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特開2024-78782画像形成装置、その制御方法及び消耗品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078782
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】画像形成装置、その制御方法及び消耗品
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240604BHJP
   G03G 21/18 20060101ALI20240604BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G03G21/00 510
G03G21/00 386
G03G21/00 370
G03G21/18 178
B41J29/38 204
B41J29/38 202
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191339
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森 凜太朗
【テーマコード(参考)】
2C061
2H171
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ06
2C061AR01
2C061BB10
2C061HK11
2C061HN15
2H171FA02
2H171FA09
2H171FA14
2H171GA19
2H171GA31
2H171JA02
2H171JA06
2H171JA49
2H171JA50
2H171MA02
2H171MA07
2H171QA03
2H171QA08
2H171QA24
2H171QB32
2H270LD05
2H270LD09
2H270MA35
2H270MB43
2H270MC44
2H270NB02
2H270NB04
2H270NB05
2H270NB06
2H270NB09
2H270NB11
2H270NB12
2H270NC01
2H270NC06
2H270NE11
2H270PA83
2H270QA24
2H270QA26
2H270ZC03
2H270ZC04
2H270ZC07
(57)【要約】
【課題】消耗品に応じた画像形成装置の動作設定を容易に行うことにある。
【解決手段】画像形成装置(1)は、トナーメモリ(42)を有するトナーカートリッジ(4)と、制御部(61)と、を備え、トナーメモリ(42)は、電子署名の対象となる領域に格納されるトナー容量情報と、前記電子署名の対象外となる領域に格納されるトナー容量切替情報と、を記憶可能であり、制御部(61)は、トナーメモリ(42)に前記トナー容量切替情報が記憶されていない場合、前記トナー容量情報を参照して画像形成装置(1)の動作設定を行い、トナーメモリ(42)に前記トナー容量切替情報が記憶されている場合、前記トナー容量切替情報に基づいて前記参照先の情報を使用することにより前記動作設定を行う設定処理を実行する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
装置本体と、
前記装置本体に装着可能な消耗品であって、消耗品メモリを有する消耗品と、
制御部と、を備え、
前記消耗品メモリは、
前記画像形成装置の動作設定に関する基本情報であって、電子署名の対象となる領域に格納される基本情報と、
前記動作設定を行うための情報の参照先を切り替える切替情報であって、前記電子署名の対象外となる領域に格納される切替情報と、を記憶可能であり、
前記制御部は、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されていない場合、前記基本情報を参照して前記動作設定を行い、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記参照先の情報を使用することにより前記動作設定を行う設定処理を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記消耗品メモリは、
前記消耗品に応じた前記動作設定を行うための調整値を表す調整情報であって、電子署名の対象外となる領域に格納される調整情報を記憶可能であり、
前記制御部は、
前記設定処理において、前記動作設定は、前記調整情報を参照して決定される、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記基本情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する、
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記基本情報及び前記調整情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記調整情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する、
請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記設定処理において決定された前記動作設定に関する事項が、予め定められた条件を満たすかを判定する判定処理を更に実行する、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ディスプレイを更に備え、
前記制御部は、
前記判定処理において、予め定められた条件を満たさないと判定された場合、前記消耗品が使用不可能であることを前記ディスプレイに表示する表示処理を更に実行する、
請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記画像形成装置は、
感光ドラムと、前記感光ドラム上にトナーを供給する現像ローラと、前記感光ドラム上に供給されたトナーを印刷媒体に転写する転写部と、加熱ローラにより印刷媒体を加熱することで前記印刷媒体に転写されたトナーを前記印刷媒体上に定着させる定着部と、を有する画像形成部、を更に備え、
前記動作設定は、
前記画像形成部の動作に関する設定である、請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項9】
装置本体と、前記装置本体に装着可能な消耗品であって、消耗品メモリを有する消耗品と、制御部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、
前記消耗品メモリは、
前記画像形成装置の動作設定に関する基本情報であって、電子署名の対象となる領域に格納される基本情報と、
前記動作設定を行うための情報の参照先を切り替える切替情報であって、前記電子署名の対象外となる領域に格納される切替情報と、を記憶可能であり、
前記制御部は、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されていない場合、前記基本情報を参照して前記動作設定を行い、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて参照先の情報を使用することにより前記動作設定を行う制御を実行する、画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
制御部を備える画像形成装置の装置本体に装着可能な消耗品であって、
消耗品メモリを有し、
前記消耗品メモリは、
前記画像形成装置の動作設定に関する基本情報であって、電子署名の対象となる領域に格納される基本情報と、
前記動作設定を行うための情報の参照先を切り替える切替情報であって、前記電子署名の対象外となる領域に格納される切替情報と、を記憶可能であり、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されていない場合、前記制御部が、前記基本情報を参照して前記動作設定を行い、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記制御部が、前記切替情報に基づいて参照先の情報を使用することにより前記動作設定を行う設定処理を実行する、消耗品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置、その制御方法及び消耗品に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、消耗品であるプリントカートリッジに記憶された情報に基づいて、プリンタの動作態様を決定する技術が開示されている。プリントカートリッジのメモリには、デジタル署名を必要とする領域が含まれ、該領域にプリンタの動作態様を決定するための設定データが格納されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第10372898号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、例えば、リサイクルされた消耗品が装着される画像形成装置では、リサイクル後の消耗品に応じた装置の動作設定を行いたいというニーズが有る。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、デジタル署名が必要な記憶領域に設定データが記憶されるため、設定データを変更した場合は変更後の設定データについてデジタル署名を行う必要がある。そのため、消耗品に応じた装置の動作設定を行うには煩わしさがあり、改善の余地がある。
【0006】
本開示は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、消耗品に応じた画像形成装置の動作設定を容易に行うことにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本開示の第1態様に係る画像形成装置は、画像形成装置であって、装置本体と、前記装置本体に装着可能な消耗品であって、消耗品メモリを有する消耗品と、制御部と、を備え、前記消耗品メモリは、前記画像形成装置の動作設定に関する基本情報であって、電子署名の対象となる領域に格納される基本情報と、前記動作設定を行うための情報の参照先を切り替える切替情報であって、前記電子署名の対象外となる領域に格納される切替情報と、を記憶可能であり、前記制御部は、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されていない場合、前記基本情報を参照して前記動作設定を行い、
前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて参照先の情報を使用することにより前記動作設定を行う設定処理を実行する。
【0008】
本開示の第2態様に係る画像形成装置は、前記消耗品メモリは、前記消耗品に応じた前記動作設定を行うための調整値を表す調整情報であって、電子署名の対象外となる領域に格納される調整情報を記憶可能であり、前記制御部は、前記設定処理において、前記動作設定は、前記調整情報を参照して決定される構成としてもよい。
【0009】
本開示の第3態様に係る画像形成装置は、前記制御部は、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記基本情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する構成としてもよい。
【0010】
本開示の第4態様に係る画像形成装置は、前記制御部は、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記基本情報及び前記調整情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する構成としてもよい。
【0011】
本開示の第5態様に係る画像形成装置は、前記制御部は、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記切替情報に基づいて前記調整情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する構成としてもよい。
【0012】
本開示の第6態様に係る画像形成装置は、前記制御部は、前記設定処理において前記基本情報及び前記調整情報を参照して決定された前記動作設定に関する事項が、予め定められた条件を満たすかを判定する判定処理を更に実行する構成としてもよい。
【0013】
本開示の第7態様に係る画像形成装置は、ディスプレイを更に備え、前記制御部は、前記判定処理において、予め定められた条件を満たさないと判定された場合、前記消耗品が使用不可能であることを前記ディスプレイに表示する表示処理を更に実行する構成としてもよい。
【0014】
本開示の第8態様に係る画像形成装置は、感光ドラムと、前記感光ドラム上にトナーを供給する現像ローラと、前記感光ドラム上に供給されたトナーを印刷媒体に転写する転写部と、加熱ローラにより印刷媒体を加熱することで前記印刷媒体に転写されたトナーを前記印刷媒体上に定着させる定着部と、を有する画像形成部と、を更に備え、前記動作設定は、前記画像形成部の動作に関する設定としてもよい。
【0015】
本開示の第9態様に係る画像形成装置の制御方法は、装置本体と、前記装置本体に装着可能な消耗品であって、消耗品メモリを有する消耗品と、制御部と、を備える画像形成装置の制御方法であって、前記消耗品メモリは、前記画像形成装置の動作設定に関する基本情報であって、電子署名の対象となる領域に格納される基本情報と、前記基本情報に対して前記動作設定を切り替えるための切替情報であって、前記電子署名の対象外となる領域に格納される切替情報と、を記憶可能であり、前記制御部は、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されていない場合、前記基本情報を参照して前記動作設定を行い、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記基本情報及び前記切替情報を参照して前記動作設定を行う制御を実行する。
【0016】
本開示の第10態様に係る消耗品は、制御部を備える画像形成装置の装置本体に装着可能な消耗品であって、消耗品メモリであって、前記画像形成装置の動作設定に関する基本情報であって、電子署名の対象となる領域に格納される基本情報と、前記基本情報に対して前記動作設定を切り替えるための切替情報であって、前記電子署名の対象外となる領域に格納される切替情報と、を記憶可能な消耗品メモリを有し、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されていない場合、前記制御部が、前記基本情報を参照して前記動作設定を行い、前記消耗品メモリに前記切替情報が記憶されている場合、前記制御部が、前記基本情報及び前記切替情報を参照して前記動作設定を行う設定処理を実行する構成としてもよい。
【発明の効果】
【0017】
第1態様の画像形成装置によれば、主となる基本情報が電子署名の対象領域に格納されているため、電子署名に基づいた情報の改竄を検出することができる。また、切替情報は、消耗品メモリの電子署名の対象領域外に記憶することができる。そのため、設定処理において、消耗品メモリにおける電子署名の対象外となる領域に切替情報が記憶されている場合、切替情報に基づいて参照先の情報を使用することにより画像形成装置の動作設定を行うことができる。これにより、基本情報の改竄を防止しつつ、消耗品に応じた画像形成装置の動作設定を容易に行うことができる。
【0018】
第2態様の画像形成装置によれば、調整情報を参照することにより、消耗品に応じた動作設定を行うことができる。これにより、消耗品を装着したことによる画像形成装置の動作に不具合が生じる虞を軽減することができる。
【0019】
第3態様の画像形成装置によれば、切替情報が記憶されている場合であっても基本情報を参照して画像形成装置の動作設定を行う。そのため、消耗品メモリの電子署名の対象領域外に基本情報と同じ情報を格納する必要がない。これにより、消耗品メモリの容量を少なくすることができる。
【0020】
第4態様の画像形成装置によれば、切替情報が記憶されている場合、基本情報及び調整情報を参照して画像形成装置の動作設定を行う。そのため、調整情報が、基本情報に応じた値に設定することができる。これにより、調整情報の情報量を少なくすることができる。
【0021】
第5態様の画像形成装置によれば、切替情報が記憶されている場合、調整情報を参照して画像形成装置の動作設定を行う。そのため、基本情報を参照することなく画像形成装置の動作設定を行うことができる。これにより、消耗品に応じた画像形成装置の動作設定を行うことができる。
【0022】
第6態様の画像形成装置によれば、判定処理を実行することにより、装置本体に装着される消耗品が使用可能であるか判定することができる。そのため、装着された消耗品が使用可能であるか認知することができる。これにより、画像形成装置の動作に不具合が生じる恐れを軽減することができる。
【0023】
第7態様の画像形成装置によれば、表示処理を行うことにより、判定処理において動作設定に関する事項が予め定められた条件を満たさないと判定された場合、使用不可であることがディスプレイに表示される。そのため、ユーザは、装置本体に使用不可能な消耗品が装着されたことを認知することができる。これにより、使用不可能な消耗品を装着したことにより画像形成装置の動作に不具合が生じる恐れをより軽減することができる。
【0024】
第8態様の画像形成装置によれば、動作設定が画像形成部の動作に関する設定であることにより、消耗品に応じて画像形成部の動作の設定が決定される。そのため、消耗品に応じて画像形成部を動作させることができる。これにより、画像形成部における動作による不具合が生じる恐れを軽減することができる。
【0025】
第9態様に係る画像形成装置の制御方法によれば、第1態様の画像形成装置が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0026】
第10態様に係る消耗品によれば、第1態様の画像形成装置が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本開示の実施形態1における画像形成装置の概略図である。
図2】ドラムカートリッジおよびトナーカートリッジを含む画像形成装置の要部構成を示す図である。
図3】トナーメモリに記憶されているトナーカートリッジ情報のデータ構造の一例を示す図である。
図4】トナーメモリのメモリマップの一例を示す図である。
図5】画像形成装置が実行する動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図6図5に示す第1動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図7図5に示す第2動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図8】実施形態2に係る第1動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について図を参照しつつ説明する。本実施形態では、画像形成装置1の一例として、トナーを用いて印刷媒体に画像を形成するレーザプリンタについて説明する。しかしながら、本開示における画像形成装置は、レーザプリンタ以外のプリンタであってもよい。例えば、画像形成装置1は、インクジェットプリンタであってもよい。
【0029】
<画像形成装置1の構造概要>
図1は、画像形成装置1の概略図である。図2は、トナーカートリッジ4を含む画像形成装置1の内部構造を示す図である。
【0030】
図1に示すように、画像形成装置1は、本体筐体10と、カバー11とから構成される。画像形成装置1は、トナーカートリッジ4、ドラムカートリッジ20、転写ベルト70、制御部61、本体メモリ62、及びディスプレイ63を備える。画像形成装置1は、画像形成部30を更に備えてもよい。
【0031】
(本体筐体10)
本体筐体10は、本開示に係る装置本体の一例である。本体筐体10は、例えば矩形の箱状である。トナーカートリッジ4、ドラムカートリッジ20、画像形成部30、制御部61、本体メモリ62、ディスプレイ63及び転写ベルト70は、本体筐体10に収容される。
【0032】
ディスプレイ63は、本体筐体10に設けられてもよい。また、ディスプレイ63の表示面は、ユーザが表示された情報を視認できるように本体筐体10の外表面に設けられてもよい。ディスプレイ63は、タッチパネルと一体に構成されることにより、操作部として機能するように構成されてもよい。
【0033】
画像形成装置1の本体筐体10には、トナーカートリッジ4が装着可能である。詳しくは後述するが、トナーカートリッジ4は、ドラムカートリッジ20に装着されることで、ドラムカートリッジ20と一体となる。つまり、トナーカートリッジ4は、ドラムカートリッジ20に装着された状態で、ドラムカートリッジ20と共に、本体筐体10へ装着される。
【0034】
なお、本実施形態の画像形成装置1には、4個のトナーカートリッジ4が装着される。すなわち、本実施形態の画像形成装置1は、4個のトナーカートリッジ4と、4個のドラムカートリッジ20とが装着可能である。しかしながら、画像形成装置1に装着されるドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ4の個数は、図1の例に限定されない。例えば、画像形成装置1は、1個のドラムカートリッジ20及びトナーカートリッジ4が装着可能なモノクロプリンタであってもよい。
【0035】
本体筐体10は、4つのカートリッジ保持部13を有する。カートリッジ保持部13は、凹状に形成されており、開口を有する。トナーカートリッジ4及びドラムカートリッジ20は、カートリッジ保持部13のそれぞれに保持されることで本体筐体10に装着される。
【0036】
(カバー11)
画像形成装置1のカバー11には、各ドラムカートリッジ20に対応した光源ユニット50が備えられている。つまり、画像形成装置1は、4つの光源ユニット50を備える。カバー11は、図1において実線で示す開口10Aを開ける開位置と、図1において二点鎖線で示す開口10Aを閉じる閉位置との間で、回動軸11Aを中心に回動可能(移動可能)である。カバー11の回動によって、本体筐体10の上端に設けられた開口10Aが開閉される。
【0037】
カバー11が開位置に配置されたときには、カートリッジ保持部13のそれぞれの開口が開放される。カバー11が閉位置に配置されたときには、カートリッジ保持部13のそれぞれの開口が、カバー11により覆われる。
【0038】
本体筐体10には、開口10Aに図示しない閉センサが設けられていてもよい。閉センサは、カバー11が閉位置にあることを検知するセンサである。閉センサは、例えば、接触型のセンサであってもよいし、光学型のセンサであってもよい。
【0039】
(トナーカートリッジ4)
トナーカートリッジ4は、トナーを収容している。画像形成装置1は、トナーカートリッジ4に収容されるトナーを消費して、印刷を行う。トナーカートリッジ4は、画像形成装置1で使用される消耗品の一例である。
【0040】
トナーカートリッジ4は、現像ローラ41と、印刷材の一例としての現像剤とを収容可能なカートリッジ筐体を有する。なお、以下の説明において、使用される現像剤は、その一例であるトナーとして説明する。カートリッジ筐体は、本体筐体10に装着可能である。4個のトナーカートリッジ4は、画像形成を行うために使用される材料として、互いに異なる色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックの各色)のトナーを収容する。トナーは、使用に伴って消費される材料である。トナーカートリッジ4がドラムカートリッジ20に装着されると、感光ドラム21の外周面は、現像ローラ41の外周面と接触する。現像ローラ41は、感光ドラム21上にトナーを供給する。
【0041】
また、トナーカートリッジ4は、図2に示すように、トナーメモリ42を有する。トナーメモリ42は消耗品メモリの一例である。トナーメモリ42は、トナーカートリッジ4の第1方向における一方側の外表面に配置される。トナーメモリ42は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリ、例えば、フラッシュROM(Read Only Memory)又はEEPROM(登録商標,Electronically Erasable and Programmable Read Only Memory)である。
【0042】
トナーメモリ42は、トナーカートリッジ4に関する情報であるトナーカートリッジ情報420を記憶可能。トナーカートリッジ情報420には、トナーカートリッジ4に応じた画像形成装置1の動作設定に関する情報が記憶されている。なお、以下の説明において、画像形成装置1の動作設定のことを単に「動作設定」と称する。トナーカートリッジ情報420のデータ構造については、図3を参照して後述する。
【0043】
(ドラムカートリッジ20)
図1に示すように、ドラムカートリッジ20は、トナーカートリッジ4が装着されるカートリッジ筐体を有している。ドラムカートリッジ20は、画像形成処理を行う際に使用される部品として、感光ドラム21を有している。感光ドラム21の外周面は、感光材料に覆われている。感光ドラム21は、使用に伴って、表面の磨耗などの劣化が生じるために交換が必要となる交換部品である。ドラムカートリッジ20も、画像形成装置1で使用される消耗品の一例である。
【0044】
また、図2に示すように、ドラムカートリッジ20は、消耗品メモリの一例であるドラムメモリ22を有していてもよい。ドラムメモリ22は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。ドラムメモリ22は、例えばフラッシュROM又はEEPROM(登録商標)である。ドラムメモリ22は、ドラムカートリッジ20に関する情報であるドラムカートリッジ情報を記憶可能である。ドラムカートリッジ情報には、トナーメモリ42に記憶されるトナーカートリッジ情報420と同様に、ドラムカートリッジ20に応じた動作設定に関する情報が記憶されてもよい。
【0045】
<カートリッジの装着と印刷機構>
図1に示すように、トナーカートリッジ4及びドラムカートリッジ20は、カバー11が開位置に配置された状態で、本体筐体10に装着される。この状態で、トナーカートリッジ4及びドラムカートリッジ20は、開口10Aからカートリッジ保持部13に挿入される。
【0046】
4つの光源ユニット50は、カバー11の内表面に取り付けられている。光源ユニット50は、本体筐体10にドラムカートリッジ20が装着されて、カバー11が閉位置にある状態で、感光ドラム21の表面と向かい合って配置されている。また、光源ユニット50は、第1方向に配列された複数の光源を有する。光源は、感光ドラム21の外周面に、光を照射可能である。光源は、例えばLED(Light Emitting Diode:発光ダイオード)である。
【0047】
光源ユニット50は、制御部61と電気的に接続されている。制御部61は、入力された画像データに応じて、光源ユニット50の複数の光源を発光させる。光源は、感光ドラム21の外周面に向けて光を照射する。その結果、感光ドラム21の外周面の感光材料が、画像データに応じて露光される。
【0048】
転写ベルト70は、感光ドラムの表面にある現像剤(例えば、トナー)を、印刷媒体へ転写する部品である。転写ベルト70は、使用に伴って、表面の磨耗などの劣化が生じるために交換が必要となる交換部品である。転写ベルト70は、感光ドラム21と接触可能なベルトであって、環状(無端帯)である。感光ドラム21の外周面は、転写ベルト70の外周面と接触可能である。画像形成処理時には、印刷媒体が、転写ベルト70と感光ドラム21との間へ搬送される。
【0049】
転写ベルト70は、駆動ローラ71と従動ローラ72との間に掛け渡されている。駆動ローラ71は、転写ベルト70を駆動する。制御部61は、駆動ローラ71を回転させる。従動ローラ72は、駆動ローラ71の駆動に伴う転写ベルト70の移動に従い、回転する。
【0050】
画像形成部30は、印刷媒体に画像形成処理を施して画像を形成する。画像形成部30は、感光ドラム21と、現像ローラ41と、感光ドラム21上に供給されたトナーを印刷媒体に転写する転写部33と、加熱ローラ35により印刷媒体を加熱することで印刷媒体に転写されたトナーを印刷媒体上に定着させる定着部34と、を有する。また、画像形成部30は、所定の光ビームを感光ドラム21に照射することにより感光ドラム21を露光する露光部と、感光ドラム21の表面を一様に帯電させる帯電器と、を更に有してもよい。
【0051】
<装置本体の内部構造>
制御部61は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit:特定用途向け集積回路)を有する。制御部61は、画像形成装置1の本体筐体10に設けられた、本体メモリ62と電気的に接続されている。図2には示されていないが、ディスプレイ63もまた制御部61と電気的に接続されている。制御部61は、種々の動作を実行することによって、画像形成装置1の印刷に関連する各種処理を行わせる。
【0052】
なお、制御部61は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサを備えてもよい。この場合、本体メモリ62に、画像形成装置1の制御方法を実現する制御プログラムが保存され、プロセッサが制御プログラムにしたがって動作することによって、制御部61が画像形成装置1に各種処理を行わせてもよい。
【0053】
また、制御部61は、制御プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な、本体メモリ62などの記録媒体を備えていてもよい。記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、制御プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを利用してもよい。また、制御プログラムは、制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本開示の一態様は、制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0054】
図2に示すように、画像形成装置1は、コネクタ101及びコネクタ102を有する。ドラムカートリッジ20が図1に示すカートリッジ保持部13に挿入された状態で、コネクタ101がドラムメモリ22と電気的に接続されることより、制御部61がドラムカートリッジ20のドラムメモリ22と通信可能になる。すなわち、制御部61は、ドラムメモリ22からの情報の読出処理と、ドラムメモリ22への情報の書込処理(書き換え処理を含む)とを実行することが可能となる。
【0055】
また、トナーカートリッジ4が本体筐体10に装着された状態で、コネクタ102がトナーメモリ42と電気的に接続されることより、制御部61がトナーカートリッジ4のトナーメモリ42と通信可能になる。すなわち、制御部61は、トナーメモリ42からの情報の読出処理と、トナーメモリ42への情報の書込処理(書き換え処理を含む)とを実行することが可能となる。
【0056】
本体メモリ62は、情報の読み出し及び書き込みが可能なメモリである。本体メモリ62は、例えばフラッシュROM又はEEPROM(登録商標)である。本体メモリ62は、1つ以上の記憶領域を有し、各領域には、一例として、以下の各種情報が記憶されている。
【0057】
本体メモリ62には、画像形成装置1に装着されるカートリッジに関する情報であるカートリッジ情報が記憶されている。具体的には、各色のトナーカートリッジ4を識別できるように、カートリッジ情報は、各色のトナーカートリッジ4のトナーメモリ42から読み出されるトナーカートリッジ情報420を含んでいる。また、ドラムカートリッジ20毎に識別できるように、カートリッジ情報は、ドラムカートリッジ20のドラムメモリ22から読み出されるドラムカートリッジ情報220を含んでいる。ドラムカートリッジ情報220は、一例として、ドラムカートリッジ20の使用量を表す使用量情報を含む。カートリッジ情報621として記憶されるトナーカートリッジ情報420のデータ構造の詳細については、図3及び図4を参照して後述する。
【0058】
<カートリッジ情報のデータ構造>
(トナーカートリッジ情報420)
図3は、トナーメモリ42に記憶されているトナーカートリッジ情報420のデータ構造の一例を示す図である。トナーカートリッジ情報420には、一例として、トナー容量情報421、トナー容量切替情報422、トナー容量調整情報423、トナー残量情報424、定着制御情報425、定着制御切替情報426、及び定着制御調整情報427が含まれている。なお、図示していないが、トナーカートリッジ情報420には、例えばトナーカートリッジ4の使用量を表す使用量情報等、その他トナーカートリッジ4に関する情報が含まれていてもよい。
【0059】
トナー容量情報421は、第1トナー容量情報421Aと、第2トナー容量情報421Bを含んでいる。トナー容量情報421は、動作設定に関する基本情報の一例である。トナー容量情報421を基本情報として、動作設定が行われる。本実施形態において、第1トナー容量情報421Aはトナーカートリッジ4に収容されているトナー容量を表す情報であり、第2トナー容量情報421Bはトナーカートリッジ4が収容することができる最大トナー容量を表す情報である。
【0060】
トナー容量切替情報422は、動作設定を行うための情報の参照先を切り替える情報である。トナー容量切替情報422は、切替情報の一例である。トナー容量切替情報422は、後述する設定処理において、トナー容量情報421、及び後述するトナー容量調整情報423のうち少なくとも何れかを参照することを示す情報である。トナーメモリ42にトナー容量切替情報422が記憶されている場合、トナー容量切替情報422に基づいて参照先の情報を使用することにより動作設定が行われる。
【0061】
トナー容量調整情報423は、トナーカートリッジ4に応じた動作設定を行うための調整値を表す情報である。トナー容量調整情報423は、調整情報の一例である。本実施形態において、トナー容量調整情報423は、トナーカートリッジ4に収容されるトナーの容量に関する調整値である。
【0062】
本実施形態において、トナー容量調整情報423は、例えば、工場からの出荷時にトナーカートリッジ4に収容されているトナー容量を示す調整値であってもよい。一例として、トナーカートリッジ4に収容されているトナー容量が100gであれば、トナー容量調整情報423は100gを表す値である。この場合、トナー容量調整情報423は、第1トナー容量情報421Aに置き換えて動作設定するための情報である。また、トナー容量調整情報423は、収容されているトナー容量と第1トナー容量情報421Aとの差分を示す調整値であってもよい。一例として、トナーカートリッジ4に収容されているトナー容量が80gであり、第1トナー容量情報421Aが100gであれば、トナー容量調整情報423は-20gを表す値である。なお、トナー容量調整情報423は、トナーカートリッジ4に充填されたトナーの充填量を示す情報であってもよい。
【0063】
トナー残量情報424は、トナーカートリッジ4に残されているトナーの量を表す情報である。トナー残量情報424は、印刷時のトナー消費量に基づいて算出されたトナー残量を表す情報であり、印刷が行われる度に更新される情報である。トナー残量情報424は、トナー容量情報421、トナー容量切替情報422、及びトナー容量調整情報423の内、少なくとも1つを使用して算出されたトナーカートリッジ4のトナー容量に基づいて算出されてもよい。
【0064】
定着制御情報425は、トナーカートリッジ4に応じた画像形成部30の動作の設定に関する情報である。より詳細には、定着制御情報425は、画像形成部30の定着部34の動作の設定に関する情報である。定着制御情報425は、基本情報の一例である。定着制御情報425を基本情報として、動作設定が行われる。定着制御情報425は、一例として、トナーカートリッジ4に収容されるトナーの成分、及び印刷に用いられる印刷媒体の特性(印刷媒体のサイズ又は種類)に応じた動作設定を行うための情報である。
【0065】
定着制御情報425は、第1~第4定着制御情報425A~Dを含んでいる。本実施形態において、第1~第4定着制御情報425A~Dは、定着部34が有する加熱ローラ35の印刷時における目標温度である。一例として、第1定着制御情報425Aは印刷媒体を搬送する最大速度である第1速度にて第1印刷媒体を搬送するときの目標温度である。また、第2定着制御情報425Bは第1速度の半分の速度である第2速度にて第1印刷媒体を搬送するときの目標温度である。また、第3定着制御情報425Cは第1速度にて第1印刷媒体とは異なる第2印刷媒体を搬送するときの目標温度である。また、第4定着制御情報425Dは第2速度にて第2印刷媒体を搬送するときの目標温度である。
【0066】
定着制御切替情報426は、動作設定を行うための情報の参照先を切り替える情報である。より詳細には、定着制御切替情報426は、画像形成部30の定着部34の動作の設定を切り替えるための情報である。定着制御切替情報426は、切替情報の一例である。定着制御切替情報426は、後述する設定処理において、定着制御情報425、及び後述する定着制御調整情報427のうち少なくともの何れかを参照することを示す情報である。トナーメモリ42に定着制御切替情報426が記憶されている場合、定着制御切替情報426に基づいて参照先の情報を使用することにより動作設定が行われる。定着制御切替情報426は第1~第4定着制御切替情報426A~Dを含み、第1~第4定着制御切替情報426A~Dのそれぞれは第1~第4定着制御情報425A~Dのそれぞれに対応する。
【0067】
定着制御調整情報427は、トナーカートリッジ4に応じた動作設定を行うための調整値を表す情報である。より詳細には、定着制御調整情報427は、画像形成部30の定着部34の動作の設定に関する調整値を表す情報である。定着制御調整情報427は、調整情報の一例である。定着制御調整情報427は第1~第4定着制御調整情報427A~Dを含み、第1~第4定着制御調整情報427A~Dのそれぞれは第1~第4定着制御情報425A~Dのそれぞれに対応する。
【0068】
本実施形態において、定着制御調整情報427は、定着部34が有する加熱ローラ35の印刷時における目標温度を示す調整値である。この場合、定着制御調整情報427は、定着制御情報425に置き換えて動作設定するための情報である。なお、定着制御調整情報427は、加熱ローラ35の印刷時における目標温度と定着制御情報425との差分を示す調整値であってもよい。
【0069】
画像形成装置1の制御部61は、定着制御情報425、定着制御切替情報426、及び定着制御調整情報427の内少なくとも1つを使用して動作設定を行う。動作設定が行われると、制御部61は、印刷時において、加熱ローラ35の目標温度を、トナーカートリッジ4に応じた目標温度となるように制御する。
【0070】
(トナーメモリ42のメモリマップの一例)
図4は、トナーメモリ42のメモリマップの一例を示す図である。図4には、トナーメモリ42のメモリマップの一例であるマップM1が図示されている。ただし、トナーメモリ42のメモリマップは図4の例に限定されるものではない。
【0071】
図4において、トナーメモリ42のマップM1の0x0000~0x007Fのアドレスが示されている。マップM1のアドレスの最小単位が有するメモリ容量は、一例として1バイトである。トナーカートリッジ情報420に含まれる各情報は、マップM1の各アドレスに対応付けられて、トナーメモリ42に格納されている。例えば、第1トナー容量情報421Aは、マップM1のアドレス0x0020~0x0021の領域に格納され、2バイトのメモリ容量である。
【0072】
マップM1の0x0010~0x002Fのアドレスは、電子署名の対象となる領域ESである。従って、マップM1の領域ESに情報を格納するためには、電子署名が必要となる。領域ESでは、格納される情報に電子署名が付加される。マップM1の0x0010~0x002F以外のアドレスは、電子署名の対象外となる領域である。従って、マップM1の領域ES以外の領域では、電子署名が必要とならず、格納される情報に電子署名が付加されない。なお、領域ESに格納される情報に対する電子署名による検証は、周知の電子署名に関する技術が用いられる。例えば、電子署名は、ハッシュ関数を用いて算出したハッシュ値と予め算出済みのハッシュ値を比較する方法が用いられる。なお、予め算出済みのハッシュ値428は、領域ESに格納される。
【0073】
マップM1の領域ESには、第1トナー容量情報421A、第2トナー容量情報421B、第1定着制御情報425A、第2定着制御情報425B、第3定着制御情報425C、及び第4定着制御情報425Dが格納されている。即ち、マップM1の領域ESには、書き換えられるのを防止するため、動作設定の基本となる基本情報が格納されている。換言すると、マップM1の領域ESの情報が書き換えられると、情報の改竄が検出可能となっている。なお、マップM1の領域ESには、図4に示した情報以外の情報が格納されてもよい。
【0074】
マップM1の領域ES以外の領域には、図3に示したトナーカートリッジ情報420の各情報のうち、第1~第2トナー容量情報421A~B、第1~第4定着制御情報425A~D以外の情報が格納される。例えば、トナー容量切替情報422、トナー容量調整情報423、定着制御切替情報426、及び定着制御調整情報427は、領域ES以外の領域に格納される。領域ES以外の領域に格納される情報は、電子署名を行うことなく書き換え可能である。従って、トナーカートリッジ4に応じた動作設定を容易に行うことができる。
【0075】
<動作設定処理>
図5図7を参照して、画像形成装置1が実行する動作設定処理について説明する。図5は、画像形成装置1が実行する動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図6は、図5に示す第1動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。図7は、図5に示す第2動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0076】
図5に示すように、本体筐体10にトナーカートリッジ4が装着されると、画像形成装置1の制御部61は、装着されたトナーカートリッジ4に応じた動作設定処理を行う。先ず、制御部61は、第1動作設定処理を実行する(S1)。第1動作設定処理は、トナーメモリ42に格納されたトナー容量に関する情報に基づいて行われる動作設定処理である。
【0077】
図6を参照して、第1動作設定処理の詳細について説明する。先ず、制御部61は、トナーメモリ42の電子署名の対象となる領域ESを読み込む(S10)。即ち、ステップS10において、制御部61は、領域ESに格納されているトナー容量情報421を読み込む。より詳細には、ステップS10において、制御部61は、第1トナー容量情報421Aを読み込む。なお、ステップS10において、制御部61は、第2トナー容量情報421Bを更に読み込んでもよい。
【0078】
次に、制御部61は、トナー容量情報421に付加されている電子署名の検証を行う(S11)。続いて、制御部61は、ステップS11の検証結果に基づいて、情報の改竄が行われたか否かを判定する(S12)。情報の改竄が行われた場合(S12:YES)、制御部61は、トナーカートリッジ4が使用不可であることをディスプレイ63に表示する処理を行う(S13)。ステップS13は、表示処理の一例である。ステップS13の後、制御部61は第1動作設定処理を終了する。一方、情報の改竄が行われていない場合(S12:NO)、制御部61は、トナーメモリ42にトナー容量切替情報422が格納されているか否かを判定する(S14)。
【0079】
トナー容量切替情報422が格納されていない場合(S14:NO)、制御部61は第1トナー容量情報421Aを使用して動作設定を行う(S15)。即ち、ステップS15において、制御部61は第1トナー容量情報421Aにて表されたトナー容量を使用して動作設定を行う。ステップS15の後、制御部61は第1動作設定処理を終了する。一方、トナー容量切替情報422が格納されている場合(S14:YES)、制御部61はトナー容量切替情報422を読み込む(S16)。
【0080】
次に、制御部61は、ステップS16において読み込んだトナー容量切替情報422にトナー容量調整情報423を使用する情報が含まれているか否かを判定する(S17)。トナー容量調整情報423を使用しない場合(S17:NO)、制御部61は上述したステップS15を実行する。この場合、トナー容量切替情報422には、第1トナー容量情報421Aを参照することを示す情報が含まれている。
【0081】
一方、トナー容量調整情報423を使用する場合(S17:YES)、制御部61はトナー容量調整情報423を使用してトナーカートリッジ4に収容されているトナー容量を決定する(S18)。この場合、トナー容量切替情報422には、トナー容量調整情報423を参照することを示す情報が含まれている。
【0082】
ステップS18において、制御部61は、トナー容量調整情報423を参照してトナーカートリッジ4に収容されているトナー容量を決定する。ステップS18において、トナー容量調整情報423が収容されているトナー容量の値を示す調整値である場合、制御部61はトナー容量調整情報423を参照してトナー容量を決定する。また、ステップS18において、トナー容量調整情報423が収容されているトナー容量と第1トナー容量情報421Aとの差分を示す調整値である場合、制御部61は第1トナー容量情報421A及びトナー容量調整情報423を参照してトナー容量を決定する。
【0083】
次に、制御部61は、ステップS18にて決定されたトナーカートリッジ4のトナー容量が、予め定められた条件を満たすか否かを判定する(S19)。即ち、ステップS19において、制御部61は、トナー容量調整情報423を参照して決定された動作設定に関する事項が予め定められた条件を満たすか否かを判定する。ステップS19において、制御部61は、ステップS18にて決定されたトナー容量が第2トナー容量情報421B以下となっているか、及び0よりも小さい値(マイナスの値)となっているかとの条件のうち、少なくとも何れかの条件を満たすか否かを判定する。
【0084】
トナー容量が予め定められた条件を満たさない場合(S19:NO)、制御部61は上述したステップS13を実行する。即ち、ステップS19において、制御部61は、トナー容量が第2トナー容量情報421B以下となっているか、及び0よりも小さい値(マイナスの値)となっているかとの条件のうち、少なくとも何れかの条件を満たさない場合、制御部61はステップS13を実行する。トナー容量が予め定められた条件を満たす場合(S19:YES)、制御部61は、トナー容量調整情報423を使用して動作設定を行う(S20)。なお、ステップS14~S18及びS20は、設定処理の一例である。
【0085】
図5に戻り。第1動作設定処理の後、制御部61は第2動作設定処理を実行する。図7を参照して、第2動作設定処理の詳細について説明する。第2動作設定処理は、トナーメモリ42に格納された画像形成部30の定着部34の制御に関する情報に基づいて行われる動作設定処理である。なお、本実施形態において、トナーカートリッジ情報420の各定着制御情報425A~Dに関する動作設定は、何れも同じ制御の流れである。そのため、以下の説明においては、第1定着制御情報425Aに関する動作設定について説明する。
【0086】
図7に示すように、制御部61は、電子署名の対象となる領域ESを読み込む(S30)。即ち、ステップS30において、制御部61は、電子署名の対象となる領域ESに格納されている第1定着制御情報425Aを読み込む。ステップS30の後、制御部61はステップS31を実行する。なお、第2動作設定処理のステップS31~S33は、第1動作設定処理のステップS11~S13と同じであるため、説明を省略する。
【0087】
制御部61は、ステップS32にて情報の改竄が行われていないと判定した場合(S32:NO)、トナーメモリ42に第1定着制御切替情報426Aが格納されているか否かを判定する(S34)。第1定着制御切替情報426Aが格納されていない場合(S34:NO)、制御部61は第1定着制御情報425Aを使用して動作設定を行う(S35)。ステップS35の後、制御部61は、第2動作設定処理を終了する。一方、第1定着制御切替情報426Aが格納されている場合(S34:YES)、制御部61は、第1定着制御切替情報426Aを読み込む(S36)。
【0088】
次に、制御部61は、ステップS36において読み込んだ第1定着制御切替情報426Aに第1定着制御調整情報427Aを使用する情報が含まれているか否かを判定する(S37)。第1定着制御調整情報427Aを使用しない場合(S37:NO)、制御部61は上述したステップS35を実行する。この場合、第1定着制御切替情報426Aには、第1定着制御調整情報427Aを参照することを示す情報が含まれている。
【0089】
一方、第1定着制御調整情報427Aを使用する場合(S37:YES)、制御部61は第1定着制御調整情報427Aを使用して動作設定を行う(S38)。この場合、第1定着制御切替情報426Aには、第1定着制御調整情報427Aを参照することを示す情報が含まれている。なお、ステップS34~S38は、設定処理の一例である。ステップS38の後、制御部61は第2動作設定処理を終了する。
【0090】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、図8を参照して以下に説明する。図8は、実施形態2に係る第1動作設定処理の流れの一例を示すフローチャートである。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0091】
実施形態2に係る第1動作設定処理では、トナー容量切替情報422は、トナー容量を決定する場合において、トナー容量調整情報423の種類に応じた値が設定されている点で、実施形態1に係る第1動作設定処理とは異なる。なお、図8に示すステップS40~46及びステップS54~S55のそれぞれは、図6に示すステップS10~16及びステップS19~S20のそれぞれと同様のステップであるため、説明を省略する。
【0092】
図8に示すように、ステップS46の後、制御部61はトナー容量切替情報422の値が「0」であるか否かを判定する(S47)。トナー容量切替情報422の値が「0」である場合(S47:YES)、制御部61はステップS45を実行する。即ち、第1トナー容量情報421Aを使用して動作設定を行う場合、トナー容量切替情報422の値が「0」に設定される。この場合、トナー容量切替情報422の値「0」は、第1トナー容量情報421Aを参照することを示す情報である。一方、トナー容量切替情報422の値が「0」でない場合(S47:NO)、制御部61はトナー容量調整情報423を読み込む(S48)。
【0093】
ステップS48の後、制御部61は、トナー容量切替情報422の値が3であるか否かを判定する(S49)。トナー容量切替情報422の値が「3」である場合(S49:YES)、制御部61は「トナー容量=トナー容量調整情報423」として決定する(S50)。例えば、トナー容量調整情報423がトナーカートリッジ4に収容されているトナー容量を示す調整値である場合、トナー容量切替情報422の値が「3」に設定される。この場合、トナー容量切替情報422の値「3」は、トナー容量調整情報423を参照することを示す情報である。
【0094】
ステップS50の後、制御部61はステップS54を実行する。一方、トナー容量切替情報422の値が3でない場合(S49:NO)、制御部61は、トナー容量切替情報422の値が2であるか否かを判定する(S51)。
【0095】
トナー容量切替情報422の値が2である場合(S51:YES)、制御部61は「トナー容量=第1トナー容量情報421A-トナー容量調整情報423」として決定する(S52)。ステップS52の後、制御部61はステップS54を実行する。一方、トナー容量切替情報422の値が2でない場合(S51:NO)、「トナー容量=第1トナー容量情報421A+トナー容量調整情報423」として決定する(S53)。例えば、ステップS51~S53において、トナー容量調整情報423が収容されているトナー容量と第1トナー容量情報421Aとの差分を示す調整値である場合、プラス方向の差分であればトナー容量切替情報422の値が「2」に設定され、マイナス方向の差分であればトナー容量切替情報422の値が「1」に設定される。即ち、トナー容量切替情報422が第1トナー容量情報421Aに対する差分である場合、トナー容量切替情報422はその差分に応じた値が設定されている。ステップS53の後、制御部61はステップS54を実行する。
【0096】
ステップS51~S53の処理において、トナー容量切替情報422の値「2」及び値「1」は、第1トナー容量情報421A及びトナー容量調整情報423を参照することを示す情報である。
【0097】
<本実施形態の作用効果>
以上説明したように本実施形態によれば、主となるトナー容量情報421及び定着制御情報425が電子署名の対象領域ESに格納されているため、電子署名に基づいた情報の改竄を検出することができる。また、トナー容量切替情報422及び定着制御切替情報426は、トナーメモリ42の電子署名の対象領域外に記憶することができる。そのため、例えば第1動作設定処理において、トナーメモリ42における電子署名の対象外となる領域にトナー容量切替情報422が記憶されている場合、トナー容量切替情報422に基づいて参照先の情報を使用することにより動作設定を行うことができる。第2動作設定処理についても、第1動作設定処理と同様である。これにより、トナー容量情報421及び定着制御情報425の改竄を防止しつつ、トナーカートリッジ4に応じた動作設定を容易に行うことができる。
【0098】
また、例えば第1動作設定処理において、制御部61がトナー容量調整情報423を参照することにより、トナーカートリッジ4に応じた動作設定を行うことができる。第2動作設定処理についても、第1動作設定処理と同様である。これにより、トナーカートリッジ4を装着したことによる画像形成装置1の動作に不具合が生じる虞を軽減することができる。
【0099】
また、例えば第1動作設定処理において、制御部61は、トナー容量切替情報422が記憶されている場合であってもトナー容量情報421を参照する。第2動作設定処理についても、第1動作設定処理と同様である。そのため、トナーメモリ42の電子署名の対象領域外にトナー容量情報421及び定着制御情報425と同じ情報を格納する必要がない。これにより、トナーメモリ42の容量を少なくすることができる。
【0100】
また、例えば第1動作設定処理において、制御部61は、トナー容量切替情報422が記憶されている場合、トナー容量情報421及びトナー容量調整情報423を参照して動作設定を行う。第2動作設定処理についても、第1動作設定処理と同様である。そのため、トナー容量調整情報423及び定着制御調整情報427のそれぞれが、トナー容量情報421及び定着制御情報425のそれぞれに応じた値に設定することができる。これにより、トナー容量調整情報423及び定着制御調整情報427の情報量を少なくすることができる。
【0101】
また、例えば第1動作設定処理において、制御部61は、トナー容量切替情報422が記憶されている場合、トナー容量調整情報423を参照して動作設定を行う。第2動作設定処理についても、第1動作設定処理と同様である。そのため、トナー容量情報421及び定着制御情報425のそれぞれを参照することなく動作設定を行うことができる。これにより、トナーカートリッジ4に応じた動作設定を行うことができる。
【0102】
また、制御部61が判定処理を実行することにより、本体筐体10に装着されるトナーカートリッジ4が使用可能であるか判定することができる。そのため、装着されたトナーカートリッジ4が使用可能であるか認知することができる。これにより、画像形成装置1の動作に不具合が生じる恐れを軽減することができる。
【0103】
また、制御部61が表示処理を行うことにより、判定処理において動作設定に関する事項が予め定められた条件を満たさないと判定された場合、使用不可であることがディスプレイに表示される。そのため、ユーザは、装置本体に使用不可能な消耗品が装着されたことを認知することができる。これにより、使用不可能な消耗品を装着したことにより画像形成装置1の動作に不具合が生じる恐れをより軽減することができる。
【0104】
また、動作設定が画像形成部30の動作に関する設定であることにより、トナーカートリッジ4に応じて画像形成部30の動作の設定が決定される。そのため、トナーカートリッジ4に応じて画像形成部30を動作させることができる。これにより、画像形成部30
における動作による不具合が生じる恐れを軽減することができる。
【0105】
また、画像形成装置1の制御方法によれば、画像形成装置1が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0106】
また、本体筐体10に装着されるトナーカートリッジ4によれば、画像形成装置1が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0107】
〔ソフトウェアによる実現例〕
画像形成装置1の機能は、画像形成装置1としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、画像形成装置1の制御部61としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0108】
この場合、画像形成装置1は、上述のプログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。上述の制御装置と記憶装置とにより上述のプログラムを実行することにより、上述の各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0109】
プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1又は複数の記録媒体に記録されていてもよい。上述の記録媒体は、画像形成装置1が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、プログラムは、有線又は無線の任意の伝送媒体を介して画像形成装置1に供給されてもよい。
【0110】
また、制御部61の機能の一部又は全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、制御部61として機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。
【0111】
また、制御部61の機能の一部又は全部は、ICチップ内蔵のマイクロプロセッサで実現することも可能である。
【0112】
〔付記的事項〕
例えば、画像形成装置1に装着されるトナーカートリッジ4は、収容されているトナー残量が無くなると、事業者に回収され、トナーが再充填されて再びユーザのもとへ配送される。いわゆる、リサイクルが行われる。しかしながら、リサイクル後のトナーカートリッジ4には、必ずしも、リサイクル前のトナー容量と同量のトナーが再充填されるわけではなく、例えば、リサイクル前のトナー容量よりも少ない場合や、リサイクル前のトナー容量よりも多い場合がある。このように、リサイクル前とリサイクル後の間でトナー容量が異なる場合に、リサイクル後のトナーカートリッジ4に応じた動作設定が必要となる場合がある。
【0113】
また、リサイクル後のトナーカートリッジ4のトナー容量に応じた動作設定を行うためには、動作設定の基本情報であるトナー容量情報421を変更する必要が有る。しかしながら、トナー容量情報421は情報の改竄を検出するため電子署名の対象となる領域ESに格納されているため、トナー容量情報421を書き換えた場合には再度電子署名を行う必要が生じる。
【0114】
上述したように、本開示によれば、トナー容量切替情報422及びトナー容量調整情報423は、トナーメモリ42の電子署名の対象領域ES外に格納される。そのため、リサイクル後のトナーカートリッジ4のトナーメモリ42にトナー容量切替情報422及びトナー容量調整情報423を書き込むことが可能である。従って、トナー容量情報421を書き換えることなく本開示に係る設定処理を実行することができる。これにより、リサイクル後のトナーカートリッジ4のトナー容量に応じて適切な制御を可能とする。
【0115】
なお、本開示に係る切替情報及び調整情報は、リサイクル後の消耗品の消耗品メモリに書き込まれる構成に限定されるものではない。即ち、リサイクル前の消耗品の消耗品メモリに切替情報及び調整情報のうち少なくとも何れかが書き込まれていてもよい。
【0116】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0117】
1 画像形成装置
10 本体筐体
20 ドラムカートリッジ
21 感光ドラム
30 画像形成部
33 転写部
34 定着部
35 加熱ローラ
4 トナーカートリッジ
41 現像ローラ
42 トナーメモリ
61 制御部
63 ディスプレイ
図1
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図8