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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078482
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190890
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 貢
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EA20
2C056HA29
2C056HA34
2C056HA46
(57)【要約】      (修正有)
【課題】シートが搬送方向および逆搬送方向に搬送される画像記録装置において、拍車が拍車クリーナに食い込むことを防止する。
【解決手段】画像記録装置は、シートを搬送方向および逆搬送方向に搬送可能な搬送部と、記録ヘッドと、記録ヘッドよりも搬送方向の下流に位置しており、第1回転軸101を有する拍車と、第2回転軸105bを有しており、拍車の上方に位置して自重により拍車に当接する拍車クリーナ105と、上下方向53、54に沿って延びており、第1回転軸が挿通する第1軸受溝106を有する第1ホルダ部と、上下方向に沿って延びており、第2回転軸が挿通する第2軸受溝を有する第2ホルダ部と、を備える。第1軸受溝および第2軸受溝の搬送方向に沿った長さL3は、第1回転軸の直径D1よりも長い。第2回転軸の直径D2は、第1回転軸の直径よりも小さい。
【選択図】図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートを搬送方向および上記搬送方向とは反対の逆搬送方向に搬送可能な搬送部と、
シートに液体を吐出する記録ヘッドと、
シートが搬送される搬送路の上方において上記記録ヘッドよりも上記搬送方向の下流に位置しており、上記搬送方向および上下方向に交差する左右方向に沿って延びる第1回転軸を有する拍車と、
上記左右方向に沿って延びる第2回転軸を有しており、上記拍車の上方に位置して自重により上記拍車に当接する拍車クリーナと、
上記上下方向に沿って延びており、上記第1回転軸が挿通する第1軸受溝を有する第1ホルダ部と、
上記上下方向に沿って延びており、上記第2回転軸が挿通する第2軸受溝を有する第2ホルダ部と、を備えており、
上記第1軸受溝および上記第2軸受溝の上記搬送方向に沿った長さは、上記第1回転軸の直径よりも長く、
上記第2回転軸の直径は、上記第1回転軸の直径よりも小さい画像記録装置。
【請求項2】
上記第1ホルダ部および上記第2ホルダ部は、一体成形品である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記第2軸受溝は、上記第1軸受溝と連続して上下方向に沿って延びている請求項2に記載の画像記録装置。
【請求項4】
上記第2軸受溝の上端は、上方に開口する請求項3に記載の画像記録装置。
【請求項5】
上記第1回転軸は、コイルバネである請求項1から4のいずれかに記載の画像記録装置。
【請求項6】
シートを搬送方向および上記搬送方向とは反対の逆搬送方向に搬送可能な搬送部と、
シートに液体を吐出する記録ヘッドと、
シートが搬送される搬送路の上方において上記記録ヘッドよりも上記搬送方向の下流に位置しており、上記搬送方向および上下方向に交差する左右方向に沿って延びる第1回転軸を有する拍車と、
上記左右方向に沿って延びる第2回転軸を有しており、上記拍車の上方に位置して自重により上記拍車に当接する拍車クリーナと、
上記上下方向に沿って延びており、上記第1回転軸が挿通する第1軸受溝を有する第1ホルダ部と、
上記上下方向に沿って延びており、上記第2回転軸が挿通する第2軸受溝を有する第2ホルダ部と、を備えており、
上記第1軸受溝および上記第2軸受溝の上記搬送方向に沿った長さは、上記第1回転軸の直径よりも長く、
上記第2回転軸の直径は、上記第1回転軸の直径と等しく、
上記第1回転軸は、コイルバネである画像記録装置。
【請求項7】
上記第1ホルダ部および上記第2ホルダ部は、一体成形品である請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項8】
上記第2軸受溝は、上記第1軸受溝と連続して上下方向に沿って延びている請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記第2軸受溝の上端は、上方に開口する請求項8に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートに画像を記録する画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シートに画像を記録する画像記録装置として、例えば、特許文献1に記載されたインクジェット記録装置が知られている。特許文献1のインクジェット記録装置は、拍車と、自重によって拍車に当接する拍車クリーナと、を備える。拍車クリーナは、拍車よりもシートの搬送方向の下流に位置する。拍車クリーナは、その回動軸がホルダの軸穴に嵌入されることによって、ホルダに装着される。軸穴は、回動軸の径より大きく、外力が加わらない状態において、回動軸が軸穴の下端に接触している。シートを搬送方向に搬送する向きに拍車が回転すると、軸穴の範囲内で拍車クリーナの回動軸が変位するので、拍車が拍車クリーナに食い込みにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平3-193452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、仮にシートが搬送方向とは逆方向へ搬送される場合、拍車クリーナが拍車に対して下向きに移動しようとするため、拍車クリーナの回動軸が軸穴内において変位できない。このため、拍車が拍車クリーナに食い込むおそれがある。
【0005】
本発明は前述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートが搬送方向および逆搬送方向に搬送される画像記録装置において、拍車が拍車クリーナに食い込むことを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明に係る画像記録装置は、シートを搬送方向および上記搬送方向とは反対の逆搬送方向に搬送可能な搬送部と、シートに液体を吐出する記録ヘッドと、シートが搬送される搬送路の上方において上記記録ヘッドよりも上記搬送方向の下流に位置しており、上記搬送方向および上下方向に交差する左右方向に沿って延びる第1回転軸を有する拍車と、上記左右方向に沿って延びる第2回転軸を有しており、上記拍車の上方に位置して自重により上記拍車に当接する拍車クリーナと、上記上下方向に沿って延びており、上記第1回転軸が挿通する第1軸受溝を有する第1ホルダ部と、上記上下方向に沿って延びており、上記第2回転軸が挿通する第2軸受溝を有する第2ホルダ部と、を備える。上記第1軸受溝および上記第2軸受溝の上記搬送方向に沿った長さは、上記第1回転軸の直径よりも長い。上記第2回転軸の直径は、上記第1回転軸の直径よりも小さい。
【0007】
シートを搬送方向へ搬送する正搬送では、搬送方向へ搬送されるシートから拍車へ搬送方向の力が作用するので、第1回転軸は、搬送方向へ移動して第1軸受溝の内面における搬送方向側に押し付けられる。このとき、上方から拍車に自重により当接する拍車クリーナは、第1回転軸が搬送方向へ移動する力によって拍車から搬送方向の力を受けるので、拍車とともに搬送方向へ移動する。そして、第2回転軸の直径は、第1回転軸の直径よりも小さいので、第2回転軸は、第1回転軸よりも搬送方向へ位置した状態になる。このため、拍車クリーナは、シートを搬送方向へ搬送する正回転向きに回転する拍車から上向きの力を受けるが、第2軸受溝を上方へ移動できるので、拍車が拍車クリーナに食い込むことがない。
【0008】
一方、シートを逆搬送方向へ搬送する逆搬送では、逆搬送方向へ搬送されるシートから拍車へ逆搬送方向の力が作用するので、第1回転軸は、逆搬送方向へ移動して第1軸受溝の内面における逆搬送方向側に押し付けられる。このとき、上方から拍車に自重により当接する拍車クリーナは、第1回転軸が逆搬送方向へ移動する力によって拍車から逆搬送方向の力を受けるので、拍車とともに逆搬送方向へ移動する。そして、第2回転軸の直径は、第1回転軸の直径よりも小さいので、第2回転軸は、第1回転軸よりも逆搬送方向へ位置した状態になる。このため、拍車クリーナは、シートを逆搬送方向へ搬送する逆回転向きに回転する拍車から上向きの力を受けるが、第2軸受溝を上方へ移動できるので、拍車が拍車クリーナに食い込むことがない。
【0009】
(2)上記第1ホルダ部および上記第2ホルダ部は、一体成形品であってもよい。
【0010】
第1ホルダ部および上記第2ホルダ部の組付けが容易になる。
【0011】
(3)上記第2軸受溝は、上記第1軸受溝と連続して上下方向に沿って延びてもよい。
【0012】
拍車と拍車クリーナとの間の位置精度が向上するので、拍車クリーナは、拍車に付着した液体をより確実に除去できる。
【0013】
(4)上記第2軸受溝の上端は、上方に開口してもよい。。
【0014】
第1回転軸および第2回転軸を上方から第2軸受溝に挿入できるので、拍車および拍車クリーナの第1ホルダ部および第2ホルダ部への組付けが容易になる。
【0015】
(5)上記第1回転軸は、コイルバネであってもよい。
【0016】
第1回転軸の回転と第2回転軸の回転とによって生じる衝撃が第1回転軸の弾性変形によって緩和される。このため、拍車が拍車クリーナに食い込むことがより確実に防止される。
【0017】
(6)本発明に係る画像記録装置は、シートを搬送方向および上記搬送方向とは反対の逆搬送方向に搬送可能な搬送部と、シートに液体を吐出する記録ヘッドと、シートが搬送される搬送路の上方において上記記録ヘッドよりも上記搬送方向の下流に位置しており、上記搬送方向および上下方向に交差する左右方向に沿って延びる第1回転軸を有する拍車と、上記左右方向に沿って延びる第2回転軸を有しており、上記拍車の上方に位置して自重により上記拍車に当接する拍車クリーナと、上記上下方向に沿って延びており、上記第1回転軸が挿通する第1軸受溝を有する第1ホルダ部と、上記上下方向に沿って延びており、上記第2回転軸が挿通する第2軸受溝を有する第2ホルダ部と、を備える。上記第1軸受溝および上記第2軸受溝の上記搬送方向に沿った長さは、上記第1回転軸の直径よりも長い。上記第2回転軸の直径は、上記第1回転軸の直径と等しい。上記第1回転軸は、コイルバネである。
【0018】
シートを搬送方向へ搬送する正搬送では、搬送方向へ搬送されるシートから拍車へ搬送方向の力が作用するので、第1回転軸は、搬送方向へ弾性変形しつつ、搬送方向へ移動して第1軸受溝の内面における搬送方向側に押し付けられる。このとき、上方から拍車に自重により当接する拍車クリーナは、第1回転軸が搬送方向へ移動する力によって拍車から搬送方向の力を受けるので、拍車とともに搬送方向へ移動する。そして、シートの搬送開始時から時間が経過するにつれてシートの加速度が小さくなるので、シートから拍車へ作用する力が小さくなっていく。このため、第1回転軸は、弾性によって逆搬送方向へ移動しやすい状態になる。その結果、第2回転軸は、第1回転軸よりも搬送方向に位置した状態になりやすい。このため、拍車クリーナは、シートを搬送方向へ搬送する正回転向きに回転する拍車から上向きの力を受けやすいが、第2軸受溝を上方へ移動できるので、拍車が拍車クリーナに食い込むことがない。
【0019】
一方、シートを逆搬送方向へ搬送する逆搬送では、逆搬送方向へ搬送されるシートから拍車へ逆搬送方向の力が作用するので、第1回転軸は、逆搬送方向へ弾性変形しつつ、逆搬送方向へ移動して第1軸受溝の内面における逆搬送方向側に押し付けられる。このとき、上方から拍車に自重により当接する拍車クリーナは、第1回転軸が逆搬送方向へ移動する力によって拍車から逆搬送方向の力を受けるので、拍車とともに逆搬送方向へ移動する。そして、シートの搬送開始時から時間が経過するにつれてシートの加速度が小さくなるので、シートから拍車に作用する力が小さくなっていく。このため、第1回転軸は、弾性によって搬送方向へ移動しやすい状態になる。その結果、第2回転軸は、第1回転軸よりも逆搬送方向に位置した状態になりやすい。このため、拍車クリーナは、シートを逆搬送方向へ搬送する逆回転向きに回転する拍車から上向きの力を受けやすいが、第2軸受溝を上方へ移動できるので、拍車が拍車クリーナに食い込むことがない。
【0020】
(7)上記第1ホルダ部および上記第2ホルダ部は、一体成形品であってもよい。
【0021】
第1ホルダ部および上記第2ホルダ部の組付けが容易になる。
【0022】
(8)上記第2軸受溝は、上記第1軸受溝と連続して上下方向に沿って延びてもよい。
【0023】
拍車と拍車クリーナとの間の位置精度が向上するので、拍車クリーナは、拍車に付着した液体をより確実に除去できる。
【0024】
(9)上記第2軸受溝の上端は、上方に開口してもよい。
【0025】
第1回転軸および第2回転軸を上方から第2軸受溝に挿入できるので、拍車および拍車クリーナの第1ホルダ部および第2ホルダ部への組付けが容易になる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、搬送方向および逆搬送方向にシートが搬送される画像記録装置において、拍車が拍車クリーナに食い込むことがない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置10の外観斜視図である。
図2図2は、上筐体31が開かれた状態の画像記録装置10の外観斜視図である。
図3図3は、ベース23に取り付けられたサイドフレーム20,21を示す斜視図である。
図4図4は、図1のIV-IV断面を示す断面図である。
図5図5は、ジャムカバー81を斜め上方から視た斜視図である。
図6図6は、ジャムカバー81を斜め下方から視た斜視図である。
図7図7は、図5のVII-VII断面を示す断面図である。
図8図8は、図5のVIII-VIII断面を示す断面図である。
図9図9は、第1回転軸81CCおよび第2回転軸142が第3スリット140Aに挿通された状態を示す模式図である。
図10図10は、上筐体31を斜め下方から視た斜視図である。
図11図11は、図5の第1シャフト84及び第2シャフト85に保持部材73が取り付けられた状態を示す斜視図である。
図12図12は、保持部材73を示す斜視図である。
図13図13は、図12のXIII-XIII断面を示す断面図である。
図14図14は、図12のXIV-XIV断面を示す断面図である。
図15図15は、第1回転軸101および第2回転軸105bが第3スリット106に挿通された状態を示す模式図である。
図16図16は、保持部材73を示す平面図である。
図17図17は、正回転向きに回転する第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105の動作を説明するための図である。
図18図18は、逆回転向きに回転する第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105の動作を説明するための図である。
図19図19は、変形例の第1回転軸101および第2回転軸105bが第3スリット106に挿通された状態を示す模式図である。
図20図20は、正回転向きに回転する変形例の第1回転軸101および第2回転軸105bの動作を説明するための図である。
図21図21は、逆回転向きに回転する変形例の第1回転軸101および第2回転軸105bの動作を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明において、プリンタ部11において排出口33が向く向きを前向き51とし、前方の反対向きを後向き52とする。前向き51と後向き52とを合せて前後方向51,52とする。前後方向51,52と直交する上下の方向を上下方向53,54とする。前後方向51,52および上下方向53、54と直交する方向を左右方向55,56とする。上下方向53,54の上向きを上向き53とし、下向きを下向き54とする。画像記録装置10を後向き52に視て、左右方向55、56の左向きを左向き55とし、右向きを右向き56とする。
【0029】
[画像記録装置10の外観構成]
図1に示される画像記録装置10は、インクジェット記録方式でロール体37(図4参照)から引き出されたシートSに画像を記録する。なお、図1から図4においては、画像記録装置10や各部材が模式的に示されている。
【0030】
図1に示されるように、画像記録装置10は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31及び下筐体32を備える。上筐体31及び下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。以下、筐体30について説明がされるときは、上筐体31及び下筐体32が全体として直方体形状をなしている状態で説明がされる。
【0031】
筐体30は、右面30R及び左面30Lと、上面30U及び下面30Dと、前面30F及び後面30Bと、を有する。右面30R及び左面30Lは、左右方向55,56に離れて位置する。上面30U及び下面30Dは、上下方向53,54に離れて位置する。前面30F及び後面30Bは、前後方向51,52に離れて位置する。
【0032】
上筐体31は、左右方向55,56に延びる回動軸周りに回動可能に下筐体32の後面30Bに接続されている。上筐体31は、図1に示される閉位置から、前面30Fが上方へ持ち上げられるようにして回動されて、図2に示される開位置まで回動する。上筐体31が開位置まで回動すると、筐体30の内部空間30Aが外部へ露出される。なお、図2においては、筐体30の内部構造が省略されている。
【0033】
図1に示されるように、筐体30の前面30Fには、左右方向55,56へ細長に伸びる排出口33が形成されている。排出口33は、左右方向55,56の中央が、前面30Fの左右方向55,56の中央よりも右寄りに位置する。排出口33は、筐体30の内部空間30Aと外部とを連通している。排出口33を通じて、筐体30の内部空間30Aにおいて画像記録されたシートSが、筐体30の外部へ排出される。
【0034】
筐体30の前面30Fには、操作パネル44が設けられている。操作パネル44は、排出口33の上方に位置する。操作パネル44は、画像記録装置10を動作させたり各種設定を確定したりするための入力をユーザから受け付ける。
【0035】
図3に示されるように、筐体30の内部空間30Aには、2つのサイドフレーム20,21が設けられている。各サイドフレーム20,21は、鋼板からなる平板形状であり、支持する部材に応じた形状の切り欠きや貫通孔が適宜形成されている。2つのサイドフレーム20,21は、左右方向55,56に離れて位置する。サイドフレーム20,21は、筐体30の下面30Dをなすベース23に連結されている。サイドフレーム20,21とベース23との連結はネジ止めや溶接によりなされている。
【0036】
[画像記録装置10の内部構成]
内部空間30Aにおけるサイドフレーム20,21の間には、ロール体ホルダ35、テンショナ45、搬送部71、記録ヘッド38、支持機構116、定着部39、ジャムカバー81、支持部材46、コンタクトイメージセンサ(以下、「CIS」と称する。)25、カッターユニット26が配置されている。
【0037】
図4に示されるように、内部空間30Aにおけるサイドフレーム20,21の間には、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間30Aの後側の下部に位置している。隔壁41は、下筐体32と協同してシート収容空間30Cを区画している。シート収容空間30Cは、隔壁41と下筐体32により包囲され、記録ヘッド38などから隔離された空間である。
【0038】
シート収容空間30Cには、ロール体37が収容されている。ロール体37は、芯管と長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。シートSは、画像記録装置10が画像を記録可能な最小幅から最大幅までの幅をとり得る。すなわち、シート収容空間30Cには、幅が異なる複数種類のロール体37が収容可能である。なお、ロール体37は、芯管を有さず、シートSがロール体ホルダ35に装着可能にロール状に巻回されていてもよい。また、シート収容空間30Cには、ファンフォールド紙が収容可能であってもよい。
【0039】
ロール体ホルダ35は、シート収容空間30Cに位置している。ロール体ホルダ35には、ロール体37が装着されている。ロール体ホルダ35は、ロール体37の芯管の軸芯が左右方向55,56に沿った状態で、芯管の軸芯の周方向に回転可能にロール体37を支持している。
【0040】
ロール体ホルダ35には左右方向55,56に離れた一対のサイドガイド115が設けられている。一対のサイドガイド115は、左右方向55,56に離れた距離が変更可能である。ユーザは、ロール体ホルダ35に装着するロール体37の幅(左右方向55,56に沿った寸法)に合わせて、一対のサイドガイド115がロール体37の左右端それぞれに当接するように移動させる。一対のサイドガイド115に左右端がそれぞれ当接したロール体37は、シートSの幅方向中心が搬送路43の左右方向55,56における中心となるように位置決めされる。ロール体ホルダ35は、不図示のモータから駆動力が伝達されて回転する。ロール体ホルダ35の回転に伴って、ロール体ホルダ35に支持されているロール体37も回転する。
【0041】
シート収容空間30Cは、後部において上方へ向かって開口している。詳細には、隔壁41と後面30Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、ロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0042】
テンショナ45は、内部空間30Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、サイドフレーム20,21に回転可能に支持されたローラである。テンショナ45は、前後方向51,52に移動可能にサイドフレーム20,21に支持されている。テンショナ45には、バネなどの付勢部材によって後向き52の付勢力が加えられている。
【0043】
搬送部71は、ロール体37からシートSを引き出して前向き51(搬送方向の一例)にシートSを搬送する。搬送部71は、搬送ローラ対36、第1排出ローラ対40、及び第2排出ローラ対72を有する。
【0044】
搬送ローラ対36は、テンショナ45の前方に位置する。搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36Aは、サイドフレーム20,21に回転可能に支持されている。搬送ローラ36Aは、不図示のモータから駆動伝達されて回転することによって、ピンチローラ36Bとの間にシートSをニップしつつ前向き51にシートSを搬送する。
【0045】
第1排出ローラ対40は、搬送ローラ対36よりも前方に位置する。第1排出ローラ対40は、シートSの下面に当接する排出ローラ40AとシートSの上面に当接する第1拍車40B(拍車の一例)とを有する。排出ローラ40Aは、サイドフレーム20,21に回転可能に支持されている。第1拍車40Bは、第1回転軸101を有する。第1回転軸101は、左右方向55、56に沿って延びるコイルバネによって構成されている。第1回転軸101は、後述の第1拍車ホルダ74に回転可能に支持されている。排出ローラ40Aは、不図示のモータから駆動伝達されて回転することによって、第1拍車40Bとの間にシートSをニップしつつ前向き51にシートSを搬送する。
【0046】
第2排出ローラ対72は、第1排出ローラ対40よりも前方に位置する。第2排出ローラ対72は、シートSの下面に当接する排出ローラ72AとシートSの上面に当接する第2拍車72B(拍車の一例)とを有する。排出ローラ72Aは、サイドフレーム20,21に回転可能に支持されている。第2拍車72Bは、第1拍車40Bと同じ構造を有する。このため、第2拍車72Bにおいて第1拍車40Bと対応する要素については、第1拍車40Bと同じ符号を付してその説明が省略される。第2拍車72Bの第1回転軸101は、後述の第2拍車ホルダ75に回転可能に支持されている。排出ローラ72Aは、不図示のモータから駆動伝達されて回転することによって、第2拍車72Bとの間にシートSをニップしつつ前向き51にシートSを搬送する。
【0047】
記録ヘッド38は、搬送ローラ対36の前方であって、第1排出ローラ対40よりも後方に位置する。記録ヘッド38は、複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aは、搬送ベルト117に支持されたシートSへ向かってインク(液体の一例)を液滴として下方へ吐出する。これにより、シートSの上面に画像が記録される。記録ヘッド38には、インクを貯留するタンク(図示省略)が不図示のチューブによってインクを供給可能に接続されている。
【0048】
インクとしては、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含む水性インクが用いられる。なお、インクは、加熱によってシートSに定着させることができるものであれば、特に限定されることはない。本実施形態では、シートSに付着したインクが定着部39によって加熱されて熱可塑性樹脂微粒子が溶融し、その後の冷却によって溶融した樹脂が硬化して、インクに含まれる顔料がシートSに定着する。
【0049】
支持機構116は、搬送ローラ対36よりも前方に位置する。支持機構116は、記録ヘッド38の下方に位置している。支持機構116は、記録ヘッド38と上下方向53,54に対向している。支持機構116は、搬送ベルト117と、搬送ベルト117を支持する支持部118と、を有する。搬送ベルト117は、不図示のモータから駆動伝達されてベルトが回転することによって、シートSの下面を支持しつつ前向き51にシートSを搬送する。
【0050】
定着部39は、前後方向51,52において記録ヘッド38と第1排出ローラ対40との間に位置している。定着部39は、サイドフレーム20,21に固定されている。定着部39は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がる平板状の金属製プレート39aと、金属製プレート39aの下面に固定されたポリイミドヒータ39bと、を有する。金属製プレート39aは、搬送ベルト117によって前向き51に搬送されるシートSの下面を支持する。したがって、金属製プレート39aの左右方向55,56の寸法は、画像記録装置10において画像記録が可能な最大のシートSの幅よりも大きい。ポリイミドヒータ39bは、金属製プレート39aの下面を加熱する。これにより、シートSが金属製プレート39a上を通過する間に、金属製プレート39aの熱によってインクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子が溶融し、金属製プレート39aを通過した後の大気による冷却によって溶融した樹脂が硬化して顔料がシートSの上面に定着する。なお、ポリイミドヒータ39bに代えて、赤外線ヒータなどのヒータによって金属製プレート39aが加熱されてもよい。
【0051】
ジャムカバー81は、定着部39の上方に配置されている。ジャムカバー81は、定着部39と上下方向53,54に対向している。ジャムカバー81は、樹脂製の材料によって形成されている。ジャムカバー81の材質は、一定以上の強度および耐熱性を確保できるものであれば、特に限定されることはない。例えば、ジャムカバー81は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フェノール樹脂によって形成される。
【0052】
図5から図7に示されるように、ジャムカバー81は、前後方向51,52、上下方向53,54、及び左右方向55,56に拡がる直方体状の内部空間81Eを有する箱型である。ジャムカバー81は、上向き53に開口するカバー本体81Aと、カバー本体81Aの開口81AAを閉じる蓋壁81Bと、複数の第3拍車81C(拍車の一例)と、複数の拍車クリーナ81Dと、を有する。カバー本体81Aは、一体成形品である。カバー本体81Aは、内部空間81Eの前端を区画する前壁131と、内部空間81Eの後端を区画する後壁132と、内部空間81Eの下端を区画する底壁133と、内部空間81Eの左端を区間する左壁134と、内部空間81Eの右端を区画する右壁135と、を有する。
【0053】
前壁131は、前後方向51,52に厚みを有する平板状である。前壁131は、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がっている。前壁131の前面および後面は、上下方向53,54よりも左右方向55,56に長い矩形状である。前壁131の左右方向55,56の長さは、定着部39の金属製プレート39aの左右方向55,56の長さよりも長い。前壁131は、第1拍車ホルダ74の後方側の外面と前後方向51,52において重なっている。
【0054】
前壁131の下端から前向き51に延びるガイド壁136が形成されている。ガイド壁136は、上下方向53,54に厚みを有する平板状である。ガイド壁136は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がっている。ガイド壁136は、前壁131の左端から右端まで至っている。ガイド壁136の上面および下面は、前後方向51,52よりも左右方向55,56に長い矩形状である。ガイド壁136の前端は、定着部39の金属製プレート39aの前端よりも前方に位置している。ガイド壁136の上面および下面は、僅かに下向き54に傾斜している。ガイド壁136は、第1拍車ホルダ74の第1嵌合部91と上下方向53,54において重なっている。
【0055】
後壁132は、前壁131の後方に位置している。後壁132は、前後方向51,52に厚みを有する平板状である。後壁132は、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がっている。後壁132は、前壁131と前後方向51,52に対向している。後壁132の前面および後面は、上下方向53,54よりも左右方向55,56に長い矩形状である。後壁132の左右方向55,56の長さは、定着部39の金属製プレート39aの左右方向55,56の長さよりも長い。
【0056】
底壁133は、前壁131の下端と後壁132の下端との間を塞いでいる。底壁133は、上下方向53,54に厚みを有する平板状である。底壁133は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がっている。底壁133の上面および下面は、前後方向51,52よりも左右方向55,56に長い矩形状である。底壁133の左右方向55,56の長さは、定着部39の金属製プレート39aの左右方向55,56の長さよりも長い。
【0057】
底壁133には、上下方向53,54に貫通する複数の第1スリット133Aが形成されている。複数の第1スリット133Aは、前後方向51,52に延びている。複数の第1スリット133Aは、前後方向51,52及び左右方向55,56に間隔を空けて配置されている。本実施形態では、前後方向51,52に間隔を空けて3つの第1スリット133Aが配置されるとともに、左右方向55,56に間隔を空けて5つの第1スリット133Aが配置されている。第1スリット133Aを通して第3拍車81Cが底壁133の下方へ突出している。第1スリット133Aの数は、第3拍車81Cの数に対応する。
【0058】
左壁134は、前壁131の左端と後壁132の左端と底壁133の左端との間を塞いでいる。左壁134は、左右方向55,56に厚みを有する平板状である。左壁134は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。
【0059】
右壁135は、前壁131の右端と後壁132の右端と底壁133の右端との間を塞いでいる。右壁135は、左右方向55,56に厚みを有する平板状である。右壁135は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。右壁135は、左壁134と左右方向55,56に対向している。右壁135の右面には、後向き52に延びる突出部137が形成されている。突出部137は、後壁132の後面よりも後方へ延びている。突出部137は、右壁135の右面における後端側の上部に形成されている。突出部137は、右壁135の右面から右向き56に延びて後向き52に屈曲したL字状に形成されている。突出部137の下端は、後述の第1位置にある支持機構116におけるロック部119の下ロック片119aに近接している(図5参照)。
【0060】
図7に示されるように、底壁133の上面には、上向き53に延びる複数の規制片138が形成されている。複数の規制片138は、各第1スリット133Aを左右方向55,56に挟むように配置されている。第1スリット133Aを挟む2つの規制片138は、第1スリット133Aから左右方向55,56に同一の間隔を空けて位置している。各規制片138は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がる平板状である。第1スリット133Aを左右方向55,56に挟む2つの規制片138の間隔は、第3拍車81Cの第1回転軸81CCの軸方向長さよりも僅かに長い。
【0061】
各第1スリット133Aを挟む2つの規制片138の間には、底壁133の上面から上方へ延びる2つの第1支持片139が形成されている。2つの第1支持片139は、第1スリット133Aから左右方向55,56に同一の間隔を空けて位置している。各第1支持片139は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がる平板状である。各第1支持片139には、上端に開口して下向き54に延びる第2スリット139Aが形成されている。第2スリット139Aは、第1支持片139の上端から底壁133の上面まで至っている。第2スリット139Aは、第1支持片139の前後方向51,52の中間に位置している。
【0062】
図7図8に示されるように、第1スリット133Aを挟む2つの第1支持片139の間には、底壁133の上面から上向き53に延びる2つの第2支持片140が形成されている。2つの第2支持片140は、第1スリット133Aから左右方向55,56に同一の間隔を空けて左右方向55,56に対向している。各第2支持片140は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がる平板状である。各第2支持片140は、前壁131の後面から後壁132の前面まで延びている。各第2支持片140は、第1支持片139よりも上方へ延びている。第1スリット133Aを挟む2つの第2支持片140の左右方向55,56の間隔は、拍車クリーナ81Dの回転部141の軸方向長さよりも僅かに長い。第2支持片140には、上端に開口して下向き54に延びる3つの第3スリット140Aが形成されている。3つの第3スリット140Aは、前後方向51,52に等間隔に配置されている。3つの第3スリット140Aは、第2支持片140の上端から底壁133の上面まで至っている。3つの第3スリット140Aは、各第1スリット133Aを挟む2つの第1支持片139の第2スリット139Aと左右方向55,56に重なっている。図9に示されるように、各第3スリット140Aの前後方向51、52に沿った長さL4は、第1回転軸81CCの直径D3よりも長い。
【0063】
蓋壁81Bは、内部空間81Eの上端を区画する天板部151と、天板部151の前端から下向き54に延びる前板部152と、天板部151の後端から下向き54に延びる後板部153と、天板部151の左端から下向き54に延びる左板部154と、天板部151の右端から下向き54に延びる右板部155と、を有する。
【0064】
天板部151は、上下方向53,54に厚みを有する平板状である。天板部151は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がっている。天板部151は、カバー本体81Aの前壁131の上端と後壁132の上端と左壁134の上端と右壁135の上端との間を塞いでいる。すなわち、天板部151は、カバー本体81Aの開口81AAを閉じている。天板部151の前端は、カバー本体81Aの前壁131よりも前方に位置している。天板部151の後端は、カバー本体81Aの後壁132よりも後方に位置している。天板部151の左端は、カバー本体81Aの左壁134よりも左方に位置している。天板部151の右端は、カバー本体81Aの右壁135よりも右方に位置している。天板部151の上面および下面は、前後方向51,52よりも左右方向55,56に長い略矩形状である。
【0065】
前板部152は、前後方向51,52に厚みを有する平板状である。前板部152は、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がっている。前板部152は、天板部151の左端から右端まで至っている。前板部152は、ガイド壁136に近接する位置まで下向き54に延びている。前板部152の左右方向55,56の中間部には、下端から上向き53に凹んだ把持部152Aが形成されている。把持部152Aは、ユーザの指を引っ掛けて、ジャムカバー81を後述の覆位置から露出位置まで回動しやすくするためのものである。
【0066】
後板部153は、前後方向51,52に厚みを有する平板状である。後板部153は、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がっている。後板部153は、天板部151の左端から右端まで至っている。後板部153の上下方向53,54の長さは、前板部152の上下方向53,54の長さよりも短い。
【0067】
左板部154は、前板部152の左端と後板部153の左端と天板部の左端との間を塞いでいる。左板部154は、左右方向55,56に厚みを有する平板状である。左板部154及び右板部155は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。左板部154の上下方向53,54の長さは、前板部152の上下方向53,54の長さよりも短い。
【0068】
右板部155は、前板部152の右端と後板部153の右端と天板部の右端との間を塞いでいる。右板部155は、左右方向55,56に厚みを有する平板状である。右板部155は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。右板部155の上下方向53,54の長さは、前板部152の上下方向53,54の長さよりも短い。
【0069】
図5に示されるように、蓋壁81Bは、天板部151の上面に配置された複数のねじ156によってカバー本体81Aに固定されている。図7に示されるように、天板部151の下面には、下向き54に延びる複数のリブ157が形成されている。複数のリブ157は、前後方向51,52及び左右方向55,56に間隔を空けて配置されている。複数のリブ157は、規制片138を避けるように先端部が二股状に形成されている。
【0070】
ジャムカバー81には、第3拍車81Cと拍車クリーナ81Dが組み込まれている。第3拍車81Cは、各第1スリット133Aを通じて底壁133の下方へ突出した状態になるとともに、第3拍車81Cの第1回転軸81CCが第1支持片139および第2支持片140によって回転自在に支持される。第3拍車81Cは、第1スリット133Aを挟む2つの規制片138に第1回転軸81CCの軸方向の両端が近接することによって左右方向55,56に位置決めされる。
【0071】
拍車クリーナ81Dは、第2回転軸142を有する。第2回転軸142は、左右方向55、56に沿って延びる。第2回転軸142は、円柱状の鋼材によって構成される。第2回転軸142は、第3スリット140Aの上端の開口を通して第3スリット140Aに挿入される。第2回転軸142は、第2支持片104によって回転可能に支持される。図9に示されるように、拍車クリーナ81Dは、上方から自重によって第3拍車81Cに当接した状態になるとともに、第2回転軸142が左右方向55、56に沿って第3スリット140Aに挿通された状態になる。第2回転軸142の直径D4は、第1回転軸81CCの直径D3よりも小さい。第3スリット140Aは、第1軸受溝および第2軸受溝の一例である。カバー本体81Aは、第1ホルダ部および第2ホルダ部の一例である。
【0072】
拍車クリーナ81Dは、回転部141の軸方向端面が2つの第2支持片140に近接することによって左右方向55,56に位置決めされる。蓋壁81Bがカバー本体81Aにねじ156により固定されることにより、第3拍車81Cと拍車クリーナ81Dがカバー本体81Aの内部から脱落することが蓋壁81Bによって防止されるとともに、複数のリブ157の先端部が第3拍車81Cの第1回転軸81CCに上方から接触した状態になり、第3拍車81Cが上下方向53,54に位置決めされる。
【0073】
図3図6に示されるように、ジャムカバー81は、左右方向55,56に延びる回動軸Bを中心に回動可能にサイドフレーム20,21に取り付けられている。回動軸Bは、カバー本体81Aの後方側の端部における下部に配置されている。ジャムカバー81は、定着部39が外部に露出しないように定着部39を覆う覆位置と、定着部39が外部へ露出する露出位置と、の間において回動可能である。本実施形態では、上記覆位置にあるジャムカバー81は、定着部39の上方を覆っている(図4の実線参照)。上記露出位置にあるジャムカバー81は、下筐体32の上方の開口を通して定着部39を外部へ露出させる(図4の破線参照)。
【0074】
支持部材46は、定着部39の前方に位置する。支持部材46の前部は、第2拍車72Bと上下方向53,54に対向している。支持部材46の後部は、第1拍車40Bと上下方向53,54に対向している。支持部材46は、第1排出ローラ対40によって前向き51に搬送されるシートSの下面を支持する。
【0075】
CIS25は、定着部39の前方に位置している。CIS25は、支持部材46の上方に位置する。CIS25は、前後方向51,52において第1排出ローラ対40と第2排出ローラ対72との間に位置する。CIS25は、LEDなどの光源から照射されてシートSで反射された反射光が、屈折率分布型レンズによりラインセンサに集光されることによって、ラインセンサが受光した反射光の強度に応じた電気信号を出力するものである。CIS25は、シートSの記録面(上面)の画像による反射光に応じた電気信号を出力する。CIS25のラインセンサが並ぶ方向、すなわち読取りラインは左右方向55,56に沿っている。CIS25の読取りラインの長さは、画像記録装置10において画像記録可能な最大のシートSの幅よりも長い。本実施形態では、CIS25の左右方向55,56の寸法は、金属製プレート39aの左右方向55,56の寸法と同程度である。
【0076】
カッターユニット26は、第2排出ローラ対72の前方に位置する。カッターユニット26は、カッターキャリッジ27にカッター28が搭載されたものである。カッターキャリッジ27は、不図示のベルト駆動機構などによって、左右方向55,56に移動する。カッターキャリッジ27の移動に伴って、カッター28も左右方向55,56に移動する。カッター28の移動によって、第2排出ローラ対72と排出口33との間に位置するシートSが左右方向55,56に沿って切断される。
【0077】
図3に示されるように、サイドフレーム20の左方に基板130が固定されている。基板130には、制御部となる演算素子、通信インタフェース用のチップ、各種コネクタなどが搭載されている。基板130は、不図示のフラットケーブルなどによって記録ヘッド38やモータ、操作パネル44などと電気信号を送受信可能に接続されている。また、基板130には、不図示の電源ユニットから電力が供給される。
【0078】
図10に示されるように、上筐体31の内部空間30Aに支持フレーム83が配置されている。支持フレーム83における左右方向55,56の両端が下方へ折り曲げられて4つの支持部82が形成されている。4個の支持部82は、それぞれが前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。4個の支持部82は、2個ずつが左右方向55,56に離れて対をなしている。各支持部82は、上下方向53,54の寸法よりも前後方向51,52の寸法が長い略矩形の平板形状である。支持フレーム83は、上筐体31の内壁面に固定されている。対をなす2個の支持部82は、左右方向55,56に延びる円柱状の第1シャフト84及び第2シャフト85をそれぞれ支持している。第1シャフト84は、第2シャフト85よりも後方に位置している。
【0079】
図10図11に示されるように、第1シャフト84及び第2シャフト85には、保持部材73が着脱可能に取り付けられている。図4に示されるように、保持部材73は、支持部材46の上方に位置している。保持部材73は、樹脂製の材料によって形成されている。保持部材73の材質は、一定以上の強度および耐熱性を確保できるものであれば、特に限定されることはない。例えば、保持部材73は、ポリプロピレン、ポリカーボネート、フェノール樹脂によって形成される。
【0080】
図12に示されるように、保持部材73は、第1拍車ホルダ74と、第2拍車ホルダ75と、第1拍車ホルダ74と第2拍車ホルダ75とを連結する第1連結部材76及び第2連結部材77と、第1シャフト84及び第2シャフト85に着脱可能に嵌合される第1嵌合部91及び第2嵌合部92と、を有する。
【0081】
図4図12に示されるように、第1拍車ホルダ74は、前後方向51,52においてCIS25と定着部39との間に位置している。第1拍車ホルダ74は、第1拍車40Bを保持する。第1拍車ホルダ74は、上向き53に開口する本体部74aと、本体部74aの開口を閉じる蓋部74bと、複数の第1拍車40Bと、複数の拍車クリーナ105と、を有する。本体部74aは、一体成形品である。本体部74aは、後壁部93、前壁部94、底壁部95、左壁部96、及び右壁部97を有する。
【0082】
図12に示されるように、後壁部93は、第1拍車40Bの後方に位置する。後壁部93は、前後方向51,52に厚みを有する平板状である。後壁部93は、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がっている。後壁部93の前面および後面は、上下方向53,54よりも左右方向55,56に長い矩形状である。後壁部93の左右方向55,56の長さは、定着部39の金属製プレート39aの左右方向55,56の長さよりも長い。後壁部93の左端93aは、金属製プレート39aの左端39aaよりも左方に位置している。後壁部93の右端93bは、金属製プレート39aの右端39abよりも右方に位置している。
【0083】
前壁部94は、第1拍車40Bの前方に位置する。前壁部94は、前後方向51,52に厚みを有する平板状である。前壁部94は、上下方向53,54及び左右方向55,56に拡がっている。前壁部94の前面および後面は、上下方向53,54よりも左右方向55,56に長い矩形状である。前壁部94の左右方向55,56の長さは、後壁部93の左右方向55,56の長さよりも短い。前壁部94は、後壁部93と前後方向51,52に対向している。
【0084】
底壁部95は、後壁部93の下端93bと前壁部94の下端94bとを繋いでいる。底壁部95は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がっている。底壁部95の後端側は、後壁部93の下端93bから下向き54に延びて前向き51に曲がるように形成されている。
【0085】
左壁部96は、左右方向55,56に厚みを有する平板状である。左壁部96は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。左壁部96は、前壁部94の後面における左側端部と後壁部93の前面における左側端部とを繋いでいる。右壁部97は、左右方向55,56に厚みを有する平板状である。右壁部97は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。右壁部97は、前壁部94の後面における右側端部と後壁部93の前面における右側端部とを繋いでいる。
【0086】
図12から図14に示されるように、後壁部93、底壁部95、及び前壁部94には、前後方向51,52に沿って延びる複数の第1スリット98が形成されている。複数の第1スリット98は、左右方向55,56に間隔を空けて配置されている。本実施形態では、5つの第1スリット98が設けられている。第1スリット98は、後壁部93の上下方向53,54の略中間位置から下向き54に延びて底壁部95の後端縁まで至っている。第1スリット98は、底壁部95の後端縁から前向き51に延びて前壁部94の下端94bまで至っている。第1スリット98は、前壁部94の下端94bから上向き53に延びて前壁部94の上下方向53,54の略中間位置まで至っている。
【0087】
図13に示されるように、底壁部95の上面から上方へ延びる複数の規制片99が形成されている。複数の規制片99は、各第1スリット98を左右方向55,56に挟むように配置されている。第1スリット98を挟む2つの規制片99は、第1スリット98から左右方向55,56に同一の間隔を空けて位置している。各規制片99は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がる平板状である。各規制片99は、後壁部93の前面から前壁部94の後面まで前後方向51、52に延びている。第1スリット98を挟む2つの第1規制片の左右方向55,56の間隔は、第1拍車40Bの第1回転軸101の軸方向長さよりも僅かに長い。
【0088】
各第1スリット98を挟む2つの規制片99の間には、底壁部95の上面から上方へ延びる2つの第1支持片102が形成されている。2つの第1支持片102は、第1スリット98から左右方向55,56に同一の間隔を空けて位置している。各第1支持片102は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がる平板状である。各第1支持片102は、後壁部93の前面から前壁部94の後面まで前後方向51,52に延びている。各第1支持片102は、上端に開口して下向き54に延びる第2スリット103を有する。第2スリット103は、第1支持片102の上端から底壁部95の上面に接近する位置まで至っている。第2スリット103は、第1支持片102の前後方向51,52の中間に位置している。
【0089】
各第1スリット98を挟む2つの第1支持片102の間には、底壁部95の上面から上方へ延びる2つの第2支持片104(図13において第2支持片の一部にのみ符号104を付している)は、第1スリット98から左右方向55,56に同一の間隔を空けて左右方向55,56に対向している。各第2支持片104は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がる平板状である。各第2支持片104は、後壁部93の前面から前壁部94の後面まで前後方向51,52に延びている。各第2支持片104は、第1支持片102よりも上方へ延びている。第1スリット98を挟む2つの第2支持片104の間隔は、拍車クリーナ105の回転部105aの軸方向長さよりも僅かに長い。
【0090】
図15に示されるように、各第2支持片104は、上下方向53、54に沿って延びる第3スリット106を有する。第3スリット106は、第2支持片104の前後方向51、52の中間に位置している。第3スリット106は、第2支持片104の上端から底壁部95の上面まで連続している。第3スリット106の上端は、上向き51に開放する。第3スリット106は、第2支持片104を前後方向51、52に沿って貫通する。第3スリット106の前後方向51、52に沿った長さL3は、第1回転軸101の直径D1よりも大きい。
【0091】
図12図13に示されるように、蓋部74bは、上下方向53,54に厚みを有する平板状である。蓋部74bは、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がっている。蓋部74bの上面および下面は、前後方向51,52よりも左右方向55,56に長い矩形状である。蓋部74bは、底壁部95と上下方向53,54に対向している。蓋部74bは、後壁部93の上端93aと前壁部94の上端94aとの間を塞いでいる。すなわち、蓋部74bは、本体部74aの開口を閉じている。蓋部74bは、左右方向55,56に間隔を空けて配置された複数のねじ107によって本体部74aに固定されている。蓋部74bには、下面から下向き54に延びる複数のリブ108が形成されている。複数のリブ108は、左右方向55,56に間隔を空けて配置されている。本実施形態では、複数のリブ108は、規制片99を避けるように先端部が二股状に形成された2つの第1リブ108aと、第1リブ108aよりも左右方向55,56の厚みが小さい6つの第2リブ108bと、を有する。
【0092】
図4図13に示されるように、蓋部74bの上端74bbと底壁部95の下端95aとの間の上下方向53,54の長さは、CIS25の上端25aと下端25bとの間の上下方向53,54の長さよりも長い。蓋部74bの上端74bbは、CIS25の上端25aよりも上方に位置している。底壁部95の下端95aは、CIS25の下端25bよりも下方に位置している。
【0093】
第1拍車40Bの第1回転軸101は、2つの第2支持片104の第3スリット106に上端の開口を通して挿入されるとともに、2つの第1支持片102の第2スリット103に上端の開口を通して挿入される。これにより、第1回転軸101は、左右方向55、56に沿って第2スリット103および第3スリット106に挿通された状態になる。第1拍車40Bは、第1スリット98を通じて後壁部93、底壁部95、及び前壁部94の外側へ突出した状態になるとともに、第1回転軸101が第1支持片102及び第2支持片104によって回転自在に支持される。第1拍車40Bは、第1スリット98を挟む2つの規制片99に第1回転軸101の軸方向の両端が近接することによって左右方向55,56に位置決めされる。
【0094】
拍車クリーナ105は、第2回転軸105bを有する。第2回転軸105bは、左右方向55、56に沿って延びる。第2回転軸105bは、円柱状の鋼材によって構成される。第2回転軸105bの直径D2は、第1回転軸101の直径D1よりも小さい。第2回転軸105bは、2つの第2支持片104の第3スリット106に上端の開口を通して挿入される。これにより、拍車クリーナ105が上方から自重によって第1拍車40Bに当接した状態になるとともに、第2回転軸105bが左右方向55、56に沿って第3スリット106に挿通された状態になる。本体部74aは、第1ホルダ部および第2ホルダの一例である。第3スリット106は、第1軸受溝および第2軸受溝の一例である。
【0095】
第2回転軸105bは、第2支持片104によって回転自在に支持される。拍車クリーナ105は、回転部105aの軸方向端面が2つの第2支持片104に近接することによって左右方向55,56に位置決めされる。蓋部74bが本体部74aにねじ107により固定されることにより、第1拍車40B及び拍車クリーナ105が第1拍車ホルダ74の内部から脱落することが蓋部74bによって防止されるとともに、複数のリブ108の先端部が第1拍車40Bの第1回転軸101に上方から接触した状態になり、第1拍車40Bが上下方向53,54に位置決めされる。
【0096】
図4図12に示されるように、第2拍車ホルダ75は、第1拍車ホルダ74の前方に間隔を開けて位置している。第2拍車ホルダ75は、第2拍車72Bを保持する。第2拍車ホルダ75は、第1拍車ホルダ74と同じ構成を有する。このため、第2拍車ホルダ75において第1拍車ホルダ74と対応する要素については、第1拍車ホルダ74と同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0097】
第1連結部材76は、上下方向53,54に厚みを有する平板状である。第1連結部材76は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がっている。第1連結部材76の上面および下面は、左右方向55,56よりも前後方向51,52に長い矩形状である。第1連結部材76は、第1拍車ホルダ74の左側の端部と、第2拍車ホルダ75の左側の端部と、を連結している。具体的には、第1連結部材76は、第1拍車ホルダ74の底壁部95の前端縁と、第2拍車ホルダ75の底壁部95の後端縁と、を連結している。
【0098】
第2連結部材77は、第1連結部材76と同様の形状を有する。第2連結部材77は、第1拍車ホルダ74の右側の端部と第2拍車ホルダ75の右側の端部とを連結している。具体的には、第2連結部材77は、第1拍車ホルダ74の底壁部95の前端縁と、第2拍車ホルダ75の底壁部95の後端縁と、を連結している。
【0099】
第1嵌合部91は、第1拍車ホルダ74に配置されている。第1嵌合部91は、第1拍車ホルダ74の後壁部93の後面に位置している。第1嵌合部91は、後壁部93の後面の左右方向55,56の中央部に配置された中央嵌合部91aと、後壁部93の後面の左右方向55,56の両端部に配置された両端嵌合部91bと、を有する。
【0100】
中央嵌合部91aは、後壁部93の後面において左右方向55,56の中央に配置された第1凸部111と、後壁部93の後面において第1凸部111から左右方向55,56に間隔を空けて配置された2つの第2凸部112と、を有する。第1凸部111は、後壁部93の後面の上端部から後向き52に延びている。第1凸部111は、前向き51に視て下向き54の略U字状に形成されている。第2凸部112は、後壁部93の後面において第1凸部111の下端よりも下方の位置から後向き52に延びている。第2凸部112は、前後方向51,52及び左右方向55,56に拡がる平板部112aと、平板部112aの左右方向55,56の両縁に形成された円弧状部112bと、を有する。円弧状部112bは、第1シャフト84の外周面に沿った円弧状に形成されている。図9に示されるように、第1凸部111の下端と平板部112aの上面との間の上下方向53,54の間隔L1は、第1シャフト84の直径よりも僅かに短い。
【0101】
図12に示されるように、両端嵌合部91bは、後壁部93の後面において左右方向55,56の両端縁に位置する第1嵌合片113と、第1嵌合片113から左右方向55,56に間隔を空けて位置する第2嵌合片114と、を有する。第1嵌合片113は、後壁部93の後面の下端部から後向き52に延びている。第1嵌合片113は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。第1嵌合片113の上縁は、第1シャフト84の外周面に沿った円弧状に形成されている。第2嵌合片114は、後壁部93の後面の上端部から後向き52に延びている。第2嵌合片114は、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。第2嵌合片114の下縁は、第1シャフト84の外周面に沿った円弧状に形成されている。第1嵌合片113の上縁と第2嵌合片114の下縁との間の上下方向53,54の間隔は、第1凸部111の下端と平板部112aの上面との間の上下方向53,54の間隔L1と等しい。すなわち、第1嵌合片113の上縁と第2嵌合片114の下縁との間の上下方向53,54の間隔は、第1シャフト84の直径よりも僅かに短い。なお、両端嵌合部91bと中央嵌合部91aのうちの一方が省略されてもよい。
【0102】
図12図16に示されるように、第2嵌合部92は、第2拍車ホルダ75に配置されている。第2嵌合部92は、第2拍車ホルダ75の前壁部94の前面に位置している。第2嵌合部92は、前壁部94の前面における左右方向55,56の両端部および中央部に配置されている。第2嵌合部92は、複数の第3嵌合片92aと連結片92bと第3凸部92cとを有する。
【0103】
複数の第3嵌合片92aは、前壁部94の前面において左右方向55,56に間隔を空けて形成されている。複数の第3嵌合片92aは、前壁部94の前面から前向き52に延びている。複数の第3嵌合片92aは、前後方向51,52及び上下方向53,54に拡がっている。複数の第3嵌合片92aの上縁は、左右方向55,56から視て略U字状に形成されている(図14参照)。連結片92bは、左右方向55,56に隣り合う第3嵌合片92aの前端縁を連結している。第3凸部92cは、前壁部94の前面の上部から前向き51突出している。第3凸部92cは、左右方向55,56に隣り合う第3嵌合片92aの間に位置している。第3凸部92cの前端縁と第3嵌合片92aの上縁との間の前後方向51,52の間隔L2は、第2シャフト85の直径よりも僅かに短い(図14参照)。
【0104】
なお、両端部の第2嵌合部92は、2つの第3嵌合片92aを有し、中央部の第2嵌合部92は、4つの第3嵌合片92aを有しているが、各第2嵌合部92は、1つ以上の第3嵌合片92aを有していればよい。また、中央部の第2嵌合部92と両端部の第2嵌合部92のうちの一方が省略されてもよい。
【0105】
上記のように構成された保持部材73は、次のようにして第1シャフト84及び第2シャフト85を介して支持フレーム83に着脱される。
【0106】
まず、ユーザは、第1嵌合部91に第1シャフト84を嵌合する。具体的には、ユーザは、第1凸部111及び第2凸部112の弾性力に抗して中央嵌合部91aに第1シャフト84を嵌め込むとともに、第1嵌合片113及び第2嵌合片114の弾性力に抗して両端嵌合部91bに第1シャフト84を嵌め込む。
【0107】
次に、ユーザは、第2嵌合部92に第2シャフト85を嵌合する。具体的には、まず、ユーザは、第1嵌合部91に嵌め込まれた第1シャフト84を中心として第2シャフト85に近接する位置まで上向き53に保持部材73を回動する。次いで、ユーザは、第3凸部92c及び第3嵌合片92aの弾性力に抗して第2嵌合部92に第2シャフト85を嵌め込む。これにより、第3凸部92cが第2シャフト85の上側に接触した状態になり、第2シャフト85が第2嵌合部92から上向き53に抜けてしまうことが防止される。このようにして、保持部材73が第1シャフト84及び第2シャフト85を介して支持フレーム83に取り付けられる。
【0108】
一方、例えば、拍車クリーナ105の交換のため、保持部材73を第1シャフト84及び第2シャフト85から取り外すときは、上記と逆の手順で行われる。ユーザは、保持部材73を第1シャフト84及び第2シャフト85から取り外した後、第1拍車ホルダ74及び第2拍車ホルダ75の蓋部74bを本体部74aから取り外すことにより、拍車クリーナ105を容易に交換することができる。
【0109】
次に、画像記録装置10の動作について説明する。なお、第2拍車ホルダ75における第2拍車72Bおよび拍車クリーナ105の動作は、第1拍車ホルダ74における第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105と同じ動作を行う。このため、第2拍車ホルダ75における第2拍車72Bおよび拍車クリーナ105についての動作の説明については、省略され、第1拍車ホルダ74における第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105の動作の説明が援用される。同様に、ジャムカバー81における第3拍車81Cおよび拍車クリーナ81Dの動作は、第1拍車ホルダ74における第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105と同じ動作を行う。このため、ジャムカバー81における第3拍車81Cおよび拍車クリーナ81Dの動作の説明については、第1拍車ホルダ74における第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105の動作の説明が援用される。
【0110】
まず、シートSを前向き51へ搬送する正搬送が実行される。具体的には、搬送ローラ36A、排出ローラ40A、および排出ローラ72AがシートSを前向き51へ搬送する正回転向きに回転する。これにより、シート収容空間30Cのロール体37から隙間42を介して上向き53にシートSが引き出される。ロール体37から引き出されたシートSは、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとの間にニップされつつ前向き51に搬送される。搬送ローラ対36によって前向き51に搬送されたシートSは、支持機構116の支持部118で支持される。このとき、記録ヘッド38のノズル38Aからインクが下方へ吐出されることにより、シートSの上面に画像が記録される。シートSの上面に画像が記録されたシートSは、搬送ベルト117によって前向き51に搬送される。
【0111】
搬送ベルト117によって前向き51に搬送されるシートSは、定着部39の金属製プレート39aの上面で支持される。このとき、複数の第3拍車81CがシートSに接触することにより、金属製プレート39aの上面に対するシートSの浮き上がりが抑制される。シートSが金属製プレート39a上を通過する間に、金属製プレート39aの熱によってシートS及びインクが加熱される。これにより、インクに含まれる熱可塑性樹脂微粒子が溶融し、その後の空気による冷却により硬化して、顔料がシートSの上面に定着する。
【0112】
定着部39で加熱されたシートSは、第1排出ローラ対40の排出ローラ40Aと第1拍車40Bとの間にニップされつつ前向き51に搬送される。このとき、前向き51に搬送されるシートSから第1拍車40Bへ前向き51の力が作用するので、第1拍車40Bが前向き51に移動して第1回転軸101が第3スリット106の前側の内面に押し付けられる。そして、上方から第1拍車40Bに自重により当接する拍車クリーナ105は、第1拍車40Bが前向き51へ移動する力によって第1拍車40Bとともに前向き51に移動する。このとき、第2回転軸105bの直径は、第1回転軸101の直径よりも小さいので、第2回転軸105bが、第1回転軸101よりも前方へ位置した状態になる。
【0113】
その結果、図17に示されるように、拍車クリーナ105は、第1拍車40Bにおける前後方向51、52の中心101Cよりも前寄りの部位A1に上方から当接しやすい状態になる。そして、第1拍車40Bは、シートSを前向き51に搬送する正回転向き(図17では、時計回り)に回転するため、第1拍車40Bから拍車クリーナ105に僅かに後向き52の成分を含む斜め上向きの力F1が作用しやすい。このとき、拍車クリーナ105は、第3スリット106を上方へ移動できるので、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがない。また、第1拍車40Bの回転と拍車クリーナ105の回転によって生じる衝撃が第1回転軸101の弾性変形によって緩和されるので、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがより確実に防止される。
【0114】
そして、第1拍車40Bに付着したインクは、第1拍車40Bに当接する拍車クリーナ105が従動回動することによって除去される。第1排出ローラ対40によって前向き51に搬送されたシートSは、支持部材46によって支持される。支持部材46によってシートSが支持されると、CIS25は、シートSの上面(記録面)に向けて光源から光を照射し、シートSで反射された反射光の強度に応じた電気信号を出力する。これにより、シートSの上面(記録面)の画像がCIS25によって読み取られる。
【0115】
CIS25によって画像が読み取られたシートSは、第2排出ローラ対72によって前向き51に搬送される。このとき、第2拍車72Bに付着したインクは、第2拍車72Bに当接する拍車クリーナ105が従動回動することによって除去される。第2排出ローラ対72によって前向き51に搬送されたシートSは、前側部分が排出口33から筐体30の外部に露出した状態でカッターユニット26により左右方向55,56に沿って切断される。カッターユニット26によって切断されたシートSは、排出口33から排出される。
【0116】
シートSがカッターユニット26によって切断されると、シートSを後向き52へ搬送する逆搬送が実行される。具体的には、搬送ローラ36A、排出ローラ40A、および排出ローラ72Aが、シートSを後向き52に搬送する逆回転向きに回転する。これにより、シートSは、搬送ローラ対36、第1排出ローラ対40、及び第2排出ローラ対72にニップされつつ後向き52に搬送される。
【0117】
このとき、後向き52に搬送されるシートSから第1拍車40Bへ後向き51の力が作用するので、第1拍車40Bが後向き52に移動して第1回転軸101が第3スリット106の後側の内面に押し付けられる。そして、上方から第1拍車40Bに自重により当接する拍車クリーナ105は、第1拍車40Bが後向き52へ移動する力によって第1拍車40Bとともに後向き52に移動する。このとき、第2回転軸105bの直径は、第1回転軸101の直径よりも小さいので、第2回転軸105bが、第1回転軸101よりも後方へ位置した状態になる。
【0118】
その結果、図18に示されるように、拍車クリーナ105は、第1拍車40Bにおける前後方向51、52の中心101Cよりも後寄りの部位A2に上方から当接しやすい状態になる。そして、第1拍車40Bは、シートSを後向き51に搬送する逆回転向き(図18では、反時計回り)に回転するため、第1拍車40Bから拍車クリーナ105に僅かに前向き51の成分を含む斜め上向きの力F2が作用しやすい。このとき、拍車クリーナ105は、第3スリット106を上方へ移動できるので、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがない。また、第1拍車40Bの回転と拍車クリーナ105の回転によって生じる衝撃が第1回転軸101の弾性変形によって緩和されるので、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがより確実に防止される。
【0119】
そして、シートSの先端部が搬送ローラ対36の位置に到達すると、搬送ローラ36A、排出ローラ40A、および排出ローラ72Aが停止する。その後、所定枚数のシートSに画像が記録されるまで、シートSを前向き51に搬送する正搬送とシートSを後向き52に搬送する逆搬送とが繰り返し行われる。
【0120】
[実施形態の作用効果]
画像記録装置10では、シートSを前向き51へ搬送する正搬送では、前向き51へ搬送されるシートSから第1拍車40Bへ前向き51の力が作用するので、第1回転軸101は、前向き51へ移動して第3スリット106の内面における前側に押し付けられる。このとき、上方から第1拍車40Bに自重により当接する拍車クリーナ105は、第1回転軸101が搬送方向へ移動する力によって第1拍車40Bから前向き51の力を受けるので、第1拍車40Bとともに前向き51へ移動する。そして、第2回転軸105bの直径は、第1回転軸101の直径よりも小さいので、第2回転軸105bは、第1回転軸101よりも前向き51へ位置した状態になる。このため、拍車クリーナ105は、シートSを前向き51へ搬送する正回転向きに回転する第1拍車40bから上向き53の力を受けるが、第2回転軸105bが第3スリット106を上方へ移動できるので、第1拍車40bが拍車クリーナ105に食い込むことがない。
【0121】
一方、シートSを後向き52へ搬送する逆搬送では、後向き52へ搬送されるシートSから第1拍車40Bへ後向き52の力が作用するので、第1回転軸101は、後向き52へ移動して第3スリット106の内面における後側に押し付けられる。このとき、上方から第1拍車40Bに自重により当接する拍車クリーナ105は、第1回転軸101が後向き52へ移動する力によって第1拍車40Bから後向き52の力を受けるので、第1拍車40Bとともに後向き52へ移動する。そして、第2回転軸105bの直径は、第1回転軸101の直径よりも小さいので、第2回転軸105bは、第1回転軸101よりも後方へ位置した状態になる。このため、拍車クリーナ105は、シートSを後向き52へ搬送する逆回転向きに回転する第1拍車40Bから上向き53の力を受けるが、第2回転軸105bが第3スリット106を上方へ移動できるので、第1拍車40bが拍車クリーナ105に食い込むことがない。
【0122】
画像記録装置10では、第2支持片104の上部および下部は、一体成形品であるので、第2支持片104の組付けが容易である。
【0123】
画像記録装置10では、第3スリット106は、上下方向53、54に沿って連続して延びるので、第1拍車40Bと拍車クリーナ105との間の位置精度が高い。このため、拍車クリーナ105は、第1拍車40Bに付着したインクをより確実に除去できる。
【0124】
画像記録装置10では、第3スリット106の上端は、上方に開口する。このため、ユーザは、第1回転軸101および第2回転軸105bを上方から第3スリット106に挿入できるので、第1拍車40Bおよび拍車クリーナ105を第2支持片104に組み付ける作業が容易である。
【0125】
画像記録装置10では、第1回転軸101は、コイルバネによって構成される。このため、第1回転軸101の回転と第2回転軸105bの回転とによって生じる衝撃が第1回転軸101の弾性変形によって緩和される。したがって、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがより確実に防止される。
【0126】
[変形例]
画像記録装置10では、第1回転軸101および第2回転軸105bを保持する本体部74aは、一体成形品であったが、一体成形品でなくてもよい。また、第1回転軸81CCおよび第2回転軸142を保持するカバー本体81Aは、一体成形品であったが、一体成形品でなくてもよい。例えば、第1回転軸101を保持するホルダと、第2回転軸105bを保持するホルダと、が別体に構成されてもよい。
【0127】
画像記録装置10では、第3スリット106は、上端から下端に亘って連続したが、連続していなくてもよい。例えば、第3スリット106の上部と下部とが隔壁によって分離されていてもよい。
【0128】
画像記録装置10では、第3スリット106の上端は、上方に開口したが、開口していなくてもよい。
【0129】
画像記録装置10では、第1回転軸101は、コイルバネによって構成されたが、円柱状の鋼材によって構成されてもよい。
【0130】
画像記録装置10では、第1回転軸101の直径D1は、第2回転軸105bの直径D2よりも大きかったが、図19に示されるように、第2回転軸105bの直径D2と同じでもよい。この場合、第1回転軸101は、左右方向55、56に沿って延びるコイルバネによって構成される。
【0131】
変形例の画像記録装置では、シートSを前向き51へ搬送する正搬送では、前向き51へ搬送されるシートSから第1拍車40Bへ前向き51の力が作用するので、第1回転軸101は、前向き51へ弾性変形しつつ、前向き51へ移動して第3スリット106の内面における前側に押し付けられる。このとき、上方から第1拍車40Bに自重により当接する拍車クリーナ105は、第1回転軸101が前向き51へ移動する力によって第1拍車40Bから前向き51の力を受けるので、第1拍車40Bとともに前向き51へ移動する。
【0132】
そして、シートSの搬送開始時から時間が経過するにつれてシートSの加速度が小さくなるので、シートSから第1拍車40Bへ作用する力が小さくなっていく。このため、第1回転軸101は、自身に生じる弾性力P1によって後向き52へ移動しやすい状態になる。その結果、図20に示されるように、第2回転軸105bは、第1回転軸101よりも前向き51に位置した状態になりやすい。拍車クリーナ105は、第1拍車40Bにおける前後方向51、52の中心101Cよりも前寄りの部位A3に上方から当接しやすい状態になる。そして、第1拍車40Bは、シートSを前向き51に搬送する正回転向き(図20では、時計回り)に回転するため、第1拍車40Bから拍車クリーナ105に僅かに後向き52の成分を含む斜め上向きの力F3が作用しやすい。このとき、第2回転軸105bは、第3スリット106を上方へ移動できるので、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがない。
【0133】
一方、シートSを後向き52へ搬送する逆搬送では、後向き52へ搬送されるシートSから第1拍車40Bへ後向き52の力が作用するので、第1回転軸101は、後向き52へ弾性変形しつつ、後向き52へ移動して第3スリット106の内面における後側に押し付けられる。このとき、上方から第1拍車40Bに自重により当接する拍車クリーナ105は、第1回転軸101が後向き52へ移動する力によって第1拍車40Bから後向き52の力を受けるので、第1拍車40Bとともに後向き52へ移動する。
【0134】
そして、シートSの搬送開始時から時間が経過するにつれてシートSの加速度が小さくなるので、シートSから第1拍車40Bに作用する力が小さくなっていく。このため、第1回転軸101は、自身に生じる弾性力P2によって前向き51へ移動しやすい状態になる。その結果、図21に示されるように、第2回転軸105bは、第1回転軸101よりも後向き52に位置した状態になりやすい。拍車クリーナ105は、第1拍車40Bにおける前後方向51、52の中心101Cよりも後寄りの部位A4に上方から当接しやすい状態になる。そして、第1拍車40Bは、シートSを後向き52に搬送する逆回転向き(図21では、反時計回り)に回転するため、第1拍車40Bから拍車クリーナ105に僅かに前向き51の成分を含む斜め上向きの力F4が作用しやすい。このとき、第2回転軸105bは、第3スリット106を上方へ移動できるので、第1拍車40Bが拍車クリーナ105に食い込むことがない。
【符号の説明】
【0135】
10・・・画像記録装置
38・・・記録ヘッド
39・・・定着部
40B・・・第1拍車(拍車)
71・・・搬送部
72B・・・第2拍車(拍車)
74a・・・本体部74a(第1ホルダ部および第2ホルダ部)
81A・・・カバー本体81(第1ホルダ部および第2ホルダ部)
81C・・・第3拍車(拍車)
81CC・・・第1回転軸
101・・・第1回転軸
105・・・拍車クリーナ
105b・・・第2回転軸
106・・・第3スリット(第1軸受溝および第2軸受溝)
140A・・・第3スリット(第1軸受溝および第2軸受溝)
142・・・第2回転軸
L3・・・長さ
D1・・・直径
D2・・・直径
S・・・シート
図1
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