(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078768
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】照明構造
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20240604BHJP
F21V 33/00 20060101ALI20240604BHJP
A47K 3/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F21S2/00 432
F21V33/00 200
F21S2/00 435
A47K3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191307
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010054
【氏名又は名称】コイト電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】在原 快
(72)【発明者】
【氏名】立川 徹
【テーマコード(参考)】
2D005
3K014
3K244
【Fターム(参考)】
2D005FA00
3K014PF03
3K244AA05
3K244BA50
3K244CA02
3K244EA02
3K244LA01
(57)【要約】
【課題】物品の外観向上や空間演出効果に加え、思いがけない驚きやおもしろさを与えることができる照明技術を提供する。
【解決手段】照明構造1は、浴槽2の縁21に形成された凹部3と、凹部3内に配置された光源4と、凹部3内に配置され、凹部3の内底面33に対して傾けられたレンズ5と、を備えている。レンズ5は、凹部3内を、水が進入可能な一方の空間と、水が進入不能な他方の空間とに仕切っており、当該他方の空間に光源4が配置されている。レンズ5は、光源4からの光を一方の空間の内底面33に向けて屈折させる。一方の空間に水が充填されていない状態では、内底面33で反射した光が一方の空間の内側面32に当たる。一方の空間に水が充填された状態では、内底面33で反射した光が凹部3外に出射して凹部3が発光しているように視認される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の表面に形成された凹部と、
前記凹部内に配置された光源と、
前記凹部内に配置され、前記凹部の内底面に対して傾けられたレンズと、を備え、
前記レンズは、前記凹部内を、水が進入可能な一方の空間と、水が進入不能な他方の空間とに仕切っており、当該他方の空間に前記光源が配置されており、
前記レンズは、前記光源からの光を前記一方の空間の内底面に向けて屈折させ、
前記一方の空間に水が充填されていない状態では、前記一方の空間の内底面で反射した光が前記一方の空間の内側面に当たり、
前記一方の空間に水が充填された状態では、前記一方の空間の内底面で反射した光が前記凹部外に出射して前記凹部が発光しているように視認される
ことを特徴とする照明構造。
【請求項2】
前記凹部の内底面に光拡散加工が施されている
ことを特徴とする請求項1に記載の照明構造。
【請求項3】
前記凹部が細長い溝状に形成されており、前記光源が前記凹部の長手方向一端部に配置されている
ことを特徴とする請求項1に記載の照明構造。
【請求項4】
前記一方の空間の開口部を一部分を除いて塞いだ透明板と、前記一部分に設けられた網と、を備え、前記網の隙間から前記一方の空間に水が進入する
ことを特徴とする請求項1に記載の照明構造。
【請求項5】
前記物品としての浴槽の縁に前記凹部が形成されている
ことを特徴とする請求項1~4の何れか1項に記載の照明構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水と光を用いた照明技術に関するものである。
水中導光照明構造
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、浴槽上部から入浴者の首や肩に湯水を吐水する吐水部と、吐水部の吐水口近傍を線状に光らせる光照射部と、を備えた照明付き吐水装置が開示されている。この光照射部は、主に浴槽の外観向上や空間演出効果を目的として設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昨今、上記従来技術のように、外観向上や空間演出効果を目的として物品の一部を単に光らせるだけの照明技術は珍しくなくなってきている。
【0005】
そこで、本発明は、物品の外観向上や空間演出効果に加え、思いがけない驚きやおもしろさを与えることができる照明技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、物品の表面に形成された凹部と、前記凹部内に配置された光源と、前記凹部内に配置され、前記凹部の内底面に対して傾けられたレンズと、を備え、前記レンズは、前記凹部内を、水が進入可能な一方の空間と、水が進入不能な他方の空間とに仕切っており、当該他方の空間に前記光源が配置されており、前記レンズは、前記光源からの光を前記一方の空間の内底面に向けて屈折させ、前記一方の空間に水が充填されていない状態では、前記一方の空間の内底面で反射した光が前記一方の空間の内側面に当たり、前記一方の空間に水が充填された状態では、前記一方の空間の内底面で反射した光が前記凹部外に出射して前記凹部が発光しているように視認されることを特徴とする照明構造である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、物品の外観向上や空間演出効果に加え、思いがけない驚きやおもしろさを与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一実施形態にかかる照明構造が適用された浴槽を示す図である。
【
図2】
図1中のA-A線に沿った断面の模式図である。
【
図3】
図2の凹部内に水が充填された状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態にかかる「照明構造」を
図1~4を参照して説明する。
【0010】
図1に示すように、本例の照明構造1は、浴槽2に適用されたものである。
図2に示すように、照明構造1は、浴槽2の縁21に形成された凹部3と、凹部3内に配置された光源4と、凹部3内に配置され、凹部3の内底面に33対して傾けられたレンズ5と、凹部3の開口部34を一部分を除いて塞いだ透明板6と、開口部34の前記一部分に設けられた網7と、を備えている。
【0011】
本例では、凹部3が浴槽2の縁21の一辺かつ壁と接していない長辺に形成されているが、縁21の四辺それぞれに凹部3が形成されていてもよい。凹部3は、前記長辺の全域にわたって細長い溝状に形成されている。凹部3の内底面33には光拡散加工が施されている。
【0012】
光源4は、凹部3の長手方向一端の内側面31に配置されている。
【0013】
レンズ5は、両凸の集光レンズである。ただし、光源4側が平形状であってもよい。レンズ5は、凹部3の長手方向一端側に配置されており、凹部3内を、水が進入可能な一方の空間(
図2の右側)と、水が進入不能な他方の空間(
図2の左側)とに仕切っている。また、光源4は、他方の空間に配置されている。
【0014】
透明板6は、アクリル等の透光性の材料で形成されている。透明板6には光拡散加工が施されている。透明板6は、上記一方の空間の開口部34の大部分を塞いでいる。全部を塞ぐと一方の空間に水を充填することができないため、全部は塞いでいない。そして、一方の空間の開口部34のその余の部分(透明板6以外の部分)に網7が設けられている。上記他方の空間の開口部34は、遮光性の材料で塞がれている。
【0015】
網7は、上記一方の空間に水を通し、ごみを通さないためのものである。網7は、アクリル等の透光性の材料で形成されている。網7は、透明板6と一体成形されていてもよい。網7は、レンズ5の近傍と、凹部3の長手方向他端との2箇所に設けられている。本例の場合、例えば、浴槽2から溢れた湯水や、シャワーから吐水された湯水が網7の隙間から上記一方の空間に進入する。
【0016】
上記構成の照明構造1は、光源4の点灯状態かつ凹部3の一方の空間に水が充填されていない状態では凹部3が発光しているように見えないが、光源4の点灯状態かつ凹部3の一方の空間に水が充填された状態では凹部3が発光しているように見える。
【0017】
上記現象について
図2~4を参照してより詳しく説明する。
図2~4中の矢印は、光源4から照射された光の進路の一例を表している。
【0018】
光源4は光を照射する。レンズ5は、光源4からの光を受光して、光を一方の空間の内底面33に向けて屈折させる。
図2に示すように一方の空間に水が充填されていない状態では、レンズ5から出射して一方の空間の内底面33で反射した光が、一方の空間の内側面32に当たり、減衰する。よって凹部3が発光しているように見えない。前記内側面32は、凹部3の長手方向他端の内側面であり、光源4が配置された内側面31と対向する内側面である。
【0019】
一方、
図3,4に示すように一方の空間に水が充填された状態では、レンズ5から出射して一方の空間の内底面33で反射した光が、透明板6や網7を透過して凹部3外に出射する。よって凹部3全体が発光しているように視認される。このように、水が充填されていない状態と水が充填された状態とで違いが生じるのは、水によってレンズ5透過後の光の屈折率が変わるからである。このため、凹部3の水の量により、発光の様子が異なることになる。
【0020】
上記照明構造1によれば、少ない光源4(本例では1つ)かつ簡素な構成でありながら、浴槽2の外観向上や空間演出効果に加え、思いがけない驚きやおもしろさを与えることができる。
【0021】
上述した実施形態では、浴槽2に適用された照明構造1について説明したが、本発明の照明構造は、浴槽以外の物品に適用してもよい。例えば、観光施設、遊園地、商業施設などの装飾的設備に適用してもよい。
【0022】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0023】
1 照明構造
2 浴槽(物品)
3 凹部
4 光源
5 レンズ
6 透明板
7 網