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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078740
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】レバー式コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/642 20060101AFI20240604BHJP
   H01R 13/629 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01R13/642
H01R13/629
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191253
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】儀賀 良輔
(72)【発明者】
【氏名】堀口 裕紀
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FA05
5E021FA09
5E021FC25
5E021FC31
5E021FC36
5E021FC38
5E021HB02
5E021HB04
5E021HB05
5E021HB11
5E021HC12
5E021HC31
5E021HC37
5E021JA05
5E021KA06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】体格が大きくなることを抑制しつつ嵌合検知部材の移動を規制できるレバー式コネクタを提供する。
【解決手段】レバー式コネクタであって、雄コネクタ(相手側コネクタ)と嵌合するコネクタ本体と、嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動可能にコネクタ本体に組み付けられており、倍力機構によってコネクタ本体と雄コネクタとの嵌合を補助するレバー12と、待機位置から検知位置まで移動可能にレバー12に組み付けられた嵌合検知部材13と、レバー12に設けられており、嵌合検知部材13が検知位置に移動することを規制する規制部25と、コネクタ本体に設けられており、レバー12が嵌合完了位置近傍まで回動すると、レバー12の回動方向前側から弾性変形部32に当接して弾性変形部32を弾性変形させることにより、弾性変形部32と規制部25との係合を解除する係合解除部と、を備える、レバー式コネクタ。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レバー式コネクタであって、
相手側コネクタと嵌合するコネクタ本体と、
嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動可能に前記コネクタ本体に組み付けられており、倍力機構によって前記コネクタ本体と前記相手側コネクタとの嵌合を補助するレバーと、
待機位置から検知位置まで移動可能に前記レバーに組み付けられており、前記待機位置から前記検知位置まで押し込まれる嵌合検知部材であって、当該嵌合検知部材の押し込み方向前側に向かって延びている弾性変形部を有する嵌合検知部材と、
前記レバーに設けられており、前記弾性変形部に前記押し込み方向前側から係合して前記嵌合検知部材が前記検知位置に移動することを規制する規制部と、
前記コネクタ本体に設けられており、前記レバーが前記嵌合完了位置近傍まで回動すると、前記レバーの回動方向前側から前記弾性変形部に当接して前記弾性変形部を弾性変形させることにより、前記弾性変形部と前記規制部との係合を解除する係合解除部と、
を備える、レバー式コネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のレバー式コネクタであって、
前記弾性変形部は前記係合解除部に押されて前記レバーの回動軸と平行な方向に弾性変形する、レバー式コネクタ。
【請求項3】
請求項2に記載のレバー式コネクタであって、
前記弾性変形部は、弾性変形可能なアーム部と、前記アーム部の先端部から前記回動軸と平行な方向に張り出している張り出し部とを有しており、前記張り出し部において前記押し込み方向前側を向く面が前記規制部に当接する、レバー式コネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のレバー式コネクタであって、
前記張り出し部は、前記押し込み方向前側を向く前記面を有する第1張り出し部と、前記第1張り出し部に対して前記レバーの回動方向前側に一体に設けられており、前記押し込み方向前側に延びている第2張り出し部とを有し、
前記係合解除部が前記第2張り出し部に当接して前記アーム部が弾性変形する、レバー式コネクタ。
【請求項5】
請求項4に記載のレバー式コネクタであって、
前記第2張り出し部は、前記規制部が前記第1張り出し部の前記面に前記押し込み方向前側から当接している状態において、前記規制部に対向する面が、前記レバーの回動方向前側から後側に向かって前記アーム部側に傾斜している第1斜面として形成されており、
前記規制部は、前記第2張り出し部に対向する面が、前記第1斜面と平行な第2斜面として形成されており、
前記第2張り出し部が前記係合解除部に押されて前記第1斜面と前記第2斜面とが面接触する、レバー式コネクタ。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載のレバー式コネクタであって、
前記第1張り出し部において前記押し込み方向後側には、前記押し込み方向前側から後側に向かって前記アーム部側に傾斜する第3斜面が形成されている、レバー式コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レバー式コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、倍力機構によってコネクタ本体と相手側コネクタとの嵌合を補助するレバーを備えるレバー式コネクタにおいて、作業者がレバー式コネクタと相手側コネクタとの嵌合完了を確認するための嵌合検知部材を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載のレバー式コネクタは、レバーと、待機位置から検知位置まで移動可能にレバーに組み付けられている嵌合検知部材とを備えている。同文献に記載のレバー式コネクタはカバーを備えており、そのカバーの側壁から張り出すようにして、緩やかに円弧を描くように延びるガイド受部が設けられている。嵌合検知部材は、レバーが嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動するまでの間はガイド受部によって検知位置への移動が規制される。レバーが嵌合完了位置に達すると、嵌合検知部材がガイド受部から外れることにより、嵌合検知部材を待機位置から検知位置まで押し込むことが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-115418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に記載のレバー式コネクタは、小型化する上で改善の余地があった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のレバー式コネクタは、相手側コネクタと嵌合するコネクタ本体と、嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動可能に前記コネクタ本体に組み付けられており、倍力機構によって前記コネクタ本体と前記相手側コネクタとの嵌合を補助するレバーと、待機位置から検知位置まで移動可能に前記レバーに組み付けられており、前記待機位置から前記検知位置まで押し込まれる嵌合検知部材であって、当該嵌合検知部材の押し込み方向前側に向かって延びている弾性変形部を有する嵌合検知部材と、前記レバーに設けられており、前記弾性変形部に前記押し込み方向前側から係合して前記嵌合検知部材が前記検知位置に移動することを規制する規制部と、前記コネクタ本体に設けられており、前記レバーが前記嵌合完了位置近傍まで回動すると、前記レバーの回動方向前側から前記弾性変形部に当接して前記弾性変形部を弾性変形させることにより、前記弾性変形部と前記規制部との係合を解除する係合解除部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、レバー式コネクタの体格が大きくなることを抑制しつつ嵌合検知部材の移動を規制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態1に係るレバー式コネクタ及び相手側コネクタの斜視図である。
図2図2は、レバー式コネクタの側面図である。
図3図3は、レバー式コネクタ及び相手側コネクタの断面図である。
図4図4は、レバー及び嵌合検知部材の斜視図である。
図5図5は、レバー及び嵌合検知部材の斜視図である。
図6図6は、レバー及び嵌合検知部材の断面図である。
図7図7は、レバーの斜視状態での断面図である。
図8図8は、嵌合検知部材の斜視図(一部断面図)である。
図9図9は、嵌合検知部材を右側(紙面手前側)から見た側面図である。
図10図10は、レバー式コネクタの分解斜視図である。
図11図11は、アウターハウジングの斜視図である。
図12図12は、レバー式コネクタの断面図である。
図13図13は、アウターハウジングの断面図である。
図14図14は、弾性変形部が撓んだ状態でのレバー式コネクタの断面図である。
図15図15は、電線カバーの斜視図である。
図16図16は、レバー及び嵌合検知部材を右側(紙面手前側)から見た側断面図である。
図17図17は、レバー式コネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0010】
(1)本開示のレバー式コネクタは、相手側コネクタと嵌合するコネクタ本体と、嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動可能に前記コネクタ本体に組み付けられており、倍力機構によって前記コネクタ本体と前記相手側コネクタとの嵌合を補助するレバーと、待機位置から検知位置まで移動可能に前記レバーに組み付けられており、前記待機位置から前記検知位置まで押し込まれる嵌合検知部材であって、当該嵌合検知部材の押し込み方向前側に向かって延びている弾性変形部を有する嵌合検知部材と、前記レバーに設けられており、前記弾性変形部に前記押し込み方向前側から係合して前記嵌合検知部材が前記検知位置に移動することを規制する規制部と、前記コネクタ本体に設けられており、前記レバーが前記嵌合完了位置近傍まで回動すると、前記レバーの回動方向前側から前記弾性変形部に当接して前記弾性変形部を弾性変形させることにより、前記弾性変形部と前記規制部との係合を解除する係合解除部と、を備える。
【0011】
前述した特許文献1に記載のレバー式コネクタは、ガイド受部がカバーの側壁から張り出すようにして設けられている上、ガイド受部がレバーの回動範囲の概ね全体に亘って設けられているので、レバー式コネクタの体格が大きくなる。このため、特許文献1に記載のレバー式コネクタは小型化する上で改善の余地があった。
上記(1)に記載のレバー式コネクタによると、嵌合検知部材の移動を規制する規制部がレバーに設けられている。規制部はレバーとともに回動するので、特許文献1に記載のガイド受部のようにレバーの回動範囲の全体に亘って規制部を設けなくてよい。このため上記(1)に記載のレバー式コネクタによると、レバー式コネクタの体格が大きくなることを抑制しつつ嵌合検知部材の移動を規制できる。
【0012】
(2)上記(1)に記載のレバー式コネクタであって、前記弾性変形部は前記係合解除部に押されて前記レバーの回動軸と平行な方向に弾性変形してもよい。
【0013】
係合解除部によって弾性変形部と規制部との係合を解除する場合、係合解除部が弾性変形部をレバーの回動方向後側(レバーの回動軸と平行な方向と直交する方向)に押すことによって係合を解除する構成も可能である。しかしながら、その場合は弾性変形部がレバーの回動方向後側に弾性変形するための空間を確保しなければならないため、レバーの回動方向におけるレバーの幅が広くなるという課題がある。
上記(2)に記載のレバー式コネクタによると、弾性変形部をレバーの回動軸と平行な方向に弾性変形させるので、レバーの回動方向後側に弾性変形させる場合に比べ、レバーの回動方向におけるレバーの幅が広くなることを抑制できる。
【0014】
(3)上記(2)に記載のレバー式コネクタであって、前記弾性変形部は、弾性変形可能なアーム部と、前記アーム部の先端部から前記回動軸と平行な方向に張り出している張り出し部とを有しており、前記張り出し部において前記押し込み方向前側を向く面が前記規制部に当接してもよい。
【0015】
上記(3)に記載のレバー式コネクタによると、張り出し部において押し込み方向前側を向く面が規制部に当接することにより、嵌合検知部材が検知位置に移動することを規制できる。
【0016】
(4)上記(3)に記載のレバー式コネクタであって、前記張り出し部は、前記押し込み方向前側を向く前記面を有する第1張り出し部と、前記第1張り出し部に対して前記レバーの回動方向前側に一体に設けられており、前記押し込み方向前側に延びている第2張り出し部とを有し、前記係合解除部が前記第2張り出し部に当接して前記アーム部が弾性変形してもよい。
【0017】
上記(4)に記載のレバー式コネクタによると、係合解除部が第2張り出し部に当接してアーム部がレバーの回動軸と平行な方向に弾性変形することにより、弾性変形部と規制部との係合を解除できる。
【0018】
(5)上記(4)に記載のレバー式コネクタであって、前記第2張り出し部は、前記規制部が前記第1張り出し部の前記面に前記押し込み方向前側から当接している状態において、前記規制部に対向する面が、前記レバーの回動方向前側から後側に向かって前記アーム部側に傾斜している第1斜面として形成されており、前記規制部は、前記第2張り出し部に対向する面が、前記第1斜面と平行な第2斜面として形成されており、前記第2張り出し部が前記係合解除部に押されて前記第1斜面と前記第2斜面とが面接触してもよい。
【0019】
例えば、第2張り出し部において規制部に対向する面と、弾性変形部において第2張り出し部に対向する面とが、それら2つの面に直交する方向から押されて面接触すると、それら2つの面の摩擦が大きくなり、アーム部が弾性変形しようとする動きがその摩擦によって阻害される。
上記(5)に記載のレバー式コネクタによると、それら2つの面が斜面であるので、第2張り出し部が係合解除部に押されたときに生じるそれら2つの面の摩擦が小さくなる。これにより、アーム部が弾性変形しようとする動きがそれら2つの面の摩擦によって阻害されることを抑制できる。
【0020】
(6)上記(4)又は(5)に記載のレバー式コネクタであって、前記第1張り出し部において前記押し込み方向後側には、前記押し込み方向前側から後側に向かって前記アーム部側に傾斜する第3斜面が形成されていてもよい。
【0021】
例えば、第1張り出し部に第3斜面が形成されていないと、アーム部が弾性変形している状態で作業者が嵌合検知部材を押し込んだとき、第1張り出し部が規制部を乗り越えるために大きな力が必要となり、作業性が低下する。
上記(6)に記載のレバー式コネクタによると、第1張り出し部に第3斜面が形成されているので、第1張り出し部が規制部を乗り越えるために必要な力が小さくなる。このため、嵌合検知部材を押し込む作業の作業性が向上する。
【0022】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0023】
<実施形態1>
実施形態1を、図1から図17を参照しつつ説明する。便宜上、以降の説明において左右方向、前後方向及び上下方向とは、図1に示す左右方向、前後方向及び上下方向を基準とする。以降の説明では、雌端子および電線の図示は省略する場合がある。また、同一の構成要素には一部を除いて図面の符号を省略している場合がある。
【0024】
(1)レバー式コネクタ
図1を参照して、実施形態1に係るレバー式コネクタ1について説明する。レバー式コネクタ1は雄コネクタ2(相手側コネクタの一例)に嵌合される雌コネクタである。レバー式コネクタ1は、雄コネクタ2と嵌合するコネクタ本体11と、コネクタ本体11に組み付けられている合成樹脂製のレバー12と、レバー12に組み付けられている合成樹脂製の嵌合検知部材13とを備えている。
【0025】
(1-1)レバー
図1及び図2に示すように、レバー12は、回動軸14(図2参照)を回動中心として、嵌合初期位置(図1に示す位置)から嵌合完了位置(図2に示す位置)まで回動可能にコネクタ本体11に組み付けられている。図3に示すように、レバー12は梃子の原理(倍力機構の一例)によってレバー式コネクタ1と雄コネクタ2との嵌合および離脱を補助するための部材である。
【0026】
図4に示すように、レバー12は、互いに向き合う2つの脚部15と、2つの脚部15の一端側同士を連結する連結部16とを有している。
2つの脚部15はそれぞれ略板状であり、互いに板面が対向する姿勢で連結部16から延びている。各脚部15は、連結部16から延びている板状の第1脚部15Aと、第1脚部15Aの先端部の内側に一体に形成されて右斜め下に延びている第2脚部15Bとを有している。
【0027】
第1脚部15Aの先端部の下側部分と第2脚部15Bの基端部の下側部分との間には、レバー12が嵌合初期位置にあるときにコネクタ本体11の後述するレバー支持壁74(図11参照)が嵌る溝17が形成されている。
【0028】
第1脚部15Aの基端部の内面には、第1脚部15Aの延伸方向に延びるスライド溝18が形成されている。スライド溝18には嵌合検知部材13の後述する外側アーム部31及び弾性変形部32が挿入される。
第1脚部15Aにおいてスライド溝18を形成している部分には、第1脚部15Aの延伸方向に延びる長方形状の係合穴19が形成されている。係合穴19には嵌合検知部材13の後述する外側アーム部31に形成されている係合突起34が嵌る。
【0029】
第2脚部15Bには、コネクタ本体11に形成されている回動軸14(図2参照)を受け入れる円形の軸受け穴20と、第2脚部15Bの内面において軸受け穴20の周りに配されたギヤ部21とが形成されている。
軸受け穴20は第2脚部15Bを板厚方向(左右方向)に貫通している。軸受け穴20の内周面には第2脚部15Bの延伸方向の両側に凹部22が形成されている。凹部22は、レバー12をコネクタ本体11に組み付ける際に、回動軸14に形成されている後述する2つの凸部14A(図13参照)を通過させるためのものである。
【0030】
ギヤ部21は、軸受け穴20を中心として放射状に延びた形態の第1ギヤ歯21Aおよび第2ギヤ歯21Bを備えている。第1ギヤ歯21Aと第2ギヤ歯21Bとは間隔を空けて配置されている。
【0031】
図5に示すように、連結部16の左側を向く面には右側に向かって凹む検知部材収容凹部23が形成されている。検知部材収容凹部23の底壁23Aは前後両側が第1脚部15Aに連結されておらず、スライド溝18に嵌合検知部材13の外側アーム部31及び弾性変形部32を挿入するための開口23Bが形成されている。
【0032】
図6に示すように、検知部材収容凹部23の底壁23Aの前後両側には、壁面が前後方向を向く壁部24(24A,24B)が一体に形成されている。壁部24は左端部が底壁23Aより左側に位置しており、右端部が底壁23Aより右側に位置している。
【0033】
前側の壁部24Aと後側の壁部24Bとは前後対称である点を除いて実質的に同一であるので、ここでは前側の壁部24Aを例に説明する。前側の壁部24Aの右端部の外面(前側を向く面)には、待機位置にある嵌合検知部材13が検知位置に移動することを規制するための規制部25が一体に形成されている。規制部25は、後述する嵌合検知部材13が備える弾性変形部32に押し込み方向前側(図5に示す右側)から係合して嵌合検知部材13が検知位置に移動することを規制するためのものである。
【0034】
図7に示すように、前側の壁部24Aの右端部の上下方向の幅はスライド溝18の上下方向の幅の概ね半分である。規制部25はスライド溝18の上下方向の概ね中央より下側に配されている。
規制部25は上側且つ前側の角部が面取りされて第2斜面27(弾性変形部の第2張り出し部に対向する面の一例)が形成されている。第2斜面27は、弾性変形部32の後述する第1斜面45(図9参照)と略平行な斜面である。規制部25は右側且つ前側の角部が面取りされて斜面29が形成されている。
【0035】
図5に示すように、検知部材収容凹部23の底壁23Aには、下側且つ前側の角部、及び、下側且つ後側の角部に、前後方向に長い長方形状の貫通穴28が形成されている。貫通穴28には嵌合検知部材13が備える後述する板状のガイド部33が挿入される。
【0036】
(1-2)嵌合検知部材
図1及び図2に示すように、嵌合検知部材13はレバー12に対して待機位置(図1に示す位置)から検知位置(図2に示す位置)まで移動可能にレバー12に組み付けられている。嵌合検知部材13は、作業者がレバー式コネクタ1と雄コネクタ2との嵌合完了を確認するためのものである。嵌合検知部材13は、レバーの嵌合作業完了後、作業者によって待機位置から嵌合完了位置まで押し込まれる。
【0037】
図1に示すように、待機位置にある嵌合検知部材13は一部がレバー12から外に出ている。図2に示すように、検知位置にある嵌合検知部材13は概ね全体が検知部材収容凹部23に収容される。
嵌合検知部材13は、レバー12が嵌合初期位置にあるときは待機位置にあり、レバー12が嵌合初期位置から嵌合完了位置まで回動するまでの間は、レバー12の規制部25によって検知位置への移動が規制される。詳しくは後述するが、レバー12が嵌合完了位置近傍まで回動すると規制部25による規制が解除され、その状態で作業者が嵌合検知部材13を押し込むと検知位置に移動する。尚、待機位置から検知位置に向かう方向前側は、嵌合検知部材13の押し込み方向前側の一例である。
【0038】
図4に示すように、嵌合検知部材13は、前後方向に延びる押込操作部30、押込操作部30の前後両側から右側に向かって延びている弾性変形可能な2つの外側アーム部31、2つの外側アーム部31の内側で押込操作部30から右側(嵌合検知部材13の押し込み方向前側の一例)に向かって延びている2つの弾性変形部32、及び、2つの弾性変形部32の間で押込操作部30から右側に向かって延びている2つの板状のガイド部33を有している。
【0039】
2つの外側アーム部31は板状であり、互いに板面が対向する姿勢で右側に向かって延びている。外側アーム部31の右端部の外面(前側の外側アーム部31の場合は前側を向く面、後側の外側アーム部31の場合は後側を向く面)には係合突起34が一体に形成されている。係合突起34はレバー12の第1脚部15Aに設けられている係合穴19に嵌って嵌合検知部材13を抜け止めするためのものである。
【0040】
2つの弾性変形部32は前後対称な点を除いて同一構成であるので、ここでは後側の弾性変形部32を例に説明する。図8に示すように、弾性変形部32は、押込操作部30から右側(押し込み方向前側)に延びている弾性変形可能な内側アーム部35(アーム部の一例)と、内側アーム部35の先端部(右端部)から内側(レバーの回動軸と平行な方向の一例)に張り出している張り出し部36とを有している。
【0041】
内側アーム部35は板状であり、板面が他方の内側アーム部35の板面に対向する姿勢で右側に向かって延びている。内側アーム部35の上下方向の幅は外側アーム部31の上下方向の幅より狭い。外側アーム部31と内側アーム部35との間には、内側アーム部35が外側アーム部31側に弾性変形するための空間が確保されている。
【0042】
張り出し部36は、上下方向に延びる第1張り出し部37と、第1張り出し部37に対してレバー12の回動方向前側(図8では上側)に一体に設けられており、右側(押し込み方向前側の一例)に延びている第2張り出し部38とを有している。図8に示す点線46は第1張り出し部37と第2張り出し部38との境界を示している。これにより、張り出し部36に略直方体状の凹部39が形成されている。
【0043】
弾性変形部32は、凹部39において右側(押し込み方向前側の一例)を向く面40がレバー12の規制部25に当接して右側への移動が規制される。張り出し部36において左側(押し込み方向後側の一例)の角部には、右側から左側(押し込み方向前側から後側の一例)に向かって後側(内側アーム部35側)に傾斜する第3斜面41が形成されている。
【0044】
第2張り出し部38は、内側アーム部35の上側の端面よりも上側に張り出す凸部42(第2張り出し部38において内側アーム部35の上側の端面よりも上側の部分)を有している。凸部42は後述する電線カバー56に設けられている係合解除部88(図15参照)に当接して弾性変形部32とレバー12の規制部25との係合を解除するためのものである。凸部42は、前側且つ右側の角部、及び、前側且つ上側の角部がそれぞれ面取りされて斜面43及び44が形成されている。
【0045】
図9に示すように、後側の第2張り出し部38は、前側且つ下側の角部が面取りされて第1斜面45が形成されている。第1斜面45は、上側(レバーの回動方向前側の一例)から下側(レバーの回動方向後側の一例)に向かって後側(アーム部側の一例)に傾斜している。第1斜面45は、規制部25が第1張り出し部37に右側(押し込み方向前側の一例)から係合している状態において、規制部25の第2斜面27(図7参照)に対向する面である。詳しくは後述するが、第1斜面45は、後述する係合解除部88によって第2張り出し部38(図8参照)がレバー12の回動方向後側(図9では下側)に押されたときに、規制部25の第2斜面27と面接触する。
【0046】
図4に示すように、ガイド部33は、板面が上下方向を向く姿勢で配されている。ガイド部33の先端部の内側の角部は後述する電線カバー56の内部空間の形状に沿って円弧状に切り欠かれている。
【0047】
(1-3)コネクタ本体
図10に示すように、コネクタ本体11は、前後に並んだ2つのインナーハウジング50、2つのシール部材51、2つのリアホルダ52、シール部材53、アウターハウジング54、リテーナ55、及び、アウターハウジング54に組み付けられている電線カバー56を備えている。
【0048】
インナーハウジング50は、電線(図示せず)の末端が接続された雌端子(図示せず)を保持するものである。インナーハウジング50は上側から見て左右方向に長い長方形状である。インナーハウジング50は上下方向に貫通する複数のキャビティ(図示せず)を有している。各キャビティには雌端子と、雌端子に接続された電線の端末部とが収容されている。
【0049】
シール部材51はゴム等の弾性材料で構成されている。シール部材51は上側から見て左右方向に長い長方形状であり、上下方向にある程度の厚みを有している。シール部材51にはインナーハウジング50の複数のキャビティの開口に対応する位置に、複数の電線を通すための複数の電線貫通孔が設けられている。シール部材51はインナーハウジング50の上面に密着して防水を図るためのものである。
【0050】
リアホルダ52は合成樹脂製である。リアホルダ52は上側から見て左右方向に長い長方形状であり、上下方向にある程度の厚みを有している。リアホルダ52にはシール部材51の複数の電線貫通孔に対応する位置に、電線を通すための複数の電線貫通孔が設けられている。
【0051】
図11に示すように、アウターハウジング54は全体として角筒状であり、上下方向の両側が開放されている。アウターハウジング54は左壁60、右壁61、2つのインナーハウジング50が収容されるインナー収容部105、インナー収容部105より前側に配されている前側レバー支持部65、及び、インナー収容部105より後側に配されている後側レバー支持部(図示せず)を有している。インナー収容部105は互いに平行に左右方向に延びる3つの内壁62,63,64、及び、左右の内壁106を有しており、内壁63によって前後に仕切られている。
【0052】
前側の内壁64の前側を向く面の上端部には2つの係合突起66が左右方向に離間して一体形成されている。これらの係合突起66には電線カバー56が備える係合部が係合される。
左壁60の下端は右壁61の下端より上に位置しており、左側から見て矩形状の開口67が形成されている。開口67はアウターハウジング54の内部にリテーナ55をスライド挿入するためのものである。
【0053】
図12に示すように、インナーハウジング50はアウターハウジング54に上から挿入されてインナー収容部105に収容されており、下端がアウターハウジング54の下端より下まで達している。
シール部材53はインナー収容部105の下端部に嵌着されている。シール部材53はレバー式コネクタ1が雄コネクタ2に嵌合されたときに雄コネクタ2に密着して防水を図るためのものである。
【0054】
シール部材51はインナーハウジング50の上に配されており、シール部材51の上にリアホルダ52が配されている。
インナーハウジング50、シール部材51及びリアホルダ52がアウターハウジング54に収容されている状態のとき、インナーハウジング50のキャビティと、シール部材51の電線貫通孔と、リアホルダ52の電線貫通孔とが上下方向に連通している。
【0055】
図11を参照して、前側レバー支持部65及び後側レバー支持部について説明する。これらは前後対称の形状であるので、ここでは前側レバー支持部65を例に説明する。
前側レバー支持部65は、前側の内壁64の左端部から前側に張り出して下側に延びている左側張り出し部70、前側の内壁64の右端部から前側に張り出して下側に延びている右側張り出し部71、左側張り出し部70の前側に設けられている左前側壁部72、右側張り出し部71の前側に設けられている右前側壁部73、及び、レバー支持壁74を有している。
【0056】
左側張り出し部70は前側から見て上下に長い矩形状である。左側張り出し部70は、前側から見て上側且つ右側の角部が矩形状に切り欠かれている。左側張り出し部70の上端部において切り欠かれていない部分の右側を向く面には縦溝75が形成されている。縦溝75の内部空間の形状は、電線カバー56の四隅に形成されている差し込み部94が嵌る形状である。
右側張り出し部71の形状は、左側張り出し部70において縦溝75が形成されている部分を左右反転させた形状である。
【0057】
左前側壁部72は左側張り出し部70の前側において左側張り出し部70の上下方向の概ね中央より下側に一体に設けられている。左前側壁部72の上側及び右側の角部には、右に向かって下に傾斜する斜面76が形成されている。レバー12が嵌合初期位置にあるとき、レバー12の第2脚部15Bが斜面76に当接することにより、レバー12がそれ以上左側に回動することが規制される。
右前側壁部73は右側張り出し部71の前側において右側張り出し部71の上下方向の概ね中央より下側に一体に設けられている。
【0058】
レバー支持壁74は左右両側の端部が左前側壁部72及び右前側壁部73に接続されている。左前側壁部72、右前側壁部73及びレバー支持壁74によって囲まれる空間は、レバーの第2脚部15Bが収容される収容空間を構成している。当該空間の前後方向の幅はレバーの第2脚部15Bの厚みより少し大きい。
【0059】
図13に示すように、レバー支持壁74の内面には、レバー支持壁74の左右方向の概ね中央に、レバー12の第2脚部15Bに形成されている軸受け穴20に挿入される回動軸14が一体に形成されている。回動軸14は円柱状であり、後側(図13において紙面手前側)に向かって延びている。回動軸14の上下両側には凸部14Aが形成されている。
【0060】
図14に示すように、前側のレバー支持壁74に形成されている回動軸14の凸部14Aは、回動軸14の後側の端部に設けられている。凸部14Aとレバー支持壁74との間隔は、レバー12の第2脚部15Bの厚みより少し大きい。第2脚部15Bは凸部14Aよりも前側で回動軸14に軸支されており、凸部14Aによって抜け止めされている。後側のレバー支持壁74に形成されている回動軸14についても同様である。
【0061】
図10に示すように、リテーナ55は概略箱状であり、上側及び右側が解放されている。リテーナ55は、アウターハウジング54にインナーハウジング50が収容されている状態でアウターハウジング54の前壁の開口67からアウターハウジング54の内部にスライド挿入される。
【0062】
図1に示すように、電線カバー56はアウターハウジング54に組付けられている。電線カバー56は、リアホルダ52から導出された電線を保護するとともに、電線を右側に導出するための部材である。
【0063】
図15に示すように、電線カバー56は上壁80、左壁81、前壁82及び後壁(図示せず)を有しており、右側及び下側が開放されている。
【0064】
上壁80は左側に向かって下に傾斜しており、右端部に電線を引き出すための略円弧状の壁部83が形成されている。上壁80は前後両側が緩やかに湾曲して前壁82及び後壁に連なっている。上壁80には片持ち状のレバーロック片85が一体形成されている。レバーロック片85は右側の基端部を残して上壁を略U字状に切り欠くことによって形成されており、左側に向かって板状に延びている。レバーロック片85の先端部の上面にはレバー12をロックする係合突起86が形成されている。係合突起86の左側且つ上側の角部には左側に向かって下に傾斜する斜面86Aが形成されている。
【0065】
レバー12が嵌合完了位置まで回動すると、係合突起86がレバー12に当接して下に押されることにより、レバーロック片85が下に弾性変形する。レバー12が係合突起86を通過すると、レバーロック片85が元の姿勢に弾性復帰し、レバー12が嵌合初期位置側に回動することが規制される。
【0066】
上壁80の前後両側の緩やかに湾曲している部分には、前後方向に長い長方形状の貫通穴87がそれぞれ形成されている。貫通穴87は嵌合検知部材13のガイド部33が挿入される穴である。
【0067】
上壁80の前後両側の緩やかに湾曲している部分には、貫通穴87の右側に係合解除部88が一体形成されている。ここでは前側の係合解除部88を例に説明する。前側の係合解除部88は、レバー12が嵌合完了位置近傍まで回動すると、レバー12の回動方向前側から嵌合検知部材13の第2張り出し部38の凸部42に回動方向前側から当接して弾性変形部32を前側(レバーの回動軸と平行な方向の一例)に弾性変形させることにより、弾性変形部32とレバー12の規制部25との係合を解除するためのものである。弾性変形部32とレバー12の規制部25との係合が解除されると、嵌合検知部材13を検知位置に向けて押し込み可能になる。
【0068】
前側の係合解除部88は、湾曲している部分から上に張り出している部分88Aと、上に張り出している部分88Aから前側に張り出している部分88Bとを有している。前側に張り出している部分88Bの前側且つ左側の角部は面取りされて斜面89が形成されている。前側に張り出している部分88Bの下側且つ前側の角部も面取りされて斜面90が形成されている。
【0069】
上壁80において緩やかに湾曲している部分には、貫通穴87より左側の位置に突起部91が一体に形成されている。前側の突起部91は略水平な上端面と前側を向く前端面とを有している。後側の突起部91は略水平な上端面と後側を向く後端面とを有している。前端面と後端面との間隔は、前述したレバー12が備える2つの壁部24(図6参照)の間隔と略一致している。
【0070】
前壁82には、係合解除部88の下側に、上下方向に延びる縦溝92が形成されている。縦溝92は嵌合検知部材13が検知位置に押し込まれたときに嵌合検知部材13の内側アーム部35に形成されている第2張り出し部38が収まる溝である。
前壁82において縦溝92より左側には、前壁82の下端から上に向かって延びる2本のスリットによって弾性変形可能に係合片93が形成されている。前壁82において縦溝92より右側にも係合片93が形成されている。これらの係合片93の内側の面の下端部には、アウターハウジング54に形成されている係合突起66(図11参照)に係合する係合爪が形成されている。
電線カバー56の下側の四隅には、アウターハウジング54に形成されている縦溝75に差し込まれる差し込み部94が形成されている。
【0071】
(2)雄コネクタ
図1に示すように、雄コネクタ2(相手側コネクタの一例)は、底板部100と、底板部100の上面に設けられている筒状のフード部101と、を有する。雄コネクタ2にはレバー式コネクタ1の雌端子に接続される雄端子が保持されている。フード部101の外表面には、レバー12の第2脚部15Bに備えられるギヤ部21に対応するギヤ受け部102が設けられている。
【0072】
(3)レバー式コネクタと雄コネクタとの嵌合
図1に示すように、レバー式コネクタ1は、レバー12が嵌合初期位置(図1に示す位置)にある状態で、雄コネクタ2に浅く嵌合される。図3に示すように、その状態でレバー12が嵌合初期位置から嵌合完了位置に向けて回動されると、その回動途中において、レバー12の回動に伴って、レバー12の回動操作によるギヤ部21とギヤ受け部102とのカム作用により、レバー式コネクタ1が雄コネクタ2に相対的に引き寄せられ、レバー式コネクタ1と雄コネクタ2とが嵌合する(図2参照)。
【0073】
(4)レバーと嵌合検知部材との係合、及び、係合の解除
図6に示すように、嵌合検知部材13が待機位置にあるとき、弾性変形部32の張り出し部36に形成されている凹部39(図8参照)にレバー12の規制部25が嵌る。嵌合検知部材13は、凹部39を構成している面のうち右側(押し込み方向前側)を向く面40(図8参照)が規制部25に当接(係合の一例)することによって検知位置への移動が規制される。
【0074】
図16を参照して、レバー12と嵌合検知部材13との係合の解除について説明する。図16は、図1に示す回動初期位置にあるレバー12及び嵌合検知部材13を右側から見た状態を示している。図16ではレバー12は上側に回動される。
ここでは後側の弾性変形部32を例に説明する。嵌合検知部材13の後側の弾性変形部32は、レバー12が嵌合完了位置近傍まで回動すると、第2張り出し部38の凸部42に形成されている斜面44(図8参照)が、電線カバー56の係合解除部88に形成されている斜面90(図15参照)に当接する。
【0075】
その状態でレバー12が更に嵌合完了位置に向かって回動すると、第2張り出し部38の凸部42の斜面44が係合解除部88の斜面90によって押されることにより、第2張り出し部38に、レバー12の回動方向後側(図16では下側)を向く力、及び、後側(レバーの回動軸と平行な方向の一例)を向く力が作用する。
【0076】
第2張り出し部38の下側(すなわち回動方向とは逆側)にはレバー12の規制部25が位置しているため、第2張り出し部38は規制部25に押し付けられる。一方、内側アーム部35と外側アーム部31との間には空間が確保されているため、内側アーム部35は係合解除部88の斜面90が第2張り出し部38を後側(外側アーム部31側)に向けて押す力によって後側に弾性変形する。これにより規制部25による規制が解除され、嵌合検知部材13が検知位置に移動可能となる。
【0077】
上述したように、内側アーム部35は、規制部25に押し付けられながら後側(外側アーム部31側)に弾性変形する。このため、第2張り出し部38の第1斜面45が規制部25の第2斜面27に当接する。このため、第2張り出し部38の第1斜面45と規制部25の第2斜面27との間に摩擦が生じ、弾性変形部32が後側(外側アーム部31側)に弾性変形し難くなる。しかしながら、レバー12では斜面同士が接触するのでその摩擦が軽減され、弾性変形部32が摩擦によって後側に弾性変形し難くなることを抑制できる。
【0078】
図8を参照して、弾性変形部32の張り出し部36の第3斜面41の作用について説明する。ここでは後側の弾性変形部32を例に説明する。弾性変形部32が後側に弾性変形すると、張り出し部36の第3斜面41が概略前側を向く姿勢となる。仮に第3斜面41が形成されおらずに角部であったとすると、作業者が嵌合検知部材13を押し込んだとき、その角部が規制部25に当接して第1張り出し部37が規制部25を乗り越え難くなる。このため、作業者は規制部25を乗り越えさせるために大きな力が必要となる。これに対し、第3斜面41が形成されていると、第1張り出し部37が規制部25を乗り越えるために必要な力が小さくなる。このため、嵌合検知部材13を押し込む作業の作業性が向上する。
【0079】
レバー12が嵌合完了位置まで回動すると、作業者によって嵌合検知部材13が押し込まれる。嵌合検知部材13が押し込まれると、図17に示すように、弾性変形部32の張り出し部36の第3斜面41が、規制部25の斜面29に下から略当接した状態となり、嵌合検知部材13が待機位置に移動することが規制される。
【0080】
(5)実施形態の効果
実施形態に係るレバー式コネクタ1によると、嵌合検知部材13の移動を規制する規制部25がレバー12に設けられている。規制部25はレバー12とともに回動するので、特許文献1に記載のガイド受部のようにレバー12の回動範囲の全体に亘って規制部25を設けなくてよい。このためレバー式コネクタ1によると、レバー式コネクタ1の体格が大きくなることを抑制しつつ嵌合検知部材13の移動を規制できる。
【0081】
レバー式コネクタ1によると、弾性変形部32をレバー12の回動軸と平行な方向に弾性変形させるので、レバー12の回動方向後側に弾性変形させる場合に比べ、レバー12の回動方向におけるレバー12の幅が広くなることを抑制できる。
【0082】
レバー式コネクタ1によると、張り出し部36において嵌合検知部材13の押し込み方向前側を向く面が弾性変形部32に当接することにより、嵌合検知部材13が検知位置に移動することを規制できる。
【0083】
レバー式コネクタ1によると、係合解除部88が第2張り出し部38に当接して内側アーム部35がレバー12の回動軸と平行な方向に弾性変形することにより、弾性変形部32と規制部25との係合を解除できる。
【0084】
レバー式コネクタ1によると、第2張り出し部38は、規制部25に対向する面45(図9参照)が、レバー12の回動方向前側(図9において上側)から後側(図9において上側)に向かって内側アーム部35側に傾斜している第1斜面45として形成されている。一方、規制部25は、第2張り出し部38に対向する面27(図16参照)が、第2張り出し部38の第1斜面45と略平行な第2斜面27として形成されており、第2張り出し部38が係合解除部88に押されて第1斜面45と第2斜面27とが面接触する。このようにすると、第2張り出し部38が係合解除部88に押されたときに生じるそれら2つの面の摩擦が小さくなる。これにより、それら2つの面の摩擦によって内側アーム部35が弾性変形し難くなることを抑制できる。
【0085】
レバー式コネクタ1によると、第1張り出し部37に第3斜面41が形成されているので、第1張り出し部37が規制部25を乗り越えるために必要な力が小さくなる。このため、嵌合検知部材13を押し込む作業の作業性が向上する。
【0086】
<他の実施形態>
(1)上記実施形態では検知位置が待機位置よりレバー12の回動軸14に近い位置である場合を例示した。言い換えると、嵌合検知部材13をレバー12の回動軸14側に向けて押し込む場合を例に説明した。これに対し、検知位置は待機位置よりレバー12の回動軸14から遠い位置であってもよい。言い換えると、嵌合検知部材13を引き上げてもよい。すなわち、嵌合検知部材13を移動させることによってレバー式コネクタ1の嵌合を確認できれば嵌合検知部材13はどのような方向に移動してもよい。
【0087】
(2)上記実施形態では弾性変形部32が係合解除部88に押されてレバー12の回動軸と平行な方向(例えば図9に示す例の場合、前側の弾性変形部32は前側、後側の弾性変形部32は後側)に弾性変形する場合を例示した。しかしながら、弾性変形部32が弾性変形する方向はこれに限られない。例えば、弾性変形部32は係合解除部88に押されてレバー12の回動方向後側に弾性変形してもよい。
【0088】
(3)上記実施形態では弾性変形部32が弾性変形可能な内側アーム部35と張り出し部36とを有しており、張り出し部36において右側(押し込み方向前側)を向く面が規制部25に当接する場合を例示した。これに対し、弾性変形部32は張り出し部36を有しておらず、内側アーム部35の先端面(右側を向く面)が規制部25に当接してもよい。
【0089】
(4)上記実施形態では張り出し部36が第1張り出し部37と第2張り出し部38とを有している場合を例示したが、張り出し部36は第1張り出し部37だけを有していてもよいし、第2張り出し部38だけを有していてもよい。
例えば、第1張り出し部37だけを有している場合は、第1張り出し部37が電線カバー56の係合解除部88に当接してもよい。第2張り出し部38だけを有している場合は、内側アーム部35の先端面がレバー12の規制部25に当接してもよい。
【0090】
(5)上記実施形態では、第2張り出し部38に第1斜面45が形成されており、規制部25に第2斜面27が形成されている場合を例示したが、これらの斜面は形成されていなくてもよい。例えば、第2張り出し部38において弾性変形部32に対向する面がレバー12の回動方向を向いており、同じく弾性変形部32において第2張り出し部38に対向する面もレバー12の回動方向を向いており、それら2つの面が、それら2つの面に直交する方向から押されて面接触してもよい。
【0091】
(6)上記実施形態では、第1張り出し部37において押し込み方向後側の角部に第3斜面41が形成されている場合を例示したが、第3斜面41は形成されていなくてもよい。
【符号の説明】
【0092】
1: レバー式コネクタ
2: 雄コネクタ
11: コネクタ本体
12: レバー
13: 嵌合検知部材
14: 回動軸
14A: 凸部
15: 脚部
15A: 第1脚部
15B: 第2脚部
16: 連結部
17: 溝
18: スライド溝
19: 係合穴
20: 軸受け穴
21: ギヤ部
21A: 第1ギヤ歯
21B: 第2ギヤ歯
22: 凹部
23: 検知部材収容凹部
23A: 底壁
23B: 開口
24: 壁部
24A: 壁部
24B: 壁部
25: 規制部
27: 第2斜面
28: 貫通穴
29: 斜面
30: 押込操作部
31: 外側アーム部
32: 弾性変形部
33: ガイド部
34: 係合突起
35: 内側アーム部
36: 張り出し部
37: 第1張り出し部
38: 第2張り出し部
39: 凹部
40: 面
41: 第3斜面
42: 凸部
43: 斜面
44: 斜面
45: 第1斜面
50: インナーハウジング
51: シール部材
52: リアホルダ
53: シール部材
54: アウターハウジング
55: リテーナ
56: 電線カバー
60: 左壁
61: 右壁
62,63,64: 内壁
65: 前側レバー支持部
66: 係合突起
67: 開口
70: 左側張り出し部
71: 右側張り出し部
72: 左前側壁部
73: 右前側壁部
74: レバー支持壁
75: 縦溝
76: 斜面
80: 上壁
81: 左壁
82: 前壁
83: 壁部
85: レバーロック片
86: 係合突起
87: 貫通穴
88: 係合解除部
88A: 上に張り出している部分
88B: 前側に張り出している部分
89: 斜面
90: 斜面
91: 突起部
92: 縦溝
93: 係合片
94: 差し込み部
100: 底板部
101: フード部
102: ギヤ受け部
105: 内側筒部
106: 内壁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17