(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078758
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/21 20060101AFI20240604BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
B41J 29/42 20060101ALI20240604BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240604BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J2/21
B41J29/38 204
B41J29/38 301
B41J29/42 F
B41J2/01 451
B41J2/01 401
G03G21/00 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191286
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】荒金 覚
(72)【発明者】
【氏名】森川 彰太
(72)【発明者】
【氏名】近藤 智哉
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056EB13
2C056EB29
2C056EB45
2C056EC72
2C056FA10
2C056FA13
2C061AP01
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061CQ04
2C061CQ23
2C061CQ32
2C061CQ34
2C061CQ41
2C061HJ07
2C061HK05
2C061HK07
2C061HN04
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV26
2C061HV32
2H270LA14
2H270LC02
2H270MB07
2H270QB05
2H270RA10
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】記録材の量が多いことで生じ得る汚れを抑制する。
【解決手段】複合機のCPUは、記録時に使用されるインクの量を調整可能である。CPUは、用紙Pの種類(汚れに関する指標値)に基づいて、調整値をインクの量が少なくなる方向に変更する(S6a,S6b)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対して記録材により画像の記録を行う記録部と、
調整値に基づいて前記記録時に使用される前記記録材の量を調整する制御部と、を備え、
前記制御部は、汚れに関する指標値に基づいて、前記調整値と前記調整値に関する値との少なくとも一方を前記記録材の量が少なくなる方向に変更する変更処理を実行することを特徴とする、記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記変更処理において、前記調整値を変更することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記調整値を入力するための入力部をさらに備え、
前記制御部は、前記変更処理において、前記調整値に関する値である前記入力部に入力可能な調整値の最大値を変更することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項4】
記録媒体は、前記指標値が互いに異なる第1記録媒体及び第2記録媒体を含み、
前記第1記録媒体を用いた場合の前記変更処理における前記値の変更幅は、前記第2記録媒体を用いた場合の前記変更処理における前記値の変更幅よりも大きいことを特徴とする、請求項2又は3に記載の記録装置。
【請求項5】
汚れ抑制機能のオン信号を受信する受信部をさらに備え、
前記制御部は、前記受信部が前記オン信号を受信した場合に、前記変更処理を実行することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記変更処理を実行する前に、前記変更処理が必要であることを報知する報知処理を実行し、
前記報知処理を実行した後に、前記変更処理の実行が許可されるか否かを判断する判断処理を実行し、
前記判断処理において前記変更処理の実行が許可されると判断した場合に、前記変更処理を実行することを特徴とする、請求項1に記載の記録装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記画像の画素値を前記記録材の濃度に対応した濃度値に変換する第1変換処理と、
前記濃度値を前記記録材の量を示すデータに変換する第2変換処理と、を実行し、
前記第1変換処理の後、前記第2変換処理の前に、前記変更処理を実行しかつ変更後の前記調整値に基づいて前記濃度値を調整することを特徴とする、請求項1~6のいずれか1項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に対して記録材により記録を行う記録部と調整値に基づいて記録時に使用される記録材の量を調整する制御部とを備えた記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、調整値に応じて画像データの濃度を調整することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録媒体の種類等によっては、記録材の量が多くなると、汚れが生じ得る。例えば、記録材の浸透により膨潤し易い記録媒体の場合、膨潤した記録媒体が記録部に接触することで記録部が記録材で汚れたり、記録媒体の詰まりが生じることで記録媒体が汚れたりし得る。
【0005】
本発明の目的は、記録材の量が多いことで生じ得る汚れを抑制可能な記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、記録媒体に対して記録材により画像の記録を行う記録部と、調整値に基づいて前記記録時に使用される前記記録材の量を調整する制御部と、を備え、前記制御部は、汚れに関する指標値に基づいて、前記調整値と前記調整値に関する値との少なくとも一方を前記記録材の量が少なくなる方向に変更する変更処理を実行することを特徴とする、記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る複合機1の斜視図である。
【
図3】複合機1の電気的構成を示すブロック図である。
【
図4】複合機1のディスプレイ71に表示される画面の一例を示す模式図である。
【
図5】複合機1のCPUが実行するプリント機能に対応するアプリケーションプログラムを示すフロー図である。
【
図6】本発明の第2実施形態に係る複合機のディスプレイ71に表示される画面の一例を示す模式図である。
【
図7】本発明の第3実施形態に係る複合機のCPUが実行するプリント機能に対応するアプリケーションプログラムを示すフロー図である。
【
図8】本発明の第4実施形態に係る複合機のCPUが実行するプリント機能に対応するアプリケーションプログラムを示すフロー図である。
【
図9】
図8のS40でディスプレイ71に表示される画面の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
本発明の第1実施形態に係る複合機1は、
図1に示すように、筐体1aと、筐体1aの上部に設けられたフラットベッド式の読取部50と、筐体1aの上部に開閉可能に取り付けられたカバー1cと、筐体1aに対して引出可能な給紙トレイ1m及び排紙トレイ1nと、を備えている。筐体1aの前面には、パネル70が設けられている。前面は、搬送方向の下流側の面をいう。パネル70は、タッチパネル式のディスプレイ71と、操作ボタン72とを含む。
【0009】
筐体1aの内部には、
図2に示すように、下面に複数のノズル11を有するヘッド10と、ヘッド10を保持するキャリッジ2と、キャリッジ2を紙幅方向に移動させる走査部3と、用紙Pを下方から支持するプラテン4と、用紙Pを搬送方向に搬送する搬送部5と、制御装置9とが設けられている。
【0010】
用紙Pが本発明の「記録媒体」に該当し、ヘッド10が本発明の「記録部」に該当し、複合機1が本発明の「記録装置」に該当する。紙幅方向及び搬送方向は、鉛直方向と直交すると共に、互いに直交する。
【0011】
走査部3は、キャリッジ2を支持する一対のガイド3a,3bと、キャリッジ2に連結されたベルト3cとを含む。ガイド3a,3b及びベルト3cは、紙幅方向に延びている。制御装置9の制御によりキャリッジモータ3M(
図3参照)が駆動されると、ベルト3cが走行し、ガイド3a,3bに沿ってキャリッジ2が紙幅方向に移動する。
【0012】
プラテン4は、キャリッジ2及びヘッド10の下方に配置されている。プラテン4の上面に、用紙Pが載置される。
【0013】
搬送部5は、給紙トレイ1m(
図1参照)に設けられた給紙ローラ(図示略)と、2つのローラ対5a,5bとを有する。搬送方向においてローラ対5aとローラ対5bとの間に、ヘッド10、キャリッジ2及びプラテン4が配置されている。制御装置9の制御により搬送モータ5M(
図3参照)が駆動されると、給紙トレイ1m(
図1参照)に配置された用紙Pは、給紙ローラにより送り出された後、ローラ対5a,5bにより搬送方向に搬送され、ヘッド10の下方を通過し、排紙トレイ1n(
図1参照)に受容される。
【0014】
制御装置9は、
図3に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93及びI/F(Interface)94を有する。ROM92には、CPU91が各種制御を行うためのプログラムやデータが格納されている。RAM93は、CPU91がプログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。I/F94は、外部とのデータの送受信を行う。
【0015】
CPU91は、I/F94が受信したデータ(画像を示す画像データを含む。)に基づいて、ROM92やRAM93に記憶されているプログラムやデータにしたがい、記録制御を実行する。記録制御は、用紙Pへの画像の記録に係る制御であり、搬送部5により用紙Pを搬送方向に所定量搬送させる搬送処理と、走査部3によりヘッド10を紙幅方向に移動させながら用紙Pに対してノズル11からインクを吐出させる走査処理と、を含む。これにより、用紙P上に、インクのドットが形成され、画像が記録される。
【0016】
CPU91が本発明の「制御部」に該当し、RAM93が本発明の「記憶部」に該当し、I/F94が本発明の「受信部」に該当する。
【0017】
読取部50は、筐体1aの上部により構成される原稿台60(
図1参照)と、筐体1aの内部に設けられた読取ユニット(図示略)とを有する。カバー1cが開いた状態のときに、原稿台60に原稿が載置される。その後、カバー1cが閉じられることで、外部からの光が読取ユニットに入り込むことが抑制される。読取ユニットが読み取った原稿の画像データは、制御装置9に送信される。
【0018】
複合機1は、読取部50により原稿の画像を読み取るスキャン機能、読取部50が読み取った画像を用紙Pに記録するコピー機能、外部装置100から受信したファクシミリデータに基づく画像を用紙Pに記録するファクシミリ機能、及び、外部装置100から受信した記録指令に基づく画像を用紙Pに記録するプリント機能を有する。
【0019】
ディスプレイ71に表示されたスキャン機能、コピー機能及びファクシミリ機能を示すアイコン(
図4(a)参照)のうち所望の機能に係るアイコンをユーザがタッチすることに応じて、CPU91は、当該機能に対応するアプリケーションプログラムを実行する。プリント機能については、外部装置100から記録指令を受信することに応じて、CPU91は、プリント機能に対応するアプリケーションプログラムを実行する。
【0020】
プリント機能に対応するアプリケーションプログラムにおいて、CPU91は、記録時に使用されるインクの量を調整可能である。具体的には、ディスプレイ71に表示されたインク量調整画面(
図4(b)参照)において所望のインク量をユーザが指示することに応じて、CPU91は、記録時に使用されるインクの量を調整する。
【0021】
ここで、
図5を参照し、プリント機能に対応するアプリケーションプログラムについて説明する。
【0022】
CPU91は、先ず、外部装置100から記録指令を受信したか否かを判断する(S1
:YES)。
【0023】
外部装置100から記録指令を受信していないと判断した場合(S1:NO)、CPU91は、S1の処理を繰り返す。
【0024】
外部装置100から記録指令を受信したと判断した場合(S1:YES)、CPU91は、記録指令に含まれる画像データが示す画像の色に対応したRGB(レッド、グリーン、ブルー)値を、インクの色に対応したCMYK値に変換する(S2:第1変換処理)。RGB値は本発明の「画素値」に該当し、CMYK値は本発明の「濃度値」に該当する。
【0025】
S2の後、CPU91は、ディスプレイ71(
図4(b)参照)からの信号に基づいて、インク量の調整を行うか否かを判断する(S3)。
【0026】
インク量の調整を行わないと判断した場合(S3:NO)、CPU91は、処理をS7に進める。
【0027】
インク量の調整を行うと判断した場合(S3:YES)、CPU91は、上記信号が示す調整値が所定値よりも大きいか否かを判断する(S4)。ここで、所定値は、インク量が多くなる方向の、ある調整値である。例えば、所定値は、ディスプレイ71(
図4(b)参照)における調整値「0」又は「+1」であってよい。
【0028】
調整値が所定値よりも大きいと判断した場合(S4:YES)、CPU91は、当該記録に使用される用紙Pが普通紙であるか否かを判断する(S5)。例えば、CPU91は、S1で受信した記録指令に含まれる情報、給紙トレイ1mに設けられた用紙センサ(図示略)からの情報等に基づいて、S5の判断を行ってよい。
【0029】
用紙Pは、普通紙の他、光沢紙等が用いられる。普通紙は本発明の「第1記録媒体」に該当し、光沢紙は本発明の「第2記録媒体」に該当する。普通紙は、光沢紙よりも、インクの浸透により膨潤し易い。そのため、普通紙の場合、記録時のインク量が多くなると、膨潤した用紙Pがヘッド10に接触することでヘッド10がインクで汚れたり、用紙Pの詰まりが生じることで用紙Pが汚れたりし得る。即ち、普通紙は光沢紙よりもヘッド10の汚れや用紙Pの汚れが生じ易く、普通紙と光沢紙とは「汚れに関する指標値」が互いに異なる。本実施形態では、用紙Pの種類が「汚れに関する指標値」に該当する。
【0030】
用紙Pが普通紙であると判断した場合(S5:YES)、CPU91は、調整値をインクの量が少なくなる方向に変更すると共に、S2で得られたCMYK値を当該変更後の調整値に基づいて調整する(S6a)。
【0031】
S6aは、後述のS6bと共に、本発明の「変更処理」に該当する。S6aにおける調整値の変更幅は、S6bにおける調整値の変更幅よりも大きい。例えば、ディスプレイ71(
図4(b)参照)において調整値「0」が指定された場合、S6aでは「-4」、S6bでは「-3」に変更されてよい。
【0032】
用紙Pが普通紙でないと判断した場合(S5:NO)、CPU91は、調整値をインクの量が少なくなる方向に変更すると共に、S2で得られたCMYK値を当該変更後の調整値に基づいて調整する(S6b)。
【0033】
調整値が所定値よりも大きくないと判断した場合(S4:NO)、CPU91は、調整値を変更することなく、S2で得られたCMYK値を当該調整値に基づいて調整する(S6c)。
【0034】
S6a、S6b又はS6cの後、CPU91は、処理をS7に進める。
【0035】
S7において、CPU91は、CMYK値を吐出データに変換する(第2変換処理)。吐出データは、1記録周期(用紙P上に形成される画像の解像度に対応する単位距離だけ用紙Pがヘッド10に対して相対移動するのに要する時間)毎の、各ノズル11から吐出されるべきインクの体積(大滴、中滴、小滴、ゼロのいずれか)を示す。
【0036】
インク量を少なくする方向の調整が行われた場合、ある記録周期において、インクの体積が大滴から中滴に変更され、或いは、インクの体積が中滴から小滴に変更されてよい。また、インク量を多くする方向の調整が行われた場合、ある記録周期において、インクの体積が中滴から大滴に変更され、或いは、インクの体積が小滴から中滴に変更されてよい。
【0037】
S7の後、CPU91は、搬送部5、走査部3及びヘッド10を制御し、用紙Pに画像を記録させる。S8の後、CPU91は、当該プログラムを終了する。
【0038】
以上に述べたように、本実施形態によれば、用紙Pの種類(汚れに関する指標値)に基づいて、調整値をインクの量が少なくなる方向に変更する(
図5のS6a,S6b参照)。これにより、インクの量が多いことで生じ得る汚れを抑制できる。
【0039】
第2実施形態では調整値の最大値を変更するのに対し、本実施形態では調整値を変更する(
図5のS6a,S6b参照)。この場合、調整値自体が自動的に変更されることで、インクの量が多いことで生じ得る汚れをより確実に抑制できる。
【0040】
普通紙は、光沢紙よりも、インクの浸透により膨潤し易い。そのため、普通紙の場合、記録時のインク量が多くなると、膨潤した用紙Pがヘッド10に接触することでヘッド10がインクで汚れたり、用紙Pの詰まりが生じることで用紙Pが汚れたりし得る。そこで、本実施形態では、普通紙と光沢紙とで変更幅を異ならせ、普通紙の場合に記録材の量をより少なくする(
図5のS6a,S6b参照)。これにより、インクの量が多いことで生じ得る汚れを抑制できる。
【0041】
インク量を調整する際、CPU91は、
図5に示すように、RGB値をCMYK値に変換した(S2)後、CMYK値を吐出データに変換する(S7)前に、変更処理(S6a,S6b)を実行しかつ変更後の調整値に基づいてCMYK値を調整する。S2の前に、変更処理を実行しかつ変更後の調整値に基づいてRGB値を調整すると、色味のズレが生じ易い。また、S5の後に、変更処理を実行しかつ変更後の調整値に基づいて吐出データを調整すると、調整が極端になり易い。本実施形態では、S2の後かつS7の前に、変更処理を実行しかつ変更後の調整値に基づいてCMYK値を調整することで、色味のズレや極端な調整を抑制しつつ、インクの量を適切に調整可能である。
【0042】
<第2実施形態>
続いて、本発明の第2実施形態について説明する。
【0043】
第1実施形態では調整値を変更するのに対し、第2実施形態では調整値の最大値を変更する。
【0044】
調整値の最大値とは、調整値に関する値であり、ディスプレイ71(
図6(a),(b)参照)を介して入力可能な調整値の最大値である。例えば、CPU91は、用紙Pが光沢紙であると判断した場合、
図6(a)に示すように、調整値の最大値を「2」とする一方、用紙Pが普通紙であると判断した場合、
図6(b)に示すように、調整値の最大値を「0」とする。
【0045】
本実施形態によれば、ユーザが入力可能な調整値の最大値を、用紙Pの種類(汚れに関する指標値)に基づいて、インクの量が少なくなる方向に変更する(
図6(a),(b)参照)。これにより、ユーザによる入力を制限し、インクの量が多いことで生じ得る汚れを抑制できる。
【0046】
<第3実施形態>
続いて、本発明の第3実施形態について説明する。
【0047】
第1実施形態では用紙Pの種類に基づいて変更処理が実行されるのに対し、第3実施形態では汚れ抑制機能のオン/オフに基づいて変更処理が実行される。即ち、第1実施形態では用紙Pの種類が「汚れに関する指標値」に該当するのに対し、第3実施形態では汚れ抑制機能のオン/オフが「汚れに関する指標値」に該当する。
【0048】
CPU91は、プリント機能に対応するアプリケーションプログラム(
図7参照)において、S5を除いて第1実施形態(
図5参照)と同様の処理を実行する。
【0049】
調整値が所定値よりも大きいと判断した場合(S4:YES)、CPU91は、S5の代わりに、汚れ抑制機能がオンであるか否かを判断する(S35)。例えば、ディスプレイ71又は操作ボタン72(
図3参照)から汚れ抑制機能のオン信号がI/F94に受信された場合、CPU91は汚れ抑制機能がオンであると判断する。
【0050】
汚れ抑制機能がオンであると判断した場合(S35:YES)、CPU91はS6aを実行する。汚れ抑制機能がオンでないと判断した場合(S35:NO)、CPU91はS6bを実行する。
【0051】
本実施形態によれば、ユーザの指示に応じて、汚れ抑制機能がオンの場合に調整値がインクの量が少なくなる方向に変更されることで、インクの量が多いことで生じ得る汚れを抑制できる。
【0052】
<第4実施形態>
続いて、本発明の第4実施形態について説明する。
【0053】
第1実施形態ではユーザへの報知が行われることなく変更処理が実行されるのに対し、第4実施形態では変更処理の実行前にユーザへの報知が行われる。
【0054】
CPU91は、プリント機能に対応するアプリケーションプログラム(
図8参照)において、第1実施形態(
図5参照)の処理に加え、S40,S41の処理をさらに実行する。
【0055】
調整値が所定値よりも大きいと判断した場合(S4:YES)、CPU91は、ディスプレイ71の表示、スピーカ(図示略)による音声等を介して、変更処理が必要であることを報知する(S40:報知処理)。例えば、ディスプレイ71には
図9のような画面が表示される。
【0056】
S40の後、CPU91は、ディスプレイ71又は操作ボタン72を介した入力に基づいて、変更処理の実行が許可されるか否かを判断する(S41:判断処理)。例えば、
図9の場合、CPU91は、ディスプレイ71の「YES」又は「NO」の表示部分をユーザがタッチすることに応じて、変更処理の実行が許可されるか否かを判断する
【0057】
変更処理の実行が許可されると判断した場合(S41:YES)、CPU91は、処理をS5に進め、変更処理を実行する(S6a,S6b)。一方、変更処理の実行が許可されないと判断した場合(S41:NO)、CPU91は、変更処理を実行せず、S2で得られたCMYK値を当該調整値に基づいて調整する(S6c)。
【0058】
本実施形態によれば、強制的に変更処理を実行するのではなく、ユーザの判断に基づいて変更処理を実行する。これにより、ユーザ所望の記録を実現できる。
【0059】
<変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な設計変更が可能なものである。
【0060】
上述の各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。例えば、第2実施形態(
図6参照)のように調整値の最大値を変更すると共に、第1実施形態(
図5参照)のように調整値自体を変更してもよい。また、第3実施形態(
図7参照)のように汚れ抑制機能のオンを判断した場合に、第2実施形態(
図6参照)のように調整値の最大値を変更してもよい。
【0061】
上述の実施形態では、プリント機能に対応するアプリケーションプログラムにおけるインク量の調整処理について説明したが、例えばコピー機能又はファクシミリ機能に対応するアプリケーションプログラムにおいて、プリント機能に対応するアプリケーションプログラムと同様の調整処理が行われてよい。
【0062】
第1実施形態では用紙Pが光沢紙等の場合(S5:NO)、第3実施形態では汚れ抑制機能がオフの場合(S35:NO)、調整値が変更されるが、調整値が変更されなくてもよい。即ち、S6bにおける調整値の変更幅は、S6aにおける調整値の変更幅よりも小さければよく、ゼロであってもよい。
【0063】
調整値の最大値を変更することは、例えば最大値を「2」から「0」に変更する場合に、第2実施形態のように「0」を超えた値が表示されない構成(
図6参照)に限定されず、「0」を超えた値が表示されるがグレーアウトされていてユーザが入力不能な構成であってもよい。
【0064】
入力部は、上述の実施形態ではタッチ式のディスプレイ71によるものであるが、音声による入力部であってもよい。
【0065】
記録材は、上述の実施形態ではインクであるが、インク以外の液体(例えば、インク中の成分を凝集又は析出させる処理液等)であってもよい。また、記録材は、インク等の液体に限定されず、トナー等であってもよい。
【0066】
記録部は、上述の実施形態ではシリアル式であるが、ライン式であってもよい。また、記録部は、液体吐出方式に限定されず、レーザー方式、熱転写方式等であってもよい。
【0067】
記録媒体は、用紙に限定されず、例えば、布、基板、プラスチック部材等であってもよい。
【0068】
本発明に係る記録装置は、複合機に限定されない。例えば、本発明に係る記録装置は、記録部を有するが読取部を有さない装置であってもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 複合機(記録装置)
10 ヘッド(記録部)
71 ディスプレイ(入力部)
91 CPU(制御部)
93 RAM(記憶部)
94 I/F(受信部)
P 用紙(記録媒体)