(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078711
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】漏油検知装置、漏油検知システム及び漏油検知方法
(51)【国際特許分類】
G01M 3/38 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
G01M3/38 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191206
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000222037
【氏名又は名称】東北電力株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】辻 聡
(72)【発明者】
【氏名】小野 善将
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 茂央
(72)【発明者】
【氏名】矢口 暁久
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA01
2G067BB15
2G067CC03
2G067DD11
(57)【要約】
【課題】漏油を検知する精度を向上させることができる漏油検知装置、漏油検知システム及び漏油検知方法を提供する。
【解決手段】漏油検知装置20は、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部21と、第1時刻の点群データにおける輝度値と、第1時刻よりも後の第2時刻の点群データにおける輝度値と、の差の輝度差を算出し、輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する領域抽出部22と、輝度低下領域において、少なくとも第2時刻よりも後の第3時刻の輝度値の変化量を抽出する輝度変化抽出部23と、輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定する漏油判定部24と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部と、
第1時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、前記第1時刻よりも後の第2時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、の差の輝度差を算出し、前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する領域抽出部と、
前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出する輝度変化抽出部と、
前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定する漏油判定部と、
を備えた漏油検知装置。
【請求項2】
前記輝度値の変化量が所定の変化量未満の場合には、前記漏油判定部は、前記輝度低下領域に前記漏油が発生したと判定する、
請求項1に記載の漏油検知装置。
【請求項3】
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部と、
前記点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の前記点群データを抽出するコンクリート領域抽出部と、
乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データを保持する乾燥時データ保持部と、
前記乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、前記コンクリート領域抽出部が抽出した前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、の差である前記輝度値の低下量を算出する輝度値低下量算出部と、
前記輝度値の前記低下量が所定の閾値以上を示す場合に、漏油の発生を判定する漏油判定部と、
を備えた漏油検知装置。
【請求項4】
前記漏油判定部は、前記輝度値の前記低下量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記コンクリート領域が水濡れ状態か判定する、
請求項3に記載の漏油検知装置。
【請求項5】
前記輝度値低下量算出部は、前記コンクリート領域が水濡れ状態の場合に、前記輝度値の前記低下量の分布を抽出し、前記分布の平均値及び分散のうち少なくともいずれかを算出する、
請求項4に記載の漏油検知装置。
【請求項6】
前記漏油判定部は、前記平均値と所定の平均値との比較、及び、前記分散と所定の分散との比較の少なくともいずれかにより、漏油の発生を判定する、
請求項5に記載の漏油検知装置。
【請求項7】
前記所定の閾値は、前記コンクリート領域に油が付着した場合、前記コンクリート領域に水が付着した場合、前記水が付着した前記コンクリート領域に前記油が付着した場合、及び、前記油が付着した前記コンクリート領域に前記水が付着した場合、の各場合における前記輝度値の前記低下量の分布に基づいて算出される、
請求項3~6のいずれか1項に記載の漏油検知装置。
【請求項8】
前記測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして取得する点群データ取得装置と、
請求項1~6のいずれか一項に記載の漏油検知装置と、
を備えた漏油検知システム。
【請求項9】
第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして入力させ、
前記第1時刻よりも後の第2時刻において、前記測定対象をスキャンした前記ビームの前記反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の前記座標値及び前記輝度値を含む複数の前記データを第2の点群データとして入力させ、
前記第1の点群データにおける前記輝度値と、前記第2の点群データにおける前記輝度値との差の輝度差を算出させ、
前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出させ、
前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出させ、
前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定させる、
漏油検知方法。
【請求項10】
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力させ、
前記点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の前記点群データを抽出させ、
乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データを入力させ、
前記乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、抽出された前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、の差である前記輝度値の低下量を算出させ、
前記輝度値の前記低下量が所定の閾値以上を示す場合に、漏油の発生を判定させる、
漏油検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漏油検知装置、漏油検知システム及び漏油検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
施設内の機器の冷却、絶縁等のために機械油等の油が使用される設備がある。機器の老朽化及び劣化等によって、油が通る配管の継ぎ目や、油が充填された容器の取り付け部分から漏油する場合がある。漏油が発生すると、設備機器の動作不良を発生させる他、地面の土壌汚染につながるため、漏油は、重要度の高い検知対象である。
【0003】
特許文献1には、絶縁油が吸収する波長帯の赤外線レーザを照射し、反射光の受光強度が低下した場合に、漏油の発生を検知する装置が記載されている。
【0004】
特許文献2には、油に照射すると励起光が生ずる波長の光を照射し、その励起光をカメラでとらえることで漏油の発生を検知する装置が記載されている。
【0005】
特許文献3には、可視光カメラ及び照度センサを用いて、輝度値の平常時との変化に基づいて天候を判定し、天候を点検スケジュールに反映することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5946993号公報
【特許文献2】特許第5351081号公報
【特許文献3】特開平10-162287号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3では、例えば、雨水等の水が漏油に与える影響を考慮しておらず、雨水等の水が存在する場合の漏油を検知する精度は低下する。
【0008】
本開示の目的は、このような課題を解決するためになされたものであり、漏油を検知する精度を向上させることができる漏油検知装置、漏油検知システム及び漏油検知方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示に係る漏油検知装置は、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部と、第1時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、前記第1時刻よりも後の第2時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、の差の輝度差を算出し、前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する領域抽出部と、前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出する輝度変化抽出部と、前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定する漏油判定部と、を備える。
【0010】
また、本開示に係る漏油検知システムは、前記測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして取得する点群データ取得装置と、上記に記載の漏油検知装置と、を備える。
【0011】
また、本開示に係る漏油検知方法は、第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして入力させ、前記第1時刻よりも後の第2時刻において、前記測定対象をスキャンした前記ビームの前記反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の前記座標値及び前記輝度値を含む複数の前記データを第2の点群データとして入力させ、前記第1の点群データにおける前記輝度値と、前記第2の点群データにおける前記輝度値との差の輝度差を算出させ、前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出させ、前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出させ、前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定させる。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、漏油を検知する精度を向上させることができる漏油検知装置、漏油検知システム及び漏油検知方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態1に係る漏油検知装置が漏油を検知する原理を例示した図である。
【
図2】実施形態1に係る漏油検知装置を例示したブロック図である。
【
図3】実施形態1に係る漏油検知装置において、点群データを取得するLiDARを例示した図である。
【
図4】実施形態1に係る漏油検知方法を例示したフローチャート図である。
【
図5】実施形態2に係る漏油検知装置を例示したブロック図である。
【
図6】実施形態2に係る漏油検知方法を例示したフローチャート図である。
【
図7】実施形態3に係る漏油検知装置を例示したブロック図である。
【
図8】実施形態3に係る漏油検知装置において、輝度値低下量算出部が算出した輝度値の低下量を例示したヒストグラムであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図9】実施形態3に係る漏油検知装置において、コンクリートの基礎部分に油が付着した場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図10】実施形態3に係る漏油検知装置において、コンクリートの基礎部分に水が付着した場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図11】実施形態3に係る漏油検知装置において、油が付着した基礎部分に水が付着した場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図12】実施形態3に係る漏油検知装置において、油が付着した基礎部分に水が付着し、さらに油が垂れ続ける場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図13】実施形態3に係る漏油検知装置において、水が付着した基礎部分に油が垂れ続ける場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図14】実施形態3に係る漏油検知装置において、輝度値の低下量の分布を例示したヒストグラムであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
【
図15】実施形態3に係る漏油検知方法の前段の処理方法を例示したフローチャート図である。
【
図16】実施形態3に係る漏油検知方法を例示したフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、実施形態について、図面を参照しながら説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0015】
(実施形態1)
実施形態1に係る漏油検知装置を説明する。まず、漏油検知装置における漏油検知の原理を説明する。
図1は、実施形態1に係る漏油検知装置が漏油を検知する原理を例示した図である。
【0016】
図1に示すように、鉄板P1の表面に油を塗布した油塗布領域O1を形成させた場合に、鉄板P1の表面の点群データをLiDAR(Light Detection and Ranging)等の光センシング技術を用いた測定により取得する。例えば、鉄板P1の表面をビームでスキャンした反射光を受光することにより、鉄板P1の表面上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして取得する。鉄板P1の表面の油塗布領域O1では、点群データにおける輝度値は低下する。
【0017】
このように、点群データにおいて、油塗布領域O1の輝度値は、周囲の領域の輝度値よりも低下する。本実施形態の漏油検知装置は、点群データにおける輝度値の低下した輝度低下領域を抽出することにより、漏油を検知する。
【0018】
図2は、実施形態1に係る漏油検知装置を例示したブロック図である。
図2に示すように、漏油検知装置10は、点群データ入力部11と、領域抽出部12と、領域入力部13と、漏油判定部14と、判定結果出力部15と、を備えている。点群データ入力部11、領域抽出部12、領域入力部13、漏油判定部14及び判定結果出力部15は、それぞれ、点群データ入力手段、領域抽出手段、領域入力手段、漏油判定手段及び判定結果出力手段としての機能を有している。
【0019】
漏油検知装置10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、インターフェイス部(I/F)等からなるマイクロコンピュータを含むハードウェアで構成されてもよい。CPU等は、領域抽出部12、漏油判定部14として機能し、データ抽出処理、判定処理及び制御処理等を行う。ROMは、CPUによって実行されるデータ抽出プログラム、判定プログラム及び制御プログラム等を記憶する。RAMは、点群データ等の各種のデータを記憶する。インターフェイス部(I/F)は、外部と信号の入出力を行う。CPU、ROM、RAM及びインターフェイス部は、データバスなどを介して相互に接続されている。以下で、漏油検知装置10の各構成を説明する。
【0020】
<点群データ入力部>
点群データ入力部11には、点群データが入力される。点群データは、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを有している。測定対象は、例えば、監視対象とされる施設等である。点群データは、例えば、LiDARにより取得される。
【0021】
図3は、実施形態1に係る漏油検知装置10において、点群データを取得するLiDARを例示した図である。
図3に示すように、LiDAR40は、測定対象OBに対してレーザ光等のビームLBをスキャンさせることにより、測定対象OBの形状を点群データとして取得することができる。よって、LiDAR40は、測定対象OBまでの距離及び測定対象OBの形状を測定することができる。点群データは、少なくとも座標値及び輝度値を含む。
【0022】
例えば、ToF(Time of Flight)方式のLiDAR40の原理は、以下のとおりである。すなわち、LiDAR40は、レーザ光等のビームLBを発光する発光部EMと、ビームLBが測定対象OBで反射した反射光RBを検出する検出部DEと、を備えている。LiDAR40は、ビームLBを所定の画角で測定対象OBに対してスキャンさせながら、測定対象OBで反射した反射光RBを検出する。そして、LiDAR40は、ビームLBが測定対象OBに到達するまでの時間t1と、反射光RBが検出部DEに到達するまでの時間t2を用いて、測定対象OBまでの距離Dを、D=(t2-t1)/2×(光の速さ)から算出する。これにより、LiDAR40は、スキャンした範囲におけるスキャンデータとして、測定対象OBまでの距離を含んだ座標値及び輝度値を有する点群データを取得することができる。
【0023】
点群データ入力部11には、LiDAR等の点群データ取得手段から、直接、点群データが入力されてもよいし、点群データを保持する点群データ保持手段から点群データが入力されてもよい。例えば、点群データ入力部11には、第1時刻に取得された第1の点群データ及び第2時刻に取得された第2の点群データが入力されてもよい。ここで、第2時刻は、第1時刻よりも後の時刻である。
【0024】
<領域抽出部>
領域抽出部12は、点群データ入力部11から点群データを入力される。領域抽出部12は、入力された点群データにおいて、輝度値が低下した輝度低下領域を抽出する。具体的には、領域抽出部12は、第1時刻よりも後の時刻を第2時刻とした場合に、第1時刻の点群データにおける輝度値と、第2時刻の点群データにおける輝度値と、の差の輝度差を算出する。そして、領域抽出部12は、輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する。
【0025】
前述したように、油塗布領域O1において、点群データにおける輝度値は低下する。よって、油塗布により低下する輝度差の大きさを予め所定の閾値に設定する。これにより、領域抽出部12は、漏油が発生した可能性がある領域を輝度低下領域として抽出する。領域抽出部12は、抽出した輝度低下領域の情報を漏油判定部14に出力する。
【0026】
<領域入力部>
領域入力部13には、測定対象のうち、漏油が発生する領域の候補とされる候補領域が入力される。候補領域は、あらかじめ漏油が発生しそうな箇所として指定された領域である。候補領域は、例えば、油が充填されたがいしの根本の近傍領域、配管の継ぎ目の近傍領域等である。領域入力部13には、例えば、漏油検知装置10のユーザから候補領域が入力されてもよいし、候補領域を保持する候補領域保持手段から候補領域を入力されてもよい。領域入力部13は、入力された候補領域の情報を漏油判定部14に出力する。
【0027】
<漏油判定部>
漏油判定部14は、領域抽出部12から輝度低下領域の情報を入力される。また、漏油判定部14は、領域入力部13から候補領域の情報を入力される。漏油判定部14は、輝度低下領域と、候補領域とが一致した場合に、漏油が発生したと判定する。具体的には、漏油判定部14は、輝度低下領域の少なくとも一部が、候補領域に含まれる場合に、漏油が発生したと判定する。漏油判定部14は、判定結果を判定結果出力部15に出力する。
【0028】
<判定結果出力部>
判定結果出力部15は、漏油判定部14から判定結果を入力される。判定結果出力部15は、判定結果を出力する。例えば、漏油検知装置10のユーザに対して、表示部等に表示することにより判定結果を出力する。
【0029】
<漏油検知方法>
次に、本実施形態に係る漏油検知方法を説明する。
図4は、実施形態1に係る漏油検知方法を例示したフローチャート図である。
【0030】
図4のステップS11に示すように、第1時刻での第1の点群データを入力する。具体的には、第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして点群データ入力部11に入力させる。
【0031】
次に、ステップS12に示すように、第2時刻での第2の点群データを入力する。具体的には、第2時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第2の点群データとして点群データ入力部11に入力させる。
【0032】
次に、ステップS13に示すように、輝度差を算出する。具体的には、領域抽出部12は、第1の点群データにおける輝度値と、第2の点群データにおける輝度値と、の差の輝度差を算出する。
【0033】
次に、ステップS14に示すように、輝度低下領域を抽出する。具体的には、領域抽出部12は、輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する。
【0034】
次に、ステップS15に示すように、輝度低下領域があるか判定する。具体的には、漏油判定部14は、領域抽出部12が抽出した輝度低下領域があるか判定する。輝度低下領域がない場合には、ステップS16に示すように、漏油判定部14は、異常なしと判定する。
【0035】
一方、ステップS15において、輝度低下領域がある場合には、ステップS17に示すように、候補領域を入力する。具体的には、測定対象のうち、漏油が発生する領域の候補とされる候補領域を領域入力部13から入力させる。
【0036】
次に、ステップS18に示すように、輝度低下領域は、候補領域に含まれるか判定する。輝度低下領域が、候補領域に含まれない場合には、ステップS16に示すように、漏油判定部14は、異常なしと判定する。
【0037】
一方、ステップS18において、輝度低下領域の少なくとも一部が、候補領域に含まれる場合には、ステップS19に示すように、漏油判定部14は、漏油が発生したと判定する。このようにして、漏油検知装置10は漏油を検知することができる。
【0038】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の漏油検知装置10は、油が充填されたがいしの根本の近傍領域等、あらかじめ漏油が発生しそうな領域を候補領域として指定しておく。そして、候補領域で輝度の低下を検知した場合に、漏油と判断する。すなわち、輝度低下領域の少なくとも一部が、候補領域に含まれる場合に、漏油が発生したと判定する。よって、輝度低下領域のうち、候補領域以外での輝度の低下を、例えば、雨水等の水によるものとして除外することができるので、漏油を検知する精度を向上させることができる。
【0039】
(実施形態2)
次に、実施形態2に係る漏油検知装置を説明する。前述の漏油検知装置10は、輝度低下領域と漏油が発生する候補領域とが一致する場合に漏油の発生を検知する。しかしながら、測定対象が雨水等により水濡れした場合にも、輝度値が低下し、輝度低下領域となる場合がある。そこで、本実施形態の漏油検知装置は、輝度低下領域が漏油によるものなのか水濡れによるものかを区別する。
図5は、実施形態2に係る漏油検知装置を例示したブロック図である。
【0040】
図5に示すように、漏油検知装置20は、点群データ入力部21と、領域抽出部22と、輝度変化抽出部23と、漏油判定部24と、判定結果出力部25と、を備えている。点群データ入力部21、領域抽出部22、輝度変化抽出部23、漏油判定部24及び判定結果出力部25は、それぞれ、点群データ入力手段、領域抽出手段、輝度変化抽出手段、漏油判定手段及び判定結果出力手段としての機能を有している。
【0041】
<点群データ入力部>
点群データ入力部21は、前述の実施形態1における点群データ入力部11と同様に、点群データが入力される。例えば、点群データ入力部11には、第1時刻に取得された第1の点群データ及び第2時刻に取得された第2の点群データが入力される。さらに、本実施形態の点群データ入力部21は、領域抽出部22からの指示を受けて、第3時刻に取得された第3の点群データ、第4時刻に取得された第4の点群データ等、第2時刻よりも後に1つまたは複数の点群データを入力されてもよい。例えば、点群データ入力部21は、1回以上、水の蒸発速度に合わせた間隔で点群データが入力される。
【0042】
<領域抽出部>
領域抽出部22は、前述の実施形態1における領域抽出部12と同様に、輝度低下領域を抽出する。さらに、本実施形態の領域抽出部22は、輝度低下領域を抽出した場合に、点群データ入力部21に対して、第3時刻に取得された第3の点群データ、第4時刻に取得された第4の点群データ等、第2時刻よりも後に1つまたは複数の点群データを入力させる。領域抽出部22は、少なくとも第3時刻の第3の点群データを入力させる。領域抽出部12は、抽出した輝度低下領域の情報とともに、第2時刻よりも後に取得した第3点群データ等を輝度変化抽出部23に出力する。
【0043】
<輝度変化抽出部>
輝度変化抽出部23は、領域抽出部22から入力された輝度低下領域において、少なくとも第2時刻よりも後の第3時刻の輝度値の変化量を抽出する。測定対象上に水が垂れた場合でも、点群データにおける輝度値は低下する。よって、本実施形態では、点群データにおける輝度値の低下が、測定対象上の漏油によるものなのか、測定対象上に水が垂れたことによるものなのか区別する。
【0044】
測定対象上の水は、測定対象上の油よりも蒸発が早い。よって、測定対象上の水の少なくとも一部は、第2時刻から第3時刻までの間に蒸発する。また、第2時刻から第3時刻までの時間を、測定対象上の水の少なくとも一部が蒸発する時間になるように設定する。これにより、水を含む測定対象の点群データにおける輝度値は、第2時刻から第3時刻までの間に大きくなる。
【0045】
すなわち、第2時刻の水を含む測定対象の点群データにおける輝度値に対して、第3時刻の水を含む測定対象の点群データにおける輝度値は変化する。例えば、第3時刻の輝度値の変化量は、所定の変化量以上である。所定の変化量は、測定対象上の水の少なくとも一部が蒸発した場合の輝度値の変化量である。
【0046】
一方、測定対象上の油は、測定対象上の水よりも蒸発が遅い。よって、測定対象上の油は、第2時刻から第3時刻までの間に蒸発しない。また、第2時刻から第3時刻までの時間を、測定対象上の水の少なくとも一部が蒸発する時間であって、測定対象上の油が蒸発しない時間になるように設定する。これにより、油を含む測定対象の点群データにおける輝度値は、第2時刻から第3時刻までの間に変化しない。
【0047】
すなわち、第2時刻の油を含む測定対象の点群データにおける輝度値に対して、第3時刻の油を含む測定対象の点群データにおける輝度値は変化しない。例えば、第3時刻の輝度値の変化量は、所定の変化量未満である。所定の変化量は、例えば、測定対象上の水の少なくとも一部が蒸発した場合の輝度値の変化量である。なお、輝度変化抽出部23は、第3時刻だけでなく、第3時刻及び第4時刻を含む複数の時刻から輝度値の変化量を抽出してもよい。
【0048】
輝度変化抽出部23は、領域抽出部22から輝度低下領域の情報とともに入力された第3点群データ等から、輝度値の変化量を抽出する。輝度変化抽出部23は、抽出した輝度値の変化量を漏油判定部24に出力する。
【0049】
<漏油判定部>
漏油判定部24は、輝度変化抽出部23から輝度値の変化量を入力される。漏油判定部24は、輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定する。例えば、漏油判定部24は、輝度低下領域において、第2時刻よりも第3時刻の輝度値が大きくなることを検知した場合には、水の蒸発により輝度値が大きくなったと判定する。すなわち、漏油判定部24は、第3時刻の輝度値の変化量が所定の変化量以上の場合には、輝度低下領域を水濡れにより輝度が低下したと判定する。
【0050】
一方、漏油判定部24は、輝度低下領域において、第2時刻よりも第3時刻の輝度値があまり変化しないことを検知した場合には、油が蒸発しにくいために輝度値があまり変化しないと判定する。すなわち、漏油判定部24は、第3時刻の輝度値の変化量が所定の変化量未満の場合には、輝度低下領域に漏油が発生したと判定する。
【0051】
<判定結果出力部>
判定結果出力部25は、漏油判定部24から判定結果を入力される。判定結果出力部25は、判定結果を出力する。例えば、漏油検知装置20のユーザに対して表示部等に表示することにより判定結果を出力する。
【0052】
<漏油検知方法>
次に、本実施形態に係る漏油検知方法を説明する。
図6は、実施形態2に係る漏油検知方法を例示したフローチャート図である。
【0053】
図6のステップS21~ステップS24は、前述の実施形態1における漏油検知方法のステップS11~ステップS14と同様である。
【0054】
ステップS25に示すように、輝度低下領域があるか判定する。具体的には、漏油判定部24は、領域抽出部22が抽出した輝度低下領域があるか判定する。輝度低下領域がない場合には、ステップS26に示すように、漏油判定部24は、異常なしと判定する。
【0055】
ステップS25において、輝度低下領域がある場合には、ステップS27に示すように、少なくとも第3時刻での第3の点群データを取得する。具体的には、領域抽出部22は、輝度低下領域を抽出した場合に、点群データ入力部21に対して、少なくとも第3時刻の第3の点群データを入力させる。そして、領域抽出部12は、抽出した輝度低下領域の情報とともに、第3の点群データ等を輝度変化抽出部23に出力する。
【0056】
次に、ステップS28に示すように、輝度値の変化量を抽出する。具体的には、輝度変化抽出部23は、領域抽出部22から入力された輝度低下領域において、少なくとも第2時刻よりも後の第3時刻の輝度値の変化量を抽出する。
【0057】
次に、ステップS29に示すように、輝度値の変化量は、所定の変化量未満か判断する。すなわち、漏油判定部24は、第3時刻の輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定する。具体的には、ステップS29において、輝度値の変化量が所定の変化量以上の場合には、漏油判定部24は、輝度低下領域の輝度低下を水濡れによると判定する。よって、ステップS26に示すように、漏油判定部24は、異常なしと判定する。
【0058】
一方、ステップS29において、第3時刻の輝度値の変化量が所定の変化量未満の場合には、ステップS30に示すように、漏油判定部24は、輝度低下領域の輝度の低下を漏油によると判定する。よって、この場合には、漏油判定部24は、輝度低下領域に、漏油が発生したと判定する。このようにして、漏油検知装置10は、漏油を検知することができる。
【0059】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の漏油検知装置20は、輝度低下領域において、時間経過で水の蒸発による輝度変化を捉えて、漏油と区別する。よって、漏油を検出する精度を向上させることができる。例えば、輝度値の変化量において、所定の変化量を、測定対象上の水の少なくとも一部が蒸発した場合の変化量とすることにより、測定対象上の水と油とを区別することができる。よって、漏油を検知することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1の記載に含まれている。
【0060】
(実施形態3)
次に、実施形態3に係る漏油検知装置を説明する。本実施形態の漏油検知装置は、コンクリートの基礎部分が水濡れ状態であっても、漏油を検知するためのものである。具体的には、本実施形態の漏油検知装置は、下記の4つの状況における漏油が生じているか判定する。すなわち、コンクリートの基礎部分に水のみが付着した場合、コンクリートの基礎部分に油のみが付着した場合、水が付着したコンクリートの基礎部分に油が付着した場合、及び、油が付着したコンクリートの基礎部分に水が付着した場合についての漏油を検知する。
【0061】
図7は、実施形態3に係る漏油検知装置を例示したブロック図である。
図7に示すように、漏油検知装置30は、点群データ入力部31と、コンクリート領域抽出部32と、輝度値低下量算出部33と、漏油判定部34と、判定結果出力部35と、乾燥時データ保持部36と、を備えている。点群データ入力部31、コンクリート領域抽出部32、輝度値低下量算出部33、漏油判定部34、判定結果出力部35及び乾燥時データ保持部36は、それぞれ、点群データ入力手段、コンクリート領域抽出手段、輝度値低下量算出手段、漏油判定手段、判定結果出力手段及び乾燥時データ保持手段としての機能を有している。
【0062】
<点群データ入力部>
点群データ入力部31には、点群データが入力される。点群データは、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを有している。点群データ入力部31は、入力された点群データをコンクリート領域抽出部32に出力する。
【0063】
<コンクリート領域抽出部>
コンクリート領域抽出部32には、点群データ入力部31から点群データが入力される。コンクリート領域抽出部32は、入力された点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の点群データを抽出する。コンクリート領域抽出部32は、抽出したコンクリート領域における点群データを、輝度値低下量算出部33に出力する。
【0064】
<乾燥時データ保持部>
乾燥時データ保持部36には、例えば、LiDAR等の点群データ取得手段から、点群データが入力される。そして、乾燥時データ保持部36は、乾燥時のコンクリート領域の点群データを保持する。乾燥時データ保持部36は、保持した点群データを、輝度値低下量算出部33に出力する。
【0065】
<輝度値低下量算出部>
輝度値低下量算出部33は、乾燥時のコンクリート領域の点群データにおける輝度値と、コンクリート領域抽出部32が抽出したコンクリート領域の点群データにおける輝度値と、の差である輝度値の低下量を算出する。
【0066】
図8は、実施形態3に係る漏油検知装置において、輝度値低下量算出部33が算出した輝度値の低下量を例示したヒストグラムであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
図8には、コンクリートの基礎部分に水を塗布した場合(「水のみ」と呼ぶ。)、水を塗布したコンクリートの基礎部分に鉱物油を塗布した場合(「水濡れの上に鉱物油を塗布」と呼ぶ。)、鉱物油を塗布したコンクリートの基礎部分に水を塗布した場合(「鉱物油の上に水を塗布」と呼ぶ。)、コンクリートの基礎部分に鉱物油を塗布した場合(「鉱物油のみ」と呼ぶ。)を含む4つの場合における輝度値の低下量を示している。
図8では、横軸の左側ほど、輝度値の低下量は大きい。
【0067】
図8に示すように、「水のみ」の場合には、輝度値の低下量は、横軸の右側の領域(低下量が小さい領域)に分布している。「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合には、度値の低下量は、「水のみ」の場合よりもおおよそ左側の領域に分布している。「鉱物油の上に水を塗布」の場合には、輝度値の低下量は、「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合よりもおおよそ左側の領域に分布している。「鉱物油のみ」の場合には、輝度値の低下量は、横軸の左側の領域(低下量が大きい領域)に分布している。したがって、輝度値の低下量が大きい順に示すと、「鉱物油のみ」の場合が最も低下量が大きく、次いで、「鉱物油の上に水を塗布」の場合、「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合、「水のみ」の場合の順に、輝度値の低下量は小さくなる。なお、各場合の分布は、相互に重なっている部分を含んでいる。
【0068】
このようなことから、コンクリートの基礎部分の状態によって、輝度値低下量算出部33は、
図9~13に示すパターンで輝度値の低下量の分布を取得する。
【0069】
図9は、実施形態3に係る漏油検知装置において、コンクリートの基礎部分に油が付着した場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
図9に示すように、乾燥状態におけるコンクリートの基礎部分に油が付着した場合は、「鉱物油のみ」の場合に相当する。よって、この場合には、輝度値の低下量は大きい。輝度値の低下量は、横軸の左側の領域に分布する。
【0070】
図10は、実施形態3に係る漏油検知装置において、コンクリートの基礎部分に水が付着した場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
図10に示すように、乾燥状態におけるコンクリートの基礎部分に水が付着した場合であって、油が付着していない場合には、「水のみ」の場合に相当する。よって、この場合には、輝度値の低下量は小さい。輝度値の低下量は、横軸の右側の領域に分布する。
【0071】
図11は、実施形態3に係る漏油検知装置において、油が付着した基礎部分に水が付着した場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。油が付着したコンクリートの基礎部分に水が付着した場合には、水に覆われていない油が露出した領域と、油の上を水が覆っている領域と、油が付着していない部分に水が付着している領域とが混在する。水に覆われていない油が露出した領域は、「鉱物油のみ」の場合に相当し、油の上を水が覆っている領域は、「鉱物油の上に水を塗布」の場合に相当し、油が付着していない部分に水が付着している領域は、「水のみ」の場合に相当する。よって、
図11に示すように、輝度値の低下量は、上記3つの場合を含むように、横軸の左側の領域及び右側の領域に分布する。
【0072】
図12は、実施形態3に係る漏油検知装置において、油が付着した基礎部分に水が付着し、さらに油が垂れ続ける場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。油が付着したコンクリートの基礎部分に水が付着し、さらに油が垂れ続ける場合には、
図11で示した3つの領域に加えて、水が付着したコンクリートの基礎部分に油が付着した領域をさらに含む。水が付着したコンクリートの基礎部分に油が付着した領域は、「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合に相当する。よって、
図12に示すように、輝度値の低下量は、上記4つの場合を含むように、横軸の左側の領域、中央の領域及び右側の領域に分布する。
【0073】
図13は、実施形態3に係る漏油検知装置において、水が付着した基礎部分に油が垂れ続ける場合における輝度値の低下量の分布をヒストグラムに重ねたものグラフであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。水が付着した基礎部分に油が垂れ続ける場合には、油が付着していない部分に水が付着している領域と、水が付着したコンクリートの基礎部分に油が付着した領域とを含む。よって、
図13に示すように、輝度値の低下量は、横軸の中央の領域及び右側の領域に分布する。
【0074】
図9~
図13に示したように、天候やコンクリートの基礎部分の状態や、水濡れかどうかに関わらず、油が付着した場合には、輝度値の低下量は、特定の分布を示す。漏油判定部34は、以下で示す閾値を基準にして、輝度値の低下量の分布から漏油を検知する。
【0075】
図14は、実施形態3に係る漏油検知装置において、輝度値の低下量の分布を例示したヒストグラムであり、横軸は輝度値の低下量を示し、縦軸は度数を示す。
図14に示すように、所定の閾値Vshを、所定の低下量に設定する。所定の閾値Vshは、コンクリートの基礎部分に油が付着した場合、コンクリートの基礎部分に水が付着した場合、水が付着したコンクリートの基礎部分に油が付着した場合、及び、油が付着したコンクリートの基礎部分に水が付着した場合、の各場合における輝度値の低下量の分布に基づいて算出されてもよい。
【0076】
例えば、閾値Vsh以上に、「鉱物油のみ」及び「鉱物油の上に水を塗布」の分布の大部分(例えば、90%以上)を含むように、閾値Vshを設定する。また、例えば、「水のみ」の低下量の最大値を閾値Vshに設定してもよい。また、閾値Vshを、「水濡れの上に鉱物油を塗布」のピークと、「鉱物油の上に水を塗布」のピークとの中間値に設定してもよいし、「水のみ」のピークと、「鉱物油のみ」のピークとの中間値に設定してもよい。閾値Vsh以上の輝度値の低下量が漏油の発生に対応するように閾値Vshを設定する。
【0077】
<漏油判定部>
漏油判定部34は、輝度値の低下量が所定の閾値Vsh以上を示す場合に、漏油の発生を判定する。例えば、漏油判定部34は、所定の閾値Vsh以上の低下量を示す領域があれば、その領域で漏油が発生していると判定する。
【0078】
一方、漏油判定部34は、輝度値の低下量が閾値Vshよりも小さい場合には、コンクリートの基礎部分が水濡れか判定する。輝度値の低下量が閾値Vshよりも小さい場合は、「水のみ」の場合及び「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合の少なくともいずれかを含む水濡れ状態か、または、「水のみ」の場合でも「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合でもない状態である。したがって、漏油判定部34は、輝度値の低下量が閾値Vshよりも小さい場合であって、「水のみ」の場合でも「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合でもない状態の場合には、漏油が発生しておらず、異常なしと判定する。
【0079】
水濡れ状態の区別、すなわち、「水のみ」の場合と、「水濡れの上に鉱物油を塗布」の場合とを区別するためには、輝度値の低下量の分布において、平均値や分散によって判定する。具体的には、輝度値低下量算出部33は、コンクリートの基礎部分が水濡れ状態の場合には、輝度値の低下量の分布を抽出する。そして、輝度値低下量算出部33は、抽出した分布の平均値及び分散を算出する。輝度値低下量算出部33は、分布の平均値及び分散のうち、少なくともいずれかを算出してもよい。
【0080】
図10及び
図13に示すように、水濡れ状態の両者は、輝度値の低下量が取りうる分布の範囲は、ほぼ同じである。しかしながら、輝度値の低下量の平均値は、
図13の方が大きい(横軸の左側)。また、輝度値の低下量の分布における分散は、
図13の方が小さい(ばらつきが小さい)。漏油判定部34は、このような基本的な考え方で漏油を判定する。例えば、
図10における分布と
図13における分布とを区別できる平均値及び分散を、所定の平均値及び所定の分散に設定する。そして、漏油判定部34は、算出した平均値と所定の平均値との比較、及び、算出した分散と所定の分散との比較の少なくともいずれかにより、漏油の発生を判定する。
【0081】
<判定結果出力部>
判定結果出力部35は、漏油判定部34から判定結果を入力される。判定結果出力部35は、判定結果を出力する。例えば、漏油検知装置30のユーザに対して、表示部等に表示することにより判定結果を出力する。
【0082】
<漏油検知方法>
次に、本実施形態の漏油検知方法を説明する。
図15は、実施形態3に係る漏油検知方法の前段の処理方法を例示したフローチャート図である。
図16は、実施形態3に係る漏油検知方法を例示したフローチャート図である。
【0083】
図15のステップS31に示すように、まず、天候データを取得する。例えば、図示しない降水量センサ等から天候データを取得する。または、天気予報等の天気情報から天候データを取得してもよい。
【0084】
次に、ステップS32に示すように、天候は晴れまたは曇りか判断する。例えば、漏油判定部34は、天候データに基づいて、天候は晴れまたは曇りか判断する。ステップS32において、天候は晴れまたは曇りでない場合には、本実施形態の漏油検知方法の対象外であるので、処理を終了する。一方、ステップS32において、天候は晴れまたは曇りの場合には、本実施形態の漏油検知方法の対象であるので、ステップS34に示すように、漏油検知方法の処理を進める。
【0085】
本実施形態の漏油検知方法は、まず、
図16のステップS41に示すように、点群データを入力する。具体的には、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを、点群データとして点群データ入力部31に入力する。
【0086】
次に、ステップS42に示すように、取得した点群データからコンクリート領域を抽出する。具体的には、コンクリート領域抽出部32は、点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の点群データを抽出する。
【0087】
次に、ステップS43に示すように、乾燥時のコンクリート領域の点群データを入力する。例えば、乾燥時データ保持部36に保持された乾燥時のコンクリート領域の点群データを輝度値低下量算出部33に入力する。
【0088】
次に、ステップS44に示すように、輝度値の低下量を算出する。具体的には、輝度値低下量算出部33は、乾燥時のコンクリート領域の点群データにおける輝度値と、コンクリート領域抽出部32が抽出したコンクリート領域の点群データにおける輝度値と、の差である輝度値の低下量を算出する。
【0089】
次に、ステップS45に示すように、輝度値の低下量が所定の閾値以上を示す領域があるか判定する。輝度値の低下量が所定の閾値以上を示す場合には、漏油判定部34は、ステップS46に示すように、漏油が発生したと判定する。
【0090】
一方、ステップS45において、輝度値の低下量が所定の閾値よりも小さい場合には、ステップS47に示すように、漏油判定部34は、コンクリート領域が水濡れ状態か判定する。ステップS47において、水濡れ状態でない場合には、ステップS48に示すように、漏油判定部34は、漏油は発生しておらず、異常なしと判定する。
【0091】
ステップS47において、水濡れ状態の場合には、ステップS49に示すように、輝度値低下量算出部33は、輝度値の低下量の分布を抽出する。そして、抽出した分布の平均値及び分散のうち少なくともいずれかを算出する。
【0092】
次に、ステップS50に示すように、漏油判定部34は、算出された平均値と所定の平均値との比較、及び、算出された分散と所定の分散との比較の少なくともいずれかにより、漏油の発生を判定する。例えば、漏油判定部34は、算出した平均値が所定の平均値よりも小さい場合には(
図10の分布に相当)、ステップS51に示すように、漏油は発生しておらず、異常なしと判定する。また、漏油判定部34は、算出した分散が所定の分散よりも大きい場合には(
図10の分布に相当)、ステップS51に示すように、漏油は発生しておらず、異常なしと判定する。
【0093】
一方、ステップS50において、算出した平均値が所定の平均値以上の場合には(
図13の分布に相当)、漏油判定部34は、ステップS52に示すように、漏油は発生したと判定する。また、漏油判定部34は、算出した分散が所定の分散以下の場合には(
図13の分布に相当)、ステップS52に示すように、漏油は発生したと判定する。このようにして、漏油を検知する。
【0094】
次に、本実施形態の効果を説明する。本実施形態の漏油検知装置30は、コンクリートの基礎部分に水及び油等が付着した場合を区別する閾値を設定し、輝度値の低下量が所定の閾値以上を示す場合に、漏油の発生を判定する。よって、コンクリートの基礎部分に水及び油等が付着した場合を区別することができるので、漏油を検知する精度を向上させることができる。
【0095】
閾値は、コンクリート領域に油が付着した場合等、各場合における輝度値の低下量の分布に基づいて算出されるので、各場合における漏油の発生を精度よく判定することができる。
【0096】
水濡れ状態の場合には、輝度値の低下量の分布を抽出し、抽出した分布の平均値及び分散に基づいて漏油を判定する。よって、水濡れ状態における漏油の発生を精度よく判定することができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1及び2の記載に含まれている。
【0097】
(実施形態4)
次に、実施形態4に係る漏油検知システムを説明する。漏油検知システムは、上述した漏油検知装置10~30の少なくともいずれかと、点群データ取得装置と、を備えている。点群データ取得装置は、点群データ取得手段としての機能を有している。点群データ取得装置は、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして取得する。点群データ取得装置は、例えば、LiDAR40である。本実施形態に係る漏油検知方法は、実施形態1~3の漏油検知方法に、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして取得させるステップをさらに備える。
【0098】
本実施形態に係る漏油検知システムは、漏油検知装置10~30に加えて、点群データ取得装置を備えているので、所望の場所に位置する測定対象の点群データを取得させることができる。これ以外の構成及び効果は、実施形態1~3の記載に含まれている。
【0099】
以上、実施形態1~3を参照して本願発明を説明したが、本願発明は、上記実施形態1~3に限られたものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることが可能である。例えば、実施形態1~3の各構成を組み合わせた実施形態も、技術的思想の範囲に含まれる。また、実施形態1~3の漏油検知方法を、コンピュータに実行させるプログラムも実施形態1~3の技術的範囲に含まれる。
【0100】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0101】
(付記1)
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部と、
第1時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、前記第1時刻よりも後の第2時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、の差の輝度差を算出し、前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する領域抽出部と、
前記測定対象のうち、漏油が発生する領域の候補とされる候補領域が入力される領域入力部と、
前記輝度低下領域の少なくとも一部が、前記候補領域に含まれる場合に、前記漏油が発生したと判定する漏油判定部と、
を備えた漏油検知装置。
(付記2)
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部と、
第1時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、前記第1時刻よりも後の第2時刻の前記点群データにおける前記輝度値と、の差の輝度差を算出し、前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出する領域抽出部と、
前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出する輝度変化抽出部と、
前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定する漏油判定部と、
を備えた漏油検知装置。
(付記3)
前記輝度値の変化量が所定の変化量未満の場合には、前記漏油判定部は、前記輝度低下領域に前記漏油が発生したと判定する、
付記2に記載の漏油検知装置。
(付記4)
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力される点群データ入力部と、
前記点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の前記点群データを抽出するコンクリート領域抽出部と、
乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データを保持する乾燥時データ保持部と、
前記乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、前記コンクリート領域抽出部が抽出した前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、の差である前記輝度値の低下量を算出する輝度値低下量算出部と、
前記輝度値の前記低下量が所定の閾値以上を示す場合に、漏油の発生を判定する漏油判定部と、
を備えた漏油検知装置。
(付記5)
前記漏油判定部は、前記輝度値の前記低下量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記コンクリート領域が水濡れ状態か判定する、
付記4に記載の漏油検知装置。
(付記6)
前記輝度値低下量算出部は、前記コンクリート領域が水濡れ状態の場合に、前記輝度値の前記低下量の分布を抽出し、前記分布の平均値及び分散のうち少なくともいずれかを算出する、
付記5に記載の漏油検知装置。
(付記7)
前記漏油判定部は、前記平均値と所定の平均値との比較、及び、前記分散と所定の分散との比較の少なくともいずれかにより、漏油の発生を判定する、
付記6に記載の漏油検知装置。
(付記8)
前記所定の閾値は、前記コンクリート領域に油が付着した場合、前記コンクリート領域に水が付着した場合、前記水が付着した前記コンクリート領域に前記油が付着した場合、及び、前記油が付着した前記コンクリート領域に前記水が付着した場合、の各場合における前記輝度値の前記低下量の前記分布に基づいて算出される、
付記4~7のいずれか1項に記載の漏油検知装置。
(付記9)
前記測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして取得する点群データ取得装置と、
付記1~8のいずれか一項に記載の漏油検知装置と、
を備えた漏油検知システム。
(付記10)
第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして入力させ、
前記第1時刻よりも後の第2時刻において、前記測定対象をスキャンした前記ビームの前記反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の前記座標値及び前記輝度値を含む複数の前記データを第2の点群データとして入力させ、
前記第1の点群データにおける前記輝度値と、前記第2の点群データにおける前記輝度値との差の輝度差を算出させ、
前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出させ、
前記測定対象のうち、漏油が発生する領域の候補とされる候補領域を入力させ、
前記輝度低下領域の少なくとも一部が、前記候補領域に含まれる場合に、前記漏油が発生したと判定させる、
漏油検知方法。
(付記11)
第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして入力させ、
前記第1時刻よりも後の第2時刻において、前記測定対象をスキャンした前記ビームの前記反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の前記座標値及び前記輝度値を含む複数の前記データを第2の点群データとして入力させ、
前記第1の点群データにおける前記輝度値と、前記第2の点群データにおける前記輝度値との差の輝度差を算出させ、
前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出させ、
前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出させ、
前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定させる、
漏油検知方法。
(付記12)
前記輝度値の変化量に基づいて、前記漏油の発生を判定させる際に、前記輝度値の変化量が所定の変化量未満の場合には、前記輝度低下領域に、前記漏油が発生したと判定させる、
付記11に記載の漏油検知方法。
(付記13)
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力させ、
前記点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の前記点群データを抽出させ、
乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データを入力させ、
前記乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、前記コンクリート領域抽出部が抽出した前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、の差である前記輝度値の低下量を算出させ、
前記輝度値の前記低下量が所定の閾値以上を示す場合に、漏油の発生を判定させる、
漏油検知方法。
(付記14)
前記水濡れ状態と判定された後に、前記点群データを取得させ、
前記輝度低下領域において、前記輝度値の変化量を抽出させ、
前記水濡れ状態に基づいて、前記漏油の発生を判定させる際に、前記輝度値の変化量に基づいて、前記漏油の発生を判定させる、
付記13に記載の漏油検知方法。
(付記15)
前記輝度値の前記低下量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記コンクリート領域が水濡れ状態か判定させる、
付記14に記載の漏油検知方法。
(付記16)
前記コンクリート領域が水濡れ状態の場合に、前記輝度値の前記低下量の分布を抽出させ、前記分布の平均値及び分散のうち少なくともいずれかを算出させる、
付記15に記載の漏油検知方法。
(付記17)
前記平均値と所定の平均値との比較、及び、前記分散と所定の分散との比較の少なくともいずれかにより、漏油の発生を判定させる、
付記16に記載の漏油検知方法。
(付記18)
前記所定の閾値は、前記コンクリート領域に油が付着した場合、前記コンクリート領域に水が付着した場合、前記水が付着した前記コンクリート領域に前記油が付着した場合、及び、前記油が付着した前記コンクリート領域に前記水が付着した場合、の各場合における前記輝度値の前記低下量の分布に基づいて算出される、
付記13~17のいずれか1項に記載の漏油検知方法。
(付記19)
第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして入力させ、
前記第1時刻よりも後の第2時刻において、前記測定対象をスキャンした前記ビームの前記反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の前記座標値及び前記輝度値を含む複数の前記データを第2の点群データとして入力させ、
前記第1の点群データにおける前記輝度値と、前記第2の点群データにおける前記輝度値との差の輝度差を算出させ、
前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出させ、
前記測定対象のうち、漏油が発生する領域の候補とされる候補領域を入力させ、
前記輝度低下領域の少なくとも一部が、前記候補領域に含まれる場合に、前記漏油が発生したと判定させる、
ことをコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記20)
第1時刻において、測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを第1の点群データとして入力させ、
前記第1時刻よりも後の第2時刻において、前記測定対象をスキャンした前記ビームの前記反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の前記座標値及び前記輝度値を含む複数の前記データを第2の点群データとして入力させ、
前記第1の点群データにおける前記輝度値と、前記第2の点群データにおける前記輝度値との差の輝度差を算出させ、
前記輝度差が所定の閾値以上の輝度低下領域を抽出させ、
前記輝度低下領域において、少なくとも前記第2時刻よりも後の第3時刻の前記輝度値の変化量を抽出させ、
前記輝度値の変化量に基づいて、漏油の発生を判定させる、
ことをコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記21)
前記輝度値の変化量に基づいて、前記漏油の発生を判定させる際に、前記輝度値の変化量が所定の変化量未満の場合には、前記輝度低下領域に、前記漏油が発生したと判定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記20に記載のプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記22)
測定対象をスキャンしたビームの反射光を受光することにより、前記測定対象上の各点の座標値及び輝度値を含む複数のデータを点群データとして入力させ、
前記点群データのうち、コンクリートの基礎部分であるコンクリート領域の前記点群データを抽出させ、
乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データを入力させ、
前記乾燥時の前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、抽出された前記コンクリート領域の前記点群データにおける前記輝度値と、の差である前記輝度値の低下量を算出させ、
前記輝度値の前記低下量が所定の閾値以上を示す場合に、漏油の発生を判定させる、
ことをコンピュータに実行させるプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記23)
前記水濡れ状態と判定された後に、前記点群データを取得させ、
前記輝度低下領域において、前記輝度値の変化量を抽出させ、
前記水濡れ状態に基づいて、前記漏油の発生を判定させる際に、前記輝度値の変化量に基づいて、前記漏油の発生を判定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記22に記載のプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記24)
前記輝度値の前記低下量が前記所定の閾値よりも小さい場合に、前記コンクリート領域が水濡れ状態か判定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記23に記載のプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記25)
前記コンクリート領域が水濡れ状態の場合に、前記輝度値の前記低下量の分布を抽出させ、前記分布の平均値及び分散のうち少なくともいずれかを算出させる、
ことをコンピュータに実行させる付記24に記載のプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記26)
前記平均値と所定の平均値との比較、及び、前記分散と所定の分散との比較の少なくともいずれかにより、漏油の発生を判定させる、
ことをコンピュータに実行させる付記25に記載のプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
(付記27)
前記所定の閾値は、前記コンクリート領域に油が付着した場合、前記コンクリート領域に水が付着した場合、前記水が付着した前記コンクリート領域に前記油が付着した場合、及び、前記油が付着した前記コンクリート領域に前記水が付着した場合、の各場合における前記輝度値の前記低下量の分布に基づいて算出される、
ことをコンピュータに実行させる付記22~26のいずれか一項に記載のプログラムが格納された非一時的なコンピュータ可読媒体。
【0102】
上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0103】
10 漏油検知装置
11 点群データ入力部
12 領域抽出部
13 領域入力部
14 漏油判定部
15 判定結果出力部
20 漏油検知装置
21 点群データ入力部
22 領域抽出部
23 輝度変化抽出部
24 漏油判定部
25 判定結果出力部
30 漏油検知装置
31 点群データ入力部
32 コンクリート領域抽出部
33 輝度値低下量算出部
34 漏油判定部
35 判定結果出力部
36 乾燥時データ保持部
40 LiDAR
EM 発光部
DE 検出部
LB ビーム
O1 油塗布領域
OB 測定対象
P1 鉄板
RB 反射光
【手続補正書】
【提出日】2022-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正の内容】