(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078708
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】スイッチング電源、増幅装置及び通信装置
(51)【国際特許分類】
H02M 3/155 20060101AFI20240604BHJP
H03F 1/02 20060101ALI20240604BHJP
H03F 3/24 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H02M3/155 H
H03F1/02 111
H03F3/24
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191203
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100107515
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 浩一
(72)【発明者】
【氏名】廣瀬 達哉
【テーマコード(参考)】
5H730
5J500
【Fターム(参考)】
5H730AS05
5H730BB13
5H730BB57
5H730DD04
5H730EE13
5H730FF05
5H730FG05
5J500AA01
5J500AA41
5J500AC36
5J500AF01
5J500AH09
5J500AH19
5J500AH25
5J500AH26
5J500AH29
5J500AH33
5J500AK01
5J500AK15
5J500AK18
5J500AK33
5J500AK49
5J500AK68
5J500RG01
(57)【要約】
【課題】スイッチング電源回路の出力電圧をエンベロープ信号又はサブキャリア信号の電圧に高精度に追従させること。
【解決手段】直列に接続された上アーム及び下アームを有するスイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路の出力電圧がエンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備えるスイッチング電源。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直列に接続された上アーム及び下アームを有するスイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路の出力電圧がエンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備える、スイッチング電源。
【請求項2】
前記調整回路は、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも高いとき、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも低いときに比べて、前記デッドタイムを短くする、請求項1に記載のスイッチング電源。
【請求項3】
前記調整回路は、前記入力信号の上下を反転させた信号である反転信号を生成し、前記反転信号を量子化した信号である量子化信号を生成し、前記量子化信号が大きいほど前記デッドタイムを短くする、請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項4】
前記駆動回路は、
前記入力信号を遅延させた信号である遅延入力信号を出力する第1遅延回路と、
前記遅延入力信号をサンプリング信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータと、
第1制御電圧に応じた第1遅延量で前記第1パルス信号を遅延させた第2パルス信号を出力し、前記上アームをスイッチングさせる第2遅延回路と、
第2制御電圧に応じた第2遅延量で前記第2パルス信号を遅延させた第3パルス信号を出力する第3遅延回路と、
前記第1パルス信号と前記第3パルス信号の否定論理和である第4パルス信号を出力し、前記下アームをスイッチングさせる否定論理和回路と、を有し、
前記調整回路は、
前記サンプリング信号を遅延させた信号である遅延サンプリング信号を出力する第4遅延回路と、
前記反転信号を前記サンプリング信号に従ってサンプリングして第1量子化信号を出力する第1サンプルホールド回路と、
前記反転信号を前記遅延サンプリング信号に従ってサンプリングして第2量子化信号を出力する第2サンプルホールド回路と、
前記第1量子化信号を遅延させて前記第1制御電圧を出力する第5遅延回路と、
前記第2量子化信号を遅延させて前記第2制御電圧を出力する第6遅延回路と、を有する、請求項3に記載のスイッチング電源。
【請求項5】
前記第1遅延回路と前記第4遅延回路と前記第5遅延回路と前記第6遅延回路の動作タイミングを揃えるスキュー制御器を備える、請求項4に記載のスイッチング電源。
【請求項6】
前記調整回路は、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも高いとき、前記入力信号の電圧が高いほど前記デッドタイムを短くし、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも低いとき、前記入力信号の電圧が低いほど前記デッドタイムを長くする。請求項2に記載のスイッチング電源。
【請求項7】
前記スイッチング電源回路と前記駆動回路と前記調整回路とをそれぞれ有する複数の電源ユニットと、
位相が相違する複数のサンプリング信号を生成する複数の移相器と、を備え、
前記駆動回路は、前記入力信号を前記複数のサンプリング信号のうち対応するサンプリング信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータを有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【請求項8】
前記スイッチング電源回路と前記駆動回路と前記調整回路を有する第1電源ユニットと、
前記スイッチング電源回路と前記駆動回路と前記調整回路を有する第2電源ユニットと、
サンプリング信号を遅延させた第2遅延サンプリング信号を出力する第7遅延回路と、
前記入力信号を遅延させた第2遅延入力信号を出力する第8遅延回路と、
前記入力信号を増幅する信号増幅器と、
前記入力信号及び前記サンプリング信号が入力される前記第1電源ユニットの前記出力電圧を前記信号増幅器の出力電圧と合成する第1合成器と、
前記第2遅延入力信号及び前記第2遅延サンプリング信号が入力される前記第2電源ユニットの前記出力電圧を、前記第1合成器の出力電圧と合成する第2合成器と、を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載のスイッチング電源。
【請求項9】
直列に接続された上アーム及び下アームを有するスイッチング電源回路と、
エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号を遅延させた信号である遅延入力信号を出力する第1遅延回路と、
前記遅延入力信号をサンプリング信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータと、
第1制御電圧に応じた第1遅延量で前記第1パルス信号を遅延させた第2パルス信号を出力し、前記上アームをスイッチングさせる第2遅延回路と、
第2制御電圧に応じた第2遅延量で前記第2パルス信号を遅延させた第3パルス信号を出力する第3遅延回路と、
前記第1パルス信号と前記第3パルス信号の否定論理和である第4パルス信号を出力し、前記下アームをスイッチングさせる否定論理和回路と、
前記サンプリング信号を遅延させた信号である遅延サンプリング信号を出力する第4遅延回路と、
前記入力信号の上下を反転させた信号である反転信号を前記サンプリング信号に従ってサンプリングして第1量子化信号を出力する第1サンプルホールド回路と、
前記反転信号を前記遅延サンプリング信号に従ってサンプリングして第2量子化信号を出力する第2サンプルホールド回路と、
前記第1量子化信号を遅延させて前記第1制御電圧を出力する第5遅延回路と、
前記第2量子化信号を遅延させて前記第2制御電圧を出力する第6遅延回路と、を備える、スイッチング電源。
【請求項10】
エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号を被変調波から抽出する抽出器と、
前記被変調波を増幅する増幅器と、
直列に接続された上アーム及び下アームを有し、前記増幅器の電源電圧である出力電圧を生成するスイッチング電源回路と、
前記出力電圧が前記入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備える、増幅装置。
【請求項11】
前記被変調波を遅延させる又は等化する処理回路と、
前記処理回路により遅延処理又は等化処理が施された前記被変調波からキャリア信号を抽出するキャリア増幅器と、を備え、
前記駆動回路は、前記入力信号を前記キャリア信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータを有する、請求項10に記載の増幅装置。
【請求項12】
エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号を被変調波から抽出する抽出器と、
前記被変調波を増幅する増幅器と、
前記増幅器によって給電されるアンテナと、
直列に接続された上アーム及び下アームを有し、前記増幅器の電源電圧である出力電圧を生成するスイッチング電源回路と、
前記出力電圧がエンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備える、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチング電源、増幅装置及び通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、増幅部の電源端子の電圧が、増幅部に入力される信号のエンベロープ電圧に追従するように、増幅部の電源端子に電力を供給する同期整流方式のスイッチング電源が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、スイッチング電源回路の出力電圧をエンベロープ信号又はサブキャリア信号の電圧に高精度に追従させることが難しい場合がある。
【0005】
本開示は、スイッチング電源回路の出力電圧をエンベロープ信号又はサブキャリア信号の電圧に高精度に追従させることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様によれば、
直列に接続された上アーム及び下アームを有するスイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路の出力電圧がエンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備えるスイッチング電源が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示のスイッチング電源は、スイッチング電源回路の出力電圧をエンベロープ信号又はサブキャリア信号の電圧に高精度に追従させる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態の通信装置の構成例を示す図である。
【
図2】降圧型スイッチング電源の構成例を示す回路図である。
【
図3】クロックCLK、クロックCLKbar及びインダクタ電流ILのタイムチャートである。
【
図4】デッドタイムを変更した場合の、クロックCLK、クロックCLKbar及びインダクタ電流ILのタイムチャートである。
【
図5】デッドタイム制御を実施するための構成を備えたスイッチング電源の構成図である。
【
図6】デッドタイム制御されたパルス幅変調信号(PWM信号)のタイミングチャートである。
【
図7】
図6を実現する論理回路の一例の構成図である。
【
図8】デッドタイムTdと入力信号3(エンベロープ信号又はサブキャリア信号)と出力電圧V
OUTとの関係を例示する波形図である。
【
図9】デッドタイム調整機能を説明するための図である。
【
図10】デッドタイム調整機能の効果を説明するための図である。
【
図13】サンプルホールド回路の一例の構成図である。
【
図14】第2実施形態の通信装置の構成例を示す図である。
【
図16】スイッチSW1,SW2をトランジスタで実現した場合のスイッチング電源回路の構成図である。
【
図17】第3実施形態の通信装置の構成例を示す図である。
【
図18】第4実施形態の通信装置の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
図1は、第1実施形態の通信装置の構成例を示す図である。
図1に示す通信装置1110は、増幅装置1120の増幅器6によって給電されるアンテナ9によって電波を送信する。通信装置1110の具体例として、無線端末装置(携帯電話、スマートフォン、IoT(Internet of Things)機器など)や、無線基地局などが挙げられる。
図1は、アンテナ9によって電波を送受信する通信装置1110において送信機能を担う部分を示している。通信装置1110は、増幅装置1120及びアンテナ9を備える。
【0011】
増幅装置1120は、被変調波1を増幅する。増幅装置1120によって増幅された被変調波1である被変調波18は、給電線8を介して、アンテナ9に供給される。これにより、被変調波1に対応する無線波がアンテナ9から送信される。増幅装置1120は、抽出器2、スイッチング電源17、定電圧電源14、リミッタ16及び高出力増幅器6を備える。
【0012】
入力端子から入力される被変調波1は、情報を含むデータ信号で変調されたキャリア信号(搬送波)である。被変調波1は、その振幅が変化する高周波信号である。被変調波1は、2つの方向に分岐される。第1の方向に分岐された被変調波1は、抽出器2へ供給される。第2の方向に分岐された被変調波1は、リミッタ16へ供給される。
【0013】
抽出器2は、被変調波1からエンベロープ(包絡線)を抽出し、抽出したエンベロープを表すエンベロープ信号を出力する。抽出器2は、直交周波数分割多重(OFDM)方式におけるサブキャリア信号を被変調波1から抽出して出力してもよい。エンベロープ信号又はサブキャリア信号を入力信号3と称する。
【0014】
スイッチング電源17は、定電圧電源14によって生成される定電源電圧で動作し、入力信号3の電圧に応じて変化する電圧を出力する。スイッチング電源17は、入力信号3が入力される端子と、入力信号3をサンプリングしてパルス波形に変換するためのサンプリング信号18aが入力される端子と、を有する。スイッチング電源17は、入力信号3とサンプリング信号18aによって、入力信号3に追従するような波形で出力電圧を変化させる。スイッチング電源17から出力される電圧は、電源線7を介して、高出力増幅器6の電源端子へ入力される。
【0015】
リミッタ16は、被変調波1の振幅を制限する回路である。リミッタ16によって被変調波1の振幅が所定の上限値で制限されることで、振幅が一定のキャリア信号15がリミッタ16から出力される。振幅が一定のキャリア信号15は、高出力増幅器6に入力される。これにより、一定の電力が高出力増幅器6に入力されるので、高出力増幅器6は、出力電力付加効率曲線の最大値付近で動作できる。その結果、高出力増幅器6は、高効率で動作できる。なお、リミッタ16は、後述の処理回路13(遅延回路又は等化器)に置換されてもよい。
【0016】
高出力増幅器6は、被変調波1(振幅が一定のキャリア信号15)を増幅して出力する。スイッチング電源17は、入力信号3を用いて高出力増幅器6の電源電圧を変調するので、被変調波1が増幅された被変調波18が高出力増幅器6から出力される。これにより、高出力増幅器6の電源電圧が一定の場合に比べて、高出力増幅器6の高効率化ができる。
【0017】
図2は、降圧型スイッチング電源の構成例を示す回路図である。スイッチング電源回路17aは、同期整流方式の降圧型スイッチング電源回路である。スイッチング電源回路17aは、上記のスイッチング電源17の出力段に設けられている。
【0018】
スイッチング電源回路17aは、直列に接続された上アーム19及び下アーム20と、上アーム19と下アーム20との間の接続点27に一端が接続されたインダクタ21と、インダクタ21の他端に一端が接続されたキャパシタ22と、を有する。スイッチング電源回路17aは、上記の定電圧電源14によって生成される定電源電圧VDCが入力される電源入力端子23と、出力電圧VOUTが出力される電源出力端子24と、を有する。スイッチング電源回路17aは、外部から供給されるクロックCLKbarが入力されるクロック端子26と、外部から供給されるクロックCLKが入力されるクロック端子25と、を有する。
【0019】
なお、クロックCLKbarとは、論理レベルがクロックCLKに対して反転した信号である。また、図面において、上線「 ̄」が付された「CLK」は、クロックCLKbarを表す。
【0020】
上アーム19は、外部から供給されるクロックCLKbarによってオン又はオフとなるスイッチSW1にダイオード19aが並列に接続された構成を有する。下アーム20は、外部から供給されるクロックCLKによってオン又はオフとなるスイッチSW2にダイオード20aが並列に接続された構成を有する。スイッチは、例えば、トランジスタである。
【0021】
上アーム19の一方の端子は、電源入力端子23に接続されている。上アーム19のスイッチSW1に並列に接続されているダイオード19aのカソードは、電源入力端子23に接続されている。上アーム19の他方の端子は、下アーム20の一方の端子と接続されている。この接続点を接続点27と記す。下アーム20のスイッチSW2に並列に接続されているダイオード20aのカソードは、接続点27に接続されている。下アーム20の他方の端子は、接地されている。
【0022】
インダクタ21の一方の端子は、接続点27に接続されている。インダクタ21の他方の端子は、キャパシタ22の一方の端子及び電源出力端子24に接続されている。キャパシタ22の他方の端子は、接地されている。インダクタ21は、インダクタンスLを有する。キャパシタ22は、キャパシタンスCを有する。
【0023】
図3は、下アーム20をスイッチングさせるクロックCLK、上アーム10をスイッチングさせるクロックCLKbar及びインダクタ21に流れるインダクタ電流ILのタイムチャートである。例えば、クロックCLKbarの論理レベルがハイレベルのとき(ハイレベルのパルス28のとき)、上アーム19はオンとなり、クロックCLKbarの論理レベルがローレベルのとき、上アーム19はオフとなる。一方、クロックCLKの論理レベルがハイレベルのとき(ハイレベルのパルス29のとき)、下アーム20はオンとなり、クロックCLKの論理レベルがローレベルのとき、下アーム20はオフとなる。
【0024】
クロックCLKbarの論理レベルがハイレベルのとき、一定の傾きで上昇するインダクタ電流ILがインダクタ21に流れる。クロックCLKとクロックCLKbarの切り替わり期間に、上アーム19及び下アーム20がオフしているデッドタイム30が設けられている。
【0025】
上アーム19のオン期間では、一定の傾きで上昇するインダクタ電流31が流れている。上アーム19がオンからオフに切り替わると、インダクタ21には磁束が形成されているために、スイッチのように瞬間的に電流を切ることができない。そのため、インダクタ21の中に形成されている磁束が消滅するまで、キャパシタ22と電源出力端子24に接続されている負荷で決まる時定数に従ってダイオード電流32がダイオード20aに流れようとする。つまり、上アーム19のオフから下アーム20のオンまでの第1デッドタイムでは、ダイオード電流32が、下アーム20に並列に接続されたダイオード20aに流れる。
【0026】
次に、下アーム20がオフからオンに切り替わると、ダイオード20aに流れるダイオード電流32は遮断され、一定の傾きで減少するインダクタ電流33が下アーム20のスイッチSW2経由で流れる。
【0027】
次に、下アーム20がオンからオフに切り替わると、下アーム20のスイッチSW2に流れる電流は遮断され、下アーム20のダイオード20aに流れるダイオード電流34が流れる。つまり、下アーム20のオフから上アーム19のオンまでの第2デッドタイムでは、ダイオード電流34が、下アーム20に並列に接続されたダイオード20aに流れる。
【0028】
一方、
図4は、デッドタイムを変更した場合の、下アーム20をスイッチングさせるクロックCLK、上アーム10をスイッチングさせるクロックCLKbar及びインダクタ21に流れるインダクタ電流ILのタイムチャートである。
図4に示すように、パルス28の各々の発生のタイミングでデッドタイムを変更することで、パルス28の長さは、例えばパルス35のように変更される。
【0029】
例えば、下アーム20のオフから上アーム19のオンまでの第1デッドタイムTd1が長くなれば、一定の傾きで減少するインダクタ電流ILが下アーム20のダイオード20a経由で流れる期間が長くなる。逆に、第1デッドタイムTd1が短くなれば、一定の傾きで減少するインダクタ電流ILが下アーム20のダイオード20a経由で流れる期間が短くなる。同様に、上アーム19のオフから下アーム20のオンまでの第2デッドタイムTd2が長くなれば、一定の傾きで減少するインダクタ電流ILが下アーム20のダイオード20a経由で流れる期間が長くなる。逆に、第2デッドタイムTd2が短くなれば、一定の傾きで減少するインダクタ電流ILが下アーム20のダイオード20a経由で流れる期間が短くなる。
【0030】
つまり、第1デッドタイムTd1と第2デッドタイムTd2の一方又は両方を調整することで、
図4に示すように、インダクタ電流ILの大きさを微調整できる。したがって、デッドタイムを調整する制御を行うことで、スイッチング電源17の出力電圧V
OUTを、入力されたエンベロープ信号又はサブキャリア信号に高精度に追従できる。
【0031】
図5は、デッドタイム制御を実施するための構成を備えたスイッチング電源の構成図である。
図5に示すスイッチング電源17は、デッドタイムを制御可能なパルス幅変調器2000と、パルス幅変調器2000によって生成されるクロックCLK及びクロックCLKbarに従って動作するスイッチング電源回路17aと、を備える。なお、スイッチング電源回路17aは、
図2に示す構成を有するが、
図5では、インダクタ21及びキャパシタ22の図示が省略されている。パルス幅変調器2000は、駆動回路201と調整回路301を備える。
【0032】
駆動回路201は、スイッチング電源回路17aの出力電圧VOUTがエンベロープ信号又はサブキャリア信号の電圧に追従するように、上アーム19及び下アーム20をオフさせるデッドタイムTdを挟んで上アーム19及び下アーム20を交互にオンさせる。エンベロープ信号又はサブキャリア信号は、上記の入力信号3に相当する。調整回路301は、エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号3の電圧に応じてデッドタイムTdを調整する。
【0033】
駆動回路201は、第1遅延回路38、コンパレータ37、第2遅延回路41、第3遅延回路42及び否定論理和回路48を備える。
【0034】
第1遅延回路38は、エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号3を遅延させた信号である遅延入力信号4を出力する。第1遅延回路38は無くてもよい。コンパレータ37は、遅延入力信号4をサンプリング信号18aと比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号49を出力する。第2遅延回路41は、第1制御電圧V(ΔT1)に応じた第1遅延量ΔT1で第1パルス信号49を遅延させた第2パルス信号51を出力し、上アーム19をスイッチングさせる。第2パルス信号51は、クロックCLKbarに対応する。第3遅延回路42は、第2制御電圧V(ΔT2)に応じた第2遅延量ΔT2で第2パルス信号51を遅延させた第3パルス信号50を出力する。否定論理和回路48は、第1パルス信号49と第3パルス信号50の否定論理和である第4パルス信号52を出力し、下アーム20をスイッチングさせる。第4パルス信号52は、クロックCLKに対応する。
【0035】
図6は、デッドタイム制御されたパルス幅変調信号(PWM信号)のタイミングチャートである。
図7は、
図6を実現する論理回路の一例の構成図である。PWM信号A(t)は、第1パルス信号49を含む信号である。PWM信号B(t)は、第2パルス信号51を含む信号である。PWM信号C(t)は、第3パルス信号50を含む信号である。PWM信号D(t)は、第4パルス信号52を含む信号である。
図6について、
図7を参照して説明する。
【0036】
第2遅延回路41は、第1制御電圧V(ΔT1)に応じた第1遅延量ΔT1で第1パルス信号49を遅延させた第2パルス信号51を出力する。PWM信号A(t)は、第1パルス信号49を含み、時刻t0から時刻t1までがローレベルであり、時刻t1から時刻t4までがハイレベルである。PWM信号B(t)は、第2パルス信号51を含み、時刻t0から時刻t2までがローレベルであり、時刻t2から時刻t5までがハイレベルである。
【0037】
第3遅延回路42は、第2制御電圧V(ΔT2)に応じた第2遅延量ΔT2で第2パルス信号51を遅延させた第3パルス信号50を出力する。PWM信号C(t)は、第3パルス信号50を含み、時刻t0から時刻t3までがローレベルであり、時刻t3から時刻t6までがハイレベルである。
【0038】
否定論理和回路48は、PWM信号A(t)とPWM信号C(t)の否定論理和であるPWM信号D(t)を出力する。PWM信号D(t)は、第4パルス信号52を含み、時刻t0から時刻t1までがハイレベルであり、時刻t1から時刻t6までがローレベルである。
【0039】
このように、PWM信号D(t)に含まれる第4パルス信号52とPWM信号B(t)に含まれる第2パルス信号51との間には、第1デッドタイムTd1(=第1遅延量ΔT1)と第2デッドタイムTd2(=第2遅延量ΔT2)が存在する。そして、第2遅延回路41は、第1制御電圧V(ΔT1)に応じて、第1デッドタイムTd1(=第1遅延量ΔT1)の長さを増減できる。第3遅延回路42は、第2制御電圧V(ΔT2)に応じて、第2デッドタイムTd2(=第2遅延量ΔT2)の長さを増減できる。
【0040】
図5において、調整回路301は、第4遅延回路43、波形反転回路44、第1サンプルホールド回路45、第2サンプルホールド回路46、第5遅延回路39及び第6遅延回路40を備える。
【0041】
第4遅延回路43は、サンプリング信号18aを遅延させた信号である遅延サンプリング信号18bを出力する。波形反転回路44は、入力信号3の上下を反転させた信号である反転信号5を生成する。第1サンプルホールド回路45は、反転信号5をサンプリング信号18aに従ってサンプリングして、反転信号5を量子化した信号である第1量子化信号S1を出力する。第2サンプルホールド回路46は、反転信号5を遅延サンプリング信号18bに従ってサンプリングして、反転信号5を量子化した信号である第2量子化信号S2を出力する。第5遅延回路39は、第1量子化信号S1を遅延させて、第1制御電圧V(ΔT1)を出力する。第6遅延回路40は、第2量子化信号S2を遅延させて、第2制御電圧V(ΔT2)を出力する。
【0042】
スイッチング電源17は、第1遅延回路38と第4遅延回路43と第5遅延回路39と第6遅延回路40の動作タイミングをスキュー制御信号47aに従って揃えるスキュー制御器47を備えてもよい。スキュー制御器47によるスキュー制御によって、第1制御電圧V(ΔT1)の誤差及び第2制御電圧V(ΔT2)の誤差が抑制される。これらの誤差の抑制により、スイッチング電源17の出力電圧VOUTを、入力されたエンベロープ信号又はサブキャリア信号の電圧に追従させる精度が向上する。
【0043】
図8は、デッドタイムTdと入力信号3(エンベロープ信号又はサブキャリア信号)と出力電圧V
OUTとの関係を例示する波形図である。
図8は、デッドタイムTd(この場合、第1デッドタイムTd1=第2デッドタイムTd2)を各値で固定したときの、入力信号3の電圧と出力電圧V
OUTとの追従度合いを示している。
【0044】
デッドタイムTdが比較的短い場合、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Va(この例では、約8ボルト)よりも高いとき、入力信号3の電圧が平均電圧Vaよりも低いときに比べて、出力電圧VOUTは、入力信号3の電圧に追従する精度が高い。逆に、デッドタイムTdが比較的長い場合、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも高いとき、入力信号3の電圧が平均電圧Vaよりも低いときに比べて、出力電圧VOUTは、入力信号3の電圧に追従する精度が低い。
【0045】
この点に着目し、調整回路301(
図5)は、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも高いとき、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも低いときに比べて、デッドタイムTdを短くするデッドタイム調整機能を有する。このデッドタイム調整機能により、出力電圧V
OUTを入力信号3の電圧に追従させる精度が向上する。
【0046】
調整回路301は、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも高いとき、入力信号3の電圧が高いほどデッドタイムTdを短くする。一方、調整回路301は、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも低いとき、入力信号3の電圧が低いほどデッドタイムTdを長くする。このようなデッドタイム調整機能により、出力電圧VOUTを入力信号3の電圧に追従させる精度がより向上する。
【0047】
デッドタイム調整機能は、入力信号3の電圧が高い(大きい)とき、デッドタイムTdを短く(小さく)し、入力信号3の電圧が低い(小さい)とき、デッドタイムTdを長く(大きく)する。つまり、入力信号3の電圧とデッドタイムTdとの大小を逆転の関係に制御することで、出力電圧V
OUTを入力信号3に追従させる精度が向上する。この逆転の関係を作るため、調整回路301は、波形反転回路44(
図5)を備える。
【0048】
図9は、デッドタイム調整機能を説明するための図である。入力信号3は、入力波形の上下を反転させる波形反転回路44により、反転信号5が生成される。第1サンプルホールド回路45(
図5)は、反転信号5をサンプリング信号18aに従ってサンプリングして、反転信号5を量子化した信号である第1量子化信号S1を出力する。第2サンプルホールド回路46(
図5)は、反転信号5を遅延サンプリング信号18bに従ってサンプリングして、反転信号5を量子化した信号である第2量子化信号S2を出力する。
【0049】
反転信号5がこのように量子化されることで、入力信号3の電圧が高くなるほど、第1量子化信号S1の値及び第2量子化信号S2の値が小さくなる。したがって、入力信号3の電圧が高くなるほど、第5遅延回路39(
図5)は、第1量子化信号S1の値に応じた遅延量に第1遅延量ΔT
1を小さくする第1制御電圧V(ΔT
1)を生成できる。同様に、入力信号3の電圧が高くなるほど、第6遅延回路40(
図5)は、第2量子化信号S2の値に応じた遅延量に第2遅延量ΔT
2を小さくする第2制御電圧V(ΔT
2)を生成できる。
【0050】
第2遅延回路41(
図5)は、第1制御電圧V(ΔT
1)に応じた第1遅延量ΔT
1で第1パルス信号49を遅延させるので、入力信号3の電圧が高くなるほど、第1デッドタイムTd1を短くできる。つまり、第1量子化信号S1が大きいほど、第1デッドタイムTd1は短くなる。同様に、第3遅延回路42(
図5)は、第2制御電圧V(ΔT
2)に応じた第2遅延量ΔT
2で第2パルス信号51を遅延させるので、入力信号3の電圧が高くなるほど、第2デッドタイムTd2を短くできる。つまり、第2量子化信号S2が大きいほど、第2デッドタイムTd2は短くなる。
【0051】
図10は、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも高いとき、入力信号3の電圧が入力信号3の平均電圧Vaよりも低いときに比べて、デッドタイムTdを短くするデッドタイム調整機能の効果を説明するための図である。
図10に示すように、出力電圧V
OUTを入力信号3の電圧に追従させる精度が向上する。
【0052】
図11は、遅延回路の一例の構成図である。上記の各遅延回路(第1遅延回路38、第2遅延回路41、第3遅延回路42、第4遅延回路43、第5遅延回路39及び第6遅延回路40)は、例えば、
図11に示す構成を有する。
【0053】
遅延回路は、抵抗60、電圧可変抵抗器69、容量61、直流電源62、抵抗63、スイッチ64、直流電源65、反転回路67、直流電源66及び増幅器68を有する。抵抗60は、遅延対象の入力信号が入力される入力端子の電位を安定させるため、当該入力端子とグランドとの間に接続されている。抵抗60は、抵抗値R1を有する。電圧可変抵抗器69は、可変の抵抗値R2を有する。電圧可変抵抗器69と容量61は、入力信号を遅延さえるCRフィルタである。容量61は、キャパシタンスC1を有する。スイッチ64は、遅延後の入力信号に従ってオン又はオフとなる。直流電源62と抵抗63とスイッチ64は、遅延後の入力信号を増幅するための回路である。直流電源65は、増幅された入力信号のローレベルを調整するための電圧源である。反転回路67は、増幅された入力信号のレベルを反転させて出力する。直流電源66は、その反転出力された信号のローレベルを調整するための電圧源である。増幅器68は、その反転出力された信号を所望の信号レベルまで増幅率Kで増幅して出力する。直流電源62,65,66は、それぞれ、一定の電圧V2,V3,V4を生成する。
【0054】
電圧可変抵抗器69は、外部から供給される制御電圧に応じて変化する抵抗値R2を有し、抵抗値R2に応じて入力信号の遅延量を決定する。電圧可変抵抗器69は、入力端子70、出力端子71、抵抗群72、複数のスイッチ74及び複数の抵抗73を有する。抵抗群72は、外部から供給される制御電圧を複数の電圧値a,b,c,dに分圧する抵抗R6,R5,R4,R10を有する。電圧可変抵抗器69は、スイッチ74と抵抗との複数の直列回路を入力端子70と出力端子71との間に並列に接続された構成を有する。複数のスイッチ74は、複数の電圧値a,b,c,dのうち対応する電圧値に応じてオン又はオフとなる。複数の抵抗73は、抵抗R9,R1,R2,R3,R8である。ここで、スイッチ74と抵抗73との並列数は、必要な遅延時間分解能に応じて決められる。
【0055】
図10は、波形反転回路の一例の構成図である。上記の波形反転回路44は、例えば、
図10に示す構成を有する。波形反転回路44は、入力端子75、出力端子76、ピークホールド回路77、バレイホールド回路78、差動増幅器79,80,83、抵抗81、可変抵抗82、増幅器84及び直流電圧源85を有する。
【0056】
波形反転処理対象の入力信号は、入力端子75から入力される。ピークホールド回路77は、入力端子75からの入力信号をピークホールドして出力する。ピークホールド回路77は、入力端子75にアノードが接続されたダイオードと、ダイオードのカソードとグランドとの間に接続された容量と、ダイオードのカソードとグランドとの間に接続された抵抗と、を含む。バレイホールド回路78は、入力端子75からの入力信号をバレイホールドして出力する。バレイホールド回路78は、入力端子75にカソードが接続されたダイオードと、ダイオードのアノードとグランドとの間に接続された容量と、ダイオードのアノードとグランドとの間に接続された抵抗と、を含む。
【0057】
差動増幅器79は、ピークホールド回路77の出力信号とバレイホールド回路78の出力信号との差信号を増幅して出力する。差動増幅器80は、入力信号とバレイホールド回路78の出力信号との差信号を増幅して出力する。差動増幅器80の出力端子は、抵抗81を介して、反転増幅用の差動増幅器83の反転入力端子と可変抵抗82の一端とに接続される。可変抵抗82は、差動増幅器83の反転入力端子と出力端子との間に接続される。差動増幅器83の日反転入力端子は、グランドに接続される。可変抵抗82の抵抗値は、差動増幅器79の出力に応じて変化する。増幅器84は、反転増幅用の差動増幅器83の出力信号を増減する。直流電圧源85は、増幅器84の出力信号のローレベルを調整するための電源である。
【0058】
図13は、サンプルホールド回路の一例の構成図である。上記の各サンプルホールド回路(第1サンプルホールド回路45及び第2サンプルホールド回路46)は、例えば、
図13に示す構成を有する。
【0059】
サンプルホールド回路は、アナログ入力端子86、量子化出力端子87、クロック入力端子88、スイッチ89及び容量90,91を有する。アナログ入力端子86は、サンプルホールドされるアナログ信号(反転信号5(
図5))が入力される。クロック入力端子88は、サンプリング信号18a(遅延サンプリング信号18b)が入力される。スイッチ89は、容量90の接続先をサンプリング信号18a(遅延サンプリング信号18b)に従って切り替えるシングルポール・ダブルスロー(SPDT)スイッチである。容量90は、アナログの反転信号5の電圧を一時的に保持する。容量91は、容量90に一時的に保持された電圧が転送されて保持する。量子化出力端子87は、容量91の電圧に対応する第1量子化信号S1(第2量子化信号S2)を出力する。
【0060】
図14は、第2実施形態の通信装置の構成例を示す図である。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。第2実施形態の通信装置1210は、キャリア増幅器12を備え且つリミッタ16に代えて処理回路13(遅延回路又は等化器)を備える点で、第1実施形態の通信装置1110(
図1)と相違する。
図14において、通信装置1210は、増幅装置1220及びアンテナ9を備える。増幅装置1220は、抽出器2、スイッチング電源17、定電圧電源14、処理回路13、キャリア増幅器12及び高出力増幅器6を備える。
【0061】
処理回路13は、被変調波1を遅延させる遅延処理を実行する遅延回路、又は、被変調波1の周波数特性を調整する等化処理を実行する等化器である。高出力増幅器6は、処理回路13により遅延処理又は等化処理が施された被変調波1を増幅して出力する。キャリア増幅器12は、処理回路13により遅延処理又は等化処理が施された被変調波1からキャリア信号15を抽出して出力する。キャリア増幅器12は、キャリア信号15を増幅でき、所望の振幅を有するキャリア信号15を出力できればよい。なお、処理回路13は、上述のリミッタ16に置換されてもよい。
【0062】
スイッチング電源17は、上記のサンプリング信号18aに代えて、キャリア信号15をサンプリング信号として利用する。この場合、コンパレータ37(
図5)は、遅延入力信号4をキャリア信号15と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号49を出力する。
【0063】
図15は、キャリア増幅器の一例の構成図である。キャリア増幅器12は、入力端子103-1、出力端子102-2、定電圧源103-3、容量103-11、容量103-4及びインダクタ103-5を有する。また、キャリア増幅器12は、抵抗103-13、定電圧源103-12、トランジスタ103-6、インダクタ103-7、容量103-8、インダクタ103-9及び容量103-10を有する。
【0064】
入力端子103-1は、処理回路13による処理後の被変調波1が入力される。出力端子103-2は、被変調波1に含まれるキャリア信号15が出力される。定電圧源103―3は、定電圧を生成する。容量103-11は、処理回路13による処理後の被変調波1に含まれる直流入力をブロックする。容量103-4及びインダクタ103-5は、入力信号を整合する整合回路用である。抵抗103-13及び定電圧源103-12は、ゲートバイアス用である。トランジスタ103-6は、入力信号の増幅用である。インダクタ103-7は、交流信号のブロック用である。容量103-8及びインダクタ103-9は、出力信号を整合する整合回路用である。容量103-10は、出力端子103-2から出力されるキャリア信号15に含まれる直流出力をブロックする。
【0065】
増幅用のトランジスタ103-6は、例えば電界効果型トランジスタにより形成された素子であり、より具体的には、高電子移動度トランジスタ(High Electron Mobility Transistor:HEMT)により形成された素子である。トランジスタ103-6の最大発振周波数fmaxは、キャリア周波数の5倍程度(例えば、4倍以上6倍以下)であれば、十分な利得を備えたキャリア増幅器12が得られる。
【0066】
図16は、スイッチSW1,SW2(
図2)をトランジスタで実現した場合のスイッチング電源回路の構成図である。
図16は、スイッチSW1に対応するトランジスタ115とスイッチSW2に対応するトランジスタ116を動作させるための周辺回路を例示する。周辺回路の構成は、これに限られない。なお、
図16では、インダクタ21及びキャパシタ22の図示が省略されている。
【0067】
図16において、スイッチング電源回路17aは、反転クロック入力端子104、クロック入力端子105、レベルシフト回路107、制御端子106、ドライバ増幅器113、容量114、ダイオード112及び電源端子111を有する。また、スイッチング電源回路17aは、トランジスタ115、ダイオード117、ドライバ増幅器109、電源端子108、定電圧源110、トランジスタ116、ダイオード118及び出力端子119を有する。
【0068】
反転クロック入力端子は、クロックCLKbarが入力される。レベルシフト回路107は、クロックCLKbarの振幅を、トランジスタ115を駆動するのに適した電圧に変換し、変換後のクロックCLKbarをドライバ増幅器113に供給する。制御端子106は、レベルシフト回路107の電位を制御するための制御電圧が入力される端子である。ドライバ増幅器113は、トランジスタ115を駆動するゲートドライバである。容量114は、ドライバ増幅器113の正電源端子と負電源端子との間に接続されている。ダイオード112は、ドライバ増幅器113の正電源端子にカソード電極が接続され、定電源電圧VDCが入力される電源端子111にアノード電極が接続されている。容量114及びダイオード112は、ドライバ増幅器113の正電源端子の電圧を生成するブートストラップ回路として機能する。トランジスタ115は、Nチャネル型のMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect transistor)である。ダイオード117は、トランジスタ115に逆並列に接続されている。
【0069】
クロック入力端子105は、クロックCLKが入力される。ドライバ増幅器109は、クロックCLKを増幅してトランジスタ116を駆動するゲートドライバである。電源端子108は、ドライバ増幅器109の正電源電圧として定電源電圧V
DCが入力される。定電圧源110は、ドライバ増幅器109の負電源電圧を生成する。トランジスタ116は、Nチャネル型のMOSFETである。ダイオード118は、トランジスタ116に逆並列に接続されている。トランジスタ115とトランジスタ116との間の接続点であるノードM2は、出力端子119に接続される。出力端子119は、
図2に示すLC回路(インダクタ21及びキャパシタ22)が接続される。
【0070】
図16において、クロックCLKの論理レベルがトランジスタ116をオンとするレベルで、かつ、クロックCLKbarの論理レベルがトランジスタ115をオフとするレベルであるとき、ノードM2における電位は、ローレベルである。このため、容量114において、ノードM2に接続される一方の電極の電位は、ローレベルに達し、ダイオード112に接続される他方の電極の電位は、容量114に電荷がチャージされていないために瞬間的にローレベルと同等のレベルになる。その結果、容量114は、電源端子111に接続された定電圧電源によってダイオード112を経由して充電され、容量114の両端の電位差は、定電圧電源の定電源電圧V
DCからダイオード112の順方向電圧を差し引いた値になる。これによって、トランジスタ116がオン状態からオフ状態に遷移してノードM2の電位が上昇しても、ドライバ増幅器113の正電源端子と負電源端子との間の電位差は、トランジスタ115を駆動するのに十分なレベルが確保される。
【0071】
次に、トランジスタ116をオフとするレベルのクロックCLKがドライバ増幅器109に入力されると、ドライバ増幅器109の出力は、オンからオフへと遷移する。これによって、トランジスタ116はオン状態からオフ状態へと遷移し、トランジスタ115とトランジスタ116の両方はオフ状態になるので、第1デッドタイム期間へと突入する。第1デッドタイム期間では、ダイオード118及び出力端子119を経由してLC回路(インダクタ21及びキャパシタ22)に流れる還流電流が発生する。
【0072】
次に、トランジスタ115をオンとするレベルのクロックCLKbarがレベルシフト回路107を通じてドライバ増幅器113に入力されると、ドライバ増幅器113によりゲート駆動されたトランジスタ115は、オン状態になる。これにより、電源端子111に接続された定電圧電源から流入する電流は、トランジスタ115及び出力端子119を経由してLC回路(インダクタ21及びキャパシタ22)に流れる。
【0073】
次に、トランジスタ115をオフとするレベルのクロックCLKbarがレベルシフト回路107を通じてドライバ増幅器113に入力されると、ドライバ増幅器113の出力は、オンからオフへと遷移する。これによって、トランジスタ115はオン状態からオフ状態へと遷移し、トランジスタ115とトランジスタ116の両方はオフ状態になるので、第2デッドタイム期間へと突入する。第2デッドタイム期間では、ダイオード118及び出力端子119を経由してLC回路(インダクタ21及びキャパシタ22)に流れる還流電流が発生する。
【0074】
図17は、第3実施形態の通信装置の構成例を示す図である。第3実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。第3実施形態の通信装置1310は、並列に接続された複数のスイッチング電源及び共通のサンプリング信号18aが入力される複数の移相器を備える点で、第1実施形態の通信装置1110(
図1)及び第2実施形態の通信装置1210(
図14)と相違する。
図17において、通信装置1310は、増幅装置1320及びアンテナ9を備える。増幅装置1320は、スイッチング電源127、抽出器2、定電圧電源14、処理回路13及び高出力増幅器6を備える。スイッチング電源127は、複数のスイッチング電源125-1,125-2,125-3,・・・,125-N及び複数の移相器124-1,124-2,124-3,・・・,124-Nを備える。Nは、2以上の整数を表す。
【0075】
増幅装置1320は、並列に接続された複数のスイッチング電源を、位相が相違する複数のサンプリング信号を用いて駆動し、各スイッチング電源の出力を合成することで、各スイッチング電源の出力電圧に含まれるリプル電圧を低減する。
【0076】
複数のスイッチング電源125-1~125-Nは、それぞれ、
図5に示すスイッチング電源17と同じ構成を有する電源ユニットである。複数の移相器124-1~124-Nは、それぞれ、共通のサンプリング信号18aから、位相が相違する複数のサンプリング信号を生成する。
【0077】
0度から360度までの位相が等分配された複数のサンプリング信号が、複数の移相器124-1~124-Nによって生成される。例えばN=4のとき、サンプリング信号18aに対して位相が0度、90度、180度、270度シフトした4つのサンプリング信号が、4つの移相器124-1~124-4によって生成される。
【0078】
なお、移相器の個数Nは、偶数であり、N個の移相器は、位相差が180度異なるサンプリング信号を生成する少なくとも2つの移相器を含むとする。移相器124-1~124-N/2は、位相が0度以上180度未満の少なくとも一つのサンプリング信号を生成し、移相器124-N/2+1~124-Nは、位相が180度以上360度未満の少なくとも一つのサンプリング信号を生成する。
【0079】
複数のスイッチング電源125-1~125-Nの各々のコンパレータ37(
図5)は、入力信号3を、位相が相違する複数のサンプリング信号のうち対応するサンプリング信号と比較して、パルス幅変調信号である第1パルス信号49を出力する。
【0080】
図18は、第4実施形態の通信装置の構成例を示す図である。第4実施形態において、上述の実施形態と同様の構成、作用及び効果についての説明は、上述の説明を援用することで省略又は簡略する。第4実施形態の通信装置1410は、複数のスイッチング電源137,139、第7遅延回路135、第8遅延回路136、信号増幅器138、第1合成器141及び第2合成器143を備える点で、上述の実施形態の通信装置と相違する。
図18において、通信装置1410は、増幅装置1420及びアンテナ9を備える。増幅装置1420は、スイッチング電源128、抽出器2、定電圧電源14、処理回路13及び高出力増幅器6を備える。スイッチング電源128は、複数のスイッチング電源137,139、第7遅延回路135、第8遅延回路136、第9遅延回路142、信号増幅器138、スキュー制御器132、第1合成器141及び第2合成器143を備える。
【0081】
増幅装置1320は、デッドタイム制御可能なスイッチング電源137の出力と入力信号3を増幅可能な信号増幅器138の出力との差分信号を抽出し、その差分信号を、デッドタイム制御可能なスイッチング電源139の出力と合成して出力する。これにより、各スイッチング電源の出力電圧に含まれるリプル電圧が低減する。
【0082】
複数のスイッチング電源137は、
図5に示すスイッチング電源17と同じ構成を有する第1電源ユニットである。複数のスイッチング電源139は、
図5に示すスイッチング電源17と同じ構成を有する第2電源ユニットである。スキュー制御器132は、第7遅延回路135と第8遅延回路136と第9遅延回路142の動作タイミングを揃える。
【0083】
スイッチング電源137は、入力信号3とサンプリング信号18aによって、入力信号3に追従するような波形で変化する電圧を出力する。第7遅延回路135は、サンプリング信号18aを遅延させた第2遅延サンプリング信号18cを出力する。第8遅延回路136は、入力信号3を遅延させた第2遅延入力信号3cを出力する。スイッチング電源139は、第2遅延入力信号3cと第2遅延サンプリング信号18cによって、第2遅延入力信号3cに追従するような波形で変化する電圧を出力する。信号増幅器」138は、入力信号3を増幅して出力する。
【0084】
第1合成器141は、入力信号3及びサンプリング信号18aが入力されるスイッチング電源137の出力電圧を信号増幅器138の出力電圧と合成する。スイッチング電源137の入力信号3に対する出力電圧の大きさを決める利得と、信号増幅器138の利得と、スイッチング電源139の第2遅延入力信号3cに対する出力電圧の大きさを決める利得とは、互いに同じ値に設定されている。また、第1合成器141での加算において、スイッチング電源137からの出力電圧の符号を正とし、信号増幅器138からの出力電圧の符号を負とする。信号増幅器138の出力部に、-1の利得を有する増幅器を配置することで、第1合成器141は、その増幅器の出力を正の符号として加算処理してもよい。
【0085】
第1合成器141は、スイッチング電源137からの出力電圧と信号増幅器138からの出力電圧との差分信号を出力する。その差分信号は、スイッチング電源139からの出力電圧と第2合成器143にて合成される。このとき、差分信号の符号を正、スイッチング電源139からの出力電圧の符号を正として、第2合成器143は、加算処理する。
【0086】
スイッチング電源137からの出力電圧と信号増幅器138からの出力電圧との差分信号は、スイッチング電源137からの出力電圧の不足又は過剰成分を表す。そのため、差分信号が、スイッチング電源137と構成が同一のスイッチング電源139からの出力電圧と加算されることによって、第2合成器143の出力電圧は、入力信号3に高精度に追従する。
【0087】
仮に、第1合成器141の出力が0であれば、スイッチング電源137からの出力電圧と信号増幅器138からの出力電圧は、完全に一致している。そのため、第2合成器143は、スイッチング電源137と同一の構成を有するスイッチング電源139からの出力電圧のみを出力する。
【0088】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0089】
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
直列に接続された上アーム及び下アームを有するスイッチング電源回路と、
前記スイッチング電源回路の出力電圧がエンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備える、スイッチング電源。
(付記2)
前記調整回路は、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも高いとき、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも低いときに比べて、前記デッドタイムを短くする、付記1に記載のスイッチング電源。
(付記3)
前記調整回路は、前記入力信号の上下を反転させた信号である反転信号を生成し、前記反転信号を量子化した信号である量子化信号を生成し、前記量子化信号が大きいほど前記デッドタイムを短くする、付記2に記載のスイッチング電源。
(付記4)
前記駆動回路は、
前記入力信号を遅延させた信号である遅延入力信号を出力する第1遅延回路と、
前記遅延入力信号をサンプリング信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータと、
第1制御電圧に応じた第1遅延量で前記第1パルス信号を遅延させた第2パルス信号を出力し、前記上アームをスイッチングさせる第2遅延回路と、
第2制御電圧に応じた第2遅延量で前記第2パルス信号を遅延させた第3パルス信号を出力する第3遅延回路と、
前記第1パルス信号と前記第3パルス信号の否定論理和である第4パルス信号を出力し、前記下アームをスイッチングさせる否定論理和回路と、を有し、
前記調整回路は、
前記サンプリング信号を遅延させた信号である遅延サンプリング信号を出力する第4遅延回路と、
前記反転信号を前記サンプリング信号に従ってサンプリングして第1量子化信号を出力する第1サンプルホールド回路と、
前記反転信号を前記遅延サンプリング信号に従ってサンプリングして第2量子化信号を出力する第2サンプルホールド回路と、
前記第1量子化信号を遅延させて前記第1制御電圧を出力する第5遅延回路と、
前記第2量子化信号を遅延させて前記第2制御電圧を出力する第6遅延回路と、を有する、付記3に記載のスイッチング電源。
(付記5)
前記第1遅延回路と前記第4遅延回路と前記第5遅延回路と前記第6遅延回路の動作タイミングを揃えるスキュー制御器を備える、付記4に記載のスイッチング電源。
(付記6)
前記調整回路は、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも高いとき、前記入力信号の電圧が高いほど前記デッドタイムを短くし、前記入力信号の電圧が前記入力信号の平均電圧よりも低いとき、前記入力信号の電圧が低いほど前記デッドタイムを長くする。付記2から5のいずれか一つに記載のスイッチング電源。
(付記7)
前記スイッチング電源回路と前記駆動回路と前記調整回路とをそれぞれ有する複数の電源ユニットと、
位相が相違する複数のサンプリング信号を生成する複数の移相器と、を備え、
前記駆動回路は、前記入力信号を前記複数のサンプリング信号のうち対応するサンプリング信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータを有する、付記1から6のいずれか一つに記載のスイッチング電源。
(付記8)
前記スイッチング電源回路と前記駆動回路と前記調整回路を有する第1電源ユニットと、
前記スイッチング電源回路と前記駆動回路と前記調整回路を有する第2電源ユニットと、
サンプリング信号を遅延させた第2遅延サンプリング信号を出力する第7遅延回路と、
前記入力信号を遅延させた第2遅延入力信号を出力する第8遅延回路と、
前記入力信号を増幅する信号増幅器と、
前記入力信号及び前記サンプリング信号が入力される前記第1電源ユニットの前記出力電圧を前記信号増幅器の出力電圧と合成する第1合成器と、
前記第2遅延入力信号及び前記第2遅延サンプリング信号が入力される前記第2電源ユニットの前記出力電圧を、前記第1合成器の出力電圧と合成する第2合成器と、を備える、付記1から6のいずれか一つに記載のスイッチング電源。
(付記9)
直列に接続された上アーム及び下アームを有するスイッチング電源回路と、
エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号を遅延させた信号である遅延入力信号を出力する第1遅延回路と、
前記遅延入力信号をサンプリング信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータと、
第1制御電圧に応じた第1遅延量で前記第1パルス信号を遅延させた第2パルス信号を出力し、前記上アームをスイッチングさせる第2遅延回路と、
第2制御電圧に応じた第2遅延量で前記第2パルス信号を遅延させた第3パルス信号を出力する第3遅延回路と、
前記第1パルス信号と前記第3パルス信号の否定論理和である第4パルス信号を出力し、前記下アームをスイッチングさせる否定論理和回路と、
前記サンプリング信号を遅延させた信号である遅延サンプリング信号を出力する第4遅延回路と、
前記入力信号の上下を反転させた信号である反転信号を前記サンプリング信号に従ってサンプリングして第1量子化信号を出力する第1サンプルホールド回路と、
前記反転信号を前記遅延サンプリング信号に従ってサンプリングして第2量子化信号を出力する第2サンプルホールド回路と、
前記第1量子化信号を遅延させて前記第1制御電圧を出力する第5遅延回路と、
前記第2量子化信号を遅延させて前記第2制御電圧を出力する第6遅延回路と、を備える、スイッチング電源。
(付記10)
エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号を被変調波から抽出する抽出器と、
前記被変調波を増幅する増幅器と、
直列に接続された上アーム及び下アームを有し、前記増幅器の電源電圧である出力電圧を生成するスイッチング電源回路と、
前記出力電圧が前記入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備える、増幅装置。
(付記11)
前記被変調波を遅延させる又は等化する処理回路と、
前記処理回路により遅延処理又は等化処理が施された前記被変調波からキャリア信号を抽出するキャリア増幅器と、を備え、
前記駆動回路は、前記入力信号を前記キャリア信号と比較してパルス幅変調信号である第1パルス信号を出力するコンパレータを有する、付記10に記載の増幅装置
(付記12)
エンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号を被変調波から抽出する抽出器と、
前記被変調波を増幅する増幅器と、
前記増幅器によって給電されるアンテナと、
直列に接続された上アーム及び下アームを有し、前記増幅器の電源電圧である出力電圧を生成するスイッチング電源回路と、
前記出力電圧がエンベロープ信号又はサブキャリア信号である入力信号の電圧に追従するように、前記上アーム及び前記下アームをオフさせるデッドタイムを挟んで前記上アーム及び前記下アームを交互にオンさせる駆動回路と、
前記入力信号の電圧に応じて前記デッドタイムを調整する調整回路と、を備える、通信装置。
【符号の説明】
【0090】
1 被変調波
2 抽出器
3 入力信号
3c 第2遅延入力信号
4 遅延入力信号
5 反転信号
6 高出力増幅器
7 電源線
8 給電線
9 アンテナ
12 キャリア増幅器
13 処理回路
14 定電圧電源
15 キャリア信号
16 リミッタ
17 スイッチング電源
17a スイッチング電源回路
18 被変調波
18a サンプリング信号
18b 遅延サンプリング信号
18c 第2遅延サンプリング信号
19 上アーム
20 下アーム
37 コンパレータ
38 第1遅延回路
39 第5遅延回路
40 第6遅延回路
41 第2遅延回路
42 第3遅延回路
43 第4遅延回路
44 波形反転回路
45 第1サンプルホールド回路
46 第2サンプルホールド回路
47 スキュー制御器
48 否定論理和回路
124-1~124-N 移相器
125-1~125-N スイッチング電源
127,128 スイッチング電源
132 スキュー制御器
135 第7遅延回路
136 第8遅延回路
137,139 スイッチング電源
138 信号増幅器
141 第1合成器
142 第9遅延回路
143 第2合成器
201 駆動回路
301 調整回路
1110,1210,1310,1410 通信装置
1120,1220,1320,1420 増幅装置
2000 パルス幅変調器