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  • 特開-ねじ式クランプ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078496
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ねじ式クランプ
(51)【国際特許分類】
   B25B 5/10 20060101AFI20240604BHJP
   F16B 2/12 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B25B5/10
F16B2/12 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190905
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390030328
【氏名又は名称】イーグルクランプ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085589
【弁理士】
【氏名又は名称】▲桑▼原 史生
(72)【発明者】
【氏名】中山 太一
【テーマコード(参考)】
3C020
3J022
【Fターム(参考)】
3C020CC02
3C020CC06
3C020EE01
3C020FF01
3J022DA15
3J022EA41
3J022EB04
3J022EC02
3J022FB07
3J022FB12
3J022FB24
3J022GA06
3J022GA13
3J022GB32
(57)【要約】
【課題】ねじ式クランプにおいて先端パッドが締付ねじから不慮に外れることを未然に防止することができる新規構造を提供する。
【解決手段】ねじ式クランプ(10)において、先端パッド(16)は、先端部(16b)と、先端部の後方に連続して延長する先端部より小径の軸部(16c)と、軸部の後方に連続して延長する軸部よりさらに小径の延長部(16e)とを有してなり、締付ねじ(15)は、先端に開口する第一の嵌合凹部(15a)と、第一の嵌合凹部の底部からさらに奥方に連続して延長する第二の嵌合凹部(15g)とを有してなる。先端パッドの軸部が締付ねじの第一の嵌合凹部に嵌合され、先端パッドの突出部が締付ねじの第二の嵌合凹部に嵌合された状態で、先端パッドが締付ねじの先端に装着される。先端パッドの軸部と延長部の合計軸方向長さbを先端部の厚さaの2倍以上とすることにより、先端パッドが外れにくくなる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を挟んで対向する一対の脚部を有する概してU字形のクランプ本体と、一方の脚部に装着される受け金と、他方の脚部に受け金に対向して進退可能に装着される締付ねじと、締付ねじの先端に装着される先端パッドとを備え、開口部に挿入した吊荷を受け金と先端パッドとの間に圧接挟持するように構成されたねじ式クランプにおいて、前記先端パッドは、その先端面に凹凸状の歯先が形成された外径R1の先端部と、先端部の後方に連続して延長する外径R2(R2<R1)の軸部と、軸部の後方に連続して延長する外径R3(R3<R2)の延長部と、を有してなり、前記締付ねじは、先端に開口する内径R4(R2≦R4<R1)の第一の嵌合凹部と、第一の嵌合凹部の底部からさらに奥方に連続して延長する外径R5(R5≦R3<R4)の第二の嵌合凹部とを有し、先端パッドの軸部が締付ねじの第一の嵌合凹部に嵌合され、且つ、先端パッドの延長部が締付ねじの第二の嵌合凹部に嵌合された状態で、先端パッドが締付ねじの先端に装着されることを特徴とする、ねじ式クランプ。
【請求項2】
先端パッドの前記軸部の外周面にサークリップを嵌着可能なサークリップ取付溝が周設されると共に、締付ねじの前記第二の嵌合凹部の内周面には、先端パッドが締付ねじの先端に装着されたときに該サークリップ取付溝に略対向する軸方向位置に、サークリップ取付溝に嵌着されたサークリップの一部を収容可能なサークリップ係止溝が周設されることを特徴とする、請求項1記載のねじ式クランプ。
【請求項3】
先端パッドの先端部の軸方向長さ(a)と先端パッドの軸部と延長部の両方を含めた軸方向長さ(b)が、a/b≦0.5の関係を満たすことを特徴とする、請求項1または2記載のねじ式クランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ねじ式クランプに関し、特に、ねじ式クランプに用いられる締付ねじについての改良に関する。
【背景技術】
【0002】
開口部を挟んで対向する一対の脚部を有する概してU字形のクランプ本体と、一方の脚部に装着される受け金と、他方の脚部に受け金に対して進退可能に装着される締付ねじと、締付ねじの先端に装着される先端パッドとを備え、開口部に挿入した吊荷を受け金と先端パッドとの間に圧接挟持可能に構成されたねじ式クランプは公知であり、鋼板や形鋼などの吊荷の吊り上げ、運搬、引張り、固定、溶接などに広く用いられている。
【0003】
従来公知のねじ式クランプの一例が図1に示されている。このねじ式クランプ10は、吊穴18を有する略U字形のクランプ本体11と、その一方の脚部12に回転自在に装着される回転顎(受け金)13と、他方の脚部14を螺通する締付ねじ15とを備えており、締付ねじ15の後端部(図において右方に示される端部)に装着されるハンドル(図示省略)を回転させることにより、締付ねじ15を回転顎13に対して前進および後退させることができるように構成されている。締付ねじ15の先端には、その先端面に凹凸状の歯先が形成された先端パッド16が着脱可能に装着されている。
【0004】
このねじ式クランプ10を鋼板などの吊荷の吊り上げに用いるために吊荷に取り付ける際には、吊荷を、締付ねじ15先端のパッド16と回転顎13との間に通して脚部12,14間の開口17の奥深くまで挿入した後、締付ねじ15の後端近くに取り付けられるハンドル(図示省略)を締付方向に回転させることにより、締付ねじ15を回転顎13に近付ける方向(図1において左方向)に移動させ、回転顎13と先端パッド16の間に吊荷を圧接挟持して、吊荷に規定の締付力を与え、この状態で吊荷を吊り上げる。吊荷を所定場所まで運搬した後、ハンドルを反締付方向に回転させることにより、締付ねじ15を回転顎13から離れる方向に移動させて吊荷に対する締付力を解放して、クランプ10を吊荷から取り外す。
【0005】
従来のねじ式クランプ10に用いられる先端パッド16付きの締付ねじ15は、図5に示すように構成されている。
【0006】
すなわち、先端パッド16は、その先端面に凹凸状の歯先16aが形成された先端部16bと、先端部16bから後方に向けて同軸状に延長するものとして一体形成された軸部16cとを有する。先端部16bは、下記する締付ねじ15の嵌合凹部15aの内径より十分に大きい外径寸法を有し、図示の例では締付パッド16の外径と略同一の外径を有するものとして形成されている。軸部16cは先端部16bより十分に小さい外径寸法を有し、その外周面には、サークリップ19を嵌着するサークリップ取付溝16dが形成されている。
【0007】
一方、締付ねじ15の先端には、先端パッド16の軸部16cを収容可能な嵌合凹部15aが先端面15fに開口して形成されている。篏合凹部15aの深さは、先端パッド軸部16cの軸長と略同一またはそれより若干大きい寸法を有し、嵌合凹部15aの内径は、先端パッド軸部16cの外径と略同一またはそれより若干大きい寸法を有するものとして形成されている。篏合凹部15aの内周面には、先端パッド軸部16cを嵌合凹部15aに完全に収容したときにサークリップ取付溝16dに略対向する軸方向位置に、サークリップ19の一部が入り込むサークリップ係止溝15bが周設されている。符号15cは、締付ねじ15の外周に形成されて脚部14内の雌ねじ(または後述するプレッシャナット)に螺合する雄ねじであり、符号15dは、締付ねじ15を締付方向/反締付方向に回転操作するハンドル(図示せず)を取り付けるために締付ねじ15の後端部15eを貫通して形成されたハンドル取付穴である。
【0008】
先端パッド16を締付ねじ15に取り付ける際は、サークリップ取付溝16dにサークリップ19を嵌め込んだ後に該サークリップ18を収縮させてサークリップ取付溝16d内に完全に埋没させた状態とし、この状態で先端パッド軸部16cを締付ねじ15の先端面15fから嵌合凹部15aに挿入する。サークリップ取付溝16dとサークリップ係止溝15bとが合致する位置まで挿入されると、収縮状態にあったサークリップ19が弾性復帰してその一部がサークリップ係止溝15bに入り込むので、先端パッド16が締付ねじ15に装着された状態が保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2013-244538号公報(図2
【特許文献2】特許第3651521号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このようなねじ式クランプ(以下、単に「クランプ」ということがある)は各種の用途に広く用いられているが、使用後に、吊荷から外したクランプを作業者が放り投げたり落としたりすることがあり、その際に、クランプが周囲の構造物や地面に衝突したときの衝撃で、先端パッドが締付ねじから抜け落ちる事故がたびたび起きていた。この場合、締付ねじから抜け落ちた先端パッドが作業者に当たって怪我をしたり、周囲の構造物に当たって損傷させる恐れがあった。また、先端パッドが欠落していることに気付かないまま、次回の作業で吊荷を吊り上げようとしてクランプを取り付け、クレーンを巻き上げると、吊荷に対する締付力が十分に働かず、落下事故の原因になることが懸念される。
【0011】
したがって、本発明が解決しようとする課題は、上記懸念や問題を解決し、ねじ式クランプにおいて先端パッドが締付ねじから不慮に外れることを未然に防止することができる新規構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この課題を解決するため、請求項1に係る本発明は、開口部を挟んで対向する一対の脚部を有する概してU字形のクランプ本体と、一方の脚部に装着される受け金と、他方の脚部に受け金に対向して進退可能に装着される締付ねじと、締付ねじの先端に装着される先端パッドとを備え、開口部に挿入した吊荷を受け金と先端パッドとの間に圧接挟持するように構成されたねじ式クランプにおいて、前記先端パッドは、その先端面に凹凸状の歯先が形成された外径R1の先端部と、先端部の後方に連続して延長する外径R2(R2<R1)の軸部と、軸部の後方に連続して延長する外径R3(R3<R2)の延長部と、を有してなり、前記締付ねじは、先端に開口する内径R4(R2≦R4<R1)の第一の嵌合凹部と、第一の嵌合凹部の底部からさらに奥方に連続して延長する外径R5(R5≦R3<R4)の第二の嵌合凹部とを有し、先端パッドの軸部が締付ねじの第一の嵌合凹部に嵌合され、且つ、先端パッドの突出部が締付ねじの第二の嵌合凹部に嵌合された状態で、先端パッドが締付ねじの先端に装着されることを特徴とする。
【0013】
請求項2に係る本発明は、請求項1記載のねじ式クランプにおいて、先端パッドの前記軸部の外周面にサークリップを嵌着可能なサークリップ取付溝が周設されると共に、締付ねじの前記第二の嵌合凹部の内周面には、先端パッドが締付ねじの先端に装着されたときに該サークリップ取付溝に略対向する軸方向位置に、サークリップ取付溝に嵌着されたサークリップの一部を収容可能なサークリップ係止溝が周設されることを特徴とする。
【0014】
請求項3に係る本発明は、請求項1または2記載のねじ式クランプにおいて、先端パッドの先端部の軸方向長さ(a)と先端パッドの軸部と延長部の両方を含めた軸方向長さ(b)が、a/b≦0.5の関係を満たすことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、先端パッドの軸部からさらに後方に突出する延長部が形成され、先端パッドの先端部が締付ねじの第一の嵌合凹部に嵌合されると共に先端パッドの延長部が締付ねじの第二の嵌合凹部に嵌合された状態で先端パッドが締付ねじの先端に装着されることになる。ねじ式クランプを用いて受け金と先端パッドの間に吊荷を挟んだ状態で吊り上げるときには、後述するように、吊荷の質量Wが先端パッドを回転させる力として働いて先端パッドが締付ねじから外れてしまうことがあるが、先端パッドに延長部が設けられることにより、この外れようとする力を減少させることができる。したがって、吊荷を所定場所まで運搬して吊り下ろした後などに、吊荷から外したクランプを作業者が放り投げたり落としたりしても、クランプが周囲の構造物や地面に衝突したときの衝撃で、先端パッドが締付ねじから抜け落ちることが無くなり、締付ねじから抜け落ちた先端パッドが作業者に当たって怪我をしたり、周囲の構造物に当たって損傷させる事故や、締付ねじが欠落していることに気付かないまま当該クランプで吊荷を吊り上げたときに吊荷に対する締付力が十分に働かずに吊荷を落下させてしまう事故などを未然に防止ないし抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】ねじ式クランプの一例を概略的に示す斜視図である。
図2図1のねじ式クランプに用いられる先端パッド付き締付ねじとして使用可能な本発明実施例を示す全体図(軸心線の下方は外形図、上方は断面図)である。
図3図2の先端パッド付き締付ねじの先端パッドを単独で示す外形図である。
図4図2の先端パッド付き締付ねじの締付ねじを単独で示す外形図である。
図5図1のねじ式クランプに用いられる従来技術による先端パッド付き締付ねじを示す図であり、(a)はその全体図(軸心線の下方は外形図、上方は断面図)先端パッドの側面図、(b)はその先端パッドを単独で示す外形図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の一実施形態によるねじ式クランプの構成および作用について、図1ないし図4を参照して詳細に説明する。
【0018】
このねじ式クランプは、従来技術と概ね同様の構成を有するが、後述するところから理解されるように、締付ねじおよび先端パッドについての改良が含まれている。このねじ式クランプの基本構成については図1を参照して既述したので、この基本構成と実質的に同一の部材・部分には同一の符号を付して、説明を省略する。
【0019】
本発明による改良が施された締付ねじの実施例が図2図4に示されている。
【0020】
最初に、図3を参照して、先端パッド16の構成について説明する。この先端パッド16は、その先端面に凹凸状の歯先16aが形成された先端部16bと、先端部16bから後方に向けて同軸状に延長するものとして一体形成された軸部16cとを有し、軸部16cの外周面には、サークリップ19を嵌着するサークリップ取付溝16dが形成されている点において、従来技術による先端パッド16(図5(b))と同様の構成を有するが、軸部16cの後方にさらに延長部16eが突出形成されている点において、従来技術による先端パッド16と相違している。
【0021】
先端パッド16各部の外径寸法は、先端部16bの外径R1>軸部16cの外径R2>延長部16eの外径R3である。また、各部の軸方向長さは、先端部16bの長さ(厚さ)をa、軸部16cと延長部16eの総長をbとすると、bがaの少なくとも2倍以上であることが好ましい。
【0022】
次に、図4を参照して、締付ねじ15の構成について説明する。この締付ねじ15は、先端パッド16の軸部16cを収容可能な嵌合凹部15aが先端面15fに開口して形成され、この篏合凹部15aの内周面にはサークリップ係止溝15bが周設され、回転操作用のハンドル(図示せず)を取り付けるための取付穴15dが貫通形成された後端部(符号なし)を除く部分の外周に雄ねじ15cが形成されている点において従来技術による締付ねじ15(図5(a))と同様の構成を有するが、嵌合凹部(第一の嵌合凹部)15aの奥方に連続して、先端パッド16の延長部16eを収容する嵌合凹部(第二の嵌合凹部)15gが形成されている点で、従来技術による締付ねじ15と相違している。各部の内径寸法は、第一の嵌合凹部15aの内径R4>第二の嵌合凹部15gの内径R5であり、且つ、第一の嵌合凹部15aの内径R4は先端パッド15の軸部16cの外径R2と略同一またはそれより若干大きい寸法を有し、第二の嵌合凹部15gの内径R5は先端パッド16の延長部16eの外径R2と略同一またはそれより若干大きい寸法を有する。また、軸方向長さについては、締付ねじ15の先端面15fから第二の嵌合凹部15eの底までの長さ(すなわち、第一の嵌合凹部15aと第二の嵌合凹部15gを合わせた全体の深さ)は、先端パッド16の軸部16cと延長部16eの総長bと略同一またはそれより大きい寸法を有する。
【0023】
図3の先端パッド16が図4の締付ねじ15の先端に装着された状態が図2に示されている。この状態において、先端パッド16の先端部16bの裏面16fは締付ねじ15の先端面15fに略密接し、先端パッド15の軸部16cは締付ねじ15の第一の嵌合凹部15aに嵌合収容され、先端パッド15の延長部16eは締付ねじ15の第二の嵌合凹部15gに嵌合収容されており、先端パッド16のサークリップ取付溝16dに嵌着されたサークリップ19の一部が締付ねじ15のサークリップ係止溝15bに係止されることによって先端パッド16が締付ねじ15から抜け落ちることが防止され、この装着状態が維持される。
【0024】
この先端パッド16付きの締付ボルト15をねじ式クランプ10に用いて、受け金13と先端パッド16の間に吊荷を圧接挟持して吊り上げると、該吊荷の質量Wを受けて、先端パッド先端部16bの裏面16fと締付ねじ15の先端面15fとが接する下側の接点Pを支点として、先端パッド16を図2反時計方向に回転させようとする力Fが働き、この力Fが大きいほど先端パッド16が締付ねじ15から外れやすくなる。Fは、F=(Wxa)/bの計算式で算出されるので、a/bを小さくすることによりFが小さくなって先端パッド16を外れにくくすることができるが、先端パッド16の先端部16bの厚さaは、先端面の歯先16aが吊荷の側面に喰い込んでグリップする把持力の荷重を受けるためにある程度以上の厚さを有する必要があるので、aを小さくすることは実際上困難である。したがって、a/bを小さくして(=Fを小さくして)先端パッド16を外れにくいものとするためには、aに対してbを大きくする必要がる。
【0025】
従来技術による先端パッド16(図5(b))は、a:b=2:3程度(a/b≒0.66)であったが、本発明者による実験の結果、a/b≦0.5とすることにより、実際上十分にFが小さくなり、使用後に吊荷から外したクランプ10を放り投げても先端パッド16が締付ねじ15から外れにくくなることが分かった。
【0026】
この観点からすれば、外径R2の軸部16cをそのままの外径で後方に延長させて軸長bを有するように形成しても良いことになるが、その場合は、締付ねじ15の第一の嵌合凹部15aをそのままの内径でさらに奥方に延長させる必要が生ずる。このようにすると、締付ねじ15の第一の嵌合凹部15aの外側に残される部分の肉厚は、締付ねじ15自体の外径R6とすると、(R6-R4)/2となり、この肉厚がbの長さに亘って延長することになるが、吊荷の荷重Wを受ける部分となる軸部16cにはある程度の外径R2を与える必要があることを考慮すると、該部分の肉厚(R6-R4)/2はかなり小さなものとなり、強度低下による破損や折損が懸念される。
【0027】
そこで、本発明では、外径R2の軸部16cの後方に連続して、軸部16cより小径R3の延長部16eを形成して、軸部16cと延長部16eの合計軸方向長さbを大きく取るようにした。これにより、延長部16eの外側に残される部分の肉厚は、(R6-R3)/2となり、第一の嵌合凹部15aの外側に残される部分の肉厚より大きな肉厚とすることができるので、強度低下により締付ねじ15の破損や折損の懸念を最小限に抑制することができる。
【0028】
以上に本発明によるねじ式クランプについて図示実施形態に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において多種多様に変形ないし変更して実施可能である。本発明について特許文献1記載の従来技術に対する改良として説明したが、本発明は、特許文献2に記載されるようなプレッシャナット内蔵タイプのねじ式クランプにおいて、該プレッシャナットを螺通する締付ねじとして適用することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
10 ねじ式クランプ
11 クランプ本体
12,14 脚部
13 回転顎(受け金)
15 締付ねじ
15a 第一の嵌合凹部
15b サークリップ係止溝
15c 雄ねじ
15d ハンドル取付穴
15e 後端部
15f 先端面
15g 第二の嵌合凹部
16 先端パッド
16a 歯先
16b 先端部
16c 軸部
16d サークリップ取付溝
16e 延長部
16f 先端部裏面
17 開口
18 吊穴
19 サークリップ
図1
図2
図3
図4
図5