(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078587
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
B65D 6/18 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B65D6/18 Z
B65D6/18 M
B65D6/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191036
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【弁理士】
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 香奈
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA03
3E061CA01
3E061DB17
(57)【要約】
【課題】扉収容空間に収納されている側壁兼用扉を容易に引き出すことが可能な容器を提供する。
【解決手段】本開示の容器10は、全体が箱形をなし、側壁の1つが、扉に兼用される側壁兼用扉30になっていて、その側壁兼用扉30は、基端側を中心に外側に回動操作されて水平姿勢にされてからスライド操作されて底面12Aの下方の扉収容空間11Kに収容される。そして、その側壁兼用扉30の先端側の内面には、扉収容空間11Kに収容されている側壁兼用扉30を引き出すために指先が掛けられる内側指掛部72が設けられている。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が箱形をなして底壁と複数の側壁とを有し、前記複数の側壁には、扉に兼用される側壁兼用扉が含まれ、底面の下方には、前記側壁兼用扉を収容するための扉収容空間が設けられ、前記側壁兼用扉は、基端側を中心に外側に回動操作されて水平姿勢にされてからスライド操作されて前記扉収容空間に収容される容器において、
前記側壁兼用扉の先端側の内面には、前記扉収容空間に収容されている前記側壁兼用扉を引き出すために指先が掛けられる内側指掛部が設けられている容器。
【請求項2】
前記側壁兼用扉には、容器の内外を区画する主板部と、前記主板部の一部が外側に膨らみかつ内側に凹んでなる内側凹部とが備えられ、
前記内側凹部の内面が、前記内側指掛部になっている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁兼用扉には、容器の内外を区画する主板部と、前記側壁兼用扉の先端《側》で横方向に延びかつ前記主板部から外側に張り出す扉先端側リブと、前記主板部のうち前記扉先端側リブに沿った部分が外側に膨らみかつ内側に凹んでなる内側凹部と、が備えられ、
前記内側凹部のうち前記扉先端側リブにて形成される内面の一部が前記内側指掛部になっている請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記側壁兼用扉には、容器の内外を区画する主板部と、前記側壁兼用扉の先端《側》で横方向に延びかつ前記主板部と直交する扉先端側リブとが含まれ、
前記扉先端側リブの少なくとも一部は、前記主板部から内側に突出して前記内側指掛部になっている請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記扉先端側リブには、前記側壁兼用扉の外側に突出する外側突出部が含まれ、
前記外側突出部の先端《側》から前記側壁兼用扉の基端側に向かって張り出す指掛突部を備える請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記側壁兼用扉の外面には、前記側壁兼用扉が起立姿勢であるときに、下方から指先を掛けることが可能な外側指掛部が設けられ、
前記内側指掛部と前記外側指掛部との何れか一方の指掛部が、前記側壁兼用扉の横方向の中央に配置され、他方の指掛部が前記一方の指掛部の両側に配置されている請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記側壁兼用扉を前記扉収容空間に収容された状態に保持する扉保持部を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全体が箱形をなし、複数の側壁に扉に兼用される側壁兼用扉が含まれている容器に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の容器として、側壁兼用扉が基端側を中心に外側に回動して水平姿勢にされてから、底面の下方に設けられた扉収容空間にスライド挿入されるものが知られている。また、この容器には、側壁兼用扉の上面から突出する突片状の摘み部が備えられている。そして、扉収容空間に収容された側壁兼用扉を引っ張り出す際には、摘み部が上下から挟まれるように摘ままれて引っ張られる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-161258号公報(
図2,7、段落[0058])
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の容器は、摘み部を摘まむ力が弱いと指が滑って、側壁兼用扉を引っ張る作業が困難になるという問題がある。これに対し、扉収容空間に収容されている側壁兼用扉を容易に引き出すことが可能な容器の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の容器は、全体が箱形をなして底壁と複数の側壁とを有し、前記複数の側壁には、扉に兼用される側壁兼用扉が含まれ、底面の下方には、前記側壁兼用扉を収容するための扉収容空間が設けられ、前記側壁兼用扉は、基端側を中心に外側に回動操作されて水平姿勢にされてからスライド操作されて前記扉収容空間に収容される容器において、前記側壁兼用扉の先端側の内面には、前記扉収容空間に収容されている前記側壁兼用扉を引き出すために指先が掛けられる内側指掛部が設けられている容器である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の容器では、指先を掛けることが可能な内側指掛部が、側壁兼用扉の先端側の内面に配置されている。そして、その側壁兼用扉の内面は、側壁兼用扉が扉収容空間に収容された状態で上を向くので、内側指掛部に対して上方から指を掛けて手前に引いて、側壁兼用扉を扉収容空間から引き出すことができる。これにより、本開示の容器では、摘み部を摘まんで引っ張る従来のものに比べて指が滑り難くなり、扉収容空間に収容されている側壁兼用扉を容易に引き出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の一実施形態に係る、(A)容器の斜視図、(B)その容器の側壁兼用扉が水平姿勢になった状態の斜視図、
【
図2】(A)側壁兼用扉が収容された容器の斜視図、(B)折畳状態の容器の斜視図
【
図5】(A)側壁兼用扉の支持部分の分解斜視図、(B)側壁兼用扉の支持部分の斜視図
【
図6】(A)側壁兼用扉の支持部分の斜視図、(B)側壁兼用扉の支持部分の下面側の斜視図
【
図10】(A)扉側規制突部の斜視図,(B)干渉突部の斜視図
【
図11】(A)起立姿勢の側壁兼用扉の扉側規制突部と内面突部の側断面図,(B)傾斜姿勢の側壁兼用扉の扉側規制突部と内面突部の側断面図
【
図12】(A)起立姿勢の側壁兼用扉の干渉突部と本体側規制突部の側断面図,(B)傾斜姿勢の側壁兼用扉の干渉突部と本体側規制突部の側断面図
【
図13】(A)側壁兼用扉が水平姿勢の容器の側断面図、(B)側壁兼用扉が収容された容器の側断面図
【
図15】(A)側壁兼用扉とストッパとの当接状態を示す斜視図、(B)抜止係合部とストッパ壁の係合状態を示す斜視図
【
図17】側壁兼用扉が収容された容器の前端部の側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1~
図17を参照して本開示の一実施形態に係る容器10について説明する。
図1(A)に示すように、容器10は、全体が箱形(直方体状)をなしかつ、側壁のうちの1つが、扉に兼用される側壁兼用扉30になっている。その側壁兼用扉30は、
図1(B)に示すように基端側を中心に外側に回動し、同図に示された水平姿勢になると、
図2(A)に示すように底面12Aの下方の扉収容空間11Kに向けてスライド可能になる。また、容器10は、
図2(B)に示すように折り畳むこともできる。
【0009】
このように本実施形態の容器10は、形態を変更可能とするために、底壁12を主要部とする容器ベース11と、側壁兼用扉30と、側壁兼用扉30の両横の1対の第1側壁20と、側壁兼用扉30に対向する第2側壁25と、天井部材90とに分かれている(
図1(B参照))。
【0010】
図3に示すように、容器ベース11は、底壁12を三方から包囲する1対の第1下部側壁13と第2下部側壁14とを備える。1対の第1下部側壁13は、第1水平方向H1に平行に延び、容器10が載置される水平な床面等に対して垂直に起立する。また、第1下部側壁13は、全長に対して高さが低い扁平状になっている。
【0011】
一方、第2下部側壁14は、第1水平方向H1と直交する第2水平方向H2に延び、1対の第1下部側壁13の内側面における長手方向の一端部の間を連絡している。また、第2下部側壁14も、全長に対して高さが低い扁平状をなしている。また、第2下部側壁14の下面と1対の第1下部側壁13の下面とは面一に配置され(
図4参照)、第2下部側壁14の上面は、1対の第1下部側壁13の上面より下方に位置している(
図3参照)。
【0012】
以下の説明では、「第1水平方向H1」を「前後方向H1」といい、「第2水平方向H2」を「横方向H2」といい、さらには、前後方向H1のうち第2下部側壁14が配置されている側を「後側」、その反対側を「前側」ということとする。また、第1側壁20、第2側壁25、側壁兼用扉30の構造の説明においては、特記しない限り、それらは起立姿勢であるものとして、上下方向、前後方向H1の位置関係を説明する。
【0013】
図3に示すように、底壁12は、四角形で水平な平板状の底壁本体12Hの前縁部に補強部15、軸支持箱16等を備えた構造をなしている。底壁本体12Hは、第2下部側壁14の高さ方向における途中位置に配置され、3辺の外縁部を、1対の第1下部側壁13と第2下部側壁14の内面に接続されている。
【0014】
図4に示すように、補強部15は、横方向H2に延びかつ上下方向に扁平で、下面が開放した箱形構造をなしている。また、補強部15は、底壁本体12Hの前縁部のうち両端部を除く全体の前方に位置する。そして、
図17に示すように、補強部15の後側の側壁が底壁本体12Hの前端から上方に直角曲げされた状態になっている。また、補強部15の前側の側壁の下端部は、底壁本体12Hの上面より上方に位置している。なお、
図3に示すように、補強部15の前面は、1対の第1下部側壁13の前端寄り位置に配置され、それより僅かに後方に底壁本体12Hの前端が位置している。
【0015】
図4に示すように、補強部15のうち底壁本体12Hの前端から上方に直角曲げされた壁部の両横方向H2の延長上には、補強部15と第1下部側壁13とを連絡する1対のサイド連絡壁18が設けられている(
図4には、一方のサイド連絡壁18のみが示されている)。
図5(A)に示すように、サイド連絡壁18は、補強部15より底壁12から高く突出しかつ、補強部15側の端部が前側に段付き状に突出して肉厚になっている。
【0016】
軸支持箱16は、補強部15の前述の肉厚部と、それに前側から対向する対向壁16Dと、対向壁16Dとサイド連絡壁18の肉厚部の上縁部同士の間を連絡する天井壁16Eと、対向壁16Dとサイド連絡壁18の肉厚部とに直交し、第1下部側壁13に対向する軸支持壁16A(
図6(B)参照)とで形成されている。また、
図6(B)に示すように、軸支持壁16Aには、上側が開放したU字形の支持溝部16Bが形成され、その支持溝部16Bの下部は半円形になっている。
【0017】
図6(A)に示すように、軸支持箱16の前面は、補強部15の側面における前後方向H1の途中に位置している。そして、軸支持箱16の前面より前側に本体側規制突部17が設けられている。ここで、本開示では、容器10のうち側壁兼用扉30以外の全てが「容器本体」に相当し、その意味において、側壁兼用扉30以外の他の部位に設けられている構成要素の名前には、上述の「本体側規制突部17」のように「本体側」という文言が含まれている。
【0018】
本体側規制突部17は、例えば、水平かつ平坦で前後方向に延びる帯板状をなし、軸支持箱16の前面と補強部15の側面とにそれぞれに接続されている。また、本体側規制突部17の前端部は、断面半円形をなし、前方に張り出すように湾曲した摺接面17Gを備える。また、摺接面17Gの最前部は、補強部15の前面と同一平面内に位置しかつ、補強部15の前面の上下方向の略中央に配置されている。
【0019】
図5(A)に示すように、各第1下部側壁13には、軸支持箱16と対向する位置に支持孔59が形成されている。支持孔59は、
図6(A)に示すように、第1下部側壁13の外面側は四角形で、
図5(A)に示すように、第1下部側壁13の内面側は円形になっている。また、支持孔59の円形部分の中心軸は、前述した支持溝部16B(
図12(A)参照)の下部の半円の中心軸と一致している。
【0020】
図4に示すように、1対の第1下部側壁13の内側面における下縁部からは1対の下端リブ60が張り出している。各下端リブ60は、第1下部側壁13の長手方向の全体に亘って延びる帯板状をなし、後端部が第2下部側壁14に接続されている。なお、下端リブ60の前端寄り位置には、切欠60Aが形成されている。また、切欠60Aより前側の下端リブ60の上面は、後側に向かうに従って上るように傾斜している。
【0021】
1対の下端リブ60の後端寄り位置には、1対のストッパ61が設けられている。
図15(A)に示すように、ストッパ61は、第1下部側壁13から突出しかつ上下方向に延びるリブ状をなし、下端リブ60と底壁12との間を連絡している。また、
図4に示すように、底壁12の下面には、1対のストッパ61より僅かに前側となる位置に1対の抜止係合部62が設けられている。抜止係合部62は、
図15(B)に示すように断面が円弧形の突条形状をなして、底壁12の下面の両側部において横方向H2に延びている。なお、本実施形態では、下記付記に記載の「扉保持部」が、ストッパ61と抜止係合部62と後述の側壁兼用扉30のレール下端壁39とを含んでなる。
【0022】
図3に示すように、第2側壁25は、第2下部側壁14の全長と同じ横幅の四角形をなし、第2下部側壁14上で起立している。また、第2側壁25は、下面から垂下する複数のヒンジ脚部26を有し、それらが第2下部側壁14に設けられた複数のヒンジ凹部14Aに回動可能に係合している。また、1対の第1側壁20は、第1下部側壁13の全長と同じ横幅の四角形をなして第1下部側壁13上で起立し、第2側壁25と同様に、下面に複数のヒンジ脚部21を備えて、それらが第1下部側壁13の複数のヒンジ凹部13Aに回動可能に係合している。そして、第2側壁25を下端部を中心にして内側に略90度回動させて折り畳んでから、1対の第1側壁20を下端部を中心にして内側に略90度回動して折り畳むことができる。
【0023】
また、第2側壁25の外側部の両側部における上下の両端部には、それぞれ凹部27が形成されて、各凹部27から係合突起27Aが突出している(
図3には、一側部の1対の凹部27のみが示されている)。これらに対応して、各第1側壁20の第2側壁25側の側縁部からは、1対の突片22が内側に張り出し、それら突片22に係合孔22Aが形成されている。そして、1対の第1側壁20及び第2側壁25が起立姿勢となった状態で、凹部27に突片22が収まり、係合突起27Aが係合孔22Aに係合する。
【0024】
各第1側壁20の内側面には前端上側角部に、内面突部29が設けられている。
図7に示すように、内面突部29は、横方向H2に対して平行な第1~第6の壁部80~85を有し、それら壁部80~85には、後述する側壁兼用扉30のスライド降下を規制するための第1壁部81と、次述するように天井部材90の前方への移動を規制するための第3壁部83とが含まれている。
【0025】
具体的には、第3壁部83は、上下方向に対して平行に配置され、第1側壁20の本体20Hの上面と面一の上面を有する。また、第1壁部81は、第3壁部83の前側の斜め下方に配置され、前側に向かうに従って下るように傾斜している。そして、第3壁部83の下端部から前方に直角曲げされた第2壁部82の前端部が、第1壁部81の上端寄り位置に後側から接続され、第1壁部81の上端部が第1壁部81から突出して係止突部86になっている。また、係止突部86の表面は上方に膨らんだ湾曲形状をなし、その係止突部86の表面における後側部分は、後述する側壁兼用扉30の下向突部41が係止する係止面86Bになっている。また、第1壁部81の前面は、本体側規制面81Aをなし、係止突部86の表面における前側部分に連続している。
【0026】
また、
図11(A)に示すように、第3壁部83の上端部からは前方に第4壁部84が直角曲げされている。なお、第4壁部84は第1側壁20の本体20Hとの間には、後述する側壁兼用扉30のリブ42(
図10(B)参照)を受容するための隙間が形成されている。また、
図11(A)に示すように、第4壁部84の前端部からは、下方に第5壁部85が垂下し、係止突部86に対して上方から隙間を空けて突き合わされている。さらには、第1壁部81の下端部からは、鉛直下方に第6壁部80が垂下している。第6壁部80の前面は、本体20Hの前面より後方に位置している。
【0027】
図1に示すように、天井部材90は、四角形をなし、
図9に示すように、外縁部から垂下する外側枠壁91と、外側枠壁91より内側にずれた位置から垂下する内側枠壁92とを有する。また、外側枠壁91と内側枠壁92との間は、複数の連絡リブ93(
図11(A)参照)にて連絡されている。さらには、内側枠壁92は、外側枠壁91より下方に僅かに大きく突出している。そして、外側枠壁91及び複数の連絡リブ93が、1対の第1側壁20及び第2側壁25の上面に載置され、内側枠壁92が1対の第1側壁20及び第2側壁25の内側に嵌合される。また、
図2(B)に示すように、1対の第1側壁20及び第2側壁25が折り畳まれた状態では、外側枠壁91及び複数の連絡リブ93は、1対の第1下部側壁13の上面に載置されて、内側枠壁92が1対の第1下部側壁13の内側に嵌合される。
【0028】
また、
図1に示すように、天井部材90では、上面の外縁部より内側部分が外縁部に対して段付き状に突出して上面突部94になっている。また、天井部材90の上面の外縁部には、1対の第1側壁20の上方となる部分からそれぞれ1対ずつの上面突起95が突出している。そして、
図16に示すように、容器10を複数段積みした際に、下段側の容器10の上面突部94が上段側の容器10の1対の下端リブ60の間に嵌合すると共に、上面突起95が第1下部側壁13の下面に開放する凹部(
図4参照)の内面に係合し、容器10同士の横ずれが防がれる。なお、
図16には、複数の容器10がラック又は下駄箱等として使用されている例が示されている。
【0029】
前述した1対の支持孔59には、
図5(A)に示された回動支持部材55がそれぞれ嵌合されている。回動支持部材55は、直方体状のベース部55Aから丸棒状の回動支持部55Bが延設された構造をなし、第1下部側壁13の外側面側から支持孔59に嵌合される。また、ベース部55Aの上面には、弾性係止片55Cが備えられている。そして、回動支持部材55の弾性係止片55Cが支持孔59内に係合して抜け止めされると共に、
図6(B)に示すように、回動支持部55Bが第1下部側壁13の内側面から突出し、その先端部を支持溝部16Bに支持されている。
【0030】
各回動支持部55Bには、
図5(A)に示されたスライダ50が回動可能に支持されている。スライダ50は、回動支持部55Bが貫通する貫通孔52Aを有する回動中継部52に、スライド係合部51と回動スリーブ53とが一体形成された構造をなしている。回動中継部52の回動支持部55Bの軸方向から見た外形は、長方形の一端に半円を合体させた形状をなし、厚さ(回動支持部55Bの軸方向の大きさ)は略均一になっている。また、回動中継部52のうち半円形となった基端部から第1下部側壁13と反対側に回動スリーブ53が突出し、回動中継部52と回動スリーブ53とを前述の貫通孔52Aが貫通している。そして、
図6(B)に示すように、回動スリーブ53は、前述の軸支持壁16Aに突き合わされている。また、
図5(B)に示すように回動中継部52は、回動中心から真下に垂下した状態になると、サイド連絡壁18の前面に隣接し、そこから後方への回動が規制される。
【0031】
図5(A)に示すように、スライド係合部51は、扁平なブロック状をなし、回動中継部52の先端部から回動スリーブ53と平行かつ回動スリーブ53より長く延びている。また、スライド係合部51の厚さ方向は、回動中継部52の回転半径方向と平行になっている。さらに、スライド係合部51の幅は、回動中継部52の幅より僅かに小さく、スライド係合部51の幅方向の中心は、回動中継部52の幅方向の中心と重なる位置に配置されている。そして、回動中継部52が、回動支持部55Bから真下に垂下した状態になると、スライド係合部51は、底壁12より低い位置する。
【0032】
図1に示すように、側壁兼用扉30は、1対の第1側壁20の間に丁度収まる横幅の四角形をなしている。側壁兼用扉30のうち容器10を内外に区画する主板部31は、上辺部分の中央部を除く全体の外縁寄り位置に段差部31Dを備える。そして、主板部31のうち段差部31Dに包囲された内側部分に対し、外側部分が相対的に外側に迫り出している。また、
図9に示すように、主板部31の下縁部からは外縁リブ33が外側に張り出し、主板部31の両側縁部からは1対の外縁リブ34が外側に張り出し、さらには、主板部31の上縁部からは外縁リブ32が外側に張り出している。
【0033】
図8に示すように、上部の外縁リブ32は、下記付記に記載の「扉先端側リブ」に相当し、段差部31Dの真上位置では、内面側にも僅かに突出して1対の指掛突起32Uになっている。換言すれば、前述した段差部31Dにより側壁兼用扉30の先端部の外縁部には、横方向H2の中央部分を挟んだ両側に1対の内側凹部72Uが形成され、それら1対の内側凹部72Uの内面の一部が、外縁リブ32の一部にて形成されている。そして、1対の内側凹部72Uを形成する段差部31Dより上側部分(指掛突起32Uを含む)が1対の内側指掛部72になっている。
【0034】
また、1対の内側凹部72Uに挟まれた側壁兼用扉30の横方向H2の中央部分には、
図9に示すように外縁リブ32のうち主板部31から外側に突出する部分の先端部から真下に突出する指掛突部32Tが備えられている。そして、指掛突部32T及び外縁リブ32の中央部分が外側指掛部71になっている。なお、外縁リブ32のうち側壁兼用扉30の外側に突出している部分は、下記付記に記載の「外側突出部」に相当する。
【0035】
図8に示すように、側壁兼用扉30の内面の両側部には、1対のレール部35が設けられている。各レール部35は、主板部31から後方に張り出しかつ上下方向に延びる第1突壁36と、第1突壁36の先端から外側に直角曲げされた第2突壁37と、第2突壁37の先端から後方に突出する補強突条38とを備える。なお、第1突壁36は、各側部の段差部31Dの側方の隣りとなる位置に配置され、第2突壁37の先端は、側壁兼用扉30の側面から内側に離れた位置に配置されている。
【0036】
そして、1対のレール部35の第2突壁37と主板部31との間に形成される1対のスライド溝部35Mに、前述した1対のスライダ50のスライド係合部51がスライド可能に嵌合することで、冒頭で説明した通り、側壁兼用扉30が回動可能かつスライド可能に支持されている。
【0037】
側壁兼用扉30の両側部の下端部には、1対のレール下端壁39が設けられている。
図10(B)に示すように、レール下端壁39は、下端の外縁リブ33(
図9参照)の一部を後方に延長された突片状をなし、そのレール下端壁39の横方向H2の一端は、補強突条38より僅かに側方に突出し、他端は、第1突壁36と直交し第1突壁36から内側に突出しないようになっている。また、レール下端壁39には第2突壁37及び補強突条38も直交していて、第2突壁37と主板部31との間のスライド溝部35Mの下端がレール下端壁39によって閉塞されている。
【0038】
図1(B)に示すように、側壁兼用扉30の両側部の上端部には、1対の扉側規制突部40が設けられている。
図10(A)に示すように、扉側規制突部40は、外縁リブ32から下方にずれた位置で、主板部31から張り出す突片状をなし、その扉側規制突部40の横方向H2の一端は、側壁兼用扉30の側面と面一に配置され、他端は第1突壁36と直交し、第1突壁36から内側に突出しないようになっている。また、扉側規制突部40には第2突壁37及び補強突条38も直交していて、スライド溝部35Mの上端が扉側規制突部40によって閉塞されている。
【0039】
図10(A)に示すように、扉側規制突部40の下面の先端部には、レール部35より側方に、下向突部41が備えられている。下向突部41は、断面半円形をなして横方向H2に延びている。また、扉側規制突部40の上面における横方向H2の両側縁部からは1対のリブ42が起立して、主板部31と扉側規制突部40とを連絡している。なお、一方のリブ42は、第1突壁36の延長上に位置し、他方のリブ42は外縁リブ34の延長上に位置している。
【0040】
図8に示すように、1対のレール部35の対向面の各下端部には、干渉突部43が設けられている。
図10(B)に示すように、干渉突部43は、レール部35の第1突壁36から段付き状に突出し、前側部分は主板部31に接続されている。また、干渉突部43は、主板部31の下端から下側の段差部31Dより僅かに上方となる位置に亘って延びている。また、干渉突部43の前後方向H1の大きさは、干渉突部43の上端部では第1突壁36と同じになっていて、そこから下方に向かうに従って徐々に小さくなっている。そして、干渉突部43の後向き面が、扉側規制面44になっている。扉側規制面44は、前方に凹む凹状の湾曲面でありかつ、下方に向かうに従って前方に向かうように傾斜している。
【0041】
本実施形態の容器10の構成に関する説明は以上である。次に、この容器10の作用効果について説明する。
図1(A)に示すように起立姿勢になっている側壁兼用扉30を倒すには、掌を上に向けて下方から外側指掛部71の指掛突部32T(
図9参照)に指を掛けて手前に引けばよい。すると、側壁兼用扉30が1対のスライダ50と共に回動支持部55Bを中心に回動する。そして、側壁兼用扉30が、起立姿勢から略90度回動して
図1(B)及び
図13(A)に示された水平姿勢になったところで、スライダ50の回動中継部52が容器ベース11のサイド連絡壁18に前側から重なり(
図5(B)参照)、それ以上、スライダ50及び側壁兼用扉30は回動不能になる。
【0042】
側壁兼用扉30を扉収容空間11Kに収容するには、水平姿勢の側壁兼用扉30を後方に押せばよい。すると、1対のレール部35と1対のスライダ50との相対的なスライドにより、
図2(A)及び
図13(B)に示すように、側壁兼用扉30が後方にスライド移動する。そして、
図15(A)に示すように、側壁兼用扉30(詳細には、側壁兼用扉30の外縁リブ33)が扉収容空間11Kの奥側の1対のストッパ61に当接して収容完了位置に位置決めされる。また、側壁兼用扉30が収容完了位置に到達する直前に、側壁兼用扉30の1対のレール下端壁39が、底壁12の下面の1対の抜止係合部62と摺接してそれらの下方を通過する(
図15(B)参照)。これにより、側壁兼用扉30は収容完了位置に保持され、扉収容空間11Kに収容された側壁兼用扉30が振動等によって扉収容空間11Kから出てくるようなことが防がれる。なお、本実施形態では、側壁兼用扉30が、ストッパ61との当接により収容完了位置に位置決めされて、その収容完了位置にレール下端壁39及び抜止係合部62の係合により保持されることで、後述するように内側指掛部72が指を掛け易い位置に配置される。
【0043】
収容完了位置の側壁兼用扉30を扉収容空間11Kから引っ張り出すには、
図14に示された側壁兼用扉30の1対の内側指掛部72の何れか一方又は両方に上方又は斜め上方から、例えば人差し指又は中指の指先を掛けて手前に引けばよい。このとき、側壁兼用扉30の前端部は、
図17に示すように、底壁12より僅かに前方に張り出した状態になっている。また、底壁12の前端部には補強部15が備えられ、その補強部15の前端の下面が、底壁本体12Hの上面より上方に位置している。さらには、内側指掛部72には、補強部15の前端部の下方となる位置に、側壁兼用扉30の主板部31の内面を凹ませてなる内側凹部72Uが備えられている。しかも、外縁リブ32のうち内側凹部72Uが形成されたことで側壁兼用扉30の内面側に突出する指掛突起32Uの先端面(後面)は、外縁リブ32全体の後面より前側にずれている(
図8参照)。これらにより、側壁兼用扉30のうち1対の内側指掛部72が設けられた部分では、底壁12と扉収容空間11K内の側壁兼用扉30との間の隙間の間口が広くなっていて、容易に内側指掛部72に上方又は斜め上方から指先を掛けることができる。
【0044】
そして、内側指掛部72に指先を掛けて手前に引っ張ると、前述した抜止係合部62とレール下端壁39との係合が解除されて側壁兼用扉30が前方に移動する。そして、スライダ50のスライド係合部51が側壁兼用扉30のレール下端壁39に当接することで(
図6(B)参照)、側壁兼用扉30が
図13(A)に示された引出完了位置に位置決めされる。
【0045】
なお、水平姿勢の側壁兼用扉30は、引出完了位置以外の位置に配置されているときには、側壁兼用扉30の前端部が持ち上げられても、側壁兼用扉30のうちスライダ50より後側部分が下端リブ60と干渉するので回動しない。そして、側壁兼用扉30が引出完了位置に配置されると、そのような干渉は無くなり、側壁兼用扉30が1対のスライダ50と共に回動可能になる。
【0046】
水平姿勢の側壁兼用扉30を起立姿勢に変更するには、掌を上に向けて水平姿勢の側壁兼用扉30の下方に手を差し込んで外側指掛部71の指掛突部32Tに指先を掛けるか、内側指掛部72に人差し指又は中指の指先が掛かった状態では、例えば親指を側壁兼用扉30の外面側から外縁リブ32に掛けるかして、側壁兼用扉30の先端部を上方に移動すればよい。すると、
図12(B)に示すように、側壁兼用扉30が所定の第1角度まで起こされて傾斜姿勢になったところで、容器ベース11の1対の本体側規制突部17が側壁兼用扉30の1対の干渉突部43の扉側規制面44に突き合わされ、レール部35の長手方向H3で、各本体側規制突部17と各扉側規制面44とが重なる。そして、
図12(A)に示すように、側壁兼用扉30が第1角度以上に起こされる間は、本体側規制突部17の先端の摺接面17Gが扉側規制面44に摺接移動する。これにより、側壁兼用扉30が第1角度だけ起こされた以降は、側壁兼用扉30がスライド降下しなくなり、側壁兼用扉30の回動が安定する。また、側壁兼用扉30の回動操作に持ち上げ操作を加える必要がなくなり、側壁兼用扉30の操作が容易にもなる。
【0047】
そして、側壁兼用扉30が第1角度からさらに起こされて第2角度まで起こされた傾斜姿勢になると、
図11(B)に示すように側壁兼用扉30の1対の扉側規制突部40(下向突部41を含む)が、1対の第1側壁20の本体側規制面81Aに突き合わされ、レール部35の長手方向H3で、各扉側規制突部40と各本体側規制面81Aとが重なる。そして、側壁兼用扉30が第2角度以上に起こされる間は、扉側規制突部40の下向突部41が本体側規制面81Aに摺接しながら移動し、側壁兼用扉30のスライド降下が規制される。つまり、側壁兼用扉30が第2角度以上起こされると、レール部35の長手方向H3で、本体側規制突部17と扉側規制面44との干渉と、扉側規制突部40と本体側規制面81Aとの干渉との両方によって、側壁兼用扉30のスライド降下が規制される。
【0048】
そして、側壁兼用扉30が起立姿勢に近づいたら側壁兼用扉30を後方に押すことで、扉側規制突部40の下向突部41が係止突部86に乗り上がって扉側規制突部40が上方に弾性変形する。そして、側壁兼用扉30が起立姿勢に至ると、
図11(A)に示すように、側壁兼用扉30の主板部31が、1対の第1側壁20の内面突部29における第6壁部80の前面80Aに当接して位置決めされると共に、下向突部41が係止突部86を通過し、係止突部86の後側の係止面86Bに係合する。これにより、側壁兼用扉30が起立姿勢に保持される。また、本体側規制面81Aは、下向突部41を係止面86Bに係合させる際の誘い込み用のガイドにもなる。
【0049】
上述したように本実施形態の容器10では、指先を掛けることが可能な内側指掛部72が、側壁兼用扉30の先端側の内面に配置されている。そして、その側壁兼用扉30の内面は、側壁兼用扉30が扉収容空間11Kに収容された状態で上を向くので、内側指掛部72に対して上方から指を掛けて手前に引いて、側壁兼用扉30を扉収容空間11Kから引き出すことができる。これにより、本実施形態の容器10では、摘み部を摘まんで引っ張る従来のものに比べて指が滑り難くなり、扉収容空間11Kに収容されている側壁兼用扉30を容易に引き出すことができる。
【0050】
また、本実施形態の容器10では、側壁兼用扉30の主板部31の一部が外側に膨らみかつ内側に凹むことで内側凹部72Uが形成されている。そして、内側凹部72Uの内面が内側指掛部72になっているので、内側指掛部72に掛けた指の先端が内側凹部72Uに受容され、内側指掛部72に指を深く掛けることができる。しかも、側壁兼用扉30の外縁リブ32が側壁兼用扉30の内側に突出して内側指掛部72の一部になっているので、外縁リブ32の有効利用が図られる。
【0051】
また、外縁リブ32のうち側壁兼用扉30の主板部31から外側に突出する部分の先端部から側壁兼用扉30の基端側に指掛突部32Tが張り出して外側指掛部71になっているので、側壁兼用扉30の外側からでも、外側指掛部71の指掛突部32Tに指を掛けて側壁兼用扉30を開閉操作することができる。
【0052】
しかも、内側指掛部72と外側指掛部71とが側壁兼用扉30の横方向で交互に並んでずれているので、各指掛部を側壁兼用扉30の厚さ方向で大きくすることができ、各指掛部に指を深く掛けることができる。
【0053】
[他の実施形態]
(1)前記実施形態の容器10は、天井部材90を有していたが、天井部材90を有さず、上面が開放していてもよい。
【0054】
(2)前記実施形態の扉収容空間11Kは、下側が開放されていたが、下側が閉塞されていてもよい。
【0055】
(3)前記実施形態の容器10は、折り畳み可能であったが、折り畳み不能であってもよい。
【0056】
(4)前記実施形態の容器10は、複数の側壁のうちの1つの側壁が側壁兼用扉30になっていたが、対向する2つの側壁が側壁兼用扉になっていてもよい。また、何れかの側壁の横方向における一部が側壁兼用扉になっていてもよい。
【0057】
(5)本実施形態の容器10は、側壁兼用扉30の横方向の中央に外側指掛部71を備えかつその両横に内側指掛部72を備えていたが、横方向の中央に内側指掛部72を備え、その両横に外側指掛部71を備えていてもよい。
【0058】
(6)本実施形態の容器10には、外側指掛部71と内側指掛部72とが備えられていたが内側指掛部72のみを備えた構成としてもよい。その場合の内側指掛部72の数は、1つでも複数でもよい。
【0059】
(7)本実施形態の容器10の内側指掛部72は、一部が側壁兼用扉30の上端の外縁リブ32によって形成されていたが、上端の外縁リブ32から下方に離れた位置に内側凹部72Uを形成し、その内側凹部72Uの内面にて内側指掛部72が形成されていてもよい。
【0060】
(8)本実施形態の容器10の内側指掛部72は、内側凹部72Uを有していたが、内側凹部72Uを有さず、側壁兼用扉30の内面から単に突出する突部にて内側指掛部72が形成されていてもよい。
【0061】
(9)前記実施形態の側壁兼用扉30のうち内側指掛部72Uが形成された部分の前面は、外縁リブ32,33,34の先端面より後方に位置していたが(
図8参照)、外縁リブ32,33,34の先端面より前方に位置していてもよい。ただし、側壁兼用扉30のうち内側指掛部72Uが形成された部分の前面が、外縁リブ32,33,34の先端面に対して後方に配置されるか面一に配置されていれば、側壁兼用扉30の扉収容空間11Kへの収容をスムーズに行うことができる。
【0062】
<付記>
以下、上記実施形態から抽出される特徴群について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお、以下では、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成の符号を括弧書きで示すが、これら特徴群は、この括弧書きで示した符号の構成に限定されるものではない。
【0063】
[特徴1]
全体が箱形をなして底壁(12)と複数の側壁(20,25,30)とを有し、前記複数の側壁(20,25,30)には、扉に兼用される側壁兼用扉(30)が含まれ、底面(12A)の下方には、前記側壁兼用扉(30)を収容するための扉収容空間(11K)が設けられ、前記側壁兼用扉(30)は、基端側を中心に外側に回動操作されて水平姿勢にされてからスライド操作されて前記扉収容空間(11K)に収容される容器(10)において、前記側壁兼用扉(30)の先端側の内面には、前記扉収容空間(11K)に収容されている前記側壁兼用扉(30)を引き出すために指先が掛けられる内側指掛部(72)が設けられている容器(10)。
【0064】
特徴1の容器では、指先を掛けることが可能な内側指掛部が、側壁兼用扉の先端側の内面に配置されている。そして、その側壁兼用扉の内面は、側壁兼用扉が扉収容空間に収容された状態で上を向くので、内側指掛部に対して上方から指を掛けて手前に引いて、側壁兼用扉を扉収容空間から引き出すことができる。これにより、特徴1の容器では、摘み部を摘まんで引っ張る従来のものに比べて指が滑り難くなり、扉収容空間に収容されている側壁兼用扉を容易に引き出すことができる。
【0065】
[特徴2]
前記側壁兼用扉(30)には、容器(10)の内外を区画する主板部(31)と、前記主板部(31)の一部が外側に膨らみかつ内側に凹んでなる内側凹部(72U)とが備えられ、前記内側凹部(72U)の内面が、前記内側指掛部(72)になっている特徴1に記載の容器(10)。
【0066】
特徴2の容器では、側壁兼用扉の主板部の一部が外側に膨らみかつ内側に凹むことで内側凹部が形成されている。そして、内側凹部の内面が内側指掛部になっているので、内側指掛部に掛けた指の先端が内側凹部に受容され、内側指掛部に指を深く掛けることができる。
【0067】
[特徴3]
前記側壁兼用扉(30)には、容器(10)の内外を区画する主板部(31)と、前記側壁兼用扉(30)の先端側で横方向に延びかつ前記主板部(31)から外側に張り出す扉先端側リブ(32)と、前記主板部(31)のうち前記扉先端側リブ(32)に沿った部分が外側に膨らみかつ内側に凹んでなる内側凹部(72U)と、が備えられ、前記内側凹部(72U)のうち前記扉先端側リブ(32)にて形成される内面の一部が前記内側指掛部(72)になっている特徴1に記載の容器(10)。
【0068】
[特徴4]
前記側壁兼用扉(30)には、容器(10)の内外を区画する主板部(31)と、前記側壁兼用扉(30)の先端側で横方向に延びかつ前記主板部(31)と直交する扉先端側リブ(32)とが含まれ、前記扉先端側リブ(32)の少なくとも一部は、前記主板部(31)から内側に突出して前記内側指掛部(72)になっている特徴1に記載の容器(10)。
【0069】
特徴3,4の容器では、側壁兼用扉の扉先端側リブが側壁兼用扉の内側に突出して内側指掛部になっているので、扉先端側リブの有効利用が図られる。
【0070】
[特徴5]
前記扉先端側リブ(32)には、前記側壁兼用扉(30)の外側に突出する外側突出部が含まれ、前記外側突出部の先端側から前記側壁兼用扉(30)の基端側に向かって張り出す指掛突部(32T)を備える特徴4に記載の容器(10)。
【0071】
特徴5の容器では、扉先端側リブのうち側壁兼用扉の外側に突出する部分の先端側から側壁兼用扉の基端側に向かって指掛突部が張り出しているので、側壁兼用扉の外側からでも、指掛突部に指を掛けて側壁兼用扉を開閉操作することができる。
【0072】
[特徴6]
前記側壁兼用扉(30)の外面には、前記側壁兼用扉(30)が起立姿勢であるときに、下方から指先を掛けることが可能な外側指掛部(71)が設けられ、前記内側指掛部(72)と前記外側指掛部(71)との何れか一方の指掛部が、前記側壁兼用扉(30)の横方向の中央に配置され、他方の指掛部が前記一方の指掛部の両側に配置されている特徴1に記載の容器(10)。
【0073】
特徴6の容器によれば、内側指掛部と外側指掛部とが側壁兼用扉の横方向で交互に並んでずれているので、各指掛部を側壁兼用扉の厚さ方向で大きくすることができ、各指掛部に指を深く掛けることができる。
【0074】
[特徴7]
前記側壁兼用扉(30)を前記扉収容空間(11K)に収容された状態に保持する扉保持部(39,61,62)を備える特徴1から6の何れか1の特徴に記載の容器(10)。
【0075】
特徴7の容器では、側壁兼用扉が扉保持部により扉収容空間に収容された状態に保持され、扉収容空間に収容された側壁兼用扉が振動等によって扉収容空間から出てくるようなことが防がれる。
【0076】
なお、本明細書及び図面には、特許請求の範囲に含まれる技術の具体例が開示されているが、特許請求の範囲に記載の技術は、これら具体例に限定されるものではなく、具体例を様々に変形、変更したものも含み、また、具体例から一部を単独で取り出したものも含む。
【符号の説明】
【0077】
10 容器
11K 扉収容空間
12 底壁
12A 底面
30 側壁兼用扉
31 主板部
32 外縁リブ(扉先端側リブ)
32T 指掛突部
38 補強突条
39 レール下端壁(扉保持部)
61 ストッパ(扉保持部)
62 抜止係合部(扉保持部)
71 外側指掛部
72 内側指掛部
72U 内側凹部
【手続補正書】
【提出日】2022-11-30
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全体が箱形をなして底壁と複数の側壁とを有し、前記複数の側壁には、扉に兼用される側壁兼用扉が含まれ、底面の下方には、前記側壁兼用扉を収容するための扉収容空間が設けられ、前記側壁兼用扉は、基端側を中心に外側に回動操作されて水平姿勢にされてからスライド操作されて前記扉収容空間に収容される容器において、
前記側壁兼用扉の先端側の内面には、前記扉収容空間に収容されている前記側壁兼用扉を引き出すために指先が掛けられる内側指掛部が設けられている容器。
【請求項2】
前記側壁兼用扉には、容器の内外を区画する主板部と、前記主板部の一部が外側に膨らみかつ内側に凹んでなる内側凹部とが備えられ、
前記内側凹部の内面が、前記内側指掛部になっている請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記側壁兼用扉には、容器の内外を区画する主板部と、前記側壁兼用扉の先端側で横方向に延びかつ前記主板部から外側に張り出す扉先端側リブと、前記主板部のうち前記扉先端側リブに沿った部分が外側に膨らみかつ内側に凹んでなる内側凹部と、が備えられ、
前記内側凹部のうち前記扉先端側リブにて形成される内面の一部が前記内側指掛部になっている請求項1に記載の容器。
【請求項4】
前記側壁兼用扉には、容器の内外を区画する主板部と、前記側壁兼用扉の先端側で横方向に延びかつ前記主板部と直交する扉先端側リブとが含まれ、
前記扉先端側リブの少なくとも一部は、前記主板部から内側に突出して前記内側指掛部になっている請求項1に記載の容器。
【請求項5】
前記扉先端側リブには、前記側壁兼用扉の外側に突出する外側突出部が含まれ、
前記外側突出部の先端側から前記側壁兼用扉の基端側に向かって張り出す指掛突部を備える請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記側壁兼用扉の外面には、前記側壁兼用扉が起立姿勢であるときに、下方から指先を掛けることが可能な外側指掛部が設けられ、
前記内側指掛部と前記外側指掛部との何れか一方の指掛部が、前記側壁兼用扉の横方向の中央に配置され、他方の指掛部が前記一方の指掛部の両側に配置されている請求項1に記載の容器。
【請求項7】
前記側壁兼用扉を前記扉収容空間に収容された状態に保持する扉保持部を備える請求項1から6の何れか1の請求項に記載の容器。