(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078483
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B65H 5/00 20060101AFI20240604BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65H5/00 B
B41J2/01 305
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190891
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】清水 慶和
(72)【発明者】
【氏名】田中 貢
【テーマコード(参考)】
2C056
3F101
【Fターム(参考)】
2C056HA29
2C056HA58
3F101AB01
3F101AB19
3F101FB15
3F101FC11
3F101FC16
3F101FE02
3F101LA07
3F101LB03
(57)【要約】
【課題】部材への歪みの発生を抑制することで操作性が向上する搬送装置を提供する。
【解決手段】 搬送装置100は、筐体30と、搬送路43に沿って記録媒体を搬送方向8Aへ搬送する搬送部と、搬送部より搬送方向8Aの下流に位置しており、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能なガイド部材と、を備えており、ガイド部材は、第1姿勢において記録媒体をガイドするガイド面と、第2姿勢において筐体30と嵌合する嵌合部53と、取手54と、を有しており、嵌合部53は、ガイド部材の回動軸線に沿った軸線方向において、ガイド面の一方の側方に位置しており、取手54は、軸線方向において、ガイド面の一方の側方に位置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
搬送路に沿って記録媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、
上記搬送部より上記搬送方向の下流に位置しており、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能なガイド部材と、を備えており、
上記ガイド部材は、
上記第1姿勢において上記記録媒体をガイドするガイド面と、
上記第2姿勢において上記筐体と嵌合する嵌合部と、
取手と、を有しており、
上記嵌合部は、上記ガイド部材の回動軸線に沿った軸線方向において、上記ガイド面の一方の側方に位置しており、
上記取手は、上記軸線方向において、上記ガイド面の一方の側方に位置する搬送装置。
【請求項2】
上記嵌合部は、上記軸線方向に交差する方向の位置が上記取手の位置と重なる請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記取手は、上記第1姿勢において、上記回動軸線より上記搬送方向の下流に位置する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記筐体は、上記軸線方向に延びる棒体を備えており、
上記嵌合部は、上記第2姿勢において、上記棒体に嵌合する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項5】
光学ラインセンサを更に備えており、
上記ガイド部材は、上記軸線方向に延びており、上記第1姿勢において上記光学ラインセンサと対向する白基準板をさらに備えている請求項1に記載の搬送装置。
【請求項6】
上記ガイド部材は、上記ガイド面と反対側に位置するクリーナを更に備えており、
上記クリーナは、上記第2姿勢において、上記回動軸線から上記ガイド部材が延びる延出方向へ引き抜き可能である請求項1から5のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筐体に対して回転可能なガイド部材を備える搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置の一例として、矩形板状の部材(経路形成部材)を用いて用紙の搬送経路を区画する記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。部材は、用紙に画像を記録する記録部の上方に位置する。部材は、搬送装置の筐体を支点として回動可能である。部材の回動により、筐体から記録部を露出する開放状態と、記録部を遮蔽する閉塞状態とが切り替えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
部材の開閉動作では、把持された部材が移動されることで回動する。部材が板状であるため、部材の把持位置や、開放された状態で部材を留めるための留め機構の構成によっては、部材の回動において部材に歪みが発生することがある。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、回動される部材への歪みの発生を抑制する搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る搬送装置は、筐体と、搬送路に沿って記録媒体を搬送方向へ搬送する搬送部と、上記搬送部より上記搬送方向の下流に位置しており、第1姿勢と第2姿勢とに回動可能なガイド部材と、を備える。上記ガイド部材は、上記第1姿勢において上記記録媒体をガイドするガイド面と、上記第2姿勢において上記筐体と嵌合する嵌合部と、取手と、を有する。上記嵌合部は、上記ガイド部材の回動軸線に沿った軸線方向において、上記ガイド面の一方の側方に位置する。上記取手は、上記軸線方向において、上記ガイド面の一方の側方に位置する。
【0007】
上記構成によれば、ガイド部材を第1状態と第2状態との間で回動させる力は、取手から嵌合部に作用する。軸線方向においてガイド面の一方に取手および嵌合部が位置しているので、取手から嵌合部までの距離が短くなる。ガイド部材の歪みを抑制できるので、ガイド部材を回動する際の操作性が向上する。
【0008】
(2) 上記嵌合部は、上記軸線方向に交差する方向の位置が上記取手の位置と重なってもよい。
【0009】
上記構成によれば、ガイド部材をさらに歪み難くできるので、操作性が向上する。
【0010】
(3) 上記取手は、上記第1姿勢において、上記回動軸線より上記搬送方向の下流に位置してもよい。
【0011】
搬送方向の下流側に取手が位置することで、搬送方向の下流側から取手に容易にアクセスできる。取手から回動にかける力を小さくできるので、ガイド部材の回動が容易になる。
【0012】
(4) 上記筐体は、上記軸線方向に延びる棒体を備えており、上記嵌合部は、上記第2姿勢において、上記棒体に嵌合してもよい。
【0013】
上記構成によれば、第2姿勢から第1姿勢への意図しないガイド部材の回動が抑制される。
【0014】
(5) 本搬送装置は、光学ラインセンサを更に備えており、上記ガイド部材は、上記軸線方向に延びており、上記第1姿勢において上記光学ラインセンサと対向する白基準板をさらに備えていてもよい。
【0015】
(6) 上記ガイド部材は、上記ガイド面と反対側に位置するクリーナを更に備えており、上記クリーナは、上記第2姿勢において、上記回動軸線から上記ガイド部材が延びる延出方向へ引き抜き可能であってもよい。
【0016】
上記構成によれば、第2姿勢において、ガイド部材からクリーナを容易に脱着できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部材への歪みの発生を抑制することで操作性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図2】
図2は、搬送装置の内部構造を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、搬送装置の支持部材を開放した状態の内部構造を示す縦断面図である。
【
図4】
図4は、嵌合部を拡大した部分拡大図である。
【
図7】
図7は、回動された排出ユニットを示す斜視図である。
【
図8】
図8は、回動された排出ユニットを示す斜視図である。
【
図9】
図9は、前後方向に沿って位置する嵌合部と取手とを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0020】
また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、搬送装置100が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、搬送装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0021】
[搬送装置100の外観構成]
図1に示される搬送装置100は、インクジェット記録方式でロール体37(
図2および
図3参照)をなすシートS(記録媒体の一例)に画像を記録する。
【0022】
搬送装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31および下筐体32を備える。上筐体31および下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。筐体30は、右壁部30Rおよび左壁部30Lと、上壁部30Uおよび下壁部30D(
図2参照)と、前壁部30Fおよび後壁部30Bと、を有する。右壁部30Rおよび左壁部30Lは、左右方向9に離れて位置する。上壁部30Uおよび下壁部30Dは、上下方向7に離れて位置する。前壁部30Fおよび後壁部30Bは、前後方向8に離れて位置する。
【0023】
前壁部30Fには、ヘッド38(
図2参照)によって記録されたシートSが排出される排出口33が形成されている。排出口33は、前壁部30Fの上部に位置している。排出口33は、上下方向7よりも左右方向9に長い矩形状である。前壁部30Fの上部には、操作パネル44が設けられている。操作パネル44は、搬送装置100を動作させたり各種設定を画定したりするための入力を作業者から受け付ける。
【0024】
筐体30は、第1上カバー31Aと第2上カバー31Bとを有する。第1上カバー31Aは、上壁部30Uの後方側の一部と右壁部30Rの後方側の上部を形成している(
図1参照)。第1上カバー31Aは、左右方向9に延びる回動軸15(
図2参照)を中心に回動可能に後壁部30Bの上端部に連結されている。第1上カバー31Aは、
図1および
図2に示される閉位置から、上壁部30Uの後方側の一部が上方へ持ち上げられるようにして回動されて、
図3に示される開位置まで回動する。第1上カバー31Aが開位置まで回動すると、筐体30の内部空間30Aが外部へ露出される。
【0025】
第2上カバー31Bは、第1上カバー31Aの前方に位置している。第2上カバー31Bは、左壁部30Lの上部と右壁部30Rの前方側の上部と上壁部30Uの前方側と上壁部30Uの後方側の一部とを形成している(
図1参照)。第2上カバー31Bは、左右方向9に延びる回動軸15を中心に回動可能に後壁部30Bの上端部に連結されている。第2上カバー31Bは、
図1に示される閉位置から、
図3に示されるように、上壁部30Uの前方側の一部が上方へ持ち上げられるようにして回動されて開位置まで回動する。閉位置の第2上カバー31Bは、筐体30の内部空間30Aを塞ぐ(
図2参照)。開位置の第2上カバー31Bは、筐体30の内部空間30Aを外部に対して開く。
【0026】
図2および
図3に示されるように、第2上カバー31Bには、後述する棒体22に係合可能な係合部29が位置している。係合部29は、第2上カバー31Bに固定されている。閉位置にある第2上カバー31Bにおいて、係合部29は、棒体22と係合することにより、棒体22によって支持される。
【0027】
第2上カバー31Bには、後述するヒータカバー71を押圧する押圧部24が位置している。押圧部24は、ヒータカバー71を押圧することにより、後述する排出ユニット50を押圧する。
【0028】
図2に示されるように、搬送路43は、筐体30の内部空間30Aにおいてロール紙収容空間30Cから上向きに延びた後、排出口33まで前向きに延びている。具体的には、搬送路43は、第1搬送路43Aおよび第2搬送路43Bを有する。第1搬送路43Aは、ロール紙収容空間30Cから隙間42を通って後述のテンショナ45の上端まで上向き53に延びた後、搬送ローラ対36まで前向きに延びている。第2搬送路43Bは、搬送ローラ対36から前向きに延びて排出口33に繋がっている。
【0029】
[搬送装置100の内部構成]
筐体30の内部空間30Aには、2つのサイドフレーム20,21が設けられている(
図2,
図3、および
図5から
図8参照)。各サイドフレーム20,21は、鋼板からなる平板形状であり、支持する部材に応じた形状の切り欠きや貫通孔が適宜形成されている。2つのサイドフレーム20,21は、左右方向9に離れて位置する。各サイドフレーム20,21は、筐体30の下壁部30Dに連結されている。各サイドフレーム20の連結は、ネジ止めや溶接によりなされている。
【0030】
筐体30の内部空間30Aには、
図2および
図3に示されるように、ロール体ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、ヘッド38、支持機構116、棒体22、排出ユニット50(ガイド部材の一例)、光学的ラインセンサ25、排出ローラ対40、カッターユニット26、およびメンテナンス機構60が配置されている。
【0031】
筐体30の内部空間30Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間30Aの後方側の下部を仕切って、ロール紙収容空間30Cを区画する。ロール紙収容空間30Cは、隔壁41、後壁部30B、及び下壁部30Dによって包囲され、ヘッド38などから隔離された空間である。
【0032】
ロール紙収容空間30Cには、ロール体37、及びロール体ホルダ35が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。シートSは、搬送装置100が画像を記録可能な最小幅から最大幅までの幅をとり得る。すなわち、ロール紙収容空間30Cには、幅が異なる複数種類のロール体37が収容可能である。なお、ロール体37は、芯管を有さず、シートSがロール体ホルダ35に装着可能にロール状に巻回されていてもよい。
【0033】
ロール紙収容空間30Cは、後部において上向き53に開口している。詳細には、隔壁41と後壁部30Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、ロール体ホルダ35によってロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0034】
ロール体ホルダ35は、ロール紙収容空間30Cに位置している。ロール体ホルダ35は、図示しないモータからの駆動力によって回転することでロール体37を回転させる。これにより、ロール体ホルダ35は、ロール体37からシートSを繰り出す。
【0035】
テンショナ45は、内部空間30Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、後壁部30Bに対向する外周面45Aを有している。外周面45Aは、左右方向9においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心に対して互いに対称な形状を有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップDと概ね同じ上下位置にある。
【0036】
搬送ローラ対36は、テンショナ45の前方に位置する。搬送ローラ対36は、テンショナ45によって案内されたシートSを前向き51に搬送する。具体的には、搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Bとピンチローラ36Aとを有する。搬送ローラ36Bは、サイドフレーム20に回転可能に支持されている。搬送ローラ36Bは、図示しないモータから駆動伝達されて回転することによって、ピンチローラ36Aとの間にシートSをニップしつつ前向きにシートSを搬送する。搬送ローラ対36は、搬送部の一部を構成する。
【0037】
ヘッド38は、搬送ローラ対36の前方であって、排出ローラ対40よりも後方に位置する。ヘッド38は、複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aは、支持機構116に支持されたシートSへ向かってインクを液滴として下方へ吐出する。これにより、シートSの上面に画像が記録される。ヘッド38には、筐体30の内部空間30Aに配置されたインクタンク(図示せず)がチューブ(図示せず)によってインクを供給可能に接続されている。インクとしては、例えば、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含む水性インクが用いられる。本実施形態におけるインクは、加熱によってシートSに定着させることができるものであれば、特に限定されることはない。
【0038】
支持機構116は、搬送ローラ対36よりも前方に位置する。支持機構116は、ヘッド38の下方に位置している。支持機構116は、ヘッド38と上下方向7に対向している。支持機構116は、搬送ベルト117と、搬送ベルト117を支持する支持部118と、を有する。搬送ベルト117は、回転することによって、シートSの下面を支持しつつ前向きにシートSを搬送する。搬送ベルト117は、搬送部の一部を構成する。
【0039】
図5に示されるように、サイドフレーム20,21の間には、棒体22が位置している。棒体22は、左右方向に延びる。棒体22の両端は、サイドフレーム20,21に支持されている。
図2および
図3に示されるように、棒体22は、ヘッド38および支持機構116の前方に位置している。棒体22は、支持機構116と後述する排出ユニット50の間に位置している。棒体22は、搬送路43の上方に位置している。
【0040】
図2および
図3に示されるように、排出ユニット50は、支持機構116の前方に位置する。すなわち、排出ユニット50は、搬送ローラ対36および搬送ベルト117より搬送方向8Aの下流に位置している。排出ユニット50は、搬送路43の下方に位置している。排出ユニット50の上面50Aは、搬送路43を区画している。排出ユニット50は、支持機構116の搬送ベルト117によって前向きに搬送されてきたシートSを支持する。排出ユニット50の構成については、後に説明する。
【0041】
光学的ラインセンサ25は、搬送路43を挟んで排出ユニット50の上方に位置している。光学的ラインセンサ25は、ヘッド38によりシートSに記録された画像に対して図示しない光源から照射した光の反射を受光して電気的に検知する。光学的ラインセンサ25は、例えば、光源を内蔵するCIS(コンタクトイメージセンサ)である。
【0042】
排出ローラ対40は、搬送ローラ対36よりも前方に位置する。排出ローラ対40は、シートSの下面に当接する排出ローラ40BとシートSの上面に当接する拍車40Aとを有する。排出ローラ40Bは、排出ユニット50に回転可能に支持されている。排出ローラ40Bは、回転することによって、拍車40Aとの間にシートSをニップしつつ前向きにシートSを搬送する。排出ローラ対40は、例えば、光学的ラインセンサ25の前後に一対に配置されている。排出ローラ40Bについては、後に説明する。
【0043】
カッターユニット26は、排出ローラ対40の前方に位置する。カッターユニット26は、シートSを切断するカッター28と、カッター28を保持するカッターホルダ27と、を有する。カッターユニット26は、シートSを左右方向9に沿って切断できれば、特に限定されない。例えば、カッターユニット26は、左右方向9に移動することによってシートSを切断してもよい。
【0044】
メンテナンス機構60は、ヘッド38のメンテナンスを行うためのものである。メンテナンス機構60は、移動可能に構成されており、ヘッド38のメンテナンスが行われるときにヘッド38の直下に移動される。
【0045】
[排出ユニット50]
排出ユニット50は、シートSを排出口に向けて搬送する。排出ユニット50は、回動軸線Rに沿って回動することにより、
図2に示される固定姿勢(第1姿勢の一例)と、
図3に示される回動姿勢(第2姿勢の一例)との間で回動する。
図7および
図8に示されるように、排出ユニット50は、左右方向9に一対に位置しているフレーム55を有する。フレーム55のそれぞれは、面を左右方向9に向ける板体である。フレーム55のそれぞれは、サイドフレーム20,21との対向面から突出する軸体51を有している。軸体51は、左右方向9に延びる。軸体51は、フレーム55の後部(搬送方向8Aの上流側)に位置している。軸体51のそれぞれは、左右方向9に延びる回動軸線Rを軸心とする。軸体51は、サイドフレーム20,21に回動可能に支持されている。軸体51は、例えば、サイドフレーム20,21に対して前後方向8に移動可能に支持されている。以下の説明では、特に言及しない限り、排出ユニット50の各部材の位置関係は、
図2に示される排出ユニット50における位置関係で説明される。また、排出ユニット50の説明において、左右方向9は、回動軸線Rおよび軸線方向である。
【0046】
一対のフレーム55の軸体51よりも前方には、2つの排出ローラ40Bが前後方向8に並んで配置される。2つの排出ローラ40Bは、左右方向9に延びる。2つの排出ローラ40Bの両端は、一対のフレーム55に軸止される。
【0047】
前後方向8において、2つの排出ローラ40Bの間には、板状の白基準板52が位置している。白基準板52は、排出ローラ40Bと前後方向8に並ぶ。白基準板52の両端は、一対のフレーム55のそれぞれに固定される。白基準板52は、上下方向7に面を向けている。白基準板52の上面52Aは、例えば、白色に塗装されている。白基準板52の上面52Aは、光学的ラインセンサ25に対向する。白基準板52は、光学的ラインセンサ25のキャリブレーションに用いられる。
【0048】
一対のフレーム55には、メンテナンス機構60をクリーニングするクリーナ61が脱着可能になっている。一対のフレーム55には、クリーナ61を保持するためのクリーナ支持体62が位置している(
図7参照)。クリーナ支持体62は、一対のフレーム55に固定されている。クリーナ支持体62は、前後方向8に延びる図示しないレールを有している。レールは、クリーナ61の前後方向8への移動をガイドする。クリーナ支持体62は、レールに沿って移動するクリーナ61の移動を規制する図示しないロック機構を有している。
【0049】
クリーナ支持体62には、クリーナ61が着脱自在に支持される。クリーナ61は、例えば、樹脂製の平板に、3つの吸水性部材が固定されたものである。
図2に示されるように、クリーナ61は、メンテナンス機構60に対向するクリーニング面61Bを下方に向けて、クリーナ支持体62に支持される。クリーナ61は、ロック機構に係合する図示しないフックを有している。クリーナ61は、フックとロック機構との係合により、クリーナ支持体62に固定される。クリーナ61は、交換を目的として着脱される。
【0050】
2つの排出ローラ40Bの後方には、シートSを加熱するためのヒータユニット70が位置している。ヒータユニット70は、搬送路43の下方に位置している。ヒータユニット70は、板状であり、上下方向7に面を向けている。ヒータユニット70は、左右方向9に延び、搬送路43を横断する。ヒータユニット70は、一対のフレーム55に固定される。ヒータユニット70の上方には、直方体形状のヒータカバー71が位置している。ヒータカバー71の上面71Aは、平面である。ヒータカバー71の上面には、左右方向9の両側部に板ばね72が位置している。
図2に示されるように、板ばね72は、閉位置における第2上カバー31Bの押圧部24によって押圧される。これにより、
図2に示されるように、排出ユニット50が、サイドフレーム20,21に対して固定される。
【0051】
クリーナ支持体62の上方には、一対のフレーム55に両端を支持されるガイド部材56が位置している(
図5,
図6,および
図8参照)。ガイド部材56は、上下方向7に面を向ける矩形の板体である。ガイド部材56の上面56Aは、搬送方向8Aに沿う平面である。ガイド部材56は、一対のフレーム55に固定される。
図6に示されるように、ガイド部材56の上面56Aのうち、搬送されるシートSと上下方向7で重なる領域がガイド面56Bとなる。換言すると、ガイド部材56の上面56Aのうち、搬送されるシートSの下面を支持する領域がガイド面56Bとなる。ガイド部材56の上面56Aのうち、ガイド面56Bの左側方には、嵌合部53および取手54が位置している。ガイド部材56の上面56Aに沿った方向(固定状態の前後方向8)が、延出方向の一例である。
【0052】
[嵌合部53]
図2から
図4,
図6および
図8に示されるように、嵌合部53は、排出ユニット50の上面50Aに位置する。嵌合部53は、ガイド部材56の上面56Aのうち、ガイド面56Bの左側方から上方に向けて突出する突片である。嵌合部53の突出方向における先端面(上面)は、例えば、下方且つ後方に向けて傾斜している。
【0053】
図6に示されるように、嵌合部53は、ガイド部材56の左側部に位置している。嵌合部53は、例えば、ガイド部材56と一体に成型された合成樹脂製である。嵌合部53は、前後方向8において、ヒータユニット70と白基準板52との間に位置している。嵌合部53は、後方側の排出ローラ40Bの左側方に位置している。嵌合部53は、左右方向9において、排出ローラ40Bの左端と、排出ユニット50の左端との間の前後方向8に沿った寸法L1よりも小さな寸法L2の平板形状である。
【0054】
図2および
図4に示されるように、嵌合部53の上端部には、左右方向9に沿った軸線の円弧形状の孔部53Aが位置している。孔部53Aは、嵌合部53の上面53Eによって区画される開口53Bを有する。孔部53Aの半径r1は、棒体22の半径r2と同じか若干小さい(r1<r2)。回動軸線Rを中心に回動する孔部53Aの軸位置を結ぶ仮想線R1は、棒体22の軸位置に重なる。孔部53Aの開口53Bの前後方向8に沿った寸法L3は、棒体22の半径r2よりも小さい(L3<r2)。
【0055】
図4に示されるように、孔部53Aは、開口53Bによって、半径r1の円の右上の一部分が欠けた形状である。開口53Bは、孔部53Aの軸線を含む前後方向8に沿った仮想線P1よりも上方に位置している。これにより、開口53Bの前方および後方に位置する嵌合部53の一部分は、相互に対向する一対の爪部53Cを形成している。爪部53Cは、前後方向8に対向する対向面53Dを有している。爪部53Cは、例えば、対向面53Dによって開口53Bから挿入される棒体22の外周面に当接する。
【0056】
[取手54]
図2,
図3、
図6から
図8に示されるように、ガイド部材56の上面56Aのうち、ガイド面56Bの左側方には、取手54が位置している。取手54は、例えば、ガイド部材56と一体に成型された合成樹脂製である。
図2および
図6に示されるように、取手54は、回動軸線Rより搬送方向8Aの下流に位置している。
図6に示されるように、取手54は、例えば、ガイド部材56の前端縁に位置している。取手54は、前方に開口54Aを向けるドーム状である。取手54の上壁54Bは、ガイド部材56の上面56Aから上方に突出している。開口54Aは、ガイド部材56の前端面56Cに位置している。取手54は、嵌合部53と同様に、排出ユニット50の左側部に位置している。
【0057】
[排出ユニット50の各部の配置関係]
図6に示されるように、排出ユニット50において、軸体51は、排出ユニット50の後端に位置している。回動軸線Rは、排出ユニット50の後端における軸体51の軸心に沿う位置である。シートSの搬送方向8Aに沿って、回動軸線R、ヒータユニット70、後方側の排出ローラ40B、白基準板52、前方側の排出ローラ40B、およびガイド部材56が順に位置している。
【0058】
図6に示されるように、シートSの搬送領域は、ヒータユニット70、後方側の排出ローラ40B、白基準板52、前方側の排出ローラ40B、およびガイド部材56の左右方向9における中央位置に上下方向7で重なる。ヒータユニット70、後方側の排出ローラ40B、白基準板52、前方側の排出ローラ40B、およびガイド部材56において、シートSの搬送領域と上下方向7で重なる領域がガイド面56Bである。嵌合部53および取手54は、ガイド面56Bよりも左側方に位置している。搬送方向8Aに沿って、嵌合部53、取手54の順に位置している。嵌合部53は、後方側の排出ローラ40Bの左側方に位置している。取手54は、ガイド部材56の前端縁において、ガイド面56Bの左側方に位置している。
【0059】
[クリーナ61の交換動作]
以下、クリーナ61の交換動作について説明する。
図2に示されるように、排出ユニット50は、押圧部24によるヒータカバー71の板ばね72の弾性変形により、サイドフレーム20,21に対して下向きに押し当てられて固定されている。固定姿勢において、ガイド部材56は、上面56Aが搬送路43に沿った状態である。
【0060】
図3に示されるように、第2上カバー31Bが回動軸15を中心に回動される。係合部29は、棒体22との係合から解除される。押圧部24は、板ばね72の押圧を解除する。内部空間30Aが露出する。
図4および
図5に示されるように、ガイド部材56の上面56Aが露出する。排出ユニット50は、押圧部24による押圧の解除により、固定状態から解除される。
【0061】
図4および
図5において、作業員の手は、排出口33側(前方)から取手54の開口54Aに挿入される。取手54の上壁54Bが作業員により把持される。取手54の上壁54Bが上方に持ち上げられることにより、排出ユニット50は、サイドフレーム20,21に対して回動される。排出ユニット50は、軸体51の回動軸線Rを中心として回動される。
【0062】
図7および
図8に示されるように、排出ユニット50は、回動姿勢の位置まで回動される。取手54の上壁54Bから排出ユニット50を持ち上げる外力は、軸体51によって排出ユニット50の回動する力に変換される。回動により、嵌合部53の開口53Bは、棒体22の外周面に当接する。
【0063】
取手54から排出ユニット50に作用する外力は、孔部53Aに棒体22を挿入する力として作用する。ガイド面56Bの左側方に位置する取手54から作用する外力は、同じく左側方に位置する嵌合部53に作用する。一対の爪部53Cが前後方向8に弾性変形することにより、棒体22は、開口53Bから孔部53Aに挿入される。対向面53Dが棒体22の外周面に当接(押圧)することにより、嵌合部53によって棒体22が嵌合される。これにより、排出ユニット50は、回動姿勢になる。排出ユニット50は、嵌合部53による棒体22への嵌合により、回動姿勢で維持される。
【0064】
図7および
図8において、クリーナ61は、クリーナ支持体62のレールに沿って、回動軸線Rから前方且つ上方に引き抜かれることで取り外される。クリーナ61は、ガイド部材56の上面56Aに沿った方向へ引き抜かれる。新たなクリーナ61は、クリーナ支持体62に対して、回動軸線Rから後方且つ下方に挿入されることで取付られる。新たなクリーナ61が挿入される方向は、ガイド部材56の上面56Aに沿った方向である。
【0065】
取手54の上壁は、回動姿勢における排出ユニット50において、作業員によって把持される。取手54の上壁には、作業員から下方に移動する方向に外力が加えられる。作業員から加えられる外力は、軸体51によって排出ユニット50を下方に向けて回動する力に変換される。取手54からガイド部材56に作用する外力は、孔部53Aから棒体22を取り外す力として作用する。ガイド部材56の左方に位置する取手54から作用する外力は、同じく左方に位置する嵌合部53に作用する。
【0066】
棒体22の外周面は、対向面53Dを摺動する。孔部53Aに挿入されている棒体22の外周面に、爪部53Cの先端部が押し付けられる。爪部53Cの先端部は、前後方向8に沿って弾性変形する。爪部53Cの弾性変形により、開口53Bが前後方向8に開く。棒体22が開口53Bから抜けると、爪部53Cの弾性変形が解除される。これにより、嵌合部53は、棒体22との嵌合から解除される。排出ユニット50は、回動姿勢から解除される。
【0067】
嵌合部53が棒体22との嵌合から解除されると、排出ユニット50は、軸体51の軸心を回動軸線Rとして回動する。排出ユニット50は、回動姿勢から、
図2、
図5、および
図6に示される固定姿勢まで回動する。前方側の排出ローラ40Bは、サイドフレーム20,21の支持溝23の位置に挿入される。これにより、排出ユニット50は、サイドフレーム20,21に対して位置決めされる。第2上カバー31Bは、回動されて、開状態から閉状態になる。係合部29は、閉状態において棒体22に係合する。押圧部24は、閉状態において、板ばね72を押圧する。これにより、排出ユニット50はサイドフレーム20,21に固定される。
【0068】
[実施形態の作用効果]
前述された実施形態において、ガイド部材56を固定姿勢と回動姿勢との間で回動させる際の力は、取手54から嵌合部53に作用する。軸線方向においてガイド面56Bの左方に取手54および嵌合部53が位置しているので、取手54から嵌合部53までの距離が短くなる。ガイド部材56の歪みを抑制できるので、ガイド部材56を回動する際の操作性が向上する。
【0069】
搬送方向8Aの下流側に取手54が位置することで、搬送方向8Aの下流側から取手54に容易にアクセスできる。取手54から回動にかける力を小さくできるので、ガイド部材56の回動が容易になる。
【0070】
嵌合部53が棒体22に嵌合することで、第2姿勢から第1姿勢への意図しないガイド部材56の回動が抑制される。
【0071】
回動軸線Rからガイド部材56が延びる延出方向へ引き抜くことで、回動姿勢において、クリーナ支持体62からクリーナ61を容易に脱着できる。
【0072】
[変形例]
上記実施形態において、取手54および嵌合部53がガイド面56Bの左側方に位置するとしたが、これに限定されない。取手54および嵌合部53は、ガイド面56Bの右側方に位置してもよい。嵌合部53は、後方側の排出ローラ40Bの右方に位置してよい。取手54の左方を向く左面は、前後方向8において、排出ローラ40Bの右端に重ならない。
【0073】
上記実施形態において、
図9に示されるように、嵌合部53は、軸線方向に交差する方向の位置が取手54の位置と重なってもよい。換言すると、嵌合部53の位置は、前後方向8に延びる仮想線F1上で取手54の位置と重なってもよい。取手54と嵌合部53との距離を短くすることができるので、排出ユニット50をさらに歪み難くでき、操作性が向上する。「重なる」とは、嵌合部53の左右方向9に沿う全領域が、前後方向8に沿う方向において、取手54の位置を通ることを含む。「重なる」とは、取手54の左右方向9に沿う全領域が、前後方向8に沿う方向において、嵌合部53の位置を通ることを含む。「重なる」とは、嵌合部53の左右方向9の一部が、前後方向8に沿う方向において、取手54の位置を通ることを含む。
【0074】
上記実施形態において、取手54が排出ユニット50の前端に位置するとしたが、これに制限されない。取手54は、前端から後方に離れて位置してもよい。取手54は、左右方向9の一方の端縁に位置しており、左右方向9に開口54Aを向けていてもよい。
【0075】
上記実施形態において、嵌合部53は、棒体22に嵌合するとしたが、これに限定されない。嵌合部53は、着脱可能な構成であれば、様々な構成であってよい。嵌合部53は、例えば、磁石、面ファスナ等であってよい。また、嵌合部53は、サイドフレーム20またはサイドフレーム21と、排出ユニット50との間に両端が支持されるストッパ付きのヒンジであってもよい。ヒンジは、排出ユニット50の固定姿勢から回動姿勢への姿勢変化によって伸びてよい。ヒンジは、回動姿勢において、ストッパによって排出ユニット50の回動姿勢を維持するようにしてもよい。
【0076】
上記実施形態において、固定姿勢から上方に向けて80度回動した状態を回動姿勢としたがこれに限定されない。回動姿勢は、クリーナ61を引き抜きやすい角度であれば好ましい。回動姿勢は、例えば、固定姿勢との角度が鋭角であればよく、45度から50度程度であればより好ましい。
【0077】
上記実施形態において、板ばね72が押圧部24によって押圧されることにより、排出ユニット50が固定されるとしたがこれに限定されない。押圧部24がコイルバネであり、ヒータカバー71の上面を押圧してもよい。押圧部24は、ゴムなどの弾性体であってもよい。
【0078】
上記実施形態において、記録媒体の一例として、シートSを説明したがこれに限定されない。搬送ローラ対36等の搬送部によって搬送可能であるとともに、ノズル38Aを用いて画像を記録可能であればいずれであってもよい。例えば、カット紙、ラベル紙などが考えられる。
【符号の説明】
【0079】
8A 搬送方向
22 棒体
25 光学的ラインセンサ
30 筐体
33 排出口
36 搬送ローラ対
50 排出ユニット
52 白基準板
53 嵌合部
54 取手
50A 上面
100 搬送装置
117 搬送ベルト
R 回動軸線