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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078685
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】車両用LED灯具
(51)【国際特許分類】
   F21S 43/14 20180101AFI20240604BHJP
   F21S 45/42 20180101ALI20240604BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20240604BHJP
   F21W 103/20 20180101ALN20240604BHJP
   F21W 103/00 20180101ALN20240604BHJP
【FI】
F21S43/14
F21S45/42
F21V23/00 140
F21W103:20
F21W103:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191174
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】516370235
【氏名又は名称】株式会社REIZ
(74)【代理人】
【識別番号】100189865
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 正寛
(74)【代理人】
【識別番号】100094215
【弁理士】
【氏名又は名称】安倍 逸郎
(72)【発明者】
【氏名】石田 晋士
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】普及版などの一般的の発光半導体素子を用いた場合でも過度に明るくなることを抑制することができる灯具を提供する。
【解決手段】LED灯具10のファン21はLED素子11に電気的に並列接続され、通電時にLED素子11に向けて送風する。カバー部18は、LED素子11の発光部をその発光方向外側から覆うように配置されており、発光部から発光される光量を物理的に減少させた状態で発光部の光を透過させる光量調整部18aを有して構成される。LED素子11は3個で1組をなし、その配置は、1組のLED素子11のうち、2個のLED素子11を灯具の上下方向に沿って並設する。残りのLED素子11は、2個のLED素子11の左右方向に沿うように設ける。1組のLED素子11は、上下方向と直行する方向を中心軸としたとき、上下対称となるように配置する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光部を有する発光半導体素子と、
前記発光半導体素子に対し電気的に並列接続され、通電時に前記発光半導体素子に向けて送風するファンと、
前記発光部から発光される光量を物理的に減少させた状態で前記発光部の光を外部に放射する光量調整部を有する灯具。
【請求項2】
前記発光半導体素子は3個で1組をなし、前記灯具に複数組の半導体素子が設けられ、
前記1組の半導体素子は、2個の半導体素子が灯具の上下方向に沿って並設され、1個の半導体素子は、2個の半導体素子の左右方向に沿うように設けられるとともに、1組の半導体素子は、上下方向と直行する方向を中心軸としたとき、上下対称となるように配置される請求項1に記載の灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車および二輪車などの車両に搭載される灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車および二輪車などの車両において、その左右両側には左右一対のウインカーが配設される。この左右一対のウインカーのそれぞれにはバルブ(灯具の一例)が内設されており、そのバルブが点滅することでその左右一対のウインカーは車両の、左折または右折などの進行方向を外部の車両や歩行者などに報知する。
【0003】
近年、灯具の省エネ化や、発光半導体素子(LED:Light Emitting Diode、以下「LED素子」ともいう。)の普及などにより、車両においてもそのヘッドライトまたは、ウインカーなどの信号灯具などの照明装置にLED素子が広く採用されるようになった。また、LED素子を含む灯具(以下「LED灯具」ともいう。)では、そのLED素子が点灯した際の消費電力の定格は、純正・標準のウインカーのバルブと同等に設定されている場合が多い。
【0004】
そのような状況下において、従来の灯具に代えてLED灯具を用いようとする需要が存在する。しかしながら、従来の灯具に代えてLED灯具を用いる際には、LED灯具は過度に明るくなってしまう嫌いがある。
【0005】
そこで、このような問題を解消する技術として、発光部を有する発光半導体素子と、発光半導体素子に対し電気的に並列接続され、通電時に前記発光半導体素子に向けて送風するファンと、発光部をその発光方向外側から覆うように配置されるカバー部と、を含み、カバー部は、前記発光部から発光される光量を減少させた状態で前記発光部の光を透過させる透過フィルタ膜部を有するLED灯具等が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5947964号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のLED灯具は、カバー部に設けられた透過フィルタ膜部を通じて光量を光学的に低減させるものであり、製造メーカが設計したものを車両に取り付けることしかできず、ユーザが光量を調整することができなかった。
【0008】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであり、灯具のカバー部の表面に、回転可能な光量調整部材を設け、物理的に光量を調整することができれば、課題解決に寄与できることを知見し、本発明を完成させた。
本発明は、普及版などの一般的の発光半導体素子を用いた場合でも過度に明るくなることを抑制することができる灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、発光部を有する発光半導体素子と、前記発光半導体素子に対し電気的に並列接続され、通電時に前記発光半導体素子に向けて送風するファンと、前記発光部から発光される光量を物理的に減少させた状態で前記発光部の光を外部に放射する光量調整部を有する灯具である。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記発光半導体素子は3個で1組をなし、前記灯具に複数組の半導体素子が設けられ、前記1組の半導体素子は、2個の半導体素子が灯具の上下方向に沿って並設され、1個の半導体素子は、2個の半導体素子の左右方向に沿うように設けられるとともに、1組の半導体素子は、上下方向と直行する方向を中心軸としたとき、上下対称となるように配置される請求項1に記載の灯具である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、普及版などの一般的の発光半導体素子を用いた場合でも、光量を調整することができ、過度に明るくなることを抑制することができる。
【0012】
特に請求項2に記載の発明によれば、半導体素子1個と半導体素子2個を横並びに配置することで組を構成する。そして、光量調整部により、発光の光量を、半導体素子2個分、1個分、1.5個分、0.5個分などと調整を容易に行うことができる。
自動車のウインカー灯体の設置位置(高さ)やリフレクターの大きさにより、対向車や後続車へ向かう明るさも異なるため、最適な明るさを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係る灯具を説明する斜視図である。
図2図1に示す灯具の上面図である。
図3図1に示すA-A断面図である。
図4】本発明の実施形態に係る灯具のLED素子の配置を示す平面図である。
図5図1に示す灯具の電気回路の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る灯具(以下「LED灯具」ともいう。)に関する実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
本発明に係る実施形態の灯具10(以下「LED灯具」ともいう。)の物理的構成は、
複数(本実施形態では18個)の発光半導体素子11(以下「LED素子11」ともいう。)と、筐体部12と、ファン21と、ファン保持部22と、を含んで構成される。
【0015】
複数のLED素子11は、外方に光を放射する発光部(不図示)を有する。また、複数のLED素子11は、3つで1組(以下この組を「ユニット」ともいう。)を構成しており、本実施形態ではLED素子11は18個用いられるので、合計、6組のユニット11Aが組成される。1つのユニット11Aにつき3個のLED素子11のうち2個のLED素子11は、隣接して直線状に(図中で上下方向に沿って)並設され、残りの1個のLED素子11は、2個のLED11の横方向に並設され、かつ、3個のLED素子が、上下方向と直行する方向に延びる中心軸に対して上下対象となるようにLED素子が配置される。LED素子11のユニット11Aのそれぞれでは通電されるとその3つのLED素子11が同時に点灯する。
【0016】
筐体部12は、金属製部材(例えばアルミホイール製部材)からなり全体的に略円筒状に形成される。また、筐体部12は、LED固定部13と、カバー部18と、ベース部20と、を有して構成される。
【0017】
LED固定部13は、有底の略円筒状に形成されており、先端部に開口部14を有する。LED固定部13の外周面には周方向に亘(わた)って段部15が設けられる。この段部15により、LED固定部13の外周面には、大径部16および小径部17が設けられる。LED固定部13の小径部17の外周面に、複数のLED素子11のユニット11Aのそれぞれが、周方向で、略等間隔で、並列して貼設または埋設される。つまり、複数のLED素子11のそれぞれは、LED固定部13の表面に固設されており、通電時にLED固定部13(LED灯具10の本体)の径方向外側に向けて放射して発光する。
【0018】
カバー部18は、合成樹脂部材からなり略円筒状に形成される。また、カバー部18の内径がLED固定部13の小径部17の外径よりも若干大きく設けられる。カバー部18の内側にLED固定部13の小径部17が、複数のLED素子11がその表面で固設された状態で挿入される。この挿入により、カバー部18の一端面がLED固定部13の段部15の端面に当接し、その当接された状態でカバー部18がLED固定部13に取付固定される。つまり、カバー部18はLED素子11の発光部のそれぞれをその発光方向外側から一体部に覆うように設けられる。また、LED素子11のそれぞれは、カバー部18の内周面と、LED固定部13の小径部17の外周面と、の間、換言すればカバー部18の内部に配置されることになる。
【0019】
また、カバー部18の少なくとも表面には、LED素子11の発光部から発光される光量を減少させた状態で発光部の光を透過させる透過フィルタ膜部19が形成されていてもよく、その場合、例えばカバー部18は、その外観は白濁して設けられてもよい。それにより、LED灯具10のLED素子11として、普及版のものを用いた場合でも過度に明るくなることを抑制して、コスト削減および車両安全の確保を図ることが可能となる。
なお、透過フィルタ膜部19を設ける場合には、例えばカバー部18の外周面を所定の塗料素材でコーティングするか、またはカバー部18の合成樹脂の材料に同様な素材を混合した上で射出成形などしてカバー部18と一体に設けられるが、これに限定されない。透過フィルタ膜部19としては、光量を減少させてその光を透過可能なフィルタ機能を有するものであれば適宜種々の部材または材料を採用することが可能である。
【0020】
また、カバー部18(透過フィルタ膜部19が設けられている場合には透過フィルタ膜部19)と接するように光量調整部18aが設けられている。光量調整部18aは平面視して、中空円形の金属製の部材であり、カバー部18(または透過フィルタ部19)を囲うように設けられている。光量調整部18aには正面視して長方形の透過孔が形成され、この透過孔からLED素子11の発光部から発光された光が外部に向けて放射される。
【0021】
ベース部20は、LED固定部13に一体に設けられ、板状に形成される。ベース部20は、その先端部でLED固定部13の基端部に連結する。ベース部20の先端部の幅寸法は、LED固定部13の外周形状と略一致して設けられる。
なお、LED固定部13の外径は、取り付ける車両における正規品(従来品)のLED灯具の大きさにより規定される。
【0022】
ファン21は、抵抗器としてのモータ(不図示)と、モータの回転軸に固着されるプロペラ(不図示)と、を含んで、送風可能に構成される。このファン21は、金具(不図示)を用いてファン保持部22の貫通孔23(後述)の内部に配置される。
なお、本実施形態では、ファン21は市販品ものが用いられるが、それに限定されず、本実施形態のLED灯具10専用に設計されてもよい。
【0023】
ファン保持部22は、金属製部材(例えばアルミホイール製部材)からなり、略円筒状に形成されてその軸方向に(図中で上下方向に沿って)延在する貫通孔23を有する。また、LED固定部13と同様にファン保持部22の外周面には周方向に亘って段部24が設けられ、ファン保持部22は大径部25および小径部26を有する。ファン保持部22の小径部26の外径は、LED固定部13の内径より小さく設けられる。ファン保持部22は、その小径部26でLED固定部13の内側にその開口部14から挿嵌されて取り付けられる。
【0024】
ファン保持部22の貫通孔23の内周壁には保持金具(不図示)が配設される。この保持金具が、ファン保持部22の貫通孔23の上側においてその内側にファン21を、その貫通孔23とファン21とに間隙を在して保持する。この間隙により、貫通孔23に送られる空気が断熱材として機能することが可能となる。また、ファン保持部22は、その小径部26がLED固定部13の内部に挿嵌された状態で、連結金具によってLED固定部13に固着される。
なお、この連結金具27での固着により、カバー部18はLED固定部13から離脱不能に固定されることになる。
【0025】
[LED灯具の電気回路の構成について]
次に図5を参照して、LED灯具10の電気回路の構成について説明する。図5は、図1に示すLED灯具10の電気回路の構成を示す回路図である。
【0026】
図5に示すように、電気回路は、電源として定電流装置30を有し、負荷として、1つのファン21と、複数(本実施形態では6つ)の抵抗素子31と、複数(本実施形態では6組)のLED素子11のユニット11Aと、を有する。
【0027】
定電流装置30は、定電流ダイオード(不図示)を並列接続し、LED素子11およびファン21に一定電流を安定的に供給する。
なお、定電流装置30は、LED固定部13の内部に収納される(図4参照)。
【0028】
複数のLED素子11のユニット11Aのそれぞれに、複数の抵抗素子31のそれぞれが電気的に直列接続される。この1つのLED素子11のユニット11Aおよび1つの抵抗素子31で1つのLED素子11-抵抗のユニット31Aを組成し、これら6組のLED素子11-抵抗のユニット31Aのそれぞれが、互いに並列に電気的に接続する。さらに、これら6組のLED素子11-抵抗のユニット31Aに対してファン21も同様に電気的に並列接続される。これら負荷としての、LED素子11、抵抗素子31およびファン21は、定電流装置30に接続されており、それにより、LED灯具10として1つの電気回路が構成される。
【0029】
車載バッテリー(不図示)から供給される電流は、定電流装置30に流れ、その後、ファン21、LED素子11、抵抗素子31のそれぞれに電流が流れる。その後、電流は、定電流装置30を経由してバッテリーに戻る。
【0030】
[LED灯具の利点について]
以上説明したように本実施形態によれば、光量調整部18aにより、発光部から発光される光量を調整することができるため、このため、普及版などの一般的なLED素子11を用いた場合でも過度に明るくなることを抑制して、コスト削減および車両安全の確保を図ることができる。
つまり、1つのユニット11Aにつき3個のLED素子11のうち2個のLED素子11は、隣接して直線状に(図中で上下方向に沿って)並設され、残りの1個のLED素子11は、2個のLED素子11の横方向に並設され、かつ、3個のLED素子11が、上下方向と直行する方向に延びる中心軸に対して上下対象となるようにLED素子11を配置することにより、光量調整部18aの回転によって透過孔の位置を調整することで、発光の光量を、LED素子112個分、1個分、1.5個分、0.5個分などと調整を容易に行うことができる。
自動車のウインカー灯体の設置位置(高さ)やリフレクターの大きさにより、対向車や後続車へ向かう明るさも異なるため、最適な明るさを選択することができる。
なお、本実施形態はカバー部18、透過フィルタ膜部19が設けられている例を挙げたが、本発明は、光量調整部18aを有していれば、本発明の効果を達することができるため、カバー部を設けなくても本発明を適用することは自明である。
【符号の説明】
【0031】
10 :LED灯具(灯具)
11 :LED素子(発光半導体素子)
18a :光量調整部
21 :ファン
図1
図2
図3
図4
図5