(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078704
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ヘッドユニット、及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/14 20060101AFI20240604BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J2/14 611
B41J2/14 301
B41J2/01 401
B41J2/01 451
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191199
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】宮澤 誠
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EB07
2C056EB30
2C056EC26
2C056EC28
2C056FA04
2C056HA05
2C057AG14
2C057AG44
2C057AK20
2C057AL25
2C057BA04
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】プリントヘッドの内部に温度検知部を設けた場合であっても、プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれを低減できるヘッドユニットを提供すること。
【解決手段】複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路は、複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第1温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力し、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドに含まれる第2温度取得部が取得した第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第2温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力する、ヘッドユニット。
【選択図】
図18
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動回路が出力する駆動信号を受けて液体を吐出するヘッドユニットであって、
前記駆動信号を受けて液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、前記複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路と、
を備え、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1電極、第2電極、及び第1圧電体を含み、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第1圧電体が積層される第1積層方向において、前記第1圧電体が前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第1圧電素子と、
前記第1圧電素子に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1圧電素子の駆動により変形する第1振動板と、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1振動板の変形により容積が変化する第1圧力室が設けられている第1圧力室基板と、
前記第1圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第1ノズルと、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
第3電極、第4電極、及び第2圧電体を含み、前記第3電極、前記第4電極、及び前記第2圧電体が積層される第2積層方向において、前記第2圧電体が前記第3電極と前記第4電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第2圧電素子と、
前記第2圧電素子に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2圧電素子の駆動により変形する第2振動板と、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2振動板の変形により容積が変化する第2圧力室が設けられている第2圧力室基板と、
前記第2圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第2ノズルと、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部と、
を含み、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とするヘッドユニット。
【請求項2】
前記駆動回路は、前記駆動信号に含まれる第1駆動信号を出力する第1駆動回路、及び前記駆動信号に含まれる第2駆動信号を出力する第2駆動回路を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記第1圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第2圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第3圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第2駆動信号を受けて駆動し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合に前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内であっても、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号としては出力しない、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項3】
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項4】
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力する、
ことを特徴とする請求項2に記載のヘッドユニット。
【請求項5】
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第4プリントヘッドは、
第7電極、第8電極、及び第4圧電体を含み、前記第7電極、前記第8電極、及び前記第4圧電体が積層される第4積層方向において、前記第4圧電体が前記第7電極と前記第8電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第4圧電素子と、
前記第4圧電素子に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4圧電素子の駆動により変形する第4振動板と、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4振動板の変形により容積が変化する第4圧力室が設けられている第4圧力室基板と、
前記第4圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第4ノズルと、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第4圧力室の温度に応じた第4温度情報を取得する第4温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第4温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第4温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする請求項1に記載のヘッドユニット。
【請求項6】
前記第1プリントヘッドは、前記第1ノズルを含む複数のノズルが並設された第1ノズル列を含み、
前記第3プリントヘッドは、前記第3ノズルを含む複数のノズルが並設された第2ノズル列を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは、前記第1ノズル列が延在する第1方向と直交する第1並設方向において、隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは、前記第2ノズル列が延在する第2方向と直交する第2並設方向において、隣り合って位置している、
ことを特徴とする請求項5に記載のヘッドユニット。
【請求項7】
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第5温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第5温度情報に応じた信号を、前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする請求項6に記載のヘッドユニット。
【請求項8】
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力する、
ことを特徴とする請求項6に記載のヘッドユニット。
【請求項9】
前記温度情報出力回路は、
起動時に入力される前記複数の温度情報と前記所定の温度範囲とを比較し、比較結果を保持し、
前記複数のプリントヘッドが液体を吐出する吐出期間に入力される前記複数の温度情報と前記比較結果とに応じた前記温度情報信号を出力する、
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のヘッドユニット。
【請求項10】
駆動信号を出力する駆動回路と、
前記駆動信号を受けて液体を吐出するヘッドユニットと、
を備え、
前記ヘッドユニットは、
前記駆動信号を受けて液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、前記複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路と、
を有し、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1電極、第2電極、及び第1圧電体を含み、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第1圧電体が積層される第1積層方向において、前記第1圧電体が前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第1圧電素子と、
前記第1圧電素子に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1圧電素子の駆動により変形する第1振動板と、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1振動板の変形により容積が変化する第1圧力室が設けられている第1圧力室基板と、
前記第1圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第1ノズルと、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
第3電極、第4電極、及び第2圧電体を含み、前記第3電極、前記第4電極、及び前記第2圧電体が積層される第2積層方向において、前記第2圧電体が前記第3電極と前記第4電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第2圧電素子と、
前記第2圧電素子に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2圧電素子の駆動により変形する第2振動板と、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2振動板の変形により容積が変化する第2圧力室が設けられている第2圧力室基板と、
前記第2圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第2ノズルと、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部と、
を含み、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
前記駆動回路は、前記駆動信号に含まれる第1駆動信号を出力する第1駆動回路、及び前記駆動信号に含まれる第2駆動信号を出力する第2駆動回路を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記第1圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第2圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第3圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第2駆動信号を受けて駆動し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合に前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内であっても、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力しない、
ことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力する、
ことを特徴とする請求項11に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第4プリントヘッドは、
第7電極、第8電極、及び第4圧電体を含み、前記第7電極、前記第8電極、及び前記第4圧電体が積層される第4積層方向において、前記第4圧電体が前記第7電極と前記第8電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第4圧電素子と、
前記第4圧電素子に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4圧電素子の駆動により変形する第4振動板と、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4振動板の変形により容積が変化する第4圧力室が設けられている第4圧力室基板と、
前記第4圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第4ノズルと、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第4圧力室の温度に応じた第4温度情報を取得する第4温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第3温度情報が示す信号が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第4温度情報が示す信号が前記所定の温度範囲内の場合、前記第4温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記第1プリントヘッドは、前記第1ノズルを含む複数のノズルが並設された第1ノズル列を含み、
前記第3プリントヘッドは、前記第3ノズルを含む複数のノズルが並設された第2ノズル列を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは、前記第1ノズル列が延在する第1方向と直交する第1並設方向において、隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは、前記第2ノズル列が延在する第2方向と直交する第2並設方向において、隣り合って位置している、
ことを特徴とする請求項14に記載の液体吐出装置。
【請求項16】
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度検知部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第5温度情報に応じた信号を、前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する、
ことを特徴とする請求項15に記載の液体吐出装置。
【請求項17】
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力する、
ことを特徴とする請求項15に記載の液体吐出装置。
【請求項18】
前記温度情報出力回路は、
起動時に入力される前記複数の温度情報と前記所定の温度範囲とを比較し、比較結果を保持し、
前記複数のプリントヘッドが液体を吐出する吐出期間に入力される前記複数の温度情報と前記比較結果とに応じた前記温度情報信号を出力する、
ことを特徴とする請求項10乃至17のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘッドユニット、及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体吐出装置には、圧電素子と、圧力室と、圧力室と連通するノズルとを有するプリントヘッドを備えた構成が知られている。そして、プリントヘッドは、圧電素子の駆動により圧力室の容積を変化させることで、圧力室に供給された液体をノズルから吐出する。このようなプリントヘッドを備えた液体吐出装置では、プリントヘッドに貯留されるインクの温度に基づいて圧電素子を駆動制御することで、当該インクの温度に適した吐出制御を実現する技術が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、圧電素子、圧力室、及びノズルを有するプリントヘッドの内部に、インクが貯留される圧力室の温度を検出する温度検知部が設けられていることで、温度検知部が検出する温度と圧力室内の温度との温度差を小さくすることができ、圧力室内に貯留されるインクの温度の検出精度を高める技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の液体吐出装置のように、プリントヘッドの内部に温度検知部を設けた場合、プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが生じるとの新たな問題が発生し、さらなる改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るヘッドユニットの一態様は、
駆動回路が出力する駆動信号を受けて液体を吐出するヘッドユニットであって、
前記駆動信号を受けて液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、前記複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路と、
を備え、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1電極、第2電極、及び第1圧電体を含み、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第1圧電体が積層される第1積層方向において、前記第1圧電体が前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第1圧電素子と、
前記第1圧電素子に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1圧電素子の駆動により変形する第1振動板と、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1振動板の変形により容積が変化する第1圧力室が設けられている第1圧力室基板と、
前記第1圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第1ノズルと、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
第3電極、第4電極、及び第2圧電体を含み、前記第3電極、前記第4電極、及び前記第2圧電体が積層される第2積層方向において、前記第2圧電体が前記第3電極と前記第4電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第2圧電素子と、
前記第2圧電素子に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2圧電素子の駆動により変形する第2振動板と、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2振動板の変形により容積が変化する第2圧力室が設けられている第2圧力室基板と、
前記第2圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第2ノズルと、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部と、
を含み、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する。
【0007】
本発明に係る液体吐出装置の一態様は、
駆動信号を出力する駆動回路と、
前記駆動信号を受けて液体を吐出するヘッドユニットと、
を備え、
前記ヘッドユニットは、
前記駆動信号を受けて液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、前記複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路と、
を有し、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1電極、第2電極、及び第1圧電体を含み、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第1圧電体が積層される第1積層方向において、前記第1圧電体が前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第1圧電素子と、
前記第1圧電素子に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1圧電素子の駆動により変形する第1振動板と、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1振動板の変形により容積が変化する第1圧力室が設けられている第1圧力室基板と、
前記第1圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第1ノズルと、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
第3電極、第4電極、及び第2圧電体を含み、前記第3電極、前記第4電極、及び前記第2圧電体が積層される第2積層方向において、前記第2圧電体が前記第3電極と前記第4電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第2圧電素子と、
前記第2圧電素子に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2圧電素子の駆動により変形する第2振動板と、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2振動板の変形により容積が変化する第2圧力室が設けられている第2圧力室基板と、
前記第2圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第2ノズルと、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部と、
を含み、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】駆動信号COMの信号波形の一例を示す図である。
【
図5】デコーダーにおけるデコード内容の一例を示す図である。
【
図7】駆動信号選択回路の動作を説明するための図である。
【
図9】ヘッドのインク吐出面の構成を示す平面図である。
【
図10】プリントヘッドの構造を示す分解斜視図である。
【
図15】ヘッド基板を面521から見た場合の平面図である。
【
図16】温度情報出力回路の動作を説明するための図である。
【
図17】異常判定処理の一例を説明するための図である。
【
図18】温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
【
図19】第2実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
【
図20】第3実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
【
図21】第4実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
【
図22】第5実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また、以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0010】
1.第1実施形態
1.1 液体吐出装置の概要
図1は、液体吐出装置1の概略構成を示す図である。第1実施形態では、液体吐出装置1の一例として、液体の一例としてのインクを吐出するヘッドユニット20が搭載されたキャリッジ21が走査軸に沿って往復動し、搬送方向に沿って搬送される媒体Pに対してインクを吐出することで、媒体Pに所望画像を形成する所謂シリアル印刷方式のインクジェットプリンターを例示して説明を行う。このような液体吐出装置1における媒体Pとしては、印刷用紙、樹脂フィルム、布帛等の任意の印刷対象を用いることができる。なお、液体吐出装置1は、シリアル印刷方式のインクジェットプリンターに限るものではなく、ライン印刷方式のインクジェットプリンターであってもよい。また、液体吐出装置1は、インクジェットプリンターに限るものではなく、液晶ディスプレイ等のカラーフィルターの製造に用いられる色材吐出装置、有機ELディスプレイ、FED(面発光ディスプレイ)等の電極形成に用いられる電極材料吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物吐出装置、立体造形装置、及び捺染装置等であってもよい。
【0011】
図1に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット10、ヘッドユニット20、移動ユニット30、搬送ユニット40、及びインク容器80を備える。
【0012】
インク容器80には、媒体Pに吐出される複数種類のインクが貯留されている。このようなインクが貯留されるインク容器80としては、インクカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、及びインクの補充が可能なインクタンク等を用いることができる。
【0013】
制御ユニット10は、CPU(Central Processing Unit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と半導体メモリ等の記憶回路とを含み、ヘッドユニット20を含む液体吐出装置1の各要素を制御する。
【0014】
ヘッドユニット20は、キャリッジ21に搭載されている。また、キャリッジ21は、移動ユニット30に含まれる無端ベルト32に固定されている。ヘッドユニット20には、制御ユニット10が出力するヘッドユニット20を制御するための制御信号Ctrl-Hと、ヘッドユニット20を駆動するための駆動信号COMと、が入力される。また、ヘッドユニット20には、不図示のチューブを介して、インク容器80に貯留されるインクが供給される。そして、ヘッドユニット20は、入力される制御信号Ctrl-Hと駆動信号COMとに基づいて、インク容器80から供給されるインクを吐出する。
【0015】
移動ユニット30は、キャリッジモーター31、及び無端ベルト32を含む。キャリッジモーター31は、制御ユニット10から入力される制御信号Ctrl-Cに基づいて動作する。無端ベルト32は、走査軸に沿って延在し、キャリッジモーター31の動作に従って回転する。これにより、無端ベルト32に固定されたキャリッジ21が走査軸に沿って往復動する。すなわち、キャリッジ21に搭載されたヘッドユニット20が走査軸に沿って往復動する。
【0016】
搬送ユニット40は、搬送モーター41、及び搬送ローラー42を含む。搬送モーター41は、制御ユニット10から入力される制御信号Ctrl-Tに基づいて動作する。搬送ローラー42は、搬送モーター41の動作に従って回転する。この搬送ローラー42の回転に伴って媒体Pが搬送方向に搬送される。
【0017】
以上のように構成された液体吐出装置1は、移動ユニット30によるキャリッジ21の往復動と搬送ユニット40による媒体Pの搬送とに連動して、ヘッドユニット20が媒体Pにインクを吐出する。これにより、媒体Pの表面の任意の位置にインクが着弾し、媒体Pに所望の画像が形成される。
【0018】
1.2 液体吐出装置の機能構成
次に、液体吐出装置1の機能構成について説明する。
図2は、液体吐出装置1の機能構成を示す図である。
図2に示すように液体吐出装置1は、制御ユニット10、ヘッドユニット20、キャリッジモーター31、搬送モーター41、及びリニアエンコーダー90を備える。
【0019】
制御ユニット10は、駆動回路50、基準電圧出力回路54、及び制御回路100を有する。制御回路100は、例えば、CPUやFPGA等の処理回路と半導体メモリ等の記憶回路とを含む。制御回路100には、液体吐出装置1の外部と通信可能に接続されたホストコンピューター等の外部機器から画像データ等を含む画像情報信号が入力される。制御回路100は、入力される画像情報信号に基づいて、液体吐出装置1を制御するための各種信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0020】
具体例には、制御回路100には、上述した画像情報信号に加えて、リニアエンコーダー90から、キャリッジ21の走査位置に基づく検出信号が入力される。制御回路100は、入力される検出信号に基づいてキャリッジ21に搭載されたヘッドユニット20の走査位置を把握する。そして、制御回路100は、入力される画像情報信号と、把握したヘッドユニット20の走査位置とに応じた各種信号を生成し、対応する構成に出力する。
【0021】
詳細には、制御回路100は、ヘッドユニット20の走査位置に応じて、ヘッドユニット20の走査軸に沿った移動を制御するための制御信号Ctrl-Cを生成し、キャリッジモーター31に出力する。これにより、キャリッジモーター31が動作し、キャリッジ21に搭載されたヘッドユニット20の走査軸に沿った移動、及び走査位置が制御される。また、制御回路100は、媒体Pの搬送を制御するための制御信号Ctrl-Tを生成し、搬送モーター41に出力する。これにより、搬送モーター41が動作し、媒体Pの搬送方向に沿った移動が制御される。なお、制御信号Ctrl-Cは、不図示のドライバー回路を介して信号変換された後、キャリッジモーター31に入力されてもよく、制御信号Ctrl-Tは、不図示のドライバー回路を介して信号変換された後、搬送モーター41に入力されてもよい。
【0022】
また、制御回路100は、外部機器から入力される画像情報信号と、ヘッドユニット20の走査位置と、に基づいて、ヘッドユニット20を制御するための制御信号Ctrl-Hとして、印刷データ信号SI1~SI12、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、及びクロック信号SCKを生成し、ヘッドユニット20に出力する。また、制御回路100は、所定のタイミングでヘッドユニット20の温度を取得するための温度取得要求信号TDを生成し、ヘッドユニット20に出力する。また、制御回路100には、温度取得要求信号TDに応じたヘッドユニット20の温度を含む温度情報信号TIが入力される。制御回路100は、入力される温度情報信号TIに基づいて、ヘッドユニット20の状態を把握するとともに、制御信号Ctrl-H,Ctrl-C,Ctrl-Tを補正し、対応する構成に出力する。
【0023】
さらに、制御回路100は、駆動回路50にデジタル信号である基駆動信号dA1~dA4を出力する。駆動回路50は、駆動信号COMとして、基駆動信号dA1~dA4によって規定される信号波形の駆動信号COM1~COM4を生成し、ヘッドユニット20に出力する。
【0024】
駆動回路50は、駆動信号出力回路52-1~52-4を含む。制御回路100が出力する基駆動信号dA1は、駆動信号出力回路52-1に入力される。駆動信号出力回路52-1は、入力される基駆動信号dA1をデジタル/アナログ信号変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで駆動信号COM1を生成し、ヘッドユニット20に出力する。同様に、制御回路100が出力する基駆動信号dA2~dA4のそれぞれは、対応する駆動信号出力回路52-2~52-4に入力される。駆動信号出力回路52-2~52-4のそれぞれは、入力される基駆動信号dA2~dA4をデジタル/アナログ信号変換した後、変換されたアナログ信号をD級増幅することで駆動信号COM2~COM4を生成し、ヘッドユニット20に出力する。すなわち、駆動回路50は、駆動信号出力回路52-1~52-4を含み、基駆動信号dA1~dA4のそれぞれによって規定される信号波形をD級増幅することで、駆動信号COMとしての駆動信号COM1~COM4を生成し、ヘッドユニット20に出力する。
【0025】
以上ように駆動回路50は、駆動信号COMに含まれる駆動信号COM1を出力する駆動信号出力回路52-1、駆動信号COMに含まれる駆動信号COM2を出力する駆動信号出力回路52-2、駆動信号COMに含まれる駆動信号COM3を出力する駆動信号出力回路52-3、及び駆動信号COMに含まれる駆動信号COM4を出力する駆動信号出力回路52-4を含む。
【0026】
ここで、第1実施形態において、制御回路100が出力する基駆動信号dA1~dA4のそれぞれは、対応する駆動信号COM1~COM4の信号波形を規定するデジタル信号であるとして説明を行うが、基駆動信号dA1~dA4は、駆動信号COM1~COM4の信号波形を規定することができればよく、アナログ信号であってもよい。また、駆動信号出力回路52-1~52-4のそれぞれは、基駆動信号dA1~dA4によって規定される信号波形をA級増幅、B級増幅、AB級増幅することで、駆動信号COM1~COM4を生成してもよい。
【0027】
基準電圧出力回路54は、基準電圧信号VBSを生成し、ヘッドユニット20に出力する。この基準電圧出力回路54が出力する基準電圧信号VBSは、後述する圧電素子60の駆動の基準となる一定電位の信号であって、例えば、グラウンド電位で一定の信号であってもよく、5.5Vや6V等の電位で一定の直流電圧信号であってもよい。
【0028】
ヘッドユニット20は、プリントヘッド22-1~22-12と、温度情報出力回路26と、ヘッド温度検出回路28と、を有する。プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれは、駆動信号選択回路200、温度検出回路24、及び複数の圧電素子60を含む。
【0029】
プリントヘッド22-1には、制御回路100が出力する印刷データ信号SI1、チェンジ信号CH、ラッチ信号LAT、クロック信号SCK、駆動信号COM1、及び基準電圧出力回路54が出力する基準電圧信号VBSと、が入力される。
【0030】
プリントヘッド22-1に入力されたクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1、及び駆動信号COM1は、駆動信号選択回路200に入力される。駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI1に基づいて、駆動信号COM1に含まれる信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成する。そして、駆動信号選択回路200は、生成した駆動信号VOUTを、対応する圧電素子60のそれぞれの一端に個別に出力する。また、複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。そして、複数の圧電素子60のそれぞれは、一端に個別に入力される駆動信号VOUTと、他端に共通に入力される基準電圧信号VBSとの電位差により駆動する。この圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-1から吐出される。
【0031】
また、プリントヘッド22-1が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-1の温度を検出する。そして、温度検出回路24は、検出したプリントヘッド22-1の温度を温度検出情報tc1として取得し、取得した温度検出情報tc1を含む温度検出信号TC1を温度情報出力回路26に出力する。
【0032】
ここで、プリントヘッド22-2~プリントヘッド22-12は、入力される信号、及び出力する信号が異なるのみでプリントヘッド22-1と同様の動作を行う。具体的には、プリントヘッド22-2には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI2、駆動信号COM1、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-2が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI2に基づいて、駆動信号COM1の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-2が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-2が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-2から吐出される。また、プリントヘッド22-2が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-2の温度を温度検出情報tc2として取得し、取得した温度検出情報tc2を含む温度検出信号TC2を温度情報出力回路26に出力する。
【0033】
また、プリントヘッド22-3には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI3、駆動信号COM1、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-3が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI3に基づいて、駆動信号COM1の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-3が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-3が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-3から吐出される。また、プリントヘッド22-3が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-3の温度を温度検出情報tc3として取得し、取得した温度検出情報tc3を含む温度検出信号TC3を温度情報出力回路26に出力する。
【0034】
また、プリントヘッド22-4には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI4、駆動信号COM2、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-4が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI4に基づいて、駆動信号COM2の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-4が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-4が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-4から吐出される。また、プリントヘッド22-4が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-4の温度を温度検出情報tc4として取得し、取得した温度検出情報tc4を含む温度検出信号TC4を温度情報出力回路26に出力する。
【0035】
また、プリントヘッド22-5には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI5、駆動信号COM2、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-5が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI5に基づいて、駆動信号COM2の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-5が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-5が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-5から吐出される。また、プリントヘッド22-5が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-5の温度を温度検出情報tc5として取得し、取得した温度検出情報tc5を含む温度検出信号TC5を温度情報出力回路26に出力する。
【0036】
また、プリントヘッド22-6には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI6、駆動信号COM2、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-6が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI6に基づいて、駆動信号COM2の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-6が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-6が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-6から吐出される。また、プリントヘッド22-6が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-6の温度を温度検出情報tc6として取得し、取得した温度検出情報tc6を含む温度検出信号TC6を温度情報出力回路26に出力する。
【0037】
また、プリントヘッド22-7には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI7、駆動信号COM3、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-7が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI7に基づいて、駆動信号COM3の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-7が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-7が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-7から吐出される。また、プリントヘッド22-7が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-7の温度を温度検出情報tc7として取得し、取得した温度検出情報tc7を含む温度検出信号TC7を温度情報出力回路26に出力する。
【0038】
また、プリントヘッド22-8には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI8、駆動信号COM3、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-8が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI8に基づいて、駆動信号COM3の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-8が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-8が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-8から吐出される。また、プリントヘッド22-8が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-8の温度を温度検出情報tc8として取得し、取得した温度検出情報tc8を含む温度検出信号TC8を温度情報出力回路26に出力する。
【0039】
また、プリントヘッド22-9には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI9、駆動信号COM3、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-9が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI9に基づいて、駆動信号COM3の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-9が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-9が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-9から吐出される。また、プリントヘッド22-9が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-9の温度を温度検出情報tc9として取得し、取得した温度検出情報tc9を含む温度検出信号TC9を温度情報出力回路26に出力する。
【0040】
また、プリントヘッド22-10には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI10、駆動信号COM4、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-10が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI10に基づいて、駆動信号COM4の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-10が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-10が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-10から吐出される。また、プリントヘッド22-10が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-10の温度を温度検出情報tc10として取得し、取得した温度検出情報tc10を含む温度検出信号TC10を温度情報出力回路26に出力する。
【0041】
また、プリントヘッド22-11には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI11、駆動信号COM4、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-11が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI11に基づいて、駆動信号COM4の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-11が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-11が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-11から吐出される。また、プリントヘッド22-11が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-11の温度を温度検出情報tc11として取得し、取得した温度検出情報tc11を含む温度検出信号TC11を温度情報出力回路26に出力する。
【0042】
また、プリントヘッド22-12には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI12、駆動信号COM4、及び基準電圧信号VBSが入力される。そして、プリントヘッド22-12が有する駆動信号選択回路200は、入力されるクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SI12に基づいて、駆動信号COM4の信号波形を選択、又は非選択とすることで、複数の圧電素子60のそれぞれに対応する駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60の一端に出力する。プリントヘッド22-12が有する複数の圧電素子60の他端には、基準電圧信号VBSが共通に入力されている。これにより、プリントヘッド22-12が有する複数の圧電素子60が駆動し、圧電素子60の駆動に応じた量のインクが、プリントヘッド22-12から吐出される。また、プリントヘッド22-12が有する温度検出回路24は、プリントヘッド22-12の温度を温度検出情報tc12として取得し、取得した温度検出情報tc12を含む温度検出信号TC12を温度情報出力回路26に出力する。
【0043】
以上のように、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが共通に入力されるとともに、対応する印刷データ信号SI1~SI12が個別に入力される。また、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12の内、プリントヘッド22-1~22-3には駆動信号COM1が共通に入力され、プリントヘッド22-4~22-6には駆動信号COM2が共通に入力され、プリントヘッド22-7~22-9には駆動信号COM3が共通に入力され、プリントヘッド22-10~22-12には駆動信号COM4が共通に入力される。すなわち、プリントヘッド22-1~22-3に含まれる圧電素子60は駆動信号COMに含まれる駆動信号COM1を受けて駆動し、プリントヘッド22-4~22-6に含まれる圧電素子60は駆動信号COMに含まれる駆動信号COM2を受けて駆動し、プリントヘッド22-7~22-9に含まれる圧電素子60は駆動信号COMに含まれる駆動信号COM3を受けて駆動し、プリントヘッド22-10~22-12に含まれる圧電素子60は駆動信号COMに含まれる駆動信号COM4を受けて駆動する。
【0044】
また、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12は、それぞれの温度を温度検出情報tc1~tc12として取得する。そして、プリントヘッド22-1~22-12は、取得した温度検出情報tc1~tc12を含む温度検出信号TC1~TC12を温度情報出力回路26に出力する。なお、駆動信号選択回路200、及びプリントヘッド22の構成の詳細については後述する。
【0045】
ここで、以下の説明において、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12の内、駆動信号COM1が共通に入力されるとともに、それぞれが駆動信号COM1によって駆動する複数の圧電素子60を有するプリントヘッド22-1~22-3を吐出グループ25-1と称し、駆動信号COM2が共通に入力されるとともに、それぞれが駆動信号COM2によって駆動する複数の圧電素子60を有するプリントヘッド22-4~22-6を吐出グループ25-2と称し、駆動信号COM3が共通に入力されるとともに、それぞれが駆動信号COM3によって駆動する複数の圧電素子60を有するプリントヘッド22-7~22-9を吐出グループ25-3と称し、駆動信号COM4が共通に入力されるとともに、それぞれが駆動信号COM4によって駆動する複数の圧電素子60を有するプリントヘッド22-10~22-11を吐出グループ25-4と称する。また、以下の説明において、吐出グループ25-1~25-4を区別する必要がない場合、単に吐出グループ25と称する場合がある。
【0046】
ここで、以下の説明において、プリントヘッド22-1~22-12を区別する必要がない場合、単にプリントヘッド22と称する場合がある。この場合において、プリントヘッド22には、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHと、印刷データ信号SI1~SI12としての印刷データ信号SIと、駆動信号COM1~COM4としての駆動信号COMと、基準電圧信号VBSと、が入力される。そして、プリントヘッド22は、プリントヘッド22の温度を示す温度検出情報tc1~tc12としての温度検出情報tcを取得し、取得した温度検出情報tcを含む温度検出信号TC1~TC12としての温度検出信号TCを出力するとして説明を行う。
【0047】
ヘッド温度検出回路28は、プリントヘッド22-1~22-12を含むヘッドユニット20の温度を検出し、検出した温度を示すヘッド温度情報thを含むヘッド温度情報信号THを生成する。そして、ヘッド温度検出回路28は、生成したヘッド温度情報信号THを温度情報出力回路26、及び制御回路100に出力する。このようなヘッド温度検出回路28は、ヘッドユニット20の温度変化に応じて抵抗値が変化するサーミスター素子等を含んで構成される。
【0048】
温度情報出力回路26には、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが出力する温度検出信号TC1~TC12と、ヘッド温度検出回路28が出力するヘッド温度情報信号THと、制御回路100が出力する温度取得要求信号TDと、が入力される。温度情報出力回路26は、入力される温度検出信号TC1~TC12のそれぞれを増幅し保持するとともに、ヘッド温度情報信号THを増幅し保持する。そして、温度情報出力回路26は、温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12と、ヘッド温度情報信号THに含まれるヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲と比較し、制御回路100から入力される温度取得要求信号TDに応じて、当該比較の比較結果と、温度検出情報tc1~tc12と、に応じた温度情報信号TIを生成し、制御回路100に出力する。このような温度情報出力回路26は、例えば、入力される温度検出信号TC1~TC12を増幅する増幅回路、ヘッド温度情報信号THを増幅する増幅回路、増幅された温度検出信号TC1~TC12、及びヘッド温度情報信号THをデジタル信号に変換するA/D変換回路、各種の情報を保持する記憶回路等を有し、例えば、マイクロコンピューター等を含んで構成される。なお、温度情報出力回路26の動作の詳細については後述する。
【0049】
以上のように、第1実施形態の液体吐出装置1は、制御回路100が出力するクロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SIを含む制御信号Ctrl-Hと、駆動信号COMとしての駆動信号COM1~COM4を出力する駆動回路50と、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、及び印刷データ信号SIを含む制御信号Ctrl-Hと、駆動信号COMと、を受けてインクを吐出するヘッドユニット20と、を備え、ヘッドユニット20は、駆動信号COMを受けてインクを吐出する複数のプリントヘッド22と、複数のプリントヘッド22のそれぞれの温度を示す複数の温度検出情報tcが入力され、複数の温度検出情報tcに応じた温度情報信号TIを出力する温度情報出力回路26と、を有する。
【0050】
1.3 駆動信号選択回路の機能構成
次に、プリントヘッド22が有する駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。前述の通り、プリントヘッド22が有する駆動信号選択回路200は、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHに基づいて、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成し、対応する圧電素子60に出力する。そこで、駆動信号選択回路200の構成、及び動作を説明するにあたり、まず、駆動信号選択回路200に入力される駆動信号COMの波形の一例について説明する。
【0051】
図3は、駆動信号COMの信号波形の一例を示す図である。
図3に示すように、駆動信号COMは、ラッチ信号LATが立ち上がってからチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間t1に配置された台形波形Adpと、チェンジ信号CHが立ち上がってから次にチェンジ信号CHが立ち上がるまでの期間t2に配置された台形波形Bdpと、チェンジ信号CHが立ち上がってからラッチ信号LATが立ち上がるまでの期間t3に配置された台形波形Cdpと、を含む。台形波形Adpは、所定量のインクが吐出するように圧電素子60を駆動する信号波形であり、台形波形Bdpは、所定量よりも少量のインクが吐出するように圧電素子60を駆動する信号波形であり、台形波形Cdpは、インクが吐出されない程度に圧電素子60を駆動する信号波形である。ここで、台形波形Cdpが圧電素子60に供給された場合、当該圧電素子60は、対応するノズル開孔部付近のインクを振動させることで、ノズル開孔部付近のインク粘度が増大するおそれを低減するための信号波形である。
【0052】
また、台形波形Adp,Bdp,Cdpは、それぞれの開始タイミング及び終了タイミングでの電圧値がいずれも電圧Vcで共通の信号波形である。すなわち、台形波形Adp,Bdp,Cdpのそれぞれは、電圧Vcで開始し電圧Vcで終了する。
【0053】
以下の説明において、圧電素子60に台形波形Adpが供給された場合に、吐出される所定量のインクの量を中程度の量と称し、圧電素子60に台形波形Bdpが供給された場合に、吐出される所定量のよりも少ないインクの量を小程度の量と称する場合がある。また、圧電素子60に台形波形Cdpが供給された場合に、当該圧電素子60に対応するノズル開孔部付近のインクを振動させてインク粘度の増大を防止するための動作を微振動と称する場合がある。なお、
図3に示す駆動信号COMの信号波形は一例であってこれに限られるものではない。駆動信号COMの信号波形は吐出されるインクの性質や、インクが着弾する媒体Pの材質等に応じて、様々な波形の組み合わせが用いられてもよい。
【0054】
そして、駆動信号選択回路200は、期間t1,t2,t3を含む周期tpにおいて、駆動信号COMに含まれる台形波形Adp,Bdp,Cdpを選択、又は非選択とする。これにより、周期tpにおいて吐出されるインク量が制御される。すなわち、周期tpにおいて媒体Pに形成されるドットサイズが制御される。この期間t1,t2,t3を含む周期tpが、媒体Pに所定のサイズのドットを形成するドット形成周期に相当する。
【0055】
次に、駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで駆動信号VOUTを生成する駆動信号選択回路200の構成、及び動作について説明する。
図4は、駆動信号選択回路200の構成を示す図である。
図4に示すように、駆動信号選択回路200は、選択制御回路210と、複数の圧電素子60と同数の複数の選択回路230を有する。なお、以下の説明では、プリントヘッド22は、n個の圧電素子60を有するとして説明を行う。すなわち、駆動信号選択回路200は、n個の選択回路230を有する。
【0056】
選択制御回路210には、クロック信号SCK、印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、及びチェンジ信号CHが入力される。また、選択制御回路210には、シフトレジスター(S/R)212とラッチ回路214とデコーダー216との組が、n個の圧電素子60の各々に対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、n個のシフトレジスター212と、n個のラッチ回路214と、n個のデコーダー216とを含む。
【0057】
印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期して選択制御回路210に入力される。また、印刷データ信号SIは、「大ドットLD」、「中ドットMD」、「小ドットSD」及び「非記録ND」のいずれかを選択するための2ビットの印刷データ[SIH,SIL]をn個の圧電素子60の各々に対応してシリアルに含む。印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]は、n個の圧電素子60に対応するn個のシフトレジスター212に保持される。具体的には、圧電素子60に対応したn個のシフトレジスター212が互いに縦続接続しているとともに、シリアルで入力された印刷データ信号SIが、クロック信号SCKに従って順次後段のシフトレジスター212に転送される。そして、印刷データ[SIH,SIL]が対応するシフトレジスター212に保持されることで、クロック信号SCKが停止する。これにより、印刷データ信号SIに含まれる印刷データ[SIH,SIL]が対応するシフトレジスター212に保持される。なお、
図4には、n個のシフトレジスター212を区別するために、印刷データ信号SIが入力される上流側から順番に1段、2段、…、n段と表記している。
【0058】
n個のラッチ回路214の各々は、ラッチ信号LATの立ち上がりで対応するシフトレジスター212に保持された印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。そして、ラッチ回路214がラッチした印刷データ[SIH,SIL]は、対応するデコーダー216に入力される。
図5は、デコーダー216におけるデコード内容の一例を示す図である。デコーダー216は、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて、入力される印刷データ[SIH,SIL]で規定される論理レベルの選択信号Sを出力する。例えば、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[1,0]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを、期間t1,t2,t3においてH,L,Lレベルとして出力する。
【0059】
デコーダー216が出力する選択信号Sは、選択回路230に入力される。選択回路230は、n個の圧電素子60のそれぞれに対応して設けられている。すなわち、駆動信号選択回路200は、n個の圧電素子60と同数のn個の選択回路230を有する。
図6は、選択回路230の構成を示す図である。
図6に示すように、選択回路230は、NOT回路であるインバーター232とトランスファーゲート234とを含む。
【0060】
選択信号Sは、トランスファーゲート234において丸印が付されていない正制御端に入力されるとともに、インバーター232によって論理レベルが反転された後、トランスファーゲート234において丸印が付された負制御端にも入力される。また、トランスファーゲート234の入力端には、駆動信号COMが供給されている。そして、トランスファーゲート234は、ハイレベルの選択信号Sが入力された場合に入力端と出力端との間を導通とし、ローレベルの選択信号Sが入力された場合に入力端と出力端との間を非導通とする。すなわち、トランスファーゲート234は、選択信号Sの論理レベルがハイレベルの場合に駆動信号COMに含まれる信号波形を出力端から出力し、選択信号Sの論理レベルがローレベルの場合に駆動信号COMに含まれる信号波形を出力端から出力しない。そして、駆動信号選択回路200は、選択回路230が有するトランスファーゲート234の出力端に出力された信号を、駆動信号VOUTとして出力する。
【0061】
ここで、
図7を用いて駆動信号選択回路200の動作について説明する。
図7は、駆動信号選択回路200の動作を説明するための図である。印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期したシリアル信号として選択制御回路210に入力される。そして、印刷データ信号SIは、クロック信号SCKに同期して、n個の圧電素子60に対応するn個のシフトレジスター212において順次転送される。その後、クロック信号SCKの入力が停止すると、シフトレジスター212には、n個の圧電素子60の各々に対応した印刷データ[SIH,SIL]が保持される。なお、印刷データ信号SIは、シフトレジスター212のn段、…、2段、1段の圧電素子60に対応した順に入力される。
【0062】
そして、ラッチ信号LATが立ち上がると、ラッチ回路214のそれぞれは、シフトレジスター212に保持されている印刷データ[SIH,SIL]を一斉にラッチする。なお、
図7に示すLT1、LT2、…、LTnは、1段、2段、…、n段のシフトレジスター212に対応するラッチ回路214によってラッチされた印刷データ[SIH,SIL]を示す。
【0063】
デコーダー216は、ラッチされた印刷データ[SIH,SIL]で規定されるドットのサイズに応じて、期間t1,t2,t3のそれぞれにおいて、選択信号Sの論理レベルを
図5に示す内容で出力する。そして、選択回路230が、デコーダー216が出力する選択信号Sの論理レベルに応じて駆動信号COMに含まれる信号波形を選択又は非選択とすることで、駆動信号VOUTを生成する。
【0064】
具体的には、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[1,1]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間t1,t2,t3においてH,H,Lレベルとする。これにより、選択回路230は、期間t1において台形波形Adpを選択し、期間t2において台形波形Bdpを選択し、期間t3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、駆動信号選択回路200は、「大ドットLD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0065】
「大ドットLD」に対応する駆動信号VOUTが圧電素子60に供給された場合、期間t1において中程度の量のインクが吐出され、期間t2において小程度の量のインクが吐出され、期間t3においてインクが吐出されない。そして、吐出された中程度の量のインクと小程度の量のインクとが、媒体Pに着弾し結合することで、媒体Pに「大ドットLD」が形成される。
【0066】
また、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[1,0]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間t1,t2,t3においてH,L,Lレベルとする。これにより、選択回路230は、期間t1において台形波形Adpを選択し、期間t2において台形波形Bdpを選択せず、期間t3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、駆動信号選択回路200は、「中ドットMD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0067】
「中ドットMD」に対応する駆動信号VOUTが圧電素子60に供給された場合、期間t1において中程度の量のインクが吐出され、期間t2においてインクが吐出されず、期間t3においてインクが吐出されない。そして、吐出された中程度の量のインクが媒体Pに着弾することで、媒体Pに「中ドットMD」が形成される。
【0068】
また、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[0,1]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間t1,t2,t3においてL,H,Lレベルとする。これにより、選択回路230は、期間t1において台形波形Adpを選択せず、期間t2において台形波形Bdpを選択し、期間t3において台形波形Cdpを選択しない。その結果、駆動信号選択回路200は、「小ドットSD」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0069】
「小ドットSD」に対応する駆動信号VOUTが圧電素子60に供給された場合、期間t1においてインクが吐出されず、期間t2において小程度の量のインクが吐出され、期間t3においてインクが吐出されない。そして、吐出された小程度の量のインクが媒体Pに着弾することで、媒体Pに「小ドットSD」が形成される。
【0070】
また、デコーダー216に印刷データ[SIH,SIL]=[0,0]が入力された場合、デコーダー216は、選択信号Sの論理レベルを期間t1,t2,t3においてL,L,Hレベルとする。これにより、選択回路230は、期間t1において台形波形Adpを選択せず、期間t2において台形波形Bdpを選択せず、期間t3において台形波形Cdpを選択する。その結果、駆動信号選択回路200は、「非記録ND」に対応する駆動信号VOUTを出力する。
【0071】
「非記録ND」に対応する駆動信号VOUTが圧電素子60に供給された場合、期間t1においてインクが吐出されず、期間t2においてインクが吐出されず、期間t3においてインクが吐出されない。したがって、媒体Pにドットが形成されない「非記録ND」となる。このとき、対応する圧電素子60には、台形波形Cdpを含む駆動信号VOUTが入力される。したがって、微振動が実行される。その結果、対応するノズル開孔部付近のインク粘度が増大するおそれが低減する。
【0072】
以上のように、第1実施形態の液体吐出装置1において、プリントヘッド22は、駆動信号COMが供給されることで駆動する圧電素子60を有し、圧電素子60の駆動により液体の一例であるインクをノズル321から吐出する。
【0073】
1.4 ヘッドユニットの構造
次に、ヘッドユニット20の構造について説明する。
図8は、ヘッドユニット20の構造を示す図である。
図8に示すように、ヘッドユニット20は、ヘッド510とヘッド基板520を有する。ここで、以下の説明では、互いに直交する3つの空間軸であるX軸、Y軸、Z軸を図示している。また、以下の説明において、X軸に沿った方向を示す矢印の先端側を+X側、起点側を-X側と称し、Y軸に沿った方向を示す矢印の先端側を+Y側、起点側を-Y側と称し、Z軸に沿った方向を示す矢印の先端側を+Z側、起点側を-Z側と称する。
【0074】
ヘッド基板520は、面521と、面521と異なる面522とを有する。ヘッド基板520の面522には複数のコネクター550が設けられている。また、ヘッド基板520の面521側には、ヘッド510が設けられている。このヘッド510に前述したプリントヘッド22-1~22-12が設けられている。そして、ヘッド510のZ方向おける下側の面に、インクを吐出するインク吐出面511が位置している。
【0075】
図9は、ヘッド510のインク吐出面511の構成を示す平面図である。
図9に示すように、インク吐出面511には、開口513-1~513-12が形成されている。開口513-1~513-6は、X軸に沿って-X側から+X側に向かい開口513-1,513-2,513-3,513-4,513-5,513-6の順に並んで位置している。また、開口513-7~513-12は、X軸に沿って並んで位置する開口513-1~513-6の-Y側に位置し、-X側から+X側に向かい開口513-7,513-8,513-9,513-10,513-11,513-12の順に並んで位置している。
【0076】
開口513-1~513-12からは、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12の少なくとも一部が露出している。
【0077】
具体的には、開口513-1からプリントヘッド22-1の少なくとも一部であって、プリントヘッド22-1が有する複数のノズル321が形成されたノズルプレート320が露出している。換言すれば、プリントヘッド22-1は、複数のノズル321と、複数のノズル321が形成されたノズルプレート320と、を含み、ヘッド510において、複数のノズル321が形成されたノズルプレート320が露出するように設けられている。このとき、プリントヘッド22-1が有するノズルプレート320に形成された複数のノズル321は、Y軸に沿って2列で並設されることでノズル列を構成している。換言すれば、プリントヘッド22-1は、複数のノズル321を有し、プリントヘッド22-1が有する複数のノズル321は、Y軸に沿って延在する2列のノズル列を構成する。
【0078】
同様に、開口513-2~513-12のそれぞれからプリントヘッド22-2~22-12の少なくとも一部であって、プリントヘッド22-2~22-12のそれぞれが有する複数のノズル321が形成されたノズルプレート320が露出している。換言すれば、プリントヘッド22-2~22-12のそれぞれは、複数のノズル321と、複数のノズル321が形成されたノズルプレート320と、を含み、ヘッド510において、複数のノズル321が形成されたノズルプレート320が露出するように設けられている。このとき、プリントヘッド22-2~22-12のそれぞれが有する複数のノズル321は、Y軸に沿って2列で並設されることでノズル列を構成している。換言すれば、プリントヘッド22-2~22-12は、それぞれが複数のノズル321を有し、プリントヘッド22-2~22-12のそれぞれが有する複数のノズル321は、Y軸に沿って延在する2列のノズル列を構成する。
【0079】
なお、
図9では、プリントヘッド22-1~22-12は、それぞれがY軸に沿った2列のノズル列を有する場合を図示してが、プリントヘッド22-1~22-12は、それぞれがY軸に沿った1列のノズル列を有してもよく、3列以上のノズル列を有してもよい。
【0080】
ここで、ヘッド510に含まれるプリントヘッド22の構造の具体例について説明する。
図10は、プリントヘッド22の構造を示す分解斜視図であり、
図11は、プリントヘッド22の平面図であり、
図12は、
図11に示すIV-IV断面を示す断面図であり、
図13は、
図12の要部詳細図であり、
図14は、
図11に示すVI-VI断面を示す断面図である。
【0081】
図10に示すように、プリントヘッド22は、Z軸に沿って-Z側から+Z側に向かいインクを吐出する。プリントヘッド22は、圧力室基板310、連通板315、ノズルプレート320、コンプライアンス基板345、後述する振動板350、後述する圧電素子60、保護基板330、ケース部材340、及び配線基板420を有する。
【0082】
圧力室基板310は、例えば、シリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板等からなる。
図11に示すように、圧力室基板310には、複数の圧力室312がY軸に沿って並ぶ圧力室列が、X軸に沿って2列配置されている。換言すると、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22は、複数の圧力室312を有し、複数の圧力室312は、複数の圧力室312がY軸に沿って並ぶことで2列の圧力室列を形成する。ここで、2列の圧力室列のうち、+X側に位置する圧力室列を第1圧力室列と称し、第1圧力室列の-X側に位置する圧力室列を第2圧力室列と称する場合がある。なお、
図11は、プリントヘッド22の平面図であるが、圧力室基板310の周辺構成を図示し、保護基板330、ケース部材340等の図示を省略している。
【0083】
また、各圧力室列を構成する複数の圧力室312は、X軸に沿った位置が同じ位置となるように、Y軸に沿った直線上に配置されている。そして、Y軸に沿って互いに隣り合う圧力室312は、
図14に示す隔壁311によって区画されている。もちろん、圧力室312の配置は特に限定されるものではなく、例えば、Y軸に沿って並ぶ複数の圧力室312の配置が、各圧力室312を1つ置きにX軸に沿った方向においてずれて位置する所謂千鳥配置であってもよい。
【0084】
また、第1実施形態の圧力室312は、+Z側からの平面視においてX軸に沿った方向の長さがY軸に沿った方向の長さよりも長い、例えば、長方形に形成されている。もちろん、+Z側からの平面視における圧力室312の形状は、特に限定されず、平行四辺形状、多角形状、円形状、オーバル形状等であってもよい。ここで、オーバル形状とは、長方形状を基本として長手方向の両端部を半円状とした形状をいい、角丸長方形状、楕円形状、卵形状などが含まれる。
【0085】
図10、
図13に示すように、圧力室基板310の+Z側には、連通板315と、ノズルプレート320及びコンプライアンス基板345とが積層されている。
【0086】
連通板315には、圧力室312とノズル321とを連通するノズル連通路316が設けられている。また、連通板315には、複数の圧力室312が連通する共通液室となるマニホールド400の一部を構成する第1マニホールド部317及び第2マニホールド部318が設けられている。第1マニホールド部317は、連通板315をZ軸に沿った方向に貫通して設けられている。また、第2マニホールド部318は、連通板315をZ軸に沿った方向に貫通することなく、+Z側の面に開口して設けられている。
【0087】
さらに、連通板315には、圧力室312のX軸に沿った方向の一方の端部に連通する供給連通路319が、圧力室312の各々に独立して設けられている。供給連通路319は、第2マニホールド部318と各圧力室312とを連通し、マニホールド400内のインクを各圧力室312に供給する。
【0088】
連通板315としては、シリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板、金属基板等を用いることができる。金属基板としては、例えば、ステンレス基板等が挙げられる。なお、連通板315は、熱膨張率が圧力室基板310と略同一の材料を用いることが好ましい。これにより、圧力室基板310及び連通板315の温度が変化した際、熱膨張率の違いに起因して圧力室基板310及び連通板315に反りが生じるおそれを低減できる。
【0089】
ノズルプレート320は、連通板315の圧力室基板310とは反対側、すなわち、+Z側の面に設けられている。ノズルプレート320には、各圧力室312にノズル連通路316を介して連通するノズル321が形成されている。
【0090】
第1実施形態では、複数のノズル321は、Y軸に方向に沿って並んで配置されている。そしてノズルプレート320には、これら複数のノズル321が列設されたノズル列がX軸に沿った方向に離れて2列設けられている。2列のノズル列が、第1圧力室列、第2圧力室列にそれぞれ対応する。各列の複数のノズル321は、X軸に沿った方向の位置が同じ位置となるように配置されている。なおノズル321の配置は特に限定されるものではない。例えば、Y軸に沿った方向に並んで配置されるノズル321は、1つ置きにX軸方向にずれた位置に配置されていてもよい。
【0091】
ノズルプレート320の材料としては、特に限定されず、例えば、シリコン基板、ガラス基板、SOI基板、各種セラミック基板、金属基板を用いることができる。金属基板としては、例えば、ステンレス基板等が挙げられる。さらにノズルプレート320の材料としては、ポリイミド樹脂のような有機物などを用いることもできる。ただし、ノズルプレート320は、連通板315の熱膨張率と略同一の材料を用いることが好ましい。これにより、ノズルプレート320及び連通板315の温度が変化した際、熱膨張率の違いに起因してノズルプレート320及び連通板315に反りが生じるおそれを低減できる。
【0092】
コンプライアンス基板345は、ノズルプレート320とともに、連通板315の圧力室基板310とは反対側、すなわち、+Z側の面に設けられている。このコンプライアンス基板345は、ノズルプレート320の周囲に設けられ、連通板315に設けられた第1マニホールド部317及び第2マニホールド部318の開口を封止する。コンプライアンス基板345は、可撓性を有する薄膜からなる封止膜346と、金属等の硬質の材料からなる固定基板347と、を含む。固定基板347のマニホールド400に対向する領域は、厚さ方向に完全に除去された開口部348となっている。このため、マニホールド400の一方面は、可撓性を有する封止膜346のみで封止されたコンプライアンス部349となっている。
【0093】
一方、圧力室基板310のノズルプレート320等とは反対側、すなわち-Z側の面には、詳しくは後述するが、振動板350と、この振動板350を撓み変形させて圧力室312内のインクに圧力変化を生じさせる圧電素子60とが積層されている。換言すると、振動板350は、圧電素子60に対してZ軸に沿った方向の+Z側に設けられ、圧力室基板310は振動板350に対してZ軸に沿った方向の+Z側に設けられている。なお、
図12は、プリントヘッド22の全体構成を説明するための図であり、圧電素子60の構成については簡略化して示している。
【0094】
さらに、圧力室基板310の-Z側の面には、圧力室基板310と略同じ大きさを有する保護基板330が接着剤等によって接合されている。保護基板330は、圧電素子60を保護する空間である保持部331を有する。保持部331は、Y軸に沿った方向に並んで配置された圧電素子60の列毎に独立して設けられたものであって、X軸に沿った方向に2つ並んで形成されている。また、保護基板330には、X軸に沿った方向に並んで配置された2つの保持部331の間にZ軸に沿った方向に貫通する貫通孔332が設けられている。
【0095】
また、保護基板330上には、複数の圧力室312に連通するマニホールド400を圧力室基板310とともに画成するケース部材340が固定されている。ケース部材340は、-Z側からの平面視において上述した連通板315と略同一形状を有し、保護基板330に接合されるとともに、上述した連通板315にも接合されている。
【0096】
このようなケース部材340は、圧力室基板310及び保護基板330を収容可能な深さの空間である収容部341を保護基板330側に有する。この収容部341は、保護基板330の圧力室基板310に接合された面よりも広い開口面積を有する。そして、収容部341に圧力室基板310及び保護基板330が収容された状態で収容部341のノズルプレート320側の開口面が連通板315によって封止されている。
【0097】
またケース部材340には、X軸に沿った方向における収容部341の両外側に、第3マニホールド部342がそれぞれ画成されている。そして、連通板315に設けられた第1マニホールド部317及び第2マニホールド部318と、第3マニホールド部342と、によってマニホールド400が構成されている。マニホールド400は、Y軸に沿った方向に亘って連続して設けられており、各圧力室312とマニホールド400とを連通する供給連通路319は、Y軸に沿った方向に並んで配置されている。
【0098】
また、ケース部材340には、マニホールド400に連通して各マニホールド400にインクを供給するための供給口344が設けられている。さらにケース部材340には、保護基板330の貫通孔332に連通して配線基板420が挿通される接続口343が設けられている。
【0099】
このような第1実施形態のプリントヘッド22は、インク容器80に貯留されたインクを供給口344から取り込む。そして、マニホールド400からノズル321に至るまで内部をインクで満たした後、駆動信号選択回路200を含む集積回路421から、圧力室312に対応するそれぞれの圧電素子60に、駆動信号COMに基づく駆動信号VOUTが供給される。これにより圧電素子60とともに振動板350がたわみ変形して各圧力室312内の圧力が高まり、各ノズル321からインクが吐出される。ヘッドユニット20は、上述したプリントヘッド22を複数有する。
【0100】
次に、上述した振動板350、圧電素子60を含む、圧力室基板310の-Z側に積層形成される構成について説明する。プリントヘッド22は、圧力室基板310の-Z側に積層される構成として、振動板350、圧電素子60に加え、個別リード電極391、共通リード電極392、測定用リード電極393、及び抵抗配線401を有する。
【0101】
図12~
図14に示すように、振動板350は、圧力室基板310側に設けられた酸化シリコンからなる弾性膜351と、弾性膜351上に設けられた酸化ジルコニウム膜からなる絶縁体膜352と、で構成されている。圧力室312等の液体流路は、圧力室基板310を+Z側の面から異方性エッチングすることにより形成されており、圧力室312等の液体流路の-Z側の面は、弾性膜351で構成されている。なお、振動板350の構成は特に限定されるものではない。振動板350は、例えば、弾性膜351と絶縁体膜352とのいずれか一方で構成されていてもよく、さらには、弾性膜351及び絶縁体膜352以外のその他の膜が含まれていてもよい。その他の膜の材料としては、シリコン、窒化ケイ素等が挙げられる。
【0102】
圧電素子60は、圧力室312内のインクに圧力変化を生じさせる圧電アクチュエーターの一例である。この圧電素子60は、振動板350側である+Z側から-Z側に向かって順次積層された電極360と、圧電体370と、電極380とを有する。換言すると、圧電素子60は、電極360、電極380、及び圧電体370を含み、電極360、電極380、及び圧電体370が積層されるZ軸に沿った方向において、圧電体370が電極360と電極380との間に設けられている。
【0103】
電極360及び電極380は、いずれも配線基板420と電気的に接続され、配線基板420に実装される集積回路421に含まれる駆動信号選択回路200から供給される駆動信号VOUTと、配線基板420を伝搬する基準電圧信号VBSと、を圧電体370に供給する。電極360には、インクの吐出量に応じて異なる駆動信号VOUTが供給され、電極380には、インクの吐出量に関わらず、一定の基準電圧信号VBSが供給される。これにより、電極360と電極380との間に電位差が生じ、圧電体370が変形する。すなわち、圧電素子60が駆動されることにより、振動板350が変形又は振動し、圧力室312の容積が変化することにより、圧力室312に収容されているインクに圧力が付与される。その結果、ノズル連通路316を介してノズル321からインクが吐出される。この場合において、圧力室312の容積変化量がインクの吐出量となる。
【0104】
圧電素子60のうち、電極360と電極380との間に電圧を印加した際に、圧電体370に圧電歪みが生じる部分を活性部410と称する。これに対して、圧電体370に圧電歪みが生じない部分を非活性部415と称する。すなわち、圧電素子60のうち、圧電体370が電極360と電極380とで挟まれた部分が活性部410であり、圧電体370が電極360と電極380とで挟まれていない部分が非活性部415である。また、圧電素子60を駆動させた際、Z軸に沿った方向に変位する部分を可撓部と称し、Z軸に沿った方向に変位しない部分を非可撓部と称する。すなわち、圧電素子60のうち、圧力室312にZ軸に沿った方向で対向する部分が可撓部となり、圧力室312の外側部分が非可撓部となる。なお、活性部410は能動部、非活性部415は非能動部とも言う。
【0105】
一般的には、活性部410のいずれか一方の電極を活性部410毎に独立する個別電極とし、他方の電極を複数の活性部410に共通する共通電極として構成する。第1実施形態では、電極360が個別電極を構成し、電極380が共通電極を構成している。
【0106】
具体的には、電極360は、圧電体370に対して+Z側に設けられ、圧力室312毎に切り分けられて活性部410毎に独立する個別電極を構成する。すなわち、電極360は、複数の圧力室312に対して個別に設けられる。電極360は、Y軸に沿った方向において、圧力室312の幅よりも狭い幅で形成されている。すなわち、Y軸に沿った方向において、電極360の端部は、圧力室312に対向する領域の内側に位置している。
【0107】
また、電極360の+X側の端部360a及び-X側の端部360bは、それぞれ圧力室312の外側に配置されている。例えば、第1圧力室列では、
図13に示すように、電極360の端部360aは、圧力室312の+X側の端部312aよりも+X側に配置されている。電極360の端部360bは、圧力室312の-X側の端部312bよりも-X側に配置されている。
【0108】
電極360の材料は特に限定されないが、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、チタン(Ti)といった金属、ITOと略される酸化インジウムスズといった導電性金属酸化物等の導電材料が用いられる。或いは、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、チタン(Ti)等の複数の材料が積層されて形成されてもよい。第1実施形態では、電極360として白金(Pt)を用いた。
【0109】
圧電体370は、
図11に示すように、X軸に沿った方向の長さを所定長さとして、Y軸に沿った方向に亘って連続して設けられている。すなわち、圧電体370は、所定の厚さで圧力室312の並設方向に沿って連続して設けられている。圧電体370の厚さは特に限定されないが、1000ナノメートルから4000ナノメートル程度の厚さで形成される。
【0110】
また、
図13に示すように、圧電体370のX軸に沿った方向の長さは、圧力室312の長手方向であるX軸に沿った方向の長さよりも長い。このため、圧力室312のX軸に沿った方向の両側では、圧電体370は、圧力室312の外側まで延在している。このように、圧電体370がX軸に沿った方向において圧力室312の外側まで延在していることで、振動板350の強度が向上する。したがって、活性部410を駆動させて圧電素子60を変位させた際、振動板350や圧電素子60にクラック等が発生するおそれを低減することができる。
【0111】
また、例えば、第1圧力室列では、
図13に示すように、圧電体370の+X側の端部370aは、電極360の端部360aよりも外側となる+X側に位置している。すなわち、電極360の端部360aは圧電体370によって覆われている。一方、圧電体370の-X側の端部370bは、電極360の端部360bよりも内側となる+X側に位置しており、電極360の端部360bは、圧電体370では覆われていない。
【0112】
なお、圧電体370には、
図11及び
図14に示すように、各隔壁311に対応して他の領域よりも厚さが薄い部分である溝部371が形成されている。第1実施形態の溝部371は、圧電体370をZ軸に沿った方向に完全に除去することで形成されている。すなわち、圧電体370が他の領域よりも厚さの薄い部分を有するとは、圧電体370がZ軸に沿った方向に完全に除去されたものも含む。もちろん、溝部371の底面に圧電体370が他の部分よりも薄く形成されていてもよい。
【0113】
また、溝部371のY軸に沿った方向の長さ、つまり溝部371の幅は、隔壁311の幅と同一もしくは、それより広くなっている。第1実施形態では、溝部371の幅は、隔壁311の幅よりも広くなっている。このような溝部371は、-Z側からの平面視において、矩形状となるように形成されている。もちろん、溝部371の-Z側からの平面視した形状は、矩形状に限定されず、5角形以上の多角形状であってもよく、円形状や楕円形状等であってもよい。
【0114】
圧電体370に溝部371を設けることにより、振動板350の圧力室312のY軸に沿った方向の端部に対向する部分、いわゆる振動板350の腕部の剛性が抑えられるため、圧電素子60をより良好に変位させることができる。
【0115】
圧電体370としては、電極360上に形成される電気機械変換作用を示す強誘電性セラミックス材料からなるペロブスカイト構造の結晶膜、所謂ペロブスカイト型結晶が挙げられる。圧電体370の材料としては、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等の強誘電性圧電材料や、これに酸化ニオブ、酸化ニッケル又は酸化マグネシウム等の金属酸化物を添加したもの等を用いることができる。具体的には、チタン酸鉛(PbTiO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O3)、ジルコニウム酸鉛(PbZrO3)、チタン酸鉛ランタン((Pb,La),TiO3)、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン((Pb,La)(Zr,Ti)O3)又は、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛(Pb(Zr,Ti)(Mg,Nb)O3)等を用いることができる。第1実施形態では、圧電体370として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)を用いた。
【0116】
また、圧電体370の材料としては、鉛を含む鉛系の圧電材料に限定されず、鉛を含まない非鉛系の圧電材料を用いることもできる。非鉛系の圧電材料としては、例えば、鉄酸ビスマス((BiFeO3)、略「BFO」)、チタン酸バリウム((BaTiO3)、略「BT」)、ニオブ酸カリウムナトリウム((K,Na)(NbO3)、略「KNN」)、ニオブ酸カリウムナトリウムリチウム((K,Na,Li)(NbO3))、ニオブ酸タンタル酸カリウムナトリウムリチウム((K,Na,Li)(Nb,Ta)O3)、チタン酸ビスマスカリウム((Bi1/2K1/2)TiO3、略「BKT」)、チタン酸ビスマスナトリウム((Bi1/2Na1/2)TiO3、略「BNT」)、マンガン酸ビスマス(BiMnO3、略「BM」)、ビスマス、カリウム、チタン及び鉄を含みペロブスカイト構造を有する複合酸化物(x[(BixK1-x)TiO3]-(1-x)[BiFeO3]、略「BKT-BF」)、ビスマス、鉄、バリウム及びチタンを含みペロブスカイト構造を有する複合酸化物((1-x)[BiFeO3]-x[BaTiO3]、略「BFO-BT」)や、これにマンガン、コバルト、クロムなどの金属を添加したもの((1-x)[Bi(Fe1-yMy)O3]-x[BaTiO3](Mは、Mn、Co又はCr))等が挙げられる。
【0117】
電極380は、
図11、
図13、及び
図14に示すように、圧電体370に対して、電極360とは反対側である-Z側に設けられ、複数の活性部410に共通する共通電極を構成する。すなわち、電極380は、複数の圧力室312に対して共通に設けられている。電極380は、X軸に沿った方向の長さを所定長さとして、Y軸に沿った方向に亘って連続して設けられている。この電極380は、溝部371の内面、すなわち圧電体370の溝部371の側面上及び溝部371の底面である絶縁体膜352上にも設けられている。なお、溝部371内に関しては、電極380は、溝部371の内面の一部のみに設けられていてもよく、溝部371の内面の全面に亘って設けられていなくてもよい。
【0118】
また、例えば、第1圧力室列では、
図13に示すように、電極380の+X側の端部380aが、圧電体370で覆われている電極360の端部360aよりも外側となるように+X側に配置されている。すなわち、電極380の端部380aは、圧力室312の端部312aよりも外側となる+X側で、電極360の端部360aよりも外側となる+X側に位置している。第1実施形態では、電極380の端部380aは、X軸に沿った方向において、圧電体370の端部370aと実質的に一致している。このため、活性部410の+X側の端部、すなわち活性部410と非活性部415との境界は、電極360の端部360aによって規定されている。
【0119】
一方、電極380の-X側の端部380bは、圧力室312の-X側の端部312bよりも外側となる-X側であって、圧電体370の端部370bよりも内側となる+X側に配置されている。上述のように圧電体370の端部370bは、電極360の端部360bよりも+X側となる内側に位置している。したがって、電極380の端部380bは、電極360の端部360bよりも+X側となる圧電体370上に位置している。このため、電極380の端部380bの-X側には、圧電体370の表面が露出された部分が存在する。
【0120】
このように電極380の端部380bは、圧電体370の端部370b、及び電極360の端部360bよりも+X側に配置されている。そのため、活性部410の-X側の端部、すなわち活性部410と非活性部415との境界は、電極380の端部380bによって規定される。
【0121】
電極380の材料は特に限定されないが、電極360と同様に、例えば、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、チタン(Ti)といった金属、ITOと略される酸化インジウムスズといった導電性金属酸化物等の導電材料が用いられる。或いは、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、チタン(Ti)等の複数の材料が積層されて形成されてもよい。第1実施形態では、電極380としてイリジウム(Ir)を用いた。
【0122】
また、電極380の端部380bの外側、すなわち電極380の端部380bのさらに-X側には、電極380と同一層となるが、電極380とは電気的に不連続となる配線部385が設けられている。また、配線部385は、電極380の端部380bと接触しないように間隔を空けた状態で、圧電体370上から圧電体370よりも-X側に延設された電極360上に亘って形成されている。この配線部385は、活性部410毎に独立して設けられている。すなわち、配線部385は、Y軸に沿った方向において所定の間隔で複数配置されている。なお、配線部385は、電極380とは別の層で形成されていてもよいが、電極380と同一層で形成することが好ましい。これにより、配線部385の製造工程を簡略化してコストの低減を図ることができる。
【0123】
また、圧電素子60を構成する電極360と電極380とには、電極360には個別リード電極391が接続され、電極380には駆動用共通電極である共通リード電極392がそれぞれ電気的に接続されている。個別リード電極391、及び共通リード電極392の圧電素子60に接続された端部とは反対側の端部には、可撓性を有する配線基板420が電気的に接続されている。配線基板420には、制御ユニット10、温度情報出力回路26、及び不図示の複数の回路と接続するための複数の配線が形成されている。第1実施形態において、配線基板420は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)により構成されている。なお、FPCに代えて、FFC(Flexible Flat Cable)など、可撓性を有する任意の基板により構成されてもよい。
【0124】
第1実施形態では、個別リード電極391及び共通リード電極392は、保護基板330に形成された貫通孔332内に露出するように延設され、この貫通孔332内で配線基板420と電気的に接続されている。また、配線基板420には、圧電素子60を駆動するための駆動信号VOUTを出力する駆動信号選択回路200が搭載された集積回路421が実装されている。
【0125】
個別リード電極391及び共通リード電極392は、第1実施形態では、同一層からなるが、電気的に不連続となるように形成されている。これにより、個別リード電極391と共通リード電極392とをそれぞれ個別に形成する場合に比べて、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。もちろん、個別リード電極391と共通リード電極392とを異なる層で形成するようにしてもよい。
【0126】
個別リード電極391及び共通リード電極392の材料は、導電性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第1実施形態では、個別リード電極391及び共通リード電極392として金(Au)を用いた。また、個別リード電極391及び共通リード電極392は、電極360及び電極380や振動板350との密着性を向上する密着層を有していてもよい。
【0127】
個別リード電極391は、活性部410毎、すなわち、電極360毎に設けられたものである。
図13に示すように、例えば、第1圧力室列では、個別リード電極391は、配線部385を介して、圧電体370の外側に設けられた電極360の端部360b付近に接続され、圧力室基板310上、実際には振動板350上まで-Xに沿った方向に引き出されている。
【0128】
一方、
図11に示すように、例えば、第1圧力室列では、共通リード電極392は、Y軸に沿った方向の両端部において、圧電体370上の共通電極を構成する電極380上から振動板350上にまで-X側に引き出されている。また、共通リード電極392は、延設部392a、及び延設部392bを有する。
図11、
図13に示すように、例えば、第1圧力室列では、延設部392aは、圧力室312の端部312aに対応する領域にY軸に沿った方向に沿って延設され、延設部392bは、圧力室312の端部312bに対応する領域にY軸に沿った方向に沿って延設される。これら延設部392a、及び延設部392bは、複数の活性部410に対してY軸に沿った方向に亘って連続して設けられている。
【0129】
また、延設部392a、及び延設部392bは、X軸に沿った方向において、圧力室312の内側から圧力室312の外側まで延設されている。第1実施形態では、圧電素子60の活性部410は、圧力室312のX軸に沿った方向の両端部において圧力室312の外側まで延設されており、延設部392a、及び延設部392bは、この活性部410上を圧力室312の外側まで延設されている。
【0130】
図13に示すように、振動板350の-Z側の面には、抵抗配線401が設けられる。この抵抗配線401が、圧力室312の温度を検出するための温度検出回路24の少なくとも一部を構成する。第1実施形態の温度検出回路24は、抵抗配線401の電気抵抗値が温度によって変化する特性を利用する。このような抵抗配線401の材料としては、電気抵抗値が温度依存性を有する材料であって、例えば、金(Au)、白金(Pt)、イリジウム(Ir)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)等を用いることができる。このうち、白金(Pt)は、温度による抵抗値変化が大きく、安定性と精度が高い。さらに、白金(Pt)は、温度変化に対する抵抗値の変化の線径性も高い。係る観点から抵抗配線401の材料としては、白金(Pt)が好適に採用される。すなわち、抵抗配線401は、白金(Pt)を含んで構成されていることが好ましい。また、第1実施形態では、抵抗配線401を、電極360と同層であって、電極360と電気的に不連続となるように、振動板350の-Z側の面に積層形成されている。
【0131】
図11に示すように、抵抗配線401の一端は測定用リード電極393aと接続され、抵抗配線401の他端は測定用リード電極393bと接続されている。また、測定用リード電極393a,393bは、配線基板420と電気的に接続される。これにより、抵抗配線401は、温度情報出力回路26と電気的に接続される。その結果、温度情報出力回路26は、抵抗配線401の電気抵抗値を測定することができる。また、第1実施形態では、抵抗配線401は、圧電体370に覆われており、Z軸に沿った方向において、振動板350と圧電体370との間に位置する。
【0132】
抵抗配線401は、X軸に沿った方向において+X側となる第1圧力室列側蛇行パターンと、X軸に沿った方向において-X側となる第2圧力室列側蛇行パターンと、を含む。第1圧力室列側蛇行パターンは、-Z側から見て、第1圧力室列を構成する各圧力室312と連通する供給連通路319と重なる位置において、Y軸に沿った方向に沿って蛇行している。第2圧力室列側蛇行パターンは、-Z側から見て、第2圧力室列を構成する各圧力室312と連通する供給連通路319と重なる位置において、Y軸に沿った方向に沿って蛇行している。すなわち、抵抗配線401は、複数の圧力室312が形成する第1圧力室列に対応する第1圧力室列側蛇行パターンと、複数の圧力室312が形成する第2圧力室列に対応する第2圧力室列側蛇行パターンと、を備える。
【0133】
また、
図12、
図13に示すように、圧力室312の-Z側の端部と抵抗配線401とのZ軸に沿った方向における距離は、圧力室312のZ軸に沿った方向における寸法より短い。また、例えば、第1圧力室列では、圧力室312の+X側の端部312aと抵抗配線401とのX軸に沿った方向における最長距離は、圧力室312のX軸に沿った方向における寸法より短い。このため、抵抗配線401の電気抵抗値は、圧力室312の温度変化に対応して変化しやすい。
【0134】
測定用リード電極393a及び測定用リード電極393bを含む測定用リード電極393は、第1実施形態では、個別リード電極391及び共通リード電極392と同一層からなるが、電気的に不連続となるように形成されている。これにより、測定用リード電極393を、個別リード電極391及び共通リード電極392と個別に形成する場合に比べて、製造工程を簡略化してコストを低減することができる。もちろん、測定用リード電極393を、個別リード電極391及び共通リード電極392と異なる層で形成するようにしてもよい。
【0135】
測定用リード電極393の材料は、導電性を有する材料であれば特に限定されず、例えば、金(Au)、銅(Cu)、チタン(Ti)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、白金(Pt)、アルミニウム(Al)等を用いることができる。第1実施形態では、測定用リード電極393として金(Au)を用いた。よって、測定用リード電極393の材料は、個別リード電極391及び共通リード電極392と同じ材料である。また、測定用リード電極393は、抵抗配線401や振動板350との密着性を向上する密着層を有していてもよい。
【0136】
以上のように、第1実施形態では、測定用リード電極393は、保護基板330に形成された貫通孔332内に露出するように延設され、この貫通孔332内で配線基板420と電気的に接続されている。これにより、圧力室312の温度によって変化する抵抗配線401の電気抵抗値が配線基板420を介して温度情報出力回路26に入力される。すなわち、抵抗配線401は、圧力室312の温度によって変化する電気抵抗値を、圧力室312の温度を示す温度検出情報tcとして取得し、取得した温度検出情報tcとしての電気抵抗値を含む温度検出信号TCを温度情報出力回路26に出力する。
【0137】
温度検出回路24がプリントヘッド22の外部に設けられている場合、温度検出回路24により測定される温度と圧力室312内の温度との差が、プリントヘッド22内の温度と圧力室312内の温度との差と比較して大きくなる。この場合、制御回路100が温度情報信号TIに基づいて補正する制御信号Ctrl-H,Ctrl-C,Ctrl-Tの補正制御が低下する。その結果、制御回路100は、圧力室312内のインクの温度に適したプリントヘッド22の最適な吐出制御を行なえない可能性がある。
【0138】
第1実施形態では、抵抗配線401が、プリントヘッド22の内部に位置する振動板350に積層して設けられている。これにより、温度検出回路24である抵抗配線401の電気抵抗値に基づき検出される温度と圧力室312内の温度との差を小さくすることができ、温度検出回路24で検出される圧力室312の温度の検出精度が向上する。その結果、制御回路100による圧力室312内のインクの温度に適したプリントヘッド22の吐出制御が可能となる。
【0139】
すなわち、第1実施形態のヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれは、電極360、電極380、及び圧電体370を含み、電極360、電極380、及び圧電体370が積層されるZ軸に沿った方向において、圧電体370が電極360と電極380との間に位置し、駆動信号COMを受けて駆動する圧電素子60と、圧電素子60に対してZ軸に沿った方向の一方側である+Z側に位置し、圧電素子60の駆動により変形する振動板350と、振動板350に対してZ軸に沿った方向の一方側である+Z側に位置し、振動板350の変形により容積が変化する圧力室312が設けられている圧力室基板310と、圧力室312の容積の変化に応じてインクを吐出するノズル321と、振動板350に対してZ軸に沿った方向の他方側である-Z側に位置し、
圧力室312の温度に応じた温度検出情報tcであって、温度検出情報tc1~tc12を取得する抵抗配線401を含む温度検出回路24と、を含む。
【0140】
これにより、温度検出回路24である抵抗配線401の電気抵抗値に基づき検出される温度と圧力室312内の温度との差を小さくすることができ、温度検出回路24で検出される圧力室312の温度の検出精度が向上する。その結果、制御回路100による圧力室312内のインクの温度に適したプリントヘッド22の吐出制御が可能となる。さらに、温度検出回路24である抵抗配線401の少なくとも一部が、振動板350に積層されていることで、温度検出回路24である抵抗配線401をより圧力室312の近傍に配置することができ、温度検出回路24で検出される圧力室312の温度の検出精度がさらに向上する。その結果、制御回路100による圧力室312内のインクの温度により適したプリントヘッド22の吐出制御が可能となる。
【0141】
次に、
図15を用いて、ヘッド基板520の構成について説明する。
図15は、ヘッド基板520を面521から見た場合の平面図である。ヘッド基板520は、辺523と、辺523に対してX方向で対向する辺524と、辺525と、辺525に対してY方向に対向する辺526とで形成される略矩形状である。なお、ヘッド基板520の形状は矩形に限られるものではなく、例えば、六角形や八角形等の多角形であってもよく、さらには、切欠きや弧等が形成されていてもよい。すなわち、ヘッド基板520は、辺523と、辺523と異なる辺524と、辺523及び辺524と交差する辺525と、辺523及び辺524と交差し辺525と異なる辺526と、を有する。ここで、辺523及び辺524と辺525及び辺526とが交差するとは、辺525の仮想延長線が、辺523の仮想延長線、及び辺524の仮想延長線と交差し、辺526の仮想延長線が、辺523の仮想延長線、及び辺524の仮想延長線と交差することを含む。
【0142】
ヘッド基板520には、FPC挿通孔531-1~531-12、電極群532-1~532-12、複数のコネクター550、集積回路540、及び温度検出素子545が設けられている。
【0143】
電極群532-1~532-12のそれぞれは、Y方向に並設された複数の電極を有する。電極群532-1~532-6は、辺523から辺524に向かって辺526に沿って電極群532-1,532-2,532-3,532-4,532-5,532-6の順に並んで設けられている。電極群532-7~532-12は、辺523から辺524に向かい辺525に沿って電極群532-7,532-8,532-9,532-10,532-11,532-12の順に並んで設けられている。
【0144】
FPC挿通孔531-1~531-12は、ヘッド基板520の面521と面522とを貫通する貫通孔である。FPC挿通孔531-1~531-6は、辺523から辺524に向かって辺526に沿ってFPC挿通孔531-1,531-2,531-3,531-4,531-5,531-6の順に並んで設けられている。このとき、FPC挿通孔531-1は、電極群532-1の辺523側に位置している。FPC挿通孔531-2は、電極群532-1と電極群532-2との間に位置している。FPC挿通孔531-3は、電極群532-2と電極群532-3との間に位置している。FPC挿通孔531-4は、電極群532-3と電極群532-4との間に位置している。FPC挿通孔531-5は、電極群532-4と電極群532-5との間に位置している。FPC挿通孔531-6は、電極群532-5と電極群532-6との間に位置している。
【0145】
また、FPC挿通孔531-7~531-12は、辺523から辺524に向かって辺525に沿ってFPC挿通孔531-7,531-8,531-9,531-10,531-11,531-12の順に並んで設けられている。このとき、FPC挿通孔531-7は、電極群532-7と電極群532-8との間に位置している。FPC挿通孔531-8は、電極群532-8と電極群532-9との間に位置している。FPC挿通孔531-9は、電極群532-9と電極群532-10との間に位置している。FPC挿通孔531-10は、電極群532-10と電極群532-11との間に位置している。FPC挿通孔531-11は、電極群532-11と電極群532-12との間に位置している。FPC挿通孔531-12は、電極群532-12の辺524側に位置している。
【0146】
そして、ヘッド基板520の面521側に設けられたプリントヘッド22-1~22-2のそれぞれが有する配線基板420は、対応するFPC挿通孔531-1~531-12を挿通し、ヘッド基板520の面522に設けられた電極群532-1~532-12と電気的に接続する。
【0147】
具体的には、プリントヘッド22-1~22-6は、辺523から辺524に向かって辺526に沿ってプリントヘッド22-1,22-2,22-3,22-4,22-5,22-6の順に並んで設けられている。
【0148】
すなわち、プリントヘッド22-1は、複数のノズル321が並設されたノズル列を含み、プリントヘッド22-1が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向において、プリントヘッド22-1とプリントヘッド22-2とは隣り合って位置し、プリントヘッド22-2とプリントヘッド22-3とは隣り合って位置している。換言すれば、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、及びプリントヘッド22-3は、プリントヘッド22-1が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向に沿ってプリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、プリントヘッド22-3の順に隣り合って位置している。すなわち、ヘッドユニット20において、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3は、X軸に沿って並設されている。
【0149】
また、プリントヘッド22-4は、複数のノズル321が並設されたノズル列を含み、プリントヘッド22-4が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向において、プリントヘッド22-4とプリントヘッド22-5とは隣り合って位置し、プリントヘッド22-5とプリントヘッド22-6とは隣り合って位置している。
【0150】
換言すれば、プリントヘッド22-4、プリントヘッド22-5、及びプリントヘッド22-6は、プリントヘッド22-4が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向に沿ってプリントヘッド22-4、プリントヘッド22-5、プリントヘッド22-6の順に隣り合って位置している。すなわち、ヘッドユニット20において、吐出グループ25-2に含まれるプリントヘッド22-4~22-6は、X軸に沿って並設されている。
【0151】
そして、プリントヘッド22-1が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-1を挿通し、電極群532-1が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-2が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-2を挿通し、電極群532-2が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-3が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-3を挿通し、電極群532-3が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-4が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-4を挿通し、電極群532-4が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-5が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-5を挿通し、電極群532-5が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-6が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-6を挿通し、電極群532-6が有する複数の電極と電気的に接続している。
【0152】
また、プリントヘッド22-7~22-12は、辺523から辺524に向かって辺525に沿ってプリントヘッド22-7,22-8,22-9,22-10,22-11,22-12の順に並んで設けられている。
【0153】
具体的には、プリントヘッド22-7は、複数のノズル321が並設されたノズル列を含み、プリントヘッド22-7が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向において、プリントヘッド22-7とプリントヘッド22-8とは隣り合って位置し、プリントヘッド22-8とプリントヘッド22-9とは隣り合って位置している。
【0154】
換言すれば、プリントヘッド22-7、プリントヘッド22-8、及びプリントヘッド22-9は、プリントヘッド22-7が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向に沿ってプリントヘッド22-7、プリントヘッド22-8、プリントヘッド22-9の順に隣り合って位置している。すなわち、ヘッドユニット20において、吐出グループ25-3に含まれるプリントヘッド22-7~22-9は、X軸に沿って並設されている。
【0155】
また、プリントヘッド22-10は、複数のノズル321が並設されたノズル列を含み、プリントヘッド22-10が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向において、プリントヘッド22-10とプリントヘッド22-11とは隣り合って位置し、プリントヘッド22-11とプリントヘッド22-12とは隣り合って位置している。
【0156】
換言すれば、プリントヘッド22-10、プリントヘッド22-11、及びプリントヘッド22-12は、プリントヘッド22-10が有するノズル列が延在するY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向に沿ってプリントヘッド22-10、プリントヘッド22-11、プリントヘッド22-12の順に隣り合って位置している。すなわち、ヘッドユニット20において、吐出グループ25-4に含まれるプリントヘッド22-10~22-12は、X軸に沿って並設されている。
【0157】
そして、プリントヘッド22-7が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-7を挿通し、電極群532-7が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-8が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-8を挿通し、電極群532-8が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-9が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-9を挿通し、電極群532-9が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-10が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-10を挿通し、電極群532-10が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-11が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-11を挿通し、電極群532-11が有する複数の電極と電気的に接続している。プリントヘッド22-12が有する配線基板420は、FPC挿通孔531-12を挿通し、電極群532-12が有する複数の電極と電気的に接続している。
【0158】
複数のコネクター550の内のいくつかは、電極群532-1~532-12、及びFPC挿通孔531-1~531-12の辺523側に位置し、辺523に沿って位置し、複数のコネクター550の内の異なるいくつかは、電極群532-1~532-12、及びFPC挿通孔531-1~531-12の辺524側に位置し、辺524に沿って位置している。
【0159】
集積回路540は、複数のコネクター550の内、辺523に沿って位置するコネクター550と電極群532-1~532-12、及びFPC挿通孔531-1~531-12と、の間に位置している。この集積回路540は、前述した温度情報出力回路26の少なくとも一部を構成している。
【0160】
温度検出素子545は、ヘッド基板520の略中央に位置している。この温度検出素子545は、前述したヘッド温度検出回路28の少なくとも一部であって、例えば、サーミスター素子に相当する。前述のおとりヘッド温度検出回路28は、ヘッドユニット20の温度を検出し、検出した温度を示すヘッド温度情報thを含むヘッド温度情報信号THを出力する。このようなヘッド温度検出回路28の少なくとも一部を含む温度検出素子545が、ヘッド基板520の略中央に位置することで、ヘッドユニット20全体の温度を精度よく取得することができる。
【0161】
以上のように構成されたヘッドユニット20には、コネクター550を介して、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1~SI12、駆動信号COM1~COM12、基準電圧信号VBS、及び温度取得要求信号TDが入力される。その後、クロック信号SCK、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CH、印刷データ信号SI1~SI12、駆動信号COM1~COM4、及び基準電圧信号VBSは、ヘッド基板520を伝搬し、対応する配線基板420を介してプリントヘッド22-1~22-12に入力される。これにより、ヘッド510に含まれるプリントヘッド22-1~22-12からインクが吐出される。
【0162】
また、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれは、温度検出回路24が取得したプリントヘッド22-1~22-2の温度を温度検出情報tc1~tc12として取得し、取得した温度検出情報tc1~tc12のそれぞれを含む温度検出信号TC1~TC12を出力する。プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが出力する温度検出信号TC1~TC12と、ヘッド温度検出回路28が出力するヘッド温度情報thを含むヘッド温度情報信号THと、は温度情報出力回路26に入力される。温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1~tc12のそれぞれを含む温度検出信号TC1~TC12と、ヘッド温度情報thを含むヘッド温度情報信号THと、に応じた温度情報信号TIを生成し、コネクター550を介して出力する。
【0163】
1.5 温度情報出力回路の動作
以上のように、第1実施形態の液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが、圧力室312と隣り合って位置する振動板350の-Z側に形成された抵抗配線401を含む温度検出回路24を有する。そして、温度検出回路24は、抵抗配線401の電気抵抗値の変化に基づいて、圧力室312の内部に貯留されるインクの温度を取得する。これにより、温度検出回路24は、圧力室312に貯留されるインクの温度を精度よく取得することができる。
【0164】
このような温度検出回路24は、圧力室312に貯留されるインクの温度として、振動板350に形成された抵抗配線401の温度による電気抵抗値の変化を取得する。それ故に、温度による電気抵抗値の変化を顕著に取得するとの観点において、抵抗配線401の配線長は長いことが好ましい。また、抵抗配線401は、プリントヘッド22の内部に形成される。それ故に、プリントヘッド22の小型化の観点において、抵抗配線401の配線パターンの配線幅は小さいことが好ましい。すなわち、圧力室312の温度検出精度の向上と、プリントヘッド22の小型化の観点において、温度検出回路24が有する抵抗配線401は、配線長が長く、配線幅が小さな配線パターンが振動板350上に構成されることが好ましい。
【0165】
一方で、抵抗配線401は、配線長が長く、配線幅が小さな配線パターンで構成されるが故に、断線など異常が生じる可能性が高まり、特に、第1実施形態に示すようなインクの吐出に伴い変位する振動板350上に抵抗配線401が構成されている場合にあっては、圧力室312のインクを温度の高い精度で検出できる一方で、振動板350の変位によって抵抗配線401に断線など異常が生じる可能性も高まる。このような抵抗配線401を構成する配線パターンに生じた断線は、温度検出回路24が取得する圧力室312の温度の検出精度を低下させ、その結果、対応するプリントヘッド22からのインクの吐出精度を低下させるおそれがある。
【0166】
係る問題に対して、第1実施形態の液体吐出装置1では、温度情報出力回路26がヘッド温度情報信号THに含まれるヘッド温度情報thに基づく所定の温度範囲と、温度検出信号TC1~TC12に含まれる温度検出情報tc1~tc12とを比較する。そして、温度情報出力回路26は、比較結果に基づいて、温度検出情報tc1~tc12のそれぞれに対応するプリントヘッド22-1~22-12が有する温度検出回路24に含まれる抵抗配線401が正常であるか否かを判定する。そして、温度情報出力回路26は、ヘッドユニット20に異常が生じている抵抗配線401を含むプリントヘッド22が含まれていると判定した場合、当該異常が生じているプリントヘッド22の温度を、異常が生じていない抵抗配線401を含むプリントヘッド22の温度により補完する。これにより、プリントヘッド22が有する温度検出回路24に含まれる抵抗配線401の配線パターンに断線が生じた場合であっても、対応するプリントヘッド22からのインクの吐出精度が低下するおそれを低減する。
【0167】
具体的には、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1において、プリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲内の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、プリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つプリントヘッド22-2が出力する温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲内の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。これにより、プリントヘッド22-1が有する温度検出回路24に含まれる抵抗配線401の配線パターンに断線が生じた場合であっても、プリントヘッド22-2が有する温度検出回路24に含まれる抵抗配線401の温度に基づいてプリントヘッド22-1の温度が補完されることでプリントヘッド22-1からのインクの吐出精度が低下するおそれが低減する。
【0168】
以上のように構成された温度情報出力回路26におけるプリントヘッド22の温度を補完する補完処理の具体例について説明する。
図16は、温度情報出力回路26の動作を説明するための図である。
【0169】
図16に示すように、液体吐出装置1が起動すると、制御回路100は起動処理を実行する(ステップS10)。ここで、液体吐出装置1の起動処理とは、例えば、電源電圧が液体吐出装置1に供給されることにより、若しくは、使用者が液体吐出装置1のスイッチ等を押下することで実行される処理であって、不図示の記憶回路に保持されている情報の読み出し等が含まれる。
【0170】
そして、液体吐出装置1のヘッドユニット20が有する温度情報出力回路26は、液体吐出装置1の起動処理が開始した後、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24が正常であるか否かを判定する異常判定処理を実行する(ステップS20)。具体的には、温度情報出力回路26は異常判定処理として、温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12と、ヘッド温度情報信号THに含まれるヘッド温度情報thとを取得する。そして、温度情報出力回路26は、取得したヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲と、温度検出情報tc1~tc12のそれぞれによって規定される温度と、を比較する。温度情報出力回路26は、当該比較の比較結果に基づいて、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24が正常であるか否か、すなわち、抵抗配線401が正常であるか否かを判定し、判定結果を保持する。換言すれば、温度情報出力回路26は、起動時に入力される温度検出情報tc1~tc12とヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲とを比較し、比較結果を保持する。
【0171】
このような異常判定処理は、温度情報出力回路26に制御回路100が出力する温度取得要求信号TDが入力されることで実行されてもよく、また、制御回路100が起動処理を開始した後、所定の時間経過した場合に実行されてもよい。なお、ステップS20に示す異常判定処理の詳細については後述する。
【0172】
異常判定処理が完了した後、制御回路100は、液体吐出装置1に画像情報信号が入力されたか否かを判定する(ステップS30)。制御回路100が、液体吐出装置1に画像情報信号は入力されていないと判定した場合(ステップS30のN)、制御回路100は、液体吐出装置1の動作を停止させるための停止要求が生じたか否かを判定する(ステップS80)。ここで、液体吐出装置1の動作の停止には、液体吐出装置1への電源電圧の供給が停止している状態に加えて、消費電力を低減した状態で待機する所謂スリープ状態等が含まれ、液体吐出装置1の動作を停止させるための停止要求としては、例えば、使用者が液体吐出装置1の動作を停止させるために対応するスイッチを押下することで生じる要求や、液体吐出装置1への電源電圧の供給が停止したことにより生じる要求等が含まれる。
【0173】
そして、制御回路100が、液体吐出装置1に停止要求は生じていないと判定した場合(ステップS80のN)、制御回路100は、液体吐出装置1に画像情報信号が入力されたか否かの判定を再度行う(ステップS30)。すなわち、液体吐出装置1は、画像情報信号が入力されるまで、又は停止要求が生じるまでの期間、待機する。
【0174】
一方で、制御回路100が、液体吐出装置1に画像情報信号が入力されていると判定した場合(ステップS30のY)、制御回路100は、入力される画像情報信号に基づく画像を媒体Pに形成する印刷処理を実行する(ステップS40)。印刷処理とは、制御回路100が出力する基駆動信号dAに基づいて、駆動回路50が駆動信号COMをヘッドユニット20に出力するとともに、制御回路100が印刷データ信号SI、ラッチ信号LAT、チェンジ信号CHをヘッドユニット20に出力することで、ヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに含まれる駆動信号選択回路200が駆動信号VOUTを生成し、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれから所定のタイミングで所定量のインクを吐出させる処理である。
【0175】
そして、制御回路100が印刷処理を実行している期間において、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24が出力する温度検出情報tc1~tc12を取得する温度情報取得処理を実行する(ステップS50)。その後、温度情報出力回路26は、制御回路100が出力する温度取得要求信号TDに基づいて、取得した温度検出情報tc1~tc12と異常判定処理の判定結果とに応じた温度情報信号TIを生成し、制御回路100に出力する。すなわち、温度情報出力回路26は、温度取得要求信号TDに応じた温度情報信号TIを出力する(ステップS60)。換言すれば、温度情報出力回路26は、液体吐出装置1に画像情報信号が入力されている期間であって、プリントヘッド22-1~22-12がインクを吐出する吐出期間に取得した温度検出情報tc1~tc12と、異常判定処理において保持した比較結果と、に応じた温度情報信号TIを生成し、制御回路100に出力する。なお、温度情報取得処理の詳細については後述する。
【0176】
その後、制御回路100は、温度情報出力回路26から入力される温度情報信号TIに基づいて、液体吐出装置1の動作を制御する制御信号Ctrl-H,Ctrl-C,Ctrl-Tを補正する補正処理を実行する(ステップS70)。そして、制御回路100は、補正した制御信号Ctrl-H,Ctrl-C,Ctrl-Tを対応する構成に出力する。これにより、液体吐出装置1の各構成は、プリントヘッド22-1~22-12の温度に応じて動作し、その結果、プリントヘッド22-1~22-12のインクの吐出精度、及び吐出されたインクの媒体Pへの着弾精度が向上し、媒体Pに形成される画像品質が向上する。
【0177】
補正処理が完了した後、制御回路100は、液体吐出装置1の動作を停止させるための停止要求が生じたか否かを判定し(ステップS80)、液体吐出装置1に停止要求が生じていない場合(ステップS80のN)、制御回路100は、液体吐出装置1に画像情報信号が入力されたか否かを判定する(ステップS30)。一方で、液体吐出装置1に停止要求が生じた場合(ステップS80のY)、制御回路100は、液体吐出装置1の停止処理を実行し(ステップS90)、液体吐出装置1は動作を停止する。
【0178】
上述した補完処理に含まれる異常判定処理の具体例について説明する。
図17は、異常判定処理の一例を説明するための図である。
【0179】
図17に示すように、異常判定処理が実行されると、温度情報出力回路26は、異常判定処理の初期設定処理として、変数iを変数i=1に初期化するとともに、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24の異常の有無を示すエラーフラグEf1~Ef12のそれぞれの論理レベルを、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24が正常であることを示す“Lレベル”に初期化する(ステップS210)。なお、エラーフラグEf1~Ef12のそれぞれの初期化は、最初に異常判定処理が実行される場合にのみ実行されてもよく、異常判定処理が実行されるたびに実行されてもよい。ここで、第1実施形態では、エラーフラグEf1~Ef12は、対応するプリントヘッド22が正常な場合、論理レベルが“Lレベル”となり、対応するプリントヘッド22が異常な場合、論理レベルが“Hレベル”となるとして説明を行うが、これに限るものではない。
【0180】
また、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1~22-12が出力する温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12と、ヘッド温度検出回路28が出力するヘッド温度情報信号THに含まれるヘッド温度情報thと、を取得する(ステップS220)。
【0181】
その後、温度情報出力回路26は、取得したヘッド温度情報thから、所定の温度範囲Trを算出する(ステップS230)。具体的には、温度情報出力回路26は、取得したヘッド温度情報thによって示されるヘッドユニット20の温度に所定の温度を加算することで上限温度Trhを算出するとともに、取得したヘッド温度情報thによって示されるヘッドユニット20の温度から所定の温度を減算することで下限温度Trlを算出する。そして、温度情報出力回路26は、算出した上限温度Trhと下限温度Trlとの間の温度範囲を所定の温度範囲Trとして保持する。なお、温度情報出力回路26は、取得したヘッド温度情報thによって示されるヘッドユニット20の温度に1以上の所定の比率を掛けることで上限温度Trhを算出するとともに、取得したヘッド温度情報thによって示されるヘッドユニット20の温度に1未満の所定の比率を掛けることで下限温度Trlを算出してもよい。ここで、以下の説明において、上限温度Trh、及び下限温度Trlによって規定される所定の温度範囲Trを、温度範囲Tr[Trh,Trl]と称する場合がある。
【0182】
温度情報出力回路26は、温度範囲Tr[Trh,Trl]を算出した後、取得した温度検出情報tc1~tc12のそれぞれが示すプリントヘッド22-1~22-12の圧力室312の温度が、温度範囲Tr[Trh,Trl]の範囲内であるか否かの判定を行うことで、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24が正常であるか否かを判定する。
【0183】
具体的には、変数i=1の場合、温度情報出力回路26は、温度検出情報tciであって、プリントヘッド22-1に対応する温度検出情報tc1が示す温度が、温度範囲Tr[Trh,Trl]の範囲内であるか否かを判定する(ステップS240)。そして、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が温度範囲Tr[Trh,Trl]の範囲内でない場合(ステップS240のN)、プリントヘッド22-1に含まれる温度検出回路24が異常であると判定し、エラーフラグEfiであって、プリントヘッド22-1に含まれる温度検出回路24に対応するエラーフラグEf1の論理レベルを“Hレベル”として保持する(ステップS250)。一方で、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]の範囲内の場合(ステップS240のN)、プリントヘッド22-1に含まれる温度検出回路24が正常である判定し、エラーフラグEfiであって、プリントヘッド22-1に含まれる温度検出回路24に対応するエラーフラグEf1の論理レベルを変更せず“Lレベル”のまま保持する。
【0184】
その後、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算(ステップS260)するとともに、加算後の変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下であるか否かの判定を行う(ステップS270)。そして、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下の場合(ステップS270のY)、温度情報出力回路26は、ステップS240~S270までの処理を繰り返し実行する。これにより、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに含まれる温度検出回路24が正常であるか否かを判定して、判定結果に応じた論理レベルのエラーフラグEf1~Ef12を保持する。
【0185】
その後、変数iがヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”を超えると(ステップS270のN)、温度情報出力回路26は、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに対して、それぞれが有する温度検出回路24が正常であるか否かの判定が完了したとして、異常判定処理を終了する。
【0186】
このような異常判定処理は、液体吐出装置1の起動時に実行されることが好ましい。すなわち、温度情報出力回路26は、異常判定処理として、起動時に入力される温度検出情報tc1~tc12とヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲とを比較し、比較結果を保持する。液体吐出装置1のヘッドユニット20が有するプリントヘッド22-1~22-12は、液体吐出装置1の起動時において停止し、インクも吐出しない。それ故に、液体吐出装置1の起動時において、ヘッドユニット20、及びプリントヘッド22-1~22-12の発熱量は非常に小さく、ヘッドユニット20、及びプリントヘッド22-1~22-12の温度は、共に液体吐出装置1の環境温度の近傍となる。このような液体吐出装置1の起動時に、温度情報出力回路26が、上述した異常判定処理を実行することで、温度情報出力回路26は、環境温度を基準温度として、温度検出情報tc1~tc12とヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲との比較を行うことができる。その結果、異常判定処理におけるプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24が正常であるか否かの判定精度が向上する。
【0187】
次に、上述した補完処理に含まれる温度情報取得処理の具体例について説明する。第1実施形態の温度情報出力回路26は、温度情報取得処理において、吐出グループ25-1~25-4のそれぞれに対して、エラーフラグEf1~Ef12として保持する論理レベルであって異常判定処理における判定結果と、入力される温度検出情報tc1~tc12と、に基づいて、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに対応する取得温度Tm1~Tm12を生成し保持する。その後、温度情報出力回路26は、制御回路100から入力される温度取得要求信号TDに基づいて、保持する取得温度Tm1~Tm12の少なくともいずれかを含む温度情報信号TI生成し制御回路100に出力する。
【0188】
以上のような温度情報取得処理の詳細について説明する。
図18は、温度情報取得処理の一例を説明するための図である。温度情報取得処理が実行されると、温度情報出力回路26は、温度情報取得処理の初期設定処理として、変数iを変数i=1に初期化する(ステップS410)。また、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1~22-12が出力する温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12を取得する(ステップS420)。
【0189】
その後、温度情報出力回路26は、異常判定処理によって判定されたプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに含まれる温度検出回路24が正常であるか否かの判定結果と、取得した温度検出情報tc1~tc12とに基づいて、取得温度Tm1~Tm12を生成し、保持する。
【0190】
具体的には、変数i=1の場合、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に対応する取得温度Tm1~Tm3を保持する。詳細には、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1~tc12を取得した後、変数i=1であるが故に、エラーフラグEfi,Efi+1,Efi+2であって、プリントヘッド22-1~22-3に対応するエラーフラグEf1,Ef2,Ef3の論理レベルが“Hレベル”であるか“Lレベル”であるかの判定を行う(ステップS430)。
【0191】
そして、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS431)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1,tc2,tc3のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0192】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS432)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1,tc2のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であって、温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0193】
このとき、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として温度検出情報tc1に応じた信号を保持してもよいが、前述のとおり、プリントヘッド22-3とプリントヘッド22-2とは、ヘッドユニット20において隣り合っている。係る点に鑑みると、温度検出情報tc2に応じた信号をプリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持することで、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-3の温度を、プリントヘッド22-3の近傍の温度で補完することができる。これにより温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-3の温度を精度よく補完することができる。
【0194】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS433)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1,tc3のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であって、温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。なお、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm3として温度検出情報tc3に応じた信号を保持してもよい。
【0195】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS434)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であって、温度検出情報tc2,tc3のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0196】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS435)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc2,tc3のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であって、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0197】
このとき、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として温度検出情報tc3に応じた信号を保持してもよいが、前述のとおり、プリントヘッド22-1とプリントヘッド22-2とは、ヘッドユニット20において隣り合っている。係る点に鑑みると、温度検出情報tc2に応じた信号をプリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持することで、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-1の温度を、プリントヘッド22-1の近傍の温度で補完することができる。これにより温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-1の温度を精度よく補完することができる。
【0198】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS436)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であって、温度検出情報tc1,tc3のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0199】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS437)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であって、温度検出情報tc1,tc2のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0200】
また、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS438)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1,tc2,tc3のそれぞれが示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す取得温度Tm3として保持する。
【0201】
そして、温度情報出力回路26は、ステップS431~S438のいずれかにおいて、取得温度Tm1~Tm3を保持した後、吐出グループ25-2に含まれるプリントヘッド22-4~22-6に対応する取得温度Tm4~Tm6を保持するために、変数iに“3”を加算する(ステップS440)。ここで、変数iに加算される定数“3”とは、吐出グループ25のそれぞれに含まれるプリントヘッド22の数に相当する。
【0202】
その後、温度情報出力回路26は、ステップS440における演算後の変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下であるか否かの判定を行い(ステップS450)、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下の場合(ステップS450のY)、温度情報出力回路26は、上述したステップS430~S440までの処理を再度実行する。これにより、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-2に含まれるプリントヘッド22-4~22-6のそれぞれに対応する取得温度Tm4~Tm6を保持する。その後、温度情報出力回路26は、同様に、温度情報出力回路26は、上述したステップS430~S440までの処理を再度実行することで、吐出グループ25-3に含まれるプリントヘッド22-7~22-9のそれぞれに対応する取得温度Tm7~Tm9と、吐出グループ25-4に含まれるプリントヘッド22-10~22-12のそれぞれに対応する取得温度Tm10~Tm12と、を保持する。
【0203】
そして、温度情報出力回路26は、ステップS440における演算後の変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以上となることで(ステップS450のN)、温度情報取得処理を終了する。すなわち、温度情報出力回路26は、温度情報取得処理において、プリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに対応する取得温度Tm1~Tm12を吐出グループ25毎に保持する。
【0204】
その後、温度情報出力回路26は、
図16に示すように、制御回路100から温度取得要求信号TDが入力されることで、入力される温度取得要求信号TDに応じて取得温度Tm1~Tm12をプリントヘッド22-1~22-12の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0205】
以上のように第1実施形態の液体吐出装置1が有するヘッドユニット20に含まれる温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0206】
また、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0207】
同様に、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc4が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc4に応じた信号を、プリントヘッド22-4の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc4が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc5が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc5に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0208】
また、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc4が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc5が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc6が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc4に応じた信号を、プリントヘッド22-4の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc5に応じた信号を、プリントヘッド22-5の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc6に応じた信号を、プリントヘッド22-6の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0209】
同様に、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc7が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc7に応じた信号を、プリントヘッド22-7の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc7が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc8が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc8に応じた信号を、プリントヘッド22-7の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0210】
また、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc7が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc8が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc9が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc7に応じた信号を、プリントヘッド22-7の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc8に応じた信号を、プリントヘッド22-8の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc9に応じた信号を、プリントヘッド22-9の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0211】
同様に、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc10に応じた信号を、プリントヘッド22-10の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc11が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc11に応じた信号を、プリントヘッド22-10の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0212】
また、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc11が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc12が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、温度検出情報tc10に応じた信号を、プリントヘッド22-10の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc11に応じた信号を、プリントヘッド22-11の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc12に応じた信号を、プリントヘッド22-12の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0213】
すなわち、第1実施形態のヘッドユニット20において温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれが有する温度検出回路24の内のいずれかに異常が生じた場合、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれが有する温度検出回路24の内の異常が生じていない温度検出回路24が出力する温度検出情報tcに基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完する。
【0214】
同様に、第1実施形態のヘッドユニット20において温度情報出力回路26は、吐出グループ25-2に含まれるプリントヘッド22-4~22-6のそれぞれが有する温度検出回路24の内のいずれかに異常が生じた場合、吐出グループ25-2に含まれるプリントヘッド22-4~22-6のそれぞれが有する温度検出回路24の内の異常が生じていない温度検出回路24が出力する温度検出情報tcに基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完し、吐出グループ25-3に含まれるプリントヘッド22-7~22-9のそれぞれが有する温度検出回路24の内のいずれかに異常が生じた場合、吐出グループ25-3に含まれるプリントヘッド22-7~22-9のそれぞれが有する温度検出回路24の内の異常が生じていない温度検出回路24が出力する温度検出情報tcに基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完し、吐出グループ25-4に含まれるプリントヘッド22-10~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24の内のいずれかに異常が生じた場合、吐出グループ25-4に含まれるプリントヘッド22-10~22-12のそれぞれが有する温度検出回路24の内の異常が生じていない温度検出回路24が出力する温度検出情報tcに基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完する。
【0215】
すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出回路24に異常が生じた場合、吐出グループ25-1~25-4のそれぞれにおいて、相互に温度を補完する。換言すれば、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合に温度検出情報tc4が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であっても、温度検出情報tc4に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとしては出力せず、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合に温度検出情報tc7が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であっても、温度検出情報tc7に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとしては出力せず、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合に温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であっても、温度検出情報tc10に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとしては出力しない。
【0216】
ここで、駆動回路50が駆動回路の一例であり、駆動回路50が出力する駆動信号COMが駆動信号の一例である。また、駆動回路50に含まれる駆動信号出力回路52-1が第1駆動回路の一例であり、駆動回路50に含まれる駆動信号出力回路52-4が第2駆動回路の一例であり、駆動信号COMの内、駆動信号出力回路52-1が出力する駆動信号COM1が第1駆動信号の一例であり、駆動信号COMの内、駆動信号出力回路52-4が出力する駆動信号COM4が第2駆動信号の一例である。
【0217】
また、ヘッドユニット20がヘッドユニットの一例であり、プリントヘッド22-1~22-12の総称が複数のプリントヘッドの一例であり、温度検出情報tc1~tc12の総称が複数の温度情報の一例である。そして、プリントヘッド22-1~22-12の内のプリントヘッド22-1が第1プリントヘッドの一例であり、プリントヘッド22-2が第2プリントヘッドの一例であり、プリントヘッド22-10が第3プリントヘッドの一例であり、プリントヘッド22-11が第4プリントヘッドの一例であり、温度検出情報tc1~tc12の内の温度検出情報tc1が第1温度情報の一例であり、温度検出情報tc2が第2温度情報の一例であり、温度検出情報tc10が第3温度情報の一例であり、温度検出情報tc11が第4温度情報の一例である。また、温度情報出力回路26が温度情報出力回路の一例であり、温度情報出力回路26が出力する温度情報信号TIが温度情報信号の一例であり、温度情報出力回路26が算出する所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]が所定の温度範囲の一例である。
【0218】
そして、プリントヘッド22-1が有する、圧電素子60が第1圧電素子の一例であり、電極360が第1電極の一例であり、電極380が第2電極の一例であり、圧電体370が第1圧電体の一例であり、振動板350が第1振動板の一例であり、圧力室312が第1圧力室の一例であり、圧力室312が設けられた圧力室基板310が第1圧力室基板の一例であり、ノズル321が第1ノズルの一例であり、ノズル321が並設されたノズル列が第1ノズル列の一例であり、抵抗配線401及び抵抗配線401を含む温度検出回路24が第1温度取得部の一例である。また、プリントヘッド22-1において、電極360、圧電体370、電極380が積層されるZ軸に沿った方向が第1積層方向の一例であり、第1積層方向であるZ軸に沿った方向の+Z側が第1積層方向の一方側の一例であり、第1積層方向であるZ軸に沿った方向の-Z側が第1積層方向の他方側の一例であり、複数のノズル321が並設されたY軸に沿った方向が第1方向の一例であり、複数のノズル321が並設されたY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向が第1並設方向の一例である。
【0219】
また、プリントヘッド22-2が有する、圧電素子60が第2圧電素子の一例であり、電極360が第3電極の一例であり、電極380が第4電極の一例であり、圧電体370が第2圧電体の一例であり、振動板350が第2振動板の一例であり、圧力室312が第2圧力室の一例であり、圧力室312が設けられた圧力室基板310が第2圧力室基板の一例であり、ノズル321が第2ノズルの一例であり、抵抗配線401及び抵抗配線401を含む温度検出回路24が第2温度取得部の一例である。また、プリントヘッド22-2において、電極360、圧電体370、電極380が積層されるZ軸に沿った方向が第2積層方向の一例であり、第2積層方向であるZ軸に沿った方向の+Z側が第2積層方向の一方側の一例であり、第2積層方向であるZ軸に沿った方向の-Z側が第2積層方向の他方側の一例である。
【0220】
また、プリントヘッド22-10が有する、圧電素子60が第3圧電素子の一例であり、電極360が第5電極の一例であり、電極380が第6電極の一例であり、圧電体370が第3圧電体の一例であり、振動板350が第3振動板の一例であり、圧力室312が第3圧力室の一例であり、圧力室312が設けられた圧力室基板310が第3圧力室基板の一例であり、ノズル321が第3ノズルの一例であり、ノズル321が並設されたノズル列が第2ノズル列の一例であり、抵抗配線401及び抵抗配線401を含む温度検出回路24が第3温度取得部の一例である。また、プリントヘッド22-10において、電極360、圧電体370、電極380が積層されるZ軸に沿った方向が第3積層方向の一例であり、第3積層方向であるZ軸に沿った方向の+Z側が第3積層方向の一方側の一例であり、第3積層方向であるZ軸に沿った方向の-Z側が第3積層方向の他方側の一例であり、複数のノズル321が並設されたY軸に沿った方向が第2方向の一例であり、複数のノズル321が並設されたY軸に沿った方向と直交するX軸に沿った方向が第2並設方向の一例である。
【0221】
また、プリントヘッド22-11が有する、圧電素子60が第4圧電素子の一例であり、電極360が第7電極の一例であり、電極380が第8電極の一例であり、圧電体370が第4圧電体の一例であり、振動板350が第4振動板の一例であり、圧力室312が第4圧力室の一例であり、圧力室312が設けられた圧力室基板310が第4圧力室基板の一例であり、ノズル321が第4ノズルの一例であり、抵抗配線401及び抵抗配線401を含む温度検出回路24が第4温度取得部の一例である。また、プリントヘッド22-11において、電極360、圧電体370、電極380が積層されるZ軸に沿った方向が第4積層方向の一例であり、第4積層方向であるZ軸に沿った方向の+Z側が第4積層方向の一方側の一例であり、第4積層方向であるZ軸に沿った方向の-Z側が第4積層方向の他方側の一例である。
【0222】
1.6 作用効果
以上のように構成された第1実施形態の液体吐出装置1では、ヘッドユニット20が複数のプリントヘッド22を有し、複数のプリントヘッド22のそれぞれが、電極360、電極380、及び圧電体370を含み、電極360、電極380、及び圧電体370が積層されるZ軸に沿った方向において、圧電体370が電極360と電極380との間に位置し、駆動信号COMを受けて駆動する圧電素子60と、圧電素子60に対してZ軸に沿った方向の+Z側に位置し、圧電素子60の駆動により変形する振動板350と、振動板350に対してZ軸に沿った方向の+Z側に位置し、振動板350の変形により容積が変化する圧力室312が設けられている圧力室基板310と、圧力室312の容積の変化に応じて液体を吐出するノズル321と、振動板350に対してZ軸に沿った方向の-Z側に位置し、複数の温度検出情報tcの内、対応する圧力室312の温度に応じた温度検出情報tcを取得する抵抗配線401を含む温度検出回路24と、を含む。
【0223】
すなわち、温度検出回路24は、プリントヘッド22においてノズル321から吐出されるインクが貯留される圧力室312の近傍に配置される。これにより、温度検出回路24における圧力室312の温度の取得精度であって、圧力室312に貯留されるインクの温度の取得精度が向上する。
【0224】
また、第1実施形態の液体吐出装置1では、複数のプリントヘッド22が出力する複数の温度検出情報tcであって、複数のプリントヘッド22の温度を示す複数の温度検出情報tcが入力され、複数の温度検出情報tcに応じた温度情報信号TIを出力する温度情報出力回路26を備える。そして、温度情報出力回路26は、複数のプリントヘッド22の内のプリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1が示す温度が温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つプリントヘッド22-2が出力する温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、複数のプリントヘッド22の内のプリントヘッド22-10が出力する温度検出情報tc10が示す温度が温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc10に応じた信号を、プリントヘッド22-10の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つプリントヘッド22-11が出力する温度検出情報tc11が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc11に応じた信号を、プリントヘッド22-10の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0225】
すなわち、プリントヘッド22-1が有する温度検出回路24に異常が生じた場合、異常が生じていないプリントヘッド22-2が出力する温度検出情報tc2に基づいて、プリントヘッド22-1の温度を補完することができる。プリントヘッド22-10が有する温度検出回路24に異常が生じた場合、異常が生じていないプリントヘッド22-11が出力する温度検出情報tc11に基づいて、プリントヘッド22-10の温度を補完することができる。換言すれば、ヘッドユニット20が複数のプリントヘッド22を備える場合において、複数のプリントヘッド22のいずれかが有する温度検出回路24に異常が生じた場合であっても、正常に動作する温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度に基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完することができる。これにより、プリントヘッド22の内部に温度検出回路24を設けたが故に、温度検出回路24に故障が生じた場合であっても、プリントヘッド22からのインクの吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0226】
また、第1実施形態の液体吐出装置1において、プリントヘッド22-1が有する圧電素子60、及びプリントヘッド22-2が有する圧電素子60は、駆動回路50に含まれる駆動信号出力回路52-1が出力する駆動信号COM1によって駆動し、プリントヘッド22-10が有する圧電素子60、及びプリントヘッド22-11が有する圧電素子60は、駆動回路50に含まれる駆動信号出力回路52-4が出力する駆動信号COM4によって駆動する。このような異なる駆動信号COMによって駆動するプリントヘッド22の相互間では、一方のプリントヘッド22が有する温度検出回路24に異常が生じ、他方のプリントヘッド22が有する温度検出回路24は正常な場合であっても、温度情報出力回路26は、正常な温度検出回路24を有するプリントヘッド22が出力する温度検出情報tcに基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完しないことが好ましい。
【0227】
異なる駆動信号COMが供給されるプリントヘッド22の相互間では、駆動信号COMが異なるが故に、駆動信号COMの伝搬により生じる電流量が異なる場合があるとともに、一方のプリントヘッド22からのインクの吐出頻度と、他方のプリントヘッド22からのインクの吐出頻度とが大きく異なる場合がある。そのため、異なる駆動信号COMが供給されるプリントヘッド22の相互間にあっては、プリントヘッド22及び貯留するインクの温度に乖離が生じる場合がある。そして、仮に乖離が生じた温度に基づいて、プリントヘッド22の温度を補完した場合、プリントヘッド22からのインクの吐出精度を低下させるおそれが生じる。
【0228】
第1実施形態の液体吐出装置1では、異なる駆動信号COMによって駆動するプリントヘッド22において、一方のプリントヘッド22が有する温度検出回路24に異常が生じ、他方のプリントヘッド22が有する温度検出回路24は正常な場合であっても、温度情報出力回路26は、正常な温度検出回路24を有するプリントヘッド22が出力する温度検出情報tcに基づいて、異常が生じた温度検出回路24を有するプリントヘッド22の温度を補完しないことで、インクの吐出精度が低下するおそれを低減することができる。すなわち、温度情報出力回路26は、駆動信号COM1に基づいて駆動する圧電素子60を含むプリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合に駆動信号COM4に基づいて駆動する圧電素子60を含むプリントヘッド22-10が出力する温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内であっても、温度検出情報tc10に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIを出力しない。これにより、プリントヘッド22-1からのインクの吐出精度が低下するおそれを低減することができる。
【0229】
また、第1実施形態の液体吐出装置1では、プリントヘッド22-1とプリントヘッド22-2とがヘッドユニット20において隣り合って位置している。そして、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つプリントヘッド22-1と隣り合って位置するプリントヘッド22-2が出力する温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。同様に、プリントヘッド22-10とプリントヘッド22-11とがヘッドユニット20において隣り合って位置している。そして、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-10が出力する温度検出情報tc10が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つプリントヘッド22-10と隣り合って位置するプリントヘッド22-11が出力する温度検出情報tc11が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc11に応じた信号を、プリントヘッド22-10の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0230】
すなわち、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22のいずれかが有する温度検出回路24に異常が生じた場合、当該プリントヘッド22と隣り合って位置するプリントヘッド22であって、当該プリントヘッド22の近傍に位置するプリントヘッド22の温度によって異常が生じた温度検出回路24を含むプリントヘッド22の温度を補完する。
【0231】
異常が生じた温度検出回路24を含むプリントヘッド22の温度と、当該プリントヘッド22と隣り合って位置するプリントヘッド22の温度との差は、近傍に位置するが故に、相互の熱伝導によって、隣り合って位置しない他のプリントヘッド22と比較して小さい。このような温度差の小さなプリントヘッド22の温度によって、異常が生じた温度検出回路24を含むプリントヘッド22の温度を補完することで、プリントヘッド22の内部に温度検出回路24を設けたが故に、温度検出回路24に故障が生じた場合であっても、プリントヘッド22からのインクの吐出精度が低下するおそれがさらに低減される。
【0232】
また、温度情報出力回路26は、起動時に入力される温度検出情報tc1~tc12とヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲とを比較し、比較結果を保持し、液体吐出装置1に画像情報信号が入力されている期間であって、プリントヘッド22-1~22-12がインクを吐出する吐出期間に取得した温度検出情報tc1~tc12と、異常判定処理において保持した比較結果と、に応じた温度情報信号TIを生成し、制御回路100に出力することが好ましい。
【0233】
液体吐出装置1の起動時において、プリントヘッド22-1~22-12は、いずれも停止している。それ故に、プリントヘッド22-1~22-12の温度は、液体吐出装置1が設置される周囲の環境温度と同等となり、同様に、プリントヘッド22-1~22-12は、いずれも停止しているが故に、ヘッド温度検出回路28が検出する検出温度も、液体吐出装置1が設置される周囲の環境温度と同等となる。すなわち、液体吐出装置1の起動時において、プリントヘッド22-1~22-12の温度と、ヘッド温度検出回路28の検出温度とは、略等しくなる。このような起動時において、温度情報出力回路26が温度検出情報tc1~tc12とヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲とを比較することで、プリントヘッド22-1~22-12の自己発熱、及びヘッド温度検出回路28の自己発熱の影響が低減され、その結果、温度情報出力回路26が温度検出情報tc1~tc12とヘッド温度情報thに基づいて規定される温度範囲とを比較精度が向上する。
【0234】
2.第2実施形態
次に第2実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20について説明する。第2実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を簡略、又は省略する。
【0235】
第2実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20では、温度情報出力回路26が実行する温度情報取得処理が第1実施形態の液体吐出装置1と異なる。具体的には、第2実施形態の液体吐出装置1では、吐出グループ25に温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22が含まれる場合に、当該プリントヘッド22と隣り合って、同一の吐出グループ25に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しない場合、温度情報出力回路26は、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22が出力する温度検出情報tcに応じた信号を、当該プリントヘッドの温度を示す温度情報信号TIとして出力する。換言すれば、吐出グループ25-1において、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、及びプリントヘッド22-3は、X軸に沿った方向に沿って、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、プリントヘッド22-3の順に隣り合って位置し、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度、及び温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、及びプリントヘッド22-3の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc1が示す温度、及び温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0236】
第2実施形態の温度情報取得処理の具体例について説明する。
図19は、第2実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
図19に示すように、第2実施形態の液体吐出装置1では、第1実施形態と同様に、温度情報出力回路26は、温度情報取得処理の初期設定処理として、変数iを変数i=1に初期化する(ステップS410)とともに、プリントヘッド22-1~22-12が出力する温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12を取得する(ステップS420)。そして、変数i=1の場合、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3に対応するエラーフラグEf1,Ef2,Ef3の論理レベルが“Hレベル”であるか“Lレベル”であるかの判定を行う(ステップS430)。
【0237】
その後、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS434a)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-3と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しないが故に、プリントヘッド22-3が出力する温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0238】
同様に、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS437a)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-1と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しないが故に、プリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0239】
同様に、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合、温度検出情報tc1が示す温度を取得温度Tm1として保持し、温度検出情報tc2が示す温度を取得温度Tm2として保持し、温度検出情報tc3が示す温度を取得温度Tm3として保持する(ステップS438a)。すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-1と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置せず、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-2と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置せず、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22-3と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しないが故に、プリントヘッド22-1が出力する温度検出情報tc1に応じた信号を、プリントヘッド22-1の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、プリントヘッド22-2が出力する温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-2の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、プリントヘッド22-3が出力する温度検出情報tc3に応じた信号を、プリントヘッド22-3の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0240】
その後、温度情報出力回路26は、第1実施形態と同様に、ステップS440における演算後の変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下であるか否かの判定を行い(ステップS450)、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下の場合(ステップS450のY)、温度情報出力回路26は、上述したステップS430~S440までの処理を再度実行する。これにより、吐出グループ25-2~25-4においても同様の温度情報取得処理を実行する。そして、ステップS440における演算後の変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以上となることで(ステップS450のN)、温度情報取得処理を終了する。なお、温度情報取得処理のステップS431~S433,S435,S436は、第1実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0241】
温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22の温度を、離れて位置するプリントヘッド22の温度で補完した場合、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22の温度と、補完に用いるプリントヘッド22の温度と差が大きく、補完精度が低下するおそれがある。第2実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20では、上述した第1実施形態の作用効果に加えて、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22の温度を、ヘッドユニット20において離れて位置するプリントヘッド22の温度を用いて補完しないことで、温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22の温度の補完精度が低下するおそれが低減する。
【0242】
ここで、プリントヘッド22-3が第5プリントヘッドの一例であり、プリントヘッド22-5が有する、圧電素子60が第5圧電素子の一例であり、電極360が第9電極の一例であり、電極380が第10電極の一例であり、圧電体370が第5圧電体の一例であり、振動板350が第5振動板の一例であり、圧力室312が第5圧力室の一例であり、圧力室312が設けられた圧力室基板310が第5圧力室基板の一例であり、ノズル321が第5ノズルの一例であり、抵抗配線401及び抵抗配線401を含む温度検出回路24が第5温度取得部の一例である。また、プリントヘッド22-2において、電極360、圧電体370、電極380が積層されるZ軸に沿った方向が第5積層方向の一例であり、第5積層方向であるZ軸に沿った方向の+Z側が第5積層方向の一方側の一例であり、第5積層方向であるZ軸に沿った方向の-Z側が第5積層方向の他方側の一例である。
【0243】
3.第3実施形態
次に第3実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20について説明する。第3実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態及び第2実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を簡略、又は省略する。
【0244】
第3実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20では、温度情報出力回路26が実行する温度情報取得処理が第1実施形態、及び第2実施形態の液体吐出装置1と異なる。具体的には、第3実施形態の液体吐出装置1では、吐出グループ25に含まれる複数のプリントヘッド22の内の1つが出力する温度検出情報tcに応じた信号を、吐出グループ25に含まれる複数のプリントヘッド22の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0245】
図20は、第3実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
図20に示すように、第3実施形態の温度情報取得処理が実行されると、温度情報出力回路26は、温度情報取得処理の初期設定処理として、変数iを変数i=1に初期化するとともに、変数jを変数j=1に初期化する(ステップS510)。また、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1~22-12が出力する温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12を取得する(ステップS520)。
【0246】
そして、温度情報出力回路26は、異常判定処理によって判定されたプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに含まれる温度検出回路24が正常であるか否かの判定結果と、取得した温度検出情報tc1~tc12とに基づいて、吐出グループ25-1~25-4のそれぞれに対応する温度出力情報Tg1~Tg4を生成し、保持する。
【0247】
具体的には、変数j=1の場合、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1を生成し、保持する。詳細には、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1~tc12を取得した後、変数i=1であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS530)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS530のN)、プリントヘッド22-1に含まれる温度検出回路24が正常であると判断し、温度検出情報tciであって、温度検出情報tc1が示す温度を吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1として保持する(ステップS560)。一方で、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS530のN)、プリントヘッド22-1に含まれる温度検出回路24に異常が生じていると判断し、変数iに“1”を加算する(ステップS535)。すなわち、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-1からプリントヘッド22-2に変更する。
【0248】
そして、温度情報出力回路26は、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS540)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf2の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS540のN)、プリントヘッド22-2に含まれる温度検出回路24が正常であると判断し、温度検出情報tciであって、温度検出情報tc2が示す温度を吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1として保持する(ステップS560)。一方で、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS540のN)、プリントヘッド22-2に含まれる温度検出回路24に異常が生じていると判断し、変数iに“1”を加算する(ステップS545)。すなわち、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-2からプリントヘッド22-3に変更する。
【0249】
そして、温度情報出力回路26は、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS550)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS550のN)、プリントヘッド22-3に含まれる温度検出回路24が正常であると判断し、温度検出情報tciであって、温度検出情報tc3が示す温度を吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1として保持する(ステップS560)。一方で、温度情報出力回路26は、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS550のY)、プリントヘッド22-3に含まれる温度検出回路24に異常が生じていると判断する。このとき、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれに含まれる温度検出回路24が、いずれも異常であると判断する。そして、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1として、吐出グループ25-1が異常である旨を示す異常情報Errを保持する(ステップS565)。
【0250】
すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、プリントヘッド22-1とプリントヘッド22-2とプリントヘッド22-3とを含む吐出グループ25-1の異常を示す異常情報Errを含む温度情報信号TIを出力する。
【0251】
そして、ステップS560,S565のいずれかにおいて、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1の取得が完了した後、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-2に対応する温度出力情報Tg2を取得するために、変数iを“i=j×3+1”とした後(ステップS570)、変数jに“1”を加算する(ステップS580)。これにより、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象が、吐出グループ25-1から吐出グループ25-2に変更される。ここで、ステップS570において、変数iとして算出される“i=j×3+1”における定数“3”は、吐出グループ25-1~25-4のそれぞれに含まれるプリントヘッド22の数に相当する。
【0252】
その後、温度情報出力回路26は、ステップS570における演算後の変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下であるか否かの判定を行い(ステップS590)、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下の場合(ステップS590のY)、温度情報出力回路26は、上述したステップS530~S580までの処理を再度実行する。これにより、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1、吐出グループ25-2に対応する温度出力情報Tg2、吐出グループ25-3に対応する温度出力情報Tg3、及び吐出グループ25-4に対応する温度出力情報Tg4を取得する。これにより、温度情報取得処理が終了する。
【0253】
そして、
図16に示すように、温度情報取得処理が終了した後、制御回路100から温度取得要求信号TDが入力されると、温度情報出力回路26は、入力される温度取得要求信号TDに応じた温度出力情報Tg1~Tg4を含む温度情報信号TIを出力する。すなわち、温度情報出力回路26は、入力される温度取得要求信号TDに応じて、プリントヘッド22-1~22-3の温度を示す信号として、温度出力情報Tg1を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-4~22-6の温度を示す信号として、温度出力情報Tg2を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-7~22-9の温度を示す信号として、温度出力情報Tg3を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-10~22-12の温度を示す信号として、温度出力情報Tg4を含む温度情報信号TIを出力する。
【0254】
以上のように構成された第3実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20であっても、第1実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20と同様の作用効果を奏するとともに、吐出グループ25毎に温度情報を一括りに出力することで、温度情報出力回路26が出力する情報量を少なくすることができ、温度情報出力回路26における負荷を低減できる。
【0255】
4.第4実施形態
次に第4実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20について説明する。第4実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態~第3実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を簡略、又は省略する。
【0256】
第4実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20では、温度情報出力回路26が実行する温度情報取得処理が第1実施形態~第3実施形態の液体吐出装置1と異なる。具体的には、第4実施形態の液体吐出装置1では、吐出グループ25に含まれる複数のプリントヘッド22のそれぞれが出力する温度検出情報tcに応じた信号の平均値を、吐出グループ25に含まれる複数のプリントヘッド22の温度を示す温度情報信号TIとして出力する。
【0257】
図21は、第4実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
図21に示すように、第4実施形態の温度情報取得処理が実行されると、温度情報出力回路26は、温度情報取得処理の初期設定処理として、変数iを変数i=1に初期化するとともに、変数jを変数j=1に初期化する(ステップS610)。また、温度情報出力回路26は、プリントヘッド22-1~22-12が出力する温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12を取得する(ステップS620)。
【0258】
そして、温度情報出力回路26は、異常判定処理によって判定されたプリントヘッド22-1~22-12のそれぞれに含まれる温度検出回路24が正常であるか否かの判定結果と、取得した温度検出情報tc1~tc12とに基づいて、吐出グループ25-1~25-4のそれぞれに対応する温度出力情報Tg1~Tg4を生成し、保持する。
【0259】
具体的には、温度情報出力回路26は、変数j=1の場合における初期化処理として、累積温度情報Tadを累積温度情報Tad=0に初期化するとともに、取得カウントCountを取得カウントCount=0に初期化する(ステップS630)。
【0260】
そして、温度情報出力回路26は、変数i=1であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS640)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS640のN)、累積温度情報Tadに温度検出情報tciであって、温度検出情報tc1が示す温度を加算するとともに、取得カウントCountに“1”を加算する。すなわち、温度情報出力回路26は、“累積温度情報Tad=累積温度情報Tad+温度検出情報tc1”とする演算処理と、“取得カウントCount=取得カウントCount+1”とする演算処理とを実行する(ステップS642)。そして、温度情報出力回路26が累積温度情報Tad、及び取得カウントCountに対する演算処理を実行した後、又は温度情報出力回路26がエラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”であると判定した後(ステップS640のY)、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算する(ステップS648)。すなわち、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-1からプリントヘッド22-2に変更する。
【0261】
そして、温度情報出力回路26は、変数i=2であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS650)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf2の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS650のN)、累積温度情報Tadに温度検出情報tciであって、温度検出情報tc2が示す温度を加算するとともに、取得カウントCountに“1”を加算する。すなわち、温度情報出力回路26は、“累積温度情報Tad=累積温度情報Tad+温度検出情報tc2”とする演算処理と、“取得カウントCount=取得カウントCount+1”とする演算処理とを実行する(ステップS652)。そして、温度情報出力回路26が累積温度情報Tad、及び取得カウントCountに対する演算処理を実行した後、又は温度情報出力回路26がエラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”であると判定した後(ステップS650のY)、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算する(ステップS658)。すなわち、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-2からプリントヘッド22-3に変更する。
【0262】
そして、温度情報出力回路26は、変数i=3であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS660)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf3の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS660のN)、累積温度情報Tadに温度検出情報tciであって、温度検出情報tc3が示す温度を加算するとともに、取得カウントCountに“1”を加算する。すなわち、温度情報出力回路26は、“累積温度情報Tad=累積温度情報Tad+温度検出情報tc3”とする演算処理と、“取得カウントCount=取得カウントCount+1”とする演算処理とを実行する(ステップS662)。そして、温度情報出力回路26が累積温度情報Tad、及び取得カウントCountに対する演算処理を実行した後、又は温度情報出力回路26がエラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”であると判定した後(ステップS660のY)、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算する(ステップS668)。すなわち、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-3からプリントヘッド22-4に変更する。
【0263】
その後、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”であるか否かを判定する(ステップS670)。
図21に示すように、温度情報出力回路26は、エラーフラグEfiの論理レベルが“Lレベル”の場合、すなわち、対応するプリントヘッド22が有する温度検出回路24に異常が生じていない場合に加算される。それ故に、ステップS670において、取得カウントCountが“0”であるか否かを判定するとは、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれに含まれる温度検出回路24の全てが異常であるか否かの判定に相当する。
【0264】
そして、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”でない場合(ステップS670のN)、算出した累積温度情報Tadを、算出した取得カウントCountで除した算出結果を、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3の温度を示す温度出力情報Tg1として保持する。すなわち、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”でない場合(ステップS670のN)、“温度出力情報Tg1=累積温度情報Tad/取得カウントCount”として保持する(ステップS672)。換言すれば、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3の内、異常が生じていない温度検出回路24が出力する温度検出情報tcの平均値を算出し、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1として保持する。
【0265】
一方で、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”の場合(ステップS670のY)、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれに含まれる温度検出回路24の全てが異常であると判定し、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3の温度を示す温度出力情報Tg1として、異常情報Errを含む温度出力情報Tg1を保持する(ステップS674)。
【0266】
すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、プリントヘッド22-1とプリントヘッド22-2とプリントヘッド22-3とを含む吐出グループ25-1の異常を示す異常情報Errを含む温度情報信号TIを出力する。
【0267】
そして、ステップS672,S674のいずれかにおいて、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1の取得が完了した後、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-2に対応する温度出力情報Tg2を取得するために、変数jに“1”を加算する(ステップS680)。これにより、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象が、吐出グループ25-1から吐出グループ25-2に変更される。
【0268】
その後、温度情報出力回路26は、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下であるか否かの判定を行い(ステップS690)、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下の場合(ステップS690のY)、温度情報出力回路26は、上述したステップS630~S680までの処理を再度実行する。これにより、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1、吐出グループ25-2に対応する温度出力情報Tg2、吐出グループ25-3に対応する温度出力情報Tg3、及び吐出グループ25-4に対応する温度出力情報Tg4を取得し、温度出力情報Tg1~Tg4の取得が完了した後、温度情報取得処理を終了する。
【0269】
そして、
図16に示すように、温度情報取得処理が終了した後、制御回路100から温度取得要求信号TDが入力されると、温度情報出力回路26は、入力される温度取得要求信号TDに応じた温度出力情報Tg1~Tg4を含む温度情報信号TIを出力する。すなわち、温度情報出力回路26は、入力される温度取得要求信号TDに応じて、プリントヘッド22-1~22-3の温度を示す信号として、温度出力情報Tg1を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-4~22-6の温度を示す信号として、温度出力情報Tg2を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-7~22-9の温度を示す信号として、温度出力情報Tg3を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-10~22-12の温度を示す信号として、温度出力情報Tg4を含む温度情報信号TIを出力する。
【0270】
以上のように構成された第4実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20であっても、第1実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20と同様の作用効果を奏するとともに、吐出グループ25毎に温度情報を一括りに出力することで、温度情報出力回路26が出力する情報量を少なくすることができ、温度情報出力回路26における負荷を低減できる。
【0271】
5.第5実施形態
次に第5実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20について説明する。第5実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20を説明するにあたり、第1実施形態~第4実施形態と同様の構成には同じ符号を付し、その説明を簡略、又は省略する。
【0272】
第5実施形態の液体吐出装置1、及びヘッドユニット20では、温度情報出力回路26が実行する温度情報取得処理が第1実施形態~第4実施形態の液体吐出装置1と異なる。具体的には、第5実施形態の液体吐出装置1では、吐出グループ25に含まれる複数のプリントヘッド22のそれぞれが出力する温度検出情報tcに応じた信号の平均値を、吐出グループ25に含まれる複数のプリントヘッド22の温度を示す温度情報信号TIとして出力するとともに、吐出グループ25に温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22が含まれる場合に、当該プリントヘッド22と隣り合って、同一の吐出グループ25に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しない場合、温度情報出力回路26は、吐出グループ25の異常を示す異常情報Errを含む温度情報信号TIを出力する。換言すれば、吐出グループ25-1において、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、及びプリントヘッド22-3は、X軸に沿った方向に沿って、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、プリントヘッド22-3の順に隣り合って位置し、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度、及び温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、温度検出情報tc2に応じた信号を、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、及びプリントヘッド22-3の温度を示す温度情報信号TIとして出力し、温度検出情報tc1が示す温度、及び温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]内の場合、プリントヘッド22-1、プリントヘッド22-2、及びプリントヘッド22-3を含む吐出グループ25-1の異常を示す異常情報Errを含む温度情報信号TIを出力する。
【0273】
図22は、第5実施形態の温度情報取得処理の一例を説明するための図である。
図22に示すように、第5実施形態の温度情報取得処理が実行されると、温度情報出力回路26は、温度情報取得処理の初期設定処理として、変数iを変数i=1に初期化するとともに、変数jを変数j=1に初期化する(ステップS610)とともに、プリントヘッド22-1~22-12が出力する温度検出信号TC1~TC12のそれぞれに含まれる温度検出情報tc1~tc12を取得する(ステップS620)。その後、温度情報出力回路26は、変数j=1の場合における初期化処理として、累積温度情報Tadを累積温度情報Tad=0に初期化し、取得カウントCountを取得カウントCount=0に初期化する(ステップS630)とともに、連続異常フラグCEf=“Lレベル”に初期化する(ステップS635)。
【0274】
そして、温度情報出力回路26は、変数i=1であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS640)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS640のN)、“累積温度情報Tad=累積温度情報Tad+温度検出情報tc1”とする演算処理と、“取得カウントCount=取得カウントCount+1”とする演算処理とを実行(ステップS642)し、その後、連続異常フラグCEf=“Lレベル”として保持する(ステップS644)。一方で、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS640のN)、温度情報出力回路26は、連続異常フラグCEf=“Hレベル”として保持する(ステップS646)。
【0275】
ステップS644、又はステップS646で温度情報出力回路26がHレベル又はLレベルの連続異常フラグCEf保持した後、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算する(ステップS648)ことで、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-1からプリントヘッド22-2に変更する。
【0276】
そして、温度情報出力回路26は、変数i=2であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf2の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS650)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS650のN)、“累積温度情報Tad=累積温度情報Tad+温度検出情報tc1”とする演算処理と、“取得カウントCount=取得カウントCount+1”とする演算処理とを実行(ステップS652)し、その後、連続異常フラグCEf=“Lレベル”として保持する(ステップS654)。一方で、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS640のN)、温度情報出力回路26は、保持する連続異常フラグCEfの論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS655)。
【0277】
温度情報出力回路26は、保持する連続異常フラグCEfの論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS655のN)、連続異常フラグCEf=“Hレベル”として保持する(ステップS656)。一方で、温度情報出力回路26は、保持する連続異常フラグCEfの論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS655のY)、吐出グループ25-1に温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22が含まれ、当該プリントヘッド22と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しないと判定し、吐出グループ25-1の異常を示す異常情報Errを含む温度出力情報Tg1を保持する(ステップS674)。
【0278】
その後、ステップS654、又はステップS656で温度情報出力回路26がHレベル又はLレベルの連続異常フラグCEf保持した後、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算する(ステップS658)ことで、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-2からプリントヘッド22-3に変更する。
【0279】
そして、温度情報出力回路26は、変数i=3であるが故に、エラーフラグEfiであって、エラーフラグEf3の論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS660)。温度情報出力回路26は、エラーフラグEf1の論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS660のN)、“累積温度情報Tad=累積温度情報Tad+温度検出情報tc1”とする演算処理と、“取得カウントCount=取得カウントCount+1”とする演算処理とを実行(ステップS662)し、その後、連続異常フラグCEf=“Lレベル”として保持する(ステップS664)。一方で、エラーフラグEf1の論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS660のN)、温度情報出力回路26は、保持する連続異常フラグCEfの論理レベルが“Hレベル”であるか否かの判定を行う(ステップS665)。
【0280】
温度情報出力回路26は、保持する連続異常フラグCEfの論理レベルが“Lレベル”の場合(ステップS665のN)、連続異常フラグCEf=“Hレベル”として保持する(ステップS666)。一方で、温度情報出力回路26は、保持する連続異常フラグCEfの論理レベルが“Hレベル”の場合(ステップS665のY)、吐出グループ25-1に温度検出回路24に異常が生じたプリントヘッド22が含まれ、当該プリントヘッド22と隣り合って、同一の吐出グループ25-1に属し、且つ温度検出回路24が正常なプリントヘッド22が位置しないと判定し、吐出グループ25-1の異常を示す異常情報Errを含む温度出力情報Tg1を保持する(ステップS674)。
【0281】
その後、ステップS664、又はステップS666で温度情報出力回路26がHレベル又はLレベルの連続異常フラグCEf保持した後、温度情報出力回路26は、変数iに“1”を加算する(ステップS668)ことで、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象を、プリントヘッド22-3からプリントヘッド22-4に変更する。
【0282】
その後、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”であるか否かを判定する(ステップS670)。
図22に示すように、温度情報出力回路26は、エラーフラグEfiの論理レベルが“Lレベル”の場合、すなわち、対応するプリントヘッド22が有する温度検出回路24に異常が生じていない場合に加算される。それ故に、ステップS670において、取得カウントCountが“0”であるか否かを判定するとは、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれに含まれる温度検出回路24の全てが異常であるか否かの判定に相当する。
【0283】
そして、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”でない場合(ステップS670のN)、算出した累積温度情報Tadを、算出した取得カウントCountで除した算出結果を、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3の温度を示す温度出力情報Tg1として保持する。すなわち、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”でない場合(ステップS670のN)、“温度出力情報Tg1=累積温度情報Tad/取得カウントCount”として保持する(ステップS672)。換言すれば、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3の内、異常が生じていない温度検出回路24が出力する温度検出情報tcの平均値を算出し、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1として保持する。
【0284】
一方で、温度情報出力回路26は、取得カウントCountが“0”の場合(ステップS670のY)、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3のそれぞれに含まれる温度検出回路24の全てが異常であると判定し、吐出グループ25-1に含まれるプリントヘッド22-1~22-3の温度を示す温度出力情報Tg1として、異常情報Errを含む温度出力情報Tg1を保持する(ステップS674)。
【0285】
すなわち、温度情報出力回路26は、温度検出情報tc1が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、温度検出情報tc2が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外であって、且つ温度検出情報tc3が示す温度が所定の温度範囲Tr[Trh,Trl]外の場合、プリントヘッド22-1とプリントヘッド22-2とプリントヘッド22-3とを含む吐出グループ25-1の異常を示す異常情報Errを含む温度情報信号TIを出力する。
【0286】
そして、ステップS672,S674のいずれかにおいて、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1の取得が完了した後、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-2に対応する温度出力情報Tg2を取得するために、変数jに“1”を加算する(ステップS680)。これにより、温度検出回路24が正常であるか否かの判断対象が、吐出グループ25-1から吐出グループ25-2に変更される。
【0287】
その後、温度情報出力回路26は、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下であるか否かの判定を行い(ステップS690)、変数iが、ヘッドユニット20に含まれるプリントヘッド22の総数である“12”以下の場合(ステップS690のY)、温度情報出力回路26は、上述したステップS630~S680までの処理を再度実行する。これにより、温度情報出力回路26は、吐出グループ25-1に対応する温度出力情報Tg1、吐出グループ25-2に対応する温度出力情報Tg2、吐出グループ25-3に対応する温度出力情報Tg3、及び吐出グループ25-4に対応する温度出力情報Tg4を取得し、温度出力情報Tg1~Tg4の取得が完了した後、温度情報取得処理を終了する。
【0288】
そして、
図16に示すように、温度情報取得処理が終了した後、制御回路100から温度取得要求信号TDが入力されると、温度情報出力回路26は、入力される温度取得要求信号TDに応じた温度出力情報Tg1~Tg4を含む温度情報信号TIを出力する。すなわち、温度情報出力回路26は、入力される温度取得要求信号TDに応じて、プリントヘッド22-1~22-3の温度を示す信号として、温度出力情報Tg1を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-4~22-6の温度を示す信号として、温度出力情報Tg2を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-7~22-9の温度を示す信号として、温度出力情報Tg3を含む温度情報信号TIを出力し、プリントヘッド22-10~22-12の温度を示す信号として、温度出力情報Tg4を含む温度情報信号TIを出力する。
【0289】
以上のように構成された第5実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20であっても、第1実施形態の液体吐出装置1及びヘッドユニット20と同様の作用効果を奏するとともに、吐出グループ25毎に温度情報を一括りに出力することで、温度情報出力回路26が出力する情報量を少なくすることができ、温度情報出力回路26における負荷を低減できる。
【0290】
以上、実施形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0291】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0292】
上述した実施形態から以下の内容が導き出される。
【0293】
ヘッドユニットの一態様は、
駆動回路が出力する駆動信号を受けて液体を吐出するヘッドユニットであって、
前記駆動信号を受けて液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、前記複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路と、
を備え、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1電極、第2電極、及び第1圧電体を含み、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第1圧電体が積層される第1積層方向において、前記第1圧電体が前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第1圧電素子と、
前記第1圧電素子に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1圧電素子の駆動により変形する第1振動板と、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1振動板の変形により容積が変化する第1圧力室が設けられている第1圧力室基板と、
前記第1圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第1ノズルと、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
第3電極、第4電極、及び第2圧電体を含み、前記第3電極、前記第4電極、及び前記第2圧電体が積層される第2積層方向において、前記第2圧電体が前記第3電極と前記第4電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第2圧電素子と、
前記第2圧電素子に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2圧電素子の駆動により変形する第2振動板と、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2振動板の変形により容積が変化する第2圧力室が設けられている第2圧力室基板と、
前記第2圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第2ノズルと、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部と、
を含み、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する。
【0294】
このヘッドユニットによれば、液体を吐出する複数のプリントヘッドを有し、複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドが第1振動板に対して第1積層方向の他方側に位置し、複数の温度情報の内、第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部を含み、複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドが、第2振動板に対して第2積層方向の他方側に位置し、複数の温度情報の内、第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部を含む。すなわち、第1プリントヘッドは、温度を取得する第1温度取得を内部に含み、第2プリントヘッドは、温度を取得する第2温度取得を内部に含む。これにより、第1圧力室の近傍に第1温度取得部を設けることができ、第2圧力室の近傍に第2温度取得部を設けることができる。その結果、第1温度取得部による第1圧力室に貯留されるインクの温度の取得精度が向上するとともに、第2温度取得部による第2圧力室に貯留されるインクの温度の取得精度が向上する。
【0295】
また、このヘッドユニットによれば、温度情報出力回路は、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第1温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力し、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第2温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力する。すなわち、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合、第1プリントヘッドの温度を第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部によって補完する。これにより、第1プリントヘッドの内部に第1温度検知部を設けたが故に、第1温度検知部に故障が生じた場合であっても、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0296】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記駆動回路は、前記駆動信号に含まれる第1駆動信号を出力する第1駆動回路、及び前記駆動信号に含まれる第2駆動信号を出力する第2駆動回路を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記第1圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第2圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第3圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第2駆動信号を受けて駆動し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合に前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内であっても、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号としては出力しなくてもよい。
【0297】
第1駆動回路が出力する第1駆動信号により液体を吐出する第1プリントヘッド、及び第2プリントヘッドと、第2駆動回路が出力する第2駆動信号により液体を吐出する第3プリントヘッドと、を有するヘッドユニットの場合、第1プリントヘッドと第3プリントヘッドとが第1駆動信号と、第2駆動信号との異なる駆動信号によって駆動するが故に、温度上昇の程度が大きく異なるおそれがある。このヘッドユニットによれば、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外の場合であって、第3プリントヘッドに含まれる第3温度取得部が取得した第3温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合であっても、第3温度情報に応じが信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力しないことで、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合であっても、大きく温度が異なるおそれのある第3温度情報に応じた信号で、第1プリントヘッドの温度を補完しないことで、第1プリントヘッドが、実際の温度と大きく異なる温度で補完されるおそれが低減する。その結果、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0298】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力してもよい。
【0299】
このヘッドユニットによれば、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合に、第1プリントヘッドの温度を補完する第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部にも異常が生じている場合、第1温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力し、第2温度情報に応じた信号を、第2プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力することで、第1プリントヘッド及び第2プリントヘッドの温度が不定となることによる誤動作が生じるおそれが低減する。
【0300】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力してもよい。
【0301】
このヘッドユニットによれば、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合に、第1プリントヘッドの温度を補完する第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部にも異常が生じている場合、異常情報を出力することで、第1プリントヘッド及び第2プリントヘッドの異常を報知することができる。これにより、第1プリントヘッド及び第2プリントヘッドの異常に対して、所定の基準温度による補完や、ヘッドユニットの動作の停止などの適切な応急処置を施すことができる。
【0302】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第4プリントヘッドは、
第7電極、第8電極、及び第4圧電体を含み、前記第7電極、前記第8電極、及び前記第4圧電体が積層される第4積層方向において、前記第4圧電体が前記第7電極と前記第8電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第4圧電素子と、
前記第4圧電素子に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4圧電素子の駆動により変形する第4振動板と、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4振動板の変形により容積が変化する第4圧力室が設けられている第4圧力室基板と、
前記第4圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第4ノズルと、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第4圧力室の温度に応じた第4温度情報を取得する第4温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第4温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第4温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力してもよい。
【0303】
このヘッドユニットでは、第1プリントヘッドと第2プリントヘッドとは、隣り合って位置するが故に、熱伝導によって温度差が小さく、同様に、第3プリントヘッドと第4プリントヘッドとは、隣り合って位置するが故に、熱伝導によって温度差が小さい。このようなプリントヘッドにおいて、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第2温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力することで、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合、第1プリントヘッドの温度を、温度差の小さな第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部によって補完でき、また、第3温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ第4温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第4温度情報に応じた信号を、第3プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力することで、温度情報出力回路は、第3プリントヘッドの内部に設けられた第3温度取得部に異状が生じた場合、第3プリントヘッドの温度を、温度差の小さな第4プリントヘッドの内部に設けられた第4温度取得部によって補完することができる。これにより、第1温度検知部に故障が生じた場合であっても、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減されるとともに、第3温度検知部に故障が生じた場合であっても、第3プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0304】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記第1プリントヘッドは、前記第1ノズルを含む複数のノズルが並設された第1ノズル列を含み、
前記第3プリントヘッドは、前記第3ノズルを含む複数のノズルが並設された第2ノズル列を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは、前記第1ノズル列が延在する第1方向と直交する第1並設方向において、隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは、前記第2ノズル列が延在する第2方向と直交する第2並設方向において、隣り合って位置していてもよい。
【0305】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第5温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第5温度情報に応じた信号を、前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力してもよい。
【0306】
互いに隣り合って位置する第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドにおいて、第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完した場合、離れて位置するが故に、温度差が大きくなるおそれがある。このヘッドユニットによれば、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度、及び第2プリントヘッドに含まれる第2温度取得部が取得した第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、第5プリントヘッドに含まれる第5温度取得部が取得した第5温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、離れて位置する第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完しないことで、第1プリントヘッドが、実際の温度と大きく異なる温度で補完されるおそれが低減する。その結果、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0307】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力してもよい。
【0308】
互いに隣り合って位置する第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドにおいて、第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完した場合、離れて位置するが故に、温度差が大きくなるおそれがある。このヘッドユニットによれば、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度、及び第2プリントヘッドに含まれる第2温度取得部が取得した第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、第5プリントヘッドに含まれる第5温度取得部が取得した第5温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、離れて位置する第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完せず、第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドを含む吐出グループの異常を報知することで、無理な補完により印刷品質が低下するおそれを低減できるとともに、第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドを含む吐出グループに対して、所定の基準温度による補完や、ヘッドユニットの動作の停止などの適切な応急処置を施すことができる。
【0309】
上記ヘッドユニットの一態様において、
前記温度情報出力回路は、
起動時に入力される前記複数の温度情報と前記所定の温度範囲とを比較し、比較結果を保持し、
前記複数のプリントヘッドが液体を吐出する吐出期間に入力される前記複数の温度情報と前記比較結果とに応じた前記温度情報信号を出力してもよい。
【0310】
このヘッドユニットによれば、複数のプリントヘッドが液体を吐出する前の起動時であって、複数のプリントヘッドに自己発熱が生じていない期間に、複数のプリントヘッドのそれぞれの温度と所定の温度範囲とを比較することで、比較精度を高めることができる。
【0311】
液体吐出装置の一態様は、
駆動信号を出力する駆動回路と、
前記駆動信号を受けて液体を吐出するヘッドユニットと、
を備え、
前記ヘッドユニットは、
前記駆動信号を受けて液体を吐出する複数のプリントヘッドと、
前記複数のプリントヘッドの温度を示す複数の温度情報が入力され、前記複数の温度情報に応じた温度情報信号を出力する温度情報出力回路と、
を有し、
前記複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドは、
第1電極、第2電極、及び第1圧電体を含み、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第1圧電体が積層される第1積層方向において、前記第1圧電体が前記第1電極と前記第2電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第1圧電素子と、
前記第1圧電素子に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1圧電素子の駆動により変形する第1振動板と、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の一方側に位置し、前記第1振動板の変形により容積が変化する第1圧力室が設けられている第1圧力室基板と、
前記第1圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第1ノズルと、
前記第1振動板に対して前記第1積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドは、
第3電極、第4電極、及び第2圧電体を含み、前記第3電極、前記第4電極、及び前記第2圧電体が積層される第2積層方向において、前記第2圧電体が前記第3電極と前記第4電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第2圧電素子と、
前記第2圧電素子に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2圧電素子の駆動により変形する第2振動板と、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の一方側に位置し、前記第2振動板の変形により容積が変化する第2圧力室が設けられている第2圧力室基板と、
前記第2圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第2ノズルと、
前記第2振動板に対して前記第2積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部と、
を含み、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力する。
【0312】
この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットが液体を吐出する複数のプリントヘッドを有し、複数のプリントヘッドの内の第1プリントヘッドが第1振動板に対して第1積層方向の他方側に位置し、複数の温度情報の内、第1圧力室の温度に応じた第1温度情報を取得する第1温度取得部を含み、複数のプリントヘッドの内の第2プリントヘッドが、第2振動板に対して第2積層方向の他方側に位置し、複数の温度情報の内、第2圧力室の温度に応じた第2温度情報を取得する第2温度取得部を含む。すなわち、第1プリントヘッドは、温度を取得する第1温度取得を内部に含み、第2プリントヘッドは、温度を取得する第2温度取得を内部に含む。これにより、第1圧力室の近傍に第1温度取得部を設けることができ、第2圧力室の近傍に第2温度取得部を設けることができる。その結果、第1温度取得部による第1圧力室に貯留されるインクの温度の取得精度が向上するとともに、第2温度取得部による第2圧力室に貯留されるインクの温度の取得精度が向上する。
【0313】
また、この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットが有する温度情報出力回路は、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第1温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力し、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第2温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力する。すなわち、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合、第1プリントヘッドの温度を第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部によって補完する。これにより、第1プリントヘッドの内部に第1温度検知部を設けたが故に、第1温度検知部に故障が生じた場合であっても、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0314】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記駆動回路は、前記駆動信号に含まれる第1駆動信号を出力する第1駆動回路、及び前記駆動信号に含まれる第2駆動信号を出力する第2駆動回路を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記第1圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第2圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第1駆動信号を受けて駆動し、
前記第3圧電素子は、前記駆動信号に含まれる前記第2駆動信号を受けて駆動し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合に前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内であっても、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力しなくてもよい。
【0315】
この液体吐出装置が備えるヘッドユニットが、第1駆動回路が出力する第1駆動信号により液体を吐出する第1プリントヘッド、及び第2プリントヘッドと、第2駆動回路が出力する第2駆動信号により液体を吐出する第3プリントヘッドと、を有するが故に、第1プリントヘッドと第3プリントヘッドとが第1駆動信号と、第2駆動信号との異なる駆動信号によって駆動し、その結果、温度上昇の程度が大きく異なるおそれがある。この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットが有する温度情報出力回路は、第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外の場合であって、第3プリントヘッドに含まれる第3温度取得部が取得した第3温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合であっても、第3温度情報に応じが信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力しないことで、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合であっても、大きく温度が異なるおそれのある第3温度情報に応じた信号で、第1プリントヘッドの温度を補完しないことで、第1プリントヘッドが、実際の温度と大きく異なる温度で補完されるおそれが低減する。その結果、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0316】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力してもよい。
【0317】
この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットにおいて、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合に、第1プリントヘッドの温度を補完する第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部にも異常が生じている場合、第1温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力し、第2温度情報に応じた信号を、第2プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力することで、第1プリントヘッド及び第2プリントヘッドの温度が不定となることによる誤動作が生じるおそれが低減する。
【0318】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外の場合、前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力してもよい。
【0319】
この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットにおいて、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合に、第1プリントヘッドの温度を補完する第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部にも異常が生じている場合、異常情報を出力することで、第1プリントヘッド及び第2プリントヘッドの異常を報知することができる。これにより、第1プリントヘッド及び第2プリントヘッドの異常に対して、所定の基準温度による補完や、ヘッドユニットの動作の停止などの適切な応急処置を施すことができる。
【0320】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第3プリントヘッドは、
第5電極、第6電極、及び第3圧電体を含み、前記第5電極、前記第6電極、及び前記第3圧電体が積層される第3積層方向において、前記第3圧電体が前記第5電極と前記第6電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第3圧電素子と、
前記第3圧電素子に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3圧電素子の駆動により変形する第3振動板と、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の一方側に位置し、前記第3振動板の変形により容積が変化する第3圧力室が設けられている第3圧力室基板と、
前記第3圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第3ノズルと、
前記第3振動板に対して前記第3積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第3圧力室の温度に応じた第3温度情報を取得する第3温度取得部と、
を含み、
前記複数のプリントヘッドの内の第4プリントヘッドは、
第7電極、第8電極、及び第4圧電体を含み、前記第7電極、前記第8電極、及び前記第4圧電体が積層される第4積層方向において、前記第4圧電体が前記第7電極と前記第8電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第4圧電素子と、
前記第4圧電素子に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4圧電素子の駆動により変形する第4振動板と、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の一方側に位置し、前記第4振動板の変形により容積が変化する第4圧力室が設けられている第4圧力室基板と、
前記第4圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第4ノズルと、
前記第4振動板に対して前記第4積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第4圧力室の温度に応じた第4温度情報を取得する第4温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第3温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第3温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第3温度情報が示す信号が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第4温度情報が示す信号が前記所定の温度範囲内の場合、前記第4温度情報に応じた信号を、前記第3プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力してもよい。
【0321】
この液体吐出装置のヘッドユニットでは、第1プリントヘッドと第2プリントヘッドとは、隣り合って位置するが故に、熱伝導によって温度差が小さく、同様に、第3プリントヘッドと第4プリントヘッドとは、隣り合って位置するが故に、熱伝導によって温度差が小さい。このような液体吐出装置では、プリントヘッドが、第1温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第2温度情報に応じた信号を、第1プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力することで、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドの内部に設けられた第1温度取得部に異状が生じた場合、第1プリントヘッドの温度を、温度差の小さな第2プリントヘッドの内部に設けられた第2温度取得部によって補完でき、また、第3温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、且つ第4温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、第4温度情報に応じた信号を、第3プリントヘッドの温度を示す温度情報信号として出力することで、温度情報出力回路は、第3プリントヘッドの内部に設けられた第3温度取得部に異状が生じた場合、第3プリントヘッドの温度を、温度差の小さな第4プリントヘッドの内部に設けられた第4温度取得部によって補完することができる。これにより、第1温度検知部に故障が生じた場合であっても、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減されるとともに、第3温度検知部に故障が生じた場合であっても、第3プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0322】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記第1プリントヘッドは、前記第1ノズルを含む複数のノズルが並設された第1ノズル列を含み、
前記第3プリントヘッドは、前記第3ノズルを含む複数のノズルが並設された第2ノズル列を含み、
前記第1プリントヘッドと前記第2プリントヘッドとは、前記第1ノズル列が延在する第1方向と直交する第1並設方向において、隣り合って位置し、
前記第3プリントヘッドと前記第4プリントヘッドとは、前記第2ノズル列が延在する第2方向と直交する第2並設方向において、隣り合って位置していてもよい。
【0323】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度検知部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記温度情報出力回路は、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第2プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、前記第5温度情報に応じた信号を、前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力してもよい。
【0324】
ヘッドユニットが、互いに隣り合って位置する第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドを有する場合において、第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完した場合、離れて位置するが故に、温度差が大きくなるおそれがある。これに対して、この液体吐出装置では、ヘッドユニットが、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度、及び第2プリントヘッドに含まれる第2温度取得部が取得した第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、第5プリントヘッドに含まれる第5温度取得部が取得した第5温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、離れて位置する第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完しないことで、第1プリントヘッドが、実際の温度と大きく異なる温度で補完されるおそれが低減する。その結果、第1プリントヘッドからの液体の吐出精度が低下するおそれが低減される。
【0325】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記複数のプリントヘッドの内の第5プリントヘッドは、
第9電極、第10電極、及び第5圧電体を含み、前記第9電極、前記第10電極、及び前記第5圧電体が積層される第5積層方向において、前記第5圧電体が前記第9電極と前記第10電極との間に位置し、前記駆動信号を受けて駆動する第5圧電素子と、
前記第5圧電素子に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5圧電素子の駆動により変形する第5振動板と、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の一方側に位置し、前記第5振動板の変形により容積が変化する第5圧力室が設けられている第5圧力室基板と、
前記第5圧力室の容積の変化に応じて液体を吐出する第5ノズルと、
前記第5振動板に対して前記第5積層方向の他方側に位置し、前記複数の温度情報の内、前記第5圧力室の温度に応じた第5温度情報を取得する第5温度取得部と、
を含み、
前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドは、前記第1並設方向に沿って、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、前記第5プリントヘッドの順に隣り合って位置し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第2温度情報に応じた信号を、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドの温度を示す前記温度情報信号として出力し、
前記第1温度情報が示す温度、及び前記第2温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲外であって、且つ前記第5温度情報が示す温度が前記所定の温度範囲内の場合、前記第1プリントヘッド、前記第2プリントヘッド、及び前記第5プリントヘッドを含む吐出グループの異常を示す異常情報を含む前記温度情報信号を出力してもよい。
【0326】
ヘッドユニットにおいて、互いに隣り合って位置する第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドにおいて、第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完した場合、離れて位置するが故に、温度差が大きくなるおそれがある。これに対して、この液体吐出装置では、ヘッドユニットが、温度情報出力回路は、第1プリントヘッドに含まれる第1温度取得部が取得した第1温度情報が示す温度、及び第2プリントヘッドに含まれる第2温度取得部が取得した第2温度情報が示す温度が所定の温度範囲外であって、第5プリントヘッドに含まれる第5温度取得部が取得した第5温度情報が示す温度が所定の温度範囲内の場合、離れて位置する第1プリントヘッドの温度を第5プリントヘッドの温度で補完せず、第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドを含む吐出グループの異常を報知することで、無理な補完により印刷品質が低下するおそれを低減できるとともに、第1プリントヘッド、第2プリントヘッド、及び第5プリントヘッドを含む吐出グループに対して、所定の基準温度による補完や、ヘッドユニットの動作の停止などの適切な応急処置を施すことができる。
【0327】
上記液体吐出装置の一態様において、
前記温度情報出力回路は、
起動時に入力される前記複数の温度情報と前記所定の温度範囲とを比較し、比較結果を保持し、
前記複数のプリントヘッドが液体を吐出する吐出期間に入力される前記複数の温度情報と前記比較結果とに応じた前記温度情報信号を出力してもよい。
【0328】
この液体吐出装置によれば、ヘッドユニットが、複数のプリントヘッドが液体を吐出する前の起動時であって、複数のプリントヘッドに自己発熱が生じていない期間に、複数のプリントヘッドのそれぞれの温度と所定の温度範囲とを比較することで、比較精度を高めることができる。
【符号の説明】
【0329】
1…液体吐出装置、10…制御ユニット、20…ヘッドユニット、21…キャリッジ、22,22-1~22-12…プリントヘッド、24…温度検出回路、25,25-1~25-4…吐出グループ、26…温度情報出力回路、28…ヘッド温度検出回路、30…移動ユニット、31…キャリッジモーター、32…無端ベルト、40…搬送ユニット、41…搬送モーター、42…搬送ローラー、50…駆動回路、52-1~52-4…駆動信号出力回路、54…基準電圧出力回路、60…圧電素子、80…インク容器、90…リニアエンコーダー、100…制御回路、200…駆動信号選択回路、210…選択制御回路、212…シフトレジスター、214…ラッチ回路、216…デコーダー、230…選択回路、232…インバーター、234…トランスファーゲート、310…圧力室基板、311…隔壁、312…圧力室、312a,312b…端部、315…連通板、316…ノズル連通路、317…第1マニホールド部、318…第2マニホールド部、319…供給連通路、320…ノズルプレート、321…ノズル、330…保護基板、331…保持部、332…貫通孔、340…ケース部材、341…収容部、342…第3マニホールド部、343…接続口、344…供給口、345…コンプライアンス基板、346…封止膜、347…固定基板、348…開口部、349…コンプライアンス部、350…振動板、351…弾性膜、352…絶縁体膜、360…電極、360a,360b…端部、370…圧電体、370a,370b…端部、371…溝部、380…電極、380a,380b…端部、385…配線部、391…個別リード電極、392…共通リード電極、392a,392b…延設部、393,393a,393b…測定用リード電極、400…マニホールド、401…抵抗配線、410…活性部、415…非活性部、420…配線基板、421…集積回路、510…ヘッド、511…インク吐出面、513-1~513-12…開口、520…ヘッド基板、521,522…面、523~526…辺、531-1~531-12…FPC挿通孔、532-1~532-12…電極群、540…集積回路、545…温度検出素子、550…コネクター、P…媒体