(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078707
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】流体動力伝達装置および流体動力発生源の低圧側調整器
(51)【国際特許分類】
F15B 11/08 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
F15B11/08 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191202
(22)【出願日】2022-11-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-05-19
(71)【出願人】
【識別番号】504279991
【氏名又は名称】油機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100093115
【弁理士】
【氏名又は名称】佐渡 昇
(72)【発明者】
【氏名】廣門 建行
【テーマコード(参考)】
3H089
【Fターム(参考)】
3H089AA86
3H089BB23
3H089CC01
3H089CC08
3H089DA03
3H089DB43
3H089DB46
3H089DB49
3H089GG02
(57)【要約】
【課題】液体動力を、対象動体を動かす作動力に変換するアクチュエータと、アクチュエータに作動用液体を供給する流体動力発生源とを完全な閉回路状に接続する配管とを有する完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用できるようにする。
【解決手段】流体動力発生源20の低圧側の配管31に、作動用液体(3)の体積変化分を吸収する調整器50が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体動力を、対象動体(2)を動かす作動力に変換するアクチュエータ(10)と、
このアクチュエータ(10)に作動用液体(3)を供給する流体動力発生源(20)と、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)とを完全な閉回路状に接続する配管(30)と、
を有する完全閉回路型の液体動力伝達装置であって、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に、前記作動用液体(3)の体積変化分を吸収する調整器(50)が設けられていることを特徴とする流体動力伝達装置。
【請求項2】
液体動力を、対象動体(2)を動かす作動力に変換するアクチュエータ(10)と、
このアクチュエータ(10)に作動用液体(3)を供給する流体動力発生源(20)と、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)とを完全な閉回路状に接続する配管(30)と、
を有し、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)のうち少なくとも一方が調整余剰油(DR)を排出する回路構成機器である完全閉回路型の液体動力伝達装置であって、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に設けられ、前記作動用液体(3)の体積変化分を吸収する調整器(50)と、
作動用液体(3)の流れ方向に関し、前記調整器(50)の下流側配管(31)に第1流量制御弁(61)を介して設けられ、前記アクチュエータ(10)および/または流体動力発生源(20)からの調整余剰油(DR)を回収し得る第1回収口(61p)と、
作動用液体(3)の流れ方向に関し、前記調整器(50)の上流側配管(32)に第2流量制御弁(62)を介して設けられ、前記アクチュエータ(10)および/または流体動力発生源(20)からの調整余剰油(DR)を回収し得る第2回収口(62p)と、
を備え、
前記第1流量制御弁(61)の弁解放力が前記第2流量制御弁(62)の弁解放力に比べて高くなっていることを特徴とする流体動力伝達装置。
【請求項3】
液体動力を、対象動体(2)を動かす作動力に変換するアクチュエータ(10)と、
このアクチュエータ(10)に作動用液体(3)を供給する流体動力発生源(20)と、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)とを完全な閉回路状に接続する配管(30)と、
を有する完全閉回路型の液体動力伝達装置における前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に設けられ、前記作動用液体(3)の体積変化分を吸収する調整器(50)であって、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続され、前記作動用液体(3)が貯留されるとともに作動用液体(3)が流出入される、外気に解放されていない作動用液体貯留室(51)を有していることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項4】
請求項3において、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続される貯留室用ケース(52)と、
この貯留室用ケース(52)内面に密閉状に張られた弾性を有する隔壁膜(53)と、
を有していることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項5】
請求項3において、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続され、貯留される作動用液体(3)の最大量よりも大きな容積を有する密閉状の貯留室用ケース(52)で構成され、
この貯留室用ケース(52内)における上部空間(S1)に、前記作動用液体(3)に溶けにくいガス(G1)が充填されていることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項6】
請求項3~5のうちいずれか一項において、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続される貯留室用ケース(52)と、
この貯留室用ケース(52)の外面側に設けられ、貯留室用ケース(52)の外面側との間に、温度調整用流体(4)を流す温度調整用流体導入体(54)と、
を有していることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項7】
請求項3~5のうちいずれか一項において、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続される貯留室用ケース(52)と、
この貯留室用ケース(52)の外面側に設けられ、貯留室用ケース(52)の外面側との間に、温度調整用流体(4)を流す温度調整用流体導入体(54)と、
を有し、
温度調整用流体導入体(54)は、貯留室用ケース(52)の外面側を覆うケース状であり、
貯留室用ケース(52)の内面、外面の少なくとも一方には、多数の凹凸を有する凹凸面(55)となっていることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体動力伝達装置および流体動力発生源(例えばポンプ)の低圧側調整器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、液体動力を、対象動体を動かす作動力に変換するアクチュエータ(例えばシリンダー)と、
このアクチュエータに作動用液体を供給する流体動力発生源(例えばポンプ)と、
前記アクチュエータと流体動力発生源とを接続する配管と、
を有する液体動力伝達装置が一般に知られている。
【0003】
この従来の一般的な液体動力伝達装置(例えば油圧装置)は、回路の一部が大気に解放された開回路型であるため、流体動力発生源として比較的安価で一般的なポンプを用いることが可能である。
【0004】
しかしながら、開回路型であるため、次のような難点を有している。
例えば油圧回路の場合、油圧システムの不具合は空気混入と異物混入が原因のほとんどであり、
(1)外部からのごみ(粉塵や異物)が入る。
(2)作動油の酸化劣化が進む。
(3)大気開放による空気分離がある。
これはとても重要であり、
油圧システムにおける気泡はあらゆる悪さの原因になり
制御性、安定性を低下させ
機器の寿命を低下させ
エネルギー効率を低下させる。
特に油中空気の悪影響としては以下の様なものがある。 潤滑性低下による損傷の発生
キャビテーションの発生
ポンプを含めた油圧効率の低下
油の圧縮性増大に伴う作動不良
騒音の発生
潤滑油の劣化の促進
冷却能力の低下
【0005】
一方、従来、上記のような不具合を解消すべく、回路を閉回路とした技術が知られている。
閉回路型とすることで、上記の不具合は解消される。
また、油圧システムの場合には、開回路型の場合に必要とされる大きな油槽(タンク)を不要にできるという大きなメリットも得られる。
【0006】
しかしながら、従来の閉回路型の液体動力伝達装置では、比較的安価な一般的なポンプを使用することはできない。
閉回路化すると、ポンプ性能が低下、すなわち吸込み圧力の増加に伴う吐出量の低下が生じるからである。また、ポンプのシール破損(パンクなど)が生じるからである。
【0007】
そのため、従来の閉回路型の液体動力伝達装置では、特殊で高価なポンプが使用されており、結果として装置全体としても高価なものとなっていた。
【0008】
なお、例えば特許文献1には、
「流体循環システムの圧力変動を抑制して、これによるキャビテーションなどの様々な悪影響を未然に防止する。」ことを課題とし、
「熱媒体用液体2を用いて温度制御を行う被温度制御系1と、この被温度制御系1から排出された熱媒体用液体2の温度を調整し温度調整した熱媒体用液体2を前記被温度制御系1に供給する熱交換器3と、これら被温度制御系1と熱交換器3との間で前記熱媒体用液体2を循環させる循環ポンプ10と、前記被温度制御系1、熱交換器3及び循環ポンプ10間を連結して前記熱媒体用液体2を循環させる熱媒体用配管6,8とを備えた熱交換システムにおいて、前記熱媒体用液体2の循環経路を外気に対し隔絶された閉鎖系とすると共に、前記熱媒体用液体2の圧力変動を吸収する圧力吸収手段11を前記熱媒体の循環経路内に配設するようにしたことを特徴とする。」(同文献要約欄)
熱交換システムが記載されている。
すなわち、同文献には、
熱媒体用液体2の循環経路を外気に対し隔絶された閉鎖系とする点、
熱媒体用液体2の圧力変動を吸収する圧力吸収手段11を熱媒体の循環経路内に配設する点、
が記載されている。
【0009】
しかし、同文献
図1、および0019段落における「膨張タンク12の気体室13内の気圧が所定の圧力以下になると気体室13内に気体を入れるチェック弁17とを備えられている」との記載から明らかなように、同文献の熱媒体用液体2の循環経路は完全な閉回路であるとはいえない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、
液体動力を、対象動体を動かす作動力に変換するアクチュエータと、
このアクチュエータに作動用液体を供給する流体動力発生源と、
前記アクチュエータと流体動力発生源とを完全な閉回路状に接続する配管と、
を有する完全閉回路型の液体動力伝達装置において、
比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために本発明の流体動力伝達装置は、
液体動力を、対象動体を動かす作動力に変換するアクチュエータと、
このアクチュエータに作動用液体を供給する流体動力発生源と、
前記アクチュエータと流体動力発生源とを完全な閉回路状に接続する配管と、
を有する完全閉回路型の液体動力伝達装置であって、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に、前記作動用液体の体積変化分を吸収する調整器が設けられていることを特徴とする。
【0013】
この流体動力伝達装置は、上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
流体動力発生源によってアクチュエータに作動用液体が供給され、アクチュエータによって液体動力が作動力に変換されて対象動体を動かすことができる。
アクチュエータと流体動力発生源とを接続する配管は完全な閉回路状となっているので、閉回路による上述した効果(開回路による不具合が解消される効果)が得られる。
アクチュエータと流体動力発生源とを接続する配管が完全な閉回路状となっている場合において、仮に何らの方策も講ずることなく比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用したとすると、流体動力発生源の低圧側において、作動用液体の体積変化に起因する圧力変動が生じ、これによって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊が生じる恐れがある。
これに対し、本発明によれば、流体動力発生源の低圧側の配管に、作動用液体の体積変化分を吸収する調整器が設けられているので、流体動力発生源の低圧側における作動用液体の体積変化に起因する圧力変動が抑制される。
したがって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊を防止することができ、結果として、完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用できるようになる。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明の流体動力伝達装置は、
液体動力を、対象動体を動かす作動力に変換するアクチュエータと、
このアクチュエータに作動用液体を供給する流体動力発生源と、
前記アクチュエータと流体動力発生源とを完全な閉回路状に接続する配管と、
を有し、
前記アクチュエータと流体動力発生源のうち少なくとも一方が調整余剰油を排出する回路構成機器である完全閉回路型の液体動力伝達装置であって、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に設けられ、前記作動用液体の体積変化分を吸収する調整器と、
作動用液体の流れ方向に関し、前記調整器の下流側配管に第1流量制御弁を介して設けられ、前記アクチュエータおよび/または流体動力発生源からの調整余剰油を回収し得る第1回収口と、
作動用液体の流れ方向に関し、前記調整器の上流側配管に第2流量制御弁を介して設けられ、前記アクチュエータおよび/または流体動力発生源からの調整余剰油を回収し得る第2回収口と、
を備え、
前記第1流量制御弁の弁解放力が前記第2流量制御弁の弁解放力に比べて高くなっていることを特徴とする。
【0015】
この流体動力伝達装置は、上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
流体動力発生源によってアクチュエータに作動用液体が供給され、アクチュエータによって液体動力が作動力に変換されて対象動体を動かすことができる。
アクチュエータと流体動力発生源とを接続する配管は完全な閉回路状となっているので、閉回路による上述した効果(開回路による不具合が解消される効果)が得られる。
アクチュエータと流体動力発生源とを接続する配管が完全な閉回路状となっている場合において、仮に何らの方策も講ずることなく比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用したとすると、流体動力発生源の低圧側において、作動用液体の体積変化に起因する圧力変動が生じ、これによって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊が生じる恐れがある。
これに対し、本発明によれば、流体動力発生源の低圧側の配管に、作動用液体の体積変化分を吸収する調整器が設けられているので、流体動力発生源の低圧側における作動用液体の体積変化に起因する圧力変動が抑制される。
したがって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊を防止することができ、結果として、完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用できるようになる。
【0016】
そして、このような完全閉回路型の液体動力伝達装置においては、前記アクチュエータと流体動力発生源のうち少なくとも一方を調整余剰油を排出する構成のものにしたいという要請が生じることがある。
【0017】
これに対し、本発明によれば、
作動用液体の流れ方向に関し、前記調整器の下流側配管に第1流量制御弁を介して設けられ、前記アクチュエータおよび/または流体動力発生源からの調整余剰油を回収し得る第1回収口と、
作動用液体の流れ方向に関し、前記調整器の上流側配管に第2流量制御弁を介して設けられ、前記アクチュエータおよび/または流体動力発生源からの調整余剰油を回収し得る第2回収口と、
を備え、
前記第1流量制御弁の弁解放力が前記第2流量制御弁の弁解放力に比べて高くなっているので、次のような作用効果が得られる。
アクチュエータおよび/または流体動力発生源からの調整余剰油は、通常、第2流量制御弁の弁を解放し、第2回収口を通じて調整器の上流側配管に回収され、調整器に流れる。そのため、この液体動力伝達装置は通常通り作動する。
一方、何らかの理由で調整器に不具合が生じ、アクチュエータおよび/または流体動力発生源からの調整余剰油が第2回収口を通じて調整器の上流側配管に回収されなくなった場合には、調整余剰油は、第1流量制御弁の弁を解放し、第1回収口を通じて調整器の上流側配管に回収されることとなる。これによって、調整余剰油を排出する回路構成機器が保護される。
【0018】
また、上記課題を解決するために本発明の流体動力発生源の低圧側調整器は、
液体動力を、対象動体を動かす作動力に変換するアクチュエータと、
このアクチュエータに作動用液体を供給する流体動力発生源と、
前記アクチュエータと流体動力発生源とを完全な閉回路状に接続する配管と、
を有する完全閉回路型の液体動力伝達装置における前記流体動力発生源の低圧側の配管に設けられ、前記作動用液体の体積変化分を吸収する調整器であって、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に接続され、前記作動用液体が貯留されるとともに作動用液体が流出入される、外気に解放されていない作動用液体貯留室を有していることを特徴とする。
【0019】
この流体動力発生源の低圧側調整器は、上記の構成となっているので、次のような作用効果が得られる。
アクチュエータと流体動力発生源とを接続する配管が完全な閉回路状となっている場合において、仮に何らの方策も講ずることなく比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用したとすると、流体動力発生源の低圧側において、作動用液体の体積変化に起因する圧力変動が生じ、これによって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊が生じる恐れがある。
これに対し、本発明の流体動力発生源の低圧側調整器は、流体動力発生源の低圧側の配管に設けられ、作動用液体の体積変化分を吸収するので、流体動力発生源の低圧側における作動用液体の体積変化に起因する圧力変動を抑制することができる。
したがって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊を防止することができ、結果として、完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源を使用できるようになる。
そして、この流体動力発生源の低圧側調整器において、作動用液体が貯留されるとともに作動用液体が流出入される作動用液体貯留室は、外気に解放されていないので、液体動力伝達装置の完全な閉回路状態を保つことができる。
【0020】
この流体動力発生源の低圧側調整器においては、
前記作動用液体貯留室は、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に接続される貯留室用ケースと、
この貯留室用ケース内面に密閉状に張られた弾性を有する隔壁膜と、
を有している構成とすることができる。
【0021】
このように構成すると、隔壁膜によって、外気に解放されていない作動用液体貯留室を容易に形成できるとともに、隔壁膜による弾性によって、アクチュエータにおける作動用液体の容量変化分を良好に吸収するように構成することが可能となる。
【0022】
この流体動力発生源の低圧側調整器においては、
前記作動用液体貯留室は、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に接続され、貯留される作動用液体の最大量よりも大きな容積を有する密閉状の貯留室用ケースで構成され、
この貯留室用ケース内における上部空間に、前記作動用液体に溶けにくいガスが充填されている構成とすることができる。
【0023】
このように構成すると、隔壁膜を用いることなく密閉状の貯留室用ケースによって、外気に解放されていない作動用液体貯留室を容易に形成できるとともに、作動用液体に溶けにくいガスによる収縮/膨張によって、アクチュエータにおける作動用液体の容量変化分を良好に吸収するように構成することが可能となる。
【0024】
この流体動力発生源の低圧側調整器においては、
前記作動用液体貯留室は、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に接続される貯留室用ケースと、
この貯留室用ケースの外面側に設けられ、貯留室用ケースの外面側との間に、温度調整用流体を流す温度調整用流体導入体と、
を有している構成とすることができる。
【0025】
このように構成すると、作動用液体貯留室に貯留され流れる作動用液体は、温度調整用流体導入体によって導入され貯留室用ケースの外面側との間に流れる温度調整用流体によって、温度を調整することができる。
これによって、作動用液体の温度変化に伴う密度変化によって生じる体積変動を効率的に抑制することができるようになる。
したがって、流体動力発生源のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊をより確実に防止することができ、結果として、完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源を安定して使用できるようになる。
【0026】
この流体動力発生源の低圧側調整器においては、
前記作動用液体貯留室は、
前記流体動力発生源の低圧側の配管に接続される貯留室用ケースと、
この貯留室用ケースの外面側に設けられ、貯留室用ケースの外面側との間に、温度調整用流体を流す温度調整用流体導入体と、
を有し、
温度調整用流体導入体は、貯留室用ケースの外面側を覆うケース状であり、
貯留室用ケースの内面、外面の少なくとも一方には、多数の凹凸を有する凹凸面となっている構成とすることができる。
【0027】
このように構成すると、貯留室用ケースの外面側を覆うケース状の温度調整用流体導入体によって、温度調整用流体の導入路を容易に形成することができるとともに、貯留室用ケースの内面、外面の少なくとも一方に設けられた、多数の凹凸を有する凹凸面によって熱交換効率が向上し、作動用液体のより効率的な温度調整が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明に係る流体動力伝達装置および流体動力発生源の低圧側調整器の実施の形態を示す構成図。
【
図3】(a)(b)(c)はそれぞれアクチュエータの例を示す図。
【
図4】(a)(b)(c)はそれぞれ流体動力発生源の低圧側調整器の例を示す図。
【
図5】(a)は流体動力発生源の低圧側調整器の他の例を示す断面図、(b)は図(a)の部分拡大図
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明に係る流体動力伝達装置および流体動力発生源の低圧側調整器の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、各図において、同一部分ないし相当する部分には、同一の符号を付してある。
【0030】
図1に示すように、この実施の形態の流体動力伝達装置1は、
液体動力を、対象動体2を動かす作動力に変換するアクチュエータ10と、
このアクチュエータ10に作動用液体3を供給する流体動力発生源20と、
アクチュエータ10と流体動力発生源20とを完全な閉回路状に接続する配管30と、
を有している。
そして、流体動力発生源20の低圧側の配管31に、作動用液体3の体積変化分を吸収する調整器(流体動力発生源の低圧側調整器)50が設けられている。
【0031】
この流体動力伝達装置1は、上記の構成となっているので、同装置によれば次のような作用効果が得られる。
【0032】
流体動力発生源20によってアクチュエータ10に作動用液体3が供給され、アクチュエータ10によって液体動力が作動力に変換されて対象動体2を動かすことができる。
アクチュエータ10と流体動力発生源20とを接続する配管30は完全な閉回路状となっているので、閉回路による効果(開回路による不具合が解消される効果)が得られる。
【0033】
アクチュエータ10と流体動力発生源20とを接続する配管30が完全な閉回路状となっている場合において、仮に何らの方策も講ずることなく比較的安価で一般的な流体動力発生源20を使用したとすると、流体動力発生源20の低圧側(吸い込み側)において、作動用液体3の体積変化に起因する圧力変動が生じ、これによって、流体動力発生源20のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊が生じる恐れがある。
【0034】
これに対し、この実施の形態によれば、流体動力発生源20の低圧側(吸い込み側)の配管31に、作動用液体3の体積変化分を吸収する調整器50が設けられているので、流体動力発生源20の低圧側(吸い込み側)おける作動用液体3の体積変化に起因する圧力変動が抑制される。
【0035】
したがって、流体動力発生源20のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊を防止することができ、結果として、完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源20を使用できるようになる。
【0036】
なお、
図1において、41は液体動力の作用方向を切り換えるための方向切換機、42は液体動力の回路内圧力上昇を一定値に抑えるリリーフ弁である。
【0037】
このような完全閉回路型の液体動力伝達装置1においては、アクチュエータ10と流体動力発生源20のうち少なくとも一方を調整余剰油DRを排出する構成のものにしたいという要請が生じることがある。
【0038】
そこで、例えば
図2に示すように、この実施の形態の流体動力伝達装置1は、
アクチュエータ10と流体動力発生源20のうち少なくとも一方が調整余剰油を排出する回路構成機器である場合、
作動用液体3の流れ方向に関し、調整器50の下流側配管31に第1流量制御弁61を介して設けられ、アクチュエータ10および/または流体動力発生源20からの調整余剰油DRを回収し得る第1回収口61pと、
作動用液体3の流れ方向に関し、調整器50の上流側配管32に第2流量制御弁62を介して設けられ、アクチュエータ10および/または流体動力発生源20からの調整余剰油DRを回収し得る第2回収口62pと、
を備え、
第1流量制御弁61の弁解放力が第2流量制御弁62の弁解放力に比べて高くなっている構成とすることができる。別言すれば、例えば第1流量制御弁61の弁の弁座に対する付勢力が第2流量制御弁62のそれに比べて小さくなっている構成とすることができる。すなわち、第1流量制御弁61に比べて第2流量制御弁62の方が調整余剰油DRを通しやすい構成とすることができる。
【0039】
なお、
図2に示す流体動力伝達装置1では、アクチュエータ10、流体動力発生源20、方向切換機41、リリーフ弁42が、いずれも調整余剰油DRを排出する構成の回路構成機器であるが、完全閉回路型の液体動力伝達装置の回路構成機器のうち、少なくとも1つの回路構成機器が調整余剰油DRを排出する構成の回路構成機器(以下、「調整余剰油排出機器」ともいう)である場合に、上記の回路構成、すなわち、
作動用液体3の流れ方向に関し、調整器50の下流側配管31に第1流量制御弁61を介して設けられ、調整余剰油排出機器からの調整余剰油DRを回収し得る第1回収口61pと、
作動用液体3の流れ方向に関し、調整器50の上流側配管32に第2流量制御弁62を介して設けられ、調整余剰油排出機器からの調整余剰油DRを回収し得る第2回収口62pと、
を備え、
第1流量制御弁61の弁解放力が第2流量制御弁62の弁解放力に比べて高くなっている構成とすることは有効である。
【0040】
このように構成すると、次のような作用効果が得られる。
調整余剰油排出機器(アクチュエータ10等、以下同じ)からの調整余剰油DRは、通常、第2流量制御弁62の弁を解放し、第2回収口62pを通じて調整器50の上流側配管に回収され、調整器50に流れる。そのため、この液体動力伝達装置1は通常通り作動する。
一方、何らかの理由で調整器50に不具合が生じ、調整余剰油排出機器からの調整余剰油DRが第2回収口62pを通じて調整器50の上流側配管32に回収されなくなった場合には、調整余剰油DRは、第1流量制御弁61の弁を解放し、第1回収口61pを通じて調整器50の上流側配管31に回収されることとなる。これによって、調整余剰油DRを排出する回路構成機器が保護される。
【0041】
図1等に示すように、この実施の形態の流体動力発生源20の低圧側調整器50は、
例えば上述したような完全閉回路型の液体動力伝達装置における流体動力発生源20の低圧側の配管31に設けられ、作動用液体3の体積変化分を吸収する調整器であって、
流体動力発生源20の低圧側(吸い込み側)の配管31に接続され、作動用液体3が貯留される(貯留された作動用液体を符号3aで示す)とともに作動用液体3が流出入される、外気に解放されていない作動用液体貯留室51を有している。
【0042】
この流体動力発生源20の低圧側調整器50は、上記の構成となっているので、同調整器によれば前述したとおりの作用効果が得られる。
そして、この流体動力発生源20の低圧側調整器50において、作動用液体3が貯留される(貯留された作動用液体を符号3aで示す)とともに作動用液体3が流出入される作動用液体貯留室51は、外気に解放されていないので、液体動力伝達装置1の完全な閉回路状態を保つことができる。
【0043】
この実施の形態の作動用液体貯留室51は、
流体動力発生源20の低圧側の配管31に接続される貯留室用ケース52と、
この貯留室用ケース52の内面に密閉状に張られた、弾性を有する隔壁膜53と、
を有している。
【0044】
このように構成すると、隔壁膜53によって、外気に解放されていない作動用液体貯留室51を容易に形成できるとともに、隔壁膜53による弾性によって、流体動力発生源20の低圧側における作動用液体3の体積変化分を良好に吸収するように構成することが可能となる。
【0045】
例えば
図4(a)に示すように、この流体動力発生源20の低圧側調整器50における作動用液体貯留室51は、
流体動力発生源20の低圧側の配管31に接続され、貯留される作動用液体3aの最大量よりも大きな容積を有する密閉状の貯留室用ケース52で構成され、
この貯留室用ケース52内における上部空間S1に、作動用液体3(3a)に溶けにくいガスG1が充填されている構成とすることができる。
【0046】
このように構成すると、隔壁膜53を用いることなく密閉状の貯留室用ケース52によって、外気に解放されていない作動用液体貯留室51を容易に形成できるとともに、作動用液体3に溶けにくいガスG1による収縮/膨張によって、流体動力発生源20の低圧側における作動用液体3の体積変化分を良好に吸収することが可能となる。
【0047】
図1等に示すように、この実施の形態の流体動力発生源20の低圧側調整器50における作動用液体貯留室51は、
流体動力発生源20の低圧側の配管31に接続される貯留室用ケース52と、
この貯留室用ケース52の外面側に設けられ、貯留室用ケース52の外面側との間に、温度調整用流体4を流す温度調整用流体導入体54と、
を有している。
【0048】
このように構成すると、作動用液体貯留室51に貯留され流れる作動用液体3(3a)は、温度調整用流体導入体54によって導入され貯留室用ケース52の外面側との間S2に流れる温度調整用流体4によって、温度を調整することができる。
【0049】
これによって、流体動力発生源20の低圧側における作動用液体3の温度変化に伴う密度変化とそれによって生じる圧力変動をも抑制することができるようになる。
【0050】
したがって、流体動力発生源20のキャビテーション浸食現象による破壊や、シール破壊をより確実に防止することができ、結果として、完全閉回路型の液体動力伝達装置において、比較的安価で一般的な流体動力発生源20を安定して使用できるようになる。
【0051】
例えば
図5に示すように、この流体動力発生源20の低圧側調整器50における作動用液体貯留室51は、
流体動力発生源20の低圧側の配管31に接続される貯留室用ケース52と、
この貯留室用ケース52の外面側に設けられ、貯留室用ケース52の外面側との間に、温度調整用流体4を流す温度調整用流体導入体54と、
を有し、
温度調整用流体導入体54は、貯留室用ケース52の外面側を覆うケース状であり、
貯留室用ケース52の内面、外面の少なくとも一方に(図示のものは両方)は、多数の凹凸を有する凹凸面55となっている構成とすることができる。
【0052】
このように構成すると、貯留室用ケース52の外面側を覆うケース状の温度調整用流体導入体54によって、温度調整用流体4の導入路4pを容易に形成することができるとともに、貯留室用ケース52の内面、外面の少なくとも一方に設けられた、多数の凹凸を有する凹凸面55によって、熱交換面積が増大するとともに作動用液体3および/または温度調整用流体4の流れを乱流化(作動用液体3の乱流状態の模式例を符号3bで、温度調整用流体4の流れの乱流状態の模式例を符号4bで示す)させることで熱交換効率を向上させ、作動用液体3のより効率的な温度調整が可能となる。
【0053】
以下、さらに詳しく説明する。
液体動力とは、液体による動力であり、液体としては、公知の液体、例えば、油、水、海水、薬液等(例えばラジエター液)を採用することができる。
したがって、作動用液体3としては、公知の液体、例えば、油、水、海水、薬液等を採用することができる。
【0054】
対象動体2は、アクチュエータ10により動かされる種々の公知の対象であり多岐に亘る。例えば、ショベルカーにおけるショベル等を挙げることができる。
【0055】
アクチュエータ10は対象動体2を動かすためのものであり、片ロッドシリンダー(
図1)、両ロッド直動シリンダ(
図3(a))、回転モーター(
図2,
図3(b))、揺動モーター(
図3(c))等を挙げることができる。
【0056】
片ロッドシリンダー(
図1)の場合、シリンダーの片側にのみロッド10rが存在するため、ロッド10r側に流入(または流出)する作動用液体3の量と、ロッドがない側に流出(または流入)する作動用液体3の量との間でロッド体積分の差が生じ、その差が、流体動力発生源20の吸い込み側における圧力変動の大きな原因となる。
この実施の形態によれば、このような大きなある直変動も調整器50によって吸収できるので、閉回路においてアクチュエータ10として片ロッドシリンダーを用いる場合に特に有効である。
【0057】
流体動力発生源20は、アクチュエータ10に作動用液体3を供給するためのものであり、公知で安価な一般的なポンプ(例えばギヤポンプ、ピストンポンプ、ベーンポンプ、トロコイドポンプ等)を採用することができる。
なお、一般的なポンプの具体例として、油研工業製 A70-FR01BS-60 参考価格150,000円程度)を挙げることができる。
これに対し、上記ポンプと略同性能の従来の閉回路型のポンプは高額となる。
本発明によれば、公知で安価な一般的なポンプを利用できるようになる。
【0058】
配管30は、公知の適宜の配管材で構成することができる。
液体動力の作用方向を切り換えるための方向切換機41、液体動力の回路内圧力上昇を一定値に抑えるリリーフ弁42は、それぞれ公知の適宜のものを採用することができる。
調整余剰油DRを排出する構成のアクチュエータ等の回路構成機器についても公知のものを採用できる。
【0059】
第1流量制御弁61、第2流量制御弁62自体は公知のものを採用し得るが、例えば、
図2に示す実施の形態においては、第1流量制御弁61は0.5~0.8MPaで開き、第2流量制御弁62は0~0.5MPaで開く構成とする。
図2に示す実施の形態においては、リリーフバルブ63を介して外部解放口64を設けても良い。このように構成すると、万が一調整器50による調整能力を超える圧力変動が生じた場合に、作動用液体3をリリーフバルブ63を介して外部に放出することができる。
【0060】
作動用液体貯留室51を構成する貯留室用ケース52は、公知の適宜の材料(例えば鉄、ステンレス、アルミニュウム等の金属)で構成することができる。
弾性を有する隔壁膜53は例えば金属や樹脂を用いた移動壁、ベローズ、収縮樹脂膜等で構成することができる。隔壁膜53と貯留室用ケース52の内面とは、シール材(例えばOリング)を入れ接合することで、作動用液体貯留室51を密閉状とすることができる。
【0061】
調整器50による作動用液体3の調整に必要な容量(調整必要容量)は、作動用液体3が油であり、アクチュエータ10が油圧シリンダである場合、シリンダの容量の2倍あれば良い。具体的は例えば次のようになる。
内径φ63×ストローク300mmのシリンダー容量は約0.94L
調整必要容量は0.94×2 ≒ 2L あれば良い。
【0062】
これに対し、従来の一般的な開回路型の液体動力伝達装置(例えば油圧装置)の場合、油槽(タンク)が必要である。
油槽(タンク)容量は、ポンプ流量(毎分)の3~5倍必要なので、上記の例の場合、
内径φ63×ストローク300mmのシリンダーを1秒で動かす時の必要流量は56.1 L/min であり、
可変ポンプなら56.1 × 3 = 168 L程度
固定容量ポンプなら56.1 × 5 = 280 L程度となる。
【0063】
したがって、本実施の形態の調整器50を用いることで、上記の例では、必要油量を、従来の一般的な開回路型の液体動力伝達装置に比べ、1/84から1/140に削減することが可能となる。したがって、油槽(タンク)も不要となり、液体動力伝達装置全体も小型化できる。
【0064】
例えば
図4(a)に示したように、貯留室用ケース52内における上部空間S1に、作動用液体3(3a)に溶けにくいガスG1を充填する場合、そのガスG1としては例えば窒素や空気を採用する。
図4(a)において56はガス充填用のバルブであり、これによって上部空間S1は外気から遮断される。
なお、
図1等に示したように隔壁膜53を用いる場合には、その上部空間S3は大気に解放することができる。
図1等においてS4は開口である。
【0065】
温度調整用流体導入体54は、公知の適宜の材料(例えば鉄、ステンレス、アルミニュウム等の金属)で構成することができる。
温度調整用流体4としては、ガス(空気を含む)、水、海水、油、薬液、ラジエター液等を採用することができる。
【0066】
例えば
図4(b)に示すように、温度調整用流体4は、循環用ポンプ43および配管44によって前述した導入空間S2に循環供給するようにすることができる。
また、温度調整用流体4がガス(空気を含む)である場合には、例えば
図4(c)に示すように、温度調整用流体4は、ファン、ブロアー、コンプレッサー等の供給手段46および供給路47によって前述した導入空間S2に供給するようにすることができる。
【0067】
作動用液体3には、余剰動力エネルギーが熱として加えられることがある。
作動用液体3に熱が加わると密度が変化し体積も変化する。
完全な閉回路状の流体動力伝達装置1において、作動用液体3の密度が増加すると、圧力の増加につながり、これに耐えられない機器が破損することもあり得る。
これに対し、この実施の形態によれば、上述したように温度調整用流体4で作動用液体3の温度を調整することで、調整器50による圧力調整と相まって、より良好に、作動用液体3の圧力増加を抑制することができる。
【0068】
図5において、57は、貯留室用ケース52内に設けられた多孔壁(例えばパンチングメタル等)からなる円筒体であり、これによって作動用液体3の流れを乱流化(乱流状態の模式例を符号3bで示す)を促進させることができる。
58は流体動力発生源20の低圧側の配管31に接続される、作動用液体3の流出入口、59は作動用液体3の副接続口である。
【0069】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
【符号の説明】
【0070】
1: 流体動力伝達装置
2: 対象動体
3: 作動用液体
4: 温度調整用流体
10: アクチュエータ
20: 流体動力発生源
30: 配管
50: 調整器(流体動力発生源の低圧側調整器)
51: 作動用液体貯留室
52: 貯留室用ケース
53: 隔壁膜
54: 温度調整用流体導入体
61: 第1流量制御弁
61p: 第1回収口
62: 第2流量制御弁
62p: 第2回収口
【手続補正書】
【提出日】2023-02-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体動力を、対象動体(2)を動かす作動力に変換するアクチュエータ(10)と、
このアクチュエータ(10)に作動用液体(3)を供給する流体動力発生源(20)と、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)とを完全な閉回路状に接続する配管(30)と、
を有し、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)のうち少なくとも一方が調整余剰油(DR)を排出する回路構成機器である完全閉回路型の液体動力伝達装置であって、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に設けられ、前記作動用液体(3)の体積変化分を吸収する調整器(50)と、
作動用液体(3)の流れ方向に関し、前記調整器(50)の下流側配管(31)に第1流量制御弁(61)を介して設けられ、前記アクチュエータ(10)および/または流体動力発生源(20)からの調整余剰油(DR)を回収し得る第1回収口(61p)と、
作動用液体(3)の流れ方向に関し、前記調整器(50)の上流側配管(32)に第2流量制御弁(62)を介して設けられ、前記アクチュエータ(10)および/または流体動力発生源(20)からの調整余剰油(DR)を回収し得る第2回収口(62p)と、
を備え、
前記第1流量制御弁(61)の弁解放力が前記第2流量制御弁(62)の弁解放力に比べて高くなっていることを特徴とする流体動力伝達装置。
【請求項2】
液体動力を、対象動体(2)を動かす作動力に変換するアクチュエータ(10)と、
このアクチュエータ(10)に作動用液体(3)を供給する流体動力発生源(20)と、
前記アクチュエータ(10)と流体動力発生源(20)とを完全な閉回路状に接続する配管(30)と、
を有する完全閉回路型の液体動力伝達装置における前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に設けられ、前記作動用液体(3)の体積変化分を吸収する調整器(50)であって、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続され、前記作動用液体(3)が貯留されるとともに作動用液体(3)が流出入される、外気に解放されていない作動用液体貯留室(51)を有し、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続される貯留室用ケース(52)と、
この貯留室用ケース(52)の外面側に設けられ、貯留室用ケース(52)の外面側との間に、温度調整用流体(4)を流す温度調整用流体導入体(54)と、
を有していることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項3】
請求項2において、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続される貯留室用ケース(52)と、
この貯留室用ケース(52)内面に密閉状に張られた弾性を有する隔壁膜(53)と、
を有していることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項4】
請求項2において、
前記作動用液体貯留室(51)は、
前記流体動力発生源(20)の低圧側の配管(31)に接続され、貯留される作動用液体(3)の最大量よりも大きな容積を有する密閉状の貯留室用ケース(52)で構成され、
この貯留室用ケース(52内)における上部空間(S1)に、前記作動用液体(3)に溶けにくいガス(G1)が充填されていることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。
【請求項5】
請求項2~4のうちいずれか一項において、
前記温度調整用流体導入体(54)は、貯留室用ケース(52)の外面側を覆うケース状であり、
貯留室用ケース(52)の内面、外面の少なくとも一方には、多数の凹凸を有する凹凸面(55)となっていることを特徴とする流体動力発生源の低圧側調整器。