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<図1>
  • 特開-液体吐出装置 図1
  • 特開-液体吐出装置 図2
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  • 特開-液体吐出装置 図5
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  • 特開-液体吐出装置 図7
  • 特開-液体吐出装置 図8
  • 特開-液体吐出装置 図9
  • 特開-液体吐出装置 図10
  • 特開-液体吐出装置 図11
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  • 特開-液体吐出装置 図17
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078480
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20240604BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J2/165 211
B41J2/175 501
B41J2/175 503
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190886
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】三十日 陸斗
(72)【発明者】
【氏名】小川 幹生
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA27
2C056EB21
2C056EB51
2C056HA46
2C056JA13
2C056JB02
2C056JB04
2C056JB09
2C056JB15
2C056JC13
2C056JC21
2C056JC23
2C056KB08
2C056KB09
2C056KB37
(57)【要約】
【課題】液体タンク内の空気が、廃液タンクを通して外部へ排出されるときに、キャップへ逆流しにくい液体吐出装置を提供する。
【解決手段】液体吐出装置100は、ヘッド38に当接してノズル38Aを覆うキャップ62と、外部と大気連通する廃液タンク77と、キャップ62と廃液タンク77とを接続する第1廃液流路178と、第1廃液流路178に配置された第1吸引ポンプ74と、第1廃液流路178における第1吸引ポンプ74よりも下流に位置する合流点A1と液体タンク181とを接続する第2廃液流路401と、第2廃液流路401に配置された第2吸引ポンプ193と、を備える。第1廃液流路178における合流点A1とキャップ62との間における空気に対する第1流路抵抗R1が、上記第1廃液流路178における合流点A1と廃液タンク77との間における空気に対する第2流路抵抗R2よりも大きい。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留する液体タンクと、
上記液体タンクから供給された液体を吐出するノズルを有するヘッドと、
上記液体タンクと上記ヘッドとを接続する第1流路および第2流路と、
上記ヘッドに当接して上記ノズルを覆うキャップと、
外部と大気連通する廃液タンクと、
上記キャップと上記廃液タンクとを接続する第1廃液流路と、
上記第1廃液流路に配置された第1吸引ポンプと、
上記第1廃液流路における上記第1吸引ポンプよりも下流に位置する合流点と上記液体タンクとを接続する第2廃液流路と、
上記第2廃液流路に配置された第2吸引ポンプと、を備えており、
上記第1廃液流路における上記合流点と上記キャップとの間における空気に対する第1流路抵抗が、上記第1廃液流路における上記合流点と上記廃液タンクとの間における空気に対する第2流路抵抗よりも大きい液体吐出装置。
【請求項2】
上記第1廃液流路は、上記合流点と上記第1吸引ポンプとの間に配置されており、空気に対する流路抵抗となる抵抗部を有する請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
上記第1廃液流路に弁が設けられていない請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記第1廃液流路における上記合流点と上記第1吸引ポンプとの間における空気に対する第3流路抵抗が、上記第2流路抵抗よりも大きい請求項1から3のいずれかに記載の液体吐出装置。
【請求項5】
上記第1廃液流路は、円管によって構成されており、
上記円管における上記合流点と上記第1吸引ポンプとの間の内径は、上記円管における上記合流点と上記廃液タンクとの間の内径の6割以下である請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
上記第2流路抵抗と上記第3流路抵抗との比が、1:10以上である請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
上記第2廃液流路において上記第2吸引ポンプと上記液体タンクとの間に配置されたバッファタンクを更に備えており、
上記第2吸引ポンプは、上記合流点から上記液体タンクへの液体の逆流を防止する逆止弁を有する請求項1に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体タンクに貯留された液体をヘッドから吐出する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドからインクを吐出する液体吐出装置として、例えば、特許文献1に記載された画像記録装置が知られている。特許文献1に記載の画像記録装置は、第2ポンプを介して外部と大気連通するサブタンクを有する。第2ポンプが駆動されると、サブタンク内の空気が外部へ排出されることによってサブタンク内が負圧となり、タンクからサブタンクへインクが供給される。また、フラッシング処理及びパージ処理によってキャップへ排出されたインクは、吸引ポンプによって廃液流路を通じて廃液タンクに排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-094760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の画像記録装置では、装置の小型化のため、上記廃液流路を利用してサブタンク内の空気を外部へ排出することが考えられる。具体的には、第2ポンプが配置される流路が上記廃液流路における廃液タンクの手前に接続される。これにより、サブタンク内の空気が、第2ポンプによって上記流路および上記廃液流路から廃液タンクを通して外部へ排出される。しかしながら、パージ処理などによって廃液タンク内に多量のインクが溜まっている場合、廃液タンク内では空気に対する流路抵抗が大きくなるので、サブタンク内の空気が上記廃液流路を通してキャップへ逆流する虞が生じる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、液体タンク内の空気が、廃液タンクを通して外部へ排出されるときに、キャップへ逆流しにくい液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る液体吐出装置は、液体を貯留する液体タンクと、上記液体タンクから供給された液体を吐出するノズルを有するヘッドと、上記液体タンクと上記ヘッドとを接続する第1流路および第2流路と、上記ヘッドに当接して上記ノズルを覆うキャップと、外部と大気連通する廃液タンクと、上記キャップと上記廃液タンクとを接続する第1廃液流路と、上記第1廃液流路に配置された第1吸引ポンプと、上記第1廃液流路における上記第1吸引ポンプよりも下流に位置する合流点と上記液体タンクとを接続する第2廃液流路と、上記第2廃液流路に配置された第2吸引ポンプと、を備える。上記第1廃液流路における上記合流点と上記キャップとの間における空気に対する第1流路抵抗が、上記第1廃液流路における上記合流点と上記廃液タンクとの間における空気に対する第2流路抵抗よりも大きい。
【0007】
ヘッドからキャップ内へ吐出された液体が、第1吸引ポンプによって第1廃液流路を通して廃液タンクに排出される。液体タンク内の空気が、第2吸引ポンプによって第2廃液流路および第1廃液流路を経て廃液タンクを通して外部へ排出される。このとき、第1流路抵抗が第2流路抵抗よりも大きいので、廃液タンクに多くの液体が溜まっていることによって廃液タンク内の空気に対する流路抵抗が高くなっていても、液体タンク内の空気が第1廃液流路を通してキャップへ逆流しにくい。
【0008】
(2)上記第1廃液流路は、上記合流点と上記第1吸引ポンプとの間に配置されており、空気に対する流路抵抗となる抵抗部を有してもよい。
【0009】
第1流路抵抗を第2流路抵抗よりも大きくすることが容易になる。液体タンク内の空気が第1廃液流路において合流点からキャップへ逆流しにくくなる。
【0010】
(3)上記第1廃液流路に弁が設けられていなくてもよい。
【0011】
第1廃液流路に弁が設けられないことによって液体吐出装置が小型化される。
【0012】
(4)上記第1廃液流路における上記合流点と上記第1吸引ポンプとの間における空気に対する第3流路抵抗が、上記第2流路抵抗よりも大きくてもよい。
【0013】
液体タンク内の空気が第1廃液流路において合流点からキャップへより逆流しにくくなる。
【0014】
(5)上記第1廃液流路は、円管によって構成されてもよい。上記円管における上記合流点と上記第1吸引ポンプとの間の内径は、上記円管における上記合流点と上記廃液タンクとの間の内径の6割以下であってもよい。
【0015】
液体タンク内の空気が第1廃液流路において合流点からキャップへより逆流しにくくなる。
【0016】
(6)上記第2流路抵抗と上記第3流路抵抗との比が、1:10以上であってもよい。
【0017】
液体タンク内の空気が第1廃液流路において合流点からキャップへより逆流しにくくなる。
【0018】
(7)上記第2廃液流路において上記第2吸引ポンプと上記液体タンクとの間に配置されたバッファタンクを更に備えてもよい。上記第2吸引ポンプは、上記合流点から上記液体タンクへの液体の逆流を防止する逆止弁を有してもよい。
【0019】
キャップから第1廃液流路を通して廃液タンクに排出される液体が、バッファタンクへ逆流することが防止される。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、液体タンク内の空気が、廃液タンクを通して外部へ排出されるときに、キャップへ逆流しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像記録装置100の外観斜視図である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60が待機位置である状態を示す。
図3図3は、図2において上筐体31が開位置となった状態を示す断面図である。
図4図4は、ヘッド38の底面図である。
図5図5は、メンテナンス機構60の斜視図である。
図6図6は、メンテナンス機構60の底面図である。
図7図7は、支持台61の液体流路153を液体流路153の流れ方向に平行な平面で切断した断面図である。
図8図8は、メンテナンス位置におけるキャップ62A,62B,62Cの断面図である。
図9図9は、インク回路113を示す模式図である。
図10図10は、インク回路113における合流点A1を含む周辺を示す模式図である。
図11図11は、第1廃液チューブ178の内径を示す断面図である。
図12図12は、画像記録装置100のブロック図である。
図13図13は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が被キャッピング位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60がメンテナンス位置である状態を示す。
図14図14は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が被ワイピング位置であり、第1支持機構51が第1姿勢であり、メンテナンス機構60がワイピング位置である状態を示す。
図15図15は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2姿勢であり、メンテナンス機構60が第1支持機構51に支持された位置である状態を示す。
図16図16は、図1のII-II断面を示す断面図であって、ヘッド38が記録位置であり、第1支持機構51が第2姿勢であり、メンテナンス機構60が待機位置である状態を示す。
図17図17は、変形例の第1廃液チューブ178を示す断面図である
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一実施態様にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施態様を変更できることは言うまでもない。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0023】
[画像記録装置100の外観構成]
図1に示される画像記録装置100(液体吐出装置の一例)は、インクジェット記録方式でロール体37(図2参照)をなすシートSに画像を記録する。
【0024】
図1に示されるように、画像記録装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31及び下筐体32を備える。上筐体31及び下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。すなわち、画像記録装置100は、卓上に載置されて使用されるのに適している。もちろん、画像記録装置100は、床面やラックに載置されて使用されてもよい。
【0025】
図2に示されるように、筐体30は、上筐体31の内部に内部空間31Aが、下筐体32の内部に内部空間32Aが外部から区画される。
【0026】
図2図3に示されるように、上筐体31は、下筐体32によって回動可能に支持されている。上筐体31は、後下端部に設けられ且つ左右方向9に延びる回動軸15周りに、図2に示される閉位置と、図3に示される開位置とに回動可能である。
【0027】
図1に示されるように、下筐体32の前面32Fには、左右方向9に長いスリット状の排出口33が形成されている。排出口33からは、画像記録済みのシートS(図2参照)が排出される。
【0028】
上筐体31の前面31Fには、操作パネル44が設けられている。ユーザは、操作パネル44に、画像記録装置100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。操作パネル44は、表示部44Aを有している。表示部44Aは、インクタンク34を装着ケース110に装着する旨、保存液タンク11を装着ケース110に装着する旨、廃液タンク77を交換する旨を表示する。
【0029】
[画像記録装置100の内部構成]
図2に示されるように、内部空間31A,32Aには、ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、搬送ローラ対40、ヘッド38、第1支持機構51、ヒータ39、支持部46、第2支持機構52、CIS25、カッターユニット26、インクタンク34、洗浄液タンク76、廃液タンク77、メンテナンス機構60、及びワイパクリーニング機構80が配置されている。図2には示されていないが、内部空間32Aには、コントローラ130(図12参照)が配置されている。コントローラ130は、画像記録装置100の動作を制御するものである。
【0030】
内部空間32Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間32Aの後下部を仕切って、シート収容空間32Cを区画する。シート収容空間32Cは、隔壁41、下筐体32により包囲される。
【0031】
シート収容空間32Cには、ロール体37が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。
【0032】
図2に示されるように、シート収容空間32Cには、左右方向9に沿って延びるホルダ35が位置する。装着時、ロール体37の芯管の軸芯が左右方向9に沿い、且つロール体37が軸芯の周方向に周りに回転可能に、ホルダ35はロール体37を支持する。ホルダ35は、搬送モータ53(図12参照)から駆動力が伝達されて回転する。ホルダ35の回転に伴って、ホルダ35に支持されているロール体37も回転する。
【0033】
図2に示されるように、シート収容空間32Cは、後部において上方へ向かって開口している。隔壁41と後面32Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、搬送ローラ対36,40が回転することで、ロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0034】
テンショナ45は、内部空間32Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、下筐体32の外側を向いている外周面45Aを有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップDと概ね同じ上下位置にある。
【0035】
外周面45Aには、ロール体37から引き出されたシートSが掛けられ当接する。シートSは、外周面45Aに沿って前方に湾曲して、搬送向き8Aに延びて搬送ローラ対36に案内される。搬送向き8Aは、前後方向8に沿う前向きである。
【0036】
テンショナ45の前方には、搬送ローラ対36が位置する。搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36A、及びピンチローラ36Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接し合ってニップDを形成する。
【0037】
搬送ローラ対36の前方には、搬送ローラ対40が位置する。搬送ローラ対40は、搬送ローラ40Aとピンチローラ40Bとを有する。搬送ローラ40A、及びピンチローラ40Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接し合ってニップを形成する。
【0038】
搬送ローラ36A,40Aは、搬送モータ53(図12参照)から駆動力が伝達されて回転する。搬送ローラ対36は、テンショナ45から搬送向き8Aに延びるシートSをニップしつつ回転することにより、後述する搬送路43の搬送面43Aに沿う搬送向き8Aに送り出す。搬送ローラ対40は、搬送ローラ対36から送り出されたシートSをニップしつつ回転することにより搬送向き8Aに送り出す。また、搬送ローラ対36,40の回転により、シートSは、シート収容空間32Cから隙間42を通ってテンショナ45に向けて引き出される。
【0039】
図2に示されるように、内部空間32Aには、外周面45Aの上端から排出口33に至る搬送路43が形成されている。搬送路43は、搬送向き8Aに沿ってほぼ直線的に延びており、シートSが通過可能な空間である。詳細には、搬送路43は、搬送向き8A及び左右方向9に拡がり且つ搬送向き8Aに長い搬送面43Aに沿っている。なお、図2では、搬送面43Aは、搬送路43を示す二点鎖線で示されている。搬送路43は、上下方向7に離れて位置するガイド部材(不図示)や、ヘッド38、搬送ベルト101、支持部46、ヒータ39などによって区画されている。すなわち、ヘッド38、搬送ベルト101、支持部46、及びヒータ39は、搬送路43に沿って位置する。
【0040】
ヘッド38は、搬送路43の上方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流側に位置する。ヘッド38は、ノズル面50(図4参照)において開口する複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aから、インク(液体の一例)が搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出される。これにより、シートSに画像が記録される。ヘッド38の構成は、後に説明される。
【0041】
第1支持機構51は、搬送路43の下方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流に位置する。第1支持機構51は、ヘッド38の下方に、ヘッド38と対向している。第1支持機構51は、搬送ベルト101と支持部材104を有する。搬送ベルト101は、搬送ローラ対36によって搬送向き8Aに搬送されてヘッド38の直下に位置するシートSを支持する。搬送ベルト101は、支持しているシートSを搬送向き8Aに搬送する。支持部材104は、メンテナンス機構60を支持可能である。
【0042】
第1支持機構51は、搬送ベルト101、駆動ローラ102、従動ローラ103、支持部材104、ギヤ105、及びギヤ106を備えている。なお、各図において、ギヤ105,106の歯の図示は省略されている。
【0043】
駆動ローラ102及び従動ローラ103は、支持部材104によって回転可能に支持されている。駆動ローラ102及び従動ローラ103は、前後方向8(搬送向き8A)に互いに離間している。搬送ベルト101は、無端ベルトである。搬送ベルト101は、駆動ローラ102、及び従動ローラ103に張架される。搬送ベルト101は、左右方向9において、搬送路43内に配置されている。
【0044】
駆動ローラ102は、搬送モータ53(図12参照)によって与えられる駆動力により回転し、搬送ベルト101を回動させる。搬送ベルト101の回動に伴い、従動ローラ103が回転する。搬送ベルト101は、搬送面108を有している。搬送面108は、搬送ベルト101の外周面における上側の部分であり、搬送向き8Aに沿って延びている。搬送面108は、搬送路43を挟んでヘッド38のノズル38Aと対向している。搬送面108は、搬送ローラ対36,40の間で搬送されるシートSを下方から支持しつつ、シートSに搬送力を与える。これによって、搬送ベルト101は、搬送路43に位置するシートSを搬送面108に沿う搬送向き8Aに搬送する。
【0045】
支持部材104は、軸109Aを備えている。軸109Aは、下筐体32によって回転可能に支持されている。軸109Aは、左右方向9(搬送向き8Aと直交し且つ吐出モジュール49のノズル面50と平行な方向)に延びている。軸109Aは、駆動ローラ102より搬送向き8Aの上流に設けられている。軸109Aは、搬送ローラ対36より下方に位置している。
【0046】
軸109Aは、軸モータ59(図12参照)から駆動力が伝達されて回転する。軸109Aが回転することによって、支持部材104は軸109A周りに回動する。第1支持機構51の回動先端51Aは、軸109Aよりも搬送向き8Aの下流に位置している。
【0047】
支持部材104は、吐出モジュール49のノズル面50に平行な第1姿勢(図2参照)と、第1姿勢から軸109Aを中心に傾き、回動先端51Aが軸109よりも下方に位置する第2姿勢(図15参照)とに姿勢変化可能である。
【0048】
図2に示されるように、第1支持機構51が第1姿勢のとき、搬送ベルト101の搬送面108は前後方向8に沿って延びている。これにより、搬送ベルト101は、搬送路43に位置するシートSを前方に搬送して支持部46に送ることが可能である。
【0049】
図15に示されるように、第1支持機構51が第2姿勢のとき、搬送ベルト101の搬送面108は、前方へ向かうにしたがって下方へ向かう傾斜方向6に沿って延びている。なお、傾斜方向6は、左右方向9に直交し且つ搬送向き8Aと交差する向きである。
【0050】
図2に示されるように、ギヤ105,106は、第1支持機構51の支持部材104によって回転可能に支持されている。ギヤ106は、直接的にまたは他のギヤなどを介して第1モータ55(図12参照)と繋がっており、第1モータ55から駆動力を付与される。
【0051】
ヒータ39は、搬送路43の下方においてヘッド38よりも搬送向き8Aの下流であって搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの上流に位置する。ヒータ39は、第1支持機構51より前方でフレームに支持され、左右方向9に延びる。ヒータ39は、伝熱プレート(不図示)と、フィルムヒータ(不図示)と、を有している。伝熱プレートは、金属製であり、搬送ベルト101の搬送面108と概ね同じ上下位置に、前後左右に拡がる支持面を有する。第1支持機構51から送り出されたシートSは、伝熱プレートの支持面上で前方へと搬送される。フィルムヒータは、伝熱プレートの下面に固定されており、コントローラ130の制御下で発熱する。この熱は、伝熱プレートを介して、伝熱プレート上のシートSに伝わる。また、ヒータ39からの熱は、ヒータ39の上方に配置されたダクト145によって回収される。
【0052】
ダクト145は、搬送路43の上方であって、ヘッド38の搬送向き8Aの下流かつ搬送ローラ対40の上流に配置されている。
【0053】
支持部46は、搬送路43の下方に位置している。支持部46は、ヘッド38及び第1支持機構51よりも搬送向き8Aの下流に位置する。支持部46の後部には、ヒータ39が位置している。支持部46の前部は、搬送ローラ40Aと対向している。支持部46は、カッターユニット26よりも搬送向き8Aの上流に位置する。
【0054】
支持部46は、下筐体32によって左右方向9に延びる軸(不図示)周りに回動可能に支持されている。図3に示されるように、上筐体31が開位置のとき、支持部46は、図3に実線で示される倒伏位置と、図3に破線で示される起立位置とに回動可能である。
【0055】
支持部46が倒伏位置のとき、支持部46の回動先端46Bは、回動基端46Aよりも前方(搬送向き8Aの下流)に位置している。支持部46が倒伏位置のとき、支持部46は、搬送路43の一部を構成しており、搬送ベルト101によって搬送向き8Aに搬送されてきたシートSを支持可能である。支持部46が起立位置のとき、支持部46の回動先端46Bは支持部46が倒伏位置のときよりも上方に位置しており、メンテナンス機構60が外部に露出可能である。支持部46の軸は、支持部46の後端部に設けられており、左右方向9に延びている。
【0056】
第2支持機構52は、傾斜方向6及び左右方向9に直交する直交方向10に移動可能に下筐体32に支持されている。第2支持機構52は、メンテナンス機構60を支持可能である。第2支持機構52は、全体として傾斜方向6に延びた状態で配置されており、不図示のボールネジによってワイパクリーニング機構80と接離する方向へ移動可能である。第2支持機構52は、メンテナンス機構60を支持して、メンテナンス機構60の移動をスライド自在に支持する。
【0057】
ギヤ118,119,120は、第2支持機構52の本体115によって回転可能に支持されている。ギヤ120は、ギヤ118,119に噛合している。ギヤ120が回転すると、ギヤ118,119は同方向に回転する。ギヤ120は、直接的にまたは他のギヤなどを介して第2モータ56(図12参照)と繋がっており、第2モータ56から駆動力を付与される。ギヤ118,119は、対向する位置にあるメンテナンス機構60のラック154と噛合可能である。
【0058】
CIS25は、搬送路43の上方において搬送ローラ対40よりも搬送向き8Aの下流
に位置する。CIS25は、シートの印刷面の画像を読み取ることができる。
【0059】
カッターユニット26は、搬送路43の上方においてCIS25よりも搬送向き8Aの下流に位置する。カッターユニット26は、カッターキャリッジ27にカッター28が搭載されたものである。カッター28の移動によって、搬送路43に位置するシートSが左右方向9に沿って切断される。
【0060】
装着ケース110は、下筐体32の前端および下端付近に位置しており、前方を向いて開口する箱形状である。装着ケース110には、後向きへインクタンク34が挿入される。装着ケース110の後向きの終面111には、前方へ向かって延びるインクニードル112が位置する。インクニードル112の前端は開口しており、後端はインク回路113に連結されている。インク回路113は、インクニードル112の内部空間とヘッド38とをインクが流通可能に連結している。装着ケース110にインクタンク34が装着されると、インクニードル112がインクタンク34の流出口に挿入される。これにより、インクタンク34に貯留されたインクが、インクニードル112およびインク回路113を通じてヘッド38に供給される。インク回路113の構成は、後に説明される。終面111には、接点114が位置する。接点114は、装着ケース110にインクタンク34が装着された状態において、インクタンク34が有するIC基板70と電気的に接続される。コントローラ130は、接点114を通じてIC基板70の記憶領域にアクセス可能である。
【0061】
インクタンク34は、インクを貯留している。インクは、顔料などを含む液体である。インクタンク34の内部空間はインクを貯留する貯留室である。貯留室は、外部と大気連通されたものであってもよいし、パウチなどインクの流出に伴って収縮可能な袋状のものであってもよい。装着ケース110に装着されたインクタンク34からインク回路113を通じてインクがヘッド38に供給される。インクタンク34の後面には、IC基板70が位置する。IC基板70は、記憶領域にインクタンク34であることを示す識別情報を記憶している。
【0062】
図9に示される保存液タンク11は、貯留する液体が保存液である点の他は、インクタンク34と同様の構成である。保存液タンク11も装着ケース110に装着可能である。装着ケース110に装着された保存液タンク11からインク回路113を通じて保存液がヘッド38に供給される。保存液タンク11の後面にはIC基板12が位置する。IC基板12は、記憶領域に保存液タンク11であることを示す識別情報を記憶している。
【0063】
図2に示されるように、洗浄液タンク76は、洗浄液を貯留している。洗浄液は、ヘッド38のノズル38Aを洗浄するためのものである。洗浄液タンク76は、後述する第2支持機構52よりも下方に位置する。洗浄液タンク76の内部空間は洗浄液を貯留する貯留室である。洗浄液タンク76は、洗浄液メインタンク76Aおよび洗浄液サブタンク76Bを有する。
【0064】
図9に示されるように、洗浄液メインタンク76Aは、廃液タンク77内に収容されている。洗浄液メインタンク76Aは、パウチなど洗浄液の流出に伴って収縮可能な袋状のものである。洗浄液メインタンク76Aには、洗浄液サブタンク76Bに接続された洗浄液補給流路304が接続されている。洗浄液補給流路304には、洗浄液補給流路304を開閉可能な洗浄液補給バルブ305が配置されている。洗浄液補給バルブ305の開閉は、コントローラ130によって制御される。
【0065】
洗浄液サブタンク76Bは、廃液タンク77の外に配置されている。洗浄液サブタンク76Bは、洗浄液補給流路304を通して洗浄液メインタンク76Aに繋がっている。洗浄液サブタンク76Bには、第1液面センサ303が設けられている。第1液面センサ303は、洗浄液サブタンク76Bの内部空間の所定の高さにおいて洗浄液の有無を検知する。第1液面センサ303は、検知信号をコントローラ130に出力する。第1液面センサ303は、洗浄液を検知したときに検知信号としてON信号を出力し、洗浄液を検知しないときに検知信号としてOFF信号を出力する。コントローラ130は、第1液面センサ303が出力する検知信号に基づいて、洗浄液サブタンク76Bの内部空間において所定の高さに液面が到達したかを判定する。
【0066】
洗浄液サブタンク76Bには、接続流路301の一端301Aが接続されている。接続流路301の一端301Aは、洗浄液サブタンク76Bの上壁76BBに開口している。接続流路301の他端は、後述のバッファタンク402に接続されている。接続流路301には、接続流路301を開閉可能なタンク連結バルブ302が配置されている。タンク連結バルブ302の開閉は、コントローラ130によって制御される。
【0067】
廃液タンク77は、洗浄液が排出される容器であり、外部と大気連通されている。廃液タンク77には、第3液面センサ308が設けられている。第3液面センサ308は光センサである。第3液面センサ308は、廃液タンク77の内部空間の所定の高さにおいて廃液の有無を検知する。第3液面センサ308は、検知信号をコントローラ130に出力する。第3液面センサ308は、洗浄液を検知したときに検知信号としてON信号を出力し、洗浄液を検知しないときに検知信号としてOFF信号を出力する。コントローラ130は、第3液面センサ308が出力する検知信号に基づいて、廃液タンク77の内部空間において所定の高さに液面が到達したかを判定する。なお、第3液面センサ308は、所定の高さにおいて廃液の有無を検知できれば、特に限定されない。例えば、第3液面センサは、透過型の光センサでもよく、反射型の光センサでもよい。また、洗浄液タンク76および廃液タンク77も、インクタンク34と同様に、画像記録装置100に対して着脱可能であってもよい。
【0068】
メンテナンス機構60は、ヘッド38のメンテナンスを行うためのものである。メンテナンス機構60は、移動可能に構成されており、ヘッド38のメンテナンスが行われるときにヘッド38の直下に移動される(図13参照)。
【0069】
ヘッド38のメンテナンスは、パージ処理、キャップ洗浄処理、ワイピング処理、空吸引処理、及び洗浄液補給処理などである。パージ処理は、図13に示されるように、メンテナンス機構60の後述するキャップ62によってノズル面50を被覆した上で吸引ポンプ74によってノズル38Aからインクを吸引する処理である。キャップ洗浄処理は、キャップ62によってノズル面50を被覆した状態でキャップ62の内部空間67A,67B,67Cに送り込んだ洗浄液によってヘッド38のノズル面50を洗浄する処理である。ワイピング処理は、図14に示されるように、メンテナンス機構60の後述するスポンジワイパ64によってヘッド38のノズル面50を払拭する処理である。空吸引処理は、戻りチューブ176内の洗浄液を洗浄液サブタンク76Bに戻す処理である。洗浄液補給処理は、洗浄液メインタンク76Aから洗浄液サブタンク76Bに洗浄液を補給する処理である。メンテナンス機構60の構成は、後に説明される。
【0070】
ワイパクリーニング機構80は、メンテナンス機構60のキャップ62およびゴムワイパ63を清掃するためのものである。メンテナンス機構60は、キャップ62およびゴムワイパ63の清掃が行われるときにワイパクリーニング機構80の直下に移動される。ワイパクリーニング機構80においてメンテナンス機構60と対向する面はスポンジによって形成されており、メンテナンス液を保持している。ワイパクリーニング機構80は、待避位置に位置するリップ66及びゴムワイパ63に当接し得る。これにより、ワイパクリーニング機構80は、キャップ62のリップ66及びゴムワイパ63に付着したインクを拭う。
【0071】
[ヘッド38]
図2及び図4に示されるように、ヘッド38は、概ね左右方向9に長い直方体形状である。ヘッド38は、フレーム48と、3つの吐出モジュール49A,49B,49Cとを備えている。以下、3つの吐出モジュール49A,49B,49Cを総称して、吐出モジュール49とも称する。なお、吐出モジュール49の数は、3つに限らず、例えば1つでもよい。
【0072】
図2及び図4に示されるように、吐出モジュール49は、フレーム48によって支持されている。吐出モジュール49の下面は、下方に露出される。吐出モジュール49は、左右方向9において搬送路43内に配置されている。
【0073】
図4(A)に示されるように、吐出モジュール49A,49Bは、搬送向き8Aにおいて同位置に配置されている。吐出モジュール49A,49Bは、左右方向9に間隔を空けて配置されている。吐出モジュール49Cは、吐出モジュール49A,49Bよりも搬送向き8Aの下流側に配置されている。吐出モジュール49Cは、左右方向9において隣り合う2個の吐出モジュール49A,49Bの間に配置されている。吐出モジュール49Cの左端は、吐出モジュール49Aの右端より左方に位置している。吐出モジュール49Cの右端は、吐出モジュール49Bの左端より右方に位置している。つまり、左右方向9において、吐出モジュール49Cの端部と、吐出モジュール49A,49Bの端部とは重複している。
【0074】
各吐出モジュール49A,49B,49Cは、複数のノズル38Aを備えている。各ノズル38Aは、各吐出モジュール49A,49B,49Cのノズル面50に開口されている。ノズル面50は、前後方向8、及び左右方向9に拡がる面である。上述したように、複数のノズル38Aから、インクが第1支持機構51の搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出されて、シートSに画像が記録される。
【0075】
図4(B)に示されるように、吐出モジュール49は、インク回路113と接続される流入ポート22と流出ポート23とを有する。流入ポート22および流出ポート23は、マニホールド24とそれぞれ接続されている。マニホールド24は複数のノズル38Aと接続されている。流入ポート22を通じてマニホールド24へ流入したインクは、各ノズル38Aに対応して位置する不図示のピエゾ素子が駆動することにより、ノズル38Aを通じて外部へ吐出される。マニホールド24内のインクは、流入ポート22および流出ポート23を通じて循環可能である。
【0076】
ヘッド38は、上下方向7に沿って、図15図16に示される記録位置、図13に示される被キャッピング位置、図14に実線で示される被ワイピング位置、及び図14に破線で示されるアンキャップ位置に移動する。記録位置は、搬送ベルト101に支持されたシートSに画像を記録するときのヘッド38の位置である。被キャッピング位置は、吐出モジュール49がメンテナンス機構60のキャップ62によって覆われるときのヘッド38の位置である。被キャッピング位置は、記録位置より上方の位置(記録位置よりも第1支持機構51から離れた位置)である。被ワイピング位置は、メンテナンス機構60のスポンジワイパ64が吐出モジュール49のノズル面50を払拭するときのヘッド38の位置である。被ワイピング位置は、被キャッピング位置より上方の位置である。アンキャップ位置は、ヘッド38をメンテナンス機構60から完全に離間させるときのヘッド38の位置である。アンキャップ位置は、被ワイピング位置より上方の位置である。
【0077】
図2に示されるように、ヘッド38は、ボールネジ29によって移動される。ボールネジ29は、ネジ軸29Aとナット部材29Bとを備える。ネジ軸29Aは、下筐体32によって、上下方向7に沿った軸周りに回転可能に支持されている。ネジ軸29Aは、ヘッドモータ54(図12参照)から駆動力を伝達されることによって回転する。ナット部材29Bは、ネジ軸29Aの正転によって上方へ移動し、ネジ軸29Aの逆転によって下方へ移動する。なお、ヘッド38が上下動するための構成は、ボールネジ29を用いた構成に限らず、公知の種々の構成が採用可能である。
【0078】
[メンテナンス機構60]
図5に示されるように、メンテナンス機構60は、支持台61、スポンジワイパ64、ゴムワイパ63、及びキャップ62を備えている。なお、以下のメンテナンス機構60の説明では、メンテナンス機構60が第2姿勢の第1支持機構51及び第2支持機構52によって支持されているとする。
【0079】
支持台61は、底台61Aと、底台61Aに載置される本体61Bと、スポンジワイパ64及びゴムワイパ63を本体61Bに保持するワイパホルダ61Cと、を有する。底台61Aは、上方が開口された箱型形状を有する。底台61Aは、第1底板121と、第1底板121の周縁から上方へ立設された第1縁板122と、延出片125と、ラック154(図2参照)と、を備えている。
【0080】
第1底板121は、傾斜方向6及び左右方向9へ拡がる平板状である。第1底板121の上面および下面は、傾斜方向6よりも左右方向9に長い矩形状に形成されている。第1底板121の下面は、第1支持機構51の上面に上方から当接可能である。これにより、メンテナンス機構60は、第1支持機構51によって支持可能である。第1底板121の下面は、第2支持機構52の上面に上方から当接可能である。これにより、メンテナンス機構60は、第2支持機構52によって支持可能である。
【0081】
第1縁板122は、平面視において矩形枠状である。延出片125は、第1縁板122の右壁の下端部から右方へ延びている。延出片125は、第1縁板122の右壁の傾斜方向6の一端から他端まで延びている。
【0082】
図6に示されるように、ラック154は、延出片125の下面に形成されている。ラック154は、延出片125の傾斜方向6の一端部から他端部の近傍まで延びている。ラック154は、第1支持機構51の上面と上下に対向可能である。
【0083】
ラック154は、第1支持機構51のギヤ105と噛合可能である。ラック154とギヤ105とが噛合した状態でギヤ105が回転することによって、メンテナンス機構60は、第1支持機構51の上面に沿ってスライドする。
【0084】
ラック154は、第2支持機構52のギヤ118、119と噛合可能である。ラック154とギヤ118及びギヤ119の少なくとも一方が噛合した状態でギヤ120が回転することによって、メンテナンス機構60は、第2支持機構52の上面に沿ってスライドする。
【0085】
これにより、メンテナンス機構60は、後述するように、図2に示される待機位置、図14に破線で示される待避位置、図13に示されるメンテナンス位置、及び図14に示されるワイピング位置に移動可能である。メンテナンス位置及びワイピング位置のメンテナンス機構60は、ヘッド38の吐出モジュール49のノズル面50と上下方向7に対向している。待機位置及び待避位置のメンテナンス機構60は、ノズル面50から離間した状態である。
【0086】
図5に示されるように、本体61Bは、上方が開放された略箱形形状である。本体61Bは、底台61Aに固定されている。本体61Bは、第2底板151と、第2底板151から上方へ立設された第2縁板152と、洗浄液タンク76に貯留される洗浄液を環流する液体流路153(図7参照)と、を備えている。
【0087】
図5及び図7に示されるように、第2底板151は、傾斜方向6及び左右方向9に拡がる平板状である。第2底板151の上面および下面は、傾斜方向6よりも左右方向に長い矩形状に形成されている。第2縁板152は、平面視において矩形枠状である。
【0088】
図7に示されるように、液体流路153は、第2底板151の上面に形成されている。液体流路153は、第2底板151の上面から下向きに凹んだ凹溝であり、上方に開口している。液体流路153は、平面視において、左右方向9に延びてUターンするように折り返すU字形状に連続した形状を有する。液体流路153は、凹溝上において配置されるスポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cを直列に接続するように延びている。液体流路153は、第1流路153A、中間流路153B、及び第2流路153Cを有する。
【0089】
第1流路153Aは、液体流路153における洗浄液の流通向きの上流側に位置する。第1流路153Aは、本体61Bにおける前側において左右方向9に延びる部分である。
【0090】
中間流路153Bは、第1流路153Aの洗浄液の流通向きの下流に位置する。中間流路153Bは、第1流路153Aの下流端から本体61bの傾斜方向6の中間部まで前傾斜向き5に延びている。
【0091】
第2流路153Cは、液体流路153における洗浄液の流通向きの下流側に位置する。第2流路153Cは、中間流路153Bの下流端から右方に延びる。
【0092】
図7図9に示されるように、第1流路153Aの上流端における凹溝の内壁面には、洗浄液が第1流路153Aに流入する流入口171が開口している。流入口171には、第1供給チューブ175の一端が接続されている。第1供給チューブ175の他端は、第1支持機構51の外側に至り、洗浄液サブタンク76Bに接続され、洗浄液サブタンク76B内に貯留される洗浄液の水面よりも低い位置において開口する。第1供給チューブ175には、供給ポンプ306が設けられている。供給ポンプ306は、洗浄液サブタンク76Bから第1供給チューブ175を通して第1流路153Aに洗浄液を供給する。供給ポンプ306の駆動は、コントローラ130によって制御される。第1供給チューブ175における供給ポンプ306と洗浄液サブタンク76Bとの間には、第1供給チューブ175の流路を開閉可能なワイパ洗浄バルブ311が配置されている。ワイパ洗浄バルブ311の開閉は、コントローラ130によって制御される。
【0093】
第2流路153Cの下流端における内壁面には、洗浄液が流出する流出口174が開口している。流出口174には、戻りチューブ176の一端が接続されている。戻りチューブ176の他端は、第1支持機構51の外側に至り、洗浄液サブタンク76Bに接続され、洗浄液サブタンク76B内に貯留される洗浄液の水面よりも高い位置において開口する。戻りチューブ176には戻りポンプ75が設けられている。戻りポンプ75は、第2流路153Cから戻りチューブ176を通して洗浄液サブタンク76Bに洗浄液を戻す。戻りポンプ75の駆動は、コントローラ130によって制御される。第1供給チューブ175、戻りチューブ176、及び液体流路153は、ワイパ流路の一例である。
【0094】
図5に示されるように、ワイパホルダ61Cは、スポンジワイパ64と、ゴムワイパ63と、を有している。スポンジワイパ64およびゴムワイパ63は、ワイパホルダ61Cによって本体61Bに支持されている。
【0095】
[スポンジワイパ64]
スポンジワイパ64は、スポンジによって形成されている。本実施形態では、スポンジワイパ64は、3つ(64A、64B、64C)が設けられている。以下、3つのスポンジワイパ64A,64B,64Cを総称して、スポンジワイパ64とも称する。スポンジワイパ64は、左右方向9の長さが傾斜方向6及び上下方向7の長さよりも長い直方体状に形成されている。スポンジワイパ64の上下方向7の長さは、傾斜方向6の長さよりも長い。
【0096】
スポンジワイパ64Aおよびスポンジワイパ64Bは、液体流路153の第1流路153Aに配置されている。スポンジワイパ64Aは、スポンジワイパ64Bよりも上流側に配置されている。スポンジワイパ64Cは、液体流路153の第2流路153Cに配置されている。
【0097】
スポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cはそれぞれ、吐出モジュール49A、吐出モジュール49B、および吐出モジュール49Cに上下方向7に対応している。スポンジワイパ64Aおよびスポンジワイパ64Bは、互いに左右方向9に間隔を空けて位置する。スポンジワイパ64Cは、スポンジワイパ64Aおよびスポンジワイパ64Bよりも前傾斜向き5に間隔を空けて位置している。スポンジワイパ64Cは、左右方向9においてスポンジワイパ64Aとスポンジワイパ64Bとの間の中間に位置している。
【0098】
スポンジワイパ64Aは、吐出モジュール49Aに対応しており、吐出モジュール49Aと上下方向7に対向可能である。図5および図7に示されるように、スポンジワイパ64Aは、第1流路153Aの左右方向9の中央よりも右側に配置されている。
【0099】
[ゴムワイパ63]
ゴムワイパ63は、ゴムによって形成されている。本実施形態では、ゴムワイパ63は、3つ(63A、63B、63C)が設けられている。以下、3つのゴムワイパ63A、63B、63Cを総称して、ゴムワイパ63とも称する。
【0100】
ゴムワイパ63は、上下方向7及び左右方向9に拡がる平板状に形成されている。ゴムワイパ63の傾斜方向6の長さは、スポンジワイパ64の傾斜方向6の長さよりも短い。これにより、ゴムワイパ63は、ワイピング処理時において吐出モジュール49のノズル面50に当接したときに、屈曲しやすくなっている。ゴムワイパ63の左右方向9の長さは、スポンジワイパ64の左右方向9の長さよりも僅かに長い。ゴムワイパ63の支持台61からの長さは、スポンジワイパ64の支持台61からの長さよりも長い。ゴムワイパ63は、スポンジワイパ64の左右方向9の両端よりも左右方向9の外側に位置している。ゴムワイパ63の上端部は、先細りに形成されている。これにより、ゴムワイパ63の上端部が、ワイピング処理時において吐出モジュール49のノズル面50に接触しやすい。
【0101】
ゴムワイパ63Aおよびゴムワイパ63Bは、液体流路153の外側に配置されている。ゴムワイパ63A、ゴムワイパ63B、およびゴムワイパ63Cはそれぞれ、吐出モジュール49A、吐出モジュール49B、および吐出モジュール49Cに上下方向7に対応している。ゴムワイパ63Aは、ゴムワイパ63B、およびゴムワイパ63Cはそれぞれ、スポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cから後傾斜向き4に間隔を空けて支持台61に配置されている。
【0102】
[キャップ62]
図5に示されるように、キャップ62は、支持台61に支持されている。キャップ62は、複数設けられている。本実施形態では、キャップ62は、3つのキャップ62A,62B,62Cで構成されている。以下、3つのキャップ62A,62B,62Cを総称して、キャップ62とも称する。
【0103】
キャップ62は、ゴムやシリコンなどの弾性体で構成されている。キャップ62は、上方が開放された箱形形状である。
【0104】
キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、吐出モジュール49A、吐出モジュール49Bおよび吐出モジュール49Cに上下方向7に対向可能である。キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、スポンジワイパ64A、スポンジワイパ64B、およびスポンジワイパ64Cから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、メンテナンス機構60がメンテナンス位置に位置するときリップ66A,66B,66C(図8参照)がノズル面50に当接し内部空間67A,67B,67Cを封止する。キャップ62A、キャップ62Bおよびキャップ62Cはそれぞれ、内部空間67A,67B,67Cと外部とを連通するキャップ流路68A,68B,68Cを有している。キャップ流路68A,68B,68Cは、洗浄液がキャップ62の内部空間67A,67B,67Cに流入する供給流路20A,20B,20Cと、洗浄液がキャップ62A,62B,62Cの内部空間67A,67B,67Cから流出する排出流路21A,21B,21Cと、を有している。
【0105】
以下、3つのリップ66A,66B,66Cを総称して、リップ66とも称する。また、内部空間67A,67B,67C、キャップ流路68A,68B,68C、供給流路20A,20B,20C、及び、排出流路21A,21B,21Cについても同様に、それぞれ内部空間67、キャップ流路68、供給流路20、及び、排出流路21とも称する。
【0106】
図8に示されるように、キャップ62Aは、吐出モジュール49Aに対応しており、吐出モジュール49Aと上下方向7に対向可能である。キャップ62Aは、スポンジワイパ64Aから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62Aの底板69には、洗浄液がキャップ62Aに流入する供給流路20Aと洗浄液がキャップ62Aから流出する排出流路21Aとが形成されている。キャップ62Aの供給流路20Aには、第2供給チューブ177の一端が接続されている。第2供給チューブ177の他端は、メンテナンス機構60の外側に至り、洗浄液タンク76(図2参照)に接続されている。排出流路21Aには、第1廃液チューブ178(第1廃液流路の一例)の一端が接続されている。第1廃液チューブ178の他端は、メンテナンス機構60の外側に至り、廃液タンク77(図2参照)に接続されている。第1廃液チューブ178は、内径が一定の円管によって構成される。
【0107】
キャップ62Bは、吐出モジュール49Bに対応しており、吐出モジュール49Bと上下方向7に対向可能である。キャップ62Bは、スポンジワイパ64Bから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62Bの底板69には、洗浄液がキャップ62Bに流入する供給流路20Bと洗浄液がキャップ62Bから流出する排出流路21Bとが形成されている。供給流路20Bには、第2供給チューブ177から分岐した第3供給チューブ179の一端が接続されている。排出流路21Bには、第2廃液チューブ180の一端が接続されている。第2廃液チューブ180の他端は、メンテナンス機構60の外側において第1廃液チューブ178に合流している。第2廃液チューブ180は、内径が一定の円管によって構成される。
【0108】
キャップ62Cは、吐出モジュール49Cに対応しており、吐出モジュール49Cと上下方向7に対向可能である。キャップ62Cは、スポンジワイパ64Cから前傾斜向き5に間隔を空けて配置されている。キャップ62Cの底板69には、洗浄液がキャップ62Cに流入する供給流路20Cと洗浄液がキャップ62Cから流出する排出流路21Cとが形成されている。供給流路20Cには、第2供給チューブ177から分岐した第4供給チューブ201の一端が接続されている。排出流路21Cには、第3廃液チューブ202の一端が接続されている。第3廃液チューブ202の他端は、メンテナンス機構60の外側において第1廃液チューブ178に合流している。第3廃液チューブ202は、内径が一定の円管によって構成される。
【0109】
第2供給チューブ177における第3供給チューブ179及び第4供給チューブ201の分岐点よりも上流側にキャップ洗浄バルブ72(図9参照)が設けられている。キャップ洗浄バルブ72の開閉は、コントローラ130によって制御される。
【0110】
第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180及び第3廃液チューブ202には、合流点よりも上流側においてそれぞれ吸引ポンプ74(第1吸引ポンプの一例)が設けられている(図2参照)。3つの吸引ポンプ74は、1つの吸引ポンプモータ58(図12参照)によって駆動される。なお、第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180及び第3廃液チューブ202には、弁が設けられていない。
【0111】
[インク回路113]
図9に示されるように、装着ケース110と吐出モジュール49とはインク回路113によって接続されている。インク回路113は、インクサブタンク181(液体タンクの一例)、流路182,183,184、大気流路185、バイパス流路186、補充バルブ187、パージ遮断バルブ188、バイパスバルブ189、大気開放バルブ190、正圧ポンプ191、および第2液面センサ192を有する。
【0112】
インクサブタンク181は、筐体30の内部空間において装着ケース110の上方に位置する。インクサブタンク181は、内部空間にインクを貯留する。インクサブタンク181の内部空間は、流路182により装着ケース110のインクニードル112と連通されている。装着ケース110にインクタンク34が装着された状態において、インクタンク34が貯留するインクが流路182を通じてインクサブタンク181に流入可能である。また、装着ケース110に保存液タンク11が装着された状態において、保存液タンク11が貯留する保存液が流路182を通じてインクサブタンク181に流入可能である。流路182には、補充バルブ187が位置する。補充バルブ187は、コントローラ130により制御されて、流路182を開閉する。
【0113】
インクサブタンク181の内部空間と、吐出モジュール49の流入ポート22とは流路183により連通されている。インクサブタンク181の内部空間に貯留されたインクまたは保存液は、流路183を通じて吐出モジュール49に供給可能である。流路183には、正圧ポンプ191が位置する。正圧ポンプ191は、コントローラ130がポンプモータ138(図12参照)の駆動を制御することにより動作する。流路183は、第1流路の一例である。
【0114】
インクサブタンク181の内部空間と、吐出モジュール49の流出ポート23とは流路184により連通されている。吐出モジュール49のマニホールド24のインクまたは保存液は、流路184を通じてインクサブタンク181へ排出可能である。流路184には、パージ遮断バルブ188が位置する。パージ遮断バルブ188は、コントローラ130により制御されて、流路184を開閉する。流路184は、第2流路の一例である。
【0115】
流路183における正圧ポンプ191と流入ポート22との間と、流路184におけるパージ遮断バルブ188とインクサブタンク181との間と、はバイパス流路186により接続されている。バイパス流路186には、バイパスバルブ189が位置する。バイパスバルブ189は、コントローラ130により制御されて、バイパス流路186を開閉する。
【0116】
インクサブタンク181の内部空間と外部とは大気流路185により連通されている。大気流路185には、大気開放バルブ190が位置する。大気開放バルブ190は、コントローラ130により制御されて、大気流路185を開閉する。
【0117】
インクサブタンク181には、第2液面センサ192が位置する。第2液面センサ192は、インクサブタンク181の内部空間の所定の高さにおいてインクの有無を検知する。第2液面センサ192は、検知信号をコントローラ130に出力する。第2液面センサ192は、インクを検知したときに検知信号としてON信号を出力し、インクを検知しないときに検知信号としてOFF信号を出力する。コントローラ130は、第2液面センサ192が出力する検知信号に基づいて、インクサブタンク181の内部空間において所定の高さに液面が到達したかを判定する。
【0118】
図10に示されるように、インクサブタンク181には、第4廃液チューブ401(第2廃液流路の一例)の一端401Aが接続されている。第4廃液チューブ401の一端401Aは、インクサブタンク181の上壁181Aに開口している。第4廃液チューブ401の他端は、第1廃液チューブ178における吸引ポンプ74よりも下流に位置する合流点A1と接続している。第4廃液チューブ401は、内径が一定の円管によって構成されている。第4廃液チューブ401には負圧ポンプ193が配置されている。負圧ポンプ193は、ポンプ部193Aおよび逆止弁193Bを有する。
【0119】
ポンプ部193Aは、インクサブタンク181および洗浄液サブタンク76Bの内部空間の空気を吸引する。ポンプ部193Aによってインクサブタンク181内の空気が吸引されると、その空気は、第4廃液チューブ401および第1廃液チューブ178を通して廃液タンク77に排出される。タンク連結バルブ302が開かれた状態で、洗浄液サブタンク76B内の空気が吸引されると、その空気は、接続流路301、第4廃液チューブ401、および第1廃液チューブ178を通して廃液タンク77に排出される。このとき、洗浄液サブタンク76B内が負圧になり、この負圧により、洗浄液メインタンク76Aから洗浄液サブタンク76Bへ洗浄液が補給される。洗浄液の補給が完了すると、タンク連結バルブ302が閉じられる。ポンプ部193Aの駆動は、コントローラ130によって制御される。
【0120】
逆止弁193Bは、ポンプ部193Aと合流点A1との間に位置する。逆止弁193Bは、合流点A1からインクサブタンク181への廃液の逆流を防止する。第4廃液チューブ401にバッファタンク402が配置されている。バッファタンク402は、負圧ポンプ193とインクサブタンク181との間に位置する。
【0121】
[流路抵抗]
第1廃液チューブ178におけるキャップ側流路抵抗R1は、廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きい。R1>R2である。さらに、第1廃液チューブ178における吸引ポンプ側流路抵抗R3は、廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きい。R3>R2である。キャップ側流路抵抗R1は、合流点A1とキャップ62との間における空気に対する流路抵抗である。廃液タンク側流路抵抗R2は、合流点A1と廃液タンク77との間における空気に対する流路抵抗である。吸引ポンプ側流路抵抗R3は、合流点A1と吸引ポンプ74との間における空気に対する流路抵抗である。キャップ側流路抵抗R1は、第1流路抵抗の一例である。廃液タンク側流路抵抗R2は、第2流路抵抗の一例である。吸引ポンプ側流路抵抗R3は、第3流路抵抗の一例である。
【0122】
流路抵抗は、管の開口面積が大きくなるほど小さくなり、管の長さが長くなるほど大きくなる。開口面積は、管の管軸に直交する平面で切断した断面積である。本実施形態では、第1廃液チューブ178における合流点A1と吸引ポンプ74との間の長さL1は、第1廃液チューブ178における合流点A1と廃液タンク77との間の長さL2と等しい(図10参照)。図11に示されるように、第1廃液チューブ178は、合流点A1とキャップ62との間に亘って同じ内径D1である。第1廃液チューブ178は、合流点A1と廃液タンク77との間に亘って同じ内径D2である。内径D1は、内径D2よりも小さい。内径D1は、内径D2の6割以下の長さである。内径D1は、廃液タンク側流路抵抗R2と吸引ポンプ側流路抵抗R3との比が1:10以上となるように設定される。図11では、図示簡略化のため、キャップ62を省略している。第2廃液チューブ180および第3廃液チューブ202の内径は、内径D1と等しい。
【0123】
[コントローラ130]
図12に示されるように、コントローラ130は、CPU131、ROM132、RAM133、EEPROM134、及びASIC135を備えており、これらは内部バス137によって接続されている。ROM132には、CPU131の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。RAM133は、CPU131が上記プログラムを実行する際に用いるデータや信号等を一時的に記録する記憶領域、或いはデータ処理の作業領域として使用される。EEPROM134には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0124】
ASIC135には、搬送モータ53、ヘッドモータ54、第1モータ55、第2モータ56、戻りポンプモータ47、供給ポンプモータ307、吸引ポンプモータ58、ポンプモータ138,139、軸モータ59、及び上下駆動モータ163が接続されている。また、ASIC135には、キャップ洗浄バルブ72、補充バルブ187、パージ遮断バルブ188、バイパスバルブ189、大気開放バルブ190、洗浄液補給バルブ305、タンク連結バルブ302、及びワイパ洗浄バルブ311が接続されている。なお、各バルブは、バルブを駆動するための駆動回路を介してASIC135と接続されている。
【0125】
ASIC135は、各モータを回転させるための駆動信号を生成し、この駆動信号を元に各モータを制御する。各モータは、ASIC135からの駆動信号によって正転又は逆転する。コントローラ130は、搬送モータ53の駆動を制御して、ホルダ35、搬送ローラ36A、搬送ローラ40A、及び駆動ローラ102を回転させる。コントローラ130は、ヘッドモータ54の駆動を制御して、ネジ軸29Aを回転させ、ヘッド38を上下方向7に沿って移動させる。コントローラ130は、軸モータ59の駆動を制御して、第1支持機構51を回動させる。コントローラ130は、第1モータ55の駆動を制御して、第1支持機構51のギヤ106を回転させる。コントローラ130は、上下駆動モータ163の駆動を制御して、ネジ軸161を回転させ、第2支持機構52を直交方向10に沿って移動させる。コントローラ130は、第2モータ56の駆動を制御して、第2支持機構52のギヤ120を回転させる。コントローラ130は、戻りポンプモータ78の駆動を制御して、戻りポンプ75を駆動させる。コントローラ130は、供給ポンプモータ307の駆動を制御して、供給ポンプ306を駆動させる。コントローラ130は、吸引ポンプモータ58の駆動を制御して、3つの吸引ポンプ74を駆動させる。コントローラ130は、ポンプモータ138の駆動を制御して、正圧ポンプ191を駆動させる。コントローラ130は、ポンプモータ139の駆動を制御して、負圧ポンプ193を駆動させる。
【0126】
ASIC135には、操作パネル44、表示部44A、接点114、第1液面センサ303、第2液面センサ192、第3液面センサ308、および圧電素子(不図示)が接続されている。操作パネル44は、ユーザによる操作に応じた操作信号をコントローラ130に出力する。操作パネル44は、例えば、押ボタンを有していてもよいし、ディスプレイに重畳されたタッチセンサを有していてもよい。コントローラ130は接点114を通じて、インクタンク34のIC基板70または保存液タンク11のIC基板12の記憶領域に対して識別情報の読み出しを行う。コントローラ130は、識別情報に基づいてインクタンク34を装着ケース110に装着する旨の表示を表示部44Aに行わせる。コントローラ130は、識別情報に基づいて保存液タンク11を装着ケース110に装着する旨の表示を表示部44Aに行わせる。コントローラ130は、第1液面センサ303、第2液面センサ192、及び第3液面センサ308から検知信号を受信する。コントローラ130は、第3液面センサ308からの検知信号に基づいて廃液タンク77を交換する旨の表示を表示部44Aに行わせる。圧電素子は、不図示のドライブ回路を介してコントローラ130により給電されることで動作する。コントローラ130は、圧電素子への給電を制御し、複数のノズル38Aから選択的にインク滴を吐出させる。
【0127】
以下、メンテナンス機構60の動作についてパージ処理および画像記録処理とともに説明する。本実施形態において、上記の処理とともに洗浄液の供給及び排出が行われる。
【0128】
[パージ処理]
画像記録処理が実行されていないときの画像記録装置100は待機状態である。待機状態のとき、図13に示されるように、ヘッド38は被キャッピング位置に位置しており、第1支持機構51はメンテナンス機構60を支持した状態で第1姿勢に位置しており、メンテナンス機構60はメンテナンス位置に位置している。このとき、キャップ62は、ノズル面50を覆っている。
【0129】
待機状態のときに、コントローラ130は、パージ処理を、所定タイミングでまたは外部からの命令を受け取ったときに実行する。以下では、画像記録装置100が待機状態のときに、コントローラ130が外部からパージ処理を実行する旨の命令を受け取ったときの処理が説明される。
【0130】
パージ処理において、コントローラ130は、パージ遮断バルブ188およびバイパスバルブ189を開いた状態、かつ補充バルブ187、大気開放バルブ190、およびキャップ洗浄バルブ72を閉じた状態で、吸引ポンプ74を駆動させる。これにより、ノズル38A内のインクが吸引されて、キャップ62の内部空間67A,67B,67Cから排出流路21A、21B、21Cを通って第1廃液チューブ178、第2廃液チューブ180、及び第3廃液チューブ202を通ってインクが廃液タンク77に排出される。このとき、第4廃液チューブ401には逆止弁193Bが配置されているので、合流点A1からバッファタンク402へインクが逆流することはない。インクが廃液タンク77に排出されると、インクが廃液タンク77に徐々に溜まっていく。また、このとき、キャップ洗浄バルブ72が閉じられているので、洗浄液タンク76から第2供給チューブ177、第3供給チューブ179、及び第4供給チューブ201を通してキャップ62A,62B,62Cに洗浄液が供給されることはない。
【0131】
[画像記録処理]
以下に、シートSに画像が記録されるときの処理(画像記録処理)が説明される。
【0132】
コントローラ130は、操作パネル44や、画像記録装置100とLANなどによって接続された情報処理装置などの外部から、シートSに画像を記録する旨の命令を受け取ると、上述したようにメンテナンス機構60をメンテナンス位置から待機位置へ移動させる。そして、コントローラ130は、上下駆動モータ163を駆動し、メンテナンス機構60を待機位置から待避位置に移動させる。コントローラ130は、軸モータ59を駆動し、第1支持機構51を第2姿勢から第1姿勢へ姿勢変化させる。
【0133】
次に、コントローラ130は、ヘッド38を下方へ移動させることによって被キャッピング位置から記録位置へ移動させる。そして、コントローラ130は、シートSの搬送を開始して、後述の液体循環処理を実行し、当該シートSがヘッド38の直下に位置する状態でノズル38Aからインクを吐出する。これによりシートSに画像が記録される。シートS上に付着したインクは、ヒータ39を通過する際に加熱されることによってシートSに定着する。更に搬送されたシートSは、CIS25によって記録された画像をチェックされた後、カッターユニット26によって所定のサイズに切断されて排出される。
【0134】
[液体循環処理]
以下、画像記録処理が行われるときの液体循環処理について説明する。
【0135】
コントローラ130は、バイパスバルブ189およびタンク連結バルブ302を閉状態にした状態で、正圧ポンプ191および負圧ポンプ193を駆動させる。これにより、ヘッド38とインクサブタンク181との間に圧力差が生じ、この圧力差により、ヘッド38とインクサブタンク181との間を流路183、184を通してインクが循環する。このとき、インクサブタンク181内の空気は、第4廃液チューブ401および第1廃液チューブ178を通して廃液タンク77に排出される。廃液タンク77に排出された空気は、外部へ排出される。しかしながら、このとき、廃液タンク77内に多量のインクが溜まっていると、廃液タンク77内では空気に対する流路抵抗が大きくなるので、インクサブタンク181内の空気が第1廃液チューブ178を通してキャップ62へ逆流する虞が生じる。
【0136】
しかしながら、第1廃液チューブ178における吸引ポンプ側流路抵抗R3(キャップ側流路抵抗R1)が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きいので、インクサブタンク181内の空気が第1廃液チューブ178を通してキャップ62へ逆流しにくい。なお、このとき、インクサブタンク181内が負圧になるので、この負圧により、洗浄液サブタンク76B内の洗浄液が、接続流路301、バッファタンク402、および廃液チューブ401を通してインクサブタンク181に流入するおそれがあるが、タンク連結バルブ302が閉じられているので、洗浄液がインクサブタンク181に流入することはない。
【0137】
コントローラ130は、ユーザの電源OFFの操作を受けて電源OFF信号を受信すると、正圧ポンプ191および負圧ポンプ193を停止する。これにより、液体循環処理が終了される。
【0138】
[実施形態における作用効果]
画像記録装置100では、ヘッド38からキャップ62内へ吐出されたインクが、吸引ポンプ74によって第1廃液チューブ178を通して廃液タンク77に排出される。インクサブタンク181内の空気が、負圧ポンプ193によって第4廃液チューブ401および第1廃液チューブ178を経て廃液タンク77を通して外部へ排出される。このとき、廃液タンク77に多くのインクが溜まっていることによって廃液タンク77内の空気に対する流路抵抗が高くなっていても、キャップ側流路抵抗R1が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きいので、インクサブタンク181内の空気が第1廃液チューブ178を通してキャップ62へ逆流しにくい。その結果、キャップ62へ逆流した空気によってキャップ62からインクがあふれることが抑制されるので、筐体30内をインクによって汚すことが抑制される。キャップ62からインクがあふれることによってキャップ62に固着するインクが少なくなるので、キャップ62がノズル38Aをキャッピングしたときに、キャップ62に固着したインクによってノズル38Aが詰まることが抑制される。
【0139】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178に弁が設けられていないので、画像記録装置100が小型化される。
【0140】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178における吸引ポンプ側流路抵抗R3が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きいので、インクサブタンク181内の空気が合流点A1からキャップ62へ一層逆流しにくい。
【0141】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178における合流点A1と吸引ポンプ74との間の内径は、第1廃液チューブ178における合流点A1と廃液タンク77との間の内径の6割以下である。このため、インクサブタンク181内の空気が合流点A1からキャップ62へ一層逆流しにくい。
【0142】
画像記録装置100では、廃液タンク側流路抵抗R2と吸引ポンプ側流路抵抗R3との比が、1:10以上であるので、インクサブタンク181内の空気が合流点A1からキャップ62へ一層逆流しにくい。
【0143】
画像記録装置100では、負圧ポンプ193は、合流点A1からインクサブタンク181へのインクの逆流を防止する逆止弁193Bを有する。このため、キャップ62から第1廃液チューブ178を通して廃液タンク77に排出されるインクが、バッファタンク402へ逆流することが防止される。
【0144】
[変形例]
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178として、合流点A1からキャップ62に亘って同じ内径D1のものが使用されたが、キャップ側流路抵抗R1が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きければ、合流点A1からキャップ62に亘って同じ内径でなくてもよい。例えば、第1廃液チューブ178における吸引ポンプ74とキャップ62との間の内径が、内径D1よりも大きくてもよい。
【0145】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178内における合流点A1と吸引ポンプ74との間にフィルタ(抵抗部の一例)が設置されてもよい。フィルタは、所定の内径の複数の孔を有するメッシュタイプのものである。この場合、第1廃液チューブ178においてフィルタが設置された部分の開口面積が小さくなるので、吸引ポンプ側流路抵抗R3がさらに大きくなる。このため、インクサブタンク181内の空気が合流点A1からキャップ62へ一層逆流しにくくなる。なお、フィルタは、第1廃液チューブ178内における吸引ポンプ74とキャップ62との間に設置されてもよい。
【0146】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178における合流点A1とキャップ62との間の内径D1は、第1廃液チューブ178における合流点A1と廃液タンク77との間の内径D2よりも小さかったが、内径D1と内径D2は等しくてもよい。言い換えると、第1廃液チューブ178は、キャップ62から廃液タンク77との間に亘って同じ内径のものであってもよい。この場合、例えば、図17に示されるように、第1廃液チューブ178内における合流点A1と吸引ポンプ74との間にフィルタ71が設置されることにより、キャップ側流路抵抗R1が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きくされる。
【0147】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178に弁が設けられなかったが、例えば、インクの逆流を防止する逆止弁が設けられてもよい。
【0148】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178における吸引ポンプ側流路抵抗R3は、廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きかったが、キャップ側流路抵抗R1が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きければ、廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きくなくてもよい。
【0149】
画像記録装置100では、第1廃液チューブ178における合流点A1と吸引ポンプ74との間の内径D1は、第1廃液チューブ178における合流点A1と廃液タンク77との間の内径D2の6割以下であったが、キャップ側流路抵抗R1が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きければ、内径D2の6割以下でなくてもよい。
【0150】
画像記録装置100では、内径D1を内径D2の6割以下とすることにより、廃液タンク側流路抵抗R2と吸引ポンプ側流路抵抗R3との比を1:10以上としたが、第1廃液チューブ178における合流点A1と吸引ポンプ74との間の長さを、第1廃液チューブ178における合流点A1と廃液タンク77との間の長さよりも長くすることにより、廃液タンク側流路抵抗R2と吸引ポンプ側流路抵抗R3との比を1:10以上としてもよい。なお、キャップ側流路抵抗R1が廃液タンク側流路抵抗R2よりも大きければ、廃液タンク側流路抵抗R2と吸引ポンプ側流路抵抗R3との比は1:10以上でなくてもよい。
【0151】
画像記録装置100では、負圧ポンプ193は逆止弁193Bを有したが、逆止弁193Bは省略されてもよい。この場合、バッファタンク402が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0152】
38・・・ヘッド
38A・・・ノズル
62・・・キャップ
71・・・抵抗部(フィルタ)
74・・・吸引ポンプ(第1吸引ポンプ)
77・・・廃液タンク
178・・・第1廃液チューブ(第1廃液流路)
181・・・インクサブタンク(液体タンク)
183・・・流路(第1流路)
184・・・流路(第2流路)
193・・・負圧ポンプ(第2吸引ポンプ)
193B・・・逆止弁
401・・・第4廃液チューブ
402・・・バッファタンク
A1・・・合流点
D1・・・内径
D2・・・内径
R1・・・キャップ側流路抵抗(第1流路抵抗)
R2・・・廃液タンク側流路抵抗(第2流路抵抗)
R3・・・吸引ポンプ側流路抵抗(第3流路抵抗)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17