(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078683
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】コネクタ組立体および接続方法
(51)【国際特許分類】
H01R 12/63 20110101AFI20240604BHJP
【FI】
H01R12/63
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191168
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000231073
【氏名又は名称】日本航空電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(72)【発明者】
【氏名】木村 晃
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AA30
5E223AB01
5E223AB45
5E223BA58
5E223BB12
5E223CD02
5E223DA05
5E223DB02
5E223EA02
(57)【要約】
【課題】シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を信頼性よく電気的に接続しながらも小型化を図ることができるコネクタ組立体を提供する。
【解決手段】第2インシュレータ13の第2保持面13Aに形成された凸部13Bの表面に沿って被覆電線31の導体部31Aが配置された状態で凸部および電線の導体部が、第1インシュレータ12の第1保持面12Aに形成された凹部12Bに収容され、シート状導電部材の第1シート部22の被保持部22Aおよび第2シート部23が互いに重なって第1保持面12Aおよび第2保持面13Aの間に挟まれるように第1インシュレータ12および第2インシュレータ13が互いに固定されることにより凹部12B内においてフレキシブル導体21Bが電線の導体部に接触し且つ電気的に接続される。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に露出するフレキシブル導体を有するシート状導電部材と、
導体部を有する電線と、
前記フレキシブル導体に前記導体部を接続するコネクタと
を備え、
前記コネクタは、第1保持面と前記第1保持面に形成された凹部を有する第1インシュレータと、前記第1保持面に対向する第2保持面と前記第2保持面に突出形成され且つ前記凹部に対応する凸部を有する第2インシュレータを含み、
前記シート状導電部材は、前記第1保持面上に配置された被保持部を有する第1シート部と、前記第2保持面上に配置されている第2シート部を有し、
前記第1シート部の前記被保持部の表面に前記フレキシブル導体が露出し、前記フレキシブル導体の端部が前記凹部内に配置され、
前記凸部の表面に沿って前記電線の前記導体部が配置された状態で前記凸部および前記電線の前記導体部が前記凹部に収容され、
前記第1シート部の前記被保持部および前記第2シート部が互いに重なった部分が前記第1保持面および前記第2保持面の間に挟まれるように前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータが互いに固定されることにより前記凹部内において前記フレキシブル導体が前記電線の前記導体部に接触し且つ電気的に接続されるコネクタ組立体。
【請求項2】
前記第1シート部は、前記被保持部から所定の方向に沿って前記コネクタの外部へ延びる延伸部を有し、
前記被保持部は、前記凹部内に配置される折り込み部を有し、
前記フレキシブル導体は、前記被保持部から前記延伸部に連続して配置され、
前記フレキシブル導体の前記端部は、前記折り込み部に配置される請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項3】
前記第1シート部は、シート状の絶縁基材と、前記絶縁基材に所定のパターンを形成するように配置された前記フレキシブル導体とを有し、
前記第2シート部は、シート状の絶縁基材のみからなる請求項2に記載のコネクタ組立体。
【請求項4】
前記第2シート部は、開口部を有し、前記開口部に前記凸部が挿入された状態で前記第2保持面上に配置される請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項5】
前記シート状導電部材は、前記第1シート部および前記第2シート部を互いに連結するシート連結部を有し、前記シート連結部が前記コネクタの外側に張り出している請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項6】
前記フレキシブル導体の前記端部と前記電線の前記導体部は、前記凸部の側面と前記凹部の内側面との間に挟まれることにより互いに接触し且つ電気的に接続される請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項7】
前記コネクタは、前記凹部内において前記フレキシブル導体の前記端部と前記電線の前記導体部を互いに押し付けるバネ部材を有する請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項8】
前記電線の前記導体部は、前記凸部を乗り越えるように前記凸部の両側面および上面に沿って配置される請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項9】
前記凸部は、前記両側面および前記上面に連続して形成された電線保持溝を有し、
前記電線の前記導体部は、前記電線保持溝に挿入された状態で前記凹部に収容される請求項8に記載のコネクタ組立体。
【請求項10】
前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータは、前記第1保持面および前記第2保持面の一方に形成されたボスが前記第1保持面および前記第2保持面の他方に形成された固定孔に挿入されることにより互いに固定される請求項1に記載のコネクタ組立体。
【請求項11】
前記凹部は、前記第1保持面に沿った所定の方向に延び、
前記凸部は、前記第2保持面に沿った前記所定の方向に延び、
前記シート状導電部材は、前記第1シート部に配置され且つ前記所定の方向に配列された複数の前記フレキシブル導体を有し、
前記複数の前記フレキシブル導体が、前記所定の方向に配列された複数の前記電線の前記導体部にそれぞれ電気的に接続される請求項1~10のいずれか一項に記載のコネクタ組立体。
【請求項12】
前記複数の前記フレキシブル導体および前記複数の前記電線は、互いに同一の方向に沿って前記コネクタの外部へ延びている請求項11に記載のコネクタ組立体。
【請求項13】
前記複数の前記フレキシブル導体および前記複数の前記電線は、互いに反対方向に沿って前記コネクタの外部へ延びている請求項11に記載のコネクタ組立体。
【請求項14】
シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を接続する接続方法であって、
第1インシュレータの第1保持面と第2インシュレータの第2保持面が互いに同一面上に位置するように前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータがインシュレータ連結部を介して互いに連結されたコネクタ形成用部品に対して、前記フレキシブル導体が露出している前記シート状導電部材の第1シート部の被保持部を前記第1保持面上に配置し且つシート連結部を介して前記被保持部に連結された前記シート状導電部材の第2シート部を前記第2保持面上に配置し、
前記第2保持面に突出形成された凸部の表面に沿って前記電線の前記導体部を配置し、
前記コネクタ形成用部品から前記インシュレータ連結部を切除し、
前記シート連結部を折り曲げることにより、前記第1保持面および前記第2保持面を互いに対向させて前記凸部および前記電線の前記導体部を前記第1シート部の前記被保持部に露出している前記フレキシブル導体の端部と共に前記第1インシュレータの前記第1保持面に形成されている凹部に収容し、
前記第1シート部の前記被保持部および前記第2シート部を前記第1保持面および前記第2保持面の間に挟んで前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータを互いに固定することにより、前記凹部内において前記フレキシブル導体が前記電線の前記導体部に接触し且つ電気的に接続される接続方法。
【請求項15】
前記凹部は、前記第1保持面に沿った所定の方向に延び、
前記凸部は、前記第2保持面に沿った前記所定の方向に延び、
前記シート状導電部材は、前記第1シート部に配置され且つ前記所定の方向に配列された複数の前記フレキシブル導体を有し、
前記複数の前記フレキシブル導体が、前記所定の方向に配列された複数の前記電線の前記導体部にそれぞれ電気的に接続される請求項14に記載の接続方法。
【請求項16】
前記インシュレータ連結部は、前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータを前記所定の方向に並べた状態で連結し、
前記シート連結部は、前記第1シート部および前記第2シート部を前記所定の方向に並べた状態で連結し、
前記コネクタ形成用部品から前記インシュレータ連結部を切除した後に、前記シート連結部を、前記所定の方向に対して直交する方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げる請求項15に記載の接続方法。
【請求項17】
前記インシュレータ連結部は、前記第1インシュレータおよび前記第2インシュレータを前記所定の方向に直交する方向に並べた状態で連結し、
前記シート連結部は、前記第1シート部および前記第2シート部を前記所定の方向に直交する方向に並べた状態で連結し、
前記コネクタ形成用部品から前記インシュレータ連結部を切除した後に、前記シート連結部を、前記所定の方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げる請求項15に記載の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コネクタ組立体および接続方法に係り、特に、シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を電気的に接続するコネクタ組立体および接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、着用するだけで心拍数、体温等のユーザの生体情報を取得することができる、いわゆるスマート衣料が注目を浴びている。このスマート衣料は、計測箇所に配置され且つフレキシブル導体からなる電極を備え、電極に計測機器としてのウエアラブルデバイスを電気的に接続することで、生体情報をウエアラブルデバイスに伝送することが可能となる。
電極とウエアラブルデバイスとの接続は、例えばフレキシブル導体に接続されるコネクタを用いることにより行うことができる。
【0003】
ただし、ウエアラブルデバイスが計測箇所から離れている場合には、計測箇所に配置された電極からコネクタの取付位置まで電路を構成する必要があり、このような電路をフレキシブル導体により形成すると、電気抵抗が高くなり、また、費用が嵩んでしまう。
そこで、フレキシブル導体からなる電極とウエアラブルデバイスとの間を、電気抵抗が低く且つ安価な電線により接続するために、衣服に配置されたフレキシブル導体に電線を接続するような小型のコネクタの開発が望まれている。
【0004】
フレキシブル導体に電線を接続するためのコネクタとして、例えば、特許文献1に、
図23に示されるようなコネクタが開示されている。このコネクタは、基板1の端部に接続された第1コネクタ2と、電線3の先端に取り付けられた第2コネクタ4を有し、第1コネクタ2に第2コネクタ4を嵌合することにより、基板1のフレキシブル導体に電線3を接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、基板1のフレキシブル導体に電線3を接続するために、基板1の端部と電線3の先端にそれぞれ別個に取り付けられた第1コネクタ2および第2コネクタ4を互いに嵌合させる必要があるため、装置が大型化すると共に、第1コネクタ2と第2コネクタ4との間において切り離し可能な接続箇所が存在することから、電気的接続の信頼性が低下するという問題がある。
【0007】
この発明は、このような従来の問題点を解消するためになされたもので、シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を信頼性よく電気的に接続しながらも小型化を図ることができるコネクタ組立体を提供することを目的とする。
また、この発明は、シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を電気的に接続する接続方法を提供することも目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明に係るコネクタ組立体は、
表面に露出するフレキシブル導体を有するシート状導電部材と、
導体部を有する電線と、
フレキシブル導体に導体部を接続するコネクタと
を備え、
コネクタは、第1保持面と第1保持面に形成された凹部を有する第1インシュレータと、第1保持面に対向する第2保持面と第2保持面に突出形成され且つ凹部に対応する凸部を有する第2インシュレータを含み、
シート状導電部材は、第1保持面上に配置された被保持部を有する第1シート部と、第2保持面上に配置されている第2シート部を有し、
第1シート部の被保持部の表面にフレキシブル導体が露出し、フレキシブル導体の端部が凹部内に配置され、
凸部の表面に沿って電線の導体部が配置された状態で凸部および電線の導体部が凹部に収容され、
第1シート部の被保持部および第2シート部が互いに重なった部分が第1保持面および第2保持面の間に挟まれるように第1インシュレータおよび第2インシュレータが互いに固定されることにより凹部内においてフレキシブル導体が電線の導体部に接触し且つ電気的に接続されることを特徴とする。
【0009】
第1シート部は、被保持部から所定の方向に沿ってコネクタの外部へ延びる延伸部を有し、被保持部は、凹部内に配置される折り込み部を有し、フレキシブル導体は、第1シート部の被保持部から延伸部に連続して配置され、フレキシブル導体の端部は、折り込み部に配置されることが好ましい。
第1シート部は、シート状の絶縁基材と、絶縁基材に所定のパターンを形成するように配置されたフレキシブル導体とを有し、第2シート部は、シート状の絶縁基材のみからなることが好ましい。
【0010】
第2シート部は、開口部を有し、開口部に凸部が挿入された状態で第2保持面上に配置されることが好ましい。
シート状導電部材は、第1シート部および第2シート部を互いに連結するシート連結部を有し、シート連結部がコネクタの外側に張り出すように構成することができる。
フレキシブル導体の端部と電線の導体部は、凸部の側面と凹部の内側面との間に挟まれることにより互いに接触し且つ電気的に接続されることが好ましい。
コネクタは、凹部内においてフレキシブル導体の端部と電線の導体部を互いに押し付けるバネ部材を有することができる。
【0011】
電線の導体部は、凸部を乗り越えるように凸部の両側面および上面に沿って配置されることが好ましい。
凸部は、両側面および上面に連続して形成された電線保持溝を有し、電線の導体部は、電線保持溝に挿入された状態で凹部に収容されることが好ましい。
第1インシュレータおよび第2インシュレータは、第1保持面および第2保持面の一方に形成されたボスが第1保持面および第2保持面の他方に形成された固定孔に挿入されることにより互いに固定されることが好ましい。
【0012】
凹部は、第1保持面に沿った所定の方向に延び、凸部は、第2保持面に沿った所定の方向に延び、シート状導電部材は、第1シート部に配置され且つ所定の方向に配列された複数のフレキシブル導体を有し、複数のフレキシブル導体が、所定の方向に配列された複数の電線の導体部にそれぞれ電気的に接続されるように構成することができる。
複数のフレキシブル導体および複数の電線は、互いに同一の方向に沿ってコネクタの外部へ延びていてもよく、あるいは、互いに反対方向に沿ってコネクタの外部へ延びていてもよい。
【0013】
この発明に係る接続方法は、
シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を接続する接続方法であって、
第1インシュレータの第1保持面と第2インシュレータの第2保持面が互いに同一面上に位置するように第1インシュレータおよび第2インシュレータがインシュレータ連結部を介して互いに連結されたコネクタ形成用部品に対して、フレキシブル導体が露出しているシート状導電部材の第1シート部の被保持部を第1保持面上に配置し且つシート連結部を介して被保持部に連結されたシート状導電部材の第2シート部を第2保持面上に配置し、
第2保持面に突出形成された凸部の表面に沿って電線の導体部を配置し、
コネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除し、
シート連結部を折り曲げることにより、第1保持面および第2保持面を互いに対向させて凸部および電線の導体部を第1シート部の被保持部に露出しているフレキシブル導体の端部と共に第1インシュレータの第1保持面に形成されている凹部に収容し、
第1シート部の被保持部および第2シート部を第1保持面および第2保持面の間に挟んで第1インシュレータおよび第2インシュレータを互いに固定することにより、凹部内においてフレキシブル導体が電線の導体部に接触し且つ電気的に接続されることを特徴とする。
【0014】
凹部は、第1保持面に沿った所定の方向に延び、凸部は、第2保持面に沿った所定の方向に延び、シート状導電部材は、第1シート部に配置され且つ所定の方向に配列された複数のフレキシブル導体を有し、複数のフレキシブル導体が、所定の方向に配列された複数の電線の導体部にそれぞれ電気的に接続されるように構成することができる。
【0015】
この場合、インシュレータ連結部は、第1インシュレータおよび第2インシュレータを所定の方向に並べた状態で連結し、シート連結部は、第1シート部および第2シート部を所定の方向に並べた状態で連結し、コネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除した後に、シート連結部を、所定の方向に対して直交する方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げることができる。
あるいは、インシュレータ連結部は、第1インシュレータおよび第2インシュレータを所定の方向に直交する方向に並べた状態で連結し、シート連結部は、第1シート部および第2シート部を所定の方向に直交する方向に並べた状態で連結し、コネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除した後に、シート連結部を、所定の方向に延びる折り曲げ線に沿って折り曲げるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、コネクタは、第1保持面と凹部を有する第1インシュレータと、第2保持面と凸部を有する第2インシュレータを含み、シート状導電部材は、第1保持面上に配置された被保持部を有する第1シート部と、第2保持面上に配置されている第2シート部を有し、第1シート部の被保持部の表面にフレキシブル導体が露出し、フレキシブル導体の端部が凹部内に配置され、凸部の表面に沿って電線の導体部が配置された状態で凸部および電線の導体部が凹部に収容され、第1シート部の被保持部および第2シート部が互いに重なって第1保持面および第2保持面の間に挟まれるように第1インシュレータおよび第2インシュレータが互いに固定されることにより凹部内においてフレキシブル導体が電線の導体部に接触し且つ電気的に接続されるので、シート状導電部材の表面に露出しているフレキシブル導体に電線の導体部を信頼性よく電気的に接続しながらも小型化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】実施の形態1に係るコネクタ組立体を斜め上方から見た斜視図である。
【
図2】実施の形態1に係るコネクタ組立体を斜め下方から見た斜視図である。
【
図3】実施の形態1に係るコネクタ組立体の組立図である。
【
図4】実施の形態1におけるコネクタ形成用部品の第2インシュレータを示す断面図である。
【
図5】実施の形態1におけるコネクタ形成用部品にシート状導電部材と電線を配置した状態を示す斜視図である。
【
図6】実施の形態1におけるコネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除した状態を示す斜視図である。
【
図7】実施の形態1に係るコネクタ組立体を示す断面図である。
【
図8】実施の形態2に係るコネクタ組立体を斜め上方から見た斜視図である。
【
図9】実施の形態2に係るコネクタ組立体を斜め下方から見た斜視図である。
【
図10】実施の形態2に係るコネクタ組立体の組立図である。
【
図11】実施の形態2におけるコネクタ形成用部品にバネ部材とシート状導電部材と電線を配置した状態を斜め上方から見た斜視図である。
【
図12】実施の形態2におけるコネクタ形成用部品にバネ部材とシート状導電部材と電線を配置した状態を斜め下方から見た斜視図である。
【
図13】実施の形態2におけるコネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除した状態を斜め上方から見た斜視図である。
【
図14】実施の形態2におけるコネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除した状態を斜め下方から見た斜視図である。
【
図15】実施の形態2における第1インシュレータと第2インシュレータを互いに固定した状態を斜め下方から見た斜視図である。
【
図16】実施の形態2に係るコネクタ組立体を示す断面図である。
【
図17】実施の形態3に係るコネクタ組立体を示す斜視図である。
【
図18】実施の形態3に係るコネクタ組立体の組立図である。
【
図19】実施の形態3におけるコネクタ形成用部品にシート状導電部材を配置した状態を示す斜視図である。
【
図20】実施の形態3におけるコネクタ形成用部品にシート状導電部材と電線を配置した状態を示す斜視図である。
【
図21】実施の形態3におけるコネクタ形成用部品からインシュレータ連結部を切除した状態を示す斜視図である。
【
図22】実施の形態3に係るコネクタ組立体を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1
図1および
図2に、実施の形態1に係るコネクタ組立体を示す。コネクタ組立体は、コネクタ11を用いてシート状導電部材21に複数の被覆電線31の導体部31Aが接続されたものである。
コネクタ11は、絶縁性樹脂材料により形成された第1インシュレータ12および第2インシュレータ13を備えている。
【0019】
シート状導電部材21は、シート状の絶縁基材21Aの表面上に複数のフレキシブル導体21Bが形成されたものである。複数のフレキシブル導体21Bは、所定の配列方向に配列され、それぞれ、直線状の延びるパターンを形成しており、シート状導電部材21の表面に露出している。
また、シート状導電部材21は、第1シート部22と第2シート部23がシート連結部24により互いに連結された構造を有しており、シート連結部24が折り曲げられることにより、第2シート部23が第1シート部22の上に重ねられた状態で、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13の間に配置されている。
【0020】
複数の被覆電線31は、シート状導電部材21の複数のフレキシブル導体21Bと同様に、所定の配列方向に配列され、それぞれ、シート状導電部材21の表面と平行に、配列方向に対して直交する方向に延びている。それぞれの被覆電線31は、導体部31Aの外周が絶縁被覆部31Bにより覆われた構造を有している。コネクタ11により、複数の被覆電線31の導体部31Aが、シート状導電部材21の表面に露出している複数のフレキシブル導体21Bに電気的に接続される。なお、被覆電線31の導体部31Aは、1本の導体により構成される、いわゆる単線、および、複数本の導体を撚り合わせて構成される、いわゆる撚り線のいずれであってもよい。
【0021】
ここで、便宜上、シート状導電部材21がXY面に沿って延び、複数のフレキシブル導体21Bおよび複数の被覆電線31の所定の配列方向をX方向、それぞれの被覆電線31がコネクタ11に向かって延びる方向を+Y方向、XY面に直交する方向をZ方向と呼ぶことにする。
【0022】
図3に、実施の形態1に係るコネクタ組立体の組立図を示す。複数の被覆電線31の-Z方向側にシート状導電部材21が配置され、シート状導電部材21の-Z方向側にコネクタ形成用部品11Aが配置されている。
コネクタ組立体の組み立てには、コネクタ形成用部品11Aが用いられる。コネクタ形成用部品11Aは、絶縁性樹脂材料により形成されており、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13がインシュレータ連結部14により互いに連結された構造を有している。
【0023】
第1インシュレータ12は、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた第1保持面12Aを有し、第1保持面12AにX方向に延び且つ-Z方向に窪む凹部12Bが形成されている。また、凹部12Bの外側における第1保持面12Aに、+Z方向に向かって突出する一対のボス12Cと、-Z方向に窪む一対の固定孔12Dが形成されている。
【0024】
第2インシュレータ13は、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた第2保持面13Aを有し、第2保持面13AにX方向に延び且つ+Z方向に向かって突出する凸部13Bが形成されている。また、凸部13Bの外側における第2保持面13Aに、+Z方向に向かって突出する一対のボス13Cと、-Z方向に窪む一対の固定孔13Dが形成されている。凸部13Bは、第1インシュレータ12の凹部12Bに対応し、一対のボス13Cおよび一対の固定孔13Dは、第1インシュレータ12の一対のボス12Cおよび一対の固定孔12Dに対応している。凸部13Bには、それぞれ、YZ面上に延びる複数の電線保持溝13Eが形成されている。これら複数の電線保持溝13Eは、複数の被覆電線31の導体部31Aに対応している。
【0025】
インシュレータ連結部14は、第1インシュレータ12と第2インシュレータ13をX方向に並べた状態で、第1インシュレータ12の-Y方向側の側面と第2インシュレータ13の-Y方向側の側面を連結しており、インシュレータ連結部14により、第1インシュレータ12の第1保持面12Aと第2インシュレータ13の第2保持面13Aは、互いに同一のXY面上に位置している。
【0026】
シート状導電部材21の第1シート部22は、第1インシュレータ12のX方向の長さに相当するX方向の幅を有し、第1シート部22の-Y方向端部に、第1インシュレータ12の第1保持面12Aに対応する被保持部22Aが配置され、被保持部22Aの+Y方向側に、+Y方向に向かって延びる延伸部22Bが配置されている。被保持部22Aと延伸部22Bは、Y方向に連続して一体に形成されている。
【0027】
被保持部22Aには、X方向に長く延びるH形状の開口部22Cが形成されている。開口部22Cは、第1インシュレータ12の凹部12Bに対応するもので、開口部22Cの+Y方向の縁部および-Y方向の縁部には、それぞれ、コネクタ組立体の組み立て時に第1インシュレータ12の凹部12Bに折り込まれる折り込み部22Dが形成されている。
+Z方向を向いた第1シート部22の表面には、それぞれ直線状のパターンを有する複数のフレキシブル導体21Bが、Y方向に沿って被保持部22Aから延伸部22Bに連続して延びており、複数のフレキシブル導体21Bの-Y方向の端部21Cが、開口部22Cの+Y方向の縁部に位置する折り込み部22Dの表面上に配置されている。
【0028】
シート状導電部材21の第2シート部23は、シート連結部24を介して第1シート部22の被保持部22Aの-X方向側に並ぶように連結されており、X方向に長く延びる矩形の開口部23Aを有している。開口部23Aは、第2インシュレータ13の凸部13Bに対応している。また、シート連結部24の中央部には、開口部24Aが形成されている。
第2シート部23は、シート状導電部材21を構成する絶縁基材21Aのみから形成されており、第2シート部23にフレキシブル導体21Bは形成されていない。
【0029】
さらに、開口部22Cの周辺における第1シート部22に、複数の貫通孔22Eが形成され、開口部23Aの周辺における第2シート部23に、複数の貫通孔23Bが形成されている。
これら複数の貫通孔22Eおよび23Bは、第1インシュレータ12の一対のボス12Cおよび一対の固定孔12Dと第2インシュレータ13の一対のボス13Cおよび一対の固定孔13Dに対応している。
【0030】
なお、
図4に示されるように、第2インシュレータ13の電線保持溝13Eは、YZ面上において、凸部13Bの-Y方向側の側面および+Y方向側の側面と+Z方向側の上面に連続して形成されている。この電線保持溝13Eは、コネクタ組立体の組み立て時に、対応する被覆電線31の導体部31Aを保持するためのものである。
【0031】
コネクタ組立体を組み立てる際には、まず、
図5に示されるように、コネクタ形成用部品11Aの上にシート状導電部材21が配置される。このとき、第1シート部22の被保持部22Aは、第1インシュレータ12の第1保持面12A上に配置され、被保持部22Aの開口部22Cは、第1インシュレータ12の凹部12Bの+Z方向側に位置する。また、第2インシュレータ13の凸部13Bが第2シート部23の開口部23Aを貫通し、第2シート部23は、第2インシュレータ13の第2保持面13A上に配置される。
さらに、第1インシュレータ12の一対のボス12Cが、第1シート部22の対応する貫通孔22Eを貫通し、第2インシュレータ13の一対のボス13Cが、第2シート部23の対応する貫通孔23Bを貫通する。
【0032】
次に、複数の被覆電線31が、第2インシュレータ13の-Y方向側に配置され、それぞれの被覆電線31の絶縁被覆部31Bから引き出された導体部31Aが、第2シート部23の開口部23Aを貫通して+Z方向に突出している第2インシュレータ13の凸部13Bの対応する電線保持溝13Eに挿入される。導体部31Aは、凸部13Bを乗り越えるように、凸部13Bの-Y方向側の側面から+Z方向側の上面を介して+Y方向側の側面まで連続して形成されている電線保持溝13Eに挿入されることで、凸部13Bに保持される。
なお、電線保持溝13Eの深さは、導体部31Aの径よりも浅く設定されており、導体部31Aは、電線保持溝13E内に完全に埋没することなく、一部が凸部13Bの側面および上面から張り出した状態で凸部13Bに保持されるものとする。
【0033】
この状態で、
図6に示されるように、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13からインシュレータ連結部14が切除される。例えば、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13に接続されるインシュレータ連結部14の根本部に予め切り込みを形成する等により、専用の切断治具等を用いることなく、容易にインシュレータ連結部14を切除し得るようにすることもできる。
インシュレータ連結部14を切除することにより、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13は、互いに分離することとなるが、シート状導電部材21の第1シート部22と第2シート部23は、シート連結部24により互いに連結された状態にある。
【0034】
そこで、複数の被覆電線31および複数のフレキシブル導体21Bの配列方向であるX方向に対して直交するY方向に沿って延びる折り曲げ線Lに沿ってシート連結部24を折り曲げることにより、第1インシュレータ12の第1保持面12Aおよび第2インシュレータ13の第2保持面13Aが互いに対向するように、第2インシュレータ13と第2インシュレータ13に保持されている第2シート部23および複数の被覆電線31を折り曲げ線Lの回りに180度回転させる。
このとき、シート連結部24の中央部に開口部24Aが形成されているため、シート連結部24を容易に折り曲げることができる。
【0035】
これにより、第2インシュレータ13の凸部13Bおよび凸部13Bに保持されている複数の被覆電線31の導体部31Aは、第1シート部22の被保持部22Aの折り込み部22Dを折り込みながら、開口部22Cを通って第1インシュレータ12の凹部12Bに収容される。
【0036】
その結果、
図7に示されるように、被保持部22Aの折り込み部22Dと被覆電線31の導体部31Aは、凸部13Bの側面と凹部12Bの内側面との間に挟まれた状態となる。ここで、被保持部22Aの折り込み部22Dの表面上には、フレキシブル導体21Bの-Y方向の端部21Cが配置されているため、フレキシブル導体21Bの端部21Cは、被覆電線31の導体部31Aに所定の接触圧で接触し、導体部31Aに電気的に接続される。
同様にして、複数のフレキシブル導体21Bの端部21Cが、複数の被覆電線31の導体部31Aにそれぞれ電気的に接続される。
【0037】
また、第1インシュレータ12の第1保持面12Aおよび第2インシュレータ13の第2保持面13Aを互いに対向させて第2シート部23を被保持部22Aの上に重ねることにより、第2シート部23が被保持部22Aの上に重なって接触する状態となり、
図3に示される第1インシュレータ12の一対のボス12Cが、第2シート部23の対応する貫通孔23Bを貫通して第2インシュレータ13の固定孔13Dに嵌め込まれ、第2インシュレータ13の一対のボス13Cが、第1シート部22の対応する貫通孔22Eを貫通して第1インシュレータ12の一対の固定孔12Dに嵌め込まれる。
【0038】
これにより、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13は、互いに固定されて、コネクタ11を形成する。なお、耐水性接着剤等を用いて、互いに重ねられた第1インシュレータ12、被保持部22A、第2シート部23および第2インシュレータ13を接着することにより、防水型のコネクタ組立体を実現することができる。
【0039】
このように、第1シート部22の貫通孔22Eおよび第2シート部23の貫通孔23Bと第1インシュレータ12のボス12Cおよび第2インシュレータ13のボス13Cを利用してシート状導電部材21が位置合わせされたコネクタ形成用部品11Aの第2インシュレータ13の凸部13Bの電線保持溝13Eに被覆電線31の導体部31Aを保持させることにより、コネクタ組立体の小型化を図りながら、シート状導電部材21のフレキシブル導体21Bと被覆電線31の導体部31Aを互いに位置合わせして信頼性の高い電気的接続を確立することができる。
【0040】
また、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13をインシュレータ連結部14により連結した構成の1つのコネクタ形成用部品11Aを用いることで、部品点数を削減し、インシュレータ連結部14を切り離した後は、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13がシート状導電部材21のシート連結部24を介して連結されることとなり、シート連結部24を折り曲げることで、容易にコネクタ組立体を組み立てることが可能となる。
【0041】
また、
図7に示されるように、被覆電線31から引き出された導体部31Aの根本部分が、第1シート部22および第2シート部23を介して第1インシュレータ12および第2インシュレータ13の間に挟まれているため、被覆電線31は、コネクタ11に対して堅固に保持されており、被覆電線31またはコネクタ11に外力が作用しても、被覆電線31がダメージを受けることは防止される。
なお、コネクタ組立体の組み立て時に折り曲げられたシート状導電部材21のシート連結部24は、
図1および
図2に示されるように、第1インシュレータ12および第2インシュレータ13からなるコネクタ11の-X方向の外側に張り出しているが、張り出したシート連結部24を切除することもできる。
【0042】
実施の形態2
図8および
図9に、実施の形態2に係るコネクタ組立体を示す。このコネクタ組立体は、実施の形態1のコネクタ組立体において、第1インシュレータ12の代わりに第1インシュレータ42を用いて、第1インシュレータ42と第2インシュレータ13によりコネクタ41を構成し、さらに、後述する複数のバネ部材をコネクタ41内に組み込んだものである、
【0043】
図10に、実施の形態2に係るコネクタ組立体の組立図を示す。複数の被覆電線31の-Z方向側にシート状導電部材21が配置され、シート状導電部材21の-Z方向側にキャリア51に連結された複数のバネ部材52が配置され、複数のバネ部材52の-Z方向側にコネクタ形成用部品41Aが配置されている。
シート状導電部材21および被覆電線31は、いずれも、実施の形態1で用いられたものと同一である。
【0044】
コネクタ形成用部品41Aは、実施の形態1で用いられたコネクタ形成用部品11Aにおいて、第1インシュレータ12の代わりに第1インシュレータ42がインシュレータ連結部14を介して第2インシュレータ13に連結されたものであり、絶縁性樹脂材料により形成されている。
【0045】
第1インシュレータ42は、実施の形態1で用いられた第1インシュレータ12に、複数のバネ部材保持溝42Aが形成されたものである。すなわち、第1インシュレータ42は、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた第1保持面12Aを有し、第1保持面12AにX方向に延び且つ-Z方向に窪む凹部12Bが形成されている。凹部12Bの+Y方向側に複数のバネ部材保持溝42Aが形成されている。バネ部材保持溝42Aは、第1保持面12Aから凹部12Bの+Y方向側の内面にまで延びている。
また、凹部12Bの外側における第1保持面12Aに、+Z方向に向かって突出する一対のボス12Cと、-Z方向に窪む一対の固定孔12Dが形成されている。
【0046】
キャリア51に連結された複数のバネ部材52は、金属材料から形成され、それぞれ、XY面に沿ってキャリア51から-Y方向に延びる帯板形状の保持部52Aと、保持部52Aの-Y方向端部で屈曲して-Z方向に延びるバネ部52Bを有している。
【0047】
コネクタ組立体を組み立てる際には、まず、
図10に示される第1インシュレータ42の複数のバネ部材保持溝42Aに、+Z方向から複数のバネ部材52が配置されて保持される。複数のバネ部材52は、キャリア51に連結された状態で、第1インシュレータ42に保持され、バネ部52Bが第1インシュレータ42の凹部12B内に面した状態となる。
【0048】
次に、
図11に示されるように、コネクタ形成用部品41Aおよび複数のバネ部材52の上にシート状導電部材21が配置される。このとき、実施の形態1と同様に、第1シート部22の被保持部22Aは、第1インシュレータ42の第1保持面12A上に配置され、第2シート部23は、第2インシュレータ13の第2保持面13A上に配置される。
さらに、複数の被覆電線31の導体部31Aが、第2シート部23の開口部23Aを貫通して+Z方向に突出している第2インシュレータ13の凸部13Bの対応する電線保持溝13Eに挿入され、保持される。
さらに、第1インシュレータ42の一対のボス12Cが、第1シート部22の対応する貫通孔22Eを貫通し、第2インシュレータ13の一対のボス13Cが、第2シート部23の対応する貫通孔23Bを貫通する。
【0049】
このとき、
図12に示されるように、複数のバネ部材52に連結されたキャリア51は、第1インシュレータ42から+Y方向に延びるシート状導電部材21の延伸部22Bの-Z方向を向いた裏面上に位置している。
【0050】
この状態で、
図13および
図14に示されるように、第1インシュレータ42および第2インシュレータ13からインシュレータ連結部14が切除される。これにより、第1インシュレータ42および第2インシュレータ13は、互いに分離することとなるが、シート状導電部材21の第1シート部22と第2シート部23は、シート連結部24により互いに連結された状態にある。
【0051】
そこで、Y方向に沿って延びる折り曲げ線Lに沿ってシート連結部24を折り曲げることにより、第2インシュレータ13と第2インシュレータ13に保持されている第2シート部23および複数の被覆電線31を折り曲げ線Lの回りに180度回転させる。
【0052】
これにより、第2インシュレータ13の凸部13Bおよび凸部13Bに保持されている複数の被覆電線31の導体部31Aは、第1シート部22の被保持部22Aの折り込み部22Dを折り込みながら、開口部22Cを通って第1インシュレータ42の凹部12Bに収容される。
【0053】
また、
図15に示されるように、第1インシュレータ42の+Z方向側に第2インシュレータ13が重ねられ、実施の形態1と同様にして、第1インシュレータ42および第2インシュレータ13が互いに固定されることにより、コネクタ41が形成される。このとき、
図10に示される複数のバネ部材52が、第1シート部22の被保持部22Aの-Z方向を向いた裏面により+Z方向から押さえ付けられることにより、コネクタ41内に固定される。
【0054】
このようにしてコネクタ41が形成された後、第1インシュレータ42からシート状導電部材21の延伸部22Bの-Z方向を向いた裏面に沿って+Y方向に延びているキャリア51が、複数のバネ部材52から切り離される。例えば、複数のバネ部材52の帯板形状の保持部52Aに予め切り込み、または、溝を形成する等により、専用の切断治具等を用いることなく、容易にキャリア51を切り離すことができるようにしてもよい。
【0055】
図16に示されるように、コネクタ41の内部においては、被保持部22Aの折り込み部22Dと被覆電線31の導体部31Aが、凸部13Bの側面とバネ部材52のバネ部52Bとの間に挟まれた状態となり、折り込み部22Dの表面上に配置されているフレキシブル導体21Bの端部21Cは、バネ部52Bの弾性力により被覆電線31の導体部31Aに所定の接触圧で接触し、導体部31Aに電気的に接続される。
同様にして、複数のフレキシブル導体21Bの端部21Cが、複数の被覆電線31の導体部31Aにそれぞれ電気的に接続される。
【0056】
このように、実施の形態2のコネクタ組立体においては、第2インシュレータ13を第1インシュレータ42に固定することでコネクタ組立体の小型化を図りながら、バネ部材52の存在により、シート状導電部材21のフレキシブル導体21Bと被覆電線31の導体部31Aの電気的接続の信頼性を向上させることが可能となる。
【0057】
実施の形態3
図17に、実施の形態3に係るコネクタ組立体を示す。このコネクタ組立体は、コネクタ61を用いてシート状導電部材71に複数の被覆電線31の導体部31Aが接続されたものである。
コネクタ61は、絶縁性樹脂材料により形成された第1インシュレータ12および第2インシュレータ63を備えている。
被覆電線31および第1インシュレータ12は、実施の形態1のコネクタ組立体において用いられたものと同一である。
【0058】
図18に、実施の形態3に係るコネクタ組立体の組立図を示す。複数の被覆電線31の-Z方向側にシート状導電部材71が配置され、シート状導電部材71の-Z方向側にコネクタ形成用部品61Aが配置されている。
【0059】
コネクタ形成用部品61Aは、実施の形態1で用いられたコネクタ形成用部品11Aにおいて、第2インシュレータ13の代わりに第2インシュレータ63が一対のインシュレータ連結部64を介して第1インシュレータ12に連結されたものであり、絶縁性樹脂材料により形成されている。
【0060】
第2インシュレータ63は、実施の形態1で用いられた第2インシュレータ13に複数の電線収容溝63Aが形成されたものである。すなわち、第2インシュレータ63は、XY面に沿って延び且つ+Z方向を向いた第2保持面13Aを有し、第2保持面13AにX方向に延び且つ+Z方向に向かって突出する凸部13Bが形成されている。凸部13Bにそれぞれ、YZ面上に延びる複数の電線保持溝13Eが形成され、これら複数の電線保持溝13Eに対応して、第2インシュレータ63の+Y方向側の側面に、第2保持面13Aから-Z方向に延びる複数の電線収容溝63Aが形成されている。
また、凸部13Bの外側における第2保持面13Aに、+Z方向に向かって突出する一対のボス13Cと、-Z方向に窪む一対の固定孔13Dが形成されている。
【0061】
第2インシュレータ63は、第1インシュレータ12と同じX方向位置で且つ第1インシュレータ12の+Y方向側に並ぶように配置されており、第1インシュレータ12の+X方向側の側面および-X方向側の側面と第2インシュレータ63の+X方向側の側面および-X方向側の側面が、一対のインシュレータ連結部64により連結されている。一対のインシュレータ連結部64により、第1インシュレータ12の第1保持面12Aと第2インシュレータ63の第2保持面13Aは、互いに同一のXY面上に位置している。
【0062】
シート状導電部材71は、実施の形態1で用いられたシート状導電部材21において、延伸部22Bが被保持部22Aの-Y方向側に位置するように第1シート部22を配置し、第2シート部23が被保持部22Aの+Y方向側に並ぶように、シート連結部74を介して第1シート部22に第2シート部23を連結したものである。すなわち、第1シート部22と第2シート部23は、互いに同じX方向位置に配置されている。第1シート部22の被保持部22AにおけるH形状の開口部22Cから-Y方向に向かって複数のフレキシブル導体21Bが延び、開口部22Cの-Y方向側の縁部に形成された折り込み部22Dに複数のフレキシブル導体21Bの端部21Cが配置されている。
また、第2シート部23には、X方向に長く延びる矩形の開口部23Aが形成されている。さらに、シート連結部74の中央部には、開口部74Aが形成されている。
【0063】
コネクタ組立体を組み立てる際には、まず、
図19に示されるように、コネクタ形成用部品61Aの上にシート状導電部材71が配置される。このとき、第1シート部22の被保持部22Aは、第1インシュレータ12の第1保持面12A上に配置され、第2シート部23は、第2インシュレータ63の第2保持面13A上に配置される。また、第2インシュレータ63の凸部13Bが第2シート部23の開口部23Aを貫通する
さらに、第1インシュレータ12の一対のボス12Cが、第1シート部22の対応する貫通孔22Eを貫通し、第2インシュレータ63の一対のボス13Cが、第2シート部23の対応する貫通孔23Bを貫通する。
【0064】
次に、
図20に示されるように、複数の被覆電線31が、第2インシュレータ63の+Y方向側に配置され、それぞれの被覆電線31の絶縁被覆部31Bから-Y方向に引き出された導体部31Aが、第2インシュレータ63の凸部13Bの対応する電線保持溝13Eに挿入され、保持される。
なお、被覆電線31から-Y方向に引き出された導体部31Aは、+Z方向に屈曲されて、
図18に示される第2インシュレータ63の電線収容溝63Aに収容され、さらに、第2シート部23の+Y方向端部で-Y方向に屈曲されて凸部13Bの電線保持溝13Eに挿入される。
【0065】
この状態で、
図21に示されるように、第1インシュレータ12および第2インシュレータ63から一対のインシュレータ連結部64が切除される。これにより、第1インシュレータ12および第2インシュレータ63は、互いに分離することとなるが、シート状導電部材71の第1シート部22と第2シート部23は、シート連結部74により互いに連結された状態にある。
【0066】
そこで、複数の被覆電線31および複数のフレキシブル導体21Bの配列方向であるX方向に沿って延びる折り曲げ線Lに沿ってシート連結部74を折り曲げることにより、第2インシュレータ63と第2インシュレータ63に保持されている第2シート部23および複数の被覆電線31を折り曲げ線Lの回りに180度回転させる。
このとき、シート連結部74の中央部に開口部74Aが形成されているため、シート連結部74を容易に折り曲げることができる。
【0067】
これにより、第2インシュレータ63の凸部13Bおよび凸部13Bに保持されている複数の被覆電線31の導体部31Aは、第1シート部22の被保持部22Aの折り込み部22Dを折り込みながら、開口部22Cを通って第1インシュレータ12の凹部12Bに収容される。また、実施の形態1と同様にして、第1インシュレータ12および第2インシュレータ63が互いに固定されることにより、コネクタ61が形成される。
【0068】
その結果、
図22に示されるように、被保持部22Aの折り込み部22Dと被覆電線31の導体部31Aは、凸部13Bの側面と凹部12Bの内側面との間に挟まれた状態となる。ここで、被保持部22Aの折り込み部22Dの表面上には、フレキシブル導体21Bの端部21Cが配置されているため、フレキシブル導体21Bの端部21Cは、被覆電線31の導体部31Aに所定の接触圧で接触し、導体部31Aに電気的に接続される。
同様にして、複数のフレキシブル導体21Bの端部21Cが、複数の被覆電線31の導体部31Aにそれぞれ電気的に接続される。
【0069】
なお、
図22において、シート状導電部材71の第1シート部22の延伸部22Bおよび被覆電線31は、いずれもコネクタ61から-Y方向に延びているが、被覆電線31の導体部31Aの一部が、第2インシュレータ63の側面に形成され且つZ方向に延びる電線収容溝63Aに収容されているため、被覆電線31の絶縁被覆部31Bが延伸部22Bの+Z方向の表面上に位置する状態となる。すなわち、被覆電線31の絶縁被覆部31Bおよびシート状導電部材71の延伸部22Bは、Z方向において互いに干渉することなく、-Y方向に延びることができる。
【0070】
このように、実施の形態3のコネクタ組立体においても、第2インシュレータ63を第1インシュレータ12に固定することでコネクタ組立体の小型化を図りながら、シート状導電部材21のフレキシブル導体21Bと被覆電線31の導体部31Aを信頼性よく電気的に接続することが可能となる。
なお、実施の形態3においても、実施の形態2と同様に、バネ部材52をコネクタ61内に組み込むことにより、シート状導電部材71のフレキシブル導体21Bと被覆電線31の導体部31Aの電気的接続の信頼性を向上させることができる。
【0071】
なお、上記の実施の形態1~3では、シート状導電部材21、71の表面に露出する3つのフレキシブル導体21Bが、3本の被覆電線31の導体部31Aに電気的に接続されているが、これに限るものではなく、同様にして、1つ以上のフレキシブル導体21Bを1本以上の被覆電線31の導体部31Aに電気的に接続することができる。
【0072】
また、上記の実施の形態1~3では、シート状導電部材21、71のフレキシブル導体21Bに接続される電線として、被覆電線31が用いられているが、外周が絶縁被覆部31Bにより覆われていない導体部31Aのみの電線をシート状導電部材21、71のフレキシブル導体21Bに接続することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1 基板、2 第1コネクタ、3 電線、4 第2コネクタ、11,41,61 コネクタ、11A,41A,61A コネクタ形成用部品、12,42 第1インシュレータ、12A 第1保持面、12B 凹部、12C,13C ボス、12D,13D 固定孔、13,63 第2インシュレータ、13A 第2保持面、13B 凸部、13E 電線保持溝、14,64 インシュレータ連結部、21,71 シート状導電部材、21A 絶縁基材、21B フレキシブル導体、22 第1シート部、22A 被保持部、22B 延伸部、22C,23A 開口部、22D 折り込み部、22E,23B 貫通孔、23 第2シート部、24,74 シート連結部、31 被覆電線、31A 導体部、31B 絶縁被覆部、42A バネ部材保持溝、51 キャリア、52 バネ部材、52A 保持部、52B バネ部、63A 電線収容溝、L 折り曲げ線。