(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078717
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】修正用粘着テープ
(51)【国際特許分類】
C09J 7/29 20180101AFI20240604BHJP
C09J 7/20 20180101ALI20240604BHJP
C09J 7/38 20180101ALI20240604BHJP
【FI】
C09J7/29
C09J7/20
C09J7/38
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191215
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000237237
【氏名又は名称】フジコピアン株式会社
(72)【発明者】
【氏名】勝呂 登
【テーマコード(参考)】
4J004
【Fターム(参考)】
4J004AA10
4J004AB01
4J004CA01
4J004CB03
4J004CC03
4J004CE01
4J004DA01
4J004DB01
4J004EA01
4J004FA10
(57)【要約】
【課題】書類等の被着体へ貼り付け後の当該修正用粘着テープを含む被着体表面への筆記性が良好で、且つ、修正用粘着テープ貼付具に収納するために、パンケーキ状とする際に粘着面を覆うセパレータを用いなくても、ブロッキングが発生することがない修正用粘着テープの提供である。
【解決手段】被着体に貼り付けて使用する修正用粘着テープにおいて、基材の一方の面上に白色隠蔽層、離型層が基材側からこの順で積層され、基材の他方の面上に粘着層が設けられ、離型層がシリコーン樹脂を含まず、離型層の厚みが0.1μm以上2.0μm以下であり、特定の測定方法で測定した粘着層の粘着力が、0.2N/25mm以上1.0N/25mm以下である修正用粘着テープ。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被着体に貼り付けて使用する修正用粘着テープにおいて、基材の一方の面上に白色隠蔽層、離型層が前記基材側からこの順で積層され、前記基材の他方の面上に粘着層が設けられ、前記離型層がシリコーン樹脂を含まず、前記離型層の厚みが0.1μm以上2.0μm以下であり、下記測定方法で測定した前記粘着層の粘着力が、0.2N/25mm以上1.0N/25mm以下であることを特徴とする修正用粘着テープ。
(粘着力測定方法)
厚さ12μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に前記粘着層のみを積層したフィルムを幅25mm×長さ300mmにカットして粘着力測定試験片を準備したのち、前記試験片の前記粘着層側をJIS Z 0237に規定する所定のステンレス試験板と貼り合せて、JIS Z 0237に準拠した方法で180°引きはがし粘着力を測定する。
【請求項2】
前記離型層が長鎖アルキルペンダント型ポリマーからなることを特徴とする請求項1に記載の修正用粘着テープ。
【請求項3】
前記粘着層がアクリル系粘着剤からなり、前記粘着層の厚みが2.0μm以上6.0μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の修正用粘着テープ。
【請求項4】
前記離型層の厚みが0.5μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の修正用粘着テープ。
【請求項5】
前記離型層の厚みが0.5μm以上1.5μm以下であることを特徴とする請求項3に記載の修正用粘着テープ。
【請求項6】
前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の修正用粘着テープ。
【請求項7】
前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする請求項3に記載の修正用粘着テープ。
【請求項8】
前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする請求項4に記載の修正用粘着テープ。
【請求項9】
前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする請求項5に記載の修正用粘着テープ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、文章を書いた書類等の文字等を修正するために、書類等の被着体に貼り付ける修正用粘着テープに関する発明であり、詳しくは、書類等に貼り付け後、自らの表面に文字を書き込むことが可能な修正用粘着テープに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来から、このような修正用粘着テープとして、さまざまなテープが提案されてきた。例えば、特許文献1では、紙製の紙基材シート(2)と、この紙基材シート(2)の裏面に粘着樹脂でコーティングした粘着樹脂層(3)とで修正テープ本体(1)を構成していることを特徴とする修正テープが提案されている。特許文献1の修正テープは、修正テープ自体を紙製とすることで、紙と同様の筆記性を実現している。
【0003】
また、従来から、このような修正用粘着テープの貼付具として、特許文献2などの修正用粘着テープの貼付具が提案されている。特許文献2のような修正用粘着テープの貼付具では、書類等の被着体へ修正用粘着テープを貼り付ける貼付部まで、修正用粘着テープを連続して繰り出す必要があるため、貼付具の内部に長尺の修正用粘着テープを繰り出し可能に収納する必要があった。このため、特許文献2などの修正用粘着テープ貼付具では、修正用粘着テープをコア(巻き芯)に巻きつけたパンケーキ(ロール)状としている。
【0004】
また、特許文献2の修正用粘着テープの貼付具では、被着体へ貼り付けるための層である粘着層を覆うセパレータを使用していない。セパレータを使用すると、修正用粘着テープの貼付具に粘着層からセパレータを剥がす機構や、剥がした後のセパレータを排出、又は収納する機構が必要となり、修正用粘着テープの貼付具が必要以上に大型化するので、好ましくないからである。また、セパレータ自体、使用後は廃棄物となるものであるから、セパレータを使用しないことが好ましい。
【0005】
しかしながら、修正用粘着テープ貼付具に収納するために、セパレータを使用しないで、特許文献1のような修正テープをパンケーキ状にしようとすると、紙基材シート(2)と粘着樹脂層(3)が向き合う状態で、修正テープをコアに巻きつけなければならない。このように、特許文献1の修正テープを、セパレータを使用しないでパンケーキ状にすると、紙面と粘着樹脂層(3)が向き合った状態となるため、粘着樹脂層(3)が紙面に貼りつく。このため、パンケーキから修正テープを巻き出そうとすると、修正テープがパンケーキから、巻き出し不能となるおそれがあった。また、パンケーキから修正テープを巻きだすことができたとしても、粘着樹脂層が紙面側に剥ぎ取られて、修正用粘着テープが被転写面に貼り付かなくなることや、紙面が粘着樹脂層側に剥ぎ取られて紙面が破れる(以下、これらの現象をブロッキングと表現する。)ために、修正用粘着テープとして、十分な状態で使用できなくなるおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-103757号公報
【特許文献2】特開2015-142981号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記の事情に鑑みて為されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、書類等の被着体へ貼り付け後の当該修正用粘着テープを含む被着体表面への筆記性が良好で、且つ、修正用粘着テープ貼付具に収納するために、パンケーキ状とする際に粘着面を覆うセパレータを用いなくても、ブロッキングが発生することがない修正用粘着テープの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明は、被着体に貼り付けて使用する修正用粘着テープにおいて、基材の一方の面上に白色隠蔽層、離型層が前記基材側からこの順で積層され、前記基材の他方の面上に粘着層が設けられ、前記離型層がシリコーン樹脂を含まず、前記離型層の厚みが0.1μm以上2.0μm以下であり、下記測定方法で測定した前記粘着層の粘着力が、0.2N/25mm以上1.0N/25mm以下であることを特徴とする修正用粘着テープである。
(粘着力測定方法)
厚さ12μmのPETフィルム上に前記粘着層のみを積層したフィルムを幅25mm×長さ300mmにカットして粘着力測定試験片を準備したのち、前記試験片の前記粘着層側をJIS Z 0237に規定する所定のステンレス試験板と貼り合せて、JIS Z 0237に準拠した方法で180°引きはがし粘着力を測定する。
【0009】
第2発明は、前記離型層が長鎖アルキルペンダント型ポリマーからなることを特徴とする第1発明に記載の修正用粘着テープである。
【0010】
第3発明は、前記粘着層がアクリル系粘着剤からなり、前記粘着層の厚みが2.0μm以上6.0μm以下であることを特徴とする第1又は第2発明に記載の修正用粘着テープである。
【0011】
第4発明は、前記離型層の厚みが0.5μm以上1.5μm以下であることを特徴とする第1又は第2発明に記載の修正用粘着テープである。第5発明は、前記離型層の厚みが0.5μm以上1.5μm以下であることを特徴とする第3発明に記載の修正用粘着テープである。
【0012】
第6発明は、前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする第1又は第2発明に記載の修正用粘着テープである。第7発明は、前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする第3発明に記載の修正用粘着テープである。第8発明は、前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする第4発明に記載の修正用粘着テープである。第9発明は、前記基材が厚み10μm以上15μm以下のPETフィルムであることを特徴とする第5発明に記載の修正用粘着テープである。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、被着体に貼り付けて使用する修正用粘着テープにおいて、基材の一方の面上に白色隠蔽層、離型層を基材側からこの順で積層し、基材の他方の面上に粘着層を設け、離型層を、厚み0.1μm以上2.0μm以下のシリコーン樹脂を含有しない層とし、特定の方法で測定した粘着層の粘着力を0.2N/25mm以上1.0N/25mm以下とすることによって、書類等の被着体へ貼り付け後の、当該修正用粘着テープを含む被着体表面への良好な筆記性を確保するとともに、修正用粘着テープ貼付具に収納するために、粘着面を覆うセパレータを用いずにパンケーキ状としてもブロッキングが発生することがない修正用粘着テープを提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の修正用粘着テープの一例である修正用粘着テープAの層構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に本発明の修正用粘着テープを、さらに詳しく説明する。
【0016】
本発明の修正用粘着テープは、
図1に示すように、基材(1)の一方の面上に少なくとも、白色隠蔽層(2)、離型層(3)が基材(1)側からこの順で積層され、基材(1)のもう一方の面上に粘着層(4)が積層された修正用粘着テープである。本発明の修正用粘着テープは、白色隠蔽層(2)と基材(1)間、及び粘着層(4)と基材(1)間にアンカー層等を設けることもでき、白色隠蔽層(2)、離型層(3)、粘着層(4)を複数の層を積層した層としてもよい。
【0017】
(基材)
本発明の修正用粘着テープに使用する基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルムなどのポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアミドフィルム、アラミドフィルムその他この種の粘着テープの基材用フィルムとして一般に使用されている各種のプラスチックフィルムが使用できる。また、コンデンサーペーパーのような高密度の薄い紙も使用できる。本発明の修正用粘着テープは被着体への貼付け時に、被着体面との段差が少ない方が好ましく、修正用粘着テープ全体の厚みは薄いことが好ましい。このため、これらの例示した材料の中でも、薄くした場合にも十分な機械強度が得られる点で、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエステルフィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルム(PET)がより好ましい。基材の厚さは通常は5.0μm以上40.0μm以下が好ましく、より好ましくは10.0μm以上15.0μm以下である。基材の厚みが5.0μmを下回ると、修正用粘着テープの貼付け時に皺が発生し易くなる。一方、基材厚みが40.0μmを超えると、被着体に貼り付けた修正用粘着テープ表面と被転写体表面の段差が大きくなって、筆記性が低下する。
【0018】
(白色隠蔽層)
本発明の修正用粘着テープでは、後述する離型層を被着体への貼り付け後の最表層とし、離型層に直接接する層として、離型層と基材間に白色隠蔽層を設けることが好ましい。離型層上に筆記されたインクが白色隠蔽層に吸収され定着するので、離型層と白色隠蔽層を直接接するように設けることで、修正用粘着テープの筆記性を向上することができる。
【0019】
白色隠蔽層は、少なくとも、バインダー樹脂、白色顔料、及び白色体質顔料から構成される。白色隠蔽層には、白色体質顔料とともに、又は白色体質顔料に替えてシリカを使用することもできる。白色隠蔽層に使用するバインダー樹脂としては、ウレタン系、ビニル系、オレフィン系、ゴム系の樹脂等を単体、もしくは2種以上組み合わせて用いることができる。特に白色隠蔽層塗膜の柔軟性のバランスが良好となることからゴム状の樹脂とガラス状の樹脂を組み合わせたものが好適に使用できる。ゴム状の樹脂としては、可塑剤を少量しか含まなくとも柔軟性を有するものが好ましく、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、ウレタンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-エチルアクリレート共重合体、クロロスルホン化ポリエチレン、環化ゴム等、通常の合成ゴムないしエラストマー等が挙げられ、なかでもスチレン-エチレン-ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、又はスチレン-ブタジエンゴム(SBR)が好ましい。ガラス状の樹脂としては、伸び率が小さく、融点ないし軟化点が100℃以上、かつ高硬度のものが好ましく、例えば、飽和もしくは不飽和の脂環族炭化水素樹脂又は脂肪族炭化水素樹脂、スチレン-アクリル系共重合体樹脂、ケトン樹脂、ロジン、ロジン誘導体、マレイン酸誘導体、アクリル酸誘導体等のカルボキシル基含有樹脂やポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂等が挙げられ、なかでも飽和もしくは不飽和の脂環族炭化水素樹脂又は脂肪族炭化水素樹脂が好ましい。
【0020】
白色隠蔽層中におけるバインダー樹脂の白色隠蔽層固形分中の含有量としては、好ましくは20~30重量%、より好ましくは23~28重量%である。
【0021】
白色隠蔽層のバインダー樹脂としてガラス状の樹脂とゴム状の樹脂を併用する場合、その重量比としては、特に限定されないが、ガラス状の樹脂1重量部に対して、好ましくはゴム状の樹脂1.0~1.5重量部、より好ましくは1.1~1.3重量部である。
【0022】
白色隠蔽層は、白色顔料を含有する。白色顔料としては、白色隠蔽層に必要とされる隠蔽力を確保できる白色の顔料であれば、特に限定されずいずれも使用でき、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛等が挙げられる。なかでも、少量の添加でテープの白色度を高くできる点で、酸化チタンが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0023】
白色顔料の粒径としては、特に限定されないが、白色隠蔽層が良好な隠蔽力を有しうる点で、例えば0.2~0.3μm、好ましくは0.23~0.27μmが挙げられる。
【0024】
本発明における白色隠蔽層は、上記白色顔料に加え、白色体質顔料、及び/又はシリカを含有することが好ましい。上記白色顔料と白色体質顔料、及び/又はシリカを併用することで、白色隠蔽層全体にわたって、微細な空隙を設けることができる。白色隠蔽層全体にわたって、微細な空隙が設けられるので、筆記具にて離型層上に筆記する際のインクの浸透性が向上する。白色体質顔料としては、特に限定されずいずれも使用でき、例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、酸化アルミニウム、シリカ、セライト、タルク、クレー等が挙げられる。なかでも炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムが好ましい。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。シリカとしては湿式シリカが好ましい。白色体質顔料とシリカは併用することもできる。
【0025】
本発明において白色隠蔽層中における白色顔料と、白色体質顔料及び/又はシリカを合計した白色隠蔽層固形分中の含有量は、60~80重量%であり、好ましくは65~75重量%である。60重量%未満であると、隠蔽力が不十分となるおそれや、外観が損なわれるおそれがあり、80重量%を超えるとバインダー樹脂の量が少なくなって強度が維持できず、筆記の際に白色隠蔽層が破れるおそれがある。
【0026】
白色隠蔽層は、バインダー樹脂、白色顔料、白色体質顔料(及び/又はシリカ)の他に
白色隠蔽層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤などがあげられる。例えば、分散剤としては、有機溶剤中に酸化チタン等の白色顔料を分散することのできるものであれば、特に限定されず、公知のものを適宜使用できる。また、他の添加剤としては、例えば、誤字等の隠蔽、修正後に水性インクを使用する筆記具にて筆記する際に、該水性インクの浸透性を向上する目的で、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールランダムコポリマー、又はポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等が選択できる。これらの他の成分の含有量としては、特に限定されず、目的に応じて適宜設計すればよい。
【0027】
白色隠蔽層の厚みは、15μm以上30μm以下が好ましく、より好ましくは20μm以上25μm以下である。15μm未満であると隠蔽力が不十分となるおそれがあり、30μmを超えると、修正用粘着テープ全体の厚みが厚くなることで、誤字等を隠蔽、修正した修正用粘着テープ端部と周囲との段差が大きくなるために、修正用粘着テープによる隠蔽、修正部分を含む筆記面に筆記した際に筆記具先端が前記段差に引っかかることや、コピーをとった時に前記段差が影となって写るといった不具合が生じるおそれがある。
【0028】
白色隠蔽層は、上記材料を適当な溶媒へ分散又は溶解して、塗工液とし、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材上に塗工して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成できる。
【0029】
(離型層)
本発明の修正用粘着テープでは、白色隠蔽層上に離型層を設ける。本発明の離型層は、シリコーン系樹脂を含有しない材料から構成される層である。シリコーン樹脂を含有しない離型層を設けることで、粘着層の離型層へのブロッキングの防止と、貼着面への貼り付け後の表面層となる離型層への良好な筆記性が両立できる。シリコーン樹脂を含有しない材料の中でも、長鎖アルキルペンダント型ポリマーを離型層の主成分とすることが好ましい。長鎖アルキルペンダント型ポリマーを離型層の主成分とすることで、より良好な粘着層の離型層へのブロッキングの防止性能と、貼着面への貼り付け後の表面層となる離型層へのより良好な筆記性が両立できる。
【0030】
長鎖アルキルペンダント型ポリマーは、主鎖ポリマーに長鎖アルキル基がペンダント状に側鎖として存在しているものであり、例えば、長鎖アルキル基を有するビニルモノマーもしくは(メタ)アクリレートモノマーの単独重合物及び他の共重合可能なビニルモノマーとの共重合物や、ビニルアルコール、エチレン-ビニルアルコール共重合物、ポリエチレンイミン及び水酸基含有セルロース誘導体などの活性水素を有するポリマーに、長鎖アルキル基を有する単官能イソシアネートを反応させた反応生成物などが挙げられる。
【0031】
長鎖アルキルペンダント型ポリマーが有する長鎖アルキル基は、直鎖状のものが好ましく、長鎖アルキル基の炭素数は14~22の範囲が好ましく、炭素数14~18の範囲がより好ましい。長鎖アルキル基の炭素数が前記範囲であれば、粘着層の離型層へのブロッキングの防止と、貼着面への貼り付け後の表面層となる離型層への良好な筆記性がより確実に両立できる。
【0032】
長鎖アルキルペンダント型ポリマーの重量平均分子量(Mw)は、12万~30万の範囲が好ましく、15万~25万の範囲がより好ましい。重量平均分子量(Mw)が前記範囲であると、離型層の膜強度が上がり、確実にブロッキングを防止することができる。また、重量平均分子量(Mw)が前記範囲であれば、塗工液への溶解性も確保でき、生産性もよい。なお、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算値である。
【0033】
離型層の厚みとしては、0.1μm以上2.0μm以下が好ましく、0.5μm以上1.5μm以下がより好ましい。離型層の厚みが0.1μm未満になると、離型層の粘着層に対するブロッキング防止性能が低下し、粘着層が離型層にブロッキングするおそれがある。一方、離型層の厚みが2.0μmを超えると、離型層への筆記性が悪化し、十分な筆記性が確保できない。
【0034】
離型層は、上記材料を適当な溶媒へ分散又は溶解して、塗工液とし、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法等の公知の手段により、基材上又は下層上に塗工して塗膜を形成させ、これを乾燥させることにより形成できる。
【0035】
離型層には、離型層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤などがあげられる。
【0036】
(粘着層)
本発明の修正用粘着テープは、白色隠蔽層、離型層を設けた基材のもう一方の面に粘着層を設ける。粘着層は、修正用粘着テープを被着体へ貼り付ける際に、被着体に貼り付いて、修正用粘着テープを被着体に接着する層である。
【0037】
本発明の粘着層は、粘着力が0.2N/25mm以上1.0N/25mm以下の範囲内となる粘着層である。本発明における粘着力は、厚さ12μmのPETフィルム上に前記粘着層のみを積層したフィルムを幅25mm×長さ300mmにカットして粘着力測定試験片を準備したのち、前記試験片の粘着層側を所定のステンレス試験板と貼り合せて、JIS Z 0237に準拠した方法で180°引きはがし粘着力を測定する。粘着層の粘着力が0.2N/25mm未満になると、被着体への十分な接着力が得られず、被着体への貼付け後に、修正用粘着テープが被着体から浮きあがるおそれや、剥がれるおそれがある。一方、粘着層の粘着力が1.0N/25mmを超えると、粘着層が離型層にブロッキングするおそれがある。
【0038】
本発明における粘着層に用いる粘着剤としては、たとえばアクリル樹脂系、ロジン系、ゴム系、ビニルエーテル樹脂系、ポリイソブチレン系などの粘着剤が使用できるが、これらの中でも粘着層の粘着力の調整が容易であるという点において、アクリル樹脂系であるアクリル系粘着剤が好ましい。また、アクリル系粘着剤の中でも、再剥離性のアクリル系粘着剤が好ましい。再剥離性とは、一度被着体へ粘着した後に、被着体に粘着剤を殆ど残さないで容易に剥離できる性質であり、剥離した際に被着体に仮に粘着剤が残ったとしても、剥離した粘着層を再び確実に被着体へ貼着できる程度に、少量の粘着剤しか被着体に残さず剥離できる性質である。
【0039】
再剥離性のアクリル系粘着剤を使用することにより、被着体表面への定着性と耐ブロッキング性の両立が容易に実現できる。また、再剥離性のアクリル系粘着剤を使用することにより、被着体への貼付け直後であれば、被着体から容易に剥がすことができるとともに、再度、被着体へ貼着することもできるので、貼り間違いを容易に修正することができる。さらには、再剥離性のアクリル系粘着剤を使用するにより、被着体への貼り付け後の時間の経過により、粘着層の被着体に対する接着力が上昇するので、被着体に対する十分な定着性も確保することができる。再剥離性のアクリル系粘着剤としては、アクリル系モノマーを含むモノマー成分を乳化重合して得られるエマルションを主成分とする粘着剤が例示できるが、これに限定するものではなく、粘着層の粘着力が、0.2N/25mm以上1.0N/25mm以下の範囲内となる再剥離性アクリル系粘着剤であれば、粘着層に好適に用いることができる。
【0040】
本発明の粘着層にアクリル系モノマーを含むモノマー成分を乳化重合して得られるエマルションを使用する場合には、エマルション中の重合体は、アクリル系モノマーの単独重合体、又はアクリル系モノマーと他の共重合可能なモノマーとの共重合体であることが好ましい。
【0041】
該エマルションを製造するために用いるアクリル系モノマーとしては、アクリル酸アルキルエステル、アクリル酸アルコキシアルキルエステル等を用いればよく、これらのモノマーを一種単独又は二種以上混合して用いることができる。アクリル酸アルキルエステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸イソノニル等を例示でき、アクリル酸アルコキシアルキルエステルとしては、アクリル酸2-メトキシエチル、アクリル酸2-エトキシエチル、アクリル酸2-ブトキシエチル等を例示できる。これらのアクリル系モノマーは、一種単独又は二種以上混合して用いることができる。
【0042】
また、モノマー成分として、上記したアクリル系モノマー以外に、必要に応じて、該アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーも用いることができる。アクリル系モノマーと共重合可能なモノマーを用いることによって、樹脂成分のTgを調節することやエマルションの静置安定性、機械的安定性等を向上させることができる。
【0043】
粘着層の乾燥後の厚みは2.0μm以上6.0μm以下が好ましい。粘着層の乾燥後厚みが2.0μm未満になると被着体への十分な粘着力が得られず、被着体への貼付け後に、修正用粘着テープが被着体から浮きあがるおそれや、剥がれるおそれがある。一方、粘着層の乾燥後厚みが6.0μmを超えると、粘着層の粘着力が必要以上に上昇して、粘着層が離型層にブロッキングするおそれがある。
【0044】
粘着層は、粘着剤の有機溶剤溶液、有機溶剤分散液、水性溶液または水性分散液(エマルションを含む)を基材に直接又は他の層を介して、塗布、乾燥することによって形成できる。水性溶液または水性分散液の形態の場合は、湿潤剤または界面活性剤を配合してもよい。
【0045】
粘着層の形成は、粘着層を形成するための樹脂の有機溶剤溶液、有機溶剤分散液、水性溶液または水性分散液(エマルションを含む)を、ロールコーティング、バーコーティング、グラビアコーティング、エアーナイフコーティング、リバースコーティング等の通常のコーティング方法で、所定の厚みに塗工、乾燥することによって得ることができる。
【0046】
粘着層には、粘着層に要求される各種の機能を阻害しない範囲内であれば、各種の添加剤を含有しても良い。前記添加剤としては、可塑剤、消泡剤、界面活性剤、酸化防止剤、分散剤、粘着付与剤、無機/有機微粒子などがあげられる。
【0047】
(実施例)
本発明を、以下の実施例、比較例を用いて、更に具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって制限されるものではない。以下、各材料の配合量について、部と表示するものについては、特に断りがない限り、重量部を示すものとする。
【0048】
(実施例1)
(白色隠蔽層)
下記処方の材料を混練して作製した白色隠蔽層用塗工液を、乾燥後の厚みが22.0μmになるように、基材として用いた厚さ12.0μmのPETフィルム上に塗工、乾燥させて白色隠蔽層を作製した。
(白色隠蔽層用塗工液)
炭化水素系樹脂(脂環族系)(固形分100%) 4.57重量部
スチレンブタジエン共重合体(固形分100%) 5.55重量部
分散剤 (固形分40%) 2.01重量部
酸化チタン (平均粒子径0.23μm 固形分100%) 20.73重量部
湿式シリカ(平均粒子径1.5μm 固形分100%) 8.25重量部
トルエン 58.86重量部
【0049】
(離型層)
下記処方の材料を混練して作製した離型層用塗工液1を、乾燥後の厚みが0.1μmになるように、白色隠蔽層上に塗工、乾燥させて離型層を作製した。
(長鎖アルキルペンダント型ポリマー1)
長鎖アルキルペンダント型ポリマー1として、エチレン含有率が45モル%であるエチレン-ビニルアルコール共重合物と、炭素数18の直鎖アルキル基を有する長鎖アルキルイソシアネートとの反応生成物である長鎖アルキルペンダント型ポリマー(重量平均分子量が250,000)のエマルション溶液を準備し、下記処方の割合にて、水とIPAを加えた溶液中に分散させて離型層用塗工液1を作成した。
(離型層用塗工液1)
長鎖アルキルペンダント型ポリマー1のエマルション溶液(固形分15%)
3.33重量部
水 47.50重量部
IPA 47.50重量部
【0050】
(粘着層)
下記処方の材料を混練して作製した粘着層用塗工液Aを、乾燥後の厚みが4.0μmになるように、乾燥させて粘着層を作製して、実施例1の修正用粘着テープの原反シートを作製した。
(粘着層用塗工液A)
リカボンドAP-620(ジャパンコーティングレジン株式会社製) 50.00重量部
水 50.00重量部
【0051】
実施例1の修正用粘着テープの原反シートを12mm幅の短冊状にカットしつつ、修正用粘着テープ用の原反シートの長手方向に40mN/mm幅の張力が作用した状態で、外径17mmのプラスチック製のコアに、粘着層を内側にして20mを巻き、実施例1の修正用粘着テープを得た。
【0052】
(実施例2)
離型層の乾燥後厚みを、1.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例2の修正用粘着テープを得た。
【0053】
(実施例3)
離型層の乾燥後厚みを、2.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例3の修正用粘着テープを得た。
【0054】
(実施例4)
離型層塗工液として、下記離型層用塗工液2を使用し、離型層の乾燥後厚みを0.5μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法で、実施例4の修正用粘着テープを得た。
(長鎖アルキルペンダント型ポリマー2)
長鎖アルキルペンダント型ポリマー2として、オクタデシルアクリレートと酢酸ビニルの共重合物(オクタデシルアクリレート含有率が50モル%)である長鎖アルキルペンダント型ポリマー(重量平均分子量が200,000)を有機溶剤中に分散させた溶液を準備し、下記処方の割合にてトルエンを加えた溶液中に、上記長鎖アルキルペンダント型ポリマーを分散した離型層用塗工液2を作製した。
(離型層用塗工液2)
長鎖アルキルペンダント型ポリマー2溶液(固形分18%) 50.00重量部
トルエン 50.00重量部
【0055】
(実施例5)
離型層の乾燥後厚みを、1.0μmに変更した以外は、実施例4の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例5の修正用粘着テープを得た。
【0056】
(実施例6)
離型層の乾燥後厚みを、2.0μmに変更した以外は、実施例4の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例6の修正用粘着テープを得た。
【0057】
(実施例7)
離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに、粘着層の乾燥後厚みを2.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例7の修正用粘着テープを得た。
【0058】
(実施例8)
離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに、粘着層の乾燥後厚みを6.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例8の修正用粘着テープを得た。
【0059】
(実施例9)
基材として厚さ6.0μmのPETフィルムを用い、離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例9の修正用粘着テープを得た。
【0060】
(実施例10)
基材として厚さ19.0μmのPETフィルムを用い、離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例10の修正用粘着テープを得た。
【0061】
(実施例11)
基材として厚さ25.0μmのPETフィルムを用い、離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例11の修正用粘着テープを得た。
【0062】
(実施例12)
基材として厚さ38.0μmのPETフィルムを用い、離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、実施例12の修正用粘着テープを得た。
【0063】
(比較例1)
離型層の乾燥後厚みを、0.05μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例1の修正用粘着テープを得た。
【0064】
(比較例2)
離型層の乾燥後厚みを、3.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例2の修正用粘着テープを得た。
【0065】
(比較例3)
離型層の乾燥後厚みを、0.05μmに変更した以外は、実施例4の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例3の修正用粘着テープを得た。
【0066】
(比較例4)
離型層の乾燥後厚みを、3.0μmに変更した以外は、実施例4の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例4の修正用粘着テープを得た。
【0067】
(比較例5)
下記処方の材料を混練して作製した離型層用塗工液3を、乾燥後の厚みが0.2μmになるように、白色隠蔽層上に塗工、乾燥させて離型層を作製した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例5の修正用粘着テープを得た。
(離型層用塗工液3)
シリコーン系樹脂(固形分30%) 20.00重量部
白金触媒(固形分2%) 0.20重量部
トルエン 80.00重量部
【0068】
(比較例6)
下記処方の材料を混練して作製した離型層用塗工液4を、乾燥後の厚みが0.1μmになるように、白色隠蔽層上に塗工、乾燥させて離型層を作製した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例6の修正用粘着テープを得た。
(離型層用塗工液4)
フルオロシリコーン系樹脂(固形分30%) 20.00重量部
白金触媒 (固形分2%) 0.20重量部
トルエン 80.00重量部
【0069】
(比較例7)
離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに、粘着層の乾燥後厚みを1.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例7の修正用粘着テープを得た。
【0070】
(比較例8)
離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに、粘着層の乾燥後厚みを7.0μmに変更した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例8の修正用粘着テープを得た。
【0071】
(比較例9)
離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに変更し、下記処方の材料を混練して作製した粘着層用塗工液Bを使用して、乾燥後の厚みが6.0μmになるように粘着層を作製した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例9の修正用粘着テープを得た。
(粘着層用塗工液B)
オリバインBPW6560(トーヨーケム株式会社製) 50.00重量部
水 50.00重量部
【0072】
(比較例10)
離型層の乾燥後厚みを、0.5μmに変更し、下記処方の材料を混練して作製した粘着層用塗工液Cを使用して、乾燥後の厚みが2.0μmになるように粘着層を作製した以外は、実施例1の修正用粘着テープと同様の方法で、比較例10の修正用粘着テープを得た。
(粘着層用塗工液C)
ニカゾールTS-1979(日本カーバイド工業株式会社製) 50.00重量部
水 50.00重量部
【0073】
(評価)
各実施例、比較例で作製した修正用粘着テープについて、下記の評価を行った。
(1)筆記性評価1(インク吸収性)
まず、各実施例、比較例の修正用粘着テープを長さ200mmにカットし、修正用粘着テープの粘着層側をPPC用紙と重ね合せ、1000gfの荷重を10秒間負荷して、修正用粘着テープをPPC用紙へ貼り付ける。貼り付けた修正用粘着テープの離型層上に、先端のボール直径が0.5mmの水性ボールペン(PILOT社製Vcorn)を用いて筆記荷重160gfで螺旋を3本描き、筆記後5秒後に指で離型層上をなぞる。なぞった後の筆記した線の状態を目視観察し、次の基準により評価した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:インクが吸収され、螺旋に汚れがない。
○:吸収されていないインクが僅かに残留し、螺旋に僅かな汚れ見られる。
×:吸収されていないインクが多く残留し、螺旋が明らかに汚れる。
【0074】
(2)筆記性評価2(段差感)
まず、各実施例、比較例の修正用粘着テープを長さ200mmにカットし、修正用粘着テープの粘着層側をPPC用紙と重ね合せ、1000gfの荷重を10秒間負荷して、修正用粘着テープをPPC用紙へ貼り付ける。PPC用紙の修正用粘着テープを貼り付けた面を、キヤノン株式会社製オフィス向け複合機C5240でコピーする。コピーする際のオフィス向け複合機の設定は、カラー選択:自動(カラー/白黒)、倍率:等倍、濃度:中央(標準)、原稿の種類:文字/写真とする。また、コピーに使用されるコピー用紙にもPPC用紙を使用する。コピーされたコピー用紙の修正用粘着テープの端部に相当する箇所の状態を目視観察し、次の基準により評価した。目視観察は、三波長型蛍光灯を用いた室内で、PPC用紙面上の照度が650~850ルクスになる状態で、PPC用紙から0.2m離れた位置から観察した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:修正用粘着テープの端部に相当する部分が、確認できない。
○:修正用粘着テープの端部に相当する部分がわずかに確認できるが、最も太い部分を
拡大倍率10倍、最小測定目盛0.1mmの目盛り付きルーペで確認すると、その
幅は0.2mm未満である。
×:修正用粘着テープの端部に相当する部分が、明らかな線となっていることが確認で
きる。
【0075】
(3)筆記性評価3(シワ、破れ)
各実施例、比較例の修正用粘着テープを長さ200mmにカットし、修正用粘着テープの粘着層側をPPC用紙と重ね合せ、1000gfの荷重を10秒間負荷して、修正用粘着テープをPPC用紙へ貼り付ける。油性ボールペン三菱鉛筆製JET STREAMφ0.50を用いて、ペン先に500gfの荷重が負荷された状態で、修正用粘着テープの幅方向両端よりもはみ出した範囲(修正用粘着テープ幅よりも広い範囲)へ螺旋筆記を行う。螺旋筆記の際に、油性ボールペンのペン先が修正用粘着テープ端部を引っ掛けることにより発生する、修正用粘着テープのシワ、破れの有無を目視観察し、次の基準により評価した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:修正用粘着テープのシワ、破れは確認できない。
○:修正用粘着テープの僅かにシワが発生する。
×:修正用粘着テープにシワ及び/又は破れが発生する。
【0076】
(4)再剥離性
各実施例、比較例の修正用粘着テープの原反シートを準備する。原反シートから修正用粘着テープを幅16mm×長さ50mmにカットしたのち、修正用粘着テープの粘着層側をPPC用紙と重ね合せ、1000gfの荷重を10秒間負荷して、修正用粘着テープをPPC用紙に圧着する。圧着直後に、修正用粘着テープを長手方向端部から10mm剥がして、ツマミを作る。前記ツマミを掴んで、修正用粘着テープを長手方向に、50cm/secの速さでPPC用紙から剥離させ、剥離後のPPC用紙の状態を目視観察し、次の基準により評価した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:PPC用紙上に粘着層が残ることなく、修正用粘着テープが剥離した。
○:PPC用紙上に粘着層が残るが、紙剥けなく修正用粘着テープが剥離し、剥離した修正用粘着テープを再度PPC用紙に浮きなく貼り付けることができる。
×:PPC用紙の紙剥けが発生した。
【0077】
(5)紙への定着性
各実施例、比較例の修正用粘着テープの原反シートを準備する。原反シートから修正用粘着テープを幅16mm×長さ50mmにカットしたのち、修正用粘着テープの粘着層側を100mm(縦)×100mm(横)のPPC用紙と重ね合わせ、1000gfの荷重を10秒間負荷して、修正用粘着テープをPPC用紙に圧着する。修正用粘着テープを圧着(貼付)する位置は、PPC用紙の縦、横の中央部に修正用粘着テープの一端部を合わせ、PPC用紙の縦方向中央に沿って、修正用粘着テープを貼り付ける。圧着直後に、修正用粘着テープをPPC用紙の端部側から10mm剥がして、ツマミを作る。前記ツマミを掴んで、50mm/secの速度で重力の反対方向へ、50cm持ち上げる。修正用粘着テープのPPC用紙への接着状態を目視確認し、次の基準により評価した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:修正用粘着テープとPPC用紙の貼付部分が剥れることなく、PPC用紙を持ち上
げることができる。
○:修正用粘着テープとPPC用紙の貼付部分に剥れが生じるものの、PPC用紙を持ち上げることができる。
×:所定の高さまでPPC用紙を持ち上げることができない。
【0078】
(6)紙への経時定着性
各実施例、比較例の修正用粘着テープの原反シートを準備する。原反シートから修正用粘着テープを幅16mm×長さ50mmにカットしたのち、修正用粘着テープの粘着層側をPPC用紙と重ね合せ、1000gfの荷重を10秒間負荷して、修正用粘着テープをPPC用紙に圧着する。圧着後、1週間放置した後、修正用粘着テープを長手方向端部から10mm剥がして、ツマミを作る。前記ツマミを掴んで、修正用粘着テープを長手方向に、50cm/secの速さでPPC用紙から剥離させ、剥離後のPPC用紙の状態を目視観察し、次の基準により評価した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:PPC用紙が破けた。
○:PPC用紙の紙剥けが発生した。
×:PPC用紙の紙剥けなく、修正用粘着テープが剥離した。
【0079】
(7)耐ブロッキング評価
各実施例、比較例の修正用粘着テープを45℃・85%RH×4日の環境下に保存し、常温、常湿化で24時間放置した後、修正用粘着テープを巻きつけたプラスチック製のコアにブレーキトルクが負荷されない状態で、修正用粘着テープが巻かれてロール状となった外周部分の接線方向に、プラスチック製コアから修正用粘着テープを、6m/minの速度で、引き出した。修正用粘着テープを全長である20m引き出した後に、粘着層面と離型層の両面を修正用粘着テープ全長にわたり、目視及び触感で観察し、次の基準により評価した。評価結果を表1と表2に示す。
劣 ×-○-◎ 優 ○以上が実用領域である。
◎:粘着層の離型層へのブロッキングは、確認できなかった。
○:粘着層の離型層へのブロッキングは、確認できなかったが、一部、離型層上にざらついた部分があった。
×:粘着層の離型層へのブロッキングは、目視で確認できた。
【0080】
(8)粘着層粘着力
粘着剤の種類と粘着層厚さの違いによる粘着力の違いを確認するため、表3に示す7種類の試験片を準備する。試験片は、厚さ12μmのPETフィルム上に前記粘着層のみを積層したフィルムを、幅25mm×長さ300mmにカットしたものとする。粘着力測定は、各試験片の粘着層側をJIS Z 0237に規定する所定のステンレス試験板と貼り合せて、JIS Z 0237に準拠した方法で180°引きはがし粘着力を測定する。評価結果を表3に示す。
【0081】
【0082】
【0083】
【符号の説明】
【0084】
1…基材
2…白色隠蔽層
3…離型層
4…粘着層
A…修正用粘着テープ