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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078706
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ロボットシステム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
B25J13/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191201
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】結城 広昭
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS01
3C707AS06
3C707BS15
3C707BT14
3C707CV07
3C707CW07
3C707DS01
3C707JS03
3C707KS33
3C707KS36
3C707KT01
3C707KT06
3C707KT18
3C707LU01
3C707LV01
3C707LV15
3C707MT06
3C707NS02
3C707NS26
(57)【要約】
【課題】作業者による作業速度が変化しても、後工程に送り出される対象物の滞留や不足を抑制し得るロボットシステムを実現すること。
【解決手段】対象物に対して作業を行うロボットシステムであって、前記対象物を順次搬送する第1搬送部と、前記第1搬送部で搬送される前記対象物に作業を行うロボットと、作業者が作業を行うための前記対象物を順次搬送する第2搬送部と、前記ロボットが単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数が、前記作業者が単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数に応じて変化するように、前記ロボットの動作を制御するロボット制御部と、を備えることを特徴とするロボットシステム。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して作業を行うロボットシステムであって、
前記対象物を順次搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部で搬送される前記対象物に作業を行うロボットと、
作業者が作業を行うための前記対象物を順次搬送する第2搬送部と、
前記ロボットが単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数が、前記作業者が単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数に応じて変化するように、前記ロボットの動作を制御するロボット制御部と、
を備えることを特徴とするロボットシステム。
【請求項2】
前記ロボット制御部は、前記作業者が単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数が減少したとき、前記ロボットが単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数が増加するように、前記ロボットの動作を制御する請求項1に記載のロボットシステム。
【請求項3】
前記第1搬送部および前記第2搬送部は、互いに並行して前記対象物を搬送する請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項4】
前記第1搬送部および前記第2搬送部は、互いに直列につながっている請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項5】
前記作業者が単位時間当たりに作業を行った前記対象物の数を検出する作業数検出部を備え、
前記作業数検出部は、検出結果を前記ロボット制御部に出力する請求項1または2に記載のロボットシステム。
【請求項6】
前記作業数検出部は、前記作業者が行う作業の成否を検出する機能、および、前記成否の検出結果を前記ロボット制御部に出力する機能を有する請求項5に記載のロボットシステム。
【請求項7】
前記対象物は、食品容器を構成する容器本体および蓋体であり、
前記ロボットが前記対象物に行う作業は、前記容器本体に対して前記蓋体を閉める作業である請求項1または2に記載のロボットシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、各種の生産現場においてロボットの導入が検討されているが、その一例として、食品等を包装したり、容器に入れて蓋を閉めたりする、食品用システムが用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、積層食品を袋詰めにするシステムが開示されている。積層食品とは、例えば、サンドイッチのような食材を積層してなる食品である。このシステムでは、前工程から第1搬送ラインで搬送される積層食品について、ロボットで把持して姿勢を変更した後、袋詰めを行う。また、このシステムでは、ロボットによる袋詰め等の処理の能力が足りない場合には、袋詰めを行わずにそのまま積層食品を第1搬送ラインで下流側に搬送し、袋詰めした積層食品は、第2搬送ラインで下流側に搬送する。第1搬送ラインで搬送された、袋詰めされていない積層食品は、ロボットの下流側に位置する作業者が手作業で袋詰めすることが想定されている。これにより、ライン全体が停止することを回避することができる。袋詰めされた積層食品は、後工程の袋閉じ機に送り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-187496号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のシステムでは、ロボットによる袋詰めの処理速度が一定であるため、作業者による袋詰めの処理速度が変化した場合、システム全体での処理速度も変化するため、後工程に送り出される積層食品の数が変化する。そうすると、後工程での処理能力を超える数の積層食品が送り出されたり、後工程に送り出される食品の数が不足して処理能力を余らせたりすることが懸念される。そこで、後工程に送り出される食品等の滞留を抑制し、かつ、後工程の処理効率の低下を抑制可能なシステムの実現が課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の適用例に係るロボットシステムは、
対象物に対して作業を行うロボットシステムであって、
前記対象物を順次搬送する第1搬送部と、
前記第1搬送部で搬送される前記対象物に作業を行うロボットと、
作業者が作業を行うための前記対象物を順次搬送する第2搬送部と、
前記ロボットが単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数が、前記作業者が単位時間当たりに作業を行う前記対象物の数に応じて変化するように、前記ロボットの動作を制御するロボット制御部と、
を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係るロボットシステムを示す概略構成図である。
図2図1のロボットを示す斜視図である。
図3図1のロボット制御部のハードウェア構成例を示す図である。
図4】第1実施形態の変形例に係るロボットシステムを示す概略構成図である。
図5】第2実施形態に係るロボットシステムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のロボットシステムを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0009】
1.第1実施形態
まず、第1実施形態に係るロボットシステムについて説明する。
【0010】
1.1.ロボットシステムの概要
図1は、第1実施形態に係るロボットシステム1を示す概略構成図である。なお、本願の各図では、互いに直交する3つの軸としてX軸、Y軸およびZ軸を設定している。各軸を矢印で表し、先端側を「プラス」、基端側を「マイナス」とする。以下の説明で、例えば「X軸方向」とは、X軸のプラス方向およびマイナス方向の双方を含む。また、以下の説明では、特に、X軸マイナス側を「上流側」、X軸プラス側を「下流側」ともいう。さらに、以下の説明では、特に、Z軸プラス側を「上方」ともいう。
【0011】
図1に示すロボットシステム1は、前工程である盛り付け工程S1から供給される容器本体91に対し、蓋体92を閉める作業を行うシステムである。容器本体91には、盛り付け工程S1において食品等が収容されており、ロボットシステム1を用いた蓋閉め工程S2によって蓋体92が閉められる。蓋体92が閉められた容器本体91は、その後、後工程であるラッピング工程S3に供給される。
【0012】
図1に示す容器本体91および蓋体92は、例えば、互いに嵌合、係合等することによって固定される食品容器である。具体的には、容器本体91および蓋体92の形態は、容器本体91の内側に蓋体92を嵌合させる内嵌合であってもよいし、容器本体91の外側に蓋体92を嵌合させる外嵌合であってもよい。
【0013】
図1に示すロボットシステム1は、第1搬送部2と、第2搬送部3と、ロボット4と、作業数検出部5と、ロボット制御部6と、を備える。
【0014】
図1に示す第1搬送部2は、盛り付け工程S1を行う盛り付け部82と、ラッピング工程S3を行うラッピング部84と、を接続している。そして、第1搬送部2は、盛り付け部82から所定の時間間隔で供給される容器本体91を下流側に順次搬送する。
【0015】
第1搬送部2の途中には、ロボット4が配置されている。ロボット4は、第1搬送部2で搬送される容器本体91に対して第1蓋閉め作業を行う。容器本体91は、食品等を収容し、上方が開口する器である。第1蓋閉め作業は、第1搬送部2で搬送される容器本体91の開口部に対し、ロボット4が蓋体92を被せて閉める作業である。
【0016】
図1に示す第2搬送部3は、第1搬送部2と並列に配置され、盛り付け部82と、ラッピング部84と、を接続している。そして、第2搬送部3も、盛り付け部82から所定の時間間隔で供給される容器本体91を下流側に順次搬送する。これにより、第1蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、第2蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、を並列して行うことができる。このため、第1搬送部2および第2搬送部3の各搬送速度を高めなくても、ロボットシステム1全体における作業速度を十分に高めることができる。
【0017】
第2搬送部3の途中には、作業者Mが配置されている。作業者Mは、第2搬送部3で搬送される容器本体91に対して第2蓋閉め作業を行う。容器本体91は、食品等を収容し、上方が開口する器である。第2蓋閉め作業は、第2搬送部3で搬送される容器本体91の開口部に対し、作業者Mが蓋体92を被せて閉める作業である。
【0018】
なお、容器本体91および蓋体92は、ロボット4および作業者Mが作業を行う対象物の一例であって、いかなる対象物であってもよい。また、第1蓋閉め作業および第2蓋閉め作業は、ロボット4および作業者Mが行う作業の一例であって、対象物に対するいかなる作業であってもよい。
【0019】
ロボット制御部6は、ロボット4の動作を制御する。これにより、ロボット制御部6は、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数を制御することができる。
【0020】
作業数検出部5は、作業者Mが単位時間当たりに作業を行う容器本体91の数を検出する機能、および、その検出結果をロボット制御部6に出力する機能を有する。
【0021】
1.2.ロボットシステムの構成
ロボットシステム1の構成について詳述する。
【0022】
1.2.1.第1搬送部
図1に示す第1搬送部2は、盛り付け部82から供給された容器本体91を、下流側に搬送し、ロボット4の作業範囲内を通過させる。また、ロボット4による第1蓋閉め作業によって得られた、容器本体91および蓋体92のセットを下流側に搬送し、ラッピング部84に送り出す。なお、本明細書では、蓋閉め作業を行った容器本体91および蓋体92のセットを「作業実施品93」ともいう。
【0023】
第1搬送部2は、複数の容器本体91を順次搬送する機能を有していれば、いかなる搬送装置であってもよい。搬送装置の一例としては、ベルトコンベアー、ローラーコンベアー等が挙げられる。また、搬送装置は、コンベアーに限定されず、例えば、多数のアーム等で容器本体91を保持した状態で、アーム等を搬送する装置であってもよい。第1搬送部2で搬送される容器本体91同士の間隔は、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。また、第1搬送部2は、容器本体91をロボット4の作業範囲内に搬送したタイミング等において、搬送を停止してもよいし、停止させなくてもよい。
【0024】
1.2.2.第2搬送部
図1に示す第2搬送部3は、盛り付け部82から供給された容器本体91を、下流側に搬送し、作業者Mの作業範囲内を通過させる。また、作業者Mによる第2蓋閉め作業によって得られた作業実施品93を下流側に搬送し、ラッピング部84に送り出す。
【0025】
第2搬送部3は、複数の容器本体91を順次搬送する機能を有していれば、いかなる搬送装置であってもよい。搬送装置の一例としては、ベルトコンベアー、ローラーコンベアー等が挙げられる。また、搬送装置は、コンベアーに限定されず、例えば、多数のアーム等で容器本体91を保持した状態で、アーム等を搬送する装置であってもよい。第2搬送部3で搬送される容器本体91同士の間隔は、等間隔であってもよいし、不等間隔であってもよい。また、第2搬送部3は、容器本体91を作業者Mの作業範囲内に搬送したタイミング等において、搬送を停止してもよいし、停止させなくてもよい。
【0026】
1.2.3.ロボット
図2は、図1のロボット4を示す斜視図である。図2に示すロボット4は、水平多関節ロボットである。水平多関節ロボットは、アームの回動面が水平であるため、回動速度を高めやすい。このため、水平多関節ロボットを用いることにより、ロボット4の処理速度を高めることができる。なお、ロボット4の形態は、これに限定されず、垂直多関節ロボットであってもよいし、複数のロボットアームを有する双腕ロボットであってもよい。
【0027】
図2に示すロボット4は、ロボットアーム43と、蓋体把持治具44と、を有する。
ロボットアーム43の先端部には、蓋体把持治具44が取り付けられている。蓋体把持治具44は、ストックされている蓋体92を把持する機能、および、把持している蓋体92を離脱させる機能を有する。ロボットアーム43は、その動作範囲内の任意の位置に、蓋体把持治具44を移動させる。これにより、ロボット4は、ストックされている蓋体92で容器本体91を閉じる第1蓋閉め作業を行うことができる。
【0028】
ロボット4は、上記の構成の他、力センサー、画像センサー、測距センサー等を有していてもよい。力センサーは、蓋体把持治具44に加わる力を検出する。力センサーは、例えば、蓋体把持治具44に加わる力の大きさおよび方向を検出する。力センサーによる力の検出結果に基づいて、第1蓋閉め作業の結果が良好であったか否かを判定することができる。力センサーとしては、例えば、力覚センサーが挙げられる。
【0029】
1.2.4.作業数検出部
作業数検出部5は、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行った容器本体91等の数(作業数)を検出するセンサーである。作業数検出部5は、例えば作業者Mの下流側に設けられ、検出範囲を通過する作業実施品93の数をカウントすることによって、作業者Mによる作業数を検出する。なお、作業数検出部5の配置は、作業者Mの下流側に限定されない。例えば、作業者Mの手元で作業数を検出するようになっていてもよいし、作業者Mの上流側で容器本体91の数を計数し、その計数結果を作業数とみなすようになっていてもよい。
【0030】
作業数検出部5としては、例えば、画像センサー、測距センサー、カウントセンサー等が挙げられる。画像センサーは、作業実施品93等を撮像し、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行った容器本体91等の数を検出する。測距センサーは、作業者Mの下流側において作業実施品93が通過する部位の測距を行うことにより、この部位を通過する作業実施品93の有無を検出し、その結果に基づいて作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行った容器本体91等の数を検出する。カウントセンサーは、重量変化等を利用して、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行った容器本体91等の数を検出する。
【0031】
1.2.5.ロボット制御部
ロボット制御部6は、機能部として、作業数取得部62、ロボット動作条件決定部64、アーム駆動部66および搬送制御部68を有する。
【0032】
作業数取得部62は、作業数検出部5が検出した作業数を取得する。作業数は、所定の時間間隔で取得するのが好ましい。これにより、作業数取得部62は、取得する作業数を、最新の値に更新できる。その結果、アーム駆動部66は、最新の作業数に基づいてロボットアーム43の動作を制御することができ、作業数の変化に対して速やかに対応することができる。
【0033】
ロボット動作条件決定部64は、作業数取得部62が取得した作業数に基づいて、ロボット4の動作条件を決定する。具体的には、第1搬送部2が単位時間にラッピング部84に送り出す作業実施品93の数と、第2搬送部3が単位時間にラッピング部84に送り出す作業実施品93の数と、の合計数を算出する。次に、この合計数から、作業数取得部62が取得した作業数を除した数を、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行うべき数(目標数)とする。そして、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う数が、この目標数に近づくように、ロボット4の動作条件を決定する。
【0034】
アーム駆動部66は、ロボットアーム43の各関節部に設けられたモーターに対し、駆動信号を出力する。これにより、各関節部が目的とする回転角度になるように回動させ、ロボットアーム43の姿勢を制御することができる。その結果、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数が、前述した目標数に近づくように、調整することができる。
【0035】
搬送制御部68は、第1搬送部2および第2搬送部3の動作を制御する。これにより、第1搬送部2および第2搬送部3が搬送する容器本体91の速度を調整することができる。その結果、単位時間当たりにロボット4や作業者Mの作業範囲に供給される容器本体91の数を調整することができる。したがって、搬送制御部68は、ロボット動作条件決定部64が決定したロボット4の動作条件や作業数検出部5が検出した作業数に応じて、第1搬送部2および第2搬送部3の各動作を制御するように構成されていればよい。なお、搬送制御部68は、第1搬送部2の動作のみを制御するようになっていてもよい。
【0036】
図3は、図1のロボット制御部6のハードウェア構成例を示す図である。
ロボット制御部6の機能部が発揮する機能は、例えば、図3に示す、CPU701、ROM702、RAM703、外部インターフェース704、および、内部バス705を備えるハードウェアによって実現される。CPU701、ROM702、RAM703および外部インターフェース704は、内部バス705を介して相互に通信可能になっている。
【0037】
CPU701は、Central Processing Unitである。なお、CPU701は、DSP(Digital Signal Processor)であってもよい。また、ハードウェアの全部または一部が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等で構成されていてもよい。
【0038】
ROM702は、Read-Only Memoryであり、任意の不揮発性記憶素子で構成される。RAM703は、Random Access Memoryであり、任意の揮発性記憶素子で構成される。
【0039】
外部インターフェース704としては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等のデジタル入出力ポート、イーサネット(登録商標)ポート等が挙げられる。
【0040】
1.3.ロボットシステムの作動
ロボットシステム1の作動について説明する。
【0041】
盛り付け部82で容器本体91に食品等を盛り付けた後、食品等が収容された容器本体91が第1搬送部2および第2搬送部3にそれぞれ供給される。容器本体91は、所定の時間間隔で次々に供給される。
【0042】
第1搬送部2は、ロボット4の作業範囲内まで容器本体91を搬送する。ロボット4は、搬送された容器本体91に対し、第1蓋閉め作業を行う。これにより、作業実施品93が得られる。この作業実施品93は、第1搬送部2で下流側に搬送され、ラッピング部84に送り出される。また、第1搬送部2による容器本体91の搬送速度は、ロボット4の作業速度に応じて変化するよう設定されているのが好ましい。つまり、ロボット4の作業速度が速くなったときには、それに連動して搬送速度も速くなり、ロボット4の作業速度が遅くなったときには、それに連動して搬送速度も遅くなるように設定されているのが好ましい。これにより、ロボット4による第1蓋閉め作業と、第1搬送部2による容器本体91の搬送と、を同期させることができ、第1搬送部2における容器本体91の滞留や不足を抑制することができる。なお、第1搬送部2による容器本体91の搬送速度は、この他の要素、例えば、盛り付け部82における盛り付け作業の速度等も考慮されるようになっていてもよい。
【0043】
第2搬送部3は、作業者Mの作業範囲内まで容器本体91を搬送する。作業者Mは、搬送された容器本体91に対し、第2蓋閉め作業を行う。これにより、作業実施品93が得られる。この作業実施品93は、第2搬送部3で下流側に搬送され、ラッピング部84に送り出される。
【0044】
また、本実施形態では、作業数検出部5による作業実施品93の数の検出結果に基づいて、第2搬送部3による容器本体91の搬送速度が設定されるようになっている。これにより、作業者Mによる第2蓋閉め作業と、第2搬送部3による容器本体91の搬送と、を同期させることができ、第2搬送部3における容器本体91の滞留や不足を抑制することができる。なお、第2搬送部3による容器本体91の搬送速度を設定するための要素は、上記に限定されず、例えば、作業者Mによる入力操作であってもよいし、あらかじめ入力しておいた作業者Mの人数や属性、シフト等についての情報であってもよいし、過去の実績であってもよい。例えば、一日のうち、所定の時間帯に作業者Mの人数が減少することがわかっている場合、その情報が用いられてもよい。ただし、突発的な変化にも対応可能である点を考慮すれば、作業数検出部5から出力される検出結果のように、作業数の動的な変化を短時間に反映し得る情報を用いることが好ましい。
【0045】
ここで、作業者Mは、人数、習熟度、体調等の様々な原因によって、作業速度を一定にできない場合がある。つまり、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う容器本体91の数は、意図せず変化する可能性が高い。その一方、ラッピング部84で単位時間当たりにラッピングできる作業実施品93の数は、一定である場合が多い。このため、仮に、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数が一定であった場合、作業者Mによる作業速度の変化に伴って、単位時間でロボットシステム1からラッピング部84に送り出される作業実施品93の数が変動することになる。そうすると、ラッピング部84では、ラッピングが間に合わずに作業実施品93が滞留したり、作業実施品93が不足することでラッピングの処理能力が余ったりする課題が生じる。
【0046】
そこで、本実施形態では、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う容器本体91の数が変化しても、ロボット4がそれを補うように動作する。つまり、ロボット制御部6は、このような動作を行うようにロボット4の動作を制御する。具体的には、ロボット制御部6は、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う容器本体91の数に応じて、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数を変化させる。ロボット4は、性能の調整が容易であることから、作業者Mの平均的な作業速度を上回る潜在的な作業速度を有する。このため、例えば作業者Mの人数が一時的に減少し、単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行うことのできる容器本体91の数が減少した場合には、ロボット4が単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う数を増加させることができる。これにより、ロボット4が作業速度を調整するバッファーとして機能し、ロボットシステム1全体では、単位時間でラッピング部84に送り出す作業実施品93の数を一定に制御することができる。その結果、ラッピング部84において作業実施品93の滞留や不足が生じるのを抑制することができる。
【0047】
また、ロボット4が上記のように動作することで、作業者Mは、単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う容器本体91の数、つまり作業速度を意識する必要がなくなる。このため、本実施形態に係るロボットシステム1によれば、作業者Mの精神的な負担を軽減することもできる。これにより、作業者Mの習熟度の許容幅や、人数の変動の許容幅を広げることができる。その結果、作業者Mの配置において、より柔軟な運用が可能になる。
【0048】
ロボット制御部6では、作業数取得部62が取得した作業数に基づいて、ロボット動作条件決定部64がロボット4の動作条件を決定し、アーム駆動部66がロボットアーム43を駆動させる。また、ロボットアーム43の駆動状況に応じて、搬送制御部68が第1搬送部2による搬送速度を制御する。
【0049】
なお、本明細書における「単位時間」は、特に限定されないが、ロボットシステム1が奏する上記効果をより速やかに得るためには、できるだけ短い方がよい。具体的には、対象物の種類、基本的な搬送速度等に応じて適宜設定されるが、単位時間は、1分以下に設定されるのが好ましく、10秒以下に設定されるのがより好ましい。
【0050】
また、本実施形態では、作業数検出部5が作業実施品93の数を検出し、その検出結果をロボット4の動作にフィードバックするが、この場合の「作業実施品93の数」は、作業の成功や失敗を問わない。ただし、作業数検出部5が検出する作業実施品93の数は、作業成功品の数とみなしてもよい。ラッピング部84は、作業成功品のみをラッピングするため、作業失敗品はラッピング部84の作業速度に影響を与えないと考えることもできる。そこで、作業成功品の数を「作業実施品93の数」とみなすことにより、ラッピング部84のより安定した稼働を実現することができる。なお、作業成功品の数は、例えば、作業数検出部5として画像センサーを用いることにより、検出可能である。また、作業失敗品の数を計数し、その計数結果を作業実施品93の数から減算することにより、作業成功品の数を算出してもよい。
【0051】
1.4.変形例
次に、第1実施形態の変形例に係るロボットシステムについて説明する。
図4は、第1実施形態の変形例に係るロボットシステム1を示す概略構成図である。
【0052】
以下、変形例について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図4において第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0053】
図4に示すロボットシステム1は、分流部7および合流部8を備えること以外、図1に示すロボットシステム1と同様である。なお、図4に示すロボットシステム1では、第2搬送部3のみが盛り付け部82およびラッピング部84に接続されており、第1搬送部2は、分流部7および合流部8を介して第2搬送部3に接続されている。
【0054】
分流部7は、盛り付け部82から第2搬送部3に供給された容器本体91の一部を、第1搬送部2に振り分ける。容器本体91を振り分ける割合は、一定であっても、随時変化してもよい。後者の場合、振り分ける割合が、ロボット4の作業速度に応じて変化するように設定されているのが好ましい。これにより、ロボット4による第1蓋閉め作業と、第1搬送部2による容器本体91の搬送と、を同期させることができ、第1搬送部2における容器本体91の滞留や不足を抑制することができる。
【0055】
合流部8は、第1搬送部2に振り分けられ、ロボット4による第1蓋閉め作業で得られた作業実施品93を、第2搬送部3に合流させる。
【0056】
以上のような変形例においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
また、変形例では、盛り付け部82とラッピング部84とをつなぐ既存のコンベアーを第2搬送部3として流用しやすい、という効果も得られる。つまり、この変形例は、分流部7および合流部8を備えているため、既存のコンベアーに対して第1搬送部2を追加する改造を行い易い構成になっている。このため、本変形例によれば、ロボットシステム1の導入に要するコストの低減を図ることができる。
【0057】
2.第2実施形態
次に、第2実施形態に係るロボットシステムについて説明する。
図5は、第2実施形態に係るロボットシステム1を示す概略構成図である。
【0058】
以下、第2実施形態について説明するが、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項についてはその説明を省略する。なお、図5において第1実施形態と同様の構成については、同一の符号を付している。
【0059】
図5に示すロボットシステム1は、第1搬送部2および第2搬送部3が互いに直列につながっていること以外、図1に示すロボットシステム1と同様である。
【0060】
図5に示す第1搬送部2は上流側に位置し、第2搬送部3は第1搬送部2の下流側につながっている。特に、図5では、第1搬送部2および第2搬送部3が1本のコンベアーになっている。そして、第1搬送部2の上流端が盛り付け部82に接続され、第2搬送部3の下流端がラッピング部84に接続されている。これにより、第1蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、第2蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、を連続して行うことができる。このため、前工程である盛り付け部82や後工程であるラッピング部84と、ロボットシステム1と、の接続部をほとんど改造することなく、ロボットシステム1を組み込むことができる。その結果、既存のラインを用いてロボットシステム1を構築するときのコストを削減することができる。なお、第1搬送部2および第2搬送部3は、互いに別のコンベアーであってもよい。
【0061】
図5に示すロボットシステム1は、以下のように作動する。
まず、盛り付け部82で容器本体91に食品等を盛り付けた後、食品等が収容された容器本体91が第1搬送部2に供給される。第1搬送部2は、ロボット4の作業範囲内まで容器本体91を搬送する。ロボット4は、搬送された容器本体91に対し、第1蓋閉め作業を行う。これにより、作業実施品93が得られる。この作業実施品93は、第1搬送部2で下流側に搬送され、第2搬送部3に受け渡される。一方、ロボット4は、次々に搬送される容器本体91の全てについて第1蓋閉め作業を行う必要はなく、一部については、第1蓋閉め作業を行わない。作業を行わなかった容器本体91についても、第1搬送部2から第2搬送部3に受け渡される。第2搬送部3は、作業者Mの作業範囲内まで作業実施品93および容器本体91を搬送する。作業者Mは、搬送されてくる作業実施品93については、そのまま見送る一方、容器本体91については、第2蓋閉め作業を行って作業実施品93を得る。これらの作業実施品93は、第2搬送部3で下流側に搬送され、ラッピング部84に送り出される。
【0062】
本実施形態においても、ロボット制御部6は、第2搬送部3で単位時間当たりに搬送する容器本体91の数に応じて、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数を変化させる。これにより、例えば作業者Mの人数が一時的に減少した場合のように、第2搬送部3で単位時間当たりに搬送する容器本体91の数が減少した場合等でも、ロボット4が第1蓋閉め作業を行う容器本体91の比率を上げることができる。その結果、単位時間でラッピング部84に送り出す作業実施品93の数を一定に制御することができ、ラッピング部84において作業実施品93の滞留や不足が生じるのを抑制することができる。
以上のような第2実施形態においても、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
3.前記実施形態が奏する効果
以上のように、前記実施形態に係るロボットシステム1は、対象物の一例である容器本体91に対して、作業の一例である蓋閉め作業(蓋体92を閉める作業)を行うシステムであって、第1搬送部2と、ロボット4と、第2搬送部3と、ロボット制御部6と、を備える。第1搬送部2は、容器本体91を順次搬送する。ロボット4は、第1搬送部2で搬送される容器本体91に第1蓋閉め作業を行う。第2搬送部3は、作業者Mが作業を行うための容器本体91を順次搬送する。ロボット制御部6は、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数が、作業者Mが第2蓋閉め作業を行う容器本体91の数に応じて変化するように、ロボット4の動作を制御する。
【0064】
このような構成によれば、ロボット4が作業速度を調整するバッファーとして機能し、ロボットシステム1全体では、単位時間でラッピング部84に送り出す作業実施品93の数を一定に制御することができる。その結果、ラッピング部84において作業実施品93の滞留や不足が生じるのを抑制することができる。また、ロボット4が上記のように動作することで、作業者Mは、単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う容器本体91の数、つまり作業速度を意識する必要がなくなる。このため、本実施形態に係るロボットシステム1によれば、作業者Mの精神的な負担を軽減することもできる。これにより、作業者Mにとっては、作業の習熟度の許容幅や、人数の変動の許容幅を広げることができる。その結果、作業者Mの配置において、より柔軟な運用が可能になる。
【0065】
また、ロボット制御部6は、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行う容器本体91(対象物)の数が減少したとき、ロボット4が単位時間当たりに第1蓋閉め作業を行う容器本体91の数が増加するように、ロボット4の動作を制御することが好ましい。
【0066】
このような構成によれば、ロボット4が作業速度を調整するバッファーとして機能し、ロボットシステム1全体では、単位時間でラッピング部84に送り出す作業実施品93の数を一定に制御することができる。したがって、作業者Mの人数が一時的に減少するといった事態が生じても、後工程であるラッピング部84に影響が及ぶのを抑制することができる。
【0067】
また、第1搬送部2および第2搬送部3は、互いに並行して容器本体91(対象物)を搬送してもよい。これにより、ロボット4による第1蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、作業者Mによる第2蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、を並列して行うことができる。このため、第1搬送部2および第2搬送部3の各搬送速度を高めなくても、ロボットシステム1全体における作業速度を十分に高めることができる。
【0068】
また、第1搬送部2および第2搬送部3は、互いに直列につながっていてもよい。これにより、ロボット4による第1蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、作業者Mによる第2蓋閉め作業に供する容器本体91の搬送と、を連続して行うことができる。このため、前工程である盛り付け部82や後工程であるラッピング部84と、ロボットシステム1と、の接続部をほとんど改造することなく、ロボットシステム1を組み込むことができる。その結果、既存のラインを用いてロボットシステム1を構築するときのコストを削減することができる。
【0069】
また、ロボットシステム1は、作業数検出部5を備えていてもよい。作業数検出部5は、作業者Mが単位時間当たりに第2蓋閉め作業を行った容器本体91(対象物)の数を検出し、検出結果をロボット制御部6に出力する。作業数検出部5による検出結果は、作業数の動的な変化を短時間に反映し得る。このため、ロボット制御部6は、この検出結果に応じてロボット4の動作を的確に制御することができる。
【0070】
また、作業数検出部5は、作業者Mが行う作業の成否を検出する機能、および、成否の検出結果をロボット制御部6に出力する機能を有していてもよい。これにより、作業の成否の数に基づいて、ロボット4の動作を制御することが可能になる。作業失敗品は、後工程であるラッピング部84の作業速度に影響を与えないと考えることができるので、作業の成否の数に基づいてロボット4を制御することができれば、ラッピング部84のより安定した稼働が実現できる。
【0071】
また、ロボットシステム1が作業を行う対象物は、食品容器を構成する容器本体91および蓋体92であるのが好ましい。食品容器の蓋閉め作業は、蓋体92が比較的可撓性に富んでいることから、自動化の難易度が高い作業の1つである。ロボットシステム1は、作業者Mの協働を可能にするシステムであって、作業者Mの配置の流動化や精神的な負担の軽減に寄与できるシステムである。ロボットシステム1は、既存のラインの改造を最小限にしながら導入可能なシステムである。このため、ロボットシステム1は、食品容器の蓋閉め作業を低コストで省人化するのに寄与できる。
【0072】
以上、本発明に係るロボットシステムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0073】
例えば、本発明に係るロボットシステムは、前記実施形態の各部が同様の機能を有する任意の構成物に置換されたものであってもよく、前記実施形態に任意の構成物が付加されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1…ロボットシステム、2…第1搬送部、3…第2搬送部、4…ロボット、5…作業数検出部、6…ロボット制御部、7…分流部、8…合流部、43…ロボットアーム、44…蓋体把持治具、62…作業数取得部、64…ロボット動作条件決定部、66…アーム駆動部、68…搬送制御部、82…盛り付け部、84…ラッピング部、91…容器本体、92…蓋体、93…作業実施品、701…CPU、702…ROM、703…RAM、704…外部インターフェース、705…内部バス、M…作業者、S1…盛り付け工程、S2…蓋閉め工程、S3…ラッピング工程
図1
図2
図3
図4
図5