(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078691
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】開閉体用ガイドレールの構造
(51)【国際特許分類】
E06B 9/58 20060101AFI20240604BHJP
E06B 9/17 20060101ALI20240604BHJP
E06B 9/42 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
E06B9/58 A
E06B9/17 Z
E06B9/42 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191185
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】重村 正和
(72)【発明者】
【氏名】津田 真伸
(72)【発明者】
【氏名】田村 淑佳
(72)【発明者】
【氏名】井部 弘美
【テーマコード(参考)】
2E042
【Fターム(参考)】
2E042AA01
2E042AA06
2E042CA01
2E042CA07
2E042DA05
(57)【要約】
【課題】段差のある基礎と躯体に、鉛直方向のガイドレールを切欠くことなく無火気で取付けでき、品質低下を抑制できる開閉体用ガイドレールの構造を提供する。
【解決手段】開口部15における一対の躯体25に取り付けられ、開口部15を開閉する開閉体19の幅方向両側縁部を案内する開閉体用ガイドレール11の構造であって、躯体25は、床面23から起立する基礎47の上面48よりも小さい面の下面が載ることで段差49を有して基礎47に載置され、開閉体用ガイドレール11は、下端が段差49に載って開口内面26と躯体25の屋内の面(正面27)とに固定される固定枠51と、下端が床面23に達するガイドレール57に同一長で取り付けられて固定枠51に固定される支持枠59と、基礎47の開口内面67に固定される基礎開口側固定材61と、支持枠59と基礎開口側固定材61とを固定する基礎連結材63と、を設けた。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部における幅方向両端に配置された上下に延在する一対の躯体に取り付けられて、前記開口部を開閉する開閉体における幅方向両側の縁部を案内する開閉体用ガイドレールの構造であって、
前記躯体は、床面から起立する基礎の上面よりも小さい面の下面が載ることで段差を有して前記基礎に載置され、
開閉体用ガイドレールは、下端が前記段差に載って開口内面と前記躯体の屋内または屋外の一方の面とに固定される固定枠と、下端が前記床面に達するガイドレールに同一長で取り付けられて前記固定枠に固定される支持枠と、前記基礎の開口内面に固定される基礎開口側固定材と、前記支持枠と前記基礎開口側固定材とを固定する基礎連結材と、
を具備することを特徴とする開閉体用ガイドレールの構造。
【請求項2】
前記基礎の上面が前記躯体の前記一方の面から水平に張り出し、
前記固定枠が、前記一方の面からの前記基礎の張り出し代よりも大きいかわし代で前記ガイドレールを前記躯体に固定することを特徴とする請求項1に記載の開閉体用ガイドレールの構造。
【請求項3】
前記基礎の屋内または屋外の一方の面と前記ガイドレールとの隙間を塞ぐ目隠し板が、前記基礎に固定されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体用ガイドレールの構造。
【請求項4】
耐火材で形成されて前記支持枠と反対側となる前記ガイドレールの側面に着脱自在に固定されて前記側面を覆うとともに、前記開閉体を開閉駆動させる開閉機に、内方の空間に挿通される信号伝達部材を介して接続され床面から所定高さ位置で前記開口部に臨む信号発生機器が取り付けられる収容枠を備え、
前記収容枠には前記開口部に臨む一部に、凹状に奥まって前記信号発生機器が取り付けられる段落とし部が形成されることを特徴とする請求項1または2に記載の開閉体用ガイドレールの構造。
【請求項5】
耐火材で形成されて前記支持枠と反対側となる前記ガイドレールの側面に着脱自在に固定されて前記側面を覆うとともに、前記開閉体を開閉駆動させる開閉機に、内方の空間に挿通される信号伝達部材を介して接続され床面から所定高さ位置で前記開口部に臨む信号発生機器が取り付けられる収容枠を備え、
前記収容枠には前記開口部に臨む一部に、凹状に奥まって前記信号発生機器が取り付けられる段落とし部が形成されることを特徴とする請求項3に記載の開閉体用ガイドレールの構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉体用ガイドレールの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
建物に形成されている開口部を開閉するために開閉移動自在となっているシャッターカーテンと、このシャッターカーテンの開閉移動を案内するためのガイドレールと、を含んで構成されているシャッター装置のガイドレール構造において、ガイドレールの下部には、建物が設置されている基礎と干渉することを防止するための切欠き部が形成される構造が知られている(下記特許文献1)。このガイドレール構造では、ガイドレールは、シャッターカーテンの幅方向の端部がスライド自在に挿入されるガイドレール本体と、建物の躯体に取り付けられているとともに、ガイドレール本体にシャッターカーテンの厚さ方向に連結されたガイドレール副体と、を有して構成されており、ガイドレール副体の下部に切欠き部が形成され、ガイドレール副体は、上下2本の枠部材で形成されており、下側の枠部材に切欠き部がこの下側の枠部材の長さ方向全長に渡って形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物は一般的に、基礎があり、その上に、柱等が構築され、壁などを仕上げる。シャッター装置は、基本的に、基礎に柱などの構造体が建てられた状態で、壁などが仕上がる前に施工する(先付けと言う)。その場合、基礎と柱には段差が生じており、シャッター装置を取り付ける際にガイドレールの一部を火気で切り欠く作業、例えばサンダーなどの切断機を用いて行うか、予め現場と調整し、ガイドレールが取り付けられる所だけ、基礎と柱に段差がないように建物側で留意しておく必要がある。火気を使用した加工は、火災などの問題だけでなく、作業者によることから仕上げの悪さや、さらには発錆につながるなど、品質上の低下が想定される。また、予め段差が無い建物にしておく場合は、調整や後戻り(段差をなくす前に戻すことが)できないなどの制約が生じる。さらに、既存現場の場合では、ガイドレールの取替などの際に段差を削ることは、基礎に強度低下などを生じさせるため現実的には困難となる。
【0005】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、基礎と躯体とに段差が生じていても床面から鉛直方向で起立するガイドレールを切り欠くことなく無火気で躯体に取り付けでき、品質上の低下を抑制できる開閉体用ガイドレールの構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載の開閉体用ガイドレールの構造は、建物の開口部15における幅方向両端に配置された上下に延在する一対の躯体25に取り付けられて、前記開口部15を開閉する開閉体19における幅方向両側の縁部を案内する開閉体用ガイドレールの構造であって、
前記躯体25は、床面23から起立する基礎47の上面48よりも小さい面の下面が載ることで段差49を有して前記基礎47に載置され、
開閉体用ガイドレール11は、下端が前記段差49に載って開口内面26と前記躯体25の屋内または屋外の一方の面とに固定される固定枠51と、下端が前記床面23に達するガイドレール57に同一長で取り付けられて前記固定枠51に固定される支持枠59と、前記基礎47の開口内面67に固定される基礎開口側固定材61と、前記支持枠59と前記基礎開口側固定材61とを固定する基礎連結材63と、
を具備することを特徴とする。
【0007】
この開閉体用ガイドレールの構造では、躯体25が、床面23から起立する基礎47の上面48に載る。躯体25は、基礎47の上面48よりも小さい面の下面が載ることで、段差49を有して基礎47に載置される。
開閉体19における幅方向両側の縁部を案内するそれぞれのガイドレール57は、開口部15における幅方向両端に配置されて、下端が床面23に達して鉛直方向に延在する。このガイドレール57を建物に固定するための開閉体用ガイドレール11は、固定枠51と、支持枠59と、基礎開口側固定材61と、基礎連結材63と、を有する。
固定枠51は、下端の一部分が基礎47の上面48上に載って、開口内面26と、躯体25の屋内または屋外の一方の面(正面27)と、に固定される。つまり、固定枠51は、躯体25と基礎47との段差49よりも上方の躯体25に固定される。
支持枠59は、下端が床面23に達するガイドレール57に、同一長で取り付けられる。支持枠59は、ガイドレール57と同様に、基礎47と躯体25とに沿って起立する。支持枠59は、段差49よりも上方が、躯体25に固定された固定枠51に固定される。これにより、ガイドレール57は、段差49よりも上方が固定枠51および支持枠59を介して躯体25にしっかりと固定される。
一方、支持枠59は、段差49よりも下方において固定枠51が不在となった基礎47に沿う部分に、基礎連結材63が固定される。この基礎連結材63に対応する基礎47の部分には、基礎開口側固定材61が固定される。支持枠59の下部は、これら基礎連結材63と基礎開口側固定材61とが締結されることにより、基礎47に強固に固定される。
この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57が、固定枠51および支持枠59によって基礎47と干渉することなく躯体25に固定可能となる。
このように、開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57と、ガイドレール57に添えて固定した支持枠59とが、基礎47との干渉を避けるために切り欠かれることなく、長手方向の任意位置における断面がほぼ同一となって建物に取り付けられる。このため、ガイドレール57の一部を火気で切り欠く作業が不要となる。
また、ガイドレール57は、基礎47をかわすための切欠き部が設けられることによる強度の低下が生じない。そして、予め現場と調整し、ガイドレール57が取り付けられる所だけ、基礎47と柱に段差49がないように建物側で留意する煩雑な施工管理も不要となる。
これに加え、火気加工を行わないので、火災に対する対策も不要となる。また、仕上げの不良や錆も生じにくくなるので、見栄えが良好となり、耐久性も高めることができる。さらに、既存現場においてガイドレール57を取り替えする際に、段差49を削る必要がないので、基礎47の強度を低下させずに新規のガイドレール57を取り付けできる。
【0008】
本発明の請求項2記載の開閉体用ガイドレールの構造は、請求項1に記載の開閉体用ガイドレールの構造であって、
前記基礎47の上面48が前記躯体25の前記一方の面から水平に張り出し、
前記固定枠51が、前記一方の面からの前記基礎47の張り出し代Eよりも大きいかわし代Kで前記ガイドレール57を前記躯体25に固定することを特徴とする。
【0009】
この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57が、固定枠51および支持枠59によって、基礎47の張り出し代Eよりも大きなかわし代Kで、躯体25に固定される。このため、ガイドレール57は、基礎47と干渉せずに鉛直方向でしっかりと躯体25に固定することが可能となる。固定枠51は、下端が段差49に載るので、段差49よりも下方では不在となる。支持枠59は、段差49よりも下方において固定枠51が不在となった基礎47に沿う部分に、基礎連結材63が固定される。基礎連結材63は、基礎47に固定された基礎開口側固定材61と固定される。そのため、開閉体用ガイドレールの構造では、固定枠51が不在となった支持枠59の下部が、基礎連結材63と基礎開口側固定材61とによって基礎47に強固に固定されることになり、ガイドレール57の鉛直状態を支持する。
【0010】
本発明の請求項3記載の開閉体用ガイドレールの構造は、請求項1または2に記載の開閉体用ガイドレールの構造であって、
前記基礎47の屋内または屋外の一方の面と前記ガイドレール57との隙間Sを塞ぐ目隠し板105が、前記基礎47に固定されることを特徴とする。
【0011】
この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57に、同一長の支持枠59が添わして固定される。この支持枠59は、躯体25に取り付けられた固定枠51に固定される。固定枠51は、基礎47の張り出し代Eよりも大きいかわし代Kで支持枠59とガイドレール57とを躯体25に固定する。つまり、ガイドレール57に添わされた支持枠59は、基礎47との間に隙間Sが生じる。この隙間Sは、段差49よりも上方では、固定枠51と支持枠59とが固定されるので生じない。一方、固定枠51は、段差49よりも下方の基礎47では不在となるので、支持枠59のみが基礎47に沿って配置される。ガイドレール57は、基礎47の張り出し代Eよりも大きなかわし代Kで躯体25から離間しているので、ガイドレール57と躯体25との間には、隙間Sが生じることになる。開閉体用ガイドレールの構造では、この隙間Sが、基礎47に固定される目隠し板105によって塞がれることになる。
【0012】
本発明の請求項4記載の開閉体用ガイドレールの構造は、請求項1または2に記載の開閉体用ガイドレールの構造であって、
耐火材で形成されて前記支持枠59と反対側となる前記ガイドレール57の側面に着脱自在に固定されて前記側面を覆うとともに、前記開閉体19を開閉駆動させる開閉機39に、内方の空間111に挿通される信号伝達部材を介して接続され床面23から所定高さ位置で前記開口部15に臨む信号発生機器が取り付けられる収容枠65を備え、
前記収容枠65には前記開口部15に臨む一部に、凹状に奥まって前記信号発生機器が取り付けられる段落とし部113が形成されることを特徴とする。
【0013】
この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57の他側面が、耐火材、例えばスチールで形成される収容枠65で覆われるので、収容枠65に非耐火材、例えばアルミを用いた構成に比べ、火災時において、ガイドレール57に対する火炎などの影響を抑制することができる。すなわち、開閉体用ガイドレール11は、火炎に曝された際の強度(耐火強度)を高めることができる。
また、ガイドレール57の他側面を覆って固定される収容枠65は、内方の空間111が信号伝達部材の挿通スペースに利用できるので、開口部15に臨む収容枠65の面(収容部前片121)に取り付けた信号発生機器を、収容枠65の空間111を利用して、開閉機39に容易な施工で接続することができる。
収容枠65は、開口部15に臨む収容部前片121の一部に、凹状に奥まって信号発生機器が取り付けられる段落とし部113が形成される。段落とし部113は、収容部前片121を空間111に向かって階段状に折り曲げることで、収容部前片121よりも凹んだ状態となる。つまり、段落とし部113は、ガイドレール57と収容部前片121との間で、ガイドレール57に沿って凹んだ縦方向の溝となる。収容部115は、この段落とし部113の溝底面に形成した切欠部に信号発生機器の一部分が挿入されて取り付けられる。
開閉体用ガイドレールの構造は、収容部115に段落とし部113を形成し、段落とし部113のみに切欠部を形成すればよいので、カバー117に形成した切欠部と位置合わせする必要がなくなる。これにより、位置合わせが簡単となり、取り付けが容易に可能となる。また、位置ずれがなくなり、信号発生機器を正確に取り付けできるので、意匠性を損ねる虞もなくなる。さらに、段落とし部113の溝底面に切欠部が設けられるので、取付部分の仕舞い構造が目立たなく、また、カバー117の部材としてのスチール鋼板の小口も露出しない構造になり、これによっても良好な意匠性が得られるようになる。
【0014】
本発明の請求項5記載の開閉体用ガイドレールの構造は、請求項3に記載の開閉体用ガイドレールの構造であって、
耐火材で形成されて前記支持枠59と反対側となる前記ガイドレール57の側面に着脱自在に固定されて前記側面を覆うとともに、前記開閉体19を開閉駆動させる開閉機39に、内方の空間111に挿通される信号伝達部材を介して接続され床面23から所定高さ位置で前記開口部15に臨む信号発生機器が取り付けられる収容枠65を備え、
前記収容枠65には前記開口部15に臨む一部に、凹状に奥まって前記信号発生機器が取り付けられる段落とし部113が形成されることを特徴とする。
【0015】
この開閉体用ガイドレールの構造では、作用が請求項4と同じとなる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る請求項1記載の開閉体用ガイドレールの構造によれば、基礎と躯体とに段差が生じていても床面から鉛直方向で起立するガイドレールを切り欠くなどの加工が必要なく、無火気で躯体に取り付けることができる。また、切り欠くことがないことから、品質上の低下を抑制できる。
【0017】
本発明に係る請求項2記載の開閉体用ガイドレールの構造によれば、基礎の張り出し代よりも大きいかわし代でガイドレールを躯体の一方の面から離間して取り付けでき、ガイドレールを切り欠くことなく基礎をかわしながら床面からガイドレールを鉛直方向に起立させて固定できる。
【0018】
本発明に係る請求項3記載の開閉体用ガイドレールの構造によれば、基礎の一方の面において固定枠が不在となることによって生じる隙間を、ガイドレールと基礎とに亘って設けた目隠し板によって塞ぐことができ、開閉体用ガイドレールの構造における品質上の低下を抑制できる。
【0019】
本発明に係る請求項4記載の開閉体用ガイドレールの構造によれば、ガイドレールの他側面が、耐火材よりなる収容枠により覆われるので、ガイドレールを耐火材で覆って耐火性能を高めることができるとともに、内方の空間を利用して信号伝達部材を挿通し、収容枠に対する信号発生機器の取り付けを容易にすることができる。また、段落とし部によって、収容枠の端縁部分が露出しない構造になり、これによって良好な意匠性を得ることができる。
【0020】
本発明に係る請求項5記載の開閉体用ガイドレールの構造によれば、請求項4と同じ効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本実施形態に係る開閉体用ガイドレールの構造を備えたシャッター装置の正面図である。
【
図2】開閉体用ガイドレールの構造における分解斜視図である。
【
図5】(a)は
図1のA-A断面位置における躯体と固定枠との固定状況を表す平断面図、(b)は
図1のB-B断面位置における基礎と基礎開口側固定材および基礎連結材との固定状況を表す平面図である。
【
図6】固定枠と支持枠との固定状況を表す平断面図である。
【
図7】支持枠と基礎との固定状況を表す平断面図である。
【
図8】基礎とガイドレールとの隙間を塞ぐ目隠し板の固定状況を表す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る開閉体用ガイドレール11の構造を備えたシャッター装置13の正面図である。
本実施形態に係る開閉体用ガイドレール11の構造は、開閉体を用いて建物の開口部15を開閉するシャッター装置13、例えばガレージに設置されるシャッター装置13などに好適に用いることができる。開閉体は、スチール製のスラット17を複数連結した一般的なシャッターカーテン19の他、パネル材やパイプを連結したカーテン、樹脂製シート状のカーテンとすることもできる。シャッターカーテン19は、座板21が床面23に着座することにより開口部15を閉鎖する。
【0023】
開閉体用ガイドレールの構造は、建物の開口部15における幅方向両端に配置された上下に延在する一対の躯体25(
図2参照)に、開閉体用ガイドレール11が取り付けられる。本実施形態において、躯体25は、木造躯体である。木造躯体は、一例として木造軸組工法の柱とすることができる。柱は、長手方向に直交する断面形状が四角形である。なお、躯体25は、柱に限定されない。躯体25は、木造パネル工法で用いられる芯材を有するパネル等であってもよい。
【0024】
開閉体用ガイドレール11は、躯体25の屋内または屋外の一方の面に固定される。本実施形態において、一方の面は、屋内の面である。以下、屋内の面は、正面27(
図2参照)とも称する。開閉体用ガイドレール11は、開口部15を挟む左右一対の躯体25におけるそれぞれの正面27に取り付けられる。開閉体用ガイドレール11は、開口部15を開閉するシャッターカーテン19における幅方向両側の縁部を案内する。
【0025】
本実施形態において、シャッター装置13は、住宅や住宅に並設されるガレージなどの建物に取り付けられる例として説明する。シャッター装置13は、開口部上方に固定される左右一対のブラケット29に、シャッター収納部31が掛け渡されるように組み付けられる。シャッター収納部31には、ブラケット29に支持される一方の軸33に対して回転自在となってシャッターカーテン19を巻装する巻取シャフト35と、巻取シャフト35の他方の軸首37を回転して巻取シャフト35を正逆回転する開閉機39と、開閉機39を駆動制御する制御部41が収容される。開閉機39は、制御部41が接続されるとともに、後述する信号伝達部材によって信号発生機器と接続される。
【0026】
信号発生機器と信号伝達部材は、開閉体用ガイドレール11を構成する後述の収容枠65に設けられる。信号発生機器には、開閉機39に手動による手動切替信号を送る手動切換え装置43(
図3参照)と、制御部41に電気的な開閉体停止信号を送る障害物感知センサー45(
図3参照)とが含まれる。信号伝達部材には、手動切換え装置43から開閉機39へ手動切替信号を伝達するワイヤ(不図示)と、障害物感知センサー45から制御部41へ電気的な開閉体停止信号を伝達する信号用電線(不図示)とが含まれる。
【0027】
開閉機39は、ギヤ機構により電動モータの回転数、トルクを調整して、巻取シャフト35を駆動する。電動モータの回転は、チェーンおよびスプロケットを介して巻取シャフト35に伝達される。開閉機39には、操作部が引張操作されることにより電動モータと巻取シャフト35との間の動力伝達経路を切断してシャッターカーテン19を手動で開閉可能とする信号発生機器(手動切換え装置43)が、信号伝達部材(ワイヤ)によって接続される。動力伝達経路の切断機構は、クラッチ機構等により構成される。
【0028】
図2は、開閉体用ガイドレールの構造における分解斜視図である。
建物の基礎47は、床面23から所定の高さで起立する。基礎47は、例えば布基礎である。基礎47の高さは、300~500mm程度とすることができる。躯体25は、基礎47の上面48に下面が載る。躯体25は、基礎47の上面48よりも小さい面の下面が載ることで、段差49を有して基礎47に載置される。
【0029】
開閉体用ガイドレール11は、固定枠51と、躯体開口内面金具53と、躯体正面金具55と、ガイドレール57と、支持枠59と、基礎開口側固定材61と、基礎連結材63と、収容枠65と、を有する。
【0030】
固定枠51は、下端が基礎47の上面48に載り、段差49から上方に延び、躯体25の開口内面26と正面27とに固定される。固定枠51は、耐火材、例えばスチールで形成される。固定枠51は、躯体25の正面27と平行な固定枠本体69の開口部15側とその反対側に、固定枠前片71と固定枠後片73とが直角に曲げられ、長手方向に直交する平断面視が略コ字状に形成される。固定枠後片73の折り曲げ先端には、固定枠後片73と平行に折り曲げられて固定枠本体69に向かって突出する固定枠係合片75が形成される。
【0031】
躯体開口内面金具53は、L字形金具である。躯体開口内面金具53は、固定枠51を躯体25の開口内面26に固定する。躯体開口内面金具53は、固定枠51に沿って図示のように所定ピッチごとに複数で設けられてもよく、固定枠51の長さと同じ長尺なアングル材などであってもよい。
【0032】
躯体正面金具55は、L字形金具である。躯体正面金具55は、正面27と固定枠後片73とを固定する。躯体正面金具55は、固定枠51に沿って図示のように所定ピッチごとに複数で設けられてもよく、固定枠51の長さと同じ長尺なアングル材などであってもよい。
【0033】
なお、これら躯体開口内面金具53と躯体正面金具55とは、それぞれで所定ピッチごとに複数の構成としてもよく、いずれか一方が複数、いずれか他方が長尺アングル材という組み合わせとしてもよい。
【0034】
躯体開口内面金具53と躯体正面金具55とは、コーススレッドビス77によって躯体25に固定される。コーススレッドビス77は、ほぼ木ねじと同じ形状で下穴不要となる。また、躯体開口内面金具53と躯体正面金具55とは、テクスねじ79によって固定枠51に固定される。テクスねじ79は、ドリルねじとも称され下穴不要となる。
【0035】
なお、固定枠51は、躯体開口内面金具53と、躯体正面金具55と同一の形状部を一体的に備えた形状のものとしてもよい。この場合、別体である躯体開口内面金具53や躯体正面金具55を不要とすることができる。
【0036】
図3は、
図1のA-A断面図である。
ガイドレール57は、支持枠59によって一側面が覆われる。ガイドレール57は、スチールなど耐火材より断面略コ字形状に形成されており、またシャッターカーテン19に設けられる耐風フック81(
図1参照)が係止するアルミ製の抜止レール部83を有する。ガイドレール57は、上端がシャッター収納部31に達し、下端が床面23に達する長さを有する。なお、ガイドレール57の下端は、床面23よりも下に埋め込まれてもよい。これにより、ガイドレール57は、より強固な固定が可能となる。この場合、ガイドレール57の取り付けは、床面仕上げ前に行われることになる。
【0037】
支持枠59は、下端が床面23に達するガイドレール57に、同一長で取り付けられて固定枠51に固定される。支持枠59は、耐火材、例えばスチールで形成される。支持枠59は、躯体25の正面27と平行な支持枠本体85の開口部側とその反対側に、支持枠前片87と支持枠後片89とが直角に曲げられ、長手方向に直交する平断面視が略コ字状に形成される。支持枠後片89の折り曲げ先端には、支持枠本体85と平行に折り曲げられて固定枠係合片75と係合する支持枠係合片91が形成される。
【0038】
支持枠59は、支持枠本体85が、躯体25の正面27と平行となるガイドレール57の一側面に、例えばリベット93等の締結具により固定される。支持枠59は、ガイドレール57に取り付けられた状態で、予め躯体25に固定しておいた固定枠51に固定される。支持枠59を固定枠51に固定するには、先ず、支持枠係合片91を固定枠係合片75の内側へ挿入する。次いで、固定枠係合片75に係合した支持枠係合片91を中心に支持枠59と一体となったガイドレール57を回転させ、固定枠前片71の表面に、支持枠前片87を重ねる。固定枠前片71に重ねた支持枠前片87の表面からテクスねじ79を貫通させて支持枠前片87と固定枠前片71とを締結する。
【0039】
支持枠59の固定は、支持枠係合片91を、固定枠係合片75の内側に開口部15側から進入させるように施工でき、固定作業が開口部15側からだけで完了するので施工性が向上する。
【0040】
開閉体用ガイドレールの構造では、基礎47の上面48が、躯体25の下面よりも大きい。基礎47の上面48は、少なくとも躯体25の正面27から水平方向に張り出し代Eで屋内へ張り出す。固定枠51は、躯体25の正面27からの基礎47の張り出し代Eよりも大きいかわし代Kでガイドレール57を躯体25に固定する。すなわち、固定枠51は、固定枠後片73の正面27に垂直な方向の長さが、かわし代Kで形成される。
【0041】
図4は、
図1のB-B断面図である。
基礎開口側固定材61は、基礎47の開口内面67にコンクリートビス95により固定される。基礎開口側固定材61は、基礎47の高さとほぼ同じ長さの長尺材で形成され、長手方向に直交する断面形状がL字形状となる。基礎開口側固定材61は、L字形状の一方の片が基礎固定片97となり、他方の片がガイドレール対向片99となる。
【0042】
基礎連結材63は、支持枠59と基礎開口側固定材61とを固定する。基礎連結材63は、支持枠59の支持枠前片87にテクスねじ79により固定される。基礎連結材63は、基礎47の高さとほぼ同じ長さの長尺材で形成され、長手方向に直交する断面形状がL字形状となる。基礎連結材63は、L字形状の一方の片が連結固定片101となり、他方の片が支持枠固定片103となる。
【0043】
基礎連結材63は、支持枠固定片103が、支持枠前片87における開口部15と反対側の背面に、支持枠前片87から貫通するテクスねじ79により固定される。つまり、ガイドレール57は、支持枠59と基礎連結材63とを予め一体に固定しておくことができる。この場合、基礎47の開口内面67には、所定の位置に位置決めした基礎開口側固定材61をコンクリートビス95で固定しておく。開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57の支持枠59が段差49よりも上の固定枠51と固定されると、基礎連結材63の連結固定片101が基礎開口側固定材61のガイドレール対向片99に平行に当接する。これにより、ガイドレール57は、基礎開口側固定材61のガイドレール対向片99から貫通したテクスねじ79が連結固定片101に締結されることで、固定枠51の不在となった下部が、基礎47の開口内面67に強固に固定されることになる。
【0044】
基礎開口側固定材61と基礎連結材63の固定は、開口部15で重なるガイドレール対向片99と連結固定片101とを屋外側からテクスねじ79で締結でき、固定作業が開口部15側からだけで完了するので施工性が向上する。
【0045】
開閉体用ガイドレールの構造は、基礎47の正面50に、目隠し板105がコンクリートビス95によって固定される。目隠し板105は、基礎47の高さとほぼ同じ長さの長尺材で形成され、長手方向に直交する断面形状がL字形状となる。目隠し板105は、L字形状の一方の片が基礎固定片107となり、他方の片が塞ぎ部109となる。目隠し板105は、基礎固定片107が基礎47の正面50に固定されることで、基礎47とガイドレール57との間に生じたスリット状の隙間Sを塞ぎ部109によって塞ぐことができる。
【0046】
開閉体用ガイドレールの構造は、耐火材で形成されて支持枠59と反対側となるガイドレール57の他側面に、着脱自在に固定されて他側面を覆うとともに、シャッターカーテン19を開閉駆動させる開閉機39に、内方の空間111に挿通される信号伝達部材を介して接続され、床面23から所定高さ位置で開口部15に臨む信号発生機器が取り付けられる収容枠65を備える。収容枠65には、開口部15に臨む一部に、凹状に奥まって信号発生機器が取り付けられる段落とし部113(
図3参照)が形成される。
【0047】
図2に示すように、開閉体用ガイドレールの構造では、一側面に支持枠59が固定されたガイドレール57の他側面に、収容枠65が固定される。収容枠65は、スチールなどの耐火材で形成されてガイドレール57の他側面を覆う。収容枠65には、内方の空間111に挿通されるワイヤを介して開閉機39に接続され、床面23から所定高さ位置で開口部15に臨む手動切換え装置43が取り付けられる。また、収容枠65には、手動切換え装置43の他に、信号用電線(不図示)によって制御部41に接続される障害物感知センサー45(
図3参照)が床面23から所定高さ位置で取り付けられる。
【0048】
図3に示すように、収容枠65は、収容部115と、カバー117と、で構成される。収容部115は、ガイドレール57の他側面に固定手段であるリベット93により固定される。収容部115は、ガイドレール57に沿う内方の空間111をガイドレール57と反対側の溝開口119によって開放させる。カバー117は、この溝開口119を覆って収容部115に着脱自在に固定される。
【0049】
収容部115は、開口部15に臨む収容部前片121の一部に、凹状に奥まって信号発生機器(手動切換え装置43)が取り付けられる段落とし部113が形成される。段落とし部113には、手動切換え装置43の一部分を挿入して取り付けるための切欠部(不図示)が形成されている。なお、この切欠部は、収容枠65の収容部115に形成されるのであってガイドレール57に形成されるのではない。開閉体用ガイドレール11の構造では、手動切換え装置43の取付部分を段落とし部113とすることで、収容部115とカバー117とを重ねずに収容部115にのみ手動切換え装置43を取り付けることができ、カバー117に切欠などの加工が不要となる。
【0050】
カバー117は、溝開口119に内側から係止する爪部123をカバー奥片125に備える。爪部123は、鋭角で折り曲げ形成される。爪部123の折り曲げ角度は、例えば20~80°、好ましくは60°である。カバー117は、爪部123がこの角度を有することで、取り付けが行いやすく、脱落が起きにくい。また、カバー117は、爪部123が鋭角に傾斜していることで、ガタの発生が生じにくくもなる。カバー117は、収容部前片121に固定ビスにより締結されて、折曲先端が段落とし部113に係合するL字曲げ部127をカバー前片129に備える。カバー117は、L字曲げ部127を備えることで、端縁を段落とし部113に掛け入れて溝底に向かわせ露出させないようにできる。これにより、板金材端縁を見栄えよく仕舞うことが可能となっている。
【0051】
次に、開閉体用ガイドレール11の組立手順を説明する。
【0052】
図5(a)は
図1のA-A断面位置における躯体25と固定枠51との固定状況を表す平断面図、(b)は
図1のB-B断面位置における基礎47と基礎開口側固定材61および基礎連結材63との固定状況を表す平面図である。
開閉体用ガイドレール11を組み付けるには、先ず、
図5(a)に示すように、躯体25の開口内面26に、躯体開口内面金具53をコーススレッドビス77により固定する。固定枠51の固定枠後片73に、躯体正面金具55をテクスねじ79で固定する。固定枠51に一体に固定された躯体正面金具55をコーススレッドビス77により躯体25の正面27に固定する。固定枠51の固定枠本体69から貫通させたテクスねじ79を躯体開口内面金具53に固定する。これにより、躯体25に対する固定枠51の固定が完了する。
【0053】
図5(b)に示すように、基礎47の開口内面67に、基礎開口側固定材61をコンクリートビス95により固定する。この際、基礎開口側固定材61には、基礎連結材63を予めテクスねじ79により固定しておいてもよい。また、基礎連結材63は、基礎開口側固定材61に固定する前に、予め支持枠59の支持枠前片87にテクスねじ79により固定しておいてもよい。
【0054】
図6は、固定枠51と支持枠59との固定状況を表す平断面図である。
支持枠59の固定されたガイドレール57は、支持枠59の支持枠係合片91を、固定枠51の固定枠係合片75に係合する。次いで、ガイドレール57を
図6の時計回り方向に支持枠係合片91を中心に回転し、支持枠前片87を固定枠前片71の表面に重ねる。支持枠前片87から貫通させたテクスねじ79を固定枠前片71に締結する。これにより、躯体25へのガイドレール57の固定が完了する。なお、このとき、ガイドレール57には予め収容枠65を取り付けておく。
【0055】
図7は、支持枠59と基礎47との固定状況を表す平断面図である。
支持枠59が固定枠51に固定されたガイドレール57は、基礎47に固定された基礎開口側固定材61に固定されている基礎連結材63の支持枠固定片103に、支持枠前片87が重なる。支持枠59は、支持枠前片87から貫通したテクスねじ79を支持枠固定片103に締結する。これにより、ガイドレール57は、段差49よりも下側が、支持枠59と、基礎連結材63と、基礎開口側固定材61とを介して基礎47に対しての固定が完了する。ガイドレール57の下端を床に埋め込む場合には、この後に床面23が仕上げられる。
【0056】
なお、基礎開口側固定材61と支持枠59との固定は、支持枠前片87に予め基礎連結材63を固定する場合には、基礎連結材63の連結固定片101と、基礎開口側固定材61のガイドレール対向片99とをテクスねじ79で締結することで固定が完了することになる。
【0057】
図8は、基礎47とガイドレール57との隙間Sを塞ぐ目隠し板105の固定状況を表す平断面図である。
ガイドレール57が躯体25と基礎47に固定された開閉体用ガイドレールの構造では、最後に、目隠し板105を基礎47に固定する。目隠し板105は、基礎固定片107を基礎47の正面50にコンクリートビス95により固定することで、基礎47とガイドレール57との間のスリット状の隙間Sを塞ぎ部109によって塞ぐ。これにより、開閉体用ガイドレールの構造の組み付けを完了する。
【0058】
次に、上記した構成の作用を説明する。
【0059】
本実施形態に係る開閉体用ガイドレールの構造では、躯体25が、床面23から起立する基礎47の上面48に載る。躯体25は、基礎47の上面48よりも小さい面の下面が載ることで、段差49を有して基礎47に載置される。
【0060】
図9は、開閉体用ガイドレール11の分解平面図である。
シャッターカーテン19における幅方向両側の縁部を案内するそれぞれのガイドレール57は、開口部15における幅方向両端に配置されて、下端が床面23に達して鉛直方向に延在する。このガイドレール57を建物に固定するための開閉体用ガイドレール11は、固定枠51と、支持枠59と、基礎開口側固定材61と、基礎連結材63と、を主要な固定部材として有する。
【0061】
固定枠51は、下端の一部分が段差49に載って、開口内面26と、躯体25の屋内または屋外の一方の面(正面27)と、に固定される。つまり、固定枠51は、段差49の位置を基準として立設することができ、段差49よりも上方の躯体25に固定される。
【0062】
支持枠59は、下端が床面23に達するガイドレール57に、同一長で取り付けられる。支持枠59は、ガイドレール57と同様に、基礎47と躯体25とに沿って起立する。支持枠59は、段差49よりも上方が、躯体25に固定された固定枠51に固定される。これにより、ガイドレール57は、段差49よりも上方が固定枠51および支持枠59を介して躯体25にしっかりと固定される。
【0063】
一方、支持枠59は、段差49よりも下方において固定枠51が不在となった基礎47に沿う部分に、基礎連結材63が固定される。この基礎連結材63に対応する基礎47の部分には、基礎開口側固定材61が固定される。支持枠59の下部は、これら基礎連結材63と基礎開口側固定材61とが締結されることにより、基礎47に強固に固定される。つまり、ガイドレール57は、段差49よりも上が支持枠59と、固定枠51とによって躯体25に固定され、段差49よりも下が支持枠59と、基礎連結材63と、基礎開口側固定材61とによって基礎47に固定される。この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57が、固定枠51および支持枠59によって段差49のある基礎47と干渉することなく躯体25に固定可能となる。
【0064】
このように、開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57と、ガイドレール57に添えて固定した支持枠59とが、基礎47との干渉を避けるために切り欠かれることなく、長手方向の任意位置における断面がほぼ同一となって建物に取り付けられる。このため、ガイドレール57の一部を火気で切り欠く作業等、煩雑な作業が不要となる。
【0065】
また、ガイドレール57は、基礎47をかわすための切欠き部が設けられることによる強度の低下が生じない。そして、予め現場と調整し、ガイドレール57が取り付けられる所だけ、基礎47と柱に段差49がないように建物側で留意する煩雑な施工管理も不要となる。
【0066】
これに加え、火気加工を行わないので、火災に対する対策も不要となる。また、仕上げの不良や錆も生じにくくなるので、見栄えが良好となり、耐久性も高めることができる。さらに、既存現場においてガイドレール57を取り替えする際に、段差49を削る必要がないので、基礎47の強度を低下させずに新規のガイドレール57を取り付けできる。
【0067】
この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57が、固定枠51および支持枠59によって、基礎47の張り出し代Eよりも大きなかわし代Kで、躯体25に固定される。このため、ガイドレール57は、基礎47と干渉せずに鉛直方向でしっかりと躯体25と基礎47とに固定することが可能となる。
【0068】
固定枠51は、下端が段差49に載るので、段差49よりも下方では不在となる。支持枠59は、段差49よりも下方において固定枠51が不在となった基礎47に沿う部分に、基礎連結材63が固定される。基礎連結材63は、基礎47に固定された基礎開口側固定材61と固定される。そのため、開閉体用ガイドレールの構造では、固定枠51が不在となった支持枠59の下部が、基礎連結材63と基礎開口側固定材61とによって基礎47に強固に固定されることになる。その結果、基礎47の張り出し代Eよりも大きいかわし代Kでガイドレール57を躯体25の一方の面から離間して取り付けでき、ガイドレール57を切り欠くことなく基礎47をかわしながら床面23からガイドレール57を鉛直方向に起立させて固定できる。
【0069】
また、この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57に、同一長の支持枠59が添わされ固定される。この支持枠59は、躯体25に取り付けられた固定枠51に固定される。固定枠51は、基礎47の張り出し代Eよりも大きいかわし代Kで支持枠59とガイドレール57とを躯体25に固定する。つまり、ガイドレール57に添わされた支持枠59は、基礎47との間に隙間Sが生じる。この隙間Sは、段差49よりも上方では、固定枠51と支持枠59とが固定されるので生じない。一方、固定枠51は、段差49よりも下方の基礎47では不在となるので、支持枠59のみが基礎47に沿って配置される。ガイドレール57は、基礎47の張り出し代Eよりも大きなかわし代Kで躯体25から離間しているので、ガイドレール57と基礎47との間には、かわし代Kと張り出し代Eとの差分である隙間S(S=K-E)が生じることになる。開閉体用ガイドレールの構造では、この基礎47に沿うスリット状の隙間Sが、基礎47に固定される目隠し板105によって塞がれることになる。
【0070】
なお、目隠し板105は、基礎47にのみ固定すればよく、ガイドレール57に固定しなくてもよい。但し、目隠しなので、基礎47の高さ相当の長さが必要となる。基礎47は、床面23よりも上方の起立部分が、300~500mm程度となるので、目隠し板105もこれと同程度の長さのものとなる。その結果、基礎47の一方の面において固定枠51が不在となることによって生じる隙間Sを、ガイドレール57と基礎47とに亘って設けた目隠し板105によって塞ぐことができ、開閉体用ガイドレールの構造における品質上の低下を抑制できる。
【0071】
また、この開閉体用ガイドレールの構造では、ガイドレール57の他側面が、耐火材、例えばスチールで形成される収容枠65で覆われるので、収容枠65に非耐火材、例えばアルミを用いた構成に比べ、火災時において、ガイドレール57に対する火炎などの影響を抑制することができる。すなわち、開閉体用ガイドレール11は、火炎に曝された際の強度(耐火強度)を高めることができる。
【0072】
また、ガイドレール57の他側面を覆って固定される収容枠65は、内方の空間111が信号伝達部材の挿通スペースに利用できるので、開口部15に臨む収容枠65の面(収容部前片121)に取り付けた信号発生機器(手動切換え装置43)を、収容枠65の空間111を利用して、開閉機39に容易な施工で接続することができる。
【0073】
収容枠65は、開口部15に臨む収容部前片121の一部に、凹状に奥まって信号発生機器が取り付けられる段落とし部113が形成される。段落とし部113は、収容部前片121を空間111に向かって階段状に折り曲げることで、収容部前片121よりも凹んだ状態となる。つまり、段落とし部113は、ガイドレール57と収容部前片121との間で、ガイドレール57に沿って凹んだ縦方向の溝となる。収容部115は、この段落とし部113の溝底面に形成した切欠部に信号発生機器の一部分が挿入されて取り付けられる。
【0074】
開閉体用ガイドレールの構造は、収容部115に段落とし部113を形成し、段落とし部113のみに切欠部を形成すればよいので、カバー117に形成した切欠部と位置合わせする必要がなくなる。これにより、位置合わせが簡単となり、取り付けが容易に可能となる。また、位置ずれがなくなり、信号発生機器を正確に取り付けできるので、意匠性を損ねる虞もなくなる。さらに、段落とし部113の溝底面に切欠部が設けられるので、取付部分の仕舞い構造が目立たなく、また、カバー117の部材としてのスチール鋼板の小口も露出しない構造になり、これによっても良好な意匠性が得られるようになる。その結果、ガイドレール57の他側面が、耐火材よりなる収容枠65により覆われるので、ガイドレール57を耐火材で覆って耐火性能を高めることができるとともに、内方の空間111を利用して信号伝達部材を挿通し、収容枠65に対する信号発生機器の取り付けを容易にすることができる。また、段落とし部113によって、収容枠65の端縁部分が露出しない構造になり、これによって良好な意匠性を得ることができる。
【0075】
したがって、本実施形態に係る開閉体用ガイドレールの構造によれば、基礎47と躯体25とに段差49が生じていても床面23から鉛直方向で起立するガイドレール57を切り欠くことなく無火気で躯体25に取り付けでき、品質上の低下を抑制できる。
【符号の説明】
【0076】
11…開閉体用ガイドレール
15…開口部
19…開閉体(シャッターカーテン)
23…床面
25…躯体
26…開口内面(躯体の開口内面)
27…一方の面(正面)
39…開閉機
47…基礎
49…段差
51…固定枠
57…ガイドレール
59…支持枠
61…基礎開口側固定材
63…基礎連結材
65…収容枠
67…開口内面(基礎の開口内面)
105…目隠し板
111…空間
113…段落とし部
43…信号発生機器(手動切換え装置)
E…張り出し代
K…かわし代
S…隙間