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特開2024-78719電池ケースの樹脂成形方法および樹脂成形型
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078719
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電池ケースの樹脂成形方法および樹脂成形型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/42 20060101AFI20240604BHJP
   B29C 45/26 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B29C33/42
B29C45/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191217
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森 浩之
(72)【発明者】
【氏名】三石 学
(72)【発明者】
【氏名】尾川 弘明
【テーマコード(参考)】
4F202
【Fターム(参考)】
4F202AH42
4F202CA11
4F202CB01
4F202CK02
4F202CK12
4F202CK17
4F202CK23
4F202CK52
4F202CK54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストの高騰を抑制しつつ、大きさの異なる複数種の電池ケースを製造し得る技術を提供する。
【解決手段】成形型として、ケース部を成形するための成形領域を複数有し、第1成形領域31と、前記成形領域の他の一つである第2成形領域32と、前記第1成形領域と前記第2成形領域とを連絡する連絡領域33を有するキャビティと、前記連絡領域に進入、退出可能である遮断スライドコアと、を具備するものを用い、大型成形モードは、前記連絡領域から前記遮断スライドコアを退出させて、前記第1成形領域、前記連絡領域および前記第2成形領域に流動樹脂材料を注入し、小型成形モードは、前記連絡領域に前記遮断スライドコアを進入させて、前記第1成形領域に前記流動樹脂材料を注入し、前記連絡領域および前記第2成形領域に前記流動樹脂材料を注入しない、電池ケースの樹脂成形方法。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池を収容するためのケース部を有する電池ケースを成形する方法であって、
成形型として、
前記ケース部を成形するための成形領域を複数有し、かつ、前記成形領域の一つでありゲートに連絡する第1成形領域と、前記成形領域の他の一つであり前記第1成形領域に隣り合う第2成形領域と、の間に、前記第1成形領域と前記第2成形領域とを連絡する連絡領域を有するキャビティと、
前記連絡領域に進入可能でありかつ前記連絡領域から退出可能である遮断スライドコアと、を具備するものを用い、
大型成形モードにおいては、前記連絡領域から前記遮断スライドコアを退出させて、前記第1成形領域、前記連絡領域および前記第2成形領域に流動樹脂材料を注入し、
小型成形モードにおいては、前記連絡領域に前記遮断スライドコアを進入させて、前記第1成形領域に前記流動樹脂材料を注入しつつ前記連絡領域および前記第2成形領域に前記流動樹脂材料を注入しない、電池ケースの樹脂成形方法。
【請求項2】
前記成形型は、前記電池ケースの厚さ方向に突出する立体構造を成形するための立体構造成形領域を前記キャビティに有し、かつ、前記立体構造成形領域に進入可能でありかつ前記立体構造成形領域から退出可能であるサブ遮断スライドコアを有し、
立体構造成形モードにおいては、前記立体構造成形領域から前記サブ遮断スライドコアを退出させて、前記立体構造成形領域に前記流動樹脂材料を注入し、
立体構造非成形モードにおいては、前記立体構造成形領域に前記サブ遮断スライドコアを進入させて、前記立体構造成形領域に前記流動樹脂材料を注入しない、請求項1に記載の電池ケースの樹脂成形方法。
【請求項3】
電池を収容するためのケース部を有する電池ケースを成形する成形型であって、
前記ケース部を成形するための成形領域を複数有し、かつ、前記成形領域の一つでありゲートに連絡する第1成形領域と、前記成形領域の他の一つであり前記第1成形領域に隣り合う第2成形領域と、の間に、前記第1成形領域と前記第2成形領域とを連絡する連絡領域を有するキャビティと、
前記連絡領域に進入可能でありかつ前記連絡領域から退出可能である遮断スライドコアと、を具備する、樹脂成形型。
【請求項4】
前記成形型は、前記電池ケースの厚さ方向に突出する立体構造を成形するための立体構造成形領域を前記キャビティに有し、かつ、前記立体構造成形領域に進入可能でありかつ前記立体構造成形領域から退出可能であるサブ遮断スライドコアを有する、請求項3に記載の樹脂成形型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池を収容するための電池ケースを樹脂成形する方法、および、当該電池ケースを樹脂成形するための樹脂成形型に関する。
【背景技術】
【0002】
電池を収容するための電池ケースは、収容される電池の大きさや数に応じて、種々の大きさをとり得る。しかし種々の大きさの電池ケースを製造するには、当該電池ケースの大きさ毎に別々の成形型が必要であり、コスト面で不利である。このため従来から、電池ケース用の成形型に要するコストを低減するための取り組みが為されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1には、電池ケース用の成形型に要するコストを低減すべく、種々の大きさの電池ケース1におけるアッパー部材111とロア部材112とを共通化する電池ケースの製造方法が紹介されている。
【0004】
詳しくは、特許文献1に紹介されている電池ケースの製造方法では、大型かつその長手方向(方向X)に沿った断面形状が一定であるアッパー部材111およびロア部材112(第1の部位11)と、当該第1の部位11の断面形状に対応した仕切り板(第2の部位22および第3の部位23)とを別々に成型している。そして、製造すべき電池ケース1の大きさに応じた位置で第1の部位11を切断し、得られた第1の部位11の切断品の端面(両端の開口)に、各々、第2の部位22および第3の部位23を組み付けることで、種々の大きさの電池ケースを製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-126775号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に紹介されている技術によると、種々の大きさの電池ケース1において、第1の部位11、第2の部位22および第3の部位23を共通化することで、これらを成型する成形型を共通化できる。このため特許文献1に紹介されている技術は、成形型に要するコスト面で有利である。
【0007】
しかしこのような特許文献1の技術によっても、製造すべき電池ケースの大きさが上記した第1の部位の大きさよりも小さい場合には、第1の部品のうち使用しない領域、すなわち、第1の部品の切断により生じた残部が無駄になる。
したがってこの場合には、電池ケースの材料に要するコストが必要以上に高騰し、電池ケースの製造に要するコストを十分に低減することが依然として難しい問題が残る。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、コストの高騰を抑制しつつ、大きさの異なる複数種の電池ケースを製造し得る技術を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する本発明の電池ケースの樹脂成形方法は、
電池を収容するためのケース部を有する電池ケースを成形する方法であって、
成形型として、
前記ケース部を成形するための成形領域を複数有し、かつ、前記成形領域の一つでありゲートに連絡する第1成形領域と、前記成形領域の他の一つであり前記第1成形領域に隣り合う第2成形領域と、の間に、前記第1成形領域と前記第2成形領域とを連絡する連絡領域を有するキャビティと、
前記連絡領域に進入可能でありかつ前記連絡領域から退出可能である遮断スライドコアと、を具備するものを用い、
大型成形モードにおいては、前記連絡領域から前記遮断スライドコアを退出させて、前記第1成形領域、前記連絡領域および前記第2成形領域に流動樹脂材料を注入し、
小型成形モードにおいては、前記連絡領域に前記遮断スライドコアを進入させて、前記第1成形領域に前記流動樹脂材料を注入しつつ前記連絡領域および前記第2成形領域に前記流動樹脂材料を注入しない、電池ケースの樹脂成形方法である。
【0010】
また、上記課題を解決する本発明の樹脂成形型は、
電池を収容するためのケース部を有する電池ケースを成形する成形型であって、
前記ケース部を成形するための成形領域を複数有し、かつ、前記成形領域の一つでありゲートに連絡する第1成形領域と、前記成形領域の他の一つであり前記第1成形領域に隣り合う第2成形領域と、の間に、前記第1成形領域と前記第2成形領域とを連絡する連絡領域を有するキャビティと、
前記連絡領域に進入可能でありかつ前記連絡領域から退出可能である遮断スライドコアと、を具備する、樹脂成形型である。
【0011】
本発明の電池ケースの樹脂成形方法および樹脂成形型によると、コストの高騰を抑制しつつ、大きさの異なる複数種の電池ケースを製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施例1の製造方法および成形型で製造する電池ケースを模式的に説明する説明図である。
図2】実施例1の成形型を模式的に説明する説明図である。
図3】実施例1の成形型を模式的に説明する説明図である。
図4】実施例1の製造方法および成形型を模式的に説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書では、必要に応じて、本発明の電池ケースの樹脂成形方法を本発明の製造方法、実施例の製造方法等と称する場合がある。同様に、必要に応じて、本発明の樹脂成形型を本発明の成形型、実施例の成形型等と称する場合がある。さらに、必要に応じて、本発明の成形型におけるキャビティを、本発明のキャビティ、実施例のキャビティ等と称する場合がある。
【0014】
なお本明細書において、成形型やキャビティに代表される、本発明の製造方法及び成形型に共通する要素に言及する場合には、本発明の製造方法の説明および本発明の成形型の説明を同時に行っているものとする。
【0015】
本発明の製造方法及び本発明の成形型において、成形型のキャビティは、ケース部を成形するための成形領域を複数有し、かつ、当該成形領域の一つでありゲートに連絡する第1成形領域と、成形領域の他の一つであり第1成形領域に隣り合う第2成形領域と、の間に、第1成形領域と第2成形領域とを連絡する連絡領域を有する。
【0016】
以下、必要に応じて、第1成形領域と第2成形領域とを連絡する連絡領域を第1連絡領域と称する場合がある。また、当該第1連絡領域に進入可能でありかつ当該第1連絡領域から退出可能である遮断スライドコアと、必要に応じて、第1遮断スライドコアと称する場合がある。さらに、第1成形領域が連絡するゲートを、必要に応じて、第1ゲートと称する場合がある。
【0017】
本発明の製造方法においては、第1遮断スライドコアの位置を切り替えることによって、大型成形モードまたは小型成形モードを実施する。
【0018】
このうち大型成形モードにおいては、成形型の第1遮断スライドコアを、成形型のキャビティに設けた第1連絡領域から退出させる。これにより、第1成形領域と第2成形領域とが、第1連絡領域によって連絡する。この状態で、ゲートからキャビティに流動樹脂材料を注入すると、当該流動樹脂材料は、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域に注入される。これにより、当該大型成形モードでは、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域に対応する大型の電池ケースを製造することが可能である。
【0019】
一方、小型成形モードにおいては、成形型の第1遮断スライドコアを、成形型のキャビティに設けた第1連絡領域に進入させる。これにより、第1成形領域と第2成形領域とが遮断される。この状態で、ゲートからキャビティに流動樹脂材料を注入すると、当該流動樹脂材料は、第1成形領域には注入されるが、第1連絡領域および第2成形領域には注入されない。これにより、当該小型成形モードでは、第1成形領域に対応する小型の電池ケースを製造することが可能である。
【0020】
本発明の製造方法によると、大型の電池ケースおよび小型の電池ケースを製造する成形型を共通することにより、種々の大きさの電池ケースを製造する成形型に要するコストを低減することが可能である。
本発明の成形型によると、上記した本発明の製造方法と同様に、電池ケースの製造コストを低減することが可能である。
【0021】
また、本発明の製造方法によると、大型成形モードと小型成形モードとで、成形型における第1遮断スライドコアの位置を切り替えることにより、キャビティに注入される流動樹脂材料の量を適宜適切に調整できる。これにより、成形品の略全体が電池ケースとして使用され、成形品における使用しない領域(すなわち既述した残部)は最小限で足る。よって、本発明の製造方法によると、電池ケースの材料に要するコストの高騰を抑制でき、このことによっても、電池ケースの製造に要するコストを低減することが可能である。
本発明の成形型によると、上記した本発明の製造方法と同様に、電池ケースの製造コストを低減することが可能である。
【0022】
以下、本発明の電池ケースの樹脂成形方法および樹脂成形型を、その構成要素毎に説明する。
なお、特に断らない限り、本明細書に記載された数値範囲「x~y」は、下限x及び上限yをその範囲に含む。そして、これらの上限値及び下限値、並びに実施例中に列記した数値も含めてそれらを任意に組み合わせることで新たな数値範囲を構成し得る。更に、上記の何れかの数値範囲内から任意に選択した数値を新たな数値範囲の上限、下限の数値とすることができる。
【0023】
本発明の成形型は、電池を収容するためのケース部を有する電池ケースを成形するための樹脂成形型である。
【0024】
当該電池ケースに収容される電池は、二次電池すなわち蓄電池であっても良いし、一次電池であっても良いが、電極や電解質等の電池構成要素が缶やラミネートフイルム等の電池容器の内部に収められたものを意味する。
【0025】
参考までに、電池を接続する相手側装置は特に限定されず、例えば、工業施設や商業施設に代表される各種施設や住宅等に設置されている電気設備を、当該相手側装置としても良い。また例えば、車両の電動モータに代表される各種の電気・電子機器を、当該相手側装置としても良い。
これらの場合、電池は蓄電池であるのが好適であり、相手側装置としての当該各種の電気設備を通じて各種の電気・電子機器に対して給電するか、または、各種の電気・電子機器に対して直接給電することが想定される。
電池ケースは、一つのみの電池を収容可能であっても良いし、複数の電池を収容可能であっても良い。
【0026】
本発明のキャビティは、電池ケースにおけるケース部を成形するための成形領域を複数有する。
【0027】
本発明の製造方法および本発明の成形型で製造すべき電池ケースは、一つのみのケース部を有しても良いし、複数のケース部を有しても良い。各ケース部の形状は同じであっても良いし異なっていても良い。
同様に、本発明のキャビティが有する複数の成形領域は、同じ形状であっても良いし、異なる形状であって良い。
【0028】
本発明のキャビティは、成形領域の一つでありゲートに連絡する第1成形領域と、成形領域の他の一つであり当該第1成形領域に隣り合う第2成形領域と、を有する。上記したように、第1成形領域と第2成形領域とは同じ形状であっても良いし異なる形状であっても良い。
【0029】
本発明のキャビティは、さらに、上記した第1成形領域と第2成形領域とを連絡する第1連絡領域を有する。当該第1連絡領域は、第1成形領域と第2成形領域とを連絡すればよくその形状は特に限定しないが、第1成形領域と第2成形領域とを滑らかに連絡するのが好適である。
なお、既述したように本発明の製造方法で大型成形モードを実施する場合、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域には流動樹脂材料が注入され、得られた成形品は大型の電池ケースとして用いられる。このことを考慮すると、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域は互いに直列的に配列するのが好適である。
【0030】
本発明のキャビティは、その他の成形領域、すなわち、第1成形領域および第2成形領域以外の成形領域を有し得る。当該その他の成形領域は、第1成形領域や第2成形領域と同じ形状であっても良いし、異なる形状であっても良い。また、本発明のキャビティは当該その他の成形領域を一つのみ有しても良いし複数有しても良い。
【0031】
当該その他の成形領域は、その他の連絡領域を介して、隣り合う成形領域(すなわち、第1成形領域、第2成形領域、または、別のその他の成形領域)に連絡するのが好適である。本発明のキャビティは、その他の成形領域の数に対応する数のその他の連絡領域を有するのが好適ともいい得る。そして、本発明の成形型は、当該その他の連絡領域の数に対応する数の、その他の遮断スライドコアを有するのが好適である。上記のその他の成形領域、その他の連絡領域、その他の遮断スライドコア等については追って説明する。
【0032】
本発明の製造方法は、上記した本発明の成形型を用いて、電池を収容するためのケース部を有する電池ケースを成形するための樹脂成形方法である。
本発明の製造方法で用いる成形型については上記したとおりである。
【0033】
本発明の製造方法は、大型成形モードおよび小型成形モードを実施する方法であるが、大型成形モードと小型成形モードとは異なるタイミングで実施される。
【0034】
大型成形モードでは、キャビティの第1連絡領域から第1遮断スライドコアを退出させ、当該キャビティの第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域に流動樹脂材料を注入する。既述したように、当該大型成形モードにおいては、キャビティの第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域に応じた形状の大型の電池ケースを製造することができる。
【0035】
一方、小型成形モードでは、キャビティの第1連絡領域に第1遮断スライドコアを進入させ、当該キャビティの第1成形領域に流動樹脂材料を注入しつつ、第2成形領域には流動樹脂材料を注入しない。既述したように、当該小型モードにおいては、キャビティの第1成形領域に応じた形状の小型の電池ケースを製造することができる。
【0036】
ここで、本発明の成形型における本発明のキャビティは、既述したように、その他の成形領域(すなわち、第1成形領域および第2成形領域以外の成形領域)や、その他の連絡領域(すなわち、上記の第1連絡領域以外の連絡領域)、当該その他の連絡領域の数に対応する数のその他の遮断スライドコアを有するのが好適である。
【0037】
例えば、その他の成形領域として第3成形領域を有し、上記したその他の連絡領域として第1成形領域と第3成形領域とを連絡する第2連絡領域を有する場合、本発明の成形型は、当該第2連絡領域に進入可能でありかつ当該第2連絡領域から退出可能である第2遮断スライドコアを具備すれば良い。
【0038】
この場合に、例えば、第1遮断スライドコアを第1連絡領域に進入させかつ第2遮断スライドコアを第2連絡領域から退出させれば、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域が第1ゲートに連絡し、第1連絡領域および第2成形領域がここから遮断される。この状態にあるキャビティに第1ゲートから流動樹脂材料を注入すれば、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域に流動樹脂材料が注入され、第1連絡領域および第2成形領域には流動樹脂材料が注入されないために、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域の形状に対応する大型の電池ケースを製造することができる。
【0039】
またこの場合に、例えば、第1遮断スライドコアを第1連絡領域から退出させかつ第2遮断スライドコアを第2連絡領域から退出させることで、第3成形領域、第2連絡領域、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域が第1ゲートに連絡し、この状態にあるキャビティに第1ゲートから流動樹脂材料を注入すれば、第3成形領域、第2連絡領域、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域に流動樹脂材料が注入される。したがってこの場合には、第3成形領域、第2連絡領域、第1成形領域、第1連絡領域および第2成形領域の形状に対応するさらに大型の電池ケースを製造することも可能である。
【0040】
さらにこの場合に、例えば、成形型に第2ゲートを設けて当該第2ゲートに第2成形領域を連絡させても良い。
この場合、第1遮断スライドコアを第1連絡領域に進入させかつ第2遮断スライドコアを第2連絡領域から退出させれば、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域が第1ゲートに連絡し、第1連絡領域および第2成形領域がここから遮断されるとともに、第2成形領域が第2ゲートに連絡する。
この状態にあるキャビティに第1ゲートおよび第2ゲートから各々流動樹脂材料を注入すれば、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域の形状に対応する大型の電池ケースと、第2成形領域の形状の対応する小型の電池ケースとを同時に製造することができる。
【0041】
本発明の成形型が複数のゲートを有する場合、例えば、上記したように成形型が第1成形領域に連絡する第1ゲートと第2成形領域に連絡する第2ゲートとを有する場合には、必要に応じて、各ゲートを開閉するゲート開閉バルブを設けるのが好適である。当該ゲート開閉バルブは、各々独立して動作し、各ゲートを開閉するのが好適である。
【0042】
本発明の成形型が第1成形領域に連絡する第1ゲートと第2成形領域に連絡する第2ゲートを有する場合を例に挙げてゲート開閉バルブの機能を説明する。
【0043】
上記の場合、2つのゲート開閉バルブの一方である第1ゲート開閉バルブにより第1ゲートを開き、かつ、2つのゲート開閉バルブの他方である第2ゲート開閉バルブにより第2ゲートを開いた状態で、第1遮断スライドコアを第1連絡領域に進入させかつ第2遮断スライドコアを第2連絡領域から退出させても良い。この場合には、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域には第1ゲートから流動樹脂材料が注入され、第2成形領域には第2ゲートから流動樹脂材料が注入される。
したがってこの場合には、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域の形状に対応した大型の電池ケースと、第2成形領域の形状に対応する小型の電池ケースとが得られる。
【0044】
一方、上記の場合、第1ゲート開閉バルブにより第1ゲートを開き第2ゲート開閉バルブにより第2ゲートを閉じた状態で、第1遮断スライドコアを第1連絡領域に進入させかつ第2遮断スライドコアを第2連絡領域から退出させても良い。この場合には、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域には第1ゲートから流動樹脂材料が注入され、第2成形領域には流動樹脂材料は注入されない。
したがってこの場合には、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域の形状に対応する大型の電池ケースのみが得られる。
【0045】
さらに上記の場合、第1ゲート開閉バルブにより第1ゲートを閉じ第2ゲート開閉バルブにより第2ゲートを開いた状態で、第1遮断スライドコアを第1連絡領域に進入させかつ第2遮断スライドコアを第2連絡領域から退出させても良い。この場合には、第2成形領域には第2ゲートから流動樹脂材料が注入され、第3成形領域、第2連絡領域および第1成形領域には流動樹脂材料は注入されない。
したがってこの場合には、第2成形領域の形状の沿った小型の電池ケースのみが得られる。
【0046】
本発明の製造方法および本発明の成形型では、上記の各種態様に限らず、様々な成形領域、連絡領域、ゲート、遮断スライドコアおよびゲート開閉バルブを適宜適切に組み合わせ、これらによって、流動樹脂材料を適宜適切な成形領域や連絡領域に注入することによって、様々な大きさの電池ケースを製造することが可能である。
【0047】
さらに、本発明の製造方法および本発明の成形型では、その厚さ方向に突出する立体構造を有する電池ケースを製造しても良い。当該立体構造は、具体的には、電池ケースの内部や端部において電池ケースの厚さ方向に突出する仕切り板や外壁等を意味する。
【0048】
上記の立体構造を有する電池ケースを製造するための本発明の成形型は、そのキャビティに、当該立体構造を成形するための立体構造成形領域を有する。当該立体構造成形領域は、キャビティの厚さ方向に突出する。
【0049】
ところで、上記の立体構造は、電池ケースが収容すべき電池の形状や電池ケースの大きさ等によって、必要である場合もあれば、不要である場合もある。したがって、電池ケースの製造に要する材料コストを低減するためには、必要な場合にのみ、当該立体構造を成形し、不要な場合には当該立体構造を成形しないのが好適である。
【0050】
必要な場合にのみ、上記の立体構造を成形し、不要な場合には当該立体構造を成形しないために、キャビティに立体構造成形領域を有する本発明の成形型は、立体構造成形領域に流動樹脂材料が注入されることを抑制するための、サブ遮断スライドコアを有するのが好適である。そして、本発明の製造方法は、立体構造を成形する立体構造成形モードと、立体構造を成形しない立体構造非成形モードと、を実施するのが好適である。
【0051】
詳しくは、上記のサブ遮断スライドコアは、立体構造成形領域に進入可能であり、かつ、当該立体構造成形領域から退出可能であれば良い。サブ遮断スライドコアが立体構造成形領域に進入すると、立体構造成形領域がキャビティにおける流動樹脂材料の流路(すなわち、第1ゲート、第1成形領域、第2成形領域等)から遮断されるために、立体構造のない電池ケースが製造される。また、サブ遮断スライドコアが立体構造成形領域から退出すると、立体構造成形領域が流動樹脂材料の流路に連絡し、立体構造成形領域に流動樹脂材料が注入されるために、立体構造のある電池ケースが製造される。
【0052】
立体構造成形領域の形状や数は、製造すべき電池ケースの形状に応じて適宜適切に設定すれば良い。サブ遮断スライドコアの形状や数は、立体構造成形領域の形状や数に応じた形状や数にすれば良い。
例えば、立体構造成形領域は、第1連絡領域等の連絡領域に連続していても良いし、当該連絡領域とは異なる位置にあっても良い。
【0053】
本発明の成形型は、第1遮断スライドコアを位置変化させるための駆動装置を有しても良いし、当該駆動装置を有しなくても良い。つまり、本発明の成形型は、駆動装置の駆動力によって第1遮断スライドコアをキャビティの第1連絡領域に対して自動的に進入および退出させても良いし、作業者の手動により第1遮断スライドコアをキャビティの第1連絡領域に対して進入および退出させても良い。これはその他の遮断スライドコアや、ゲート開閉バルブ、サブ遮断スライドコア等についても同様である。
【0054】
以下、具体例を挙げて本発明の製造方法および本発明の成形型を説明する。
【0055】
(実施例1)
実施例1の製造方法および成形型で製造すべき電池ケースを模式的に説明する説明図を図1に示す。実施例1の成形型を模式的に説明する説明図を図2に示す。実施例1の製造方法および成形型を模式的に説明する説明図を図3および図4に示す。なお、図3は大型成形モードを実行している様子を表し、図4は小型成形モードを実行している様子を表す。
以下、上、下、左、右、前、後とは各図に示す上、下、左、右、前、後を指すものとする。
【0056】
実施例1の製造方法では、大型の電池ケースを製造する大型成形モードと、小型の電池ケースを製造する小型成形モードと、を実施する。
【0057】
大型成形モードで製造される大型の電池ケース90は、図1に示すように、前、後、左、右方向に各々立壁を有し上方に開口する箱状をなす。当該電池ケース90は、箱内部に、電池91を収容するための収容部92を有する。
【0058】
図1に示す電池ケース90は、2つのケース部を具備する。当該2つのケース部のうち図1中の後側にあるものを第1ケース部93と称し、図1中の前側にあるものを第2ケース部94と称する。
第1ケース部93と第2ケース部94とは、前後方向に直列的に配列し、滑らかに連続している。
【0059】
第1ケース部93および第2ケース部94の大きさは、左右方向および上下方向においては概略同じである。また、第1ケース部93の大きさは、前後方向においては、第2ケース部94の大きさよりも小さい。
【0060】
実施例1の成形型1は、図2に示すように、固定型10、可動型20、第1遮断スライドコア50およびサブ遮断スライドコア60を具備する。
【0061】
固定型10は、キャビティ3を区画形成するための固定側型面11を有する。可動型20は、キャビティ3を区画形成するための可動側型面21を有する。固定型10と可動型20とが組み合わせられると、固定型10の固定側型面11と可動型20の可動側型面21とによってキャビティ3が区画形成される。
固定型10の固定側型面11によって電池ケース90の外表面が成形され、可動型20の可動側型面21によって電池ケース90の内表面が成形されるともいい得る。
【0062】
固定型10は、文字通り固定されている。可動型20には図略の駆動装置が接続されている。当該駆動装置の駆動力により、可動型20は、固定型10に対して近づく型締め位置(図3)と、固定型10から離れる型開き位置(図略)と、の間をスライド移動する。
【0063】
固定型10の固定側型面11は、後述するキャビティ3の第1成形領域31を区画する固定側第1成形型面12、キャビティ3の第2成形領域32を区画する固定側第2成形型面13、および、キャビティ3の連絡領域33を区画する連絡型面14を有する。
【0064】
また固定型10には、図略の射出成形装置に接続される複数のゲートが設けられている。
当該複数のゲートの1つである第1ゲート15は、固定側第1成形型面12に連絡し、これにより、後述するキャビティ3の第1成形領域31に連絡する。
当該複数のゲートの他の1つである第2ゲート16は、固定側第2成形型面13に連絡し、これにより、後述するキャビティ3の第2成形領域32に連絡する。
当該複数のゲートの他の1つである第3ゲート17もまた、固定側第2成形型面13に連絡し、これにより、後述するキャビティ3の第2成形領域32に連絡する。
【0065】
可動型20の可動側型面21は、後述するキャビティ3の第1成形領域31を区画する可動側第1成形型面22、キャビティ3の第2成形領域32を区画する可動側第2成形型面23、および、キャビティ3の立体構造成形領域34を区画する立体構造成形型面24を有する。
【0066】
第1遮断スライドコア50は、固定型10と図略の駆動装置とに取り付けられ、固定型10に対してスライド移動する。これにより、第1遮断スライドコア50は、後述するキャビティ3の連絡領域33に進入可能であり、かつ当該連絡領域33から退出可能である。
【0067】
サブ遮断スライドコア60は、可動型20と図略の駆動装置とに取り付けられ、型締め位置と型開き位置との間をスライド移動する可動型20に伴ってスライド移動し、かつ、可動型20に対してもスライド移動する。これにより、サブ遮断スライドコア60は、後述するキャビティ3の立体構造成形領域34に進入可能であり、かつ当該立体構造成形領域34から退出可能である。
【0068】
上記したように可動型20を型締位置にスライド移動させると、図3に示すように、固定型10と可動型20との間にキャビティ3が形成される。キャビティ3は、第1成形領域31、第2成形領域32、連絡領域33および立体構造成形領域34を有する。
【0069】
第1成形領域31、第2成形領域32および連絡領域33は、後側から前側に向けて、第1成形領域31、連絡領域33、第2成形領域32の順に直列的に配列している。
立体構造成形領域34は連絡領域33よりもやや後側において第1成形領域31に連続し、連絡領域33よりも下方に向けて突出している。
【0070】
第1成形領域31は、図1に示す大型の電池ケース90のうち第1ケース部93を成形するための領域であり、略箱状をなす。第2成形領域32は、当該電池ケース90のうち第2ケース部94を成形するための領域であり、略箱状をなす。連絡領域33は、第1成形領域31と第2成形領域32とを連絡する領域であり、前後方向および左右方向に延びる略板状をなす。立体構造成形領域34は、立体構造としての小型の電池ケースにおける前側の周壁を成形するための領域であり、上下方向および左右方向に延びる略板状をなす。
【0071】
第1成形領域31は、上下方向および左右方向において第2成形領域32と略同じ大きさであり、前後方向において第2成形領域32よりも小さい。
立体構造成形領域34は、左右方向において第1成形領域31および第2成形領域32と略同じ大きさであり、前後方向において第1成形領域31よりもさらに小さい。連絡領域33および立体構造成形領域34の左右方向の大きさは第1成形領域31および第2成形領域32の左右方向の大きさと略同じである。
【0072】
固定型10には、連絡型面14に連続し上方に開口するスライド溝部18が設けられている。スライド溝部18は連絡領域33に連続するともいい得る。第1遮断スライドコア50は、連絡領域33の上側に配置され当該スライド溝部18に対して上側から出入りする。
【0073】
可動型20には、立体構造成形型面24に連続し下方に開口するサブスライド溝部26が設けられている。当該サブスライド溝部26は立体構造成形領域34に連続するともいい得る。サブ遮断スライドコア60は、立体構造成形領域34の下側に配置され当該サブスライド溝部26に対して下側から出入りする。
【0074】
固定型10は、さらに、第1ゲート15を開閉するための第1開閉バルブ71、第2ゲート16を開閉するための第2開閉バルブ72、および、第3ゲート17を開閉するための第3開閉バルブ73を有する。
【0075】
実施例1の成形型1では、第1開閉バルブ71を開くと第1ゲート15に第1成形領域31が連絡し、第1開閉バルブ71を閉じると第1ゲート15と第1成形領域31とが遮断される。第2開閉バルブ72を開くと第2ゲート16に第2成形領域32が連絡し、第2開閉バルブ72を閉じると第2ゲート16と第2成形領域32とが遮断される。第3開閉バルブ73を開くと第3ゲート17に第2成形領域32が連絡し、第3開閉バルブ73を閉じると第3ゲート17と第2成形領域32とが遮断される。
【0076】
〔大型成形モード〕
図3に示すように、大型成形モードにおいては、第1遮断スライドコア50をスライド溝部18の上側にスライド移動させて、連絡領域33から退出させる。
【0077】
ここで、実施例1の製造方法の大型成形モードで製造する大型の電池ケース90には、立体構造は不要である。したがって、実施例1の製造方法では大型成形モードと立体構造非成形モードとを同時に実施する。
【0078】
したがってこのとき、サブ遮断スライドコア60をサブスライド溝部26内の上側にスライド移動させて、立体構造成形領域34に進入させる。
この状態で、図略の射出成形装置からキャビティ3に向けて、流動樹脂材料を注入する。
【0079】
このとき、第1開閉バルブ71、第2開閉バルブ72および第3開閉バルブ73は何れも開かれている。したがってこのとき、キャビティ3の第1成形領域31は第1ゲート15に連絡し、第2成形領域32は第2ゲート16および第3ゲート17に連絡している。
【0080】
射出成形装置からキャビティ3に向けて注入された流動樹脂材料は、第1ゲート15を経て第1成形領域31に注入されるとともに、第2ゲート16および第3ゲート17を経て第2成形領域32に注入される。
【0081】
また、上記したように第1遮断スライドコア50は連絡領域33から退出しているために、連絡領域33は第1成形領域31および第2成形領域32を連絡している。このため、第1成形領域31および第2成形領域32に注入された流動樹脂材料は連絡領域33にも注入される。
【0082】
さらに、上記したようにサブ遮断スライドコア60は立体構造成形領域34に進入しているために、立体構造成形領域34には流動樹脂材料は注入されない。
【0083】
したがって、大型成形モードでは、キャビティ3の第1成形領域31、連絡領域33および第2成形領域32に流動樹脂材料が注入され、第1成形領域31、連絡領域33および第2成形領域32の形状に応じた形状の大型の電池ケース90が製造される。
【0084】
〔小型成形モード〕
図4に示すように、小型成形モードにおいては、第1遮断スライドコア50をスライド溝部18内の下側にスライド移動させて、連絡領域33に進入させる。
【0085】
実施例1の製造方法の大型成形モードで製造する小型の電池ケースには、立体構造が必要である。したがって、実施例1の製造方法では小型成形モードと立体構造成形モードとを同時に実施する。
【0086】
したがってこのとき、サブ遮断スライドコア60をサブスライド溝部26の下側にスライド移動させて、立体構造成形領域34から退出させる。
この状態で、射出成形装置からキャビティ3に向けて流動樹脂材料を注入する。
【0087】
このとき、第1開閉バルブ71は開かれ、第2開閉バルブ72および第3開閉バルブ73は閉じられている。したがって、キャビティ3の第1成形領域31は第1ゲート15に連絡し、第2成形領域32は第2ゲート16および第3ゲート17から遮断されている。
【0088】
したがって、射出成形装置からキャビティ3に向けて注入された流動樹脂材料は、第1ゲート15を経て第1成形領域31に注入されるが、第2成形領域32には注入されない。
【0089】
また、上記したように遮断スライドコアが連絡領域33に進入しているために、連絡領域33および第2成形領域32は第1成形領域31からも遮断されている。このため、第1成形領域31に注入された流動樹脂材料は、連絡領域33および第2成形領域32には注入されない。
【0090】
さらに、上記したようにサブ遮断スライドコア60は立体構造成形領域34から退出しており、立体構造成形領域34は第1成形領域31に連絡している。このため第1成形領域31に注入された流動樹脂材料は当該立体構造成形領域34にも注入される。
【0091】
したがって、小型成形モードでは、キャビティ3の第1成形領域31および立体構造成形領域34に流動樹脂材料が注入され、第1成形領域31および立体構造成形領域34の形状に応じた形状の小型の電池ケースが製造される。
【0092】
実施例1の製造方法および成形型1によると、大型の電池ケース90および小型の電池ケースを製造する成形型1を共通することができ、これにより、成形型1に要するコストを低減することが可能である。
【0093】
また、実施例1の製造方法によると、大型成形モードと小型成形モードとで、成形型1における第1遮断スライドコア50の位置を切り替えることにより、キャビティ3のうち流動樹脂材料の注入される領域を適宜適切に調整し、ひいては、当該キャビティ3に注入される流動樹脂材料の量を適宜適切に調整できる。これにより、成形品すなわち成形された大型の電池ケース90および小型の電池ケースの略全体が電池ケースとして使用され、当該成形品における使用しない領域は最小限で足る。よって、樹脂材料に要する不要なコストも低減でき、電池ケースの製造に要するコストをより低減することが可能である。
【0094】
さらに、実施例1の製造方法によると、立体構造成形モードと立体構造非成形モードとで、成形型1におけるサブ遮断スライドコア60の位置を切り替えることにより、キャビティ3のうち流動樹脂材料の注入される領域を適宜適切に調整し、ひいては、当該キャビティ3に注入される流動樹脂材料の量を適宜適切に調整できる。これにより、立体構造の必要な電池ケースには当該立体構造を成形でき、かつ、立体構造の不要な電池ケースには立体構造を成形せずに済む。このことによっても、実施例1の製造方法によると、樹脂材料に要する不要なコストをさらに低減でき、電池ケースの製造に要するコストをさらに低減することが可能である。
【0095】
以上本発明を説明してきたが、本発明は、上述した実施形態等に限定されるものではなく、当該実施形態等に記載した要素を適宜抽出し組み合わせて実施することや、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
また、本発明の明細書は、出願当初における各請求項の引用関係に止まらず各請求項に記載された事項を適宜組み合わせた技術思想を開示するものである。
【符号の説明】
【0096】
1:成形型
15:第1ゲート(ゲート)
3:キャビティ
31:第1成形領域(成形領域)
32:第2成形領域(成形領域)
33:連絡領域
34:立体構造成形領域
50:第1遮断スライドコア(遮断スライドコア)
60:サブ遮断スライドコア
90:大型の電池ケース(電池ケース)
91:電池
93:第1ケース部(ケース部)
94:第2ケース部(ケース部)
図1
図2
図3
図4