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特開2024-7852表面保護フィルム付き光学部材、光学積層体、および、光学デバイスの製造方法
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  • 特開-表面保護フィルム付き光学部材、光学積層体、および、光学デバイスの製造方法 図1
  • 特開-表面保護フィルム付き光学部材、光学積層体、および、光学デバイスの製造方法 図2
  • 特開-表面保護フィルム付き光学部材、光学積層体、および、光学デバイスの製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007852
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】表面保護フィルム付き光学部材、光学積層体、および、光学デバイスの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240112BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20240112BHJP
   G02B 5/30 20060101ALI20240112BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20240112BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240112BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20240112BHJP
   B32B 7/12 20060101ALI20240112BHJP
   B32B 7/023 20190101ALI20240112BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J201/00
G02B5/30
H05B33/02
H05B33/14 A
H05B33/10
B32B7/12
B32B7/023
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109212
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(74)【代理人】
【識別番号】100122471
【弁理士】
【氏名又は名称】籾井 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】舟木 千尋
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 翔悟
【テーマコード(参考)】
2H149
3K107
4F100
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
2H149AA13
2H149AA18
2H149AB11
2H149AB21
2H149CA02
2H149EA22
2H149FA04Z
2H149FA08Z
2H149FA12Z
2H149FA15X
2H149FA66
2H149FC02
2H149FC03
2H149FC04
2H149FC06
2H149FD32
2H149FD33
2H149FD47
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC43
3K107CC45
3K107EE21
3K107FF02
3K107FF15
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3K107GG28
4F100AK25B
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4F100AK49
4F100AR00C
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100BA10A
4F100BA10C
4F100CB00B
4F100EH46
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4F100EJ98
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4F100JK06
4F100JK12B
4F100JN00C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
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4J004CA06
4J004CB03
4J004CC03
4J004DB02
4J004FA04
4J040DF012
4J040DF031
4J040DF062
4J040GA11
4J040GA20
4J040KA14
4J040KA16
4J040KA23
4J040LA01
4J040LA06
4J040MA10
4J040NA17
(57)【要約】
【課題】薄型の光学部材をレーザ加工する際に、該光学部材の加工端部の隆起を抑制できる、表面保護フィルム付き光学部材を提供する。また、そのような表面保護フィルム付き光学部材を備えた光学積層体を提供する。さらに、そのような表面保護フィルム付き光学部材を用いた光学デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、表面保護フィルム(I)と光学部材を含む表面保護フィルム付き光学部材であって、該表面保護フィルム(I)は、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)を含み、該粘着剤層(Ib)と該光学部材とが直接積層されてなり、該光学部材の厚みが400μm以下であり、該基材(Ia)の厚みが60μm未満である。
【選択図】図1



【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面保護フィルム(I)と光学部材を含む表面保護フィルム付き光学部材であって、
該表面保護フィルム(I)は、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)を含み、
該粘着剤層(Ib)と該光学部材とが直接積層されてなり、
該光学部材の厚みが400μm以下であり、
該基材(Ia)の厚みが60μm未満である、
表面保護フィルム付き光学部材。
【請求項2】
前記粘着剤層(Ib)の80℃における表面硬さが3.00MPa以下である、請求項1に記載の表面保護フィルム付き光学部材。
【請求項3】
前記粘着剤層(Ib)の厚みが45μm未満である、請求項1に記載の表面保護フィルム付き光学部材。
【請求項4】
前記粘着剤層(Ib)の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、剥離角度180°、引張速度300mm/分における対アクリル板剥離力が、0.25N/25mm未満である、請求項1に記載の表面保護フィルム付き光学部材。
【請求項5】
前記光学部材が補強用フィルム(II)であり、該補強用フィルム(II)は、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含む、請求項1に記載の表面保護フィルム付き光学部材。
【請求項6】
前記粘着剤層(IIb)の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、剥離角度180°、引張速度300mm/分における対ポリイミドフィルム接着力が、3N/25mm以上である、請求項5に記載の表面保護フィルム付き光学部材。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれかに記載の表面保護フィルム付き光学部材を含む、光学積層体。
【請求項8】
光学部材を含む光学デバイスの製造方法であって、
請求項5または6に記載の表面保護フィルム付き光学部材を他の光学部材に貼り合わせる工程と、
該表面保護フィルム付き光学部材から見て該他の光学部材の反対側からレーザを照射してレーザ加工を行う工程と、
該レーザ加工後の該表面保護フィルムを再剥離する工程と、
を含む、
光学デバイスの製造方法。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面保護フィルム付き光学部材、光学積層体、および、光学デバイスの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光学デバイスに含まれる光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するために、該光学部材の表面(代表的には、露出面)に予め補強用フィルム(粘着剤層が設けられた補強用基材)を貼り合せて補強しておく場合がある(特許文献1~3)。
【0003】
補強用フィルムは、通常、永久接着を目的としたものであり、一般に工程材として用いられる表面保護フィルム、すなわち、デバイス等の組み立て、加工、輸送等の状況において一時的に仮貼り付けされ、該デバイス等の使用前に再剥離されるものとは異なる。このため、補強用フィルムの粘着剤層を構成する粘着剤は、通常、永久接着を実現できるように設計されている。
【0004】
近年、有機ELパネル、LCDパネル、タッチパネル等に代表される光学デバイスの薄型化が求められている。他方、光学部材用の補強用フィルムは、最終的に光学デバイス中に残る。したがって、薄型化が求められる光学デバイスに含まれる光学部材用の補強用フィルムは、単に補強効果が発現できれば足りるというものではなく、薄型であることも求められる。
【0005】
光学デバイスの製造過程においては、上記のような補強用フィルムが貼り合わされた光学部材をレーザ加工する工程が含まれ得る。このレーザ加工においては、通常、補強用フィルムが貼り合わされた光学部材の該補強用フィルム側からレーザを照射する。
【0006】
ところが、補強用フィルムが貼り合わされた光学部材の該補強用フィルム側からレーザを照射してレーザ加工を行うと、該補強用フィルムの加工端部が隆起するという問題がある。このような隆起部は、最終的に光学デバイス中に残ってしまうため、品質不良等の原因となる。
【0007】
偏光板そのもの(すなわち、光学部材そのもの)をレーザ加工する際に切断面が隆起するという問題は従来提起されており、その解決手段として、偏光板に耐熱性の高い特定の樹脂フィルムを積層して作製した積層体の該樹脂フィルム側からレーザ照射する方法が報告されている(特許文献4、5)。しかし、この方法で用いる耐熱性の高い特定の樹脂フィルムは、その効果を発現させるために、具体的には、特許文献4の実施例1や特許文献5の実施例1に記載のような、厚み700μmのエポキシフィルムの片面にアクリルウレタンUV樹脂を塗工して厚み3μmの保護層を形成した総厚み703μmの厚い樹脂フィルムを用いており、仮に該樹脂フィルムが補強用フィルムとして機能するとしても、最近の薄型化が求められる光学デバイスには適用が困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第6366199号公報
【特許文献2】特許第6375467号公報
【特許文献3】特許第6467551号公報
【特許文献4】特開2005-189530号公報
【特許文献5】特開2009-86675号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
すなわち、本発明の課題は、薄型の光学部材をレーザ加工する際に、該光学部材の加工端部の隆起を抑制できる、表面保護フィルム付き光学部材を提供することにある。また、そのような表面保護フィルム付き光学部材を備えた光学積層体を提供することにある。さらに、そのような表面保護フィルム付き光学部材を用いた光学デバイスの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、薄型の光学部材をレーザ加工する際の加工端部の隆起の問題を解決するべく鋭意検討を行った。その結果、薄型の光学部材に特定の表面保護フィルムが貼り合わせられた表面保護フィルム付き光学部材を用い、レーザ加工を行って該表面保護フィルムを再剥離すると、露出した光学部材の加工端部における隆起が抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
[1]本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、表面保護フィルム(I)と光学部材を含む表面保護フィルム付き光学部材であって、該表面保護フィルム(I)は、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)を含み、該粘着剤層(Ib)と該光学部材とが直接積層されてなり、該光学部材の厚みが400μm以下であり、該基材(Ia)の厚みが60μm未満である。
[2]上記[1]に記載の表面保護フィルム付き光学部材において、上記粘着剤層(Ib)の80℃における表面硬さが3.00MPa以下であってもよい。
[3]上記[1]または[2]に記載の表面保護フィルム付き光学部材において、上記粘着剤層(Ib)の厚みが45μm未満であってもよい。
[4]上記[1]から[3]までのいずれかに記載の表面保護フィルム付き光学部材において、上記粘着剤層(Ib)の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、剥離角度180°、引張速度300mm/分における対アクリル板剥離力が、0.25N/25mm未満であってもよい。
[5]上記[1]から[4]までのいずれかに記載の表面保護フィルム付き光学部材において、上記光学部材が補強用フィルム(II)であり、該補強用フィルム(II)は、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含んでいてもよい。
[6]上記[5]に記載の表面保護フィルム付き光学部材において、上記粘着剤層(IIb)の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、剥離角度180°、引張速度300mm/分における対ポリイミドフィルム接着力が、3N/25mm以上であってもよい。
[7]本発明の実施形態による光学積層体は、上記[1]から[6]までのいずれかに記載の表面保護フィルム付き光学部材を含む。
[8]本発明の実施形態による光学デバイスの製造方法は、光学部材を含む光学デバイスの製造方法であって、上記[5]または[6]に記載の表面保護フィルム付き光学部材を他の光学部材に貼り合わせる工程と、該表面保護フィルム付き光学部材から見て該他の光学部材の反対側からレーザを照射してレーザ加工を行う工程と、該レーザ加工後の該表面保護フィルムを再剥離する工程と、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、薄型化が求められる光学デバイスの製造過程に好適に使用でき、該表面保護フィルム付き光学部材を用いてレーザ加工を行うと、該レーザ加工後に該表面保護フィルムを再剥離して露出した光学部材の加工端部における隆起が抑制され、品質不良品の発生を低減できる。また、そのような表面保護フィルム付き光学部材を備えた光学積層体を提供することができる。さらに、そのような表面保護フィルム付き光学部材を用いた、光学デバイスの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の一つの実施形態を示す概略断面図である。
図2】本発明の実施形態による光学積層体の一つの実施形態を示す概略断面図である。
図3】レーザ加工端部を説明する概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書中で「質量」との表現がある場合は、従来一般に重さの単位として慣用されている「重量」と読み替えてもよく、逆に、本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
【0015】
本明細書中で「(メタ)アクリル」との表現がある場合は、「アクリルおよび/またはメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」との表現がある場合は、「アクリレートおよび/またはメタクリレート」を意味し、「(メタ)アリル」との表現がある場合は、「アリルおよび/またはメタリル」を意味し、「(メタ)アクロレイン」との表現がある場合は、「アクロレインおよび/またはメタクロレイン」を意味する。
【0016】
≪≪1.表面保護フィルム付き光学部材≫≫
本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、表面保護フィルム(I)と光学部材を含む。本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、表面保護フィルム(I)と光学部材を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の構成部材を含んでいてもよい。本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、代表的には、表面保護フィルム(I)と光学部材からなる。
【0017】
表面保護フィルム(I)は、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)を含む。
【0018】
本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材においては、粘着剤層(Ib)と光学部材が直接積層されてなる。
【0019】
光学部材としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な光学部材を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、光学部材としては、代表的には、補強用フィルム、偏光板が挙げられる。
【0020】
光学部材の一つの実施形態は、光学部材が補強用フィルム(II)であり、該補強用フィルム(II)は、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含む。
【0021】
図1は、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の一つの実施形態を示す概略断面図である。本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材1000の一つの実施形態は、表面保護フィルム(I)100と補強用フィルム(II)200を含み、表面保護フィルム(I)100は、基材(Ia)11と粘着剤層(Ib)12を含み、補強用フィルム(II)200は、基材(IIa)21と粘着剤層(IIb)22を含み、粘着剤層(Ib)12と基材(IIa)21が直接積層されてなる。
【0022】
本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の総厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは200μm~505μmであり、より好ましくは210μm~455μmであり、さらに好ましくは220μm~405μmであり、特に好ましくは230μm~350μmである。本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の総厚みが上記範囲を外れると、本発明の効果が発現できないおそれがある。本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の総厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、例えば、光学デバイスの製造過程への適用が困難になるおそれがある。本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の総厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、例えば、光学部材が補強用フィルムの場合、光学デバイスに含まれる他の光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するという補強用フィルム本来の性能を発現できなくなるおそれがある。
【0023】
本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材は、表面保護フィルム(I)と光学部材を含み、粘着剤層(Ib)と光学部材が直接積層されるようにできれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法によって製造し得る。
【0024】
本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を製造する方法の一つの実施形態としては、例えば、表面保護フィルム(I)と光学部材をそれぞれ準備し、表面保護フィルム(I)の粘着剤層(Ib)を、光学部材に貼り合わせる方法が挙げられる。光学部材が補強用フィルム(II)であり、該補強用フィルム(II)が、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含む場合は、表面保護フィルム(I)の粘着剤層(Ib)を、補強用フィルム(II)の最外層としての基材(IIa)に貼り合わせる方法が挙げられる。
【0025】
≪1-1.表面保護フィルム(I)≫
表面保護フィルム(I)は、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)を含む。代表的には、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)は、直接に積層されてなる。
【0026】
表面保護フィルム(I)は、基材(Ia)と粘着剤層(Ib)を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の構成部材(Ic)を含んでいてもよい。
【0027】
他の構成部材(Ic)としては、例えば、易接着層、易滑層、ブロッキング防止層、帯電防止層、反射防止層、オリゴマー防止層が挙げられる。他の構成部材(Ic)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0028】
表面保護フィルム(I)の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは25μm~105μmであり、より好ましくは35μm~95μmであり、さらに好ましくは40μm~85μmであり、特に好ましくは45μm~70μmである。表面保護フィルム(I)の厚みが上記範囲を外れると、本発明の効果が発現できないおそれがある。表面保護フィルム(I)の総厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を薄型の光学デバイスへ適用することが困難になるおそれがあり、また、該表面保護フィルム付き光学部材を用いてレーザ加工を行った場合に、該レーザ加工後に該表面保護フィルムを再剥離して露出した光学部材の加工端部における隆起が抑制できないおそれがある。表面保護フィルム(I)の厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、表面保護フィルム付き光学部材を用いてレーザ加工を行った場合に、該レーザ加工後に該表面保護フィルムを再剥離して露出した光学部材の加工端部における隆起が抑制できないおそれがある。
【0029】
<1-1-a.基材(Ia)>
基材(Ia)は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。基材(Ia)は、延伸されたものであってもよい。
【0030】
基材(Ia)の厚みは、好ましくは60μm未満であり、より好ましくは55μm未満であり、さらに好ましくは50μm未満であり、特に好ましくは45μm未満であり、最も好ましくは40μm未満である。基材(Ia)の厚みの下限値は、薄ければ薄いほどよいが、好ましくは24μm以上であり、より好ましくは27μm以上であり、さらに好ましくは30μm以上であり、特に好ましくは33μm以上であり、最も好ましくは36μm以上である。基材(Ia)の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。基材(Ia)の厚みが上記範囲を外れると、本発明の効果が発現し難くなり、例えば、表面保護フィルム付き補強用フィルムを光学部材に貼り合わせてレーザ加工を行った場合に、該レーザ加工後に該表面保護フィルムを再剥離して露出した補強用フィルムの加工端部における隆起が抑制できないおそれがある。
【0031】
基材(Ia)の粘着剤層(Ib)と反対側の面には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、脂肪酸アミド、ポリエチレンイミン、長鎖アルキル系添加剤等を添加して離型処理を行ったり、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系などの任意の適切な剥離剤からなるコート層を設けたりしてもよい。
【0032】
基材(Ia)の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な材料を採用し得る。このような材料としては、例えば、プラスチック、紙、金属フィルム、不織布が挙げられ、好ましくは、プラスチックである。すなわち、基材(Ia)は、好ましくは、プラスチックフィルムである。基材(Ia)は、1種の材料から構成されていてもよいし、2種以上の材料から構成されていてもよい。例えば、2種以上のプラスチックから構成されていてもよい。
【0033】
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。ポリエステル系樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、オレフィンモノマーの単独重合体、オレフィンモノマーの共重合体などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂としては、具体的には、例えば、ホモポリプロピレン;エチレン成分を共重合成分とするブロック系、ランダム系、グラフト系等のプロピレン系共重合体;リアクターTPO;低密度、高密度、リニア低密度、超低密度等のエチレン系重合体;エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、エチレン・アクリル酸ブチル共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合体;などが挙げられる。
【0034】
基材(Ia)は、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材(Ia)に含有され得る添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。基材(Ia)に含有され得る添加剤の種類、数、量は、目的に応じて適切に設定され得る。特に、基材(Ia)の材料がプラスチックの場合は、劣化防止等を目的として、上記の添加剤のいくつかを含有することが好ましい。耐候性向上等の観点から、添加剤として特に好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤が挙げられる。
【0035】
酸化防止剤としては、任意の適切な酸化防止剤を採用し得る。このような酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系加工熱安定剤、ラクトン系加工熱安定剤、イオウ系耐熱安定剤、フェノール・リン系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤の含有割合は、基材(Ia)のベース樹脂(基材(Ia)を形成するベース樹脂がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)に対して、好ましくは1重量%以下であり、より好ましくは0.5重量%以下であり、さらに好ましくは0.01重量%~0.2重量%である。
【0036】
紫外線吸収剤としては、任意の適切な紫外線吸収剤を採用し得る。このような紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられる。紫外線吸収剤の含有割合は、基材(Ia)を形成するベース樹脂(基材(Ia)を形成するベース樹脂がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)に対して、好ましくは2重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.01重量%~0.5重量%である。
【0037】
光安定剤としては、任意の適切な光安定剤を採用し得る。このような光安定剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾエート系光安定剤などが挙げられる。光安定剤の含有割合は、基材(Ia)を形成するベース樹脂(基材(Ia)を形成するベース樹脂がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)に対して、好ましくは2重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下であり、さらに好ましくは0.01重量%~0.5重量%である。
【0038】
充填剤としては、任意の適切な充填剤を採用し得る。このような充填剤としては、例えば、無機系充填剤などが挙げられる。無機系充填剤としては、具体的には、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。充填剤の含有割合は、基材(Ia)を形成するベース樹脂(基材(Ia)を形成するベース樹脂がブレンド物の場合にはそのブレンド物がベース樹脂である)に対して、好ましくは20重量%以下であり、より好ましくは10重量%以下であり、さらに好ましくは0.01重量%~10重量%である。
【0039】
さらに、添加剤としては、帯電防止性付与を目的として、界面活性剤、無機塩、多価アルコール、金属化合物、カーボン等の無機系、低分子量系および高分子量系帯電防止剤も好ましく挙げられる。特に、汚染、粘着性維持の観点から、高分子量系帯電防止剤やカーボンが好ましい。
【0040】
<1-1-b.粘着剤層(Ib)>
粘着剤層(Ib)は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0041】
粘着剤層(Ib)の厚みは、好ましくは45μm未満であり、より好ましくは1μm~40μmであり、さらに好ましくは2μm~35μmであり、特に好ましくは3μm~30μmであり、最も好ましくは5μm~25μmである。粘着剤層(Ib)の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。粘着剤層(Ib)の厚みが上記範囲を外れると、本発明の効果が発現し難くなり、例えば、表面保護フィルム付き光学部材を用いてレーザ加工を行った場合に、該レーザ加工後に該表面保護フィルムを再剥離して露出した光学部材の加工端部における隆起が抑制できないおそれがある。
【0042】
粘着剤層(Ib)は、80℃における表面硬さが、好ましくは3.00MPa以下であり、より好ましくは2.00MPa以下であり、さらに好ましくは1.00MPa以下であり、特に好ましくは0.80MPa以下であり、最も好ましくは0.60MPa以下である。上記表面硬さの下限値は、好ましくは0.05MPa以上であり、より好ましくは0.10MPa以上であり、さらに好ましくは0.15MPa以上であり、特に好ましくは0.18MPa以上である。粘着剤層(Ib)の80℃における表面硬さが上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。上記表面硬さが上記範囲を外れると、本発明の効果が発現し難くなり、例えば、表面保護フィルム付き光学部材を用いてレーザ加工を行った場合に、該レーザ加工後に該表面保護フィルムを再剥離して露出した光学部材の加工端部における隆起が抑制できないおそれがある。
【0043】
粘着剤層(Ib)は、23℃、相対湿度50%の環境下での、剥離角度180度、引張速度300mm/分における対アクリル板剥離力が、好ましくは0.25N/25mm未満であり、より好ましくは0.23N/25mm未満であり、さらに好ましくは0.22N/25mm未満であり、特に好ましくは0.21N/25mm未満であり、最も好ましくは0.20N/25mm未満である。上記対アクリル板剥離力の下限値は、好ましくは0.01N/25mm以上、より好ましくは0.02N/25mm以上であり、さらに好ましくは0.03N/25mm以上であり、特に好ましくは0.04N/25mm以上である。上記対アクリル板剥離力が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材から該表面保護フィルムを容易に再剥離し得る。
【0044】
粘着剤層(Ib)を構成する粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、粘着剤層を構成する粘着剤は、好ましくは、アクリル系粘着剤である。
【0045】
アクリル系粘着剤は、アクリル系粘着剤組成物から形成される。
【0046】
アクリル系粘着剤は、このように、アクリル系粘着剤組成物から形成されるものとして規定し得る。これは、アクリル系粘着剤は、アクリル系粘着剤組成物が、加熱や紫外線照射などによって架橋反応などを起こすことにより、アクリル系粘着剤となるため、アクリル系粘着剤をその構造により直接特定することが不可能であり、また、およそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するため、「アクリル系粘着剤組成物から形成されるもの」との規定により、アクリル系粘着剤を「物」として妥当に特定したものである。
【0047】
粘着剤層(Ib)は、任意の適切な方法によって形成し得る。このような方法としては、例えば、粘着剤層を構成する粘着剤を形成する粘着剤組成物を基材(Ia)上に塗布し、必要に応じて加熱や乾燥を行い、必要に応じて硬化させて、該基材(Ia)上において粘着剤層(Ib)を形成する方法、粘着剤層(Ib)を構成する粘着剤を形成する粘着剤組成物を任意の適切なはく離ライナーなどのフィルム上に塗布し、必要に応じて加熱や乾燥を行い、必要に応じて硬化させて、該フィルム上において粘着剤層(Ib)を形成し、該粘着剤層(Ib)上に基材(Ia)を貼り合わせて転写することにより、該基材(Ia)上において粘着剤層(Ib)を形成する方法、が挙げられる。
【0048】
粘着剤組成物を塗布する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような塗布の手段としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法、ディップロールコート法、バーコート法、ロールブラッシュコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイレクトコート法、ダイコート法が挙げられる。
【0049】
粘着剤組成物の加熱や乾燥は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような加熱や乾燥の手段としては、例えば、60℃~180℃に加熱することや、例えば、室温程度の温度で、エージング処理を行うことが挙げられる。
【0050】
粘着剤組成物の硬化は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような硬化の手段としては、例えば、熱、紫外線照射、レーザ線照射、α線照射、β線照射、γ線照射、X線照射、電子線照射が挙げられる。
【0051】
アクリル系粘着剤組成物は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アクリル系ポリマー(A)を含む。
【0052】
アクリル系ポリマー(A)は、アクリル系粘着剤の分野においていわゆるベースポリマーと称され得るものである。アクリル系ポリマー(A)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0053】
アクリル系粘着剤組成物中のアクリル系ポリマー(A)の含有割合は、固形分換算で、好ましくは60重量%~99.9重量%であり、より好ましくは65重量%~99.9重量%であり、さらに好ましくは70重量%~99.9重量%であり、特に好ましくは75重量%~99.9重量%であり、最も好ましくは80重量%~99.9重量%である。
【0054】
アクリル系ポリマー(A)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアクリル系ポリマーを採用し得る。
【0055】
アクリル系ポリマー(A)の重量平均分子量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは30万~250万であり、より好ましくは35万~200万であり、さらに好ましくは40万~150万であり、特に好ましくは45万~100万である。
【0056】
アクリル系ポリマー(A)としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a成分)と、OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)と、を含む組成物(M)から重合によって形成されるアクリル系ポリマーである。a成分、b成分は、それぞれ、独立に、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0057】
アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a成分)のアルキルエステル部分のアルキル基の炭素数は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは4~10であり、より好ましくは4~9であり、さらに好ましくは4~8である。
【0058】
アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシルが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルであり、より好ましくは、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルである。
【0059】
アルキルエステル部分のアルキル基の炭素数が4~12である(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a成分)の含有量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、好ましくは30重量%以上であり、より好ましくは50重量%~99重量%であり、さらに好ましくは70重量%~98重量%であり、特に好ましくは80重量%~98重量%であり、最も好ましくは90重量%~98重量%である。
【0060】
OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチルなどのOH基を有する(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルであり、より好ましくは、アクリル酸ヒドロキシエチルである。
【0061】
(メタ)アクリル酸としては、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アクリル酸である。
【0062】
OH基を有する(メタ)アクリル酸エステルおよび(メタ)アクリル酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)の含有量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対して、好ましくは1重量%以上であり、より好ましくは1重量%~30重量%であり、さらに好ましくは2重量%~20重量%であり、特に好ましくは3重量%~10重量%である。
【0063】
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する、a成分およびb成分の合計量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%~100重量%であり、より好ましくは70重量%~100重量%であり、さらに好ましくは90重量%~100重量%であり、特に好ましくは95重量%~100重量%であり、最も好ましくは98重量%~100重量%である。
【0064】
組成物(M)は、a成分およびb成分以外の共重合性モノマーを含んでいてもよい。共重合性モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0065】
アクリル系ポリマー(A)を構成するモノマー成分全量(100重量%)に対する、a成分およびb成分以外の共重合性モノマーの含有量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは50重量%以下であり、より好ましくは30重量%以下であり、さらに好ましくは10重量%以下であり、特に好ましくは5重量%以下であり、最も好ましくは2重量%以下である。
【0066】
このような共重合性モノマーとしては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、これらの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー)などのカルボキシル基含有モノマー(ただし、(メタ)アクリル酸を除く);(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N-ビニル-2-ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、ビニルピリジン、ビニルピリミジン、ビニルオキサゾールなどの複素環含有ビニル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン類やジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;が挙げられる。
【0067】
共重合性モノマーとしては、多官能性モノマーも採用し得る。多官能性モノマーとは、1分子中に2以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーをいう。エチレン性不飽和基としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエチレン性不飽和基を採用し得る。このようなエチレン性不飽和基としては、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ビニルエーテル基(ビニルオキシ基)、アリルエーテル基(アリルオキシ基)などのラジカル重合性官能基が挙げられる。多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートが挙げられる。このような多官能性モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0068】
共重合性モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルも採用し得る。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸3-メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-エトキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-メトキシブチル、(メタ)アクリル酸4-エトキシブチルが挙げられる。(メタ)アクリル酸アルコキシアルキルエステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0069】
組成物(M)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、重合開始剤、連鎖移動剤、溶剤などが挙げられる。これらの他の成分の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。
【0070】
重合開始剤は、重合反応の種類に応じて、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などを採用し得る。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0071】
熱重合開始剤は、好ましくは、アクリル系ポリマー(A)を溶液重合によって得る際に採用され得る。このような熱重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4’-アゾビス-4-シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(VA-057、和光純薬工業(株)製)などのアゾ系開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ-n-オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤;過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤;フェニル置換エタン等の置換エタン系開始剤;芳香族カルボニル化合物;が挙げられる。
【0072】
光重合開始剤は、好ましくは、アクリル系ポリマー(A)を活性エネルギー線重合によって得る際に採用され得る。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤が挙げられる。
【0073】
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、アニソールメチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-(t-ブチル)ジクロロアセトフェノンが挙げられる。α-ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-2-ヒドロキシプロピオフェノン、1-[4-(2-ヒドロキシエチル)フェニル]-2-メチルプロパン-1-オンが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2-ナフタレンスルホニルクロライドが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニル-1,1-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)-オキシムが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3'-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルジメチルケタールが挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤としては、例えば、チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンが挙げられる。
【0074】
重合開始剤の使用量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量に設定され得る。
【0075】
アクリル系粘着剤組成物は、架橋剤を含んでいてもよい。架橋剤を用いることにより、アクリル系粘着剤の凝集力を向上でき、本発明の効果をより発現させ得る。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0076】
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物等の架橋剤が挙げられ、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、および、過酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0077】
イソシアネート系架橋剤は、イソシアネート基(イソシアネート基をブロック剤または数量体化等により一時的に保護したイソシアネート再生型極性基を含む)を1分子中に2つ以上有する化合物を用いることができる。イソシアネート系架橋剤としては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;が挙げられる。
【0078】
イソシアネート系架橋剤としては、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート等の低級脂肪族ポリイソシアネート類;シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類;2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート類;トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、三井化学社製、商品名:D-101E)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(例えば、東ソー社製、商品名:コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(例えば、東ソー社製、商品名:コロネートHX)等のイソシアネート付加物;キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学社製、商品名:タケネートD110N)、キシリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学社製、商品名:タケネートD120N)、イソホロンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学社製、商品名:タケネートD140N)、ヘキサメチレンジイソシアネートのトリメチロールプロパン付加物(例えば、三井化学社製、商品名:タケネートD160N);ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物;イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合等で多官能化したポリイソシアネート;が挙げられる。これらの中でも、変形性と凝集力とをバランスよく両立し得る点で、好ましくは、芳香族イソシアネート、脂環式イソシアネートである。
【0079】
エポキシ系架橋剤としては、エポキシ基を1分子中に2つ以上有する多官能エポキシ化合物を用いることができる。エポキシ系架橋剤としては、例えば、N,N,N’,N’-テトラグリシジル-m-キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、o-フタル酸ジグリシジルエステル、トリグリシジル-トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、レゾルシンジグリシジルエーテル、ビスフェノール-S-ジグリシジルエーテル、分子内にエポキシ基を2つ以上有するエポキシ系樹脂が挙げられる。エポキシ系架橋剤の市販品としては、例えば、三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」、「テトラッドX」が挙げられる。
【0080】
過酸化物としては、例えば、ジベンゾイルパーオキシド、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキシ-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、t-ブチルヒドロパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシン)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-モノ(t-ブチルパーオキシ)-ヘキサン、α,α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ-n-オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルへキシルカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-ヘキサノエートレート、t-ブチルパーオキシピバレート、t-へキシルパーオキシピバレートが挙げられる。過酸化物の市販品としては、例えば、日本油脂株式会社製の商品名「ナイパーBMT」シリーズ、「ナイパーBW」シリーズが挙げられる。
【0081】
アクリル系粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。このような含有量としては、例えば、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマー(A)の固形分(100重量部)に対して、好ましくは0.01重量部~20重量部であり、より好ましくは0.01重量部~18重量部であり、さらに好ましくは0.01重量部~15重量部であり、特に好ましくは0.05重量部~10重量部である。
【0082】
アクリル系粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、アクリル系ポリマー(A)以外のポリマー成分、架橋促進剤、架橋触媒、シランカップリング剤、粘着付与樹脂(ロジン誘導体、ポリテルペン樹脂、石油樹脂、油溶性フェノールなど)、老化防止剤、無機充填剤、有機充填剤、金属粉、着色剤(顔料や染料など)、箔状物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、造核剤、連鎖移動剤、可塑剤、軟化剤、界面活性剤、帯電防止剤、導電剤、安定剤、表面潤滑剤、レベリング剤、腐食防止剤、耐熱安定剤、重合禁止剤、滑剤、溶剤、触媒が挙げられる。
【0083】
≪1-2.光学部材≫
光学部材としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な光学部材を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、光学部材としては、代表的には、補強用フィルム、偏光板が挙げられる。
【0084】
光学部材の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、400μm以下であり、より好ましくは5μm~350μmであり、より好ましくは10μm~300μmであり、さらに好ましくは15μm~280μmであり、特に好ましくは20μm~260μmであり、最も好ましくは25μm~250μmである。光学部材の厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を薄型の光学デバイスへ適用することが困難になるおそれがある。光学部材の厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、例えば、光学部材が補強用フィルムの場合、光学デバイスに含まれる他の光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するという補強用フィルム本来の性能を発現できなくなるおそれがある。
【0085】
光学部材の一つの実施形態は、光学部材が補強用フィルム(II)であり、該補強用フィルム(II)は、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含む。以下、光学部材の一つの実施形態である補強用フィルム(II)について説明する。
【0086】
補強用フィルム(II)は、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含む。一つの実施形態としては、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)は、直接に積層されてなる。
【0087】
補強用フィルム(II)は、基材(IIa)と粘着剤層(IIb)を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の構成部材(IIc)を含んでいてもよい。
【0088】
他の構成部材(IIc)としては、例えば、帯電防止層、反射防止層、アンチグレア層、ハードコート層が挙げられる。他の構成部材(IIc)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0089】
光学部材が補強用フィルム(II)の場合、補強用フィルム(II)の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは150μm以下であり、より好ましくは5μm~140μmであり、より好ましくは10μm~130μmであり、さらに好ましくは15μm~120μmであり、特に好ましくは20μm~110μmであり、最も好ましくは25μm~100μmである。補強用フィルム(II)の厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を薄型の光学デバイスへ適用することが困難になるおそれがある。補強用フィルム(II)の厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、例えば、光学デバイスに含まれる他の光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するという補強用フィルム本来の性能を発現できなくなるおそれがある。
【0090】
<1-2-a.基材(IIa)>
基材(IIa)は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。基材(IIa)は、延伸されたものであってもよい。
【0091】
基材(IIa)の厚みは、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは4μm~100μmであり、より好ましくは10μm~95μmであり、さらに好ましくは15μm~90μmであり、特に好ましくは20μm~85μmであり、最も好ましくは25μm~80μmである。基材(IIa)の厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を薄型の光学デバイスへ適用することが困難になるおそれがある。基材(IIa)の厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、例えば、光学デバイスに含まれる他の光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するという補強用フィルム本来の性能を発現できなくなるおそれがある。
【0092】
基材(IIa)の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な材料を採用し得る。このような材料としては、例えば、好ましくは、プラスチック、不織布、紙、金属箔、織布、ゴム、発泡体が挙げられ、好ましくは、プラスチックである。すなわち、基材(IIa)は、好ましくは、プラスチックフィルムである。基材(IIa)は、1種の材料から構成されていてもよいし、2種以上の材料から構成されていてもよい。例えば、2種以上のプラスチックから構成されていてもよい。
【0093】
上記プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリアリレート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリアミド(ナイロン)、全芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリイミド(PI)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、環状オレフィン系ポリマーが挙げられる。
【0094】
上記不織布としては、マニラ麻を含む不織布等の耐熱性を有する天然繊維による不織布;ポリプロピレン樹脂不織布、ポリエチレン樹脂不織布、エステル系樹脂不織布等の合成樹脂不織布;などが挙げられる。
【0095】
基材(IIa)は、その全光線透過率が、好ましくは90%以上であり、より好ましくは91%以上であり、さらに好ましくは92%以上であり、特に好ましくは93%以上である。基材(IIa)の全光線透過率が上記範囲内にあれば、補強用フィルム越しに光学部材や電子部材の検査がされる際に、検査性が低下し難いという利点がある。
【0096】
基材(IIa)は、表面処理が施されていてもよい。表面処理としては、例えば、コロナ処理、プラズマ処理、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理、下塗り剤によるコーティング処理などが挙げられる。
【0097】
有機コーティング材料としては、例えば、プラスチックハードコート材料II(CMC出版、(2004))に記載される材料が挙げられる。このような有機コーティング材料としては、好ましくは、ウレタン系ポリマーが挙げられ、より好ましくは、ポリアクリルウレタン、ポリエステルウレタン、またはこれらの前駆体が挙げられる。基材層A1への塗工・塗布が簡便であり、かつ、工業的に多種のものが選択でき安価に入手できるからである。このようなウレタン系ポリマーは、例えば、イソシアナートモノマーとアルコール性水酸基含有モノマー(例えば、水酸基含有アクリル化合物または水酸基含有エステル化合物)との反応混合物からなるポリマーが挙げられる。有機コーティング材料は、任意の添加剤として、ポリアミンなどの鎖延長剤、老化防止剤、酸化安定剤などを含んでいてもよい。
【0098】
基材(IIa)には、必要に応じて、任意の適切な添加剤を含有し得る。基材(IIa)に含有され得る添加剤としては、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、充填剤、顔料などが挙げられる。基材(IIa)に含有され得る添加剤の種類、数、量は、目的に応じて適切に設定され得る。特に、基材(IIa)の材料がプラスチックの場合は、劣化防止等を目的として、上記の添加剤のいくつかを含有することが好ましい。耐候性向上等の観点から、添加剤として特に好ましくは、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、充填剤が挙げられる。また、基材(IIa)が帯電防止効果を有することは好ましい実施形態であるので、帯電防止剤を含むことも好ましい実施形態である。
【0099】
<1-2-b.粘着剤層(IIb)>
粘着剤層(IIb)は、1層のみであってもよいし、2層以上であってもよい。
【0100】
粘着剤層(IIb)の厚みは、好ましくは1μm~50μmであり、より好ましくは2μm~40μmであり、さらに好ましくは4μm~35μmであり、特に好ましくは5μm~30μmであり、最も好ましくは7μm~25μmである。粘着剤層(IIb)の厚みが上記範囲内にあれば、本発明の効果がより発現し得る。粘着剤層(IIb)の厚みが上記範囲を外れて厚すぎると、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を薄型の光学デバイスへ適用することが困難になるおそれがある。粘着剤層(IIb)の厚みが上記範囲を外れて薄すぎると、例えば、光学デバイスに含まれる他の光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するという補強用フィルム本来の性能を発現できなくなるおそれがある。
【0101】
粘着剤層(IIb)の、温度23℃、相対湿度50%の環境下での、剥離角度180°、引張速度300mm/分における対ポリイミドフィルム接着力は、好ましくは3N/25mm以上であり、より好ましくは4N/25mm以上であり、さらに好ましくは5N/25mm以上であり、特に好ましくは6N/25mm以上である。上記対ポリイミドフィルム接着力が上記範囲内にあれば、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の補強フィルム部分が被着体(代表的には光学部材)に強固に信頼性良く永久接着できる。
【0102】
粘着剤層(IIb)を構成する粘着剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な粘着剤を採用し得る。このような粘着剤としては、例えば、特許第6375467号公報に記載の粘着剤、特許第6467551号公報に記載の光硬化性の粘着剤が挙げられる。
【0103】
粘着剤層(IIb)の代表的な例は、アクリル系粘着剤である。
【0104】
アクリル系粘着剤は、アクリル系粘着剤組成物から形成される。
【0105】
アクリル系粘着剤は、このように、アクリル系粘着剤組成物から形成されるものとして規定し得る。これは、アクリル系粘着剤は、アクリル系粘着剤組成物が、加熱や紫外線照射などによって架橋反応などを起こすことにより、アクリル系粘着剤となるため、アクリル系粘着剤をその構造により直接特定することが不可能であり、また、およそ実際的でないという事情(「不可能・非実際的事情」)が存在するため、「アクリル系粘着剤組成物から形成されるもの」との規定により、アクリル系粘着剤を「物」として妥当に特定したものである。
【0106】
粘着剤層(IIb)は、任意の適切な方法によって形成し得る。このような方法としては、例えば、粘着剤層を構成する粘着剤を形成する粘着剤組成物を基材(IIa)上に塗布し、必要に応じて加熱や乾燥を行い、必要に応じて硬化させて、該基材(IIa)上において粘着剤層(IIb)を形成する方法、粘着剤層(IIb)を構成する粘着剤を形成する粘着剤組成物を任意の適切なはく離ライナーなどのフィルム上に塗布し、必要に応じて加熱や乾燥を行い、必要に応じて硬化させて、該フィルム上において粘着剤層(IIb)を形成し、該粘着剤層(IIb)上に基材(IIa)を貼り合わせて転写することにより、該基材(IIa)上において粘着剤層(IIb)を形成する方法、が挙げられる。
【0107】
粘着剤組成物を塗布する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような塗布の手段としては、例えば、ロールコート法、グラビアロールコート法、リバースロールコート法、キスロールコート法、ディップロールコート法、バーコート法、ロールブラッシュコート法、スプレーコート法、ナイフコート法、エアーナイフコート法、コンマコート法、ダイレクトコート法、ダイコート法が挙げられる。
【0108】
粘着剤組成物の加熱や乾燥は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような加熱や乾燥の手段としては、例えば、60℃~180℃に加熱することや、例えば、室温程度の温度で、エージング処理を行うことが挙げられる。
【0109】
粘着剤組成物の硬化は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような硬化の手段としては、例えば、熱、紫外線照射、レーザ線照射、α線照射、β線照射、γ線照射、X線照射、電子線照射が挙げられる。
【0110】
アクリル系粘着剤組成物は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、アクリル系ポリマー(B)を含む。
【0111】
アクリル系ポリマー(B)は、アクリル系粘着剤の分野においていわゆるベースポリマーと称され得るものである。アクリル系ポリマー(B)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0112】
アクリル系粘着剤組成物中のアクリル系ポリマー(B)の含有割合は、固形分換算で、好ましくは60重量%~99.9重量%であり、より好ましくは65重量%~99.9重量%であり、さらに好ましくは70重量%~99.9重量%であり、特に好ましくは75重量%~99.9重量%であり、最も好ましくは80重量%~99.9重量%である。
【0113】
アクリル系ポリマー(B)としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なアクリル系ポリマーを採用し得る。
【0114】
アクリル系ポリマー(B)の重量平均分子量は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは20万~250万であり、より好ましくは30万~180万であり、さらに好ましくは40万~150万であり、特に好ましくは50万~120万である。
【0115】
アクリル系ポリマー(B)は、好ましくは、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルと極性基含有モノマーを必須に含むモノマー成分から形成される。
【0116】
直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0117】
直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの、炭素数が1~20の直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸メチルおよび(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルから選ばれる少なくとも1種である。
【0118】
極性基含有モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0119】
極性基含有モノマーとしては、例えば、水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマー、窒素含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、カルボキシル基含有モノマーが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマーおよび窒素含有モノマーから選ばれる少なくとも1種である。
【0120】
極性基含有モノマーは、本発明の効果をより発現し得る点で、水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマーを必須に含むことが好ましい。
【0121】
水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6-ヒドロキシヘキシル、ビニルアルコール、アリルアルコールが挙げられる。水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマーとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルが挙げられる。
【0122】
窒素含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドなどアミド基含有モノマー;窒素を含む複素環及びN-ビニル基を有するモノマー(含窒素複素環含有ビニル系モノマー)(例えば、N-ビニル-2-ピロリドン、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾールなど)や窒素を含む複素環及び(メタ)アクリロイル基を有するモノマー(含窒素複素環含有(メタ)アクリル系モノマー)(例えば、(メタ)アクリロイルモルホリンなど)の含窒素複素環含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2-メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;が挙げられる。窒素含有モノマーとしては、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは、N-ビニル-2-ピロリドンが挙げられる。
【0123】
エポキシ基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルが挙げられる。
【0124】
スルホン酸基含有モノマーとしては、例えば、ビニルスルホン酸ナトリウムが挙げられる。
【0125】
リン酸基含有モノマーとしては、例えば、2-ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートが挙げられる。
【0126】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、これらの酸無水物(例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物含有モノマー)が挙げられる。
【0127】
モノマー成分は、その他の共重合性モノマーを含んでいてもよい。その他の共重合性モノマーは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。その他の共重合性モノマーとしては、例えば、多官能性モノマーが挙げられる。多官能性モノマーとしては、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートが挙げられる。
【0128】
多官能性モノマー以外のその他の共重合性モノマーとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;フェニル(メタ
)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン類またはジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;が挙げられる。
【0129】
アクリル系ポリマー(B)を形成するモノマー成分全量中、直鎖または分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルの含有割合は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは50重量%~95重量%であり、より好ましくは55重量%~90重量%であり、さらに好ましくは60重量%~85重量%であり、特に好ましくは65重量%~80重量%である。
【0130】
アクリル系ポリマー(B)を形成するモノマー成分全量中、極性基含有モノマーの含有割合は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは5重量%~50重量%であり、より好ましくは10重量%~45重量%であり、さらに好ましくは15重量%~40重量%であり、特に好ましくは20重量%~35重量%である。
【0131】
極性基含有モノマーとして水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマーを必須に含む場合、アクリル系ポリマー(B)を形成するモノマー成分全量中、水酸基(ヒドロキシル基)含有モノマーの含有割合は、本発明の効果をより発現し得る点で、好ましくは5重量%~25重量%であり、より好ましくは7重量%~22重量%であり、さらに好ましくは9重量%~20重量%であり、特に好ましくは10重量%~18重量%である。
【0132】
極性基含有モノマーとして、カルボキシル基含有モノマーは、用いないか、用いるとしても少量とすることが好ましい。具体的には、アクリル系ポリマー(B)を形成するモノマー成分全量中、カルボキシル基含有モノマーの含有割合が、好ましくは0重量%~5重量%であり、より好ましくは0重量%~3重量%であり、さらに好ましくは0重量%~2重量%であり、特に好ましくは0重量%~0.5重量%である。
【0133】
アクリル系ポリマー(B)は、モノマー成分を、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合方法により重合することにより得られる。アクリル系ポリマー(B)を得るための重合方法としては、例えば、溶液重合方法、乳化重合方法、塊状重合方法、活性エネルギー線照射による重合方法(活性エネルギー線重合方法)が挙げられる。これらの中でも、生産性の点で、溶液重合方法、活性エネルギー線重合方法が好ましい。
【0134】
溶液重合方法を採用する場合に用いられる溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸n-ブチル等のエステル類;トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素類;n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;などの有機溶剤が挙げられる。溶剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0135】
モノマー成分の重合に際しては、重合反応の種類に応じて、好ましくは、熱重合開始剤や光重合開始剤(光開始剤)などの重合開始剤が用いられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0136】
重合開始剤については、<1-1-b.粘着剤層(Ib)>の項目における重合開始剤に関する説明をそのまま援用し得る。
【0137】
アクリル系粘着剤組成物は、好ましくは、架橋剤を含む。架橋剤を用いることにより、十分な接着力を有し、高温での歪みが少ない、アクリル系粘着剤を提供し得る。架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0138】
架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0139】
アクリル系粘着剤組成物中の架橋剤の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な含有量を採用し得る。このような含有量としては、例えば、本発明の効果をより発現させ得る点で、アクリル系ポリマー(B)の固形分(100重量部)に対して、好ましくは0.1重量部~30重量部であり、より好ましくは0.3重量部~25重量部であり、さらに好ましくは0.5重量部~20重量部であり、特に好ましくは0.7重量部~15重量部であり、最も好ましくは1重量部~10重量部である。アクリル系粘着剤組成物中の架橋剤の含有量が、アクリル系ポリマー(B)の固形分(100重量部)に対して上記範囲内にあれば、より十分な接着力を有し、高温での歪みがより少ない、アクリル系粘着剤を提供し得る。
【0140】
架橋剤としては、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、シリコーン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、シラン系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤、金属キレート系架橋剤、過酸化物等の架橋剤が挙げられ、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、および、過酸化物からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
【0141】
イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、および、過酸化物の具体的な説明については、<1-1-b.粘着剤層(Ib)>の項目における重合開始剤に関する説明をそのまま援用し得る。
【0142】
アクリル系粘着剤組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含有し得る。このような他の成分としては、例えば、<1-1-b.粘着剤層(Ib)>の項目における他の成分に関する説明をそのまま援用し得る。
【0143】
≪≪2.光学積層体≫≫
本発明の実施形態による光学積層体は、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を含む。本発明の実施形態による光学積層体は、より好ましくは、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材と他の光学部材を含む。
【0144】
図2は、本発明の光学積層体の一つの実施形態であり、光学積層体3000は、表面保護フィルム付き光学部材1000と他の光学部材2000を含み、該表面保護フィルム付き光学部材1000は、表面保護フィルム(I)100と補強用フィルム(II)200を含む。
【0145】
本発明の実施形態による光学積層体は、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を含んでいれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の層を含んでいてもよい。
【0146】
他の層としては、例えば、ガラス、ディスプレイ、撮像装置、レンズ、(ハーフ)ミラーが挙げられる。
【0147】
本発明の実施形態による光学積層体の総厚みは、他の光学部材の種類によって、任意の適切な厚みを採用し得る。代表的には、本発明の実施形態による光学積層体の総厚みは、好ましくは115μm~650μmであり、より好ましくは120μm~600μmであり、さらに好ましくは125μm~550μmであり、特に好ましくは130μm~500μmである。
【0148】
他の光学部材としては、例えば、偏光板、ポリイミドフィルム、波長板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、光拡散シート、反射シートが挙げられる。
【0149】
他の光学部材の厚みは、その種類によって、任意の適切な厚みを採用し得る。代表的には、他の光学部材の厚みは、好ましくは5μm~400μmであり、より好ましくは10μm~350μmであり、さらに好ましくは15μm~300μmであり、特に好ましくは20μm~250μmである。
【0150】
≪≪3.光学デバイスの製造方法≫≫
本発明の実施形態による光学デバイスの製造方法は、光学部材を含む光学デバイスの製造方法であり、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材と他の光学部材を用いる。
【0151】
他の光学部材については、≪≪2.光学積層体≫≫の項目における他の光学部材に関する説明をそのまま援用し得る。
【0152】
本発明の実施形態による光学デバイスの製造方法は、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材を他の光学部材に貼り合わせる工程(以下、工程Iとする)と、該表面保護フィルム付き光学部材から見て該他の光学部材の反対側からレーザを照射してレーザ加工を行う工程(以下、工程IIとする)と、該レーザ加工後の該表面保護フィルムを再剥離する工程(以下、工程IIIとする)と、を含む。
【0153】
工程Iにおいては、表面保護フィルム付き光学部材を接着したい他の光学部材に、本発明の実施形態による表面保護フィルム付き光学部材の光学部材側を貼り合わせる。これにより、例えば、表面保護フィルム、光学部材、他の光学部材がこの順に積層された光学積層体が得られる。
【0154】
その後、工程IIにおいては、工程Iで得られた光学積層体の表面保護フィルム側からレーザを照射してレーザ加工を行う。この場合、レーザを照射することにより、光学積層体に切断面が設けられ、光学積層体から、表面保護フィルム付き光学部材(表面保護フィルムと光学部材の積層体)が部分的に取り除かれる。これにより、他の光学部材上に部分的に表面保護フィルム付き光学部材が接着された積層体が得られる。
【0155】
その後、工程IIIにおいては、工程IIで得られた他の光学部材上に部分的に表面保護フィルム付き光学部材が搭載された積層体から、表面保護フィルムを再剥離する。その結果、他の光学部材上に部分的に光学部材が接着された光学デバイスが得られる。
【0156】
本発明の実施形態による光学デバイスの製造方法によれば、得られた光学デバイスの光学部材の加工端部には、従来の加工方法、すなわち、通常の補強用フィルムが貼り合わされた光学部材の該補強用フィルム側からレーザを照射してレーザ加工を行う加工方法において観察されるような、隆起がみられない。
【0157】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例になんら限定されるものではない。なお、実施例等における、試験および評価方法は以下のとおりである。なお、「部」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量部」を意味し、「%」と記載されている場合は、特記事項がない限り「重量%」を意味する。
【0158】
<重量平均分子量の測定>
重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)法により測定した。具体的には、GPC測定装置として、商品名「HLC-8120GPC」(東ソー株式会社製)を用いて、下記の条件にて測定し、標準ポリスチレン換算値により算出した。
(分子量測定条件)
・サンプル濃度:約2.0g/L(テトラヒドロフラン溶液)
・サンプル注入量:20μL
・カラム:商品名「TSKgel,SuperAWM-H+superAW4000+superAW2500」(東ソー株式会社製)
・カラムサイズ:各6.0mmI.D.×150mm
・溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流量:0.4mL/min
・検出器:示差屈折計(RI)
・カラム温度(測定温度):40℃
【0159】
<表面保護フィルムの粘着剤層の表面硬さ>
実施例、比較例で得られた表面保護フィルムの表面硬さの測定を実施した。粘着面を保護するはく離ライナーを剥離し、ナノインデンター装置(Hysitron Inc.製 Triboindenter)を用いて、粘着剤層表面に、押込み深さ1μmまで圧子を押し込み、上記ナノインデンターによる測定により最大荷重(Pmax)[GPa/mm]を得た。これを、式:
表面硬さ[GPa]=Pmax/A
に代入し、表面硬さを算出した。測定条件は下記のとおりである。なお、上式中、Aは圧子の接触投影面積[mm]である。
(測定条件)
圧子アプローチ速度:200nm/s
最大変位 :1μm
押込み速度 :200nm/s
引抜き速度 :200nm/s
使用圧子 :Conical(球形圧子:曲率半径10μm)
測定方法 :単一押込み測定
測定温度 :80℃
【0160】
<対アクリル板剥離力>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルム(幅25mm×長さ140mm)の粘着剤層を、アクリル板(アクリライト、三菱ケミカル株式会社製)の表面へ、2kgハンドローラー1往復にて貼り合わせ、23℃の環境温度下で30分間放置した。
上記のようにして得られた評価用試料を、引張試験機にて測定した。引張試験機としては、島津製作所株式会社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/min高速モデル(AG-50NX plus)」を用いた。引張試験機に評価用試料をセットし、引張試験を開始した。具体的には、上記アクリル板から表面保護フィルムを剥離した時の荷重を測定し、その際の平均荷重を表面保護フィルムのアクリル板からの剥離力(対アクリル板剥離力)とした。引張試験の条件は、試験環境温度:23℃、剥離角度:180度、剥離速度(引張速度):300mm/分とした。
【0161】
<対ポリイミドフィルム接着力>
はく離ライナーを剥がした表面保護フィルム(幅25mm×長さ140mm)の粘着剤層を、ポリイミドフィルム(ユーピレックスS、宇部興産株式会社製)付きガラス板(ソーダライムガラス、松浪硝子工業株式会社製)のポリイミドフィルムの表面へ、2kgハンドローラー1往復にて貼り合わせ、23℃の環境温度下で30分間放置した。
上記のようにして得られた評価用試料を、引張試験機にて測定した。引張試験機としては、島津製作所株式会社製の商品名「オートグラフAG-Xplus HS 6000mm/min高速モデル(AG-50NX plus)」を用いた。引張試験機に評価用試料をセットし、引張試験を開始した。具体的には、上記ポリイミドフィルム付きガラス板から表面保護フィルムを剥離した時の荷重を測定し、その際の平均荷重を表面保護フィルムのポリイミドフィルムからの剥離力(対ポリイミドフィルム接着力)とした。引張試験の条件は、試験環境温度:23℃、剥離角度:180度、剥離速度(引張速度):300mm/分とした。
【0162】
<レーザ加工端部の隆起高さ>
実施例、比較例で得られた積層体をCOレーザにて加工を行った。レーザ加工条件は下記の通りである。
・COレーザ波長:9.36μm
・加工速度:500mm/sec
・周波数:30Hz
・W数:加工品未切断部分が残り7μmとなるように、積層体の総厚に応じて調整した。
その後、顕微鏡(OLYMPUS社製 BX51)を用いて、下記手順に従い、レーザ加工端部の隆起高さを評価した。なお、レーザ加工端部とは、図3に示すように、レーザ切断面における補強フィルムの基材部分の端部Tである。
(1)加工部位が中心になるように、10mm×20mmにカットし、カットした積層体の表面保護フィルム部分を剥離した。
(2)その後、表面保護フィルムを剥離した積層体をステージに対して垂直に立てて、断面部分を観察し、レーザ加工端部の隆起高さを計測した。
【0163】
[製造例1]
<アクリル系ポリマーAの製造>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、モノマーとして、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA):96重量部、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA):4重量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN):0.2重量部、酢酸エチル:150重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、フラスコ内の液温を65℃付近に保って6時間重合反応を行い、重量平均分子量54万のアクリル系ポリマーAの溶液を得た。
【0164】
[製造例2]
<アクリル系ポリマーBの製造>
攪拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた四つ口フラスコに、モノマーとして、ブチルアクリレート(BA):95重量部、アクリル酸(AA)5重量部、重合開始剤として2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部、酢酸エチル:233重量部を仕込み、緩やかに攪拌しながら窒素ガスを導入し、60℃に加熱し、フラスコ内の液温を60℃付近に保って7時間重合反応を行い、重量平均分子量60万のアクリル系ポリマーBの溶液を得た。
【0165】
[製造例3]
<補強用フィルムの製造>
モノマー成分としてのアクリル酸2-エチルヘキシル(2EHA):63重量部、N-ビニル-2-ピロリドン(NVP):15重量部、メタクリル酸メチル(MMA):9重量部、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEA):13重量部、重合開始剤としての2,2’-アゾビスイソブチロニトリル:0.2重量部、および、重合溶媒としての酢酸エチル133重量部を、セパラブルフラスコに投入し、窒素ガスを導入しながら1時間撹拌した。このようにして重合系内の酸素を除去した後、65℃に昇温し、10時間反応させ、その後、酢酸エチルを加えて固形分濃度30重量%のアクリル系ポリマー溶液を得た。得られたアクリル系ポリマー溶液中のアクリル系ポリマーの重量平均分子量は80万であった。
次に、上記アクリル系ポリマー溶液に、イソシアネート系架橋剤(商品名「タケネートD110N」、三井化学株式会社製)をアクリル系ポリマー(固形分)100重量部に対して固形分換算で1.1重量部となるように添加し、シランカップリング剤(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、商品名「KBM403」、信越化学工業株式会社製)をアクリル系ポリマー(固形分)100重量部に対して固形分換算で0.15重量部となるように添加し、これを混合することによってアクリル系粘着剤組成物を調製した。
続いて、PET(ポリエチレンテレフタレート)基材(厚み75μm)の一方の面に、得られたアクリル系粘着剤組成物を塗布し、PET基材上に塗布層を形成した。次に、PET基材上に塗布層を形成したものをオーブンに投入し、塗布層を130℃で3分間乾燥させ、PET基材の一方の面に、厚み10μmの粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、補強用フィルムを得た。
【0166】
[実施例1]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):5重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み50μm、三菱ケミカル株式会社製)に、乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(1)を得た。
得られた表面保護フィルム(1)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(1)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(1)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムの基材側に貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(1)を得た。
積層体(1)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0167】
[実施例2]
アクリル系ポリマーB:100重量部(固形分)、架橋剤として4官能エポキシ系化合物(テトラッドC:T/C、三菱ガス化学社製)6重量部を配合し、全体の固形分が15重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み38μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが5μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(2)を得た。
得られた表面保護フィルム(2)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(2)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(2)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(2)を得た。
積層体(2)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0168】
[実施例3]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):5重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み38μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(3)を得た。
得られた表面保護フィルム(3)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(3)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(3)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(3)を得た。
積層体(3)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0169】
[実施例4]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):4重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み38μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが20μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(4)を得た。
得られた表面保護フィルム(4)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(4)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(4)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(4)を得た。
積層体(4)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0170】
[実施例5]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):4重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製)0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み38μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが21μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(5)を得た。
得られた表面保護フィルム(5)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(5)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(5)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(5)を得た。
積層体(5)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0171】
[実施例6]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):4重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み38μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(6)を得た。
得られた表面保護フィルム(6)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(6)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(6)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(6)を得た。
積層体(6)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0172】
[比較例1]
製造例3で製造した補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(C1)を得た。
積層体(C1)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0173】
[比較例2]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):5重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み100μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(C2)を得た。
得られた表面保護フィルム(C2)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(C2)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(C2)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(C2)を得た。
積層体(C2)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0174】
[比較例3]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):5重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み75μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(C3)を得た。
得られた表面保護フィルム(C3)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(C3)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(C3)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(C3)を得た。
積層体(C3)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0175】
[比較例4]
アクリル系ポリマーA:100重量部(固形分)、架橋剤としてイソシアネート化合物(コロネートHX:C/HX、日本ポリウレタン社製):4重量部、触媒としてエンビライザーOL-1(東京ファインケミカル社製):0.03重量部を配合し、全体の固形分が20重量%となるように酢酸エチルで希釈し、アクリル系粘着剤組成物を得た。
得られたアクリル系粘着剤組成物を、ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「T100」、厚み75μm、三菱ケミカル株式会社製)に乾燥後の厚みが10μmとなるよう塗布し、乾燥温度130℃、乾燥時間30秒の条件でキュアーして乾燥し、アクリル系粘着剤からなる粘着剤層を作製した。次いで、得られた粘着剤層の表面に、はく離ライナーとして、一方の面にシリコーン処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRF25」、厚み25μm、三菱ケミカル株式会社製)のシリコーン処理面を貼合せて、表面保護フィルム(C4)を得た。
得られた表面保護フィルム(C4)を常温で5日間エージングを行い、表面保護フィルム(C4)のはく離ライナーを剥離後、表面保護フィルム(C4)の粘着剤層を、製造例3で製造した補強用フィルムに貼り合わせた。さらに補強用フィルムのはく離ライナーを剥離後、厚み25μmのポリイミドフィルム(宇部興産製「ユーピレックスS」)に貼り合わせ、積層体(C4)を得た。
積層体(C4)のレーザ加工を実施し、加工端部の評価を実施した。
結果を表1に示した。
【0176】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明の表面保護フィルム付き光学部材は、薄型化が求められる光学デバイスに含まれる光学部材に剛性や耐衝撃性を付与するために好適に利用可能である。本発明の光学積層体は、薄型化が求められる光学デバイスに好適に利用可能である。本発明の光学デバイスの製造方法は、薄型化が求められる光学デバイスを高品質で製造する方法に利用可能である。
【符号の説明】
【0178】
1000 表面保護フィルム付き光学部材
2000 他の光学部材
3000 光学積層体
100 表面保護フィルム(I)
200 補強用フィルム(II)
11 基材(Ia)
12 粘着剤層(Ib)
21 基材(IIa)
22 粘着剤層(IIb)
T レーザ切断面における補強フィルムの基材部分の端部

図1
図2
図3