(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078493
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】定着装置
(51)【国際特許分類】
G03G 15/20 20060101AFI20240604BHJP
H05B 3/10 20060101ALI20240604BHJP
H05B 3/20 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G15/20 510
H05B3/10 A
H05B3/20 337
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190902
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】石田 圭
【テーマコード(参考)】
2H033
3K034
3K092
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033BA25
2H033BA26
2H033BA27
2H033BA32
2H033BB12
2H033BB18
2H033BE03
3K034AA12
3K034AA16
3K034BA05
3K034BB06
3K034BC12
3K034FA13
3K034FA17
3K034JA10
3K092PP18
3K092QA03
3K092QA05
3K092QB26
3K092QB30
3K092QB43
(57)【要約】
【課題】必要以上に熱が奪われることを抑制しつつヒータを均熱化する。
【解決手段】定着装置1は、加熱ユニット2と、加圧回転体3とを備える。加熱ユニット2は、ヒータ10と、熱伝導部材30と、ベルトBと、を有する。ヒータ10は、基板11と、基板11に設けられた抵抗発熱体12とを有する。ベルトBは、ヒータ10を内側に収容する。加圧回転体3は、ベルトBとの間でニップ部NPを形成する。加圧回転体3は、ベルトBとの間でシートSを搬送する。抵抗発熱体12は、シートSの搬送方向に交差する交差方向に延びた第1発熱パターン121と、交差方向に延び、第1発熱パターン121から搬送方向に所定距離D1離れて位置する第2発熱パターン122とを含む。搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、所定距離D1より大きく、ニップ部NPの寸法D4以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板に設けられた抵抗発熱体と、を有するヒータと、
前記基板に接触する熱伝導部材であって、前記基板より熱伝導率が高い熱伝導部材と、
前記ヒータを内側に収容する加熱回転体と、
前記加熱回転体との間でニップ部を形成し、前記加熱回転体との間でシートを搬送する加圧回転体と、を備え、
前記抵抗発熱体は、シートの搬送方向に交差する交差方向に延びた第1発熱パターンと、前記交差方向に延び、前記第1発熱パターンから前記搬送方向に所定距離離れて位置する第2発熱パターンと、を含み、
前記搬送方向において、前記熱伝導部材の寸法は、前記所定距離より大きく、前記ニップ部の寸法以下であることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記搬送方向において、熱伝導部材の寸法は、前記第1発熱パターンの外側端から前記第2発熱パターンの外側端までの寸法より大きいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記搬送方向において、熱伝導部材の寸法は、前記第1発熱パターンの外側端から前記第2発熱パターンの外側端までの寸法以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記搬送方向において、前記熱伝導部材の寸法は、前記基板の寸法の40%以上であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記交差方向において、前記熱伝導部材の寸法は、前記基板の寸法より小さいことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項6】
前記熱伝導部材は、アルミニウム、アルミニウム合金または銅からなる板状であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項7】
前記熱伝導部材は、グラファイトシートからなり、シートの厚み方向よりも厚みに直交する方向の熱伝導率が大きいことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項8】
基板と、前記基板に設けられた抵抗発熱体と、を有するヒータと、
前記基板に接触する熱伝導部材であって、前記基板より熱伝導率が高い熱伝導部材と、
前記ヒータを内側に収容する加熱回転体と、
前記加熱回転体との間でニップ部を形成し、前記加熱回転体との間でシートを搬送する加圧回転体と、を備え、
前記抵抗発熱体は、シートの搬送方向に交差する交差方向に延びた第1発熱パターンと、前記交差方向に延び、前記第1発熱パターンから前記搬送方向に所定距離離れて位置する第2発熱パターンと、を含み、
前記搬送方向において、前記基板の寸法は、前記ニップ部の寸法より大きく、
前記搬送方向において、前記ニップ部の寸法は、前記所定距離より大きく、前記熱伝導部材の寸法以上であることを特徴とする定着装置。
【請求項9】
前記搬送方向において、ニップ部の寸法は、前記第1発熱パターンの外側端から前記第2発熱パターンの外側端までの寸法より大きいことを特徴とする請求項8に記載の定着装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に用いられる定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、定着装置として、回転するベルトをセラミックヒータと加圧ローラで挟むものが知られている(特許文献1)。この定着装置では、セラミックヒータは、基板と、抵抗発熱体とを有し、ベルトと接触するニップ面とは反対側の裏面に、シート状の熱伝導部材が接触して配置されている。熱伝導部材は、基板の温度を均一化する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、熱伝導部材も熱容量を持っているため、ヒータで発生した熱を効率良く画像の定着に利用するためには、熱伝導部材の大きさは必要最小限であることが望ましい。
【0005】
そこで、本発明は、熱伝導部材に必要以上に熱が奪われることを抑制しつつヒータを均熱化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記した課題を解決するための定着装置は、ヒータと、熱伝導部材と、加熱回転体と、加圧回転体と、を備える。ヒータは、基板と、基板に設けられた抵抗発熱体と、を有する。熱伝導部材は、基板に接触する。熱伝導部材は、基板より熱伝導率が高い。加熱回転体は、ヒータを内側に収容する。加圧回転体は、加熱回転体との間でニップ部を形成する。加圧回転体は、加熱回転体との間でシートを搬送する。抵抗発熱体は、シートの搬送方向に交差する交差方向に延びた第1発熱パターンと、交差方向に延び、第1発熱パターンから搬送方向に所定距離離れて位置する第2発熱パターンと、を含む。
搬送方向において、熱伝導部材の寸法は、前記所定距離より大きく、ニップ部の寸法以下である。
【0007】
搬送方向において、熱伝導部材の寸法が前記所定距離より大きく、ニップ部の寸法以下であるため、熱伝導部材に必要以上に熱が奪われることを抑制しつつヒータを均熱化することができる。
【0008】
また、搬送方向において、熱伝導部材の寸法は、第1発熱パターンの外側端から第2発熱パターンの外側端までの寸法より大きい構成としてもよい。
【0009】
また、搬送方向において、熱伝導部材の寸法は、第1発熱パターンの外側端から第2発熱パターンの外側端までの寸法以下である構成としてもよい。
【0010】
また、搬送方向において、熱伝導部材の寸法は、基板の寸法の40%以上である構成としてもよい。
【0011】
また、交差方向において、熱伝導部材の寸法は、基板の寸法より小さい構成としてもよい。
【0012】
交差方向における熱伝導部材の寸法が基板の寸法より小さいことで、必要以上に熱伝導部材を加熱する必要が無くなる。
【0013】
また、熱伝導部材は、アルミニウム、アルミニウム合金または銅からなる板状である構成としてもよい。
【0014】
また、熱伝導部材は、グラファイトシートからなり、シートの厚み方向よりも厚みに直交する向の熱伝導率が大きい構成としてもよい。
【0015】
前記した課題を解決するための定着装置は、ヒータと、熱伝導部材と、加熱回転体と、加圧回転体と、を備える。ヒータは、基板と、基板に設けられた抵抗発熱体と、を有する。熱伝導部材は、基板に接触する。熱伝導部材は、基板より熱伝導率が高い。加熱回転体は、ヒータを内側に収容する。加圧回転体は、加熱回転体との間でニップ部を形成する。加圧回転体は、加熱回転体との間でシートを搬送する。抵抗発熱体は、シートの搬送方向に交差する交差方向に延びた第1発熱パターンと、交差方向に延び、第1発熱パターンから搬送方向に所定距離離れて位置する第2発熱パターンと、を含む。
搬送方向において、ニップ部の寸法は、前記所定距離より大きく、熱伝導部材の寸法以上である。
【0016】
また、搬送方向において、ニップ部の寸法は、第1発熱パターンの外側端から第2発熱パターンの外側端までの寸法より大きい構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、熱伝導部材に必要以上に熱が奪われることを抑制しつつヒータを均熱化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態における加熱ユニットの断面図である。
【
図3】第2実施形態における加熱ユニットの断面図である。
【
図4】第3実施形態における加熱ユニットの断面図である。
【
図5】第4実施形態における加熱ユニットの断面図である。
【
図6】発熱パターンが4本の場合のヒータの分解斜視図(a)と、ヒータの断面図(b)である。
【
図7】抵抗発熱体の端子が一端と他端にある場合のヒータの分解斜視図(a)と、ヒータの断面図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
第1実施形態に係る定着装置1は、画像形成装置や、熱により箔を転写する装置等に使用されるものである。
図1に示すように、定着装置1は、加熱ユニット2と、加圧回転体3とを備えている。加熱ユニット2および加圧回転体3の少なくとも一方は、図示せぬ付勢機構によって、他方に対して付勢されている。
【0020】
加熱ユニット2は、ヒータ10を内側に収容しており、加圧回転体3との間でシートSを挟んだ状態で回転することで、シートSを加熱する部材である。加熱ユニット2は、加熱回転体の一例であるベルトBと、ヒータ10と、ホルダ20と、熱伝導部材30と、を備える。
【0021】
ベルトBは、無端状であり、金属または樹脂などからなる。ベルトBは、ホルダ20に案内されながら、ヒータ10の周りを回転する。ベルトBは、外周面と内周面を有する。外周面は、加熱対象となるシートSと接触する。内周面は、ヒータ10と接触する。
【0022】
ヒータ10は、基板11と、抵抗発熱体12と、カバー13とを有する。
図2に示すように、基板11は、セラミックの細長い長方形の板からなる。ヒータ10は、いわゆるセラミックヒータである。基板11は、シートSの搬送方向(以下の説明では、単に「搬送方向」という。)に交差する交差方向(以下の説明では、単に「交差方向」という。)に延びている。本実施形態では、交差方向は、シートSの搬送方向に直交する方向である。
【0023】
抵抗発熱体12は、基板11に設けられている。抵抗発熱体12は、基板11の一方の面に、印刷により形成されている。抵抗発熱体12は、第1端子12Aと、第2端子12Bと、第1発熱パターン121と、第2発熱パターン122と、を有する。第1端子12Aは、電力を供給する端子であり、第1発熱パターン121の一端に設けられている。第2端子12Bは、電力を供給する端子であり、第2発熱パターン122の一端に設けられている。第1発熱パターン121は、シートSの搬送方向に交差する交差方向に延びている。第2発熱パターン122は、交差方向に延びている。第1発熱パターン121の他端と第2発熱パターン122の他端は、電気的に接続されている。第2発熱パターン122は、第1発熱パターン121に対して搬送方向の下流側に位置する。第2発熱パターン122は、第1発熱パターン121から搬送方向に所定距離D1離れて位置する。
【0024】
カバー13は、抵抗発熱体12を覆っている。カバー13は、例えば、ガラスからなる。
【0025】
図1に示すように、ホルダ20は、ヒータ10を支持する部材である。ホルダ20は、支持部21と、案内部22とを有する。支持部21は、ヒータ10の形状に対応した板形状を有する。支持部21は、ヒータ10および熱伝導部材30を支持する支持面21Aを有する。案内部22は、支持部21の搬送方向における両端に設けられている。各案内部22は、ベルトBの内周面に沿った案内面22Gを有する。
【0026】
熱伝導部材30は、基板11より熱伝導率が高い板状またはシート状の部材である。熱伝導部材30は、基板に接触することで、基板11の面に直交する方向、つまり、基板11の面に沿った方向に熱を伝導して、ヒータ10の温度を、基板11の面に沿った方向に均一化するための部材である。熱伝導部材30は、ヒータ10とホルダ20の支持部21との間に位置する。加熱ユニット2および加圧回転体3にシートSが挟まれるときには、熱伝導部材30は、ヒータ10と支持部21により挟まれる。
【0027】
熱伝導部材30は、基板11よりも、基板11の面に沿った熱伝導率が高い。熱伝導部材30の材料は特に限定されないが、例えば、アルミニウム、アルミニウム合金、銅などの熱伝導率が大きい金属を採用することができる。また、熱伝導部材30は、シートの厚み方向よりも厚みに直交する向の熱伝導率が大きいグラファイトシートを採用することができる。また、熱伝導部材30の厚さも特に限定されず、例えば、0.1mmより薄いフィルム状のものであってもよいし、1mmより厚い板状のものであってもよい。
【0028】
加圧回転体3は、回転可能なローラである。加圧回転体3は、シャフト3Aと、弾性層3Bとを有している。シャフト3Aは、金属からなる円柱形状を有し、交差方向に延びている。弾性層3Bは、弾性変形可能な部材からなり、シャフト3Aを被覆する。加圧回転体3は、ヒータ10との間でベルトBを挟むことで、ベルトBとの間にシートSを加熱・加圧するためのニップ部NPを形成する。
【0029】
加圧回転体3は、図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動する。加圧回転体3は、回転駆動することでベルトB(またはシートS)との摩擦力によりベルトBを従動回転させるようになっている。これにより、加圧回転体3は、ベルトBとの間でシートSを搬送する。このようにして、例えば、トナー像が転写されたシートSが加圧回転体3と加熱されたベルトBの間を搬送された場合、トナー像が熱定着される。
【0030】
ここで、基板11、熱伝導部材30およびニップ部NPの寸法について説明する。
搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、第1発熱パターン121の内側端121Aから第2発熱パターン122の内側端122Aまでの距離である所定距離D1より大きい。なお、第1発熱パターン121の内側端121Aとは、第1発熱パターン121の搬送方向における下流端のことである。第2発熱パターン122の内側端122Aとは、第2発熱パターン122の搬送方向における上流端のことである。
【0031】
また、搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、第1発熱パターン121の外側端121B(搬送方向の上流端)から第2発熱パターン122の外側端122B(搬送方向の下流端)までの寸法D2より大きい。
また、搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、ニップ部NPの寸法D4以下である。なお、加熱ユニット2と加圧回転体3の少なくとも一方を動かすことにより、ニップ部NPの寸法を変更できる場合には、ニップ部NPの大きさを最も大きくした場合の寸法D4と熱伝導部材の寸法D3を比較するものとする。
【0032】
また、搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、基板11の寸法D5の40%以上である。
また、搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、基板の寸法D5以下である。
【0033】
搬送方向において、基板11の寸法D5は、ニップ部NPの寸法D4より大きい。
【0034】
図2に示すように、交差方向において、熱伝導部材30の寸法L2は、基板11の寸法L1より小さい。
【0035】
以上のような第1実施形態における定着装置1の効果について説明する。
定着装置1では、搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3が所定距離D1より大きく、かつ、ニップ部NPの寸法D5以下であるため、ニップ部NPより外側に熱伝導部材30により伝熱されるのを抑制できる。したがって、定着装置1は、熱伝導部材30に必要以上に熱が奪われることを抑制しつつヒータ10を均熱化できる。定着装置1が必要以上に熱が奪われないことで、電力を節約できる。
【0036】
また、交差方向において、熱伝導部材30の寸法L2が基板11の寸法L1より小さいため、定着装置1は、必要以上に熱伝導部材30に熱が奪われることを抑制できる。
【0037】
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変形して実施することが可能である。
【0038】
例えば、
図3に示す第2実施形態における定着装置1Aの加熱ユニット2Aように、搬送方向において、ニップ部NPの寸法D4は、所定距離D1より大きく、熱伝導部材30Aの寸法D3以上である構成であってもよい。また、搬送方向において、ニップ部NPの寸法D4は、第1発熱パターン121の外側端121Bから第2発熱パターン122の外側端122Bまでの寸法D2より大きい。なお、第2実施形態では、搬送方向において、熱伝導部材30の寸法D3は、基板の寸法D5と同じである。
【0039】
この第2実施形態においても、搬送方向において、ニップ部NPの寸法D4が熱伝導部材30の寸法D3以上であるため、ニップ部NPより外側に熱伝導部材30により伝熱されるのを抑制できる。したがって、定着装置1は、必要以上に熱伝導部材30に熱が奪われることなく、ニップ部NPに対応したヒータ10の適切な領域を均熱化できる。
【0040】
また、例えば、
図4に示す第3実施形態における加熱ユニット2Bのように、搬送方向において、熱伝導部材30Bの寸法D3は、第1発熱パターン121の内側端121Aから第2発熱パターン122の内側端122Aまでの所定距離D1以上であり、第1発熱パターン121の外側端121Bから第2発熱パターン122の外側端122Bまでの寸法D2以下である構成としてもよい。第3実施形態において、ニップ部NPは、加圧回転体3がヒータ10およびホルダ20との間でベルトBを挟むことで、ベルトBとの間に形成される。この第3実施形態においても、搬送方向において、ニップ部NPの寸法D4が熱伝導部材30Bの寸法D3以上であるため、必要以上に熱伝導部材30Bに熱が奪われることなく、ニップ部NPに対応したヒータ10の適切な領域を均熱化できる。
【0041】
また、例えば、
図5に示す第4実施形態における加熱ユニット2Cのように、搬送方向において、熱伝導部材30Cの寸法D3は、基板11の寸法D5より大きい構成としてもよい。この第4実施形態においても、ニップ部NPの寸法D4が熱伝導部材30の寸法D3以上であれば、ニップ部NPより外側に熱伝導部材30により伝熱されるのを抑制でき、必要以上に熱伝導部材30に熱が奪われることなく、ヒータ10の適切な領域を均熱化できる。
【0042】
また、前記実施形態において、抵抗発熱体12は、交差方向に延びる2本の発熱パターンを有していたが、発熱パターンの本数は、特に限定されず、3本以上であってもよい。
例えば、
図6に示す基板11Dの抵抗発熱体12Dは、4本の発熱パターンを有する。具体的には、抵抗発熱体12Dは、第1発熱パターン121と、第2発熱パターン122と、第3発熱パターン123と、第4発熱パターン124とを有する。第1発熱パターン121、第2発熱パターン122、第3発熱パターン123および第4発熱パターン124は、電気的に発熱可能に接続され、交差方向に延びている。搬送方向において、第3発熱パターン123および第4発熱パターン124は、第1発熱パターン121と第2発熱パターン122の間に位置する。この場合には、熱伝導部材30Dの寸法D3は、搬送方向において、第3発熱パターン123の内側端123Aから第4発熱パターン124の内側端までの距離である所定距離D1より大きい。熱伝導部材30の寸法D3がニップ部NPの寸法D4より小さいことで、ニップ部NPより外側に熱伝導部材30により伝熱されるのを抑制でき、必要以上に熱伝導部材30に熱が奪われることなく、ヒータ10の適切な領域を均熱化できる。
【0043】
また、前記実施形態において、抵抗発熱体12は、第1端子12Aが第1発熱パターン121の一端に設けられ、第2端子12Bが第2発熱パターン122の一端に設けられ、第1発熱パターン121の他端と第2発熱パターン122の他端が電気的に接続されたが、この構成に限られない。
例えば、
図7に示すように、抵抗発熱体12Eは、第1発熱パターン121Eと、第2発熱パターン122Eと、第3発熱パターン123Eと、第4発熱パターン124Eと、第1端子T1と、第2端子T2と、第3端子T3と、を有する。第1端子T1は、第1発熱パターン121Eおよび第2発熱パターン122Eの一端に設けられている。第2端子T2は、第3発熱パターン123Eおよび第4発熱パターン124Eの一端に設けられている。第3端子T3は、第1発熱パターン121E、第2発熱パターン122E、第3発熱パターン123Eおよび第4発熱パターン124Eの他端に設けられている。この場合においても、熱伝導部材30Eの寸法D3がニップ部NPの寸法D4より小さいことで、ニップ部NPより外側に熱伝導部材30により伝熱されるのを抑制でき、必要以上に熱伝導部材30に熱が奪われることなく、ヒータ10の適切な領域を均熱化できる。
【0044】
また、前記実施形態において、熱伝導部材30は1枚のシート状の部材からなっていたが、複数枚のシート状の部材の組合せにより構成されていてもよい。この場合に、複数枚のシート状の部材は、材質、熱伝導率、形状などが互いに異なっていてもよいし、互いに同じであってもよい。
【0045】
また、前記実施形態において、ヒータ10の基板11は、セラミックの細長い長方形の板からなっていたが、熱伝導部材30よりも熱伝導率が小さければよく、例えば、ステンレスなどの金属の細長い長方形の板からなっていてもよい。
【0046】
また、前記した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 定着装置
2 加熱ユニット
3 加圧回転体
10 ヒータ
11 基板
12 抵抗発熱体
30 熱伝導部材
121 第1発熱パターン
122 第2発熱パターン
B ベルト
NP ニップ部