(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007877
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】ダブルドリルヘッド
(51)【国際特許分類】
E21B 6/02 20060101AFI20240112BHJP
E21B 3/02 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
E21B6/02
E21B3/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109252
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000168506
【氏名又は名称】鉱研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 敦志
(72)【発明者】
【氏名】竹内 湧希
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129AB21
2D129BA07
2D129DA12
2D129DA22
2D129DC11
2D129DC34
(57)【要約】
【課題】パーカッションドリルヘッドとロータリードライブとを併設し、駆動力を効率良く使用することができ、コンパクトで軽量な構造とすることができるダブルドリルヘッドを提供する。
【解決手段】ボーリングロッドに打撃力及び回転力を伝達するハンマーサブ8と、ハンマーサブ8を回転させる駆動モータ10と、ハンマーサブ8の周囲に設けられてハンマーサブ8の打撃力を緩和する弾性部材13とを備えたパーカッションドリルヘッド4と、ボーリングロッドが貫通する回転可能なスピンドル21と、ボーリングロッドを把持及び解除するチャックピース28及びチャックピース28を把持動作させる油圧チャックシリンダ32とを備え、パーカッションドリルヘッド4に横並び状態で組み付けられた貫通型のロータリードライブ5と、パーカッションドリルヘッド4の駆動モータ10のトルクをロータリードライブ6に伝達する伝達ギヤ機構38とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボーリングロッドに打撃力及び回転力を伝達するハンマーサブと、前記ハンマーサブを回転させる駆動モータと、前記ハンマーサブの周囲に設けられてハンマーサブの打撃力を緩和する弾性部材とを備えたパーカッションドリルヘッドと、
ボーリングロッドが貫通する回転可能なスピンドルと、前記ボーリングロッドを把持及び解除するチャックピース及びチャックピースを把持動作させる油圧チャックシリンダとを備え、前記パーカッションドリルヘッドに横並び状態で組み付けられた貫通型のロータリードライブと、
前記パーカッションドリルヘッドの前記駆動モータのトルクを前記ロータリードライブに伝達する伝達ギヤ機構とを備えていることを特徴とするダブルドリルヘッド。
【請求項2】
前記パーカッションドリルヘッド及び前記貫通型のロータリードライブは、地盤改良機に対して掘削位置の切り換え可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載のダブルドリルヘッド。
【請求項3】
前記地盤改良機は、ガイドセルに対し長さ方向への移動可能となっているスライドテーブルと、前記スライドテーブルに横方向移動可能に設けられたシフトテーブルとを備え、前記パーカッションドリルヘッド及び前記貫通型のロータリードライブは、前記シフトテーブルの横方向への移動によって前記掘削位置の切り換えがなされることを特徴とする請求項2に記載のダブルドリルヘッド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーカッションドリルヘッドとロータリードライブとを併設したダブルドリルヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、パーカッションドリルヘッドとセンターホール式のオーガマシンとをリーダに併設することにより掘削の効率を向上させた地盤改良機が従来装置として開示されている。
この地盤改良機は、リーダに昇降可能な昇降枠に対してパーカッションドリルヘッド及びオーガマシンを同軸にリーダに併設するか、2つの昇降枠をリーダの周方向に設け、一方の昇降枠にパーカッションドリルヘッドを取り付け、他方の昇降枠にオーガマシンを取り付けた構造となっている。
【0003】
このような従来装置では、オーガマシンに鋼管杭をセットして地盤に打ち込み、硬質地盤等に遭遇して打ち込みが困難になったとき、鋼管杭をオーガマシンから取り外した後、ボーリングロッドをオーガマシンに貫通させてパーカッションドリルヘッドに連結する。そして、パーカッションドリルヘッドによって硬質地盤を破砕した後、ボーリングロッドを取り外して鋼管杭をオーガマシンにセットし、オーガマシンによって鋼管杭の打ち込みを再開するものである。これにより1台の地盤改良機でオーガマシンとパーカッションドリルヘッドとを使用することができ、施工能率を向上させることが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来装置では、オーガマシンとパーカッションドリルヘッドとがそれぞれの駆動源を備えて別個に駆動する構造となっている。このようにそれぞれが駆動源を備えている場合には、部品点数が多く、大型で大重量の構造となる。
また、オーガマシンとパーカッションドリルヘッドのそれぞれの駆動源が独立しているため、一方の駆動源を他方の駆動源に利用することがない。このため駆動力の効率の良い使用ができない問題がある。
【0006】
本発明は、このような従来装置の問題点を考慮してなされたものであり、パーカッションドリルヘッドとロータリードライブとを併設した構造とすることにより、駆動力を効率良く使用することができ、コンパクトで軽量な構造とすることができるダブルドリルヘッドを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のダブルドリルヘッドは、ボーリングロッドに打撃力及び回転力を伝達するハンマーサブと、前記ハンマーサブを回転させる駆動モータと、前記ハンマーサブの周囲に設けられてハンマーサブの打撃力を緩和する弾性部材とを備えたパーカッションドリルヘッドと、
ボーリングロッドが貫通する回転可能なスピンドルと、前記ボーリングロッドを把持及び解除するチャックピース及びチャックピースを把持動作させる油圧チャックシリンダとを備え、前記パーカッションドリルヘッドに横並び状態で組み付けられた貫通型のロータリードライブと、
前記パーカッションドリルヘッドの前記駆動モータのトルクを前記ロータリードライブに伝達する伝達ギヤ機構とを備えていることを特徴とする。
【0008】
本発明において、前記パーカッションドリルヘッド及び前記貫通型のロータリードライブは、地盤改良機に対して掘削位置の切り換え可能に取り付けられていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明において、前記地盤改良機は、ガイドセルに対し長さ方向への移動可能となっているスライドテーブルと、前記スライドテーブルに横方向移動可能に設けられたシフトテーブルとを備え、前記パーカッションドリルヘッド及び前記貫通型のロータリードライブは、前記シフトテーブルの横方向への移動によって前記掘削位置の切り換えがなされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、パーカッションドリルヘッドの駆動モータのトルクをロータリードライブに伝達させる伝達ギヤ機構を設けてロータリードライブのスピンドルを回転させるため、ロータリードライブ側では、回転のためのオイルモータ等の駆動源が不要となり、コンパクトで軽量な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施形態のダブルドリルヘッドの縦断面図である。
【
図2】ボーリングロッドの連結を示す縦断面図である。
【
図4】ダブルドリルヘッドを組み付けた地盤改良機の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1~
図4により、本発明の一実施形態のダブルドリルヘッド1を説明する。
図1は一実施形態のダブルドリルヘッド1の縦断面図、
図2はボーリングロッドの連結を示す縦断面図、
図3は斜視図、
図4は地盤改良機の斜視図である。
【0013】
図1~
図3に示すように、ダブルドリルヘッド1は、パーカッションドリルヘッド4及びロータリードライブ5をケース2内に横並び状に組み付けることにより形成されている。
【0014】
パーカッションドリルヘッド4はボーリングロッド6を打撃及び回転させることにより硬質地盤を掘削するドリルヘッドである。パーカッションドリルヘッド4においては、スピンドルギヤ7がベアリング12を介してケース2内に回転可能に取り付けられており、このスピンドルギヤ7内にハンマーサブ8が軸方向(図示例では上下方向)に挿入されている。ハンマーサブ8はピン9を介してスピンドルギヤ7に係合状態で挿入されており、スピンドルギヤ7が回転することによりハンマーサブ8が回転する。
【0015】
ハンマーサブ8の後端には、ハンマースプール16が同軸的に配置されている(
図2)。ハンマースプール16がパーカッションシリンダからなる打撃機構(図示省略)によって打撃されることによりハンマーサブ8に打撃力が伝達され地盤を打撃するビットに衝撃を伝える。
符号13は、複数の皿ばねからなる弾性部材である。弾性部材13はハンマーサブ8の軸方向中間部分に配置されており、ハンマーサブ8の打撃力を緩和するように作用する。弾性部材13としては、皿ばねに代えてコイルばねを用いても良い。
【0016】
パーカッションドリルヘッド4は、オイルモータからなる駆動モータ10を備えている。
図1及び
図2に示すように、駆動モータ10のモータピニオン11には、カウンタピニオン14のカウンタギヤ15が噛合し、このカウンタギヤ15にスピンドルギヤ7が噛合している。これにより駆動モータ10が回転駆動すると、スピンドルギヤ7が回転する。
【0017】
図2に示すように、ハンマーサブ8の先端には、給水口60及び排水口61を有するクリーニングスイベル63が連結されている。クリーニングスイベル63には、マスターカップリング64が連結され、マスターカップリング64内にエクステンションロッド65が装着されている。エクステンションロッド65の先端には、アウターロッド6a及びインナーロッド6bからなるボーリングロッド6が連結されており、ハンマーサブ8の打撃力及び回転力がボーリングロッド6に伝達されてボーリングロッド6が打撃及び回転して地盤を掘削する。地盤の掘削時には、給水口60からボーリングロッド6のインナーロッド6bに掘削水が供給され、掘削後のスライムを含む掘削水がアウターロッド6aからマスターカップリング64とエクステンションロッド65との間を通って排水口61から排出される。
【0018】
ロータリードライブ5は、貫通孔20が軸方向(図示例では上下方向)に形成されたスピンドル21を有した貫通型のロータリードライブである。スピンドル21はベアリング22を介してケース2内に回転可能に取り付けられており、パーカッションドリルヘッド4から回転力が伝達されることにより回転する。スピンドル21の貫通孔20には、ボーリングロッド6が挿入され、スピンドル21が回転することによりボーリングロッド6が回転して地盤を掘削する。このようなロータリードライブ5はパーカッションドリルヘッド4と共通したボーリングロッドを使用するものである。なお、スピンドル21はケース2の両端部に取り付けられたカバープレート24及びエンドプレート25の間に配置されている。
【0019】
スピンドル21の軸方向の中間部分には、スピンドル21の一部を開口した開口部23が形成されている。開口部23はスピンドル21の径方向に沿って複数形成されており、それぞれの開口部23にチャック部材27のチャックピース28が配置されている。
【0020】
チャックピース28は、スピンドル21のそれぞれの開口部23に配置されている。チャックピース28の上下端部には、チャックスプリング29が取り付けられており、チャックピース28はチャックスプリング29によってそれぞれの開口部23に取り付けられる。チャックピース28はスピンドル21内を貫通したボーリングロッド6を把持すると共に把持を解除するように動作する。
【0021】
チャック部材27はチャックピース28に加えて、スライドリング30、スライドプレート31、油圧チャックシリンダ32を備えている。
スライドリング30は軸方向に延びた筒状に形成されており、全てのチャックピース28の外側を覆うように設けられている。スライドリング30の内面及びチャックピース28の外面はテーパ面33で接触しており、スライドリング30が一方向(図示例では上方向)に移動すると、チャックピース28がスピンドル21から押し出されてボーリングロッド6に食い込み、ボーリングロッド6を把持する。一方、スライドリング30が逆方向に移動すると、チャックピース28への押圧が解除され、チャックピース28はチャックスプリング29のばね力によって退避し、これによりチャックピース28によるボーリングロッド6の把持が解除される。
【0022】
スライドプレート31は、油圧チャックシリンダ32に連結された状態でチャックシリンダ32の先端部に取り付けられている。油圧チャックシリンダ32は油圧によって伸縮動作する。油圧チャックリンダ32は
図1及び
図2に示すように、スライドリング30の周囲に複数が配置されており、伸縮動作することによりスライドプレート31を軸方向に往復移動させ、これによりスライドリング30が一体的に往復移動する。このスライドリング30の往復移動によってチャックピース28によるボーリングロッド6の把持及び解除が行われる。
スライドリング30とスライドプレート31との間には、クロスローラベアリング34が配置されることによりスラスト荷重及びラジアル荷重の双方の荷重を受けるようになっている。
このようなチャック部材27は油圧によって動作することから、その動作を自動化することができる。
【0023】
以上のロータリードライブ5は、パーカッションドリルヘッド4の回転力が伝達されることによりスピンドル21が回転するものであり、この回転のため、ロータリードライブ5のスピンドル21にはパーカッションドリルヘッド4の駆動モータ10のトルクが伝達される。この伝達を行う伝達ギヤ機構38は、駆動モータ10のモータピニオン11と、モータピニオン11に噛合したカウンタギヤ15と、ロータリードライブ5側のスピンドルギヤ35とによって形成されている。
【0024】
図1及び
図2に示すように、ロータリードライブ5のスピンドルギヤ35がキー36を介してスピンドル21に組み付けられた状態で、パーカッションドリルヘッド4側のカウンタギヤ15に噛合している。このような伝達ギヤ機構38では、パーカッションドリルヘッド4の駆動モータ10のトルクをロータリードライブ5側のスピンドル21に伝達して同スピンドル21が回転するため、ロータリードライブ5側では、スピンドル21を回転させるためのオイルモータ等の駆動源が不要となる。
【0025】
図4は、以上のダブルドリルヘッド1を取り付けた地盤改良機40を示す。地盤改良機40は走行及び旋回のためのクローラ42を備えたベースマシン41と、ダブルドリルヘッド1を始めとした地盤改良機40の全体の駆動を行う動力源となるパワーユニット43とを備えている。ベースマシン41には、ガイドセル44が立設されている。ガイドセル44は傾斜シリンダ45によってベースマシン41に対し、角度調整が可能となっている。
【0026】
ガイドセル44には、チェーン46が長さ方向に沿って走行可能に取り付けられている。ガイドセル44の後端部には、チェーン46を走行させるための給進モータ47が設けられ、給進モータ47の駆動によってダブルドリルヘッド1の全体がガイドセル44に対し長さ方向に沿って移動可能となっている。
ダブルドリルヘッド1はパーカッションドリルヘッド4とロータリードライブ5とがガイドセル44の軸方向と直交する方向に横並び状態となっている。
【0027】
図4に示すように、チェーン46にはスライドテーブル50が取り付けられ、このスライドテーブル50にシフトテーブル51が取り付けられ、シフトテーブル51にダブルドリルヘッド1が取り付けられている。この場合、
図1及び
図2に示すように、ダブルドリルヘッド1のケース2におけるパーカッションドリルヘッド4側に設けた取付用ブラケット2aをシフトテーブル51に取り付けることによりダブルドリルヘッド1が地盤掘削機40に装着される。
給進モータ47の駆動によってチェーン46がガイドセル44の長さ方向に沿って一方向(図示例では上方向)に走行することによりスライドテーブル50が同方向に移動し、これによりシフトテーブル51が一体に移動してダブルドリルヘッド1の全体が引き上げられて、ボーリングロッド6の引き上げが行われる。一方、給進モータ47の逆方向の駆動によってチェーン46がガイドセル44の長さ方向に沿って逆方向に走行することによりスライドテーブル50が同方向に移動し、シフトテーブル51が一体に移動してダブルドリルヘッド1が地盤方向に移動し、ボーリングロッド6が給進する。
【0028】
シフトテーブル51は横方向に移動可能にスライドテーブル50に取り付けられている。シフトテーブル51の横方向の移動は、シリンダ、オイルモータ等の駆動手段を備えたシフト機構52により行われる。シフト機構52はスライドテーブル50に取り付けられており、シフト機構52が駆動することによりシフトテーブル51が横移動してダブルドリルヘッド1のガイドセル44に対する位置が変更する。これによりパーカッションドリルヘッド4、ロータリードライブ5のいずれか一方がガイドセル44に沿った掘削位置に移動する。
このような構造では、スライドテーブル50に対してシフトテーブル51が横移動することによりパーカッションドリルヘッド4、ロータリードライブ5の間で掘削位置の切り換えが行われる。
【0029】
図4において、符号48はガイドセル44の先端部分に取り付けられたロッドクランプ、符号49はロッドブレーカである。ロッドクランプ48はボーリングロッド6の継ぎ足し及び切り離しの際にボーリングロッド6をクランプし、ロッドブレーカ49はボーリングロッド6の切り離しの際にボーリングロッド6をクランプして所定角度旋回してボーリングロッド6のねじ結合を緩めるものである。
【0030】
次に、パーカッションドリルヘッド4とロータリードライブ5との連携動作の一例について説明する。
ロータリードライブ5では、スピンドル21に貫通したボーリングロッド6をチャック部材27によって把持した状態でスピンドル21が回転する。このことにより地盤に先行しているボーリングロッドに新たなボーリングロッド6をねじ込んで継ぎ足し、複数のボーリングロッド6が連結される。そして、複数のボーリングロッド6を連結した状態でスピンドル21が回転し、ロータリードライブ5が給進して地盤を掘削する。以上のロータリードライブ5におけるスピンドル21の回転はパーションドリルヘッド4側の駆動モータ10の回転力が伝達ギヤ機構38を介して伝達されることによりなされる。
【0031】
ロータリードライブ5による掘削時に硬質地盤に遭遇して掘削が困難となったとき、ロータリードライブ5のチャック部材27はボーリングロッド6の把持を解放する。そしてダブルドリルヘッド1の全体が上方へ移動することにより、ロータリードライブ5がボーリングロッド6から退避する。その後、シフトテーブル51を横移動させてダブルドリルヘッド1が横方向に移動することにより、パーカッションドリルヘッド4がボーリングロッド6上に移動し、ハンマーサブ8先端のクリーニングスイベル63にボーリングロッド6が連結され、パーカッションドリルヘッド4の打撃、回転及び給進によって硬質地盤を掘削する。
硬質地盤の掘削が終了した後は、ダブルドリルヘッド1の上昇、その後の横移動によりロータリードライブ5がボーリングロッド6を把持し、ロータリードライブ5による掘削に切り換えられる。
【0032】
以上の構造では、パーカッションドリルヘッド4とロータリードライブ5とを併設しており、伝達ギヤ機構38がパーカッションドリルヘッド4の駆動モータ10のトルクをロータリードライブ5に伝達させてロータリードライブ5のスピンドル21を回転させるため、ロータリードライブ5側では、スピンドル21を回転させるためのオイルモータ等の駆動源が不要となる。これによりパーカッションドリルヘッド4の駆動モータ10を効率良く使用できる。このためパーカッションドリルヘッド4とロータリードライブ5とを別個に駆動する必要がなくなるため、部品点数を少なくしたコンパクトで軽量な構造とすることができる。
【0033】
従来ではパーカッションドリルヘッドによって地盤改良工事を行うと、ボーリングロッド6を一本一本回収、継ぎ足す必要があるのに対し、貫通型のロータリードライブ5を用いて複数本のボーリングロッド6を接続し、パーカッションドリルヘッド4に掴み替えを行うことによりボーリングロッド6の回収、継ぎ足しの作業が少なくなるため、効率の良い地盤改良工事が可能となる。
また、ロータリードライブ5による掘削時に硬質地盤に遭遇して掘削が困難となったとき、パーカッションドリルヘッド4にボーリングロッド6を掴み替えて掘削することにより地盤改良機を交代させることなく、掘削を継続することができ、掘削効率を向上させることができる。
また、セメント注入による地盤改良工事では、ロータリードライブ5が貫通型であるため、ボーリングロッド6の連続的な引き上げができ、セメント注入作業時の時間ロスの低減及びセメントのロスを低減できる。
【符号の説明】
【0034】
1 ダブルドリルヘッド
2 ケース
2a 取付用ブラケット
4 パーカッションドリルヘッド
5 ロータリードライブ
6 ボーリングロッド
6a アウターロッド
6b インナーロッド
7 スピンドルギヤ
8 ハンマーサブ
9 ピン
10 駆動モータ
11 モータピニオン
12 ベアリング
13 弾性部材
14 カウンタピニオン
15 カウンタギヤ
16 ハンマースプール
20 貫通孔
21 スピンドル
22 ベアリング
23 開口部
24 カバープレート
25 エンドプレート
27 チャック部材
28 チャックピース
29 チャックスプリング
30 スライドリング
31 スライドプレート
32 油圧チャックシリンダ
33 テーパ面
34 クロスローラベアリング
35 スピンドルギヤ
36 キー
38 伝達ギヤ機構
40 地盤改良機
41 ベースマシン
42 クローラ
43 パワーユニット
44 ガイドセル
45 傾斜シリンダ
46 チェーン
47 給進モータ
48 ロッククランプ
49 ロッドブレーカ
50 スライドテーブル
51 シフトテーブル
52 シフト機構
60 給水口
61 排水口
63 クリーニングスイベル
64 マスターカップリング
65 エクステンションロッド