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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078497
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 5/30 20060101AFI20240604BHJP
   B41J 2/52 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J5/30 Z
B41J2/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190906
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000291
【氏名又は名称】弁理士法人コスモス国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 直樹
【テーマコード(参考)】
2C187
2C262
【Fターム(参考)】
2C187AC06
2C187BF01
2C187BG03
2C187BG08
2C187BG14
2C187BH06
2C187FB12
2C187FB13
2C187FB19
2C187FC03
2C262AA04
2C262AB19
2C262BB15
2C262DA02
2C262EA07
(57)【要約】
【課題】濃度が設定された印刷データに基づく印刷を行う際の、印字速度の低下を低減する技術を提供すること。
【解決手段】プリンタ1は、印刷データのコマンドが、文字以外の描画コマンドである、または、濃度の設定がされていない文字の描画コマンドである、または、判断済みの他の文字に設定されている濃度とは異なる濃度が設定された文字の描画コマンドである、場合に、特定のコマンドであると判断する。プリンタ1は、特定のコマンドであると判断されなかった場合に、設定された濃度を示す中間値を用いずにラスタデータを生成し、中間値に従った画像濃度にするために印字条件を調整する。プリンタ1は、調整された印字条件に従って、ラスタデータの印刷を印刷デバイス15に行わせる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷デバイスと、
コントローラと、
を備えるプリンタであって、
前記コントローラは、
印刷データのコマンドが、特定のコマンドか否かを判断する判断処理であって、
前記コマンドが、文字以外の描画コマンドである、または、
前記コマンドが、濃度の設定がされていない文字の描画コマンドである、または、
前記コマンドが、判断済みの他の文字に設定されている濃度とは異なる濃度が設定された文字の描画コマンドである、場合に、前記特定のコマンドと判断する、前記判断処理を実行し、
前記コントローラはさらに、
前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断されなかった場合に、
濃度の設定がなされた文字の描画コマンドについて、設定された濃度を示す中間値を用いずに、ラスタデータを生成する第1ラスタ処理と、
設定された濃度を示す前記中間値に従った画像濃度にするために印字条件を調整する調整処理と、を実行し、
前記調整処理にて調整された前記印字条件に従って、前記第1ラスタ処理にて生成された前記ラスタデータの印刷を前記印刷デバイスに行わせる、
ように構成されるプリンタ。
【請求項2】
請求項1に記載されるプリンタにおいて、
前記コントローラは、
前記印刷データを取得する取得処理と、
前記取得処理にて取得された前記印刷データからコマンドを読み込む読込処理と、を実行し、
前記判断処理では、前記読込処理にて読み込まれた前記コマンドが、前記特定のコマンドか否かを判断する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項3】
請求項1に記載されるプリンタにおいて、
前記コントローラは、
前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断された場合に、
濃度の設定がなされた文字の描画コマンドについて、設定された濃度を示す前記中間値を用いて、ラスタデータを生成する第2ラスタ処理を実行し、
前記ラスタデータの印刷を、前記調整処理を実行することなく前記印刷デバイスに行わせる、
ように構成されるプリンタ。
【請求項4】
請求項3に記載されるプリンタにおいて、
前記コントローラは、
前記判断処理を終了させるための終了条件を満たす前に、前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断された場合に、前記第2ラスタ処理を実行する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項5】
請求項1に記載されるプリンタにおいて、
前記コントローラは、
前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断されることなく、前記判断処理を終了させるための終了条件を満たした場合に、前記第1ラスタ処理および前記調整処理を実行する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項6】
請求項5に記載されるプリンタにおいて、
前記印刷データのコマンドには、ページ終了コマンドが含まれ、
前記コントローラは、前記終了条件を、前記コマンドが前記ページ終了コマンドであったこととする、
ように構成されるプリンタ。
【請求項7】
請求項5に記載されるプリンタにおいて、
前記印刷データのコマンドには、ジョブ終了コマンドが含まれ、
前記コントローラは、前記終了条件を、前記コマンドが前記ジョブ終了コマンドであったこととする、
ように構成されるプリンタ。
【請求項8】
請求項7に記載されるプリンタにおいて、
前記プリンタは、メモリを備え、
前記コントローラは、
前記コマンドを前記メモリに記憶させる記憶処理を実行し、
さらに前記コントローラは、
前記終了条件を満たす前に、前記メモリがメモリフルになった場合、前記判断処理を終了し、濃度の設定がなされた文字の描画コマンドについて、設定された濃度を示す前記中間値を用いて、ラスタデータを生成する第3ラスタ処理を実行する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項9】
請求項5に記載されるプリンタにおいて、
前記プリンタは、前記印刷データのコマンドを、ページ単位で解析するか、またはジョブ単位で解析するか、の動作設定を記憶するメモリを備え、
前記印刷データのコマンドには、ページ終了コマンドと、ジョブ終了コマンドと、が含まれ、
前記コントローラは、
前記印刷データのコマンドをページ単位で解析する前記動作設定を前記メモリに記憶している場合、前記終了条件を、前記コマンドが前記ページ終了コマンドであったこととし、
前記印刷データのコマンドをジョブ単位で解析する前記動作設定を前記メモリに記憶している場合、前記終了条件を、前記コマンドが前記ジョブ終了コマンドであったこととする、
ように構成されるプリンタ。
【請求項10】
請求項1に記載されるプリンタにおいて、
前記コントローラは、
前記判断処理では、前記コマンドが、閾値よりも低い濃度を示す前記中間値の設定がされている文字の描画コマンドである場合にも、前記特定のコマンドと判断する、
ように構成されるプリンタ。
【請求項11】
請求項1に記載されるプリンタにおいて、
前記印刷デバイスは、レーザ光を発光する露光器を備え、前記印字条件には、前記露光器のレーザ光の制御値が含まれ、
前記コントローラは、
前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断されなかった場合に、
前記調整処理における前記印字条件の調整として、前記中間値に従った画像濃度となるように前記露光器によるレーザ光の制御値の調整を行った後、前記第1ラスタ処理にて生成された前記ラスタデータの印刷を前記印刷デバイスに行わせる、
ように構成されるプリンタ。
【請求項12】
請求項1に記載されるプリンタにおいて、
前記印刷デバイスは、現像器を備え、前記印字条件には、前記現像器に印加する現像バイアス値が含まれ、
前記コントローラは、
前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断されなかった場合に、
前記調整処理における前記印字条件の調整として、前記中間値に従った画像濃度となるように前記現像バイアス値の調整を行った後、前記第1ラスタ処理にて生成された前記ラスタデータの印刷を前記印刷デバイスに行わせる、
ように構成されるプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示される技術分野は、濃度が設定された印刷データに基づく印刷が可能なプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プリンタにおいて、濃度が設定された印刷データに示される画像をディザ処理や誤差拡散処理を用いて二階調に変換し、二値化画像として濃淡を表現する技術が知られている。この二値化画像では、濃度が下がるほどドットが無い部分の比率が大きくなる。そのため、二値化画像に基づく印字では、ドットが大きく欠けている部分がエッジに露出することがある。このドットが大きく欠けている部分がエッジに露出することは、いわゆるジャギーと呼ばれる。そこで、特許文献1に開示されているように、エッジを滑らかに見せるための方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06-105130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術のように、ディザ処理や誤差拡散処理を実行し、さらに、エッジを滑らかに見せるためのエッジ強調処理を実行した場合、ジャギーは発生し難くなる。しかし、それらの処理の実行に伴って印字速度が低下する場合がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決を目的としてなされたプリンタは、印刷デバイスと、コントローラと、を備えるプリンタであって、前記コントローラは、印刷データのコマンドが、特定のコマンドか否かを判断する判断処理であって、前記コマンドが、文字以外の描画コマンドである、または、前記コマンドが、濃度の設定がされていない文字の描画コマンドである、または、前記コマンドが、判断済みの他の文字に設定されている濃度とは異なる濃度が設定された文字の描画コマンドである、場合に、前記特定のコマンドと判断する、前記判断処理を実行し、前記コントローラはさらに、前記判断処理にて前記特定のコマンドと判断されなかった場合に、濃度の設定がなされた文字の描画コマンドについて、設定された濃度を示す中間値を用いずに、ラスタデータを生成する第1ラスタ処理と、設定された濃度を示す前記中間値に従った画像濃度にするために印字条件を調整する調整処理と、を実行し、前記調整処理にて調整された前記印字条件に従って、前記第1ラスタ処理にて生成された前記ラスタデータの印刷を前記印刷デバイスに行わせる、ように構成される。
【0006】
本明細書に開示されるプリンタは、印刷データについて、文字以外の描画コマンドが無く、文字の描画コマンドの全てで同じ濃度の設定がなされている場合、すなわち印字対象の画像が同じ中間調の濃度の文字のみで構成される場合に、描画コマンドに設定されている濃度を示す中間値を用いずにラスタデータを生成する。プリンタはさらに、その中間値に従った画像濃度となるように印字条件を調整して、ラスタデータの印刷を印刷デバイスに行わせる。これにより、その中間値に従った濃度の文字が表現される。さらに、この場合、プリンタは、ディザ処理やそれに伴う補正処理等の中間調を表現するための処理を行わない。従って、それらの処理に起因する印字速度の低下が抑制される。
【0007】
上記プリンタを含む印刷システム、プリンタの機能を実現するための制御方法、コンピュータプログラム、当該プログラムを格納するコンピュータにて読取可能な記憶媒体も、新規で有用である。
【発明の効果】
【0008】
本明細書に開示される技術によれば、濃度が設定された印刷データに基づく印刷を行う際の、印字速度の低下を低減する技術が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】プリンタの概略構成を示すブロック図である。
図2】中間調設定処理の手順を示すフローチャートである。
図3】ページ単位処理の手順を示すフローチャートである。
図4】ジョブ単位処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施の形態にかかるプリンタについて、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態は、電子写真方式による印刷を実行可能なプリンタを開示するものである。
【0011】
プリンタ1は、図1に示すように、CPU11と、メモリ12と、を含むコントローラ10を備えている。また、プリンタ1は、ユーザインタフェース(以下、「ユーザIF」とする)13と、通信インタフェース(以下、「通信IF」とする)14と、印刷デバイス15と、を備えている。ユーザIF13と通信IF14と印刷デバイス15とは、コントローラ10に電気的に接続されている。なお、図1中のコントローラ10は、プリンタ1の制御に利用されるハードウェアを纏めた総称であって、実際にプリンタ1に存在する単一のハードウェアを表すとは限らない。
【0012】
CPU11は、メモリ12から読み出したプログラムに従って、または、ユーザの操作に従って、各種の処理を実行する。メモリ12には、各種のプログラムや各種のデータが記憶されている。メモリ12は、各種の処理が実行される際の作業領域としても利用される。メモリ12は、CPU11が備えるバッファを含んでも良い。
【0013】
プリンタ1のメモリ12には、図1に示すように、印刷制御プログラム21と、RIPプログラム22と、動作設定情報23と、デバイス制御プログラム24と、受信バッファ25と、解析済バッファ26と、を含む、各種のプログラムやデータが記憶されている。メモリ12に記憶されるプログラムやデータについての詳細は、後述する。
【0014】
なお、メモリ12の一例は、プリンタ1に内蔵されるROM、RAM、HDD等に限らず、CPU11が読み取り可能かつ書き込み可能なストレージ媒体であっても良い。コンピュータが読み取り可能なストレージ媒体とは、non-transitoryな媒体である。non-transitoryな媒体には、上記の例の他に、CD-ROM、DVD-ROM等の記録媒体も含まれる。また、non-transitoryな媒体は、tangibleな媒体でもある。一方、インターネット上のサーバ等からダウンロードされるプログラムを搬送する電気信号は、コンピュータが読み取り可能な媒体の一種であるコンピュータが読み取り可能な信号媒体であるが、non-transitoryなコンピュータが読み取り可能なストレージ媒体には含まれない。
【0015】
ユーザIF13は、ユーザに情報を報知するための画面を表示するハードウェアと、ユーザによる操作を受け付けるハードウェアと、を含む。ユーザIF13は、タッチパネルを含んでいても良いし、表示部と操作ボタンとの組み合わせであっても良い。
【0016】
通信IF14は、外部装置と通信を行うためのハードウェアを含む。通信IF14の通信規格は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、USBなどである。プリンタ1は、複数の通信規格に対応する複数の通信IF14を備えていても良い。
【0017】
印刷デバイス15は、トナーを用いて電子写真方式での印刷が可能な構成を有している。印刷デバイス15は、図1に示すように、感光体51と、帯電器52と、露光器53と、現像器54と、を備える。印刷実行時には、帯電器52は、感光体51の表面を一様に帯電する。露光器53は、画像データに基づいてレーザ光を発光し、感光体51の表面に照射する。これにより、感光体51の表面に静電潜像が形成される。現像器54は、現像ローラ541を備える。現像ローラ541は、静電潜像にトナーを供給する。これにより、感光体51の表面にトナー像が形成される。
【0018】
印刷デバイス15は、複数色のトナーを用いてカラー印刷を実行可能な構成であっても良いし、1色のトナーを用いて単色印刷のみを実行可能な構成であっても良い。カラー印刷が可能なプリンタ1であれば、トナーの色ごとに、少なくとも感光体51と帯電器52と現像器54とを備える。
【0019】
次に、実施の形態のプリンタ1の動作について、フローチャートを参照して説明する。なお、以下の処理は、基本的に、プログラムに記述された命令に従ったCPUの処理を示す。すなわち、以下の説明における「判断」、「抽出」、「選択」、「算出」、「決定」、「特定」、「取得」、「受付」、「制御」等の処理は、CPUの処理を表している。CPUによる処理は、OSのAPIを用いたハードウェア制御も含む。本明細書では、OSの記載を省略して各プログラムの動作を説明する。すなわち、以下の説明において、「プログラムBがハードウェアCを制御する」という趣旨の記載は、「プログラムBがOSのAPIを用いてハードウェアCを制御する」ことを指しても良い。また、プログラムに記述された命令に従ったCPUの処理を、省略した文言で記載することがある。例えば、「CPUが行う」のように記載することがある。また、プログラムに記述された命令に従ったCPUの処理を、「プログラムAが行う」のようにCPUを省略した文言で記載することがある。
【0020】
なお、「取得」は要求を必須とはしない概念で用いる。すなわち、CPUが要求することなくデータを受信するという処理も、「CPUがデータを取得する」という概念に含まれる。また、本明細書中の「データ」とは、コンピュータに読取可能なビット列で表される。そして、実質的な意味内容が同じでフォーマットが異なるデータは、同一のデータとして扱われるものとする。本明細書中の「情報」についても同様である。また、「要求する」、「指示する」とは、要求していることを示す情報や、指示していることを示す情報を相手に出力することを示す概念である。また、要求していることを示す情報や指示していることを示す情報のことを、単に、「要求」、「指示」とも記載する。
【0021】
また、CPUによる、情報Aは事柄Bであることを示しているか否かを判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか否かを判断する」のように概念的に記載することがある。CPUによる、情報Aが事柄Bであることを示しているか、事柄Cであることを示しているか、を判断する処理を、「情報Aから、事柄Bであるか事柄Cであるかを判断する」のように概念的に記載することがある。
【0022】
プリンタ1にて実行される中間調設定処理の手順について、図2のフローチャートを参照して説明する。中間調設定処理は、印刷実行の指示を受け付けたことを契機に、印刷制御プログラム21に基づいて、プリンタ1のCPU11にて実行される。以下では、通信IF14を介して外部デバイスから、印刷実行の指示を含む印刷データの受信を開始したことを契機に実行される場合について説明する。なお、プリンタ1は、受信した印刷データを、順次、受信バッファ25に書き込む。受信した印刷データを受信バッファ25に書き込む処理は、取得処理の一例である。
【0023】
中間調設定処理では、CPU11は、まず、解析済バッファ26を初期化する(S101)。具体的には、CPU11は、所定容量のメモリ領域をメモリ12に確保し、確保した領域を解析済バッファ26として利用することに設定する。解析済バッファ26として確保する領域のサイズは、予め決まっていても良いし、プリンタ1の利用状況に応じて変化する可変サイズであっても良い。
【0024】
CPU11は、受信バッファ25に書き込まれた印刷データから、コマンドを1つずつ読み込む(S102)。S102は、読込処理の一例である。そして、CPU11は、読み込んだコマンドを解析済バッファ26に記憶する(S103)。S103は、記憶処理の一例である。CPU11は、受信バッファ25に書き込まれている印刷データを解析して、コマンドを取得し、そのコマンドを解析済バッファ26に書き込む。なお、CPU11は、以下の処理と並行して、印刷データの受信とS102~S103とを継続して実行する。
【0025】
CPU11は、メモリ12に記憶されている動作設定情報23に基づいて、動作設定がページ単位設定であるかジョブ単位設定であるかを判断する(S104)。動作設定情報23は、中間調設定の解析を行う範囲を、ページ単位とするかジョブ単位とするかの動作設定を記憶する情報である。プリンタ1は、例えば、デフォルトでの動作設定情報23をページ単位とする。プリンタ1は、ユーザによる動作設定情報23の変更の指示を受け付け可能であると良い。描画コマンドをページ単位で解析するかジョブ単位で解析するかの設定を変更できることで、印刷の運用の自由度が高まる。
【0026】
動作設定情報23としてページ単位を示す情報が記憶されていると判断した場合(S104:ページ単位)、CPU11は、ページ単位処理を実行する(S105)。動作設定情報23としてジョブ単位を示す情報が記憶されていると判断した場合(S104:ジョブ単位)、CPU11は、ジョブ単位処理を実行する(S106)。
【0027】
ページ単位処理やジョブ単位処理では、CPU11は、中間調設定処理のS102にて読み込み、S103にて記憶したコマンドを、ジョブの先頭から順に処理の対象として、各種の判断を実行する。ただし、ページ単位処理やジョブ単位処理では、CPU11は、解析済バッファ26に記憶されているコマンドに対して、削除や編集を行わない。
【0028】
まず、ページ単位処理の手順について、図3のフローチャートを参照して説明する。ページ単位処理では、CPU11は、処理の対象としたコマンドが、ページ終了コマンドであるか否かを判断する(S201)。
【0029】
ページ終了コマンドではないと判断した場合(S201:NO)、CPU11は、濃度値を記憶済みか否かを判断する(S202)。濃度値は、濃度を設定するコマンドによって指定される濃度の値である。濃度値は、後述するS215にて記憶される値である。例えば、今回の判断対象のコマンドが、ページ単位処理の開始後、1つ目のコマンドであれば、濃度値は記憶されていない。
【0030】
濃度値を記憶済みではないと判断した場合(S202:NO)、CPU11は、今回の処理対象のコマンドが文字描画コマンドであるか否かを判断する(S203)。濃度設定を含まない文字の描画コマンドは、濃度100%での描画を指示するコマンドである。例えば、ページ単位処理の開始後、濃度値を設定するコマンドより前に文字の描画コマンドがある場合、その文字は、濃度100%で描画される。
【0031】
濃度値を記憶済みであると判断した場合(S202:YES)、または、文字描画コマンドではないと判断した場合(S203:NO)、CPU11は、読み込んだコマンドが、文字以外の画像の描画を指示する描画コマンドであるか否かを判断する(S211)。CPU11は、読み込んだコマンドが、例えば、写真や図像の描画コマンドである場合、S211にてYESと判断する。
【0032】
文字以外の描画コマンドではないと判断した場合(S211:NO)、CPU11は、濃度を設定するコマンドであるか否かを判断する(S212)。すなわち、文字の描画コマンドであるか、または、描画コマンド以外のコマンドであると判断した場合、CPU11は、濃度設定コマンドであるか否かを判断する。
【0033】
濃度を設定するコマンドであると判断した場合(S212:YES)、CPU11は、設定されている濃度が、所定の閾値よりも低濃度であるか否かを判断する(S213)。閾値は、例えば50%である。閾値は、予めプリンタ1に設定されている固定値であっても良いし、ユーザの設定を受け付け可能な可変値であっても良い。
【0034】
所定の閾値よりも低濃度ではないと判断した場合(S213:NO)、CPU11は、濃度値を記憶しているか否かを判断する(S214)。S214は、S202と同様の判断である。濃度値を記憶していないと判断した場合(S214:NO)、CPU11は、今回の判断対象のコマンドに含まれる濃度値を記憶する(S215)。
【0035】
濃度値を記憶していると判断した場合(S214:YES)、CPU11は、今回の判断対象のコマンドに含まれる濃度値と、記憶している濃度値と、を比較し、一致しているか否かを判断する(S216)。記憶している濃度値は、前回までに処理の対象となったコマンドに設定されている濃度の値である。記憶している濃度値は、判断済みの他の文字に設定されている濃度を示す濃度値である。すなわち、今回のコマンドが、判断済みの他の文字に設定されている濃度とは異なる濃度が設定された文字の描画コマンドである場合に、CPU11は、S216にてNOと判断する。濃度を設定するコマンドではないと判断した場合(S212:NO)、S215の後、または、記憶している濃度値と一致していると判断した場合(S216:YES)、CPU11は、S201に進んで、次のコマンドを処理の対象とする。
【0036】
一方、処理対象のコマンドが濃度100%での文字描画コマンドであると判断した場合(S203:YES)、または、文字以外の描画コマンドであると判断した場合(S211:YES)、または、所定の閾値よりも低濃度であると判断した場合(S213:YES)、または、記憶している濃度値と異なると判断した場合(S216:NO)、CPU11は、第2RIPを行うと決定する(S221)。S203、S211、S213、S216の組み合わせは、判断処理の一例である。なお、上記の各判断の実行順序は、この順に限らず、変更可能である。
【0037】
S203にてYES、または、S211にてYES、または、S213にてYES、または、S216にてNOと判断した場合、CPU11は、今回の判断対象のコマンドは特定のコマンドであると判断する。S221では、CPU11は、記憶した濃度値を削除しても良い。第2RIPについては、後述する。
【0038】
解析済バッファ26からコマンドを読み込んで各判断を行い、S203、S211、S213、S216のいずれかにてS221へ進むと判断されることなく、今回の判断対象のコマンドがページ終了コマンドであると判断した場合(S201:YES)、CPU11は、第1RIPを行うと決定する(S222)。判断対象のコマンドがページ終了コマンドであることは、終了条件の一例である。第1RIPについては、後述する。
【0039】
S221またはS222の後、CPU11は、ページ単位処理を終了して、図2の中間調設定処理に戻る。なお、S201にてページ終了コマンドであると判断できるためには、少なくとも1ページ分の描画コマンドを取得し終わっている必要がある。一方、S203、S211、S213、S216のいずれかにてS221へ進むと判断された場合、必ずしも1ページ分の描画コマンドを取得し終わっているとは限らない。しかし、S221にて第2RIPを行うと決定した場合は、CPU11は、そのページの残りのコマンドに対する判断を行わず、中間調設定処理に戻る。
【0040】
次に、中間調設定処理のS106にて実行されるジョブ単位処理の手順について、図4のフローチャートを参照して説明する。なお、以下の説明および図4では、図3のページ単位処理との共通の手順については、同じ符号を付して説明を簡略化している。
【0041】
ジョブ単位処理では、CPU11は、解析済バッファ26がメモリフルであるか否かを判断する(S301)。継続して印刷データを受信し続けている場合、コマンドが次々と解析済バッファ26に記憶されて蓄積される。また、解析済バッファ26の記憶容量は、中間調設定処理のS101にて決定されている。そのため、解析済バッファ26がメモリフルあるいは、メモリフルに近い状態となる可能性がある。
【0042】
解析済バッファ26がメモリフルではないと判断した場合(S301:NO)、CPU11は、解析済バッファ26に記憶されているコマンドを処理の対象として、そのコマンドがジョブ終了コマンドであるか否かを判断する(S311)。ジョブ終了コマンドではないと判断した場合(S311:NO)、CPU11は、ページ単位処理と同様に、S202~S216の処理を行う。
【0043】
つまり、処理対象のコマンドが濃度100%での文字描画コマンドであると判断した場合(S203:YES)、または、文字以外の描画コマンドであると判断した場合(S211:YES)、または、所定の閾値よりも低濃度であると判断した場合(S213:YES)、または、記憶している濃度値と異なると判断した場合(S216:NO)、CPU11は、第2RIPを行うと決定する(S221)。
【0044】
そして、S203、S211、S213、S216のいずれかにてS221へ進むと判断されなかった場合、CPU11は、S301に進んで、解析済バッファ26がメモリフルであるか否かを判断する。なお、処理対象のコマンドがジョブ終了コマンドではなく、ページ終了コマンドであると判断した場合、CPU11は、S202~S216の処理を行うことなく、S301に進む。
【0045】
そして、メモリフルとなることなく、また、S221進むと判断されることなく、今回の処理対象のコマンドがジョブ終了コマンドであると判断した場合(S311:YES)、CPU11は、第1RIPを行うと決定する(S222)。処理対象のコマンドがジョブ終了コマンドであることは、終了条件の一例である。
【0046】
S203、S211、S213、S216のいずれかにてS221へ進むと判断されなかった場合であっても、解析済バッファ26がメモリフルであると判断した場合(S301:YES)、CPU11は、S221に進んで、第2RIPを行うと決定する。メモリフルになった場合は、CPU11は、それ以上のコマンドを解析済バッファ26に記憶できない。そのため、CPU11は、描画コマンドについての判断を終了し、直ちに、第2RIPを行うと決定する。これにより、他の処理への影響を抑制しつつ印字速度の低下を抑制することができる。
【0047】
S221またはS222の後、CPU11は、ジョブ単位処理を終了して、図2の中間調設定処理に戻る。
【0048】
図2の中間調設定処理の説明に戻る。S105のページ単位処理の後、または、S106のジョブ単位処理の後、CPU11は、これらの処理で、第1RIPに決定したか、第2RIPに決定したか、を判断する(S111)。
【0049】
第1RIPに決定したと判断した場合(S111:第1RIP)、CPU11は、解析済バッファ26に記憶されているコマンドを順に読み出して(S112)、濃度値を用いずにラスタライズする(S113)。S113は、第1ラスタ処理の一例である。濃度値は、S105のページ単位処理またはS106のジョブ単位処理のS215にて記憶された値である。濃度値は、解析済バッファ26に記憶されている濃度を設定するコマンドによって表される値でもある。この濃度値は、文字の描画コマンドに設定されている濃度を示す値である。濃度値は、中間値の一例である。
【0050】
例えば、印刷制御プログラム21は、解析済バッファ26に記憶されているコマンドから濃度を設定するコマンドを削除して、RIPプログラム22にラスタライズの実行を指示する。あるいは、印刷制御プログラム21は、濃度を無視するコマンドを付加して、RIPプログラム22にラスタライズの実行を指示する。なお、濃度値を用いないラスタライズの処理は、100%濃度の場合のラスタライズの処理であり、ディザ処理や誤差拡散処理等の中間調処理を含まない。そのため、濃度値を用いないラスタライズの処理は、中間調処理を含むラスタライズの処理に比較して、短時間で実行可能である。
【0051】
なお、解析済バッファ26からのコマンドの読み出しは、印刷制御プログラム21に代えてRIPプログラム22が行っても良い。また、解析済バッファ26に記憶されているコマンドは、RIPプログラム22に渡されることで、解析済バッファ26から削除される。
【0052】
さらに、CPU11は、濃度値に基づく制御値を指定して、印字条件を調整する(S114)。S114は、調整処理の一例である。CPU11は、制御値を含む調整指示をデバイス制御プログラム24に渡す。
【0053】
例えば、印刷制御プログラム21は、濃度値に基づいて、露光器53によるレーザ光の発光を制御する制御値を指定して、デバイス制御プログラム24に露光器53の制御を行わせる。印刷制御プログラム21は、レーザ光の発光強度または発光時間を制御する制御値を指定する。レーザ光の発光強度を小さくすることで、静電潜像とトナーとの電位差が小さくなり、静電潜像に載るトナーの量が低減される。また、レーザ光の発光時間を短くすることで、静電潜像の線幅が小さくなり、静電潜像に載るトナーの量が低減される。例えば、プリンタ1において適切なレーザ光の発光強度または発光時間を、濃度値ごとに予め取得して記憶しておくことで、印刷制御プログラム21は、レーザ光の制御値を適切に決定できる。
【0054】
また、例えば、印刷制御プログラム21は、濃度値に基づいて、現像ローラ541に印加する現像バイアスを制御する制御値を指定して、デバイス制御プログラム24に現像器54の制御を行わせる。具体的には、印刷制御プログラム21は、現像バイアス値を静電潜像の電位に近づけるように制御する制御値を指定する。現像バイアス値を静電潜像の電位に近づけることで、静電潜像と現像ローラ541との電位差が小さくなり、静電潜像に載るトナーの量が低減される。例えば、プリンタ1において適切な現像バイアス値を、濃度値ごとに予め取得して記憶しておくことで、印刷制御プログラム21は、現像バイアスの制御値を適切に決定できる。
【0055】
CPU11は、印字条件を調整した状態で、1ページ分の印刷を印刷デバイス15に行わせる(S121)。CPU11は、RIPプログラム22によってラスタライズされたラスタデータをデバイス制御プログラム24に渡すことで、印字条件が調整された状態の印刷デバイス15に印刷を行わせる。CPU11は、S114の指示とS121の指示とを、1つの指示としてデバイス制御プログラム24に渡しても良い。
【0056】
一方、第2RIPに決定したと判断した場合(S111:第2RIP)、CPU11は、解析済バッファ26に記憶されているコマンドを読み出す(S117)。S117は、読出処理の一例である。S117は、S112と同様の処理である。例えば、ジョブ単位処理のS301にて解析済バッファ26がメモリフルとなったことで、第2RIPに決定した場合、S117を実行することで、メモリフルが解消される可能性が高い。なお、解析済バッファ26に記憶されているコマンドをすべて読み出した後も、ジョブ終了コマンドに至るまで、CPU11は、受信バッファ25からのコマンドの読み込みを継続して実行する。
【0057】
そして、CPU11は、濃度値を用いてラスタライズする(S118)。S118は、第2ラスタ処理の一例である。ジョブ単位処理のS301にて解析済バッファ26がメモリフルとなったことで第2RIPに決定した場合のS118は、第3ラスタ処理の一例である。
【0058】
つまり、CPU11は、解析済バッファ26に記憶されているコマンドをそのままRIPプログラム22に渡し、ラスタライズの実行を指示する。これにより、濃度を考慮したラスタライズの処理が実行される。濃度が中間調である場合には、RIPプログラム22は、ラスタライズの処理として、ディザ処理や誤差拡散処理等の中間調処理を含む処理を実行するように構成されている。RIPプログラム22は、さらに、エッジ強調等の補正処理を行っても良い。
【0059】
CPU11は、印字条件の調整を行わずに、1ページ分の印刷を印刷デバイス15に行わせる(S121)。CPU11は、RIPプログラム22によってラスタライズされたラスタデータをデバイス制御プログラム24に渡すことで、印刷デバイス15に印刷を行わせる。
【0060】
ページ単位処理やジョブ単位処理では、CPU11は、処理対象のコマンドが濃度100%での文字描画コマンドであると判断した場合(S203にてYES)、文字以外の描画コマンドが含まれる場合(S211にてYES)、設定されている濃度が低い場合(S213にてYES)、判断済みの他の文字に設定されている濃度とは異なる濃度が設定された文字の描画コマンドである場合(S216にてNO)、には、第2RIPを行うと決定する。文字以外の描画コマンドが含まれる場合や判断済みの他の文字に設定されている濃度とは異なる濃度が設定された文字の描画コマンドが含まれる場合、すなわち、ページ内で異なる複数の濃度が設定されている場合には、印字条件の調整による一律な濃度の設定を行うことができない。また、設定されている濃度が低い場合には、印刷デバイス15による印字条件の調整が困難になる可能性がある。プリンタ1は、これらの場合には、印字条件の調整での中間調の印刷を回避するので、画質の低下を抑制できる。
【0061】
1ページ分の印刷を行わせるよう指示した後、CPU11は、ジョブが終了したか否かを判断する(S122)。ジョブが終了していないと判断した場合(S122:NO)、CPU11は、S105に進んでページ単位処理を実行し、次ページの印刷データについて、RIPの種類を決定する。ジョブが終了したと判断した場合(S122:YES)、CPU11は、中間調設定処理を終了する。
【0062】
動作設定がページ単位である場合、CPU11は、ページごとにページ単位処理(S105)を実行し、ページごとに第1RIPとするか第2RIPとするかを決める。そのため、ジョブ単位で決める場合と比較して、第1RIPとなるページが多くなり、印字速度の低下抑制がより期待できる。
【0063】
一方、動作設定がジョブ単位である場合、CPU11は、ジョブ単位処理(S106)を実行することで、ジョブの最後までのRIPの種類を決定する。そのため、1ページ分の印刷後、次のページがあっても、CPU11は、ジョブ単位処理を繰り返すことはない。この場合、CPU11は、決定したRIPの種類に基づいて、S112~S114またはS117~S118と、S121と、を繰り返す。これにより、各ページのラスタデータが生成され、ジョブの最後まで順に印刷される。ページごとに第1RIPとするか第2RIPとするかを決めると、1ジョブ内の各ページの印刷物で色味にばらつきが生じる可能性がある。動作設定がジョブ単位であれば、1ジョブ内でいずれにするかが統一されるので、ジョブ内での色味のばらつきを抑制できる。
【0064】
以上、詳細に説明したように、実施の形態のプリンタ1は、印刷データについて、文字以外の描画コマンドが無く、文字の描画コマンドの全てで同じ濃度の設定がなされている場合、すなわち印字対象の画像が同じ中間調の濃度の文字のみで構成される場合に、描画コマンドに設定されている濃度を示す中間値を用いずにラスタデータを生成する。プリンタ1はさらに、その中間値に従った画像濃度となるように印字条件を調整して、印刷デバイス15にラスタデータの印刷を行わせる。これにより、その中間値に従った濃度の文字が表現される。さらに、この場合、プリンタ1は、ディザ処理やその後の補正処理等の中間調の処理を実行しない。従って、これらの処理に起因する印字速度の低下が抑制されている。
【0065】
なお、実施の形態は単なる例示にすぎず、本発明を何ら限定するものではない。従って本明細書に開示される技術は当然に、その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能である。例えば、プリンタ1は、印刷単機能のものに限らず、複合機、複写機、FAX装置等、電子写真方式による印刷機能を備えるものであれば適用可能である。
【0066】
また、実施の形態では、通信IF14を介して外部デバイスから印刷実行の指示を含むデータを受信した例について説明したが、印刷実行の指示は、データ受信に限らない。例えば、プリンタ1は、ユーザIF13を介したユーザの操作によって、メモリ12や外部デバイスから印刷データを読みだして印刷する指示を受け付けても良い。また、プリンタ1は、USBメモリが接続されたことを契機に、そのメモリに記憶されている印刷データに基づく印刷を自動的に実行しても良い。これらの場合にも、印刷データを取得する処理が、取得処理の一例である。
【0067】
また、実施の形態では、ページ単位処理やジョブ単位処理のS211にて、文字以外の描画コマンドはすべて特定のコマンドであるとしたが、これに限らない。例えば、プリンタ1は、罫線や表の描画コマンドであって、文字と同じ濃度が設定されている描画コマンドは、文字の描画コマンドと同等のものとして扱っても良い。
【0068】
また、実施の形態では、ページ単位処理やジョブ単位処理にて、閾値よりも低濃度であれば(S213にてYES)、第2RIPに決定するとしたが、これに限らない。つまり、S213の判断は無くても良い。また、例えば、濃度の上限の閾値が設けられていても良い。つまり、CPU11は、閾値よりも高濃度の場合にも、第2RIPに決定するとしても良い。
【0069】
また、実施の形態では、コマンドを1つずつ読み込んで処理の対象とする手順を説明したが、これに限らない。つまり、プリンタ1は、複数のコマンドを纏めて読み込んで、1つずつ判断しても良いし、複数のコマンドを並行して処理の対象としても良い。
【0070】
また、実施の形態では、動作設定情報23のデフォルトをページ単位であるとしたが、ジョブ単位であっても良い。また、ユーザによる動作設定情報23の変更は、できなくても良い。その場合、プリンタ1は、動作設定情報23をメモリ12に記憶していなくても良い。プリンタ1は、また、ページ単位処理とジョブ単位処理とのうちの片方のみを備えているものでも良い。
【0071】
また、プリンタ1は、第1RIPを行うか否かのユーザによる設定を受け付け可能であっても良い。第1RIPを行わない設定であれば、プリンタ1は、ページ単位処理とジョブ単位処理とのいずれも実行せず、第2RIPを行うとしても良い。
【0072】
また、実施の形態では、プリンタ1は、印刷制御プログラム21とRIPプログラム22とデバイス制御プログラム24と、を備えるとしたが、これらは、一体のプログラムであっても良いし、さらに複数のプログラムに分かれていても良い。また、各プログラムによる処理の一部は、ハードウェアによって実行されても良い。
【0073】
また、濃度値に基づく制御値は予め設定されているとしたが、プリンタ1は、例えば、経年劣化やトナーの種類の変更等に応じて、制御値を調整しても良い。
【0074】
また、実施の形態に開示されている任意のフローチャートにおいて、任意の複数のステップにおける複数の処理は、処理内容に矛盾が生じない範囲で、任意に実行順序を変更できる、または並列に実行できる。
【0075】
また、実施の形態に開示されている処理は、単一のCPU、複数のCPU、ASICなどのハードウェア、またはそれらの組み合わせで実行されても良い。また、実施の形態に開示されている処理は、その処理を実行するためのプログラムを記録した記録媒体、または方法等の種々の態様で実現することができる。
【符号の説明】
【0076】
1 プリンタ
15 印刷デバイス
151 現像ローラ
図1
図2
図3
図4