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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078526
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
   B60Q 1/50 20060101AFI20240604BHJP
   F21S 43/15 20180101ALI20240604BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240604BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240604BHJP
【FI】
B60Q1/50 Z
F21S43/15
F21W103:00
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190948
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000136
【氏名又は名称】市光工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】鷲 祐一郎
(72)【発明者】
【氏名】池之上 翔
(72)【発明者】
【氏名】山本 英恵
【テーマコード(参考)】
3K339
【Fターム(参考)】
3K339AA31
3K339AA39
3K339BA10
3K339BA30
3K339CA21
3K339CA28
3K339DA01
3K339EA01
3K339EA06
3K339EA09
3K339GB01
3K339HA04
3K339KA04
3K339KA28
3K339KA39
3K339MA01
3K339MC13
3K339MC43
3K339MC48
3K339MC49
(57)【要約】
【課題】発光状態の変化の際の違和感の軽減を図ることができる車両用灯具を提供する。
【解決手段】車両用灯具1は、環状に発光した開眼状態を含む2以上の状態で発光可能な第1灯具ユニット10と、第1灯具ユニット10の発光状態を制御する発光制御部32とを備え、第1灯具ユニット10は、さらに環状の高さ方向の中央側且つ開眼状態よりも高さ方向に狭い幅で発光した瞬き状態で発光可能であって、発光制御部32は、2以上の状態のうち、特定の1つの状態から他の1つの状態に発光状態を変化させる場合、2つの発光状態の間に瞬き状態を介在させる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に発光した第1発光状態を含む2以上の状態で発光可能な発光部と、
前記発光部の発光状態を制御する発光制御部と、を備え、
前記発光部は、さらに、前記環状の高さ方向の中央側で且つ前記第1発光状態よりも高さ方向に狭い幅で発光した第2発光状態で発光可能であって、
前記発光制御部は、前記2以上の状態のうち、特定の1つの状態から他の1つの状態に発光状態を変化させる場合、2つの発光状態の間に前記第2発光状態を介在させる制御を実行する
ことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記発光制御部は、前記発光部を前記第1発光状態に制御している場合、間欠的に前記第2発光状態を介在させる
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記発光制御部は、前記第2発光状態を介在させてから所定時間以内に再度前記第2発光状態を介在させる
ことを特徴とする請求項2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記発光制御部は、車両停止時に前記発光部を前記第1発光状態に制御している場合、停止初期において前記第1発光状態に対して間欠的に前記第2発光状態を介在させ、前記停止初期を超えて車両が停止状態を継続している場合、予め定められた待機用の発光状態に制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記発光制御部は、前記待機用の発光状態に制御している場合に、車両が発進すると前記第1発光状態に制御する
ことを特徴とする請求項4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第2発光状態は、前記環状の高さ方向の中央側且つ前記第1発光状態よりも高さ方向に狭い所定幅で発光した半目状態と、前記環状の高さ方向の中央側で前記所定幅よりも狭い幅で発光した閉眼状態とを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両外部の歩行者等に向けて表示を行う車両用灯具が提案されている(例えば特許文献1参照)。この車両用灯具は、左右一対の発光部を備えて構成されており、各発光部は、生き物の目を模した模様となるように発光可能となっている。特に、これらの発光部は、通常の目、薄目、ウインク及び瞬きの表現に応じた4つの発光状態にて発光可能となっており、歩行者等に向けて多彩なコミュニケ-ションを行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-54118号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の車両用灯具は、或る発光状態から他の発光状態に変化する場合に、単純に発光状態が変化することから、目を模した車両用灯具としては違和感が大きいものであった。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、発光状態の変化の際の違和感の軽減を図ることができる車両用灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る車両用灯具は、環状に発光した第1発光状態を含む2以上の状態で発光可能な発光部と、前記発光部の発光状態を制御する発光制御部と、を備え、前記発光部は、さらに、前記環状の高さ方向の中央側且つ前記第1発光状態よりも高さ方向に狭い幅で発光した第2発光状態で発光可能であって、前記発光制御部は、前記2以上の状態のうち、特定の1つの状態から他の1つの状態に発光状態を変化させる場合、2つの発光状態の間に前記第2発光状態を介在させる制御を実行する。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、発光状態の変化の際の違和感の軽減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る車両用灯具の搭載状態を示す車両正面図である。
図2】本実施形態に係る車両用灯具を示すブロック図である。
図3図1に示した第1灯具ユニットの正面図である。
図4図1に示した第1灯具ユニットの発光状態の例を示す第1の正面図であり、(a)は開眼状態を示し、(b)は危険状態を示し、(c)はスマイル状態を示し、(d)は待機状態を示している。
図5図1に示した第1灯具ユニットの発光状態の例を示す第2の正面図であり、(a)は左注視状態を示し、(b)は下注視状態を示し、(c)は右注視状態を示し、(d)はウインク状態を示している。
図6】瞬き状態の発光状態の例を示す正面図であり、(a)は開眼状態を示し、(b)は第1瞬き状態を示し、(c)は第2瞬き状態を示し、(d)は危険状態を示している。
図7】本開示に係る車両用灯具の発光制御方法を示す第1のフロ-チャ-トである。
図8】本開示に係る車両用灯具の発光制御方法を示す第2のフロ-チャ-トである。
図9】第1変形例に係る第1灯具ユニットの正面図である。
図10】第2変形例に係る第1灯具ユニットの正面図である。
図11】第3変形例に係る第1灯具ユニットの正面図である。断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0010】
図1は、本実施形態に係る車両用灯具の搭載状態を示す車両正面図であり、図2は、本実施形態に係る車両用灯具を示すブロック図である。図2に示す車両用灯具1は、第1灯具ユニット(発光部)10と、第2灯具ユニット20と、制御部30とを備えている。第1灯具ユニット10は、図1に示すように例えば車両前方の車幅方向の両端付近に対となって設けられたものである。第1灯具ユニット10は、後述するように、複数のレンズ(図3の符号11~13参照)と複数のLED(Light Emitting Diode)等の発光素子(図示せず)とを有している。第1灯具ユニット10は、生き物の目を模した2以上の図柄(発光状態)で発光可能となっている。
【0011】
第2灯具ユニット20は、車幅方向の両端付近に対となって設けられる第1灯具ユニット10の間に配置されたものである。第2灯具ユニット20は、LED、マイクロLED、LCD(Liquid Crystal Display)、及び有機LED等によって構成されている。第2灯具ユニット20は、第1灯具ユニット10よりも、細かく多彩な表示状態にて発光可能となっている。このため、第2灯具ユニット20は文字表示も可能となっている。
【0012】
図2に示す制御部30は、車両用灯具1の全体を制御するものである。特に本実施形態において制御部30は、第1灯具ユニット10及び第2灯具ユニット20の発光状態を制御する。制御部30は、車両用灯具1の外部情報を入力する。外部情報は、車両に搭載されたカメラ(図示せず)からの撮像画像の情報、及び車両用灯具1の点灯状態を変化させる操作がされたときの操作情報が該当する。また、外部情報は、天候情報、並びに、車両の速度及び操舵方向を含む車両情報等も該当する。
【0013】
制御部30は、情報処理部31と、発光制御部32とを備えている。情報処理部31は、入力した外部情報に基づいて第1灯具ユニット10及び第2灯具ユニット20の発光状態を決定するものである。発光制御部32は、情報処理部31により決定された発光状態となるように第1灯具ユニット10及び第2灯具ユニット20を制御するものである。ここで、本実施形態に係る制御部30は、第1灯具ユニット10と第2灯具ユニット20とを連動させて発光させる。例えば制御部30は、第1灯具ユニット10が目を模した表示を行っているときに、第2灯具ユニット20について口を模した表示を行う。なお、制御部30は、第1灯具ユニット10と第2灯具ユニット20とを独立させて発光させてもよい。
【0014】
図3は、図1に示した第1灯具ユニット10の正面図である。なお、図3において上下とは車両上下方向であり、左右は車両を正面から視認した場合の視認者側から見たときの左右を表している。
【0015】
図3に示すように、第1灯具ユニット10は、環状(図3に示す例では真円形状)に発光可能な環状レンズ11と、交差形状(図3に示す例ではバツ形状)で発光可能な交差レンズ12とを備えている。各レンズ11,12は、背面に発光素子が設けられ、発光素子の点灯によって光った状態となる。
【0016】
環状レンズ11は、正面視して、上側の上側環状レンズ11aと、右側の右側環状レンズ11bと、下側の下側環状レンズ11cと、左側の左側環状レンズ11dとを備えている。これらの各環状レンズ11a~11dは、それぞれが円弧状となっている。また、環状レンズ11は、略正方形状となる第1~第4接続レンズ11e~11hを備えている。各接続レンズ11e~11hは、頂点が上下左右に向く配置とされている。このような接続レンズ11e~11hのうち、第1接続レンズ11eは、上側環状レンズ11aと右側環状レンズ11bとの間に配置されている。第2接続レンズ11fは、右側環状レンズ11bと下側環状レンズ11cとの間に配置されている。第3接続レンズ11gは、下側環状レンズ11cと左側環状レンズ11dとの間に配置されている。第4接続レンズ11hは、左側環状レンズ11dと上側環状レンズ11aとの間に配置されている。
【0017】
交差レンズ12は、中心レンズ12aと、放射レンズ12b~12eと、半円レンズ12f~12iとを備えている。なお、交差レンズ12は、上記した接続レンズ11e~11hも含む。従って、接続レンズ11e~11hは、環状レンズ11の一部を構成すると共に、交差レンズ12の一部を構成することとなり、両者に兼用されることとなる。
【0018】
中心レンズ12aは、交差中心となる位置に設けられている。交差中心となる位置は、円形となる環状レンズ11の中心位置でもある。中心レンズ12aは、略正方形状となっている。中心レンズ12aは、頂点が上下左右方向に向いて配置されている。
【0019】
放射レンズ12b~12eは、中心レンズ12aから放射状に広がる位置に設けられている。放射レンズ12b~12eは、略長方形用となっている。放射レンズ12b~12eは、頂点が上下左右方向に向いて配置されている。第1放射レンズ12bは、中心レンズ12aの右上45度の方向に延びるように形成され、外側先端が第1接続レンズ11eと対向する。第2放射レンズ12cは、中心レンズ12aの右下45度の方向に延びるように形成され、外側先端が第2接続レンズ11fと対向する。第3放射レンズ12dは、中心レンズ12aの左下45度の方向に延びるように形成され、外側先端が第3接続レンズ11gと対向する。第4放射レンズ12eは、中心レンズ12aの左上45度の方向に延びるように形成され、外側先端が第4接続レンズ11hと対向する。
【0020】
半円レンズ12f~12iは、各接続レンズ11e~11hの外側、すなわち環状レンズ11の外側に突出して設けられている。半円レンズ12f~12iは、略半円形状となっており、半円の円弧が外側に向いて配置されている。第1半円レンズ12fは、第1接続レンズ11eの外側に配置されている。第2半円レンズ12gは、第2接続レンズ11fの外側に配置されている。第3半円レンズ12hは、第3接続レンズ11gの外側に配置されている。第4半円レンズ12iは、第4接続レンズ11hの外側に配置されている。
【0021】
さらに、第1灯具ユニット10は、扇レンズ13を備えている。扇レンズ13は、環状レンズ11の内側において交差レンズ12が配置されていない箇所を埋めるように設けられている。扇レンズ13は、上側扇レンズ13a、右側扇レンズ13b、下側扇レンズ13c、及び左側扇レンズ13dを備えている。各扇レンズ13a~13dは中心角が約90度とされた扇形状とされている。各扇レンズ13a~13dは中心角側が中心レンズ12aに向いて配置されている。上側扇レンズ13aは、環状レンズ11内の上部、すなわち上側環状レンズ11aと第4放射レンズ12eと第1放射レンズ12bとによって挟まれた領域に配置されている。右側扇レンズ13bは、環状レンズ11内の右部、すなわち右側環状レンズ11bと第1放射レンズ12bと第2放射レンズ12cとによって挟まれた領域に配置されている。下側扇レンズ13cは、環状レンズ11内の下部、すなわち下側環状レンズ11cと第2放射レンズ12cと第3放射レンズ12dとによって挟まれた領域に配置されている。左側扇レンズ13dは、環状レンズ11内の左部、すなわち左側環状レンズ11dと第3放射レンズ12dと第4放射レンズ12eとによって挟まれた領域に配置されている。
【0022】
図4及び図5は、図1に示した第1灯具ユニット10の発光状態の例を示す正面図である。発光制御部32は、第1灯具ユニット10を複数の表示状態で発光可能となっている。まず、図4(a)に示すように、発光制御部32は、環状レンズ11の背面側の発光素子を発光させて、環状レンズ11を光らせる(以下、視認者には発光素子によって光らされたレンズについても発光しているように視認されることから、レンズが発光したと表現する)。これにより、発光制御部32は、第1灯具ユニット10を環状に発光させる。第1灯具ユニット10は生き物の目を模していることから、本実施形態において環状に発光した状態(第1発光状態)は開眼を示した状態(以下、開眼状態という)となる。車両用灯具1は、発光状態を開眼状態とすることで、例えば通常の走行状態であることを外部の歩行者等に通知する。
【0023】
また、図4(b)に示すように、発光制御部32は、交差レンズ12を発光させる。これにより、発光制御部32は、第1灯具ユニット10を交差形状に発光させる。第1灯具ユニット10は交差形状に発光することで、めげている表情や何か良くない状態を示す表情を表現できる。このような発光状態を危険状態という。車両用灯具1は、発光状態を危険状態とすることで、例えば衝突等の危険の可能性がある旨を外部の歩行者等に通知する。
【0024】
また、図4(c)に示すように、発光制御部32が上側環状レンズ11a並びに第1及び第4接続レンズ11e,11hのみを発光させる。この場合、第1灯具ユニット10は目が上側に凸の円弧を描いているように表現することができる。この発光状態をスマイル状態という。車両用灯具1は、発光状態をスマイル状態とすることで、例えば道を譲ってもらった場合等に感謝を外部の歩行者等に通知する。
【0025】
さらに、図4(d)に示すように、発光制御部32が下側環状レンズ11c並びに第2及び第3接続レンズ11f,11gのみを発光させる。この場合、第1灯具ユニット10は目が下側に凸の円弧を描いているように表現することができる。この発光状態を待機状態という。車両用灯具1は、発光状態を待機状態とすることで、例えば車両が長時間停止している旨等を外部の歩行者等に通知する。
【0026】
さらに、図5(a)に示すように、発光制御部32が環状レンズ11及び左側扇レンズ13dを発光させる。この場合、第1灯具ユニット10は目が左側に向いているように見せることができる。この発光状態を左注視状態という。同様に図5(b)に示すように、発光制御部32が環状レンズ11及び下側扇レンズ13cを発光させた場合、第1灯具ユニット10は目が下側に向いているように見せることができる。この発光状態を下注視状態という。加えて、図5(c)に示すように、発光制御部32が環状レンズ11及び右側扇レンズ13bを発光させた場合、第1灯具ユニット10は目が右側に向いているように見せることができる。この発光状態を右注視状態という。車両用灯具1は、例えば横断中に歩行者等の動きに合わせて発光状態を左注視状態、下注視状態、及び右注視状態と変化させて、歩行者等に気付いている旨等を外部の歩行者等に通知する。
【0027】
また、図5(d)に示すように、発光制御部32は、第1灯具ユニット10の一方側について環状レンズ11のみを発光させる。さらに、発光制御部32は、他方側について第1及び第2接続レンズ11e,11f、中心レンズ12a、第1及び第2放射レンズ12b,12c並びに第1及び第2半円レンズ12f,12gを発光させる。この場合、第1灯具ユニット10は目がウインクしているように表現することができる。この発光状態をウインク状態という。車両用灯具1は、発光状態をウインク状態とすることで、例えば挨拶を行った旨等を外部の歩行者等に通知する。
【0028】
再度図2を参照する。本実施形態に係る車両用灯具1は、外部情報に基づいて適切となる発光状態を選択し、第1灯具ユニット10を選択した発光状態となるように制御する。例えば車両用灯具1は、外部情報に基づいて通常の走行状態であると判断すると、第1灯具ユニット10を開眼状態とする。さらに、車両用灯具1は、外部情報に基づいて危険の可能性があると判断すると、第1灯具ユニット10を危険状態とする。
【0029】
ここで、本実施形態に係る車両用灯具1おいて、例えば発光状態が開眼状態から危険状態に変化する場合、発光状態が単純に図4(a)の状態から突然に図4(b)の状態に変化すると、目が突然変化したように表現されてしまい、目を模した車両用灯具1としては違和感が大きくなってしまう。
【0030】
そこで、本実施形態に係る車両用灯具1において発光制御部32は、特定の1つの状態から他の1つの状態に発光状態を変化させる場合、2つの発光状態の間に瞬き状態(第2発光状態)を介在させる。
【0031】
図6は、瞬き状態の発光状態の例を示す正面図であり、(a)は開眼状態を示し、(b)は第1瞬き状態を示し、(c)は第2瞬き状態を示し、(d)は危険状態を示している。図6(b)及び図6(c)に示すように、瞬き状態は、環状の高さ方向(図3に示す上下方向)の中央側且つ開眼状態よりも高さ方向に狭い幅で発光した状態である。図3に示す例の第1灯具ユニット10において瞬き状態は、例えば少なくとも以下の条件を満たす。第1の条件は、中心レンズ12a、右側扇レンズ13b及び左側扇レンズ13dが発光していることである。第2の条件は、上側環状レンズ11a、下側環状レンズ11c、接続レンズ11e~11h、及び、半円レンズ12f~12iが非発光であることである。第3の条件は、上下対称に発光させることである。なお、これら条件は一例であって、高さ方向に一方側に偏っておらず、環状の高さ方向の中央側で発光した状態であれば、特にこれら条件の全てを満たすものでなくともよい。
【0032】
図6(b)に示す第1瞬き状態は半目状態である。この状態において発光制御部32は、上側環状レンズ11a、下側環状レンズ11c、接続レンズ11e~11h、及び、半円レンズ12f~12iを非発光とし、他を発光させている。これにより、発光制御部32は、環状の高さ方向の中央側において高さ方向に所定幅の発光を行い半目状態を表現する。
【0033】
図6(c)に示す第2瞬き状態は閉眼状態である。閉眼状態は、高さ方向の中央側において所定幅よりも更に狭い幅で発光した状態である。この状態において発光制御部32は、中心レンズ12a、右側扇レンズ13b及び左側扇レンズ13dのみを発光させている。これにより、発光制御部32は、より狭い幅で発光させて閉眼状態を表現する。
【0034】
本実施形態に係る車両用灯具1は、特定の1つの状態から他の1つの状態に発光状態を変化させる場合、2つの発光状態の間に瞬き状態を介在させる。すなわち、図6に示す例のように開眼状態から危険状態に発光状態を変化させる場合、発光制御部32は、図6(a)の状態から図6(d)の状態に変化させるのではなく、図6(b)及び図6(c)の状態を介在させる。この結果、発光状態は、図6(a)、図6(b)、図6(c)、及び図6(d)の順に変化することとなる。このように、目が突然に開眼状態から危険状態に変化することなく、瞬きが介在することとなり、発光状態の変化の際の違和感が軽減される。
【0035】
次に、本開示に係る車両用灯具1の発光制御方法を説明する。図7及び図8は、本開示に係る車両用灯具1の発光制御方法を示すフロ-チャ-トである。図7に示すように、まず制御部30は外部情報を入力する(S1)。次に、情報処理部31は、ステップS1において入力した外部情報に基づいて車両が停止したかを判断する(S2)。車両が停止していない場合(S2:NO)、情報処理部31は、ステップS1において入力した外部情報に基づいて発光状態を決定する(S3)。
【0036】
その後、情報処理部31は、ステップS3において決定した発光状態が現在の発光状態と異なるかを判断する(S4)。決定した発光状態が現在の発光状態と異なる場合(S4:YES)、発光制御部32は、第1灯具ユニット10の発光状態を瞬き状態とする(S5)。このとき、発光制御部32は、まず発光状態を図6(b)に示した半目状態とした後に、図6(c)に示した閉眼状態とする。
【0037】
次いで、発光制御部32は、第1灯具ユニット10の発光状態をステップS3で決定した発光状態とする(S6)。その後処理はステップS1に移行する。このように、発光制御部32は、現在の発光状態からステップS6において発光状態を変化させるまでの間に、ステップS5に示すように瞬き状態を介在させることで、発光状態の変化の際の違和感を軽減させる。なお、発光制御部32は、ステップS5において、半目状態及び閉眼状態の双方を介在させているが、これに限らず、半目状態及び閉眼状態の一方のみを介在させるようにしてもよい。
【0038】
また、ステップS3において決定した発光状態が現在の発光状態と異ならない場合(S4:NO)、すなわち発光状態に変化がない場合、発光制御部32は、現在の発光状態が開眼状態であるかを判断する(S7)。現在の発光状態が開眼状態でない場合(S7:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0039】
現在の発光状態が開眼状態である場合(S7:YES)、発光制御部32は、開眼状態が規定時間以上継続したかを判断する(S8)。開眼状態が規定時間以上継続していない場合(S8:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0040】
開眼状態が規定時間以上継続した場合(S8:YES)、発光制御部32は、ステップS5と同様に、第1灯具ユニット10の発光状態を瞬き状態とする(S9)。このとき、発光制御部32は、発光状態を半目状態とした後に閉眼状態とするが、半目状態のみ又は閉眼状態のみとしてもよい。その後、発光制御部32は、発光状態を開眼状態に戻す(S10)。このように、発光制御部32は開眼状態が長く継続した場合、生き物が瞬きを行うのと同様に瞬き状態を介在させる。
【0041】
次に、発光制御部32は、もう1回瞬き状態を介在させるかを判断する(S11)。この際、発光制御部32は、もう1回瞬き状態を介在させるか否かをランダムに判断してもよいし、ステップS11の処理が所定回数実行させる毎に1回瞬き状態を介在させると判断してもよい。発光制御部32は、もう1回瞬き状態を介在させないと判断した場合(S11:NO)、処理はステップS1に移行する。
【0042】
発光制御部32は、もう1回瞬き状態を介在させると判断した場合(S11:YES)、ステップS9の瞬き状態の介在から所定時間以内に再度発光状態を瞬き状態とする(S12)。その後、発光制御部32は、発光状態を開眼状態に戻す(S13)。そして、処理はステップS1に移行する。このように、発光制御部32は、瞬き状態を複数回連続させる場合もある。一般に生き物は複数連続した瞬きを行うこともあることから、連続した瞬きを行うことで一層違和感の軽減を図っている。
【0043】
なお、ステップS8において規定時間は、予め定められた一定の時間であってもよいが、これに限らず、ランダムに変化する時間であることが好ましい。すなわち、間欠的に瞬きが介在すれば、瞬き間隔は不定間隔であることが好ましい。生き物が定まった間隔で瞬きを行わないのと同じように、一層違和感の軽減を図ることができるためである。
【0044】
ところで、車両が停止している場合(S2:YES)、処理は図8のステップS14に移行し、ステップS14~S20の処理が実行される。ステップS14~S20の処理は、図7に示したステップS7~S13の処理と略同じである。なお、ステップS18において「NO」と判断された場合には、処理はステップS21に移行する。ステップS21において発光制御部32は、車両停止から特定時間が経過したかを判断する(S21)。特定時間が経過していない場合(S21:NO)、処理は図7のステップS1に移行する。
【0045】
特定時間が経過した場合(S21:YES)、発光制御部32は、発光状態を待機状態とする(S22)。その後、情報処理部31は、車両の発進信号を受信したかを判断する(S23)。情報処理部31が発進信号を受信していない場合(S23:NO)、処理はステップS22に移行する。
【0046】
一方、情報処理部31が発進信号を受信した場合(S23:YES)、発光制御部32は、発光状態を開眼状態に戻す(S24)。そして、処理はステップS1に移行する。
【0047】
このように、発光制御部32は、停止初期において(車両停止から特定時間が経過するまで)ステップS14~S20の処理に示すように、基本的に第1灯具ユニット10を開眼状態とし、間欠的に瞬き状態を介在させる。一方、発光制御部32は、停止初期を超えて車両が停止状態を継続している場合(車両停止から特定時間が経過した場合)、予め定められた待機用の発光状態に制御することとなる。
【0048】
加えて、発光制御部32は、車両が特定時間以上停止し発光状態を待機状態としている場合に車両の発進が確認されると、発光状態を開眼状態に戻す。これにより、待機状態のままの車両走行が防止されることとなり、例えば生き物が目を開けることなく動き出すような違和感ある状態となってしまうことを防止するようにしている。
【0049】
このようにして、本実施形態に係る車両用灯具1によれば、開眼状態を含む2以上の状態のうち、特定の1つの状態から他の1つの状態に発光状態を変化させる場合、2つの発光状態の間に瞬き状態を介在させる。このため、車両用灯具1は、特定の発光状態から他の発光状態に突然変化することなく瞬き状態が介在して変化の際の違和感が抑えられたものとなる。従って、発光状態の変化の際の違和感の軽減を図ることができる。
【0050】
また、発光制御部32は、第1灯具ユニット10を開眼状態に制御している場合、間欠的に瞬き状態を介在させる。このため、発光制御部32は、目が開いたままという不自然な状態の表示を続けることがない。従って、瞬き表現を行って一層違和感の軽減を図ることができる。
【0051】
また、発光制御部32は、ステップS12,S19に示すように、瞬き状態を介在させてから所定時間以内に再度瞬き状態を介在させる。このため、所定時間の設定によっては連続する瞬きのように表現することが可能となる。よって、生き物が連続して瞬きを行う表現が可能となり、一層違和感の軽減を図ることができる。
【0052】
また、発光制御部32は、ステップS14~S20に示すように車両停止初期において間欠的に瞬き状態を介在させ、ステップS21,S22に示すように停止初期を超えると予め定められた待機用の発光状態(待機状態)に制御する。このため、発光制御部32は、車両が比較的長期に停止するような車両外部の歩行者等にコミュニケ-ションを取る必要性が低下した場合に、発光状態を待機状態にして不要な発光制御の実行を抑制することができる。
【0053】
また、発光制御部32は、発光状態を待機状態にしている場合に車両が発進すると発光状態を開眼状態に変化させる。このため、発光制御部32は、車両が発進して再度車両外部の歩行者等にコミュニケ-ションを取る必要性が増したときに待機状態を解除して、違和感を軽減することができる。
【0054】
また、瞬き状態は、環状の高さ方向の中央側において所定幅で発光した半目状態と、中央側で所定幅よりも狭い幅で発光した閉眼状態とを有する。このため、瞬き状態について半目と閉眼とを表現でき、より一層違和感を軽減させることができる。
【0055】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、公知・周知技術を組み合わせてもよい。
【0056】
例えば第1灯具ユニット10は図9図11に示すものであってもよい。図9は、第1変形例に係る第1灯具ユニット10aの正面図である。第1変形例に係る第1灯具ユニット(発光部)10aは、図3に示したものと比較して、半円レンズ12f~12iを備えない構成となっている。このような構成であっても、環状に発光した開眼状態を含む2以上の状態で発光可能であり、且つ、瞬き状態の表現が可能である。
【0057】
図10は、第2変形例に係る第1灯具ユニット10bの正面図である。第2変形例に係る第1灯具ユニット(発光部)10bは、図3に示したものと比較して、中心レンズ12aを備えない構成となっている。さらに、第2変形例に係る第1灯具ユニット10bは、図3に示したものと比較して、放射レンズ112b~112eの形状が異なっている。第2変形例に係る放射レンズ112b~112eは、略長方形状に対して三角形状が追加された略五角形状となっている。三角形状部分は、長方形のうち環状の中心に向いた辺に対して追加されている。これにより、放射レンズ112b~112eは、環状の中心に向かって尖った形状となり、放射レンズ112b~112eによって中心から広がっていく様子が表現されている。このような構成であっても、第1変形例と同様に、環状に発光した開眼状態を含む2以上の状態で発光可能であり、且つ、瞬き状態の表現が可能である。
【0058】
図11は、第3変形例に係る第1灯具ユニット10cの正面図である。第3変形例に係る第1灯具ユニット(発光部)10cは、図10に示したものと比較して、半円レンズ12f~12iを備えない構成となっている。このような構成であっても、環状に発光した開眼状態を含む2以上の状態で発光可能であり、且つ、瞬き状態の表現が可能である。
【0059】
以上のように、第1灯具ユニット10は、環状に発光した開眼状態を含む2以上の状態で発光可能であり、且つ、瞬き状態の表現が可能であれば、種々の変更が可能である。
【0060】
加えて、本実施形態において発光制御部32は、第1灯具ユニット10を図4及び図5に示した発光状態で発光させるが、特にこれに限らず、種々の表現が可能である。
【0061】
加えて、上記実施形態では車両の前方に設けられる車両用灯具1の例を説明したが、車両用灯具1は、前方に限らず、後方や側方に設けられていてもよいし、車内から車外に向けて発光するものであってもよい。
【0062】
さらに、本実施形態に係る車両用灯具1は、前照灯等の既存の灯具の機能を兼ねてもよいし、既存の灯具とは別に設けられるものであってもよい。
【0063】
加えて、瞬き状態は、環状の高さ方向の中央側で開眼状態よりも高さ方向に狭い幅で発光していれば、図6(b)及び図6(c)に示したものに限らない。このため、例えば瞬き状態は、中心レンズ12a、及び放射レンズ12b~12dのみが発光した状態であってもよいし、中心レンズ12a、第1放射レンズ12b、及び第2放射レンズ12cのみが発光した状態であってもよい。
【0064】
さらに、本実施形態において開眼状態は真円形状に発光しているが、特に真円形状に限らず、楕円形、及び菱形等、環状であって目を模した形状に支障がなければ、特に真円形状に限られるものではない。また、図4(a)に示す例において開眼状態は、環状レンズ11が発光し、その内側が非発光となっている。しかし、これに限らず、内側が発光していてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1 :車両用灯具
10,10a,10b,10c :第1灯具ユニット(発光部)
11 :環状レンズ
20 :第2灯具ユニット
30 :制御部
31 :情報処理部
32 :発光制御部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
図8
図9
図10
図11