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特開2024-78528ウェーハ外観検査治具、ウェーハ外観検査装置及びウェーハ外観検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078528
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ウェーハ外観検査治具、ウェーハ外観検査装置及びウェーハ外観検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/956 20060101AFI20240604BHJP
   G01N 21/84 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01N21/956 A
G01N21/84 D
H01L21/66 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190953
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】591132955
【氏名又は名称】株式会社秋田新電元
(74)【代理人】
【識別番号】100110858
【弁理士】
【氏名又は名称】柳瀬 睦肇
(74)【代理人】
【識別番号】100172627
【弁理士】
【氏名又は名称】宮澤 亘
(72)【発明者】
【氏名】渡部 昌也
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 勝樹
【テーマコード(参考)】
2G051
4M106
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AB02
2G051AC11
2G051CA11
2G051EB05
4M106AA01
4M106CA38
4M106DB18
4M106DJ32
(57)【要約】
【課題】規則で決められた抜き取りのウェーハ外観検査において検査結果のばらつきを防止するためのウェーハ外観検査治具を提供する。
【解決手段】本発明は、ウェーハ11の複数の位置のチップを選択して顕微鏡で外観検査するための外観検査治具23であって、前記ウェーハ11上に載置されるマスク21と、前記マスク21に形成され、前記ウェーハ11の選択された前記複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は前記同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シート22と、を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具23である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェーハの複数の位置のチップを選択して顕微鏡で外観検査するための外観検査治具であって、
前記ウェーハ上に載置されるマスクと、
前記マスクに形成され、前記ウェーハの選択された前記複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は前記同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートと、
を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項2】
請求項1において、
前記透明シートは、顕微鏡で前記チップを検査員が外観検査できる透明度を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記複数のチップの各々と同一形状の角を広げる拡張部を有する形状、又は前記同一形状より外形が2mm以下大きい形状の角を広げる拡張部を有する形状であることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記透明シートは、前記複数のチップの各々の外周部の保護膜の内側がマスクされている形状であることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記開口部又は前記透明シートは、多角形、円又は楕円の平面形状を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記ウェーハの中心を通る第1の直線上に配置されるとともに、前記中心で前記第1の直線と交差する第2の直線上に配置されていることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項7】
請求項1又は2において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記ウェーハの中心を円の中心とした同心円上に配置されていることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項8】
請求項1又は2において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記ウェーハの中央部より外周部に多数配置されることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項9】
請求項1又は2において、
前記開口部又は前記透明シートは、格子状に配置されており、そのうちの一つが前記ウェーハの中心に配置されていることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のウェーハ外観検査治具と、
前記ウェーハを載置するステージと、
前記ステージと前記ウェーハ外観検査治具をX軸方向及びY軸方向に相対的に移動させる移動機構と、
前記ステージ上に載置した前記ウェーハ及び前記ウェーハ外観検査治具を照らす照明器具と、
前記ウェーハ外観検査治具の開口部又は透明シートを通して前記ウェーハの複数の位置のチップを外観検査する顕微鏡と、
を有することを特徴とするウェーハ外観検査装置。
【請求項11】
ウェーハをステージ上に載置し、
前記ステージ上で且つ前記ウェーハ上に外観検査治具を載置し、
前記外観検査治具の開口部又は透明シートを通して検査員が顕微鏡で前記ウェーハの複数の位置のチップを外観検査するウェーハ外観検査方法であり、
前記外観検査治具は、
マスクと、
前記マスクに形成され、前記ウェーハの複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートと、
を有することを特徴とするウェーハ外観検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ外観検査治具、ウェーハ外観検査装置及びウェーハ外観検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハの出荷前に、抜き取りでウェーハ外観検査を行っている。例えば、母集団70枚のウェーハから10枚のウェーハを抜き取り、その10枚のウェーハから合計125個のチップを抜き取り検査員が顕微鏡で外観を検査して、不良チップが2個までなら母集団70枚のウェーハが全て良品と判定されるが、3個以上不良チップが見つかると母集団70枚のウェーハが全て不良品と判定され出荷検査不合格とされる。このように出荷可否を判断する。これに関連する技術が特許文献1に記載されている。
【0003】
上記のウェーハ外観検査方法は、1枚のウェーハにつき合計で12個から13個のチップを検査することになり、ウェーハの検査対象チップの位置は例えば12箇所から13箇所で上下左右中央のあたりを検査員が10倍の倍率の顕微鏡で検査する。
【0004】
上記のウェーハ外観検査は、一例であるが、母集団70枚のうち10枚のウェーハから合計125個のチップを抜き取り外観検査すること、不良チップが2個までなら母集団70枚を全て良品とし、不良チップが3個以上なら母集団70枚を全て不良品とすること、外観検査の顕微鏡の倍率を10倍とすることのような検査チップの個数、良品判定するための不良チップの個数、顕微鏡の倍率については製造するウェーハに応じて規則上決められている。
【0005】
上記の決められた顕微鏡の倍率では、顕微鏡視野に複数のチップが入るため、検査員が無意識に複数個のチップを検査してしまい、その位置では1個のチップを検査対象としていても、外観不良チップは良品チップよりも目立つため、検査対象より多くの個数のチップを検査員が外観検査してしまうことになる。その結果、必然的に検査対象の母数が125個よりも多くなる。
【0006】
しかし、実際には125個より数倍の個数のチップを検査していても、母集団70枚のウェーハが不良品であると判定するための不良チップの個数が3個以上であることは規則で決められているため、変えられない。その結果、本来なら125個のチップを検査していれば良品と判定される母集団70枚のウェーハが全て不良品と判定されてしまうことがある。
【0007】
また、上記の外観検査方法では、検査員によって検査対象のチップ数にばらつきが発生することになる。例えば、125個の4倍の個数のチップを検査している検査員もいれば、125個の8倍の個数のチップを検査している検査員もいると考えられるため、検査員によっても母集団のウェーハが全て良品となることもあれば全て不良品となることもあり、検査結果にもばらつきが発生すると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002-109515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の種々の態様は、規則で決められた抜き取りのウェーハ外観検査において検査結果のばらつきを防止するためのウェーハ外観検査治具、ウェーハ外観検査装置及びウェーハ外観検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以下に本発明の種々の態様について説明する。
【0011】
[1]ウェーハの複数の位置のチップを選択して顕微鏡で外観検査するための外観検査治具であって、
前記ウェーハ上に載置されるマスクと、
前記マスクに形成され、前記ウェーハの選択された前記複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は前記同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートと、
を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具。
なお、上記[1]のウェーハ外観検査治具では、ウェーハの選択された複数のチップの各々と同一位置に同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートを用いているが、同一形状より外形が1mm以下大きい形状の開口部又は透明シートを用いてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係る上記[1]のウェーハ外観検査治具によれば、外観検査する際に、ウェーハ上に載置されるマスクと、マスクに形成され、ウェーハの選択された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートとを有する。これにより、規則により検査対象チップの数が決まっている場合にマスクの開口部又は透明シートを通して検査員がチップの外観検査をするため、検査されるチップ数が増加することがない。そのため、必要な検査対象チップ数のみを確実に検査することができる。従って、検査対象チップ数の母数の変動による検査結果のばらつきを防止できる。
【0013】
[2]上記[1]において、
前記透明シートは、顕微鏡で前記チップを検査員が外観検査できる透明度を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0014】
本発明の一態様に係る上記[2]のウェーハ外観検査治具によれば、透明シートは、顕微鏡でチップを検査員が外観検査できる透明度を有するため、透明度が低すぎて検査結果にばらつきが生じることを防止できる。
【0015】
[3]上記[1]又は[2]において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記複数のチップの各々と同一形状の角を広げる拡張部を有する形状、又は前記同一形状より外形が2mm以下大きい形状の角を広げる拡張部を有する形状であることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0016】
[4]上記[1]から[3]のいずれか一項において、
前記透明シートは、前記複数のチップの各々の外周部の保護膜の内側がマスクされている形状であることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0017】
本発明の一態様に係る上記[4]のウェーハ外観検査治具によれば、外観検査する際に、マスクに形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の透明シートが、複数のチップの各々の外周部の保護膜の内側がマスクされている形状であることで、チップの外周部の保護膜のみを検査員が外観検査することができる。
【0018】
[5]上記[1]から[4]のいずれか一項において、
前記開口部又は前記透明シートは、多角形、円又は楕円の平面形状を有することを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0019】
[6]上記[1]から[5]のいずれか一項において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記ウェーハの中心を通る第1の直線上に配置されるとともに、前記中心で前記第1の直線と交差する第2の直線上に配置されていることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0020】
本発明の一態様に係る上記[6]のウェーハ外観検査治具によれば、外観検査する際に、マスクに形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートが、第1の直線上及び第2の直線上に配置されることで、検査員が第1の直線及び第2の直線の各々を一直線に連続して外観検査ができるため、検査スピードの向上が期待できる。また、例えば十字方向のチップを詳細に外観検査することができる。
【0021】
[7]上記[1]から[6]のいずれか一項において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記ウェーハの中心を円の中心とした同心円上に配置されていることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0022】
本発明の一態様に係る上記[7]のウェーハ外観検査治具によれば、外観検査する際に、マスクに形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートが、同心円上に配置されることで、ウェーハの面内を広く外観検査することができ、ウェーハの中心からウェーハの端に向かうにつれて不良チップの発生状況を詳細に外観検査することができる。
【0023】
[8]上記[1]から[5]のいずれか一項において、
前記開口部又は前記透明シートは、前記ウェーハの中央部より外周部に多数配置されることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0024】
本発明の一態様に係る上記[8]のウェーハ外観検査治具によれば、外観検査する際に、マスクに形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートが、ウェーハの中央部より外周部に多数配置されることで、外周部の外観検査を重視することができ、ウェーハの外周部の不良を抽出しやすくできる。
【0025】
[9]上記[1]から[5]のいずれか一項において、
前記開口部又は前記透明シートは、格子状に配置されており、そのうちの一つが前記ウェーハの中心に配置されていることを特徴とするウェーハ外観検査治具。
【0026】
本発明の一態様に係る上記[9]のウェーハ外観検査治具によれば、外観検査する際に、マスクに形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートが、格子状に配置され、そのうちの一つがウェーハの中心に配置されることで、ウェーハの中心、中間、端に直線上に外観検査をすることができ、ウェーハを全体的に検査することができる。
【0027】
[10]上記[1]から[9]のいずれか一項に記載のウェーハ外観検査治具と、
前記ウェーハを載置するステージと、
前記ステージと前記ウェーハ外観検査治具をX軸方向及びY軸方向に相対的に移動させる移動機構と、
前記ステージ上に載置した前記ウェーハ及び前記ウェーハ外観検査治具を照らす照明器具と、
前記ウェーハ外観検査治具の開口部又は透明シートを通して前記ウェーハの複数の位置のチップを外観検査する顕微鏡と、
を有することを特徴とするウェーハ外観検査装置。
【0028】
本発明の一態様に係る上記[10]のウェーハ外観検査装置によれば、ステージ上で且つウェーハ上に外観検査治具を載置し、外観検査治具の開口部又は透明シートを通して検査員が顕微鏡でウェーハの複数の位置のチップを外観検査する。詳細には、ウェーハの複数のチップの各々と同一位置に配置された開口部又は透明シートが顕微鏡の視野に入るように、移動機構によりステージとウェーハ外観検査治具を相対的に移動させることで、検査員がウェーハの複数の位置のチップを選択して検査することが可能となる。そして、規則により検査対象チップの数が決まっている場合にマスクの開口部又は透明シートを通して検査員がチップの外観検査をするため、検査されるチップ数が増加することがない。つまり、必要な検査対象チップ数のみを確実に検査することができ、その結果、検査対象チップ数の母数の変動による検査結果のばらつきを防止できる。
【0029】
[11]ウェーハをステージ上に載置し、
前記ステージ上で且つ前記ウェーハ上に外観検査治具を載置し、
前記外観検査治具の開口部又は透明シートを通して検査員が顕微鏡で前記ウェーハの複数の位置のチップを外観検査するウェーハ外観検査方法であり、
前記外観検査治具は、
マスクと、
前記マスクに形成され、前記ウェーハの複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートと、
を有することを特徴とするウェーハ外観検査方法。
【0030】
本発明の一態様に係る上記[11]のウェーハ外観検査方法によれば、ステージ上で且つウェーハ上に外観検査治具を載置し、外観検査治具の開口部又は透明シートを通して検査員が顕微鏡でウェーハの複数の位置のチップを外観検査する。その際に、外観検査治具が、マスクに形成され、ウェーハの複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シートを有することにより、規則により検査対象チップの数が決まっている場合にマスクの開口部又は透明シートを通して検査員がチップの外観検査をするため、検査されるチップ数が増加することがない。つまり、必要な検査対象チップ数のみを確実に検査することができ、その結果、検査対象チップ数の母数の変動による検査結果のばらつきを防止できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の種々の態様によれば、規則で決められた抜き取りのウェーハ外観検査において検査結果のばらつきを防止するためのウェーハ外観検査治具、ウェーハ外観検査装置及びウェーハ外観検査方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】(A)は本発明の一態様に係る外観検査治具をウェーハ上に載せて位置合わせしたウェーハ外観検査治具を撮影した写真、(B)は(A)に示す写真のウェーハ外観検査治具のマスクの開口部を拡大した部分を示す写真、(C)は(A)に示すウェーハ外観検査治具のマスクでウェーハが覆われた開口部以外の部分を示す写真である。
図2図1に示すウェーハ外観検査治具を説明するための模式的な断面図である。
図3図1に示すウェーハ外観検査治具をウェーハ上に載せた状態を模式的に示す平面図である。
図4】外観検査する際に、マスク21に形成された開口部22a又は透明シートの形状とウェーハのチップとの対応位置を模式的に示す平面図である。
図5図4に示すマスクに形成された開口部22aの第1変形例を示す平面図である。
図6図4に示すマスクに形成された開口部22aを透明シート22にした第2変形例を示す平面図である。
図7図4に示すマスクに形成された開口部22aの変形例を示す平面図である。
図8図4に示すマスクに形成された開口部22aの変形例を示す平面図である。
図9】マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第1の例の平面図である。
図10】マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第2の例の平面図である。
図11】マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第3の例の平面図である。
図12】マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第4の例の平面図である。
図13】マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第5の例の平面図である。
図14】(A)は本発明の一態様に係るウェーハ外観検査装置を示す模式図、(B)は(A)に示すウェーハ外観検査装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下では、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0034】
(第1の実施形態)
図1(A)は、本発明の一態様に係る外観検査治具をウェーハ上に載せて位置合わせしたウェーハ外観検査治具を撮影した写真であり、図1(B)は、図1(A)に示す写真のウェーハ外観検査治具のマスクの開口部を拡大した部分を示す図であり、図1(C)は、図1(A)に示すウェーハ外観検査治具のマスクでウェーハが覆われた開口部以外の部分を示す図である。
【0035】
図2は、図1に示すウェーハ外観検査治具を説明するための模式的な断面図である。図3は、図1に示すウェーハ外観検査治具をウェーハ上に載せた状態を模式的に示す平面図である。図4は、外観検査する際に、マスク21に形成された開口部22a又は透明シートの形状とウェーハのチップとの対応位置を模式的に示す平面図である。
【0036】
図2に示すように、ウェーハ外観検査治具23は、ウェーハ11の複数の位置のチップを選択して顕微鏡で外観検査するための外観検査治具である。このウェーハ外観検査治具23は、ウェーハ11上に載置されるマスク21を有し、ウェーハ11はステージ10上に載置されている。なお、ウェーハ11は、その裏面外周部のみステージ10に載置されている。マスク21には、ウェーハ11の選択された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は前記同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a(図4参照)又は透明シート22が形成されている。透明シート22は、顕微鏡でチップを検査員が外観検査できる透明度を有する。これにより、透明度が低すぎて検査結果にばらつきが生じることを防止できる。
【0037】
なお、本実施形態では、ウェーハ11の選択された複数のチップの各々と同一位置に同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シート22を用いているが、同一形状より外形が1mm以下大きい形状の開口部又は透明シートを用いてもよい。
【0038】
本実施形態によれば、ウェーハ11を外観検査する際に、ウェーハ11上に載置されるマスク21と、マスク21に形成され、ウェーハ11の選択された複数のチップ12の各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シート22とを有する。これにより、規則により検査対象チップの数が決まっている場合にマスク21の開口部又は透明シート22を通して検査員がチップの外観検査をするため、検査されるチップ数が増加することがない。そのため、必要な検査対象チップ数のみを確実に検査することができる。従って、検査対象チップ数の母数の変動による検査結果のばらつきを防止できる。
【0039】
図5は、図4に示すマスクに形成された開口部22aの第1変形例を示す平面図である。
この開口部22aは、複数のチップの各々と同一形状より外形が2mm以下大きい形状の角を広げる拡張部24を有する形状である。なお、本変形例では、複数のチップの各々と同一形状より外形が2mm以下大きい形状の角を広げているが、複数のチップの各々と同一形状の角を広げる拡張部を有する形状であってもよい。また、本変形例では、マスクに形成された開口部22aを用いているが、マスクに形成された透明シート22を用いてもよい。
【0040】
図6は、図4に示すマスクに形成された開口部22aを透明シート22にした第2変形例を示す平面図である。
透明シート22は、複数のチップ12の各々の外周部の保護膜26の内側25がマスクされている形状である。
【0041】
第2変形例によれば、ウェーハを外観検査する際に、マスク21に形成された複数のチップ12の各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シートが、複数のチップ12の各々の外周部の保護膜26の内側25がマスクされている形状であることで、チップ12の外周部の保護膜26のみを検査員が外観検査することができる。
【0042】
また、本実施形態では、図4に示すように、マスクに形成された開口部22aの形状を正方形としているが、チップの形状に合わせて図7及び図8に示す長方形及び六角形などの多角形の開口部22a又は透明シートとしても良いし、円形又は楕円形の開口部22a又は透明シートとしても良い。
【0043】
図9は、マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第1の例の平面図である。
開口部22aは、ウェーハ上に配置した場合、ウェーハの中心51を通る第1の直線27上に配置されるとともに、ウェーハの中心で第1の直線27と直交する第2の直線28上に配置されている。
【0044】
なお、本例では、第2の直線28は第1の直線27と直交するように配置されているが、第2の直線28を第1の直線27と交差するように配置すれば、必ずしも直交していなくてもよい。また、本例では、開口部22aで説明しているが、開口部22aを透明シートに変更してもよい。
【0045】
上記第1の例によれば、外観検査する際に、マスク21に形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シートが、第1の直線27上及び第2の直線28上に配置されることで、検査員が第1の直線27及び第2の直線28の各々を一直線に連続して外観検査ができるため、検査スピードの向上が期待できる。また、例えば十字方向のチップを詳細に外観検査することができる。
【0046】
図10は、マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第2の例の平面図である。
開口部22aは、ウェーハ上に配置した場合、ウェーハ11の中心51を円の中心とした同心円41,42上に配置されている。別言すれば、開口部22aは、ウェーハ上に配置した場合、ウェーハの中心51を通る第1の直線27上に配置されるとともに、ウェーハの中心51で第1の直線27と交差する第2の直線28、第3の直線43及び第4の直線44の上に配置されている。なお、本例では、開口部22aで説明しているが、開口部22aを透明シートに変更してもよい。また、ウェーハ11の中心51とは、ウェーハ11を円形状と見た場合のその円の中心を意味する。
【0047】
上記第2の例によれば、外観検査する際に、マスク21に形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シートが、同心円41,42上に配置されることで、ウェーハ11の面内を広く外観検査することができ、ウェーハ11の中心からウェーハ11の端に向かうにつれて不良チップの発生状況を詳細に外観検査することができる。
【0048】
図11は、マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第3の例の平面図である。図12は、マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第4の例の平面図である。
【0049】
図11及び図12に示すように、開口部22aは、ウェーハ上に配置した場合、ウェーハの中央部より外周部に多数配置されている。
【0050】
上記第3の例及び第4の例によれば、外観検査する際に、マスク21に形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シートが、ウェーハ11の中央部より外周部に多数配置されることで、外周部の外観検査を重視することができ、ウェーハ11の外周部の不良を抽出しやすくできる。
【0051】
図13は、マスク21に形成される開口部22aの位置を示す第5の例の平面図である。
開口部22aは、ウェーハ上に配置した場合、格子状に配置されており、そのうちの一つがウェーハの中心51に配置されている。別言すれば、開口部22aは、ウェーハ上に配置した場合、ウェーハの中心51を通る第1の直線27上に配置され、第1の直線27と直交する第3の直線45及び第4の直線46の上に配置され、第2の直線28と直交する第5の直線47及び第6の直線48の上に配置されている。なお、本例では、開口部22aで説明しているが、開口部22aを透明シートに変更してもよい。
【0052】
上記第5の例によれば、外観検査する際に、マスク21に形成された複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部22a又は透明シートが、格子状に配置され、そのうちの一つがウェーハの中心51に配置されることで、ウェーハの中心51、中間、端に直線上に外観検査をすることができ、ウェーハ11を全体的に検査することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
図14(A)は、本発明の一態様に係るウェーハ外観検査装置を示す模式図であり、図14(B)は、図14(A)に示すウェーハ外観検査装置の概略図である。
【0054】
図14(A)に示すステージ10、ウェーハ11、外観検査治具23は、図2に示すウェーハ外観検査治具と同様である。また、ウェーハ外観検査装置は、ステージ10とウェーハ外観検査治具23をX軸方向及びY軸方向(水平方向)に相対的に移動させる移動機構(図示せず)と、ステージ10上に載置したウェーハ11及びウェーハ外観検査治具23を照らす照明器具30と、ウェーハ外観検査治具23の開口部又は透明シート22を通してウェーハ11の複数の位置のチップを外観検査するレンズ31を備えた顕微鏡40を有する(図14(A)、(B)参照)。
【0055】
次に、図14(A)、(B)に示すウェーハ外観検査装置を用いてウェーハの外観検査を行う方法について説明する。
【0056】
まず、図14(A)、(B)に示すように、ウェーハ11をステージ10上に載置する。次いで、ステージ10上で且つウェーハ11上に外観検査治具23を載置する。この際、外観検査治具23とはウェーハ11は非接触である。次いで、外観検査治具23の開口部又は透明シート22を通して検査員が顕微鏡40でウェーハ11の複数の位置のチップを外観検査する。詳細には、外観検査治具23の開口部又は透明シート22が顕微鏡40の視野に入るように、前記の移動機構によりステージ10をX軸方向及びY軸方向に移動させ、外観検査治具23の開口部又は透明シート22を通して検査員が顕微鏡40でウェーハ11の複数の位置の各々のチップを外観検査する。
【0057】
上記の外観検査治具23はマスク21を有し、このマスク21には、ウェーハ11の複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シート22が形成されている。
【0058】
本実施形態によれば、ステージ10上で且つウェーハ11上に外観検査治具23を載置し、外観検査治具23の開口部又は透明シート22を通して検査員が顕微鏡でウェーハ11の複数の位置のチップを外観検査する。詳細には、ウェーハ11の複数のチップの各々と同一位置に配置された開口部又は透明シート22が顕微鏡の視野に入るように、移動機構によりステージ10とウェーハ外観検査治具23を相対的に移動させることで、検査員がウェーハ11の複数の位置のチップを選択して検査することが可能となる。その際に、外観検査治具23が、マスク21に形成され、ウェーハ11の複数のチップの各々と同一位置に同一形状、又は同一形状より外形が2mm以下大きい形状の開口部又は透明シート22を有することにより、規則により検査対象チップの数が決まっている場合にマスク21の開口部又は透明シート22を通して検査員がチップの外観検査をするため、検査されるチップ数が増加することがない。つまり、必要な検査対象チップ数のみを確実に検査することができ、その結果、検査対象チップ数の母数の変動による検査結果のばらつきを防止できる。
【符号の説明】
【0059】
10 ステージ
11 ウェーハ
21 マスク
22 透明シート
22a 開口部
23 外観検査治具
24 拡張部
25 保護膜の内側
26 保護膜
27 第1の直線
28 第2の直線
40 顕微鏡
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14