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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078484
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190892
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 貢
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056FA13
2C056HA07
2C056HA11
(57)【要約】
【課題】移動機構を筐体から取り外すことなくヘッドが交換できる液体吐出装置を提供する。
【解決手段】 液体吐出装置は、筐体30と、液体を吐出するノズル13Aが開口するノズル面12を有するヘッド11と、筐体30に回動可能に支持されており、ヘッド11を移動する移動機構21と、ヘッド11と移動機構21とを連結する連結部61と、を備え、移動機構21は、ノズル面12が下方を向く第1位置と、ノズル面12が側方を向く第2位置と、に回動可能であり、連結部61は、第2位置の移動機構21において、ヘッド11を上方へ移動可能に支持する支持部材と、ヘッド11を移動機構21に固定する固定部材と、を有する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有するヘッドと、
上記筐体に回動可能に支持されており、上記ヘッドを移動する移動機構と、
上記ヘッドと上記移動機構とを連結する連結部と、
を備え、
上記移動機構は、上記ノズル面が下方を向く第1位置と、上記ノズル面が側方を向く第2位置と、に回動可能であり、
上記連結部は、
上記第2位置の上記移動機構において、上記ヘッドを上方へ移動可能に支持する支持部材と、
上記ヘッドを上記移動機構に固定する固定部材と、を有する液体吐出装置。
【請求項2】
上記移動機構は、上記第1位置において上記筐体にネジ止めされており、当該ネジ止めが外されることにより、上記筐体に固定された軸周りに回動可能である請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
上記支持部材は、上記移動機構に固定されたロッドであり、
上記固定部材は、ネジである請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
上記ロッドは、雌ネジを有しており、
上記ヘッドは、貫通孔を有しており、
上記ネジは、上記貫通孔を通じて上記雌ネジに螺合される請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
上記ヘッドは、上記ロッドが進入するガイド部をさらに備える請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
上記第2位置において、上記ガイド部は、上記ヘッドの上側に位置している請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
上記ガイド部は、貫通孔の周縁に位置する請求項5に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
上記ガイド部は、
円筒形状の第1ガイド部と、
側壁の一部が開口する角筒形状の第2ガイド部を有する請求項5から7のいずれかに記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置には、インクジェット方式の画像記録装置がある。画像記録装置では、ヘッドのノズルから記録媒体へインクが噴出される。画像記録装置には、ヘッドの昇降機構を有するものがある。昇降機構は、例えば記録媒体に応じてヘッドを移動する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-019157号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液体吐出装置において、メンテナンスなどのためにヘッドを交換することがある。ヘッドの交換において、昇降機構からヘッドが分離される。ヘッドの上方に昇降機構が位置していると、装置の上方からヘッドにアクセスするには、昇降機構を装置から取り外す必要がある。昇降機構を装置から取り外すと、再び昇降機構を装置に取り付けるときに位置決めを正確に行う必要がある。そのため、ヘッドの交換作業が煩雑となる。
【0005】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ヘッドを移動する移動機構を筐体から取り外すことなくヘッドが交換できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る液体吐出装置は、筐体と、液体を吐出するノズルが開口するノズル面を有するヘッドと、上記筐体に回動可能に支持されており、上記ヘッドを移動する移動機構と、上記ヘッドと上記移動機構とを連結する連結部と、を備え、上記移動機構は、上記ノズル面が下方を向く第1位置と、上記ノズル面が側方を向く第2位置と、に回動可能であり、上記連結部は、上記第2位置の上記移動機構において、上記ヘッドを上方へ移動可能に支持する支持部材と、上記ヘッドを上記移動機構に固定する固定部材と、を有する。
【0007】
上記構成によれば、移動機構およびヘッドを第1位置から第2位置に移動させることにより、ノズル面が側方を向く。第2位置において、固定部材による固定と、支持部材による支持とを解除することで、ヘッドが移動機構から取り外し可能となる。したがって、移動機構を筐体から取り外すことなくヘッドが交換できる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記移動機構は、上記第1位置において上記筐体にネジ止めされており、当該ネジ止めが外されることにより、上記筐体に固定された軸周りに回動可能である請求項1に記載の液体吐出装置である。
【0009】
上記構成によれば、移動機構が第1位置において筐体にネジ止めされているので、筐体に対する移動機構の意図しない回動を抑制できる。移動機構は、筐体に固定された軸周りに回動するので、第1位置と第2位置との間における回動によるずれを抑制できる。
【0010】
(3) 好ましくは、上記支持部材は、上記移動機構に固定されたロッドであり、上記固定部材は、ネジである請求項1に記載の液体吐出装置である。
【0011】
上記構成によれば、固定部材であるネジを外した後、ヘッドを移動機構から離れる方向に移動することで支持部材による支持が解除される。ヘッドと移動機構との分離を容易にできる。
【0012】
(4) 好ましくは、上記ロッドは、雌ネジを有しており、上記ヘッドは、貫通孔を有しており、上記ネジは、上記貫通孔を通じて上記雌ネジに螺合される請求項3に記載の液体吐出装置である。
【0013】
上記構成によれば、ロッドでヘッドを支持しながら、ヘッドを移動機構に連結できる。移動機構へのヘッドの連結が容易になる。
【0014】
(5) 好ましくは、上記ヘッドは、上記ロッドが進入するガイド部をさらに備える請求項3に記載の液体吐出装置である。
【0015】
上記構成によれば、支持位置へのヘッドの位置合わせが容易になる。
【0016】
(6) 好ましくは、上記第2位置において、上記ガイド部は、上記ヘッドの上側に位置している請求項5に記載の液体吐出装置である。
【0017】
上記構成によれば、第2位置においてヘッドの上側がロッドで支持される。固定が解除されたとしても、ロッドがガイド部に進入した状態で支持される。ヘッドが下方に落下しないので、ヘッドの交換が容易になる。
【0018】
(7) 好ましくは、上記ガイド部は、貫通孔の周縁に位置する請求項5に記載の液体吐出装置である。
【0019】
上記構成によれば、移動機構に対してヘッドを位置合わせできる。
【0020】
(8) 好ましくは、上記ガイド部は、円筒形状の第1ガイド部と、側壁の一部が開口する角筒形状の第2ガイド部を有する請求項5から7のいずれかに記載の液体吐出装置である。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、移動機構を筐体から取り外すことなくヘッドが交換できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、画像記録装置の外観斜視図である。
図2図2は、ヘッドユニットが第1姿勢にある画像記録装置の縦断面図を示す。
図3図3は、ヘッドユニットが第2姿勢にある画像記録装置の縦断面図を示す。
図4図4は、第1姿勢にあるヘッドユニットの側面図である。
図5図5は、第2姿勢にあるヘッドユニットの斜視図である。
図6図6は、移動機構から分離されたヘッドの斜視図である。
図7図7は、移動機構から分離されたヘッドの別の斜視図である。
図8図8は、ヘッドユニットからヘッドを除去した移動機構の斜視図である。
図9図9は、移動機構から分離された直後のヘッドを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0024】
また、以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、以下の説明においては、画像記録装置100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、画像記録装置100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0025】
[画像記録装置100の外観構成]
図1に示される画像記録装置100(液体吐出装置の一例)は、インクジェット記録方式でロール体37(図2参照)をなすシートSに画像を記録する。
【0026】
図1に示されるように、画像記録装置100は、筐体30を備える。筐体30は、上筐体31及び下筐体32を備える。上筐体31及び下筐体32は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。すなわち、画像記録装置100は、卓上に載置されて使用されるのに適している。もちろん、画像記録装置100は、床面やラックに載置されて使用されてもよい。
【0027】
図2に示されるように、上筐体31は、下筐体32によって回動可能に支持されている。上筐体31は、後下端部に設けられ且つ左右方向9に延びる回動軸15周りに回動可能である。なお、上筐体31が回動する構成は、回動軸15によるものに限らず、例えば蝶番などによって回動してもよい。
【0028】
図2に示されるように、上筐体31が閉位置のとき、上筐体31の内部空間31Aと下筐体32の内部空間32Aとが、外部に対して遮蔽される。図3に示されるように、上筐体31が開位置のとき、上筐体31の内部空間31Aと下筐体32の内部空間32Aとが、外部に対して露出される。
【0029】
図1に示されるように、下筐体32の前面32Fには、左右方向9に長いスリット状の排出口33が形成されている。排出口33からは、画像記録済みのシートS(図2参照)が排出される。
【0030】
上筐体31の前面31Fには、操作パネル44が設けられている。ユーザは、操作パネル44に、画像記録装置100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を行う。
【0031】
[画像記録装置100の内部構成]
図2に示されるように、内部空間31A,32Aには、ホルダ35、テンショナ45、搬送ローラ対36、搬送ローラ対40、ヘッドユニット38、支持機構51、およびインクタンク34などが配置されている。
【0032】
内部空間32Aにおいて、ヘッドユニット38よりも搬送向き8Aの下流側には、図示しない定着ユニット、画像センサ、及びカッタ等が位置する。定着ユニットは、ヒータや紫外線照射装置であり、シートS上のインクをシートSに定着させる。画像センサは、シートS上に記録された画像を光学的に読み取って、読み取り結果を示す画像データを図示しないコントローラに出力する。カッタは、画像記録済みのシートSをカットする。
【0033】
内部空間32Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間32Aの後下部を仕切って、シート収容空間32Cを区画する。シート収容空間32Cには、ロール体37が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。
【0034】
図2に示されるように、シート収容空間32Cは、後部において上方へ向かって開口している。詳細には、隔壁41と後面32Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、搬送ローラ対36,40が回転することで、ロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0035】
テンショナ45は、内部空間32Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、下筐体32の外側を向いている外周面45Aを有している。外周面45Aは、左右方向9においてシートの最大幅以上の大きさであり、通紙中心(シートSの左右方向9における中心)に対して互いに対称な形状を有している。外周面45Aの上端は、上下方向7において搬送ローラ対36のニップDと概ね同じ上下位置にある。
【0036】
外周面45Aには、ロール体37から引き出されたシートSが掛けられ当接する。シートSは、外周面45Aに沿って前方に湾曲して、搬送向き8Aに延びて搬送ローラ対36に案内される。搬送向き8Aは、前後方向8に沿う前向きである。テンショナ45は、周知の手法により、シートSにテンションを与える。
【0037】
搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Aとピンチローラ36Bとを有する。搬送ローラ36A、及びピンチローラ36Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接する。
【0038】
搬送ローラ対36の前方には、搬送ローラ対40が位置する。搬送ローラ対40は、搬送ローラ40Aとピンチローラ40Bとを有する。搬送ローラ40A、及びピンチローラ40Bは、外周面45Aの上端と概ね同じ上下位置で当接する。
【0039】
搬送ローラ対36は、テンショナ45から搬送向き8Aに延びるシートSをニップしつつ回転することにより、搬送面43Aに沿う搬送向き8Aに送り出す。搬送ローラ対40は、搬送ローラ対36から送り出されたシートSをニップしつつ回転することにより搬送向き8Aに送り出す。また、搬送ローラ対36,40の回転により、シートSは、シート収容空間32Cから隙間42を通ってテンショナ45に向けて引き出される。
【0040】
図2および図3に示されるように、内部空間32Aには、外周面45Aの上端から排出口33に至る搬送路43が形成されている。搬送路43は、搬送向き8Aに沿ってほぼ直線的に延びており、シートSが通過可能な空間である。詳細には、搬送路43は、搬送向き8A及び左右方向9に拡がり且つ搬送向き8Aに長い搬送面43Aに沿っている。なお、図2および図3では、搬送面43Aは、搬送路43を示す二点鎖線で示されている。搬送路43は、ヘッドユニット38、搬送ベルト101などによって区画されている。
【0041】
ヘッドユニット38は、搬送路43の上方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流側に位置する。ヘッドユニット38は、複数のノズル13Aを有する。複数のノズル13Aから、インクが搬送ベルト101に支持されたシートSへ向かって下方へ吐出される。これにより、シートSに画像が記録される。ヘッドユニット38の詳細な構成は、後に説明される。
【0042】
支持機構51は、搬送路43の下方において搬送ローラ対36よりも搬送向き8Aの下流に位置する。支持機構51は、ヘッドユニット38の下方に位置している。支持機構51は、ヘッドユニット38と対向している。支持機構51は、搬送ベルト101と支持部104を有する。搬送ベルト101は、搬送ローラ対36によって搬送向き8Aに搬送されてヘッドユニット38の直下に位置するシートSを支持する。搬送ベルト101は、支持しているシートSを搬送向き8Aに搬送する。
【0043】
インクタンク34は、インクを貯留している。インクは、顔料などを含む液体である。インクは、顔料を均一に分散させるに適した粘度を有している。顔料は、インクの色となるものである。インクタンク34からチューブ106(図4および図5参照)を通じてインクがヘッドユニット38に供給される。
【0044】
図2および図3に示されるように、筐体30の内部空間31Aには、サイドフレーム10が設けられている。サイドフレーム10は、鋼板からなる平板形状であり、支持する部材に応じた形状の切欠きや貫通孔が適宜形成されている。サイドフレーム10は、2つ設けられている。2つのサイドフレーム10は、左右方向に離れて位置する。各サイドフレーム10は、筐体30の下端部に連結されている。各サイドフレーム10の連結は、ネジ止めや溶接によりなされている。
【0045】
サイドフレーム10の上端は、例えば、全体として前後方向に沿って延びている。図4に示されるように、ヘッドユニット38の側方に位置するサイドフレーム10には、他の部分の上端よりも上方に突出した凸部10Aが位置している。図4に示されるように、凸部10Aの前端面10Bは、上下方向に沿って延びる。凸部10Aの後端面10Cは、後方且つ下方に向けて傾斜している。凸部10Aの上端面10Dは、前後方向に沿って延びて、前端面10Bの上端と、後端面10Cの上端とを接続する。凸部10Aよりも前方に位置するサイドフレーム10の上面には、ヘッドユニット38を固定するための図示しない雌ネジが位置している。
【0046】
[ヘッドユニット38]
図2から図4に示されるように、ヘッドユニット38は、概ね左右方向9に長い直方体形状である。ヘッドユニット38の左右方向9における両端は、それぞれ一対のサイドフレーム10に回動可能に支持されている。ヘッドユニット38は、移動機構21と、ヘッド11と、を備える。なお、以下の説明では、特に言及しない限り、図4に示されるように、ノズル13Aが向く方向を上下方向7として各部材の位置関係を説明する。
【0047】
[移動機構21]
図4に示されるように、移動機構21は、ヘッド11を下面に支持する直方体形状の箱体である。移動機構21は、2つのサイドフレーム10の間に位置している。移動機構21は、ハウジング22と、基板23と、昇降機構24と、を備えている。
【0048】
[ハウジング22]
図4に示されるように、ハウジング22は、例えば、下面を開口する直方体形状の箱体である。ハウジング22は、例えば、金属製である。ハウジング22における後端部の両側面には、左右方向に延びる軸部25が突出している。軸部25のそれぞれは、サイドフレーム10の凸部10Aを左右方向に貫通する図示しない貫通孔に軸止されている。軸部25のそれぞれは、サイドフレーム10の側面によって貫通孔から抜け止めされる。ハウジング22は、サイドフレーム10に回動可能に支持される。
【0049】
図4に示されるように、ハウジング22の軸部25の上方には、側面から突出する板状の規制部材27が位置している。規制部材27は、サイドフレーム10の凸部10Aの上端面10Dよりも上方から突出する。規制部材27は、例えば、上下方向において、凸部10Aの上端面10Dとの間で、ハウジング22の回動において接触しない程度の間隔を開けて側面から突出する。規制部材27は、下方に屈曲されている。規制部材27の屈曲位置より先端側には、凸部10Aに挿通された軸部25の先端が挿通されている。規制部材27の外周面において、軸部25の先端が抜け止めされている。
【0050】
ハウジング22における前端部の両側面には、突片26が位置している。突片26は、上下方向7に面を向ける板体である。突片26は、厚さ方向に貫通する貫通孔26Aを有している。突片26の下面は、サイドフレーム10の上面に当接する。突片26の貫通孔の軸は、サイドフレーム10の上面に位置する図示しないネジ穴の軸に位置合わせされる。突片26の貫通孔26Aには、上方からネジ90が挿通される。ネジ90は、サイドフレーム10の雌ネジに螺合される。突片26は、ネジ90のヘッドと、サイドフレーム10との間に挟持される。突片26は、ネジ90により、サイドフレームに固定される。これにより、サイドフレーム10に対するハウジング22の回動が規制されている。
【0051】
[基板23]
基板23は、下方から視た外形が矩形の板体である。基板23は、例えば、樹脂製である。基板23は、図4図5、および図8に示されるように、ハウジング22の内部空間に位置している。基板23の下面(以下、支持面23Aともいう)は、ハウジング22の開口を向く。基板23は、ハウジング22の内面に対して上下方向7に移動可能である。
【0052】
[ロッド70]
図8に示されるように、基板23は、支持面23Aから突出するロッド(支持部材の一例)を有する。ロッド70は、支持面23Aから下方に向けて突出する。ロッド70は、一端を閉塞した円筒であり、内径ネジを有している。換言すると、ロッド70は、他端を開口する雌ネジ71を有している。ロッド70は、基板23の4つの角部17の近傍のそれぞれに位置している。4つのロッド70の支持面23Aからの突出量は、同じである。
【0053】
[昇降機構24]
昇降機構24は、ハウジング22に対して上下方向7に基板23を昇降する機構である。昇降機構24は、例えば、パンタグラフ式のジャッキである。昇降機構24の上端は、ハウジング22の図示しない天井面に固定されている。昇降機構24の下端は、基板23の図示しない上面に固定されている。昇降機構24は、稼動により、ハウジング22の天井面に対して基板23およびヘッド11の位置を上下させる。
【0054】
[ヘッド11]
図4図5、および図8に示されるように、ヘッド11は、支持面23Aに装着される部材である。ヘッド11は、液体を吐出する3つのヘッドモジュール13を有している。ヘッドモジュール13は、概ね直方体である。ヘッドモジュール13は、液体を吐出すノズル13Aを有する。ノズル13Aは、ヘッドモジュール13の下面を向くノズル面12に開口している。
【0055】
[ヘッドホルダ18]
図5および図6に示されるように、ヘッド11は、ヘッドモジュール13を保持するヘッドホルダ18を備えてしている。ヘッドホルダ18は、上面を開口する箱体である。ヘッドホルダ18は、樹脂製である。ヘッドホルダ18の下面には、ヘッドモジュール13をそれぞれ保持する3つの矩形の開口18Aが位置する。ヘッドホルダ18は、3つの開口18Aのそれぞれにヘッドモジュール13を保持する。ヘッドホルダ18は、ノズル面12を下方に向けて露出したヘッドモジュール13を保持する。ヘッドホルダ18は、例えば、上面(以下、係合面18Bともいう)に位置する抜け止め部材20(図7参照)を用いて、開口18Aに挿入されているヘッドモジュール13を保持している。
【0056】
ヘッドホルダ18は、厚さ方向に貫通する複数の貫通孔16を有している。複数の貫通孔16は、例えば、図6に示されるように、ヘッドモジュール13の位置を避けて、左右方向9における側方のそれぞれに位置する。貫通孔16のそれぞれは、例えば、角部28の近傍に位置する。貫通孔16は、例えば、4つの角部28の近傍のそれぞれに位置する。側方のそれぞれに位置する貫通孔16は、前後方向8に沿って並ぶ。一方の側方の貫通孔16と他方の側方の貫通孔16とは、左右方向9に沿って並ぶ。4つの貫通孔16は、基板23に位置する4つのロッド70に合わせて位置する。貫通孔16の径は、ロッド70の雌ネジ71の径よりも大きい。貫通孔16の周縁には、ノズル面12から凹む断面円形状の凹部19が位置している。貫通孔16には、ノズル面12からネジ80(雄ネジ、固定部材の一例)が挿入される。ロッド70の雌ネジ71に螺合されるネジ80のヘッドと、ロッド70の先端とが凹部19の位置を挟持することにより、ヘッドホルダ18は、基板23に固定されている。ロッド70とネジ80とは、ヘッド11と移動機構21とを連結する連結部61を構成する。
【0057】
[ガイド部14]
ヘッドホルダ18の係合面18Bには、図7に示されるように、ガイド部14が位置している。ガイド部14は、ヘッドホルダ18の前方側に位置している。ガイド部14は、ヘッドホルダ18の側方に位置している。ガイド部14は、第1ガイド部14Aと、第2ガイド部14Bと、を備えている。
【0058】
[第1ガイド部14A]
第1ガイド部14Aは、ヘッドホルダ18の前方側に位置する2つの貫通孔16のうち、一方の貫通孔16(右側に位置する貫通孔16)の周縁に位置する。第1ガイド部14Aは、円筒形状である。第1ガイド部14Aは、貫通孔16と同軸であり、係合面18Bから突出する。第1ガイド部14Aの内径r1は、ロッド70の外径r2(図8参照)よりも大きい(r1>r2)。これにより、第1ガイド部14Aには、ロッド70が進入可能である。係合面18Bから第1ガイド部14Aの先端までの寸法L1は、支持面23Aからロッド70の先端までの寸法L2よりも小さい(L1<L2)。第1ガイド部14Aに進入したロッド70の先端70Bは、係合面18Bに位置する貫通孔16に当接する。
【0059】
[第2ガイド部14B]
第2ガイド部14Bは、ヘッドホルダ18の前方側に位置する2つの貫通孔16のうち、他方の貫通孔16(左側に位置する貫通孔16)の周縁に位置する。第2ガイド部14Bは、側壁14Cの一部が開口する角筒形状である。すなわち、第2ガイド部14Bは、一方の側壁14Cを開口する断面U字状である。第2ガイド部14Bは、側壁14Cによって貫通孔16の図示しない開口位置を囲う。第2ガイド部14Bにおいて対向する側壁14Cの間の寸法L3は、ロッド70の外径r2よりも大きい(L3>r2)。これにより、第2ガイド部14Bには、ロッド70が進入可能である。係合面18Bから第2ガイド部14Bの先端までの寸法L4は、支持面23Aからロッド70の先端70Bまでの寸法L2よりも小さい(L4<L2)。第2ガイド部14Bに進入したロッド70の先端70Bは、係合面18Bに位置する貫通孔16に当接する。側壁14Cの開口する一方は、ロッド70の左右方向への移動を許容する。これにより、側壁14Cは、第1ガイド部14Aおよび第2ガイド部14Bに対して進入するロッド70の寸法誤差を許容できる。
【0060】
[ヘッド11の交換手法]
次に、ヘッド11の交換手法について説明する。
まず、図2および図3に示されるように、上筐体31が下筐体32に対して回動される。これにより、サイドフレーム10と、ヘッドユニット38とに上方からアクセス可能になる。上方からのアクセスにより、突片26とサイドフレーム10とを固定するネジ90が外される。これにより、ヘッドユニット38(移動機構21およびヘッド11)は、軸部25を中心に回動可能になる。具体的には、ヘッドユニット38は、ノズル面12が下方を向く第1位置(図2参照)と、ノズル面12が側方を向く第2位置(図3参照)とに回動可能になる。
【0061】
図4に示されるように、ヘッドユニット38が第1位置から第2位置に回動される。ヘッドユニット38は、例えば、図4において、前方端91が上方且つ後方に向けて回動されることで、第1位置から第2位置に回動される。第2位置において、規制部材27の後端面27Aが、サイドフレームの凸部10Aの後端面10Cに接触することにより、ヘッドユニット38の回動は、第2位置で規制される。ヘッドユニット38は、例えば、第2位置において、前後方向8に対してノズル面12を100度程度回転した状態になる。第1位置から第2位置に回動することで、ノズル面12は、下方を向く状態から前方かつ上方を向く状態になる。これにより、図3に示されるように、筐体30の前方かつ上方からヘッド11へアクセスが可能になる。
【0062】
図5に示されるように、貫通孔16に挿通されているネジ80のロッド70への螺合が解除される。例えば、4つの貫通孔16の位置に螺合されているネジ80がロッド70から取り外される。ロッド70とネジ80との連結の解除により、基板23へのヘッド11の固定も解除される。これにより、ヘッド11は、基板23に対して移動可能になる。すなわち、ヘッド11は、基板23に対して前方且つ上方に摺動可能になる。第2位置において、第1ガイド部14Aおよび第2ガイド部14Bは、ヘッド11の上側に位置している。第1ガイド部14Aおよび第2ガイド部14Bへのロッド70の進入により、ロッド70は、第2位置にある移動機構21において、ヘッド11を前方かつ上方へ移動可能に支持している。第1ガイド部14Aおよび第2ガイド部14Bは、ロッド70に支持されることで、基板23の上下方向7かつ左右方向9のヘッド11の移動を規制する。すなわち、ロッド70の上面70Cは、ガイド部14の内周面における上面に当接することにより、基板23に対するヘッド11の摺動を抑制する。これにより、ヘッド11は、ロッド70の上面70Cに支持される状態になる。したがって、基板23からヘッド11の脱落が抑制される。
【0063】
ヘッド11は、基板23から離れる方向(前方且つ上方)へ移動されることで、基板23から取り外される。具体的には、ヘッド11は、第1ガイド部14Aおよび第2ガイド部14Bからロッド70の先端70Bが抜ける方向に移動されることで、基板23から取り外される。ヘッド11には、ノズル13Aに液体を供給するためのチューブ106(図5および図6参照)が取り付けられている。チューブ106は、基板23から取り外された状態でヘッド11から除去される。ヘッドホルダ18の係合面18Bからは、ノズル13Aからのインクの吐出を制御するフレキシブルケーブル105(図9参照)等も取り外される。
【0064】
図9に示されるように、新たなヘッド11にフレキシブルケーブル105およびチューブ106等が取り付けられる。ヘッド11のガイド部14は、基板23のロッド70の先端70Bに位置合わせされる。ロッド70の先端70Bがガイド部14に進入することで、ヘッド11がロッド70の上面70Cによって支持される。ヘッド11は、ガイド部14へのロッド70の進入により、基板23の板面方向において、基板23に位置合わせされる。
【0065】
ロッド70の先端70Bが貫通孔16に当接した状態において、ネジ80は、貫通孔16に挿入される。ネジ80がロッド70の雌ネジ71に螺合されることで、基板23にヘッド11が固定される。すなわち、移動機構21にヘッド11が固定される。
【0066】
移動機構21の前端部が前方且つ下方に回動されることで、移動機構21は、第2位置から第1位置に回動する(戻る)。突片26の下面がサイドフレーム10の上面に接触することで、移動機構21が第1位置に維持される。突片26がネジ90によってサイドフレーム10に固定されることで、ヘッド11の交換が完了する。
【0067】
(実施形態の作用効果)
前述された実施形態では、移動機構21およびヘッド11を第1位置から第2位置に移動させることにより、ノズル面12が側方を向く。第2位置において、ネジ80による固定と、ロッド70による支持とを解除することで、ヘッド11が移動機構21から取り外し可能となる。したがって、移動機構21を筐体30から取り外すことなくヘッド11が交換できる。移動機構21を筐体30から取り外さないことで、ヘッド交換後の再調整が不要となり、ヘッド交換から記録を開始するまでの時間が短縮される。
【0068】
移動機構21が第1位置において筐体30(サイドフレーム10)にネジ止めされているので、筐体30(サイドフレーム10)に対する移動機構21の意図しない回動を抑制できる。移動機構21は、サイドフレーム10に固定された軸周りに回動するので、第1位置と第2位置との間における回動によるずれを抑制できる。
【0069】
ネジ80を外した後、ヘッド11を移動機構21から離れる方向に移動することでロッド70による支持が解除される。ヘッド11と移動機構21との分離を容易にできる。
【0070】
ロッド70の上面でヘッド11を支持するので、ヘッド11の移動機構21に対する移動が規制される。ロッド70でヘッド11を支持しながら、ヘッド11を移動機構21に連結できる。移動機構21へのヘッド11の連結が容易になる。
【0071】
移動機構21から延びるロッド70にガイド部14が支持されることで、支持位置へのヘッド11の位置合わせが容易になる。
【0072】
第2位置においてヘッド11の上側がロッド70で支持される。ネジ80が解除されたとしても、ロッド70がガイド部14に進入した状態で支持される。ヘッド11が下方に落下しないので、ヘッド11の交換が容易になる。
【0073】
ロッド70の近傍にガイド部14が位置することで、ロッド70への固定部材の螺合の際に、移動機構21に対してヘッド11を容易に位置合わせできる。
【0074】
(変形例)
上記実施形態において、ノズル面12の法線が前方かつ上方を向く位置を第2位置とした。ノズル面12の法線は、例えば、前方と上方との間の適当な方向を向いてもよい。
【0075】
上記実施形態において、支持面23Aからロッド70の先端70Bまでの長さは、他のロッド70の長さと同じであるとしたが、これに限定されない。それぞれのロッド70の長さは、先端70Bの接触する係合面18Bとの距離に合わせて適宜変更されてよい。ロッド70の長さは、第1姿勢において、ノズル面12が下方を向くように調整されてよい。
【0076】
上記実施形態において、ガイド部14として、ロッド70が進入する構成を一例として説明したが、これに限定されない。支持部材は、基板23の支持面23Aから突出するフックであってよい。第2位置において、フックの先端が上方を向く様に配置されてもよい。ガイド部14は、フックの先端が進入するL字部材、円形部材、または角型部材等であってよい。また、ガイド部14を2つの貫通孔16の周縁に設けるとしたが、3以上の貫通孔16の周縁に設けてもよい。ロッド70の数は、設けられるガイド部14の数に合わせて変更されてよい。ガイド部14は、第2位置において、ヘッド11の上側に加え、下側および側方のいずれかに位置してもよい。
【0077】
上記実施形態において、ガイド部14は、円筒形状の第1ガイド部14Aと、側壁14Cの一部が開口する角筒形状の第2ガイド部14Bとを備えるとしたが、これに限定されない。ガイド部14は、例えば、ヘッド11の係合面18Bから厚さ方向に凹む凹形状の第3ガイド部(図示しない)を備えてもよい。第3ガイド部は、例えば、係合面18Bにおける貫通孔16の周縁に位置する。第3ガイド部は、係合面18Bからヘッドホルダ18の厚さ方向に凹む。第3ガイド部は、貫通孔16の内径よりも大きい内径を有する円筒形状である。第3ガイド部の軸は、貫通孔16の軸に沿って位置している。第2位置において、ロッド70の上面70Cは、第3ガイド部の内周面のうち、上方に位置する内周面に当接する。これにより、ロッド70は、ヘッド11を支持する。ヘッド交換により新たに装着されるヘッド11は、第3ガイド部へのヘッド11の先端70Bの挿入により位置決めおよび支持される。ロッド70の先端部が第3ガイド部の内周面における上面に当接することで、ロッド70はヘッド11を支持する。ヘッド11が支持された状態において、固定部材がヘッド11を基板23に固定することで、ヘッド11と基板23とが固定される。ガイド部14は、第1ガイド部14Aから第3ガイド部から選択されたいずれかを備えてもよい。
【0078】
上記実施形態において、固定部材をネジ80としたがこれに限定されない。固定部材は、移動機構21とヘッド11とを分離可能な構成であれば、いずれの構成であってもよい。固定部材は、例えば、弾性の係合爪、粘着テープ、磁石、または蝶番等であってよい。また、貫通孔16の径よりも大きい外径を有するロッド70が貫通孔16に嵌合されてもよい。これにより、貫通孔16は、固定部材としても機能する。
【0079】
上記実施形態において、ロッド70を円筒形状としたが、これに限定されない。ロッド70は、角筒であってもよい。ロッド70の上面70Cは、例えば、第2位置において、左右方向9に沿って拡がる平面であってもよい。これにより、ロッド70によるヘッド11の支持が安定する。
【0080】
上記実施形態において、ハウジング22が、ネジ90によりサイドフレーム10にネジ止めされるとしたが、これに限定されない。ハウジング22は、係合爪または蝶番等でサイドフレーム10に固定されていてもよい。
【符号の説明】
【0081】
11 ヘッド
12 ノズル面
13 ヘッドモジュール
13A ノズル
14 ガイド部
14A 第1ガイド部
14B 第2ガイド部
14C 側壁
16 貫通孔
18 ヘッドホルダ
21 移動機構
22 ハウジング
23 基板
24 昇降機構
30 筐体
61 連結部
70 ロッド
71 雌ネジ
80,90 ネジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9