(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078532
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】基板搬送ロボットシステムおよび基板搬送ロボットの教示方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240604BHJP
B25J 15/08 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J15/08 U
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022190958
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】實政 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】長渕 皓二
(72)【発明者】
【氏名】南 孝
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS24
3C707BS15
3C707CT04
3C707CV07
3C707DS01
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3C707KX08
3C707LS06
3C707LT06
3C707LV07
3C707NS13
5F131AA03
5F131AA12
5F131CA32
5F131CA35
5F131DA02
5F131DA22
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5F131DD75
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5F131KA12
5F131KA40
5F131KA72
5F131KB32
5F131KB58
(57)【要約】 (修正有)
【課題】基板の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図る基板搬送ロボットシステム及び基板搬送ロボットの教示方法を提供する。
【解決手段】基板搬送ロボットは、基板を搬送するハンド13と、ハンドを水平方向と上下方向に動作させる動作機構と、ハンドに設けられ、水平方向へ走査線を照射する第1センサS1及び上下方向へ走査線を照射する第2センサS2と、ハンド及び動作機構を制御するコントローラ20と、搬送位置に設けられ、搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部310と第2被検出部320と、を備える。コントローラは、ハンドを動作させることで、第1センサ及び第2センサによって第1被検出部を検出し、第2センサによって第2被検出部を検出し、第1被検出部と第2被検出部とを検出したときのハンドの位置情報から、搬送位置を算出して記憶する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を搬送する基板搬送ロボットに前記基板の搬送位置を教示する基板搬送ロボットシステムであって、
前記基板搬送ロボットは、
前記基板を搬送するハンドと、
前記ハンドを水平方向と上下方向に動作させる動作機構と、
前記ハンドに設けられ、前記水平方向へ走査線を照射する第1センサおよび前記上下方向へ走査線を照射する第2センサと、
前記ハンドおよび前記動作機構を制御するコントローラと、
前記搬送位置に設けられ、前記搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部と第2被検出部と、
を備え、
前記コントローラは、
前記ハンドを動作させることで、前記第1センサおよび前記第2センサによって前記第1被検出部を検出し、前記第2センサによって前記第2被検出部を検出し、
前記第1被検出部と前記第2被検出部とを検出したときの前記ハンドの位置情報から、前記搬送位置を算出して記憶する、
基板搬送ロボットシステム。
【請求項2】
前記第2被検出部は、
前記ハンドが前記動作機構によって動作中に前記第2センサによって連続して検出可能な、少なくとも互いに非平行で位置関係が既知である第1検出ラインと第2検出ラインとを備える、
請求項1に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項3】
前記第2被検出部は、
前記ハンドが前記搬送位置に対して下側から接近したときに、当該搬送位置の下側から前記第2センサによって前記第1検出ラインおよび前記第2検出ラインが検出される、
請求項2に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項4】
前記第1被検出部および前記第2被検出部は、教示治具に設けられ、
前記教示治具は、前記搬送位置に設置可能である、
請求項3に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項5】
前記教示治具は、前記基板を収容可能なカセットに装着可能である、
請求項4に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項6】
前記カセットは、
当該カセットの正面から視て前記基板の両端をそれぞれ支持する第1支持部および第2支持部と、
当該カセットの正面から視て前記第1支持部および前記第2支持部の間で前記基板を支持する第3支持部と
を備え、
前記教示治具は、
前記第1支持部、前記第2支持部および前記第3支持部の少なくともいずれかに装着可能である、
請求項5に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項7】
前記第1被検出部は、
前記教示治具が前記カセットに装着されたとき、前記カセットの正面側に露出する前記教示治具の前端部である、
請求項5に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項8】
前記第1センサは、
前記ハンドが前記動作機構によって前記上下方向に動作した際に、前記カセットに収容されている前記基板の有無をさらに検出可能であり、
前記第2センサは、
前記ハンドに前記基板が支持された際の、前記基板の有無をさらに検出可能である、
請求項5に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項9】
前記第2センサは、
前記ハンドにおいて、所定距離離れた位置に少なくとも2か所設けられる、
請求項5に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項10】
前記第1センサおよび前記第2センサは、前記ハンドの先端側に設けられ、
前記第1被検出部および前記第2被検出部は、
前記教示治具が前記カセットへ装着されたときにおける前記カセットの正面に近い位置に設けられ、
前記第1センサおよび前記第2センサは、
前記ハンドが前記カセットの奥部へ到達する前に前記第1被検出部および前記第2被検出部を検出する、
請求項6~9のいずれか一つに記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項11】
前記ハンドは、前記第1支持部と前記第3支持部の間、前記第2支持部と前記第3支持部の間のそれぞれに進入可能な第1フォーク部および第2フォーク部を少なくとも備え、
前記第1フォーク部および前記第2フォーク部は、それぞれ前記第1センサおよび前記第2センサを有し、
前記第2被検出部は、前記教示治具が前記カセットへ装着されたときに、前記第1支持部と前記第3支持部の間および前記第2支持部と前記第3支持部の間の少なくとも一方に、かつ、前記カセットの正面に近い位置に設けられ、
前記第1フォーク部が前記第1支持部と前記第3支持部の間に進入し、前記第2フォーク部が前記第2支持部と前記第3支持部の間に進入する、
請求項6に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項12】
前記教示治具は、
前記第1支持部、前記第2支持部および前記第3支持部のうちの少なくとも2つの支持部と接触する当接部によって前記水平方向と前記上下方向に位置が決定され、前記第1支持部、前記第2支持部および前記第3支持部に対して脱着可能に設けられる、
請求項6に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項13】
前記当接部は、前記カセットに対する前記教示治具の位置を調整可能となるように、少なくとも一部が前記教示治具の基部に対して可動するように設けられる、
請求項12に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項14】
前記当接部は、
前記第3支持部が嵌まり込むことによって、前記カセットの正面に対する左右方向についての当該教示治具の位置を少なくとも決定する凹部を備え、
前記凹部はさらに、
当該凹部の窪みの深さを変更可能に設けられる、
請求項13に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項15】
前記凹部は、
前記第3支持部の先端に対し、前記カセットの正面から視た奥行き方向について押し当て可能に形成されることで、前記奥行き方向についての前記教示治具の位置を少なくとも決定する、
請求項14に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項16】
前記当接部は、
前記第1支持部、前記第2支持部および前記第3支持部の少なくともいずれかに対し、前記カセットの正面に対する左右方向について押し当て可能に設けられた第1凸部を備える、
請求項13に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項17】
前記当接部は、
前記第1支持部および前記第2支持部の先端に対し、前記カセットの正面に対する奥行き方向について押し当て可能に設けられた第2凸部を備える、
請求項13に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項18】
前記第2凸部はさらに、
前記第3支持部の先端に対し、前記奥行き方向について押し当て可能に設けられる、
請求項17に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項19】
前記コントローラは、
前記ハンドを動作させ、前記第1センサによって、前記第1被検出部の高さ位置を検出したときの情報から前記搬送位置の高さ位置を算出し、
前記ハンドを前記搬送位置の高さ位置に応じて前記搬送位置へ近づけながら、前記第2センサによって前記第1被検出部を検出して、前記搬送位置に対する前記ハンドの角度と奥行き方向の位置を算出し、
前記ハンドを前記ハンドの角度と奥行き方向の位置に応じて前記搬送位置へ近づけながら、前記第2センサによって前記第2被検出部の前記第1検出ラインと前記第2検出ラインとを連続的に検出し、
前記第1検出ラインおよび前記第2検出ラインの各検出点間の距離から前記搬送位置に対する前記ハンドの左右方向の位置を算出し、
前記高さ位置と前記奥行き方向の位置と前記左右方向の位置とを記憶する、
請求項2、11または12に記載の基板搬送ロボットシステム。
【請求項20】
基板を搬送するハンドと、前記ハンドを水平方向と上下方向に動作させる動作機構と、前記ハンドに設けられ、前記水平方向へ走査線を照射する第1センサおよび前記上下方向へ走査線を照射する第2センサと、前記ハンドおよび前記動作機構を制御するコントローラと、前記基板の搬送位置に設けられ、前記搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部と第2被検出部と、を備え、前記基板を搬送する基板搬送ロボットに前記搬送位置を教示する基板搬送ロボットの教示方法であって、
前記ハンドを動作させることで、前記第1センサおよび前記第2センサによって前記第1被検出部を検出し、前記第2センサによって前記第2被検出部を検出することと、
前記第1被検出部と前記第2被検出部とを検出したときの前記ハンドの位置情報から、前記搬送位置を算出して記憶することと、
を含む、基板搬送ロボットの教示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、基板搬送ロボットシステムおよび基板搬送ロボットの教示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウェハやパネルといった基板を搬送するハンドを有するロボットを用いて、基板を収容するカセットとの間で基板の搬出入を行う搬送システムが知られている。
【0003】
このような搬送システムにおいては、ロボットに対し、カセットへのハンドの進入位置等を教示する教示作業を予め行う必要がある。この教示作業に関し、たとえば実運用で用いられるカセットと同形状に形成されたダミーカセットを用いて教示作業を行う技術が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来技術には、基板の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図るうえで、さらなる改善の余地がある。
【0006】
たとえば上述した従来技術を用いた場合、カセットとは別に教示作業用のダミーカセットを用意する必要があり、非効率的である。また、カセットの形状とダミーカセットの形状との間に誤差が生じていた場合、教示作業の精度を確保することができない。また、オペレータが目視で確認しながら、ダミーカセットに対する所定の教示位置までロボットを順次動作させる必要があり、ヒューマンエラーが入り込む余地がある。
【0007】
実施形態の一態様は、基板の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図ることができる基板搬送ロボットシステムおよび基板搬送ロボットの教示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一態様に係る基板搬送ロボットシステムは、基板を搬送する基板搬送ロボットに前記基板の搬送位置を教示する基板搬送ロボットシステムである。前記基板搬送ロボットは、前記基板を搬送するハンドと、前記ハンドを水平方向と上下方向に動作させる動作機構と、前記ハンドに設けられ、前記水平方向へ走査線を照射する第1センサおよび前記上下方向へ走査線を照射する第2センサと、前記ハンドおよび前記動作機構を制御するコントローラと、前記搬送位置に設けられ、前記搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部と第2被検出部と、を備える。前記コントローラは、前記ハンドを動作させることで、前記第1センサおよび前記第2センサによって前記第1被検出部を検出し、前記第2センサによって前記第2被検出部を検出し、前記第1被検出部と前記第2被検出部とを検出したときの前記ハンドの位置情報から、前記搬送位置を算出して記憶する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一態様によれば、基板の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図ることができる基板搬送ロボットシステムおよび基板搬送ロボットの教示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、ロボットシステムの構成例を示す模式図である。
【
図2】
図2は、第1センサおよび第2センサの配置例を示す図である。
【
図3】
図3は、ロボットの教示方法の概要を示す図である。
【
図6】
図6は、教示治具が装着された状態のカセットの正面模式図である。
【
図7】
図7は、教示治具が装着された状態のカセットの上面模式図である。
【
図10】
図10は、教示治具の検出方法の説明図(その1)である。
【
図11】
図11は、教示治具の検出方法の説明図(その2)である。
【
図12】
図12は、教示治具の検出方法の説明図(その3)である。
【
図13】
図13は、教示治具の検出方法の説明図(その4)である。
【
図14】
図14は、教示治具の検出方法の説明図(その5)である。
【
図15】
図15は、教示治具の検出方法の説明図(その6)である。
【
図16】
図16は、教示治具の変形例を示す図(その1)である。
【
図17】
図17は、教示治具の変形例を示す図(その2)である。
【
図18】
図18は、教示治具の変形例を示す図(その3)である。
【
図19】
図19は、教示治具の変形例を示す図(その4)である。
【
図21】
図21は、ロボットシステムが実行する処理手順を示すフローチャートである。
【
図22】
図22は、粗ティーチングの説明図(その1)である。
【
図23】
図23は、粗ティーチングの説明図(その2)である。
【
図24】
図24は、粗ティーチングの説明図(その3)である。
【
図25】
図25は、粗ティーチングの説明図(その4)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する基板搬送ロボットシステムおよび基板搬送ロボットの教示方法を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
また、以下に示す実施形態では、「鉛直」、「正面」、「平行」、「中間」といった表現を用いる場合があるが、厳密にこれらの状態を満たすことを要しない。すなわち、上記した各表現は、製造精度、設置精度、処理精度、検出精度などのずれを許容するものとする。
【0013】
(ロボットシステム1の構成例)
まず、実施形態に係るロボットシステム1の構成例について、
図1を用いて説明する。
図1は、ロボットシステム1の構成例を示す模式図である。また、
図2は、第1センサS1および第2センサS2の配置例を示す図である。
【0014】
ロボットシステム1は、基板500を搬送するロボット10に基板500の搬送位置を教示する基板搬送ロボットシステムである。本実施形態では、基板500が、たとえばガラスエポキシのような樹脂材料の基板やガラス基板などである矩形状のパネルであるものとする。また、本実施形態では、基板500の搬送位置が、基板500を多段に収容するカセット200(
図3以降参照)の各段(各スロット)における基板500の理想的な収容位置(以下、適宜「正規位置」と言う)であるものとする。
【0015】
図1に示すように、ロボットシステム1は、ロボット10と、コントローラ20とを含む。ロボット10は、基板500を搬送する基板搬送ロボットである。ロボット10は、基板500を搬送するハンド13と、ハンド13を水平方向と上下方向に動作させる動作機構とを備える。
【0016】
なお、
図1には、説明を分かりやすくする観点から、鉛直上向きを正方向とするZ軸、カセット200の正面に沿う左右方向に平行なX軸、カセット200の奥行き方向に平行なY軸からなる3次元の直交座標系を図示している。上記した「水平方向」は、この直交座標系のXY平面に沿った方向のことを指す。また、「上下方向」は、この直交座標系のZ軸方向に沿った方向のことを指す。この直交座標系は、以下の説明で用いる他の図面においても示す場合がある。
【0017】
また、カセット200の正面とは、カセット200の側面のうち、ハンド13を挿入可能な開口を有する面のことを指す。また、カセット200の奥行き方向とは、基板500の搬出入のために、カセット200の正面からハンド13を進入または退避させる方向のことを指す。なお、カセット200の構成例については、
図4および
図5を用いて後述する。
【0018】
(ロボット10の構成例)
ロボット10の構成例について、より具体的に説明する。ロボット10は、たとえば、水平多関節型のスカラ型アームと、昇降機構とを有する水平多関節ロボットである。
図1に示すように、ロボット10は、本体部10aと、昇降部10bと、第1アーム11と、第2アーム12と、ハンド13とを備える。本体部10aは、たとえば、基板500の搬送室の床面などに固定され、昇降部10bを昇降させる昇降機構を内蔵する。
【0019】
昇降部10bは、昇降軸A0に沿って昇降するとともに、第1アーム11の基端側を第1軸A1まわりに回転可能に支持する。なお、昇降部10b自体を第1軸A1まわりに回転させることとしてもよい。また、第1軸A1を、昇降部10bの上面におけるY軸負方向に寄せて配置することとしてもよい。第1軸A1をY軸負方向に寄せて配置することで、第1アーム11を長くすることができる。
【0020】
第1アーム11は、先端側において第2アーム12の基端側を第2軸A2まわりに回転可能に支持する。第2アーム12は、先端側においてハンド13の基端側を第3軸A3まわりに回転可能に支持する。
【0021】
このように、ロボット10は、第1アーム11、第2アーム12およびハンド13の3リンクを含んだ水平多関節ロボットである。これにより、ロボット10は、基板500を水平方向に自在に搬送することができる。
【0022】
また、ロボット10は、上記したように、昇降部10bと、昇降部10bを昇降させる本体部10aとを有している。これにより、カセット200へ多段に収容される基板500のそれぞれに対してアクセスしたり、ハンド13を下降させる動作によって収容された各基板500の有無を取得したりすることができる。なお、本体部10a、昇降部10b、第1アーム11および第2アーム12は、ハンド13を水平方向と上下方向に動作させる「動作機構」の一例に相当する。
【0023】
ハンド13は、第1フォーク部13aと、第2フォーク部13bと、基部13cとを備える。第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bは、基部13cから分岐して間隔を空けて対向するように延伸する。
【0024】
この第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bは、基板500を搬送する際、基板500を下方から支持する。なお、第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bは、たとえば接触吸着方式や非接触吸着方式、把持方式等による図示略の保持機構を有しており、この保持機構によって基板500を保持しつつ支持する。
【0025】
また、
図2に示すように、第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bにおける上面の先端側のそれぞれには、第1センサS1および第2センサS2がそれぞれ設けられる。
【0026】
第1センサS1は、カセット200やカセット200内の基板500といった対象物を検出するセンサである。第2センサS2は、ハンド13上の基板500の有無を検出するセンサ(いわゆる在荷センサ)である。
【0027】
第1センサS1および第2センサS2は、たとえば反射型レーザセンサである。第1センサS1は、XY平面に沿った水平方向へ走査線O1を照射する。第2センサS2は、Z軸方向に沿った上下方向へ走査線O2を照射する。第1センサS1および第2センサS2は、これら走査線O1,O2がカセット200やカセット200内の基板500、ハンド13に支持された基板500へ反射して戻ってくる反射光を検知することによって対象物の存否や位置を検出する。
【0028】
なお、
図2には、基部13cから2つに分岐した第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bの先端側にそれぞれ第1センサS1および第2センサS2の組が設けられている例を示しているが、この組は第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bの少なくともいずれかに設けられてもよい。一方で、ハンド13が3つ以上に分岐する場合は、分岐した各フォーク部の先端側にそれぞれ第1センサS1および第2センサS2の組が設けられてもよい。つまり、フォーク部の数と同数の第1センサS1および第2センサS2の組がハンド13に設られてもよい。
【0029】
図1の説明に戻る。コントローラ20は、ハンド13および上記動作機構を制御する。このとき、コントローラ20は、予め記憶した基板500の搬送位置のXYZ方向における各位置、すなわち各搬送位置の左右方向の位置(X軸方向の位置)、奥行き方向の位置(Y軸方向の位置)および高さ位置(Z軸方向の位置)に基づいてハンド13および上記動作機構を制御する。
【0030】
(ロボット10の教示方法の概要)
次に、このようなロボットシステム1が実行するロボット10の教示方法の概要について、
図3を用いて説明する。
図3は、ロボット10の教示方法の概要を示す図である。
【0031】
実施形態に係るロボット10の教示方法では、コントローラ20が上記した各搬送位置の左右方向の位置、奥行き方向の位置および高さ位置を予め記憶するにあたり、教示治具300を用いる。
【0032】
教示治具300は、基板500になぞらえてカセット200の各搬送位置へ設置可能な治具であり、カセット200における各搬送位置のXYZ方向の各位置について、正規位置にある基板500を規定する位置決めが可能となるように構成されている。
【0033】
図3に示すように、実施形態に係るロボット10の教示方法ではまず、この搬送位置のXYZ方向の各位置について位置決め可能な教示治具300をカセット200へ装着する(ステップSt1)。
【0034】
教示治具300は、搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部310と第2被検出部320とを備える。第1被検出部310および第2被検出部320は、教示治具300がカセット200へ装着されたときにおけるカセット200の正面に近い位置に設けられる。ハンド13の先端側に設けられた第1センサS1および第2センサS2は、ハンド13がカセット200の奥部へ到達する前に第1被検出部310および第2被検出部320を検出する。
【0035】
第1被検出部310はたとえば、教示治具300がカセット200に装着されたとき、カセット200の正面側に露出する教示治具300の前端部である。また、第2被検出部320はたとえば、ハンド13が上記動作機構によって動作中に第2センサS2によって連続して検出可能な、少なくとも互いに非平行で位置関係が既知である第1検出ライン321と第2検出ライン322(いずれも
図9以降参照)とを備えるように形成された直角二等辺三角形状の孔である。
【0036】
第2被検出部320は、ハンド13をカセット200へ進入させた際に、第2センサS2-1,S2-2の少なくともいずれかによって検出可能となるように、少なくとも1つ形成される。なお、本実施形態では、
図3に示すように、ハンド13をカセット200へ進入させた際に、第2センサS2-1,S2-2がそれぞれ検出可能な2つの第2被検出部320が形成されるものとする。
【0037】
また、第2被検出部320は、ハンド13が搬送位置に対して下側から接近したときに、この搬送位置の下側から第2センサS2によって上記した第1検出ライン321および第2検出ライン322が検出される。第1検出ライン321および第2検出ライン322の具体的な構成例については、
図9などを用いた説明で後述する。
【0038】
そして、実施形態に係るロボット10の教示方法では、コントローラ20が、ハンド13を動作させることで第1被検出部310および第2被検出部320を検出し、検出したときのハンド13の位置情報から搬送位置を算出して記憶する(ステップSt2)。
【0039】
このように、実施形態に係るロボット10の教示方法では、搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部310と第2被検出部320とを備える教示治具300を用いることとした。そして、コントローラ20は、ハンド13を動作させることで第1被検出部310および第2被検出部320を検出し、検出したときのハンド13の位置情報から搬送位置を算出して記憶することとした。
【0040】
したがって、実施形態に係るロボット10の教示方法によれば、ヒューマンエラーが入り込みにくい教示作業の自動化が図れる。これにより、基板500の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図ることができる。
【0041】
なお、搬送位置のXYZ方向の各位置について位置決めが可能である教示治具300のより具体的な構成例については、
図6~
図9などを用いた説明で後述する。
【0042】
(カセット200の構成例)
次に、
図3に示したカセット200の構成例について、
図4および
図5を用いて説明する。
図4は、カセット200の正面模式図である。また、
図5は、カセット200の上面模式図である。なお、
図5には、カセット200における基板500の受け渡し位置にあるハンド13を二点鎖線で示している。
【0043】
カセット200は、基板500を多段に収容する一般的な汎用タイプのカセットである。
図4に示すように、カセット200は、正面が開口しており、カセット200の内部における天面201と底面202との間には、基板500をそれぞれ収容可能なN段(Nは2以上の自然数)のスロットを有する。各スロットには、カセット200の奥行き方向(Y軸方向)に沿ってそれぞれ延伸する第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213が設けられる。第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213は、ハンド13によって載置される基板500を下方から支持する。
【0044】
各スロットは、基板500を載置高さ(h)でそれぞれ支持する。なお、以下の説明では、各スロットの載置高さを区別する場合に、1段目の高さを載置高さ(h1)、2段目の高さを載置高さ(h2)、N段目の高さを載置高さ(hN)のように表す場合がある。また、スロット間のピッチ(P)は等間隔であるものとする。
【0045】
第1支持部211および第2支持部212は、カセット200の内部における側面205に設けられる。また、第3支持部213は、カセット200の左右方向(X軸方向)について、第1支持部211と第2支持部212との中間位置に設けられる。すなわち、カセット200は、正面視において基板500を3箇所で支持する。なお、
図4では、第3支持部213が1つである場合を示したが、たとえば、第3支持部213を2つ以上設けることとしてもよい。
【0046】
ここで、
図5に示すように、ハンド13は、第1フォーク部13aがカセット200における第1支持部211と第3支持部213との間に、第2フォーク部13bが第2支持部212と第3支持部213との間に、それぞれ進入可能に設けられる。なお、上記したように、第3支持部213を2つ以上設ける場合には、各支持部の間にそれぞれ挿入可能な数のフォーク部をハンド13に設けることとしてもよい。一方で、支持部の数とフォーク部の数は必ずしも連動させる必要はない。たとえば、
図5の例において、第1支持部211と第3支持部213との間や、第2支持部212と第3支持部213との間に、2つ以上のフォーク部を挿入可能なハンド13を設けることとしてもよい。
【0047】
このように、カセット200は、カセット200の正面204から視て基板500の両端をそれぞれ支持する第1支持部211および第2支持部212を備える。また、カセット200は、第1支持部211および第2支持部212の中間位置で基板500を支持する第3支持部213を備える。
【0048】
また、ハンド13は、カセット200における第1支持部211と第3支持部213との間に進入可能な第1フォーク部13aと、第2支持部212と第3支持部213との間に進入可能な第2フォーク部13bとを少なくとも備える。そして、第1センサS1および第2センサS2は、ハンド13における第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bの先端側にそれぞれ設けられる。
【0049】
(教示治具300の構成例)
次に、教示治具300の構成例について、
図6~
図9を用いて説明する。
図6は、教示治具300が装着された状態のカセット200の正面模式図である。また、
図7は、教示治具300が装着された状態のカセット200の上面模式図である。また、
図8は、教示治具300の背面模式図である。また、
図9は、教示治具300の上面模式図である。
【0050】
なお、
図6では、教示治具300が、載置高さ(h3)である搬送位置に装着されている例を示しているが、説明の便宜上のものであり、いずれの載置高さ(h)であってもよい。
【0051】
図6に示すように、教示治具300は、基部301と、当接部302とを備える。基部301は、薄板状に形成された教示治具300のベース部分であり、基板500の一部に相当する。
図7に示すように、基部301は、左右方向(X軸方向)については、基板500と同等の幅寸法を有し、奥行き方向(Y軸方向)については、たとえば基板500の半分程度の長さ寸法を有している。この奥行き方向(Y軸方向)の長さは、教示治具300がカセット200に収容できる寸法であれば任意の長さでよい。なお、かかる長さが短い方が、教示治具300を軽量化でき、ハンドリングがしやすくなるという利点がある。
【0052】
教示治具300は、基板500と同等の幅寸法を有する基部301が、左右方向(X軸方向)の両端を第1支持部211および第2支持部212によって支持されることにより、上下方向(Z軸方向)について位置決めされる。
【0053】
当接部302は、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213のうちの少なくとも2つの支持部と接触する教示治具300の部位である。教示治具300は、この当接部302によって水平方向と上下方向に位置が決定され、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213に対して脱着可能に設けられる。
【0054】
また、当接部302は、カセット200に対する教示治具300の位置を調整可能となるように、少なくとも一部が教示治具300の基部301に対して可動するように設けられる。
【0055】
たとえば当接部302は、
図6および
図7に示すように、第3支持部213が嵌まり込むことによって、カセット200の正面204に対する左右方向(X軸方向)についての教示治具300の位置を少なくとも決定する凹部302aを備える。
【0056】
凹部302aは、第3支持部213が嵌まり込むように形成された溝である。凹部302aは、
図7に示すように、たとえば第3支持部213の先端が押し当てられることによって教示治具300が奥行き方向(Y軸方向)について位置決めされる長さ寸法で形成される。
【0057】
また、凹部302aは、
図8に示すように、XZ平面で切断した断面視で、頂点部分において第3支持部213と接触する三角形状に形成される。なお、この断面視形状は、三角形状に限らなくともよい。また、凹部302aは、矢印a1に示すように、基部301に対し可動することで、この凹部302aの窪みの深さを変更可能に設けられる。
【0058】
図6および
図7の説明に戻る。また、教示治具300は、上記した第1被検出部310を備える。第1被検出部310は、カセット200の正面側から露出した基部301の端面および当接部302の端面からなる教示治具300の前端部である。
【0059】
また、教示治具300は、上記した第2被検出部320を備える。第2被検出部320は、教示治具300がカセット200へ装着されたときに、第1支持部211と第3支持部213の間および第2支持部212と第3支持部213の間の少なくとも一方に、かつ、カセット200の正面204に近い位置に設けられる。
【0060】
また、第2被検出部320は、基部301から当接部302まで貫く貫通孔として形成される。ここで、
図9に示すように、第2被検出部320は、第1検出ライン321と、第2検出ライン322と、第3ライン323とからなる直角二等辺三角形状に形成される。
【0061】
第1検出ライン321は、第1被検出部310のエッジと平行に形成される。第3ライン323は、この第1検出ライン321と直角に且つ等辺となるように形成される。そして、第2検出ライン322は、第1検出ライン321および第3ライン323を結ぶ斜辺となるように形成される。したがって、第1検出ライン321および第2検出ライン322は、少なくとも互いに非平行である。
【0062】
また、第1検出ライン321および第2検出ライン322は、ハンド13が上記動作機構によって動作中に第2センサS2によって連続して検出可能となるように形成される。
【0063】
このような第2被検出部320の形やサイズ、第2被検出部320の位置、第1検出ライン321と第2検出ライン322との位置関係、第1被検出部310との位置関係などは、予めコントローラ20が教示治具300に関する情報として記憶している。したがって、第1検出ライン321および第2検出ライン322は、少なくとも互いに位置関係が既知である。
【0064】
なお、本実施形態では、第2被検出部320が直角二等辺三角形状の貫通孔であるとしたが、第2センサS2によって少なくとも第1検出ライン321および第2検出ライン322が検出可能な形状の部材であればよい。したがって、第2被検出部320は、たとえば第1検出ライン321および第2検出ライン322のみを表すスリットなどとして設けられてもよい。また、第2被検出部320は、直角二等辺三角形状の貫通孔でなく、たとえば直角二等辺三角形状の突出部として設けられてもよい。
【0065】
(教示治具300の検出方法)
コントローラ20は、このような構成の教示治具300がカセット200の所定の搬送位置に装着された状態において、ハンド13を動作させることで、第1センサS1および第2センサS2によって第1被検出部310を検出し、第2センサS2によって第2被検出部320を検出し、第1被検出部310と第2被検出部320とを検出したときのハンド13の位置情報から、上記搬送位置を算出して記憶する。
【0066】
この教示治具300の検出方法について、
図10~
図15を用いて説明する。
図10~
図15は、教示治具300の検出方法の説明図(その1)~(その6)である。
【0067】
まずコントローラ20は、
図10に示すように、カセット200に対し、第1センサS1の検出可能距離までハンド13を近づけるとともに、ハンド13をカセット200の上方へ位置づける。
【0068】
そして、コントローラ20は、ハンド13を下降させる。このとき、コントローラ20は、ハンド13をZ軸方向に沿って移動させ(図中の矢印a2参照)、第1センサS1に軌跡VSに沿った垂直走査を行わせる。また、コントローラ20は、第1センサS1の走査範囲が少なくともカセット200の底面202へ到達するまでハンド13を移動させる。
【0069】
第1センサS1は、この動作により、カセット200に装着されている教示治具300の有無を検出可能である。すなわち、第1センサS1は、この動作により、カセット200に収容されている基板500の有無を検出可能である。
【0070】
そして、コントローラ20は、第1センサS1の走査結果に基づき、教示治具300が装着された教示対象となる搬送位置の高さ位置である載置高さ(h)(ここでは、載置高さ(h3))を算出する。
【0071】
つづいて、
図11に示すように、コントローラ20は、この搬送位置の高さ位置に応じてカセット200の正面204からハンド13を近づけながら、第2センサS2によって第1被検出部310を検出する。このとき、コントローラ20は、教示治具300の下側へハンド13が進入するようにハンド13を搬送位置へ近づける。そして、コントローラ20は、第1被検出部310の検出結果に基づいて搬送位置に対するハンド13の角度と奥行き方向(Y軸方向)の位置を算出する。
【0072】
具体的には、
図12に示すように、コントローラ20は、第2センサS2-1によって検出した第1被検出部310のエッジ上の検出点PY1と、第2センサS2-2によって検出した第1被検出部310のエッジ上の検出点PY2との検出タイミングを比較する。
【0073】
そして、コントローラ20は、
図12に示すようにこの検出タイミングが時点T1において同時だった場合、ハンド13のカセット200に対する角度が0である、すなわちハンド13の進行方向がカセット200の奥行き方向(Y軸方向)に平行であると判定する。
【0074】
一方、コントローラ20は、
図13に示すようにこの検出タイミングに時点T1,T2のずれがあった場合、このずれに基づいてハンド13のカセット200に対する角度θを算出する。すなわち、この場合は、コントローラ20は、ハンド13の進行方向がカセット200の奥行き方向(Y軸方向)に平行でないと判定する。なお、第1検出ライン321が第1被検出部310と平行に製作されている場合は、第1検出ライン321を第1被検出部とすることも可能である。この場合であっても、上記と同様に、第2センサS2-1,S2-2によって、第1検出ライン321をそれぞれ検出したタイミングで上記判定をすればよい。
【0075】
つづいて、コントローラ20は、ハンド13をさらにカセット200へ進入させる。そして、コントローラ20は、第2センサS2によって第2被検出部320の第1検出ライン321と第2検出ライン322とを連続的に検出する。
【0076】
なお、このとき、コントローラ20は、
図13に示したようにハンド13の進行方向がカセット200の奥行き方向(Y軸方向)に平行でないと判定した場合、ハンド13を一旦戻して平行となるようにハンド13をカセット200へ再進入させる。
【0077】
あるいは、コントローラ20は、ハンド13を一旦戻すことなく、平行でない状態でそのままハンド13をさらにカセット200へ進入させてもよい。
【0078】
ハンド13をカセット200の奥行き方向(Y軸方向)に平行な状態でカセット200へ進入させた場合、
図14に示すように、コントローラ20は、第2センサS2の走査線O2によって、たとえば軌跡Tr1,Tr2,Tr3上においてそれぞれ第1検出ライン321および第2検出ライン322を検出する。
【0079】
検出点PX11は、軌跡Tr1上の第1検出ライン321の検出点である。検出点PX12は、軌跡Tr1上の第2検出ライン322の検出点である。検出点PX21は、軌跡Tr2上の第1検出ライン321の検出点である。検出点PX22は、軌跡Tr2上の第2検出ライン322の検出点である。検出点PX31は、軌跡Tr3上の第1検出ライン321の検出点である。検出点PX32は、軌跡Tr3上の第2検出ライン322の検出点である。
【0080】
ここで、軌跡Tr1が、ハンド13の左右方向(X軸方向)における正規位置を示すものであるとする。コントローラ20は、上記した教示治具300に関する情報において、第2被検出部320の形やサイズの他、上記した正規位置である軌跡Tr1上の検出点PX11,PX12間の距離D1を予め記憶している。
【0081】
したがって、コントローラ20は、実際に検出された検出点間の距離を算出し、この算出した距離と距離D1とを比較することで、搬送位置に対するハンド13の左右方向(X軸方向)のずれを把握することができる。
【0082】
コントローラ20は、たとえば軌跡Tr2上において検出点PX21,PX22が検出され、その間の距離D2を算出した場合、この距離D2と距離D1との差に基づいて搬送位置に対するハンド13の左方向(X軸の負方向)のずれを算出する。同様に、コントローラ20は、たとえば軌跡Tr3上において検出点PX31,PX32が検出され、その間の距離D3を算出した場合、この距離D3と距離D1との差に基づいて搬送位置に対するハンド13の右方向(X軸の正方向)のずれを算出する。
【0083】
また、ハンド13をカセット200の奥行き方向(Y軸方向)に平行でない状態でカセット200へ進入させた場合、
図15に示すように、コントローラ20は、たとえば仮想的に第2被検出部320を角度θ分回転させ、回転させた第2被検出部320上において各検出点を検出する。そして、コントローラ20は、その検出点間の距離に基づいて搬送位置に対するハンド13の左右方向(X軸方向)のずれを算出する。
【0084】
以上から、コントローラ20は、教示治具300が装着されたカセット200の所定の搬送位置に対するハンド13の高さ位置、奥行き方向の位置および左右方向の位置を算出することができる。そして、コントローラ20は、算出したこれら各位置を記憶し、ロボット10に実際に基板500を搬送させる際に、この記憶した情報に基づいてたとえばロボット10の動作を適宜補正する。
【0085】
(当接部302の変形例)
次に、当接部302のいくつかの変形例について、
図16~
図19を用いて説明する。
図16~
図19は、当接部302の変形例を示す図(その1)~(その4)である。
【0086】
図16に示すように、当接部302は、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213の少なくともいずれかに対し、カセット200の正面204に対する左右方向(X軸方向)について押し当て可能に設けられた第1凸部302bを備えるようにしてもよい。
【0087】
また、
図17に示すように、当接部302は、第1支持部211および第2支持部212の先端に対し、カセット200の正面204に対する奥行き方向(Y軸方向)について押し当て可能に設けられた第2凸部302cを備えるようにしてもよい。
【0088】
また、
図18に示すように、上記した凹部302aおよび第1凸部302bは適宜組み合わされてもよい。このとき、同図に示すように、第1凸部302bは、第1支持部211および第2支持部212に対してそれぞれ押し当て可能となるように、2以上設けられてもよい。
【0089】
また、
図19に示すように、上記した第2凸部302cはさらに、第3支持部213の先端に対しても、奥行き方向(Y軸方向)について押し当て可能に設けられてもよい。
【0090】
(コントローラ20の構成例)
次に、
図1に示したロボットシステム1の構成について
図20を用いて説明する。
図20は、ロボットシステム1のブロック図である。上記したように、ロボットシステム1は、ロボット10と、ロボット10の動作を制御するコントローラ20とを備える。なお、ロボット10の構成例については
図1を用いて既に説明したため、ここでは、コントローラ20の構成例について主に説明することとする。
【0091】
図20に示すように、コントローラ20は、記憶部21と、制御部22とを備える。記憶部21は、たとえば、RAM(Random Access Memory)やHDD(Hard Disk Drive)に対応する。記憶部21は、教示動作情報21aと、治具情報21bと、搬送位置情報21cとを記憶する。
【0092】
教示動作情報21aは、ロボット10に対して基板500の搬送位置を教示する際の、ハンド13の移動軌跡をはじめとするロボット10の動作を規定する「ジョブ」を含んだ情報である。教示動作情報21aは、カセット200の外形に関する情報を含んでいてもよい。
【0093】
治具情報21bは、上記した教示治具300に関する情報である。治具情報21bは、教示治具300の形やサイズ、第2被検出部320の形やサイズ、第2被検出部320の位置、第1検出ライン321と第2検出ライン322との位置関係、第1被検出部310との位置関係、上記した正規位置である軌跡Tr1上の検出点PX11,PX12間の距離D1等、教示治具300に関する種々の情報を含む。
【0094】
搬送位置情報21cは、上記した第1被検出部310および第2被検出部320の検出結果に基づいて算出されるカセット200の所定の搬送位置に対するハンド13の高さ位置、奥行き方向の位置および左右方向の位置を含む情報である。
【0095】
制御部22は、動作制御部22aと、検出部22bと、算出部22cとを備える。また、コントローラ20は、ロボット10に接続される。
【0096】
ここで、コントローラ20は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM、HDD、入出力ポートなどを有するコンピュータや各種の回路を含む。
【0097】
コンピュータのCPUは、たとえば、ROMに記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、制御部22の動作制御部22a、検出部22bおよび算出部22cとして機能する。また、制御部22の動作制御部22a、検出部22bおよび算出部22cの少なくともいずれか一つまたは全部をASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成することもできる。
【0098】
なお、コントローラ20は、有線や無線のネットワークで接続された他のコンピュータや可搬型記録媒体を介して上記したプログラムや各種情報を取得することとしてもよい。
【0099】
動作制御部22aは、教示動作情報21aや、検出部22bによる検出結果に基づいてロボット10の動作制御を行う。具体的には、動作制御部22aは、記憶部21に記憶された教示動作情報21aに基づいてロボット10の各軸に対応するアクチュエータに指示することで、ロボット10に基板500の搬送に関する教示動作を行わせる。また、動作制御部22aは、アクチュエータにおけるエンコーダ値を用いたフィードバック制御などを行うことによってロボット10の動作精度を向上させる。
【0100】
検出部22bは、第1センサS1および第2センサS2の走査結果に基づいて、教示治具300の有無や、教示治具300の載置高さ(h)や、第1被検出部310や、第2被検出部320の第1検出ライン321および第2検出ライン322等を検出する。
【0101】
算出部22cは、検出部22bの検出結果および治具情報21bに基づいて、教示対象である搬送位置の高さ位置、搬送位置に対するハンド13の角度と奥行き方向の位置、搬送位置に対するハンド13の左右方向の位置等を算出し、算出結果を搬送位置情報21cへ記録する。
【0102】
(処理手順)
次に、ロボットシステム1が実行する処理の処理手順について、
図21を用いて説明する。
図21は、ロボットシステム1が実行する処理手順を示すフローチャートである。
【0103】
なお、同図は、主にコントローラ20が実行する処理手順を示しており、この処理手順が実行される前段階で、教示治具300は、カセット200の教示対象となる搬送位置に対し、当接部302によって位置決めされて装着済みであるものとする。また、同図に示す処理手順は、1つの搬送位置に対する1回分の処理手順を示している。
【0104】
図21に示すように、まずコントローラ20は、ハンド13をカセット200の上方から下方へ向けて動作させ、第1センサS1によって第1被検出部310の高さ位置を検出する(ステップSt101)。そして、コントローラ20は、その検出結果から搬送位置の高さ位置を算出する(ステップSt102)。
【0105】
つづいて、コントローラ20は、算出した高さ位置に応じてハンド13を搬送位置へ近づける(ステップSt103)。このとき、コントローラ20は、教示治具300の下側へハンド13が進入するようにハンド13を搬送位置へ近づける。
【0106】
そして、コントローラ20は、第2センサS2によって第1被検出部310を検出する(ステップSt104)。そして、コントローラ20は、その検出結果から搬送位置に対するハンド13の角度と奥行き方向の位置を算出する(ステップSt105)。
【0107】
つづいて、コントローラ20は、算出したハンド13の角度と奥行き方向の位置に応じてハンド13を搬送位置へ近づける(ステップSt106)。そして、コントローラ20は、第2センサS2によって第2被検出部320の第1検出ライン321および第2検出ライン322を連続的に検出する(ステップSt107)。
【0108】
そして、コントローラ20は、第1検出ライン321および第2検出ライン322の各検出点間の距離から搬送位置に対するハンド13の左右方向の位置を算出する(ステップSt108)。
【0109】
そして、コントローラ20は、ステップSt102,St105,St108で算出した高さ、奥行き方向、左右方向の各位置を記憶し(ステップSt109)、処理を終了する。
【0110】
(粗ティーチングについて)
ところで、ロボットシステム1は、通常は教示動作情報21aなどにカセット200の各種の寸法等の外形に関する情報や、この外形と搬送位置(すなわち、各スロット)の位置関係を含む教示対象に関する情報を予め記憶している。この教示対象に関する情報がない場合は、コントローラ20は、第1センサS1によって検出するカセット200の外形の特徴に基づいて、大まかにカセット200に対する搬送位置の位置関係を把握する「粗ティーチング」とも言える教示方法を実行することができる。
【0111】
図22~
図25は、粗ティーチングの説明図(その1)~(その4)である。粗ティーチングでは、コントローラ20は、XYZの各軸方向について、第1センサS1によって大まかにカセット200の外形の特徴を把握するべくハンド13を動作させる。
【0112】
X軸方向については、
図22に示すように、コントローラ20は、ハンド13をカセット200の左右方向(X軸方向)に沿って動作させ、第1センサS1にカセット200の対向する側壁250のうちの一方の側壁250の外側面250aと他方の側壁250の内壁面250bとを検出させる。これにより、コントローラ20は、X軸方向におけるカセット200の大まかな外形の特徴を把握する。
【0113】
また、Y軸方向については、
図23に示すように、コントローラ20は、カセット200を正面204から視て観測される天板210の端面を第1センサS1に検出させる。なお、Y軸方向については、
図22に示したX軸方向の検出に先立って行っておく必要がある。X軸方向の検出は、このY軸方向の検出結果に基づいて行うこととなる。このことは、カセット200へハンド13を接触させないためにも重要な前提となる。このY軸方向については、
図24に示すように、コントローラ20は、第1センサS1の走査線O1の検出可能距離dまでハンド13を奥行き方向(Y軸方向)に沿って動作させてカセット200に近づけることによって第1センサS1に天板210の端面を検出させる。検出点は、たとえば
図23に示す2つの検出点PYのようになる。これにより、コントローラ20は、Y軸方向におけるカセット200の大まかな外形の特徴を把握する。
【0114】
また、Z軸方向については、
図25に示すように、コントローラ20は、既に
図10に示したのと同様に、ハンド13をカセット200の上下方向(Z軸方向)に沿って動作させ、第1センサS1にカセット200の天板210の外側面210aを検出させる。これにより、コントローラ20は、Z軸方向におけるカセット200の大まかな外形の特徴を把握する。
【0115】
そして、コントローラ20は、把握したカセット200のXYZの各軸方向における外形の特徴に基づいて、大まかなカセット200に対する各スロット(すなわち、各搬送位置)の位置関係を推定する。そして、コントローラ20は、推定した位置関係に基づいて、各搬送位置を教示対象とするロボット10の教示を行うこととなる。
【0116】
このような粗ティーチングを可能とすることにより、大まかなカセット200の外形の特徴に基づくオートティーチングが可能となる。
【0117】
(まとめ)
上述してきたように、実施形態の一態様に係るロボットシステム1は、基板500を搬送するロボット10(「基板搬送ロボット」の一例に相当)に基板500の搬送位置を教示する基板搬送ロボットシステムである。ロボット10は、基板500を搬送するハンド13と、ハンド13を水平方向と上下方向に動作させる動作機構と、ハンド13に設けられ、上記水平方向へ走査線O1を照射する第1センサS1および上記上下方向へ走査線O2を照射する第2センサS2と、ハンド13および上記動作機構を制御するコントローラ20と、上記搬送位置に設けられ、上記搬送位置からの位置と互いの位置関係が既知である第1被検出部310と第2被検出部320と、を備える。コントローラ20は、ハンド13を動作させることで、第1センサS1および第2センサS2によって第1被検出部310を検出し、第2センサS2によって第2被検出部320を検出し、第1被検出部310と第2被検出部320とを検出したときのハンド13の位置情報から、上記搬送位置を算出して記憶する。
【0118】
このように、第1センサS1および第2センサS2による第1被検出部310および第2被検出部320の検出結果に基づいて教示を行うことで、ヒューマンエラーが入り込みにくい教示作業の自動化が図れる。これにより、基板500の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図ることができる。
【0119】
また、第2被検出部320は、ハンド13が上記動作機構によって動作中に第2センサS2によって連続して検出可能な、少なくとも互いに非平行で位置関係が既知である第1検出ライン321と第2検出ライン322とを備える。
【0120】
このように、水平方向の位置ずれ量を算出可能にする第1検出ライン321と第2検出ライン322とを備える第2被検出部320の検出結果に基づいて教示を行うことで、ヒューマンエラーが入り込みにくい教示作業の自動化が図れる。これにより、基板500の搬出入における教示作業の効率化および高精度化を図ることができる。
【0121】
また、第2被検出部320は、ハンド13が上記搬送位置に対して下側から接近したときに、この搬送位置の下側から第2センサS2によって第1検出ライン321および第2検出ライン322が検出される。
【0122】
これにより、上下方向を走査方向とする第2センサS2、すなわちハンド13上の基板500の有無を検出する在荷センサなどの既存のセンサを用いて、新たに教示専用のセンサを設けることなく教示作業を行うことができる。
【0123】
また、第1被検出部310および第2被検出部320は、教示治具300に設けられ、教示治具300は、上記搬送位置に設置可能である。
【0124】
これにより、上記搬送位置に設置可能な教示治具300を用いて教示作業の効率化を図ることができる。
【0125】
また、教示治具300は、基板500を収容可能なカセット200に装着可能である。
【0126】
このように、カセット200に装着可能な教示治具300を用いることで容易に教示作業を行うことができる。
【0127】
また、カセット200は、カセット200の正面204から視て基板500の両端をそれぞれ支持する第1支持部211および第2支持部212と、カセット200の正面204から視て第1支持部211および第2支持部212の間で基板500を支持する第3支持部213とを備える。教示治具300は、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213の少なくともいずれかに装着可能である。
【0128】
このように、一般的な汎用タイプのカセット200に装着可能な教示治具300を用いることで容易に教示作業を行うことができる。
【0129】
また、第1被検出部310は、教示治具300がカセット200に装着されたとき、カセット200の正面側に露出する教示治具300の前端部である。
【0130】
これにより、教示治具300の前端部を第1被検出部310とした検出結果に基づいて基板500の搬出入における教示作業を行うことができる。
【0131】
また、第1センサS1は、ハンド13が上記動作機構によって上記上下方向に動作した際に、カセット200に収容されている基板500の有無をさらに検出可能である。第2センサS2は、ハンド13に基板500が支持された際の、基板500の有無をさらに検出可能である。
【0132】
これにより、基板500の有無に基づくマッピングを行うことが可能となる。
【0133】
また、第2センサS2は、ハンド13において、所定距離離れた位置に少なくとも2か所設けられる。
【0134】
このように、第2センサS2が2か所以上あることで、第1被検出部310を検出したときのセンサの検出タイミングずれが検出でき、その後、第2被検出部320に対して所定の角度でハンド13が近づくことができる。
【0135】
また、第1センサS1および第2センサS2は、ハンド13の先端側に設けられる。第1被検出部310および第2被検出部320は、教示治具300がカセット200へ装着されたときにおけるカセット200の正面204に近い位置に設けられる。第1センサS1および第2センサS2は、ハンド13がカセット200の奥部へ到達する前に第1被検出部310および第2被検出部320を検出する。
【0136】
これにより、ハンド13をカセット200の奥部まで進入させることなく安全に教示作業を行うことができる。
【0137】
また、ハンド13は、第1支持部211と第3支持部213の間、第2支持部212と第3支持部213の間のそれぞれに進入可能な第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bを少なくとも備える。第1フォーク部13aおよび第2フォーク部13bは、それぞれ第1センサS1および第2センサS2を有する。第2被検出部320は、教示治具300がカセット200へ装着されたときに、第1支持部211と第3支持部213の間および第2支持部212と第3支持部213の間の少なくとも一方に、かつ、カセット200の正面204に近い位置に設けられる。また、第1フォーク部13aが第1支持部211と第3支持部213の間に進入し、第2フォーク部13bが第2支持部212と第3支持部213の間に進入する。
【0138】
これにより、カセット200の正面204に近い位置、すなわち開口部付近で早期に第2被検出部320の検出結果に基づく水平方向の位置ずれ量を算出することが可能となる。
【0139】
また、教示治具300は、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213のうちの少なくとも2つの支持部と接触する当接部302によって上記水平方向と上記上下方向に位置が決定され、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213に対して脱着可能に設けられる。
【0140】
これにより、カセット200の所定の搬送位置に対して理想位置にある基板500になぞらえた教示治具300を用いて教示作業の高精度化を図ることができる。
【0141】
また、当接部302は、カセット200に対する教示治具300の位置を調整可能となるように、少なくとも一部が教示治具300の基部301に対して可動するように設けられる。
【0142】
これにより、位置調整が可能なので、カセット200の内部形状(各支持部の配置や形状等)に依らず教示治具300を正しい位置に精度よく配置することができる。
【0143】
また、当接部302は、第3支持部213が嵌まり込むことによって、カセット200の正面204に対する左右方向についての教示治具300の位置を少なくとも決定する凹部302aを備える。凹部302aはさらに、この凹部302aの窪みの深さを変更可能に設けられる。
【0144】
このように、第3支持部213がある中央位置で固定することで教示治具300を水平方向について精度高く位置決めすることができる。また、中央位置はカセット200に依らず汎用性が高い。また、第3支持部213はバー形状である確率が高く、溝形状も高い汎用性を持たせられる可能性がある。また、構造がシンプルである。また、窪みの深さを可変とすることで、第3支持部213の形状に応じて教示治具300が固定されやすくすることができる。
【0145】
また、凹部302aは、第3支持部213の先端に対し、カセット200の正面204から視た奥行き方向について押し当て可能に形成されることで、上記奥行き方向についての教示治具300の位置を少なくとも決定する。
【0146】
これにより、シンプルな構造で教示治具300を奥行き方向について精度高く位置決めすることができる。
【0147】
また、当接部302は、第1支持部211、第2支持部212および第3支持部213の少なくともいずれかに対し、カセット200の正面204に対する左右方向について押し当て可能に設けられた第1凸部302bを備える。
【0148】
これにより、各支持部の撓み影響を受けにくくしつつ、教示治具300を左右方向について精度高く位置決めすることができる。また、位置調整が可能なので、カセット200の様々な内部形状(各支持部の配置や形状等)に追従でき、教示治具300を左右方向について精度高く位置決めすることができる。
【0149】
また、当接部302は、第1支持部211および第2支持部212の先端に対し、カセット200の正面204に対する奥行き方向について押し当て可能に設けられた第2凸部302cを備える。
【0150】
これにより、各支持部の撓み影響を受けにくくしつつ、教示治具300を奥行き方向について精度高く位置決めすることができる。また、位置調整が可能なので、カセット200の様々な内部形状(各支持部の配置や形状等)に追従でき、教示治具300を奥行き方向について精度高く位置決めすることができる。
【0151】
また、第2凸部302cはさらに、第3支持部213の先端に対し、上記奥行き方向について押し当て可能に設けられる。
【0152】
このように、第1支持部211および第2支持部212だけでなく第3支持部213まで含めた奥行き方向への押し当てを行うことにより、各支持部の撓み影響を受けにくくしつつ、教示治具300を奥行き方向についてより精度高く位置決めすることができる。
【0153】
また、コントローラ20は、ハンド13を動作させ、第1センサS1によって、第1被検出部310の高さ位置を検出したときの情報から上記搬送位置の高さ位置を算出する。また、コントローラ20は、ハンド13を上記搬送位置の高さ位置に応じて上記搬送位置へ近づけながら、第2センサS2によって第1被検出部310を検出して、上記搬送位置に対するハンド13の角度と奥行き方向の位置を算出する。また、コントローラ20は、ハンド13をハンド13の角度と奥行き方向の位置に応じて上記搬送位置へ近づけながら、第2センサS2によって第2被検出部320の第1検出ライン321と第2検出ライン322とを連続的に検出する。また、コントローラ20は、第1検出ライン321および第2検出ライン322の各検出点間の距離から上記搬送位置に対するハンド13の左右方向の位置を算出する。また、コントローラ20は、上記高さ位置と上記奥行き方向の位置と上記左右方向の位置とを記憶する。
【0154】
これにより、第1センサS1および第2センサS2の検出結果に基づいて搬送位置を効率よくかつ精度高く教示することが可能となる。
【0155】
なお、上述した実施形態では、ロボット10の動作機構は、水平多関節型のスカラ型アームおよびこれを昇降させる昇降機構である場合を例示したが、動作機構の構成は、かかる例に限られない。たとえば、動作機構は、
図1に示したロボット10よりも軸数が少ないロボットと、このロボットをカセット200の上下方向(Z軸方向)に沿って昇降させる昇降機構と、左右方向(X軸方向)または奥行き方向(Y軸方向)に沿って移動させる移動機構との組み合わせなどによって実現されてもよい。
【0156】
また、上述した実施形態では、基板500が矩形状のガラス基板などである例を挙げたが、基板500は、外形が円形であるウェハや、任意の形状および任意の材料の薄板であってもよい。この場合、教示治具300は、基板500の形状に応じて搬送位置のXYZ方向の各方向について位置決め可能となるように適宜形成されればよい。
【0157】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0158】
1 ロボットシステム
10 ロボット
10a 本体部
10b 昇降部
11 第1アーム
12 第2アーム
13 ハンド
13a 第1フォーク部
13b 第2フォーク部
13c 基部
20 コントローラ
21 記憶部
21a 教示動作情報
21b 治具情報
21c 搬送位置情報
22 制御部
22a 動作制御部
22b 検出部
22c 算出部
200 カセット
211 第1支持部
212 第2支持部
213 第3支持部
300 教示治具
301 基部
302 当接部
302a 凹部
302b 第1凸部
302c 第2凸部
310 第1被検出部
320 第2被検出部
321 第1検出ライン
322 第2検出ライン
323 第3ライン
500 基板
S1 第1センサ
S2 第2センサ