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特開2024-78673チェーンコンベア装置用チェーンベルト
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078673
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】チェーンコンベア装置用チェーンベルト
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/08 20060101AFI20240604BHJP
   B65G 21/16 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65G17/08
B65G21/16
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191157
(22)【出願日】2022-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-07-25
(71)【出願人】
【識別番号】000108247
【氏名又は名称】株式会社ジェッター
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100096105
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 広
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤原 国明
【テーマコード(参考)】
3F034
【Fターム(参考)】
3F034CA02
3F034CA05
3F034CB01
(57)【要約】
【課題】チェーンベルトを構成するベルトユニットを連結するための連結用ピンの強度低下を防止する。
【解決手段】ベルトユニット(720)の3個の突出部(726,727,728)のうち最も外側に位置する突出部(728)には貫通孔(728a)に通じるスリット(728b)が形成されている。連結用ピン(735)の端部には拡径部分が形成されており、スリット(728b)が形成されている突出部(728)の貫通孔(728a)に拡径部分が篏合する。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンコンベア装置において遊技媒体を上に載せ搬送するチェーンベルトであって、
前記チェーンベルトは、
複数個の円柱形状の連結用ピンと、
前記連結用ピンを介して相互に回動可能に連結された複数個のチェーンベルトユニットと、からなり、
前記チェーンベルトユニットは、
ベース部と、
前記ベース部の長さ方向に配列され、前記ベース部から一方向に突出しているN(Nは1以上の正の整数)個の第一の突出部と、
前記ベース部の長さ方向に配列され、前記ベース部から前記一方向の反対方向に突出している(N+1)個の第二の突出部と、
を備え、
第一のチェーンベルトユニットの前記第一の突出部は、前記第一のチェーンベルトユニットに隣接する第二のチェーンベルトユニットにおける前記第二の突出部の間に形成される空間に嵌まり込むように構成されており、
前記第一の突出部には前記連結用ピンが篏合可能な第一貫通孔が同心に形成され、
前記第二の突出部には前記連結用ピンが篏合可能な第二貫通孔が同心に形成されているチェーンベルトにおいて、
前記第二の突出部の少なくとも一つには、前記第二の突出部が配列されている方向と平行に延びるスリットが形成されており、
前記スリットは前記第二の突出部が配列されている方向と直交する方向における前記第二の突出部の先端及び底部の何れか一方から前記第二貫通孔まで延びているものであることを特徴とするチェーンベルト。
【請求項2】
前記スリットは前記第二の突出部の先端から前記第二貫通孔まで延びており、前記スリットは前記第二の突出部のうち最も外側に位置している第二の突出部にのみ形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンベルト。
【請求項3】
前記連結用ピンはその一端において拡径された部分を有しており、前記拡径された部分は前記最も外側に位置している第二の突出部の前記第二貫通孔に篏合することを特徴とする請求項2に記載のチェーンベルト。
【請求項4】
前記スリットは前記第二の突出部の底部から前記第二貫通孔まで延びており、前記スリットは前記第二の突出部のうち最も外側に位置している2個の第二の突出部の間に挟まれた第二の突出部の何れかに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンベルト。
【請求項5】
前記連結用ピンはその両端の間に前記連結用ピンの直径よりも小さい直径を有する小径部分を有しており、前記第二貫通孔の内壁には前記小径部分に嵌合可能な環状の凸部が形成されていることを特徴とする請求項4に記載のチェーンベルト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダルその他の遊技媒体を乗せて搬送する遊技媒体用のチェーンコンベア装置に使用されるチェーンベルトに関する。
【背景技術】
【0002】
チェーンコンベア装置の一例として特許文献1に記載されたものがある。
図41は同文献に記載されたチェーンコンベア装置Cを上方から見たときの平面図、図42図41に示したチェーンコンベア装置Cの斜視図である。
図41に示すように、円形の島Sの周方向にはパチスロ機P、パチスロ機Pに隣接するメダル貸し出し機Q及び遊技者が座る椅子Rがそれぞれ等間隔に配置されている。チェーンコンベア装置Cは島Sの内周側の上方に配置され、パチスロ機P及びメダル貸し出し機Qに上方からメダルを補給する補給コンベアとして機能する。
チェーンコンベア装置Cは、複数のコンベア屈曲部1と、複数のコンベア直線部2と、 コンベア駆動ユニットU1と、コンベアリターンユニットU2と、を備えている。
【0003】
コンベア屈曲部1はメダルが搬送される搬送路の屈曲部分を構成し、コンベア直線部2は同搬送路の直線部分を構成する。複数のコンベア屈曲部1と複数のコンベア直線部2とは交互に接続しており、コンベア屈曲部1の各々が所定角度だけ水平面内で屈曲(カーブ)している。このため、チェーンコンベア装置Cは円形の島Sの円孤形状に沿った搬送路を構成することができるようになっている。
図43はコンベア駆動ユニットU1の斜視図、図44はコンベア駆動ユニットU1の内部を示す断面図である。
コンベア駆動ユニットU1はメダルを上に載せて搬送する無端のチェーンベルト3(図43参照)を搬送路の搬送方向に駆動する。コンベア駆動ユニットU1は、チェーンベルト3を搬送方向に駆動するための駆動モー タU1a(図42参照)と、チェーンベルト3を巻回する駆動スプロケットU1s(図44参照)とを備える。
【0004】
コンベアリターンユニットU2はコンベア駆動ユニットU1に従動して作動する。図41に示すように、コンベアリターンユニットU2は、島Sにメダルを補給するメダル自動補給装置T内に配置されており、メダル自動補給装置Tが補給するメダルの受け入れ口として機能する。メダル自動補給装置TからコンベアリターンユニットU2に補給されたメダルは、コンベア屈曲部1とコンベア直線部2とを交互に通過して、メダルをパチスロ機Pまたはメダル貸機Qに向けて分岐させる分岐ユニットB1(図42参照)及びメダル補給用の蛇腹B2(図42参照)を介してパチスロ機Pまたはメダル貸機Qに投入される。
図45はコンベア直線部2の縦断面図である。
図45に示すように、コンベア直線部2は矩形断面を有する中空の枠体をなしており、直線レール部21と、一対のサイドカバー部22と、トップカバー部23と、を備えている。
【0005】
直線レール部21は、搬送路のコンベア直線部2に沿って周回移動するチェーンベルト3を支持する。直線レール部21は、上底板部211と、下底板部212と、中底板部213と、水平滑走部211cと、を備えている。
上底板部211は、コンベア直線部2内を周回移動する搬送側チェーンベルト3(搬送されるメダルが載置されるチェーンベルト3の上側の部分)の下方に存在する底板部である。下底板部212は、コンベア直線部2内を周回移動する戻り側のチェーンベルト3(搬送路の終端部となるコンベア駆動ユニットU1で折り返したチェーンベルト3)を支持する底板部である。
図46はチェーンベルト3を上方から見たときの斜視図、図47はチェーンベルト3を下方から見たときの斜視図である。
【0006】
図46及び図47に示すように、チェーンベルト3は、上面にメダルの載置面を備える複数個のチェーン駒31と、各チェーン駒31を相互に連結する円柱棒状の複数個の連結ピン32と、からなる。
各チェーン駒31は、幅方向に延びる基部311と、基部311の両端において基部311から搬送方向に延びる2個の連結片312、313と、2個の連結片312、313の間において基部311から搬送方向に延びる2個の連結片314,315と、基部311から搬送方向とは反対方向に延びる3個の連結片316-318と、を備えている。
図48(a)は複数個のチェーン駒31を連結させることにより形成された直線レール部21(コンベア直線部2)の部分的な平面図、図48(b)は図48(a)の横断面図である。
【0007】
各連結片314-318には幅方向に延びる貫通孔314a―318aが形成されている。連結片314、315の貫通孔314a、315aには連結ピン32は回動可能に篏合し、連結片316-318の貫通孔316a―318aには連結ピン32は、後述するように、固定的に篏合する。これらの貫通孔314a―318aに連結ピン32を挿入することによって、隣接する2個のチェーン駒31が連結ピン32の軸周りに回動自在であるように相互に連結される。図48(a)に示すように、連結ピン32を介して複数個のチェーン駒31を連結させることにより直線レール部21が形成される。
図49は連結ピン32及び貫通孔318aの拡大断面図である。
図49に示すように、連結ピン32にはその先端から軸方向に延びる切り欠き(符号なし)が形成されている。この切り欠きによって、連結ピン32の先端は切り欠きに向けて弾性変形が可能な2つの先端部分32aに分割されている。
【0008】
さらに、各先端部分32aの外周には連結ピン32の周方向に係合溝kgが形成されている。連結片318の貫通孔318a内には貫通孔318aの周方向に延びる係合凸部Kが形成されており、係合凸部Kは連結ピン32の係合溝kgに係合する。
図50はコンベア屈曲部1の斜視図である。
図50に示すように、コンベア屈曲部1は複数個の同一形状の屈曲走行路用フレーム10(図52参照)が搬送方向に相互に連結されることにより形成されている。
隣接する2個のチェーン駒31A,31Bを相互に連結する場合、チェーン駒31Aの2個の連結片314,315をチェーン駒31Bの3個の連結片316-318の間に形成される2個の空間に挟み込み、その後に連結ピン32を直線状に配列された5個の貫通孔314a―318aに篏合させる。連結ピン32は貫通孔314a、315aに対しては回動可能であり、貫通孔316a―318aに対しては固定的に篏合する。
【0009】
連結ピン32が貫通孔316a―318aに対しては固定的に篏合するのは、図49に示すように、連結ピン32が貫通孔318aに対して、以下のように、固定されるためである。
連結ピン32を貫通孔318aに挿入すると、先端部分32aは最初に貫通孔318a内の係合凸部Kに当接する。連結ピン32をさらに挿入すると、先端部分32aは弾性変形して連結ピン32の中心軸に向かって撓み、係合凸部Kに乗り上げる。連結ピン32をさらに挿入すると、係合凸部Kは係合溝kgに受容され、 先端部分32aが連結ピン32の中心軸から離れるように復元する。その結果、連結ピン32はチェーン駒31Bの貫通孔318a内に固定されることとなり、ひいては、チェーン駒31Aの貫通孔314a,315a及びチェーン駒31Bの貫通孔316a,317a内にも固定されることとなる。
【0010】
図50(a)は複数個のチェーン駒31を連結させることにより形成された屈曲レール部(コンベア屈曲部1)の部分的な平面図、図50(b)は図50(a)の横断面図である。
チェーン駒31の各連結片314-318に形成された貫通孔314a―318aの内径は連結ピン32の直径よりやや大きく設定されているとともに、貫通孔314a―318aの前後方向がチェーン駒31の幅方向外側に向かって拡径するように形成されている。このため、チェーン駒31は隣接するチェーン駒31に対して、水平面内においてある程度の範囲内の角度に屈曲変位(カーブ)することができる(最大で3度)。このように、複数個のチェーン駒31の各々が隣接するチェーン駒31に対して屈曲変位(カーブ)することにより、屈曲レール部(コンベア屈曲部1)が形成される。
図51はコンベア屈曲部1の斜視図である。
図51に示すように、コンベア屈曲部1は複数個の同一形状の屈曲走行路用フレーム10が搬送方向に相互に連結されることにより形成されている。
【0011】
図52(a)及び図52(b)は屈曲走行路用フレーム10をそれぞれ後方及び前方から見たときの斜視図である。
屈曲走行路用フレーム10は一体的に形成された内枠部11と外枠部12とから構成されている。内枠部11の後縁部の外縁形状と外枠部12の前縁部の内側形状とが一致しており、内枠部11と外枠部12とは連続する形状をなしている。
内枠部11は天井部111及び下底板部114を備えている。天井部111の中央には係合片111aが形成され、係合片111aの前端部には上方向(垂直方向)に延在する円柱状体からなる屈曲軸111bが配置されている。下底板部114の中央には、天井部111に形成された係合片111aと同様の係合片114aが形成され、係合片114aの前端部には、下方向(垂直方向)に延在する円柱状体からなる屈曲軸114bが配置されている。
外枠部12の天井部121には、その幅方向中央において、屈曲軸111bが下方から篏合可能な貫通孔121aが形成され、外枠部12の底板部123には、その幅方向中央において、屈曲軸114bが上方から篏合可能な貫通孔123aが形成されている。
【0012】
各屈曲走行路用フレーム10の内枠部11の屈曲軸111b,114bが、隣接する屈曲走行路用フレーム10の外枠部12の貫通孔121a,123aに篏合することにより、複数個の屈曲走行路用フレーム10が相互に連結される。各屈曲走行路用フレーム10は隣接する屈曲走行路用フレーム10に対してある程度の角度範囲(最大で3度)において回転可能であるので、複数個の屈曲走行路用フレーム10によってコンベア屈曲部1が形成される。
図53はこのようにして形成されたコンベア屈曲部1の平面図である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特開2019-182650号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
従来のチェーンコンベア装置Cにおいては、2個のチェーン駒31は各連結片314-318に形成された貫通孔314a―318aに連結ピン32を篏合させることにより連結され、連結ピン32は連結片318の貫通孔318a内に形成された係合凸部Kが連結ピン32の係合溝kgに篏合することにより各連結片314-318に対して固定される。
しかしながら、連結ピン32の先端には切り欠きが形成され、さらに、その切り欠きの周囲に係合溝kgが形成されているため、切り欠きにより形成されている連結ピン32の先端部分32aの強度は著しく低下しており、例えば、コンベア屈曲部1においてチェーン駒31が隣接のチェーン駒31に対して大きく屈曲した場合のように、連結ピン32に意図しない大きな外力が作用すると、連結ピン32が切り欠きの根元(切り欠きの最も深い位置)において先端部分32aが破損するおそれがある。
さらに、連結ピン32の先端部分32aに係合溝kgを形成することは製造上の手間が大きい。
本発明は以上のような従来のチェーンコンベア装置Cに使用されるチェーンベルトの製造における問題点に鑑みてなされたものであり、連結ピンの強度を低下させることなく、かつ、製造上の手間を増加させることがないチェーンベルトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この目的を達成すれため、本発明は、チェーンコンベア装置(700)において遊技媒体を上に載せ搬送するチェーンベルト(710)であって、前記チェーンベルト(710)は、複数個の円柱形状の連結用ピン(735)と、前記連結用ピン(735)を介して相互に回動可能に連結された複数個のチェーンベルトユニット(720)と、からなり、前記チェーンベルトユニット(720)は、ベース部(721)と、前記ベース部(721)の長さ方向に配列され、前記ベース部(721)から一方向に突出しているN(Nは1以上の正の整数)個の第一の突出部(724,725)と、前記ベース部(721)の長さ方向に配列され、前記ベース部(721)から前記一方向の反対方向に突出している(N+1)個の第二の突出部(726-728)と、を備え、第一のチェーンベルトユニット(720A)の前記第一の突出部(724,725)は、前記第一のチェーンベルトユニット(720A)に隣接する第二のチェーンベルトユニット(720B)における前記第二の突出部(726-728)の間に形成される空間に嵌まり込むように構成されており、前記第一の突出部(724,725)には前記連結用ピン(735)が篏合可能な第一貫通孔(724a,725a)が同心に形成され、前記第二の突出部(726-728)には前記連結用ピン(735)が篏合可能な第二貫通孔(726a-728a)が同心に形成されているチェーンベルト(710)において、前記第二の突出部(726-728)の少なくとも一つには、前記第二の突出部(726-728)が配列されている方向と平行に延びるスリット(728b, 727b)が形成されており、前記スリット(728b, 727b)は前記第二の突出部(726-728)が配列されている方向と直交する方向における前記第二の突出部(728)の先端及び底部の何れか一方から前記第二貫通孔(728a)まで延びているものであることを特徴とするチェーンベルト(710)を提供する。
【0016】
前記スリット(728b)は前記第二の突出部(728)の先端から前記第二貫通孔(728a)まで延びており、前記スリット(728b)は前記第二の突出部(726-728)のうち最も外側に位置している第二の突出部(728)にのみ形成されていることが好ましい。
前記連結用ピン(735)はその一端において拡径された部分(735B)を有しており、前記拡径された部分(735B)は前記最も外側に位置している第二の突出部(728)の前記第二貫通孔(728a)に篏合することが好ましい。
前記スリット(727b)は前記第二の突出部(727)の底部から前記第二貫通孔(727a)まで延びており、前記スリット(727b)は前記第二の突出部(726-728)のうち最も外側に位置している2個の第二の突出部(726, 728)の間に挟まれた第二の突出部(727)の何れかに形成されていることが好ましい。
前記連結用ピン(735A)はその両端の間に前記連結用ピンの直径よりも小さい直径を有する小径部分(737)を有しており、前記第二貫通孔(727a)の内壁には前記小径部分(737)に嵌合可能な環状の凸部(727c)が形成されていることが好ましい。
括弧内の符号は後述する実施形態との対応関係を示すために参考として付したものであり、本発明の範囲をこれに限定するものではない。
【発明の効果】
【0017】
第二の突出部の少なくとも一つには第二の突出部が配列されている方向と平行に延びるスリットが形成されており、このスリットは第二の突出部が配列されている方向と直交する方向における当該第二の突出部の先端から、あるいは、当該第二の突出部の底部から第二貫通孔まで延びている。スリットを設けることにより、第二貫通孔の締結力は増加しているため、スリットが形成されている第二貫通孔に連結用ピンを挿通させることにより、連結用ピンを当該第二貫通孔が形成されている第二の突出部に固定させることができる。
特に、スリットを第二の突出部の先端から第二貫通孔まで形成する場合、第二突出部のうち最も外側に位置している第二突出部にスリットを形成し、さらに、連結用ピンがその一端において拡径された拡径部分を有するように構成することにより、連結用ピンを当該第二貫通孔が形成されている第二の突出部に対してより強固に固定させることができる。
【0018】
また、スリットを第二の突出部の底部から第二貫通孔まで形成する場合、最も外側に位置している2個の第二の突出部の間に挟まれた第二の突出部の何れか(例えば、中央に位置する第二の突出部)にスリットを形成し、さらに、連結用ピンにはその両端の間に連結用ピンの直径よりも小さい直径を有する小径部分を形成し、第二貫通孔の内壁には小径部分に嵌合可能な環状の凸部を形成することにより、連結用ピンを第二の突出部に対してより強固に固定させることができる。
本発明に係るチェーンベルトにおいては、従来のチェーンコンベア装置Cとは異なり、製造が困難な係合凸部Kや係合溝kgを形成する必要はなく、より容易にチェーン駒を連結させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一の実施形態に係るチェーンベルトを備えるチェーンコンベア装置の斜視図である。
図2図1に示したチェーンコンベア装置を上方から見たときの平面図である。
図3】チェーンベルトの斜視図である。
図4】チェーンベルトを上方から見たときの平面図である。
図5】チェーンベルトの側面図である。
図6】連結用ピンの斜視図である。
図7】連結用ピンを通した状態の単一のベルトユニットの斜視図である。
図8図7に対する平面図である。
図9図7に対する正面図である。
図10図7に対する底面図である。
図11図10の横断面図である。
図12図7に対する側面図である。
図13】ベルトユニットの部分的な拡大斜視図である。
【0020】
図14】チェーンベルト走行路ユニットの斜視図である。
図15】チェーンベルト走行路ユニットの正面図である。
図16】チェーンベルト走行路ユニットの背面図である。
図17】複数個のチェーンベルト走行路ユニットを連結して構成されたチェーンベルト走行路をカーブさせた場合の斜視図である。
図18図17に対する平面図である。
図19図17に対する左側面図である。
図20図17に対する右側面図である。
図21】チェーンベルト走行路ユニットのチェーンベルト走行路本体を前方から見たときの斜視図である。
図22図21に示したチェーンベルト走行路本体を後方から見たときの斜視図である。
図23図21に示したチェーンベルト走行路本体の平面図である。
図24図21に示したチェーンベルト走行路本体の正面図である。
図25図21に示したチェーンベルト走行路本体の側面図である。
図26図21に示したチェーンベルト走行路本体の縦断面図である。
【0021】
図27】2個のチェーンベルト走行路本体を連結したときの後方から見たときの斜視図である。
図28図27に示した2個のチェーンベルト走行路本体を連結したときの後方から見たときの斜視図である。
図29】凸状体の側面図である。
図30】トップカバーの斜視図である。
図31】2個のトップカバーを相互に連結したときのそれぞれ前方から見た斜視図である。
図32】2個のトップカバーを相互に連結したときのそれぞれ後方から見た斜視図である。
図33】本発明の第二の実施形態に係るチェーンベルトにおける連結用ピンの斜視図である。
図34図33に示した連結用ピンを通した状態の単一のベルトユニットの斜視図である。
図35図34に対する正面図である。
図36図34に対する底面図である。
図37図36の横断面図である。
【0022】
図38図34に対する側面図である。
図39図34に示したベルトユニットの部分的拡大斜視図である。
図40】第四突出部に連結用ピンを差し込んだ状態の縦断面図である。
図41】従来のチェーンコンベア装置を上方から見たときの平面図である。
図42図41に示したチェーンコンベア装置の斜視図である。
図43】従来のチェーンコンベア装置におけるコンベア駆動ユニットの斜視図である。
図44】従来のチェーンコンベア装置におけるコンベア駆動ユニットの内部を示す断面図である。
図45】従来のチェーンコンベア装置におけるコンベア直線部の縦断面図である。
図46】従来のチェーンコンベア装置におけるチェーンベルトを上方から見たときの斜視図である。
【0023】
図47】従来のチェーンコンベア装置におけるチェーンベルトを下方から見たときの斜視図である。
図48図48(a)は複数個のチェーン駒を連結させることにより形成された直線レール部(コンベア直線部)の部分的な平面図であり、図48(b)は図48(a)の横断面図である。
図49】チェーンベルトにおける連結ピン及び貫通孔の部分的な拡大断面図である。
図50図50(a)は複数個のチェーン駒を連結させることにより形成された屈曲レール部(コンベア屈曲部)の部分的な平面図、図50(b)は図50(a)の横断面図である。
図51】従来のチェーンコンベア装置におけるコンベア屈曲部の斜視図である。
図52図52(a)は屈曲走行路用フレームを後方から見たときの斜視図、図52(b)は屈曲走行路用フレームを前方から見たときの斜視図である。
図53】従来のチェーンコンベア装置におけるコンベア屈曲部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第一の実施形態)
図1は本発明の一実施形態に係るチェーンベルト710を備えるチェーンコンベア装置700の斜視図、図2はチェーンコンベア装置700を上方から見たときの平面図である。
図1に示すように、チェーンコンベア装置700は、メダルその他の遊技媒体を上に載せて搬送する本発明の一実施形態に係るチェーンベルト710と、チェーンベルト710を支持し、遊技媒体が搬送される搬送路を形成するチェーンベルト走行路740と、チェーンベルト710を駆動する駆動装置730と、駆動装置730に対する従動装置(図示せず)と、を備えている。
後述するように、チェーンベルト走行路740は水平面内の任意の所望の箇所において屈曲(カーブ)させることが可能である。このため、遊技媒体が搬送される搬送路としてのチェーンベルト走行路740は直線状に延びる直線部741と曲線状にカーブしている曲線部742とを交互に備えている(図2参照)。
図1及び図2に示されている搬送路は1個の曲線部742を有するものとして構成されているが、パチスロ台などの遊技台が配置されている島(図41参照)の形状(特に、円形などの曲線形状を含む島の場合)に応じて、任意の個数の曲線部742を形成することが可能である。
【0025】
チェーンベルト走行路740の直線部741は、例えば、チェーンベルト710の幅方向の両側にそれぞれ直立壁(図示せず)を備えている。この直立壁によって搬送中のメダルがチェーンベルト710から落下することを防止している。
チェーンベルト走行路740の曲線部742は複数個の屈曲搬送路形成用フレーム500(後述)を連結することにより形成される。
駆動装置730及び従動装置は従来のチェーンコンベア装置Cにおける駆動装置と同様である。
具体的には、駆動装置730は、駆動用モーター731と、従動側スプロケットホイール(図示せず)と、を備えている。駆動用モーター731はチェーンコンベア装置700の一端側(図1では右端側)に、従動側スプロケットホイールはチェーンコンベア装置700の他端側(図1では左端側)にそれぞれ配置される。チェーンベルト710は従動側スプロケットホイールと駆動用モーター731の出力軸に取り付けられた駆動用スプロケットホイールとの間に掛け渡され、無端ベルトとして駆動用スプロケットホイールと従動側スプロケットホイールとの間を往復走行する。
【0026】
図3は本発明の実施形態に係るチェーンベルト710の斜視図、図4はチェーンベルト710を上方から見たときの平面図、図5はチェーンベルト710の側面図であり、図6は連結用ピン735の斜視図である。
図3及び図4に示すように、チェーンベルト710は複数個のベルトユニット720と複数個の連結用ピン735とを備えており、各ベルトユニット720は連結用ピン735を介して相互に回動可能に連結される。
図7は連結用ピン735を通した状態の単一のベルトユニット720の斜視図、図8図7に対する平面図、図9図7に対する正面図、図10図7に対する底面図、図11図10の横断面図、図12図7に対する側面図、図13はベルトユニット720の部分的な拡大斜視図である。
図7に示すように、ベルトユニット720は、ベルトユニット720の幅方向Y(チェーンベルト710の搬送方向Xと直交する方向)に延びる板状のベース部721と、ベルトユニット720の幅方向Yにおけるベース部721の両端においてベース部721から一方向(図7においては右方向)に延びる板状の支持用突出部722,723と、支持用突出部722,723の間においてベース部721から一方向(支持用突出部722,723が延びる方向と同一方向)に延びる第一突出部724及び第二突出部725と、支持用突出部722,723の間においてベース部721から反対方向(図7においては左方向)に延びる第三突出部726,第四突出部727及び第五突出部728と、を備えている。
【0027】
支持用突出部722,723はベース部721と同一の厚さ(図7の上下方向における長さ)を有しているのに対して、第一乃至第五突出部724-728はベース部721よりも大きい厚さを有している。具体的には、第一乃至第五突出部724-728の上面はベース部721の上面と同一平面にあるが、第一乃至第五突出部724-728の底面はベース部721の底面よりも下に位置している。
支持用突出部722,723及び第一乃至第五突出部724-728は同一の長さ(チェーンベルト710の搬送方向Xにおける長さ)及び幅(チェーンベルト710の幅方向Yにおける長さ)を有しており、かつ、幅方向Yにおいて相互に等間隔に配置されている。このため、支持用突出部722,723及び第一乃至第五突出部724-728はベルトユニット720の幅方向Yに沿って交互に一方向(図7の右方向)と反対方向(図7の左方向)に突出した構成になっている。
【0028】
第一突出部724及び第二突出部725には同心にそれぞれ貫通孔724a、725a(図8参照)が形成され、同様に、第三乃至第五突出部726-728には同心にそれぞれ貫通孔726a、727a、728aが形成されている。これらの貫通孔724a-728aは連結用ピン735が篏合可能な大きさに形成されている。具体的には、貫通孔724a、725aの内径は連結用ピン735の直径よりやや大きく、貫通孔726a、727a、728aの内径は連結用ピン735の直径と同一である。
図6に示すように、連結用ピン735はほぼ円柱形状をなしている(詳細は後述)。
第一のベルトユニット720A(図3参照)と第二のベルトユニット720B(図3参照)とは次のようにして相互に連結される。
最初に、第二のベルトユニット720Bの第一突出部724及び第二突出部725を第一のベルトユニット720Aの第三乃至第五突出部726-728間に形成されている2個の空間にそれぞれ差し込む。
次いで、支持用突出部723の下方から連結用ピン735を貫通孔728a、725a(第二のベルトユニット720B)、727a、724a(第二のベルトユニット720B)、726aの順に差し込む。
【0029】
このようにして、第一のベルトユニット720Aと第二のベルトユニット720Bとは相互に連結される。前述のように、第一突出部724及び第二突出部725の各貫通孔724a、725aの内径は連結用ピン735の外径よりやや大きく設定され、第三乃至第五突出部726-728の各貫通孔726a―728aの内径は連結用ピン735の外径に等しく設定されている。さらに、後述するように、連結用ピン735は第五突出部728に対して固定されるようになっている。このため、第一のベルトユニット720Aと第二のベルトユニット720Bとが相互に連結されると、第一突出部724及び第二突出部725は連結用ピン735に対して回動可能であるが、第三乃至第五突出部726-728は連結用ピン735に対して固定される、すなわち、連結用ピン735に対しては回動不能である。
複数個のベルトユニット720は第一のベルトユニット720A及び第二のベルトユニット720Bの連結と同様にして相互に連結され、チェーンベルト710を形成する。
【0030】
チェーンベルト710の走行路を構成するチェーンベルト走行路740は複数個のチェーンベルト走行路ユニット740Aを連結して構成される。
図14はチェーンベルト走行路740を構成するチェーンベルト走行路ユニット740Aの斜視図、図15はチェーンベルト走行路ユニット740Aの正面図、図16はチェーンベルト走行路ユニット740Aの背面図である。
図17は複数個のチェーンベルト走行路ユニット740Aを連結して構成されたチェーンベルト走行路740をカーブさせた場合の斜視図、図18図17に対する平面図、図19及び図20図17に対する左右側面図である。
図14に示すように、チェーンベルト走行路ユニット740Aはチェーンベルト走行路本体500(図21及び図22参照)とトップカバー570(図30参照)とから構成されている。
図21はチェーンベルト走行路740の曲線部742を構成するチェーンベルト走行路ユニット740Aのチェーンベルト走行路本体500を前方から見たときの斜視図、図22図21のチェーンベルト走行路本体500を後方から見たときの斜視図、図23はチェーンベルト走行路本体500の平面図、図24はチェーンベルト走行路本体500の正面図、図25はチェーンベルト走行路本体500の側面図、図26はチェーンベルト走行路本体500の縦断面図である。
【0031】
図21及び図22に示すように、チェーンベルト走行路本体500は、相互に対向する一対の第一側壁510と、相互に対向する一対の第二側壁520と、一対の第一側壁510の各々と一対の第二側壁520の各々とを結合する結合壁530と、一対の第一側壁510の各々の高さ方向におけるほぼ中央の位置において一対の第一側壁510の間に延び、一対の第一側壁510の双方と結合している第一水平壁540と、第一水平壁540の下方において一対の第一側壁510の間に延び、一対の第一側壁510の双方と結合している第二水平壁550と、を備えている。
一対の第一側壁510の各々は板状であり、その下端からは内側に向かって(一方の第一側壁510から他方の第一側壁510に向かって)延長部511が形成されている。各延長部511は、第二水平壁550との間にチェーンベルト710が通過するのに十分な空間を空ける位置に設けられており、かつ、チェーンベルト710を支持するのに十分な長さを有している。
第一水平壁540と第二水平壁550との間には補強用の一対の直立壁541が設けられている。
【0032】
一対の第二側壁520の各々は板状であり、その下端からは内側に向かって(一方の第二側壁520から他方の第二側壁520に向かって)延長部521が形成されている。各延長部521は第一側壁510の各延長部511よりやや低い状態で第一側壁510の各延長部511と結合している。
一対の第二側壁520の間の間隔D2は一対の第一側壁510の間の間隔D1より大きく設定されている(図24参照)。さらに、一対の第一側壁510と一対の第二側壁520とは、一対の第一側壁510の端部(第二側壁520側の端部)と一対の第二側壁520の端部(第一側壁510側の端部)とがチェーンベルト走行路本体500の幅方向Cにおいて同一直線上にあるように配置されており、さらに、結合壁530を介して相互に結合されている。
一対の第二側壁520の間の間隔D2及び一対の第一側壁510の間の間隔D1は、一対の第一側壁510の各々が隣接するチェーンベルト走行路本体500の一対の第二側壁520の各々に接した状態で一対の第二側壁520の間に嵌まり込むように、設定されている。
【0033】
図27は2個のチェーンベルト走行路本体500を連結したときの後方から見たときの斜視図、図28図27の2個のチェーンベルト走行路本体500を連結したときの前方から見たときの斜視図である。
図27及び図28に示すように、第一のチェーンベルト走行路本体500Aと第二のチェーンベルト走行路本体500Bとが隣接しているとする。この場合、第二のチェーンベルト走行路本体500Bの一対の第一側壁510Bの外面が第一のチェーンベルト走行路本体500Aの一対の第二側壁520Aの内面に接した状態で、第二のチェーンベルト走行路本体500Bの一対の第一側壁510Bは第一のチェーンベルト走行路本体500Aの一対の第二側壁520Aの間に接離可能に嵌まり込んでいる。以下、同様にして、複数個のチェーンベルト走行路本体500は相互に接離可能に連結される。
図21及び図22に示すように、一対の第一側壁510の各々には第一水平壁540と第二水平壁550との間において第一側壁510の高さ方向Hと直交する方向である幅方向Cに延びる長円形状の長孔512が形成されている。
【0034】
一対の第二側壁520の各々の内壁には、長孔512に対応して、凸状体522(図22参照)が内側に向かって(一方の凸状体522が他方の凸状体522に向かって)突出するように形成されている。
図29は凸状体522の側面図である。
凸状体522は円柱形状であり、円形の頂面の一部522aを残して、他の部分は斜面522bとなっている。斜面522bの傾斜は第一側壁510から第二側壁520に向かう方向(図14の方向A)に向かって低くなるように設定されている。
凸状体522は長孔512に篏合可能であり、かつ、長孔512の内部をスライド可能である大きさに設定されている。
【0035】
図21及び図22に示すように、一対の第二側壁520の各々には第二側壁520の高さ方向Hと直交する幅方向Cに延びる2個のスリット523が形成されている。スリット523は第二側壁520の先端から基端(結合壁530と結合している端部)に近い位置までの深さを有している。
このように、スリット523は深く形成されているため、2個のスリット523に挟まれた中央部分524は2個のスリット523の外側の2個の部分525A、525Bに対して中央部分524の基端(先端とは反対側の端部)を中心として水平面内において揺動可能である。
凸状体522は中央部分524の内壁に設けられている。
相互に隣接する二つのチェーンベルト走行路本体500は長孔512及び凸状体522を介して相互に連結される。
図27及び図28に示すように、第二のチェーンベルト走行路本体500Bの一対の第一側壁510Bを第一のチェーンベルト走行路本体500Aの一対の第二側壁520Aの間に嵌め込むと、第一のチェーンベルト走行路本体500Aの凸状体522は第二のチェーンベルト走行路本体500Bの長孔512に篏合する。第一のチェーンベルト走行路本体500Aの凸状体522が第二のチェーンベルト走行路本体500Bの長孔512に篏合することによって、二つのチェーンベルト走行路本体500A、500Bは相互に接離可能に連結される。
【0036】
具体的には、第二のチェーンベルト走行路本体500Bの第一側壁510Bを第一のチェーンベルト走行路本体500Aの第二側壁520Aに沿って矢印Sの方向にスライドさせると、第一側壁510Bに形成されている長孔512は凸状体522の斜面522bに当接する。前述のように、凸状体522は水平面内において揺動可能である。長孔512が斜面522bに当接したまま、第二のチェーンベルト走行路本体500Bの第一側壁510Bをさらに矢印Sの方向にスライドさせることにより、第一のチェーンベルト走行路本体500Aの凸状体522は第二側壁520Aの外側に向かって揺動し(すなわち、撓み)、凸状体522が長孔512に到達すると、第二側壁520Aの外側への凸状体522の揺動が解除されるため、凸状体522は長孔512の内部に嵌まり込む。
このように、凸状体522に斜面522bを設けることにより、凸状体522を容易に長孔512の内部に嵌め込むことができる。
図30はトップカバー570の斜視図である。
【0037】
図30に示すように、トップカバー570は、一対の第二側壁520の各々の外壁に篏合する一対の第一側部580と、一対の第一側部580の各上端に結合されている板状の第一天井部581と、一対の第一側壁510の各々を外側から覆う一対の第二側部590と、一対の第二側部590の各上端に結合されている板状の第二天井部591と、を備えている。
一対の第一側部580の間の間隔は一対の第二側壁520の間の間隔D2に対応して設定されている。このため、図14乃至図16に示すように、一対の第一側部580は一対の第二側壁520の外側に嵌まり込む。
一対の第一側部580の各々の下端には、内側に向かって突出する断面が半円形の突起584が形成されている。一対の第二側壁520の各々には幅方向Cに延びる断面が半円形の溝526(図21及び図22参照)が形成されており、突起584を溝526に嵌め込むことにより、トップカバー570は一対の第二側壁520に対して取り外し可能に取り付けることができる。
【0038】
一対の第二側部590の間の間隔は一対の第一側壁510の全幅(第一側壁510の外面間の距離)よりも大きく設定されており、図15及び図16に示すように、一対の第二側部590の各内壁は一対の第一側壁510の各外壁から離れている(後述する第二凸状体592を形成するスペースを確保するためである)。
図30に示すように、一対の第一側部580の各々と一対の第二側部590の各々及び第一天井部581と第二天井部591とは結合壁582を介して相互に結合されており、一対の第一側部580及び第一天井部581と一対の第二側部590及び第二天井部591とは一体構造になっている。
図30に示すように、一対の第一側部580の各々にはチェーンベルト走行路本体500の幅方向C(図21参照)延びる長円形の長孔583が形成されている。
一対の第二側部590の各々の内壁には、一対の第二側壁520の各々に形成された凸状体522と同様の第二凸状体592が形成されている。一対の第二側部590の各々には、第二側壁520と同様に、2個のスリット593が形成され、第二凸状体592は一対の第二側部590の内壁上において2個のスリット593によって画定される中央部分594に位置している。
【0039】
図31及び図32は2個のトップカバー570を相互に連結したときのそれぞれ前方及び後方から見た斜視図である。
トップカバー570は相互に連結させることができる。2個のトップカバー570を相互に連結させる構造(長孔583及び第二凸状体592)は2個のチェーンベルト走行路本体500A、500B(図27及び図28参照)を相互に連結させる構造(長孔512及び凸状体522)と同一であり、2個のトップカバー570は、2個のチェーンベルト走行路本体500A、500Bを連結させる場合と同様にして、相互に連結させることができる。
複数個のトップカバー570は、複数個のチェーンベルト走行路本体500A、500Bと同様に、図17乃至図20に示すように、相互にカーブさせることができる。この場合、一対の第一側部580及び一対の第二側部590はそれぞれ一対の第二側壁520及び一対の第一側壁510に連動した動きを行う。
【0040】
トップカバー570はチェーンベルト710上に上方から物が落下することを防止する。
また、トップカバー570は取り外しが可能であるので、必要に応じて、チェーンベルト走行路本体500にトップカバー570を取り付けての使用またはトップカバー570を取り付けずにチェーンベルト走行路本体500のみの使用を選択することができる。
図14に示したように、チェーンベルト710はチェーンベルト走行路本体500の内部を通過する。
図14に示すように、無端ベルトを構成しているチェーンベルト710はメダルの搬送方向Aに走行するときは第一水平壁540上を走行し、メダルを搬送し終えて戻るとき(搬送方向Aと反対方向Bに走行するとき)には一対の延長部511上を走行する。チェーンベルト710の走行時には、各ベルトユニット720の支持用突出部722,723の下面がそれぞれ第一水平壁540に接触した状態でチェーンベルト710は走行する。
【0041】
以上のような構成を有するチェーンコンベア装置700において、チェーンベルト710は以下のように用いられる。
図7及び図13に示すように、第三乃至第五突出部726-728のうち最も外側(図7では右側)に位置している第五突出部728の先端にはベルトユニット720の幅方向Yに延びるスリット728bが形成されている。スリット728bはチェーンベルト710の搬送方向Xにおいて第五突出部728の先端から貫通孔728aまで延びている。
また、図6に示すように、連結用ピン735の一端(図6の右端)の近傍には傾斜部分735Aが形成されている。具体的には、連結用ピン735の長さ方向の中心を含み、連結用ピン735の大半の部分を占める円柱形状の本体部分735Cと連続して傾斜部分735Aが形成されている。傾斜部分735Aの始端は本体部分735Cと同一の直径を有しており、連結用ピン735の長さ方向の中心から連結用ピン735の一端(図6の右端)に向かって傾斜部分735Aの直径は徐々に大きくなり、終端において最大直径を有する。例えば、連結用ピン735の最大直径は連結用ピン735の始端の直径(本体部分735Cの直径)より5%乃至15%大きい。
【0042】
傾斜部分735Aの終端と連続して傾斜部分735Aの終端と同一直径を有する拡径部分735Bが形成されている。
連結用ピン735は第三乃至第五突出部726-728の全貫通孔726a-728aに挿通可能な長さを有しており、傾斜部分735A及び拡径部分735Bは、連結用ピン735を第三乃至第五突出部726-728の貫通孔726a-728aに挿通させたときに、図11に示すように、第五突出部728の貫通孔728aの内部に篏合するように位置決めされている。
スリット728bを形成することにより、図12に示すように、第五突出部728の先端部分は上部分728Aと下部分728Bに二分される。このため、ベルトユニット720(第五突出部728)を樹脂その他の弾力性を有する素材で作ることによって、第五突出部728の上部分728Aと下部分728Bとがスリット728bを中心としてそれぞれ上方向及び下方向に付勢されると、素材の弾力性に起因して上部分728Aには下方向に向かう弾性力F1が、下部分728Bには上方向に向かう弾性力F2がそれぞれ生じる。
【0043】
連結用ピン735を第三乃至第五突出部726-728の貫通孔726a-728aに挿入すると、第五突出部728の貫通孔728aには連結用ピン735の本体部分735Cの直径より大きい直径を有する拡径部分735Bが篏合するため、第五突出部728の上部分728Aと下部分728Bとはそれぞれ上方向及び下方向に変位する。この結果、上部分728Aには下方向に向かう弾性力F1が、下部分728Bには上方向に向かう弾性力F2がそれぞれ生じるため、上部分728Aは下方向に、下部分728Bは上方向にそれぞれ付勢される。
結果的に、第五突出部728において連結用ピン735を締め付ける力が増大し、連結用ピン735は第五突出部728内に、ひいては、第三乃至第五突出部726-728の全貫通孔726a-728a内に固定的に維持される。
第五突出部728にスリット728bを設け、さらに、連結用ピン735に傾斜部分735A及び拡径部分735Bを設けることによって、連結用ピン735を第五突出部728に対してより強固に固定させることができ、ひいては、連結用ピン735が第三乃至第五突出部726-728の貫通孔726a-728aから抜け落ちることを防止することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態に係るチェーンベルト710によれば、従来のチェーンコンベア装置Cとは異なり、製造が困難な係合溝kgを形成する必要はなく、より容易にベルトユニット720を連結させることが可能である。
本実施形態に係るチェーンベルト710は上記の構成に限定されるものではなく、種々の改変が可能である。
ベース部721から一方向(図7の右方向)に突出している突出部は第一突出部724及び第二突出部725の2個であり、ベース部721から反対方向(図7の左方向)に突出している突出部は第三乃至第五突出部726-728の3個であるが、それぞれの個数はこれらの数には限定されない。ベース部721から一方向(図7の右方向)に突出している突出部の個数をN(Nは1以上の正の整数)とする場合には、ベース部721から反対方向(図7の左方向)に突出している突出部の個数は(N+1)に設定される。
本実施形態においては、スリット728bは第五突出部728にのみ形成されているが、他の突出部(第三突出部726または第四突出部727)に形成することも可能である。
また、スリット728bが形成される突出部の個数は1には限定されない。スリット728bは第三乃至第五突出部726-728の何れか2個に形成することも可能であり、第三乃至第五突出部726-728の3個全てに形成することも可能である。
【0045】
(第二の実施形態)
連結用ピン735は図6に示した形状に限定されるものではなく、他の形状とすることも可能である。
第二の実施形態に係るチェーンベルトにおいては、連結用ピン735に代えて連結用ピン735Aを用いるとともに、ベルトユニット720に代えてベルトユニット720Aを用いる。
図33は連結用ピン735Aの斜視図、図34は連結用ピン735Aを通した状態の単一のベルトユニット720Aの斜視図、図35図34に対する正面図、図36図34に対する底面図、図37図36の横断面図、図38図34に対する側面図、図39はベルトユニット720Aの部分的拡大斜視図である。
【0046】
図33に示すように、連結用ピン735Aは、後述する小径部分737を除いて直径が一定の円柱形状をなす本体部分736Aと、本体部分736Aの両端に形成された傾斜部分736Bと、を備えている。
本体部分736Aの長さ方向の中心部には本体部分736Aの直径よりも小径の小径部分737が本体部分736Aと同心に形成されている。連結用ピン735Aの長さ方向における小径部分737の長さはベルトユニット720Aの幅方向Yにおける第四突出部727の長さの半分よりも小さく設定されている。
図34及び図39に示すように、ベルトユニット720Aにおいては、第四突出部727にスリット727bが形成されている。スリット727bは第四突出部727の底部から鉛直方向に貫通孔727aまで延びている。スリット727bの開口幅(チェーンベルト710の搬送方向Xにおける長さ)は連結用ピン735Aの本体部分736A直径より小さく設定されており、具体的には、連結用ピン735Aの本体部分736Aの直径の10%から40%の範囲内に設定されている。
【0047】
スリット728bに代えてスリット727bが形成されている点及び後述する凸部727cが形成されている点を除いて、ベルトユニット720Aはベルトユニット720と同一の構造を有している。
図40は第四突出部727に連結用ピン735Aを差し込んだ状態の縦断面図である。
図40に示すように、連結用ピン735Aを第三乃至第五突出部726-728に差し込んだ状態においては、連結用ピン735Aの小径部分737は第四突出部727の貫通孔727aの内部中央に位置する。貫通孔727aの内部には小径部分737に篏合可能なリング状の凸部727cが形成されており、貫通孔727aに差し込まれた連結用ピン735Aの小径部分737にはリング状の凸部727cが篏合する。
連結用ピン735Aは第四突出部727の貫通孔727aに以下のようにして差し込まれる。
連結用ピン735Aの本体部分736Aの直径は凸部727cの内径より大きいので、連結用ピン735Aをそのまま押し込んでも連結用ピン735Aは凸部727cを通過することはできない。
【0048】
前述のように、第四突出部727にはスリット727bが形成されている。ベルトユニット720A(第四突出部727)を樹脂その他の弾力性を有する素材で作られているため、連結用ピン735Aが凸部727cを通過しようとするときに、貫通孔727aがスリット727bを中心としてスリット727bの回りに押し広げられ、その結果として、凸部727cの内径が拡径される。凸部727cの内径が拡径されている間に連結用ピン735Aの本体部分736Aが凸部727cを通過し、小径部分737が凸部727cに相対する位置に到達すると、それまで連結用ピン735Aの本体部分736Aによって押し広げられていた貫通孔727aには貫通孔727aを押し広げようとする力が作用しなくなるので、貫通孔727aは元の大きさまで収縮する。この結果、凸部727cは小径部分737に篏合する。
【0049】
このようにして凸部727cが小径部分737に篏合する結果として、連結用ピン735Aは第四突出部727に、ひいては、ベルトユニット720Aに対して固定される。
連結用ピン735Aを取り外す際には、スリット727bを中心としてスリット727bの回りに貫通孔727aを押し広げ、その間に連結用ピン735Aを引き抜くことができる。
本実施形態においては、凸部727cは第四突出部727に形成されているが、凸部727cを第四突出部727に代えて第三突出部726または第五突出部728に形成することも可能である。その場合には、小径部分737は第三突出部726または第五突出部728の位置に合わせて形成される。
また、凸部727c及び小径部分737の断面形状は任意である。凸部727cが小径部分737に篏合し得る形状であれば、どのような形状をも採用することができる。例えば、凸部727cの断面形状を半円形にすることができる。
【符号の説明】
【0050】
700 チェーンコンベア装置
710 本発明の実施形態に係るチェーンベルト
720 ベルトユニット
730 駆動装置
735 連結用ピン
740 チェーンベルト走行路
500 チェーンベルト走行路本体
570 トップカバー
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【手続補正書】
【提出日】2023-03-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チェーンコンベア装置において遊技媒体を上に載せ搬送するチェーンベルトであって、
前記チェーンベルトは、
複数個の円柱形状の連結用ピンと、
前記連結用ピンを介して相互に回動可能に連結された複数個のチェーンベルトユニットと、からなり、
前記チェーンベルトユニットは、
ベース部と、
前記ベース部の長さ方向に配列され、前記ベース部から一方向に突出しているN(Nは1以上の正の整数)個の第一の突出部と、
前記ベース部の長さ方向に配列され、前記ベース部から前記一方向の反対方向に突出している(N+1)個の第二の突出部と、
を備え、
第一のチェーンベルトユニットの前記第一の突出部は、前記第一のチェーンベルトユニットに隣接する第二のチェーンベルトユニットにおける前記第二の突出部の間に形成される空間に嵌まり込むように構成されており、
前記第一の突出部には前記連結用ピンが篏合可能な第一貫通孔が同心に形成され、
前記第二の突出部には前記連結用ピンが篏合可能な第二貫通孔が同心に形成されているチェーンベルトにおいて、
前記第二の突出部の少なくとも一つには、前記第二の突出部が配列されている方向と平行に延びるスリットが形成されており、
前記スリットは前記第二の突出部が配列されている方向と直交する方向における前記第二の突出部の先端及び底部の何れか一方から前記第二貫通孔まで延びており、
前記スリットは前記第二の突出部の先端から前記第二貫通孔まで延びており、前記スリットは前記第二の突出部のうち最も外側に位置している第二の突出部にのみ形成され、
前記連結用ピンはその一端において拡径された部分を有しており、前記拡径された部分は前記最も外側に位置している第二の突出部の前記第二貫通孔に篏合するものであることを特徴とするチェーンベルト。
【請求項2】
前記スリットは前記第二の突出部の底部から前記第二貫通孔まで延びており、前記スリットは前記第二の突出部のうち最も外側に位置している2個の第二の突出部の間に挟まれた第二の突出部の何れかに形成されていることを特徴とする請求項1に記載のチェーンベルト。
【請求項3】
前記連結用ピンはその両端の間に前記連結用ピンの直径よりも小さい直径を有する小径部分を有しており、前記第二貫通孔の内壁には前記小径部分に嵌合可能な環状の凸部が形成されていることを特徴とする請求項に記載のチェーンベルト。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
この目的を達成すため、本発明は、チェーンコンベア装置(700)において遊技媒体を上に載せ搬送するチェーンベルト(710)であって、前記チェーンベルト(710)は、複数個の円柱形状の連結用ピン(735)と、前記連結用ピン(735)を介して相互に回動可能に連結された複数個のチェーンベルトユニット(720)と、からなり、前記チェーンベルトユニット(720)は、ベース部(721)と、前記ベース部(721)の長さ方向に配列され、前記ベース部(721)から一方向に突出しているN(Nは1以上の正の整数)個の第一の突出部(724,725)と、前記ベース部(721)の長さ方向に配列され、前記ベース部(721)から前記一方向の反対方向に突出している(N+1)個の第二の突出部(726-728)と、を備え、第一のチェーンベルトユニット(720A)の前記第一の突出部(724,725)は、前記第一のチェーンベルトユニット(720A)に隣接する第二のチェーンベルトユニット(720B)における前記第二の突出部(726-728)の間に形成される空間に嵌まり込むように構成されており、前記第一の突出部(724,725)には前記連結用ピン(735)が篏合可能な第一貫通孔(724a,725a)が同心に形成され、前記第二の突出部(726-728)には前記連結用ピン(735)が篏合可能な第二貫通孔(726a-728a)が同心に形成されているチェーンベルト(710)において、前記第二の突出部(726-728)の少なくとも一つには、前記第二の突出部(726-728)が配列されている方向と平行に延びるスリット(728b, 727b)が形成されており、前記スリット(728b, 727b)は前記第二の突出部(726-728)が配列されている方向と直交する方向における前記第二の突出部(728)の先端及び底部の何れか一方から前記第二貫通孔(728a)まで延びており、前記スリットは前記第二の突出部の先端から前記第二貫通孔まで延びており、前記スリット(728b)は前記第二の突出部(726-728)のうち最も外側に位置している第二の突出部(728)にのみ形成され、前記連結用ピン(735)はその一端において拡径された部分(735B)を有しており、前記拡径された部分(735B)は前記最も外側に位置している第二の突出部(728)の前記第二貫通孔(728a)に篏合するものであることを特徴とするチェーンベルト(710)を提供する。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0016
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0016】
前記スリット(727b)は前記第二の突出部(727)の底部から前記第二貫通孔(727a)まで延びており、前記スリット(727b)は前記第二の突出部(726-728)のうち最も外側に位置している2個の第二の突出部(726, 728)の間に挟まれた第二の突出部(727)の何れかに形成されていることが好ましい。
前記連結用ピン(735A)はその両端の間に前記連結用ピンの直径よりも小さい直径を有する小径部分(737)を有しており、前記第二貫通孔(727a)の内壁には前記小径部分(737)に嵌合可能な環状の凸部(727c)が形成されていることが好ましい。
括弧内の符号は後述する実施形態との対応関係を示すために参考として付したものであり、本発明の範囲をこれに限定するものではない。