(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078738
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】貯湯給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20240604BHJP
F24H 15/238 20220101ALI20240604BHJP
F24H 15/32 20220101ALI20240604BHJP
F24H 15/335 20220101ALI20240604BHJP
F24H 15/10 20220101ALI20240604BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240604BHJP
【FI】
F24H1/18 H
F24H15/238
F24H15/32
F24H15/335
F24H15/10
F24H1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191250
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大西 兼造
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
(72)【発明者】
【氏名】清水 泰介
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB24
3L122AB52
3L122BA02
3L122BA13
3L122BA14
3L122BB03
3L122BB12
3L122BB14
3L122DA15
3L122EA34
3L122FA02
3L122GA10
(57)【要約】
【課題】断水時に給湯栓から貯湯タンクの湯水を使用することができる貯湯給湯システムを提供すること。
【解決手段】熱源機(4)と、熱源機(4)の貯湯運転によって加熱した湯水を貯湯する貯湯タンク(2)と、この貯湯タンク(2) の上部の湯水を出湯する出湯通路(12)と、貯湯運転を制御する制御手段(18)を有する貯湯給湯システム(1)において、貯湯タンク(2)からの湯水と上水とを混合するために出湯通路(12)に装備された混合弁(14)と、貯湯運転時に貯湯タンク(2)の下部の湯水を熱源機(4)に送る貯湯ポンプ(7)が装備された貯湯通路(8)と、貯湯通路(8)の貯湯ポンプ(7)と熱源機(4)の間に装備された流路切替弁(8a)と、流路切替弁(8a)で貯湯通路(8)から分岐されて出湯通路(12)の混合弁(14)よりも下流側部分に接続された補助出湯通路(10)を備えた。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源機と、前記熱源機の貯湯運転によって加熱した湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクの上部の湯水を出湯する出湯通路と、前記貯湯運転を制御する制御手段を有する貯湯給湯システムにおいて、
前記貯湯タンクからの湯水と上水とを混合するために前記出湯通路に装備された混合弁と、
前記貯湯運転時に前記貯湯タンクの下部の湯水を前記熱源機に送る貯湯ポンプが装備された貯湯通路と、
前記貯湯通路の前記貯湯ポンプと前記熱源機の間に装備された流路切替弁と、
前記流路切替弁で前記貯湯通路から分岐されて前記出湯通路の前記混合弁よりも下流側部分に接続された補助出湯通路を有することを特徴とする貯湯給湯システム。
【請求項2】
前記制御手段が前記流路切替弁を前記補助出湯通路側に切替えて前記貯湯ポンプを駆動することにより、前記貯湯タンクの湯水を前記出湯通路に供給することができるように構成されたことを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【請求項3】
前記出湯通路の前記補助出湯通路の接続部よりも下流側部分に流量検知手段を有し、
前記制御手段は、前記貯湯ポンプの駆動中に前記流量検知手段の検知流量が予め設定された基準流量以下に低下した場合に、前記貯湯ポンプを停止することを特徴とする請求項2に記載の貯湯給湯システム。
【請求項4】
前記出湯通路の前記補助出湯通路との接続部よりも下流側部分に湯水温度検知手段を有し、
前記制御手段は、前記貯湯タンクの上部の湯水の出湯時に前記湯水温度検知手段で予め設定された基準温度以上の温度を検知した場合に、前記流路切替弁を前記補助出湯通路側に切替えて前記貯湯ポンプを駆動することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱源機で加熱して貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱運転効率が高い熱源機として例えばヒートポンプユニットで加熱された湯水を貯湯タンクに貯湯し、この貯湯タンクの湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムが広く利用されている。例えば特許文献1の貯湯給湯システムは、貯湯タンクの下部からヒートポンプユニットに湯水を導入し、ヒートポンプユニットで加熱した湯水を貯湯タンクの上部に戻して高温の湯水を貯湯する貯湯運転を行う。給湯時には、貯湯タンクの上部から出湯される湯水に混合弁で上水を混合して温度調整した湯水を給湯する。
【0003】
ところで、例えば災害又は事故によって上水道の断水が発生したときには、短期間で復旧しない場合がある。このような場合、貯湯給湯システムの貯湯タンクには湯水が貯留されているので、この貯湯タンクの湯水を取り出して使用することができる。貯湯タンクの下側には排水栓が設けられ、重力を利用して流下する湯水が取り出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
貯湯給湯システムは、通常、屋外に設置されているので、断水時に貯湯タンクの湯水を使用するためには屋外の貯湯タンクまで湯水を取り出しに行く必要がある。また、取り出した湯水を受ける容器が必要であり、この容器に入れた湯水を使用する場所まで運搬する必要がある。そのため、断水時の貯湯タンクの湯水の使用は手間がかかり不便なので、断水時でも普段の給湯使用場所で湯水を使用することができる技術が望まれていた。
【0006】
そこで、本発明は、断水時に給湯栓から貯湯タンクの湯水を使用することができる貯湯給湯システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明の貯湯給湯システムは、熱源機と、前記熱源機の貯湯運転によって加熱した湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクの上部の湯水を出湯する出湯通路と、前記貯湯運転を制御する制御手段を有する貯湯給湯システムにおいて、前記貯湯タンクからの湯水と上水とを混合するために前記出湯通路に装備された混合弁と、前記貯湯運転時に前記貯湯タンクの下部の湯水を前記熱源機に送る貯湯ポンプが装備された貯湯通路と、前記貯湯通路の前記貯湯ポンプと前記熱源機の間に装備された流路切替弁と、前記流路切替弁で前記貯湯通路から分岐されて前記出湯通路の前記混合弁よりも下流側部分に接続された補助出湯通路を有することを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、貯湯ポンプと熱源機の間の流路切替弁で貯湯通路から分岐された補助出湯通路が、出湯通路の混合弁よりも下流側部分に接続されている。従って、貯湯タンクの下部から補助出湯通路を介して出湯通路に湯水を供給することができるので、断水時に貯湯タンクに貯留されている湯水を給湯栓に供給することができ、便利である。
【0009】
請求項2の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記制御手段が前記流路切替弁を前記補助出湯通路側に切替えて前記貯湯ポンプを駆動することにより、前記貯湯タンクの湯水を前記出湯通路に供給することができるように構成されたことを特徴としている。
上記構成によれば、制御手段が流路切替弁を補助出湯通路側に切替えて貯湯ポンプを駆動することにより、補助出湯通路を介して貯湯タンクの湯水を利用することができる。従って、断水時には貯湯タンクに貯留されている湯水を給湯栓に供給することができる。また、断水していなくても、貯湯運転及び出湯をしていないときには、貯湯給湯システムの通路の凍結防止のために貯湯タンクの湯水を循環させることができる。
【0010】
請求項3の発明の貯湯給湯システムは、請求項2の発明において、前記出湯通路の前記補助出湯通路との接続部よりも下流側部分に流量検知手段を有し、前記制御手段は、前記貯湯ポンプの駆動中に前記流量検知手段の検知流量が予め設定された基準流量以下に低下した場合に、前記貯湯ポンプを停止することを特徴としている。
上記構成によれば、補助出湯通路を介して貯湯タンクの湯水を出湯しているときに、出湯通路から出湯される湯水の流量が基準流量以下に低下した場合に貯湯ポンプを停止する。従って、断水時に貯湯タンクに貯留されている湯水を給湯栓に供給し、貯湯タンクが空になったとき又はユーザが給湯栓6を閉栓したときに、貯湯ポンプを停止することができる。それ故、貯湯ポンプの摩耗及び故障、給湯栓までの通路の圧力上昇による漏水を防ぐことができる。
【0011】
請求項4の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記出湯通路の前記補助出湯通路の接続部よりも下流側部分に湯水温度検知手段を有し、前記制御手段は、前記貯湯タンクの上部の湯水の出湯時に前記湯水温度検知手段で予め設定された基準温度以上の温度を検知した場合に、前記流路切替弁を前記補助出湯通路側に切替えて前記貯湯ポンプを駆動することを特徴としている。
上記構成によれば、補助出湯通路を介さない通常の給湯のために混合弁で貯湯タンクからの湯水に上水を混合して出湯するときに、出湯通路から出湯される湯水の温度が基準温度以上である場合に流路切替弁を補助出湯通路側に切替えて貯湯ポンプを駆動する。従って、貯湯タンクの下部から補助出湯通路を介して低温の湯水を混合することによって、例えば混合弁の不具合による基準温度以上の高温出湯を防ぐことができるので、安全性が向上する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の貯湯給湯システムによれば、断水時に給湯栓から貯湯タンクの湯水を使用することができ、通常時においても他の機能を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯システムの説明図である。
【
図2】断水時に給湯栓から貯湯タンクの湯水を使用する場合の説明図である。
【
図3】貯湯タンクの湯水を循環させる場合の説明図である。
【
図4】断水していない通常の給湯時に高温出湯を防ぐ場合の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0015】
最初に、本発明の貯湯給湯システム1の構成について、
図1に基づいて説明する。
貯湯給湯システム1は、貯湯タンク2を備えた貯湯ユニット3と、熱源機4として例えばヒートポンプユニットと、例えば燃焼式の補助熱源機5を有する。この貯湯給湯システム1は、熱源機4で目標貯湯温度に加熱された湯水を貯湯タンク2に貯湯する貯湯運転を行う。目標貯湯温度は、例えば給湯設定温度と給湯使用量の予測に基づいて設定される。補助熱源機5は、貯湯ユニット3から出湯された湯水を、その温度に応じて加熱して又は非加熱で給湯栓6に給湯する。
【0016】
次に、貯湯ユニット3について説明する。
貯湯タンク2の下部には、貯湯運転時に、貯湯タンク2の湯水を熱源機4に送るための貯湯ポンプ7が装備された熱源機往き通路8(貯湯通路)が接続されている。この熱源機往き通路8の貯湯ポンプ7と熱源機4の間には、湯水の流路を切り替える第1切替弁8a(流路切替弁)が配設され、この第1切替弁8aにおいて熱源機往き通路8から補助出湯通路10が分岐されている。通常、第1切替弁8aは、貯湯タンク2から熱源機4まで熱源機往き通路8が連通する状態になっている。
【0017】
貯湯タンク2の上部には、熱源機4で加熱された湯水を貯湯タンク2に戻すための熱源機戻り通路9が接続されている。この熱源機戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える第2切替弁9aが配設され、この第2切替弁9aにおいて熱源機戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9bが、熱源機往き通路8の貯湯ポンプ7よりも上流側部分に接続されている。
【0018】
熱源機戻り通路9の第2切替弁9aよりも上流側には、熱源機4で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9cが配設されている。例えば貯湯運転の開始により熱源機4を起動した直後には十分に加熱することができないので、第2切替弁9aを貯湯タンク2側から戻り分岐通路9b側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯タンク2に湯水を戻さずに循環させることができる。
【0019】
貯湯タンク2の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路11が接続されている。貯湯タンク2の頂部には、貯湯ユニット3から貯湯タンク2の上部の湯水を出湯するための出湯通路12が接続されている。出湯通路12の途中には混合弁14が配設され、給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aが混合弁14に接続されている。そして、貯湯タンク2からの湯水と給水分岐通路11aからの上水とが混合弁14で混合されて、貯湯ユニット3から出湯される。第1切替弁8aで熱源機往き通路8から分岐された補助出湯通路10は、出湯通路12の混合弁14よりも下流側部分に接続されている。混合弁14は、例えば湯水側及び上水側を夫々閉止する閉止機能を備えていてもよい。
【0020】
貯湯タンク2には、複数の貯湯温度センサ2a~2dが高さ方向に所定の間隔を空けて配設されており、貯湯タンク2に貯湯された湯水の温度とその温度の湯水の貯湯量を検知することができる。そして、貯湯された湯水の降温を防ぐため、これら貯湯温度センサ2a~2dと貯湯タンク2を覆うように図示外の保温材が配設されている。
【0021】
給水通路11には、上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、貯湯ユニット3から出湯する湯水の出湯流量を検知する出湯流量センサ12a(流量検知手段)と、貯湯タンク2から出湯される湯水の温度を検知する貯湯タンク出湯温度センサ12bと、貯湯ユニット3からの出湯温度を検知する出湯温度センサ12c(湯水温度検知手段)が配設されている。
【0022】
貯湯タンク2の下方で、給水通路11から排水通路11cとオーバーフロー通路11dが分岐されている。排水通路11cには、排水栓11eが装備されている。オーバーフロー通路11dには、例えば貯湯運転による熱膨張で貯湯タンク2の圧力が所定値以上に高まった場合に湯水を排水して圧力を下げる逃がし弁11fが装備されている。逃がし弁11fは空気を導入する負圧弁の機能を備え、例えば上水の供給を止め、排水栓11eを開けて排水通路11cから排水する際に、オーバーフロー通路11d内が負圧になると空気を導入して貯湯タンク2の変形を防ぐ。
【0023】
貯湯ユニット3の出湯通路12と補助熱源機5の給水口5aは、連結通路15によって接続されている。補助熱源機5の給湯口5bには、給湯栓6に接続された給湯通路16が接続されている。貯湯ユニット3から出湯された湯水は、補助熱源機5を介して給湯栓6に給湯される。
【0024】
貯湯給湯システム1は、貯湯運転において、熱源機4と貯湯ポンプ7を駆動して貯湯タンク2と熱源機4の間で湯水を循環させ、貯湯タンク2の下部から熱源機4に導入した湯水を加熱し、貯湯タンク2の上部に戻して貯湯する。これにより、貯湯タンク2内に、上層の目標貯湯温度の湯水と下層の加熱前の湯水からなる温度成層が形成される。
【0025】
貯湯ユニット3は、貯湯運転を制御し、給湯時に貯湯ユニット3から出湯する湯水の温度調整を制御する貯湯ユニット制御部18(制御手段)を有する。この貯湯ユニット制御部18には、ユーザが例えば給湯設定温度等を設定操作するための操作端末19が接続されている。この操作端末19は補助熱源機5にも接続され、貯湯ユニット制御部18と補助熱源機5とが通信可能に接続されている。
【0026】
次に、上水道の断水時に貯湯タンク2に貯留されている湯水を給湯栓6に供給する場合について、
図2に基づいて説明する。湯水の流れは、通路に示した矢印で表されている。
断水時には、給水通路11から上水が供給されないので、給湯栓6を開けても湯水が出ない。そこで、給湯栓6を開けた状態で、貯湯ユニット制御部18が第1切替弁8aを補助出湯通路10側に切替え、混合弁14を閉止すると共に貯湯ポンプ7を駆動することによって、貯湯タンク2の下部から熱源機往き通路8と補助出湯通路10を介して出湯通路12に湯水を送り出す。
【0027】
このとき、貯湯ユニット制御部18は、給湯栓6から湯水を使用するユーザの操作端末19の操作を受けて、第1切替弁8aの補助出湯通路10側への切替え及び貯湯ポンプ7の駆動を行う。出湯通路12に送り出された湯水は、連結通路15と補助熱源機5を介して開いている給湯栓6から矢印HWで示すように取り出される。
【0028】
ユーザは、必要量の湯水を取り出したら、操作端末19の操作によって貯湯ポンプ7を停止させる。ユーザが給湯栓6を閉栓することによって出湯流量センサ12aの検知流量が予め設定された基準流量以下に低下した場合に、貯湯ユニット制御部18が貯湯ポンプ7を停止させてもよい。
【0029】
次に、貯湯運転、給湯のような各種動作が行われていないときに、貯湯タンク2に貯留されている湯水を利用する場合について、
図3に基づいて説明する。湯水の流れは、通路に示した矢印で表されている。
外気温が所定の温度以下に下がると、貯湯給湯システム1は凍結予防動作として、例えば貯湯タンク2と熱源機4の間で湯水を所定の時間間隔で定期的に循環させる。また、貯湯給湯システム1は、第1切替弁8aと補助出湯通路10を備えているので、貯湯タンク2と熱源機4の間で湯水を循環させていないときに、所定の時間間隔で定期的に補助出湯通路10を介して貯湯タンク2の湯水を循環させる。
【0030】
第1切替弁8aを補助出湯通路10側に切替えて貯湯ポンプ7を駆動すると、貯湯タンク2の下部から熱源機往き通路8と補助出湯通路10を介して混合弁14に湯水が送り出される。給湯栓6が閉栓しているので、湯水は連結通路15側には流れず、混合弁14で貯湯タンク2の上部に戻る湯水と、給水分岐通路11aから給水通路11を介して貯湯タンク2の下部に戻る湯水に分かれる。
【0031】
こうして貯湯タンク2の湯水を循環させることにより、各通路に配設されている凍結防止用のヒータを使用せずに湯水の凍結を防止することができる。湯水を循環可能な通路の凍結防止用のヒータは、省略されてもよい。尚、例えば給水通路11の給水分岐通路11aの分岐部よりも上流側部分、出湯通路12の補助出湯通路10との接続部よりも下流側部分等、湯水の循環ができない通路については、装備されている凍結防止用のヒータで加熱する。
【0032】
次に、貯湯タンク2に貯留されている湯水を給湯に使用する給湯時に、補助出湯通路10を介して出湯通路12に貯湯タンク2の下部の湯水を供給する場合ついて、
図4に基づいて説明する。湯水の流れは、通路に示した矢印で表されている。
貯湯タンク2には、貯湯運転によって予め設定されている基準温度(例えば50℃)以上の湯水が貯湯され、この湯水を給湯栓6から給湯する。尚、基準温度は、短時間の接触では火傷しないように設定された温度である。
【0033】
このとき貯湯ユニット制御部18は、貯湯タンク出湯温度センサ12bの検知温度と給水温度に基づいて、出湯温度が給湯設定温度(例えば40℃)となるように混合弁14での混合比を設定して混合弁14の開度を調整し、貯湯ユニット3から出湯する。そして、出湯温度が給湯設定温度(例えば40℃)となるように、出湯中に混合弁14の開度をさらに調整する。
【0034】
例えば混合弁14に不具合が生じて上水が混合されず、貯湯タンク2の湯水が基準温度以上のまま貯湯ユニット3から出湯されると、補助熱源機5ではこの湯水の温度を下げる手段ことができないので給湯栓6にそのまま給湯される。それ故、貯湯ユニット制御部18は、出湯温度が基準温度以上となった場合には、第1切替弁8aを補助出湯通路10側に切替えて貯湯ポンプ7を駆動することによって、貯湯タンク2の下部の湯水を出湯通路12に供給する。
【0035】
貯湯タンク2の下部には、通常は低温の湯水が貯留され、給水通路11から出湯量と同量の上水が流入する。それ故、貯湯タンク2の下部の低温の湯水が、熱源機往き通路8と補助出湯通路10を介して出湯通路12に供給される。従って、低温の湯水が出湯通路12の基準温度以上の湯水に混合されるので、基準温度以上の高温出湯を防ぐことができ、安全性が向上する。また、上水の給水圧が低い場合に給湯栓6への供給圧を高めるために、貯湯ポンプ7の駆動回転数を調整して出湯通路12で温度を調整した湯水を給湯栓6に供給してもよい。
【0036】
上記の貯湯給湯システム1の作用、効果について説明する。
貯湯給湯システム1は、貯湯ポンプ7と熱源機4の間の第1切替弁8a(流路切替弁)で熱源機往き通路8(貯湯通路)から分岐された補助出湯通路10が、出湯通路12の混合弁14よりも下流側部分に接続されている。従って、貯湯タンク2の下部から補助出湯通路10を介して出湯通路12に湯水を供給することができるので、断水時に貯湯タンク2に貯留されている湯水を普段使用する給湯栓6に供給することができ、便利である。
【0037】
このとき、貯湯ユニット制御部18(制御手段)が第1切替弁8aを補助出湯通路10側に切替えて貯湯ポンプ7を駆動することにより、補助出湯通路10を介して貯湯タンク2の湯水を利用することができる。従って、断水時には貯湯タンク2に貯留されている湯水を給湯栓6に供給することができる。また、断水していなくても、貯湯運転及び出湯をしていないときには、貯湯給湯システム1の通路の凍結防止のために貯湯タンク2の湯水を循環させることができる。
【0038】
補助出湯通路10を介して貯湯タンク2の湯水を貯湯ユニット3から出湯しているときに、出湯通路12から出湯される湯水の流量が基準流量以下に低下した場合に貯湯ポンプ7を停止する。従って、断水時に貯湯タンク2に貯留されている湯水を給湯栓6に供給し、貯湯タンク2が空になったとき又はユーザが給湯栓6を閉栓したときに、貯湯ポンプ7を停止することができる。それ故、貯湯ポンプ7の摩耗及び故障、給湯栓6までの通路の圧力上昇による漏水を防ぐことができる。尚、貯湯タンク2の湯水を循環させている場合には、出湯流量は最初からゼロなので、貯湯ユニット制御部18が例えば循環時間に基づいて循環を停止させる。
【0039】
補助出湯通路10を介さない通常の給湯のために混合弁14で貯湯タンク2からの湯水に上水を混合して出湯するときに、出湯通路12から出湯される湯水の温度が基準温度以上である場合に第1切替弁8aを補助出湯通路10側に切替えて貯湯ポンプ7を駆動する。従って、貯湯タンク2の下部から補助出湯通路10を介して低温の湯水を混合することによって、例えば混合弁14の不具合による基準温度以上の高温出湯を防ぐことができ、貯湯給湯システム1の安全性が向上する。
【0040】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。