支持されている。
【0044】
[排出ローラ28B]
排出ローラ28Bは、排出ローラ28Aから前方に離れ、且つ排出口121より後方に位置する。排出ローラ28Bは、左右方向9に沿って延びている。排出ローラ28Bは、第7フレームに回転可能に支持されている。排出ローラ28Bは、図示しないモータで生成された動力によって回転可能である。排出ローラ28Bは、上方に位置する拍車ローラ273との間でシートSをニップして排出口121に向けて搬送する。拍車ローラ273は、第8フレームに支持された箱状の拍車ホルダ34に支持されている。
【0045】
[基準板29]
基準板29は、前後方向8において排出ローラ28A,28Bの間の位置で第9フレームに支持される。基準板29は、搬送ベルト251の搬送面と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。支持面は、上方を向いており、白色に着色されている。
【0046】
[CIS30]
CIS30は、排出ローラ28Aと排出ローラ28Bとの間に位置し、基準板29の直上に位置する。CIS30は、左右方向9に延びる略直方体の筐体を有しており、筐体内に、光源、分布型レンズ、およびラインセンサを有する。CIS30は、LEDなどの光源から照射されてシートSで反射された反射光が、屈折率分布型レンズによりラインセンサに集光されることによって、ラインセンサが受光した反射光の強度に応じた電気信号を出力する。CIS25の読取りラインは左右方向9に沿っている。CIS25の読取りラインの長さは、画像記録装置100において画像記録可能な最大のシートSの幅よりも長い。
【0047】
[エアダクト32]
図2図3に示されるように、エアダクト32は、搬送路33の上方において記録ヘッド24よりも前方に位置する。本実施形態では、エアダクト32は、ヒータカバー27の上方に位置する。エアダクト32は、左右方向9に細長い略直方体形状を有する。エアダクト32は、筐体カバー13の内部空間に位置する。エアダクト32の左端は、筐体カバー13の左壁132の内面に当接している。エアダクト32の右端は、筐体カバー13の右壁133の内面に当接している。エアダクト32の上端は、筐体カバー13の上壁134の下面に当接している。エアダクト32の右端には、筐体カバー13の外部に向かって開口する流出口110が設けられている。流出口110は、筐体カバー13の左壁132を左右方向9に沿って貫通する。流出口110は、エアダクト32の内部空間と連通する。
【0048】
エアダクト32は、後側壁41、前側壁42、および底壁43を有する。後側壁41は、記録ヘッド24よりも前方に位置する。後側壁41は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。後側壁41の後面および前面は、左右方向9に長い略長方形である。後側壁41の左端は、左壁132の内面に固定される。後側壁41の右端は、右壁133の内面に固定される。後側壁41の上端は、上壁134の下面に固定される。
【0049】
後側壁41は、後方へ向かって開口する複数の吸気口109を有する。複数の吸気口109は、エアダクト32の内部空間と連通する。各吸気口109の開口面積は等しい。一方、後側壁41の後面において複数の吸気口109が占める領域は、流出口110に向かう左方に行くにつれて段階的に小さくなる。言い換えると、左領域Lに位置する複数の吸気口109の開口面積を足し合わせた左開口面積LSが、右領域Rに位置する複数の吸気口109の開口面積を足し合わせた右開口面積RSよりも小さい。左領域Lは、後側壁41の後面において左半分を占める領域である。右領域は、後側壁41の後面において右半分を占める領域である。
【0050】
本実施形態では、複数の吸気口109は、その数が流出口110に向かう左方に行くにつれて段階的に少なくなるように位置している。図3の例では、最も右の縦列には、8個の吸気口109が上下方向7に並んでいる。中央の縦列には、5個の吸気口109が上下方向7に並んでいる。最も左の縦列には、3個の吸気口109が上下方向7に並んでいる。後側壁41は、第1側壁の一例である。左領域Lは、第1領域の一例である。右領域Rは、第2領域の一例である。左開口面積LSは、第1開口面積の一例である。右開口面積RSは、第2開口面積の一例である。
【0051】
前側壁42は、後側壁41よりも前方に位置する。前側壁42は、後側壁41と前後方向8に対向する。前側壁42は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。前側壁42の後面および前面は、左右方向9に長い略長方形である。前側壁42の左端は、左壁132の内面に固定される。前側壁42の右端は、右壁133の内面に固定される。前側壁42の上端は、上壁134の下面に固定される。前側壁42は、第2側壁の一例である。
【0052】
底壁43は、後側壁41の下端部と前側壁42の下端部とを連結する。底壁43は、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状である。底壁43の上面および下面は、左右方向9に長い長方形である。底壁43の左端は、左壁132の内面に当接する。底壁43の右端は、右壁133の内面に当接する。図4に示されるように、底壁43は、上下方向7に貫通する装着口111を有する。装着口111は、底壁43の左端部に位置する。装着口111の大きさは、フィルタ51が上下方向7に通過可能な大きさである。
【0053】
[排気ファン112]
排気ファン112は、エアダクト32の内部空間における流出口110に位置する。排気ファン112は、左壁132の内面に固定される。排気ファン112の吐出口は、流出口110に位置する。排気ファン112の吸気口109は、流出口110とは反対方向である右方を向いている。これにより、排気ファン112を駆動すると、エアダクト32に気流92が発生する。図5に示されるように、気流92は、複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間へ前向きに流入した後、左方へ曲がって流出口110へ流れる。気流92は、流出口110を通して筐体1の外部へ至る。気流92は、空気の流れの一例である。
【0054】
[フィルタ51]
図6に示されるように、フィルタ51は、エアダクト32の内部空間に位置している。フィルタ51は、排気ファン112の右側に隣接している。フィルタ51は、装着口111を通してエアダクト32に着脱可能である。具体的には、フィルタ51は、スナップ部材52、装着部材53、およびフィルタ部材を有する。
【0055】
図7に示されるように、スナップ部材52は、排気ファン112の右側に隣接している。スナップ部材52は、第1下壁52A、立壁52B、第1上壁52C、第1後壁52D、および第1前壁52E、を有する。第1下壁52Aは、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状である。第1下壁52Aの前後方向8に沿った長さは、後側壁41と前側壁42との間の前後方向8に沿った間隔よりも僅かに短い。
【0056】
第1下壁52Aは、その上面から下向きに凹んだ第1挿入凹部61を有する。第1挿入凹部61は、上方から視て、前後方向8に長い長方形である。本実施形態では、第1挿入凹部61は、第1下壁52Aの前後方向8の両端部に位置する。各第1挿入凹部61の右端は、右向きに開放している。各第1挿入凹部61は、その内面から下向きに凹んだ第2挿入凹部62を有する。各第2挿入凹部62は、上方から視て、左右方向9に長い長方形である。
【0057】
立壁52Bは、第1下壁52Aの上面から上向きに立ち上がる。立壁52Bは、上下方向7および前後方向8に拡がる平板に左右方向9に沿って貫通する複数の貫通孔63が格子状に位置するものである。立壁52Bは、第1下壁52Aの前端から後端に亘って前後方向8に沿って延びている。立壁52Bの上端は、上壁134の下面に近接している。
【0058】
第1上壁52Cは、立壁52Bの上端から右向きに延びる。第1上壁52Cは、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状である。第1上壁52Cは、立壁52Bの前端から後端に亘っている。第1上壁52Cは、その上面から下向きに凹む係止凹部64を有する。本実施形態では、第1上壁52Cの左右方向9の両端部に係止凹部64が設けられる。各係止凹部64は、上方から視て左右方向9に長い長方形状である。各係止凹部64の左端は、左向きに開放している。各係止凹部64の右端は、右向きに開放している。各係止凹部64の右半分は、切り欠かれている。これにより、各係止凹部64の右半分に係止スペース65がある。
【0059】
第1後壁52Dは、第1下壁52Aの上面における後端に位置する。第1後壁52Dは、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。第1後壁52Dの上端は、上壁の後端に繋がっている。第1後壁52Dの後面および前面は、上下方向7に長い長方形である。第1後壁52Dの後面は、後側壁41の内面に近接している。第1後壁52Dの後面には、後スナップ部66が取り付けられている。
【0060】
後スナップ部66は、第1後壁52Dの後面における上下方向7の略中央に固定されている。後スナップ部66は、弾性変形部67、凸部68、および押圧部69を有する。弾性変形部67は、第1後壁52Dの後面から後向きに延びて下向きに屈曲した略L字状の平板である。弾性変形部67は、左右方向9よりも上下方向7に長い。弾性変形部67の下端は、後側壁41の下端よりも下方へ突出している。弾性変形部67は、前向きの力を受けると、前向きに弾性変形する。
【0061】
凸部68は、弾性変形部67の後面から後向きに突出している。凸部68は、弾性変形部67の後面における上下方向7の中央に位置する。凸部68は、後側壁41の内面に対して後方斜め上向きを向く傾斜面70を有する。凸部68の下端は、後側壁41の内面から後向きに凹んだ凹部(図示せず)に係止している。
【0062】
押圧部69は、弾性変形部67の後面から後向きに突出している。押圧部69は、弾性変形部67の後面における下端部に位置する。押圧部69は、後側壁41の下端よりも下方に位置する。押圧部69は、前後方向8および左右方向9に拡がる平板である。押圧部69は、後側壁41の後面よりも後方へ突出している。
【0063】
第1前壁52Eは、第1後壁52Dと前後方向8に対向している。第1前壁52Eは、第1下壁52Aの上面における前端に位置する。第1前壁52Eは、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。第1前壁52Eの上端は、上壁の前端に繋がっている。第1前壁52Eの後面および前面は、上下方向7に長い長方形である。第1前壁52Eの前面は、前側壁42の内面に近接している。第1前壁52Eの前面には、後スナップ部66と同じ構造を有する前スナップ部(図示せず)が固定されている。このため、前スナップ部については、後スナップ部66と同じ符号を付して、その説明が省略される。
【0064】
図6図8に示されるように、装着部材53は、スナップ部材52に装着される部材である。装着部材53は、スナップ部材52の右側に位置する。装着部材53は、第2下壁53A、第2後壁53B、第2前壁53C、第2上壁53D、および塞壁53Eを有する。第2下壁53Aは、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状である。第2下壁53Aの上面および下面は、前後方向8に長い長方形である。第2下壁53Aの前後方向8に沿った長さは、第1後壁52Dと第1前壁52Eとの間の前後方向8に沿った長さよりも僅かに短い。
【0065】
第2下壁53Aの下面から下向きに延びる下突片77が設けられている。本実施形態では、下突片77は、第2下壁53Aの下面における前後方向8の両端部に設けられている。各下突片77は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。後方の下突片77は、後方の第2挿入凹部62に挿入されている。前方の下突片77は、前方の第2挿入凹部62に挿入されている。
【0066】
第2後壁53Bは、第2下壁53Aの上面における後端に位置する。第2後壁53Bは、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。第1後壁52Dの後面および前面は、上下方向7に長い長方形である。第2後壁53Bの上端の高さは、第1上壁52Cの下面よりも僅かに高い。第2後壁53Bの前面から前向きに延びる後突片(図示せず)が設けられている。後突片は、第2後壁53Bの前面における上下方向7の中央よりも上方に位置している。後突片は、第2後壁53Bの前面における左端部に位置する。後突片は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。
【0067】
第2前壁53Cは、第2下壁53Aの上面における前端に位置する。第2前壁53Cは、第2後壁53Bと前後方向8に対向している。第2前壁53Cは、上下方向7および左右方向9に拡がる平板状である。第2前壁53Cの後面および前面は、上下方向7に長い長方形である。第2前壁53Cの上端の高さは、第1上壁52Cの下面よりも僅かに高い。
【0068】
第2前壁53Cの後面から後向きに延びる前突片71が設けられている。前突片71は、後突片と前後方向8に対向している。前突片71は、第2前壁53Cの後面における上下方向7の中央よりも上方に位置している。前突片71は、第2前壁53Cの後面における左端部に位置する。前突片71は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板状である。
【0069】
第2前壁53Cの後面と第2後壁53Bの前面とを繋ぐ上横枠72および下横枠73が設けられている。上横枠72は、前後方向8に沿って延びている。上横枠72は、第2前壁53Cの後面および第2後壁53Bの前面における上下方向7の中央に位置する。上横枠72は、第2前壁53Cの後面および第2後壁53Bの前面における右端部に位置する。下横枠73は、前後方向8に沿って延びている。下横枠73は、第2前壁53Cの後面および第2後壁53Bの前面における上下方向7の下端部に位置する。下横枠73は、第2前壁53Cの後面および第2後壁53Bの前面における右端部に位置する。
【0070】
第2上壁53Dは、第2後壁53Bの上端と第2前壁53Cの上端とを繋いでいる。第2上壁53Dは、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状である。第2上壁53Dに係止突起74が設けられている。係止突起74は、第2上壁53Dの左端から左向きに延びて上向きに突出する略L字状である。本実施形態では、係止突起74は、第2上壁53Dの前後方向8の両端部に設けられる。後方の係止突起74は、第1上壁52Cの右方から後方の係止凹部64の係止スペース65を通して第1上壁52Cの上面よりも僅かに上方へ至っている。後方の係止突起74は、下向きに弾性変形した状態で後方の係止凹部64に係止している。同様に、前方の係止突起74は、第1上壁52Cの右方から前方の係止凹部64の係止スペース65を通して第1上壁52Cの上面よりも僅かに上方へ至っている。これにより、前方の係止突起74は、下向きに弾性変形した状態で前方の係止凹部64に係止している。
【0071】
第2上壁53Dの下面と上横枠72の上面とを繋ぐ上縦枠75が設けられている。上縦枠75は、上下方向7に沿って延びている。上縦枠75は、第2上壁53Dの下面および上横枠72の上面における前後方向8の中央に位置する。上横枠72の下面と下横枠73の上面とを繋ぐ下縦枠76が設けられている。下縦枠76は、上下方向7に沿って延びている。下縦枠76は、上横枠72の下面および下横枠73の上面における前後方向8の中央に位置する。
【0072】
塞壁53Eは、下縦枠76の右端から右向きに延びている。塞壁53Eは、前後方向8および左右方向9に拡がる平板状である。塞壁53Eの形状および大きさは、フィルタ51が装着口111を通してエアダクト32に装着された状態において装着口111を塞ぐ形状および大きさを有する。本実施形態では、塞壁53Eは、上方から視て、短辺が右方に位置する前後方向8に長い略台形状である。塞壁53Eは、装着口を塞ぐ壁の一例である。
【0073】
フィルタ部材は、所定の内径の複数の孔を有するメッシュタイプのものである。フィルタ部材は、前突片71および後突片と上横枠72との間で左右方向9に挟み込まれている。
【0074】
[プリンタ100の動作]
プリンタ100は、プリンタ100と通信可能な情報処理装置(例えばPC)からシートSに記録される画像を示す印刷データを受信すると画像記録を実行する。
【0075】
図2に示されるように、画像記録では、ロールホルダ21、駆動ローラ231、搬送ベルト251、排出ローラ28A,および排出ローラ28Bが回転する。これにより、シートSは、ロールホルダ21から繰り出されてテンショナ22へ搬送される。
【0076】
搬送部23は、テンショナ22からのシートSをニップし、前方へと送り出す。搬送ベルト251は、前方に走行する自身の搬送面により、搬送部23から送り出されたシートSをさらに前方へと摩擦搬送する。支持部252は、搬送ベルト251の左隣りおよび右隣りで、自身の支持面によりシートSを支持する。記録ヘッド24は、印刷データに基づいて各ノズル241からインクを支持機構25により支持されるシートSに向けて吐出する。これにより、シートSには、画像が記録される。
【0077】
ここで、各ノズル241からインクが吐出されるときに、空中を浮遊する微小なインクミストaが発生する。このとき、図5に示されるように、排気ファン112によって気流92が発生している。このため、インクミストaは、気流92とともに複数の吸気口109を通してエアダクト32に前向きに流入する。このとき、排気ファン112から右方へ離れるにつれて、気流92の流速が遅くなる。しかしながら、後側壁41の後面において複数の吸気口109が占める領域が、流出口110から離れる右方へ行くにつれて段階的に大きくなるので、複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に流入する気流92の流入量は、左右方向9において均等になる。したがって、インクミストaが複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に流入しやすい。そして、エアダクト32の内部空間に流入した気流92は、エアダクト32の内部空間において左向きに曲がって流出口110から排出される。一方、空気より重いインクミストaは、慣性によって前向きにまっすぐ流れやすいので、前側壁42の内面に衝突する。これにより、インクミストaは、前側壁42の内面に付着してエアダクト32に捕捉される。
【0078】
画像記録済みのシートSは、ヒータ26およびヒータカバー27間へと送られ、ヒータ26の支持面上でさらに前方へと搬送される。シートSは、ヒータ26により熱が加えられる。加熱により、シートS上またはシートS内の熱可塑性樹脂微粒子が溶融し、水分が蒸発する。そして、インクが乾燥すると、画像はシートSに定着する。
【0079】
シートSは、排出ローラ28Aおよび拍車ローラ272と、排出ローラ28Bおよび拍車ローラ273とによりさらに前方へと送られ、排出口121から排出される。排出ローラ28A,28Bの間では、シートSは、基準板29上で搬送される。CIS30は、シートSに記録された画像を光学的に読み取り、読取結果を示す読取データをコントローラに出力する。コントローラは、読取データに基づいて、シートSに記録された画像の品質を判定する。
【0080】
[フィルタ51の交換]
次に、フィルタ51の交換方法について説明する。まず、ユーザは、後スナップ部66の押圧部69を前向きに押圧する。これにより、弾性変形部67が前向きに弾性変形して凸部68が後側壁41の凹部から抜ける。同時に、ユーザは、前スナップ部の押圧部69を後向きに押圧する。これにより、弾性変形部67が後向きに弾性変形して凸部68が前側壁42の凹部から抜ける。
【0081】
次いで、ユーザは、装着口111を通して使用済みのフィルタ51をエアダクト32の内部空間から下向きに取り出す。そして、ユーザは、新たなフィルタ51を準備する。
【0082】
最後に、ユーザは、装着口111を通して新たなフィルタ51をエアダクト32の内部空間に上向きに挿入する。このとき、後スナップ部66の凸部68が、後側壁41の内面によって前向きに押圧されることにより、弾性変形部67が前向きに弾性変形する。そして、ユーザは、フィルタ51をさらに上向きに移動すると、弾性変形部67の弾性力によって凸部68が後側壁41の凹部に係止する。同時に、前スナップ部の凸部68も前側壁42の凹部に係止する。これにより、フィルタ51がエアダクト32に装着される。このとき、装着口111は、フィルタ51の塞壁53Eによって塞がれる。
【0083】
[実施形態の作用効果]
プリンタ100では、排気ファン112により、吸気口109からエアダクト32の内部空間に流入して流出口110から筐体1の外部へ排出される気流92が発生する。このため、記録ヘッド24から吐出されたインクからインクミストaが発生すると、そのインクミストは空気とともに吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に前向きに流入する。エアダクト32の内部空間に流入したインクミストaは、慣性によって前向きにまっすぐ流れやすいので、後側壁41に衝突する。これにより、インクミストaは、後側壁41に付着してエアダクト32に捕捉される。その結果、インクミストaが、排気ファン112に付着したり、筐体1の外部に排出されたりすることが抑制される。後側壁41の下端部と前側壁42の下端部とを連結する底壁43が設けられるので、前側壁42に付着したインクが前側壁42に沿って下向きに流れても、そのインクは、底壁43に捕捉される。したがって、エアダクト32に捕捉されたインクが搬送路33に流出することはない。
【0084】
プリンタ100では、後側壁41において流出口110に近い側の左領域Lにおける吸気口109の左開口面積LSは、後側壁41において左領域Lよりも流出口110から遠い右領域Rにおける吸気口109の右開口面積RSよりも小さい。このため、複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に流入する空気の量が左右方向9において均一になりやすい。このため、排気ファン112から遠い位置でも吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に空気が流入しやすい。
【0085】
プリンタ100では、エアダクト32の内部空間において排気ファン112に隣接するフィルタ51を備えるので、排気ファン112にインクミストaが付着することがフィルタ51によって抑制される。
【0086】
プリンタ100では、フィルタ51は、エアダクト32に着脱可能であるので、フィルタ51がインクミストaによって汚れても、ユーザは、フィルタ51を交換することによってフィルタ51の捕捉機能を維持できる。
【0087】
プリンタ100では、後スナップ部66は、その弾性力によって後側壁41の内面の凹部に係止する。前スナップ部は、その弾性力によって前側壁42の内面の凹部に係止する。このため、ユーザは、後スナップ部66および前スナップ部を弾性変形させることによって上記係止を解除できるので、フィルタ51がボルトによって固定される場合に比べて、容易にフィルタ51を着脱できる。
【0088】
プリンタ100では、装着口111を通してエアダクト32に装着されたフィルタ51の塞壁53Eによって装着口111が塞がれるので、エアダクト32の内部空間からインクが外部へ漏れることがより確実に防止される。
【0089】
プリンタ100では、インクは、熱可塑性樹脂微粒子が水に分散したインクである。後側壁41に付着したインクが乾燥すると、熱可塑性樹脂微粒子が繋がった皮膜が前側壁42の内面に形成されるので、吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に流入したインクミストaが皮膜に接触しても、複数の熱可塑性樹脂微粒子がインクミストaの水に再分散することがない。このため、前側壁42の内面に付着したインクが筐体1の外部へ排出されることが抑制される。
【0090】
プリンタ100では、熱可塑性樹脂微粒子のガラス転移温度は、50℃未満である。熱可塑性樹脂微粒子が繋がった皮膜が前側壁42の内面に形成されやすいので、複数の熱可塑性樹脂微粒子が水に再分散することがより抑制される。
【0091】
プリンタ100では、有機溶剤は、インク全体に対して占める割合が10重量%以下である。このため、揮発しにくい有機溶剤の量が少ないので、前側壁42の内面に付着したインクが乾燥しやすい。このため、複数の熱可塑性樹脂微粒子が繋がった皮膜が前側壁42の内面に形成されやすい。
【0092】
プリンタ100では、インクの表面張力は、32mN/m以下である。このため、インクミストaが前側壁42に衝突して付着したときに、インクが前側壁42の内面に対して広がりやすいので、インクが乾燥しやすい。
【0093】
[変形例]
プリンタ100では、流出口110は、筐体カバー13の左壁132に位置したが、右壁133に位置してもよい。この場合、排気ファン112によって発生する気流92は、複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間へ前向きに流入した後、右方へ曲がって流出口110へ流れる。気流92は、流出口110を通して筐体1の外部へ至る。一方、空気より重いインクミストaは、慣性によって前向きにまっすぐ流れやすいので、前側壁42の内面に衝突する。これにより、インクミストaは、前側壁42の内面に付着してエアダクト32に捕捉される。
【0094】
プリンタ100では、流出口110は、筐体カバー13の左壁132に位置したが、上壁134に位置してもよい。この場合、排気ファン112によって発生する気流92は、複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間へ前向きに流入した後、上方へ曲がって流出口110へ流れる。気流92は、流出口110を通して筐体1の外部へ至る。一方、空気より重いインクミストaは、慣性によって前向きにまっすぐ流れやすいので、前側壁42の内面に衝突する。これにより、インクミストaは、前側壁42の内面に付着してエアダクト32に捕捉される。
【0095】
流出口110が上壁134に位置する場合、複数の吸気口109は、その数が流出口110に向かうにつれて少なくなるように位置してもよい。例えば、流出口110が上壁134の左右方向9における中央に位置する場合を想定する。この場合、複数の吸気口109は、図9に示されるように、各列において最も上に位置する吸気口109の高さが、上壁134の左右方向9の中央に近づくにつれて低くなるように設定される。このようにすると、複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に流入する空気の量が左右方向9および上下方向7において均一になりやすい。このため、排気ファン112から遠い位置でも複数の吸気口109を通してエアダクト32の内部空間に空気が流入しやすい。
【0096】
プリンタ100では、各吸気口109の開口面積は、等しかったが、等しくなくてもよい。プリンタ100では、左領域Lにおける吸気口109の左開口面積LSは、右領域Rにおける吸気口109の右開口面積RSよりも小さかったが、左開口面積LSと右開口面積RSは、等しくてもよい。プリンタ100では、複数の吸気口109が後側壁41に設けられたが、一つの大きな吸気口109が後側壁41に設けられてもよい。
【0097】
プリンタ100では、フィルタ51は、排気ファン112の右側に隣接したが、排気ファン112から間隔を空けて配置されてもよい。また、フィルタ51は、省略されてもよい。
【0098】
プリンタ100では、フィルタ51は、エアダクト32に着脱可能であったが、エアダクト32に着脱可能でなくてもよい。
【0099】
プリンタ100では、フィルタ51は、スナップによって着脱可能であったが、例えば、ボルトによって着脱可能とされてもよい。
【0100】
プリンタ100では、フィルタ51は、装着口111を通してエアダクト32に装着された状態において装着口111を塞ぐ塞壁53Eを有したが、スナップ部材52の第1下壁52Aと装着部材53の第2下壁53Aによって装着口111を塞ぐことができれば、塞壁53Eは省略されてもよい。
【0101】
プリンタ100では、インクは、樹脂微粒子が水に分散したものが用いられたが、シートSに画像が形成できれば、限定されることはない。例えば、インクは、樹脂微粒子が水に溶解したものであってもよく、樹脂微粒子を含有しないものであってもよい。
【0102】
プリンタ100では、熱可塑性樹脂微粒子のガラス転移温度は、50℃未満であったが、50℃以上であってもよい。
【0103】
プリンタ100では、有機溶剤のインク全体に対して占める割合は、10重量%以下であったが、10重量%を越えてもよい。
【0104】
プリンタ100では、インクの表面張力は、32mN/m以下であったが、32mN/mを越えてもよい。
【符号の説明】
【0105】
1・・・筐体
24・・・記録ヘッド
32・・・エアダクト
33・・・搬送路
41・・・後側壁(第1側壁)
42・・・前側壁(第2側壁)
43・・・底壁
51・・・フィルタ
53E・・・塞壁(壁)
66・・・後スナップ部(スナップ部)
92・・・気流(空気の流れ)
100・・・プリンタ(画像記録装置)
109・・・吸気口
110・・・流出口
111・・・装着口
112・・・排気ファン
L・・・左領域(第1領域)
LS・・・左開口面積(第1開口面積)
R・・・右領域(第2領域)
RS・・・右開口面積(第2開口面積)
S・・・シート

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9