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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078788
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】スポンジブラシ
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A61C17/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191345
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】592111894
【氏名又は名称】ヤマトエスロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167092
【弁理士】
【氏名又は名称】鷹津 俊一
(72)【発明者】
【氏名】辻 勇輔
(72)【発明者】
【氏名】大園 剛史
(72)【発明者】
【氏名】塩沢 健太
(57)【要約】
【課題】
スポンジ部が使用者本人又は被介助者の口腔内にある状態の下において動かすときでも、その口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みや不快感を感じる虞が小さいスポンジブラシを提供する。さらに、合成樹脂などの材料の使用量を減らすことができ、地球環境に対する負荷の低いスポンジブラシを提供する。
【解決手段】
先端側にスポンジによって形成されるスポンジ部14を有するスポンジブラシであって、スポンジ部14を口腔内に誘導するために把持されるハンドル部13を構成し、中空の筒状であり、かつ、弾性材料により形成される中空部材130とを備え、中空部材130は、鍔状に突出する鍔状部17,18を含み且つ弾性変形可能な変形構造を有することを特徴とする。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端側にスポンジによって形成されるスポンジ部を有するスポンジブラシであって、
前記スポンジ部を口腔内に誘導するために把持されるハンドル部を構成し、中空の筒状であり、かつ、弾性材料により形成される中空部材とを備え、
前記中空部材は、鍔状に突出する鍔状部を含み且つ弾性変形可能な変形構造を有する
ことを特徴とするスポンジブラシ。
【請求項2】
前記スポンジ部を支持するヘッド部材を有し、
前記ヘッド部材と前記中空部材とが脱着自在に連結する
ことを特徴とする請求項1に記載のスポンジブラシ。
【請求項3】
前記変形構造は、変形しない状態でそれぞれの中心線が前記筒状の中心軸と一致する笠状であり且つ円環状である笠状部を複数有し、かつ、これら複数の前記笠状部が前記中心軸方向に連続して配置されるとともに、第1の前記笠状部と、前記各中心線方向において前記第1の笠状部と反対向きに傾斜する第2の前記笠状部とが前記各中心線方向において隣り合い、
前記中空部材は、変形して、少なくとも一の前記笠状部の中心線が前記中心軸に対して傾くように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載のスポンジブラシ。
【請求項4】
前記中空部材は、合成樹脂を成形して形成される
ことを特徴とする請求項3に記載のスポンジブラシ。
【請求項5】
前記中空部材は、前記中心軸方向の基端側に把持部を有するとともに、前記把持部より先端側に前記変形構造を有する
ことを特徴とする請求項3に記載のスポンジブラシ。
【請求項6】
前記中心軸方向の最も先端側に位置する前記笠状部と、これと隣り合う前記笠状部とが組み合わさって鍔状の先端側鍔状部を形成し、
前記先端側鍔状部は、前記スポンジ部の、前記中心軸の方向と直交する方向の長さよりも大径である
ことを特徴とする請求項3に記載のスポンジブラシ。
【請求項7】
前記中空部材は、前記変形構造の少なくとも前記中心軸方向の一部において、肉厚が周方向位置によって異なる部分がある
ことを特徴とする請求項3に記載のスポンジブラシ。
【請求項8】
前記笠状部は、前記中心軸から離れる向きに突設され且つ前記中心軸方向と平行する方向に延設されるリブを有する
ことを特徴とする請求項3に記載のスポンジブラシ。
【請求項9】
前記スポンジ部は、その内側に、前記スポンジ部を支持するヘッド部材の先端部分が挿入されるとともに、固形化した接着剤を介して前記先端部分に固着される
ことを特徴とする請求項2ないし8の何れかに記載のスポンジブラシ。
【請求項10】
前記スポンジ部は、複数の面と、前記複数の面のうちの少なくとも二つの面同士が鋭角を成すように交差する稜線とを有する立体形状に形成される
ことを特徴とする請求項1ないし8の何れかに記載のスポンジブラシ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスポンジブラシに関する。詳細にはスポンジによって形成されるスポンジ部と、使用者が、このスポンジ部を口腔内に誘導するために把持するハンドル部とを有するスポンジブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スポンジと、使用者が、このスポンジを口腔内に誘導するために把持する柄とを有するスポンジブラシがある(特許文献1)。このスポンジブラシは、先端のスポンジによって口腔内を清掃することができるため、口腔内の部位に対して、柄の軸方向と直交する全方向においてスポンジを当てて清掃することができる。
【0003】
そのため、例えばいわゆる歯ブラシのように単一の方向に刷毛が植毛される場合と比べて、スポンジブラシは操作が容易であり、刷毛が植毛された向きを気にせずに自在の方向に動かすことによって口腔内を清掃することができる。そのため、高齢者により自ら容易に用いることができる。また、介助者が被介助者の口腔内を清掃するときに、被介助者の口腔内におけるブラシの向きや動かす方向に注意を払う必要が小さいため、介助者によっても容易に用いることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10-155816号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記の従来のスポンジブラシは、柄がストレートな円柱状のため、本人の口腔内を清掃する使用者本人又は被介助者の口腔内を清掃する介助者(以下、これら使用者本人及び介助者を総称して「使用者等」とよぶ。)が手指によって柄を把持する力がスポンジに伝わりやすい。そのため、口腔内において使用者等がスポンジを無理な方向に動かしてしまい、口腔内の部位とスポンジとの間において不必要な摩擦が過剰に生じると、この部位を傷付けてしまう虞が大きい。また、過大な回数にわたってスポンジを往復動させてしまう場合も同様の虞が大きい。
【0006】
また、口腔内において使用者等がスポンジを本来当てるべきでない部分に当ててしまい、スポンジの先端が口腔内の柔らかい部位、痛み、違和感等を感じやすい部位などを突いてしまうと、柄を把持する力が伝わりやすいために、使用者本人又は被介助者が痛み又は不快感を感じてしまう虞が大きい。
【0007】
そこで本発明は、スポンジが口腔内にある状態でスポンジブラシを動かすときに、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さいスポンジブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明は先端側にスポンジによって形成されるスポンジ部を有するスポンジブラシであって、前記スポンジ部を口腔内に誘導するために把持されるハンドル部を構成し、中空の筒状であり、かつ、弾性材料により形成される中空部材とを備え、前記中空部材は、鍔状に突出する鍔状部を含み且つ弾性変形可能な変形構造を有することを特徴とするスポンジブラシを提供するものである。
【0009】
すなわち、本発明のスポンジブラシは中空であり且つ弾性材料により形成される変形構造を有するため、ハンドル部の中心軸方向における伸縮と、同じく元の中心軸方向に対して曲がることとによる変形が可能である。そのため、口腔内において使用者等がスポンジ部を無理な方向に動かしてしまうときでも、変形構造が曲がることにより、無理な方向に対して加わる力を緩衝することができる。
【0010】
また、使用者等がスポンジ部を本来当たるべきでない部分に当ててしまうときでも、変形構造が中心軸方向に伸縮することにより、当たるべきでない部分に加わる力を緩衝することができる。さらに、過大な回数にわたってスポンジ部を往復動させてしまう場合も同様に力を緩衝することができる。
【0011】
これらにより、本発明のスポンジブラシは、変形構造が様々な方向の力を緩衝することにより、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0012】
しかも、変形構造が中心軸方向に伸縮するため、使用者本人がスポンジブラシをくわえた状態で転倒するようなときでも、床、洗面台等からスポンジブラシが受ける力を吸収することができる。そのため、使用者本人はスポンジブラシによって自分の喉を突いて傷付ける虞が小さい。
【0013】
さらに、中空の筒状である中空部材を備えるため、その中空空間を有するぶん重量が小さい。そのため、使用者等が小さい力でスポンジブラシを把持することができる。
【0014】
(2)また、前記スポンジ部を支持するヘッド部材を有し、前記ヘッド部材と前記中空部材とが脱着自在に連結してもよい。
【0015】
すなわち、本発明のスポンジブラシは、ヘッド部材がスポンジ部を支持し、かつ、このヘッド部材と中空部材とが脱着自在に連結する。そのため、スポンジブラシを一回又は複数回使用した後に、中空部材からヘッド部材を取外し、代りのヘッド部材を同じ中空部材に装着することができる。このとき、それぞれのヘッド部材がスポンジ部を支持することにより、ヘッド部材と同時にスポンジ部を取り替えることができる。こうして、本発明のスポンジブラシは、中空部材を再利用しつつ、スポンジ部を取り替えることにより、常に衛生な状態を保つことができる。
【0016】
(3)また、前記変形構造は、変形しない状態でそれぞれの中心線が前記筒状の中心軸と一致する笠状であり且つ円環状である笠状部を複数有し、かつ、これら複数の前記笠状部が前記中心軸方向に連続して配置されるとともに、第1の前記笠状部と、前記各中心線方向において前記第1の笠状部と反対向きに傾斜する第2の前記笠状部とが前記各中心線方向において隣り合い、前記中空部材は、変形して、少なくとも一の前記笠状部の中心線が前記中心軸に対して傾くように構成されてもよい。
【0017】
すなわち、本発明のスポンジブラシは、中空部材が円環状の笠状部を有するため、中空部材の中心軸方向と直交するいずれの方向においても変形し得る。このように、いずれの方向にも曲がることができるため、より広い範囲の可動域を有することができる。こうした広範囲の力の緩衝により、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0018】
また、それぞれが変形する複数の笠状部が中心軸方向に連続して重なることにより、これら重なる笠状部の数が増えるほど、中空部材全体において変形することのできる長さは増大する。また、同じく中空部材全体の曲がる角度は増大する。これらにより、本発明のスポンジブラシはより大きな力を緩衝することができる。
【0019】
さらに、変形構造全体の変形が、弾性変形するそれぞれの笠状部によって分担されるため、一つ一つの笠状部は塑性変形し難い。そのため、本発明のスポンジブラシは、繰り返しの使用にもかかわらず弾性変形を続け、長い期間にわたって、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0020】
(4)また、前記中空部材は、合成樹脂を成形して形成されてもよい。
【0021】
すなわち、中空部材の材質が合成樹脂のため、製造者は原料の樹脂を加熱溶融させた後に冷却して望む形状に成形することができる。このとき、合成樹脂は種類によって硬さなどの機械的な特性が異なる場合があることが知られている。また、冷却する前の肉厚を増減させることにより、成形後の中空部材の肉厚に変化を持たせることができる。これらにより、製造者は、材質又は肉厚を変えて製造することにより、使用時、転倒時等に加わる力の緩衝度合、質量の大小、使用者等の口腔内の部位に加わる圧力の加わり具合などを変化させたスポンジブラシを得ることができる。その結果、使用者等の事情に合った最適なスポンジブラシを提供することができる。
【0022】
(5)また、前記中空部材は、前記中心軸方向の基端側に把持部を有するとともに、前記把持部より先端側に前記変形構造を有してもよい。
【0023】
すなわち、中空部材の把持部が変形構造よりも基端側に設けられているため、使用者等は、スポンジブラシを使用する際に、これを把持する手指によって変形構造に触れる必要がない。そのため、本発明のスポンジブラシは、使用時に変形構造の変形に支障をきたすことがなく、口腔内の部位を傷付ける虞がより小さく、また、痛みなどを感じる虞がより小さい。
【0024】
(6)また、前記中心軸方向の最も先端側に位置する前記笠状部と、これと隣り合う前記笠状部とが組み合わさって鍔状の先端側鍔状部を形成し、
前記先端側鍔状部は、前記スポンジ部の、前記中心軸の方向と直交する方向の長さよりも大径であってもよい。
【0025】
すなわち、本発明のスポンジブラシはスポンジ部よりも大径である先端側鍔状部を有する。そのため、使用者等が清掃するためにスポンジ部を口腔内の奥に挿入するとき、先端側鍔状部は使用者本人又は被介助者の前歯に当たる可能性が高く、それによって、先端側鍔状部よりも基端側の部分が口腔内に進入することが難しい。
【0026】
これにより、本発明のスポンジブラシはスポンジ部が口腔内に入っても、中空部材が口腔内に入りにくい。そのため、使用中に転倒してスポンジブラシの基端が床などに当たることがあっても、中空部材が口腔内に入らないことにより、スポンジブラシの先端によって口腔内を傷付けてしまう事故の発生を低減することができる。
【0027】
(7)また、前記中空部材は、前記変形構造の少なくとも前記中心軸方向の一部において、肉厚が周方向位置によって異なる部分があってもよい。
【0028】
すなわち、中空部材の一部又は全部は、中心軸の周方向における一部の肉厚が異なる一部の肉厚よりも大きいのであって、この周方向位置によって肉厚の厚薄が異なる偏肉構造を有する。そのため、中空部材は、厚肉である中心軸周り位置において曲がることによる変形に対する抵抗が大きく、逆に、薄肉である中心軸周り位置において曲がることによる変形に対する抵抗が小さい。そのため、本発明のスポンジブラシは、その製造者が、曲げる向きによって比較的容易に曲げることができる角度、または、ある角度まで曲げるために加えなければならない力を変えることができる。これにより、製造者は、製造するスポンジブラシによる力の吸収度合などを、曲げる向きによって変化させることが可能となり、使用者等の事情に合った最適なスポンジブラシを提供することができる。
【0029】
(8)また、前記笠状部は、前記中心軸から離れる向きに突設され且つ前記中心軸方向と平行する方向に延設されるリブを有してもよい。
【0030】
すなわち、笠状部にリブが突設されることにより、中空部材は、リブが設けられている向きにおいて曲がりにくい。これにより、製造者は、リブを突設することにより、中空部材が特定の向きには曲がりにくいスポンジブラシを製造することができる。そのため、向きにより曲がる難易を変えることによって、使用者等の事情に合った最適なスポンジブラシを提供することができる。
【0031】
(9)また、前記スポンジ部は、その内側に、前記スポンジ部を支持する前記ヘッド部材の先端部分が挿入されるとともに、固形化した接着剤を介して前記先端部分に固着されてもよい。
【0032】
すなわち、スポンジ部が固形化した接着剤によってヘッド部材に固着されるため、本発明のスポンジブラシは、使用者等が力を入れて口腔内を清掃するときに、この固形化された接着剤がスポンジ部を通して口腔内の部位を傷めるという事態が生じがちである。例えば、接着剤が不規則な形状に固形化することによって鋭利な角を有するような場合は、たとえスポンジ部を介していても、この鋭利な角が口腔内の部位を局所的に押してしまい口腔内の部位を傷めがちである。
【0033】
これに対して、本発明のスポンジブラシはこうした鋭利な角によって局所的な力が口腔内の部位に加わるときでも、変形構造が力を緩衝することにより、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0034】
(10)また、前記スポンジ部は、複数の面と、前記複数の面のうちの少なくとも二つの面同士が鋭角を成すように交差する稜線とを有する立体形状に形成されてもよい。
【0035】
すなわち、スポンジ部の面同士が鋭角を成すように交差する稜線を有するため、本発明のスポンジブラシは、使用者等が力を入れて口腔内を清掃するとき、この鋭角の稜線が口腔内の部位に局所的に当たってしまい、こうした部位を傷めるという事態を招きがちである。
【0036】
これに対して、本発明のスポンジブラシはこうした鋭角の稜線が局所的に口腔内の部位に当たるときでも、変形構造が力を緩衝することにより、これらの部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【発明の効果】
【0037】
このように本発明では、スポンジ部が口腔内にある状態でスポンジブラシを動かすときに、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、痛みなどを感じる虞が小さい安全なスポンジブラシを提供することができる。また、使用者等が被介助者の口腔内を清掃する介助者の場合、介助者自らは被介助者が感じる痛み、違和感等を直接に感知することができないのに対し、本発明の安全なスポンジブラシによって、介助者は安心して被介助者の口腔内を清掃することができる。また、使用者等が、急に体を動かしがちな幼児等の被介助者の口腔内を清掃する介助者の場合も、本発明の安全なスポンジブラシによって、介助者は安心して被介助者の口腔内を清掃することができる。そして、これらの課題を解消する上で、使用者本人、被介助者又は介助者の年齢、体力、行動パターン等の特性、スポンジブラシの使用条件、好みなどの事情に合わせた最適なスポンジブラシを提供することができる。
【0038】
さらに、中空部材の内側が空洞であるため、合成樹脂などの材料の使用量を減らすことができ、地球環境に対する負荷の低いスポンジブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】(a)本発明の第1の実施形態に係るスポンジブラシの平面図を表わす。(b)(c)同じくスポンジブラシの正面図を表わす。
図2図1のスポンジブラシのヘッド部材と中空部材との連結を外した状態の斜視図を表わす。
図3】(a)~(c)図1に示すスポンジブラシのブラシ部及びヘッド部材の正面図、ヘッド部材の右側面部分断面図及びヘッド部材の底面図をそれぞれ表わす。
図4】(a)(b)図1に示すスポンジブラシのスポンジ部の平面図及び正面図をそれぞれ表わす。(c)(d)同じくスポンジブラシのヘッド部材を嵌め込んだ状態のスポンジ部の平面図及び正面図をそれぞれ表わす。
図5】(a)~(c)図1に示すスポンジブラシのヘッド部材の右側面部分断面図、前記右側面部分断面の拡大図及びアンダーカット部の拡大図をそれぞれ表わす。
図6】(a)~(d)図1に示すスポンジブラシの中空部材の平面図、側面図、正面図及び横断端面図をそれぞれ表わす。
図7図6(a)に示すA-A線から視た中空部材のA-A線断面図を表わす。
図8図7に示すA-A線断面の部分拡大断面図を表わす。
図9】(a)(b)図8に示す部分拡大断面の端面図を表わす。
図10図1に示すスポンジブラシの中空部材の部分右側面図を表わす。
図11図1に示すスポンジブラシのヘッド部材と中空部材とを組み合わせた状態におけるヘッド部材の部分右側面断面図と中空部材の部分右側面図とを表わす。
図12】(a)(b)図1に示すスポンジブラシが後ろ向きに曲がる前と後との状態を平面視において表わす。
図13】(a)(b)図1に示すスポンジブラシが後ろ向きに曲がる前と後との状態を右側面視において表わす。
図14】(a)(b)図1に示すスポンジブラシが上下方向に伸長した状態の右側面図と同じく上下方向に縮小した状態の右側面図とをそれぞれ表わす。
図15】(a)図1に示すスポンジブラシの正面断面図を表わす。(b)不規則な形状に固定化された接着層を有する同じくスポンジブラシの正面断面図を表わす。
図16】(a)(b)(c)ヘッド部材の上端とスポンジ部の上端との上下方向における位置関係が異なる、三種類の図1に示すスポンジブラシの正面断面図をそれぞれ表わす。
図17】ヘッド部材の上方がスポンジ部によって塞がれた形態の図1に示すスポンジブラシの正面断面図を表わす。
図18】(a)(b)(c)一の変形例であるスポンジ部の平面図、正面図及び斜視図をそれぞれ表わす。
図19】(a)(b)(c)図18の例と異なる一の変形例であるスポンジ部の平面図、正面図及び斜視図をそれぞれ表わす。
図20】(a)(b)本発明の第2の実施形態に係るスポンジブラシの正面図を表わす。
図21図20のスポンジブラシのヘッド部材と中空部材との連結を外した状態の斜視図を表わす。
図22】(a)~(d)図20に示すスポンジブラシの中空部材の平面図、側面図、正面図、横断端面図及び底面図をそれぞれ表わす。
図23図20に示すスポンジブラシの中空部材の部分右側面図を表わす。
図24図20に示すスポンジブラシのヘッド部材と中空部材とを組み合わせた状態におけるヘッド部材の部分右側面断面図と中空部材の部分右側面図とを表わす。
図25】(a)~(c)図20に示すスポンジブラシが次第に後ろ向きに曲がる状態を右側面視において表わす。
図26】(a)~(c)図20に示すスポンジブラシが次第に後ろ向きに曲がる状態の右側面断面図をそれぞれ表わす。
図27】本発明の第3の実施形態に係るスポンジブラシの正面図を表わす。
図28】(a)(b)本発明の第4の実施形態に係るスポンジブラシの中空部材の右側面図及び横断端面図をそれぞれ表わす。
図29】(a)~(c)本発明の第4の実施形態に係るスポンジブラシの中空部材の正面図、右側面図及び横断端面図をそれぞれ表わす。
図30】(a)(b)本発明の第5の実施形態に係るスポンジブラシの右側面図及び横断端面図をそれぞれ表わす。
図31】(a)(b)本発明の第5の実施形態に係るスポンジブラシの右側面図及び横断端面図をそれぞれ表わす。
図32】本発明の変更された実施形態に係るスポンジブラシのヘッド部材と中空部材とを組み合わせた状態におけるヘッド部材の部分平面断面図と中空部材の部分平面図とを表わす。
図33】本発明の変更された実施形態に係るスポンジブラシの部分正面図を表わす。
【発明を実施するための形態】
【0040】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態を、図1図19を用いて説明する。図1(a)の平面図並びに図1(b)及び図1(c)の正面図において11はスポンジブラシである。スポンジブラシ11はヘッド部12を有するとともに、ヘッド部12よりも基端側において隣接するハンドル部13を有する。ヘッド部12の先端側にはスポンジ部14が固着されている。使用者等はスポンジ部14を使用者本人又は被介助者の口腔内に誘導するためハンドル部13を把持する。図1(c)はスポンジ部14の内部がかくれ線により表わされている。図においては、矢印Uの向きがスポンジブラシ11の上方を示し、矢印Dの向きが同じく下方を示す。矢印Lの向きが同じく左方を示し、矢印Rの向きが同じく右方を示す。また、矢印Fの向きが同じく前方を示し、矢印Bの向きが同じく後方を示す。
【0041】
スポンジブラシ11の中心軸を符号C1により表わす。ヘッド部12、ハンドル部13及びスポンジ部14は平面視において、中心軸C1を中心とする同心円を描くように構成される。そして、スポンジブラシ11の左右の側面図及び背面図は、図1(b)(c)の正面図と同一に表れる。
【0042】
ヘッド部12は、ネック部12aと、ネック部12aの上側に連続し、スポンジ部14の内側に嵌まる接着部12bとを有する。ネック部12aと接着部12bとはそれぞれ中心軸C1を中心線とする略円柱状に形成される。ネック部12aは接着部12bよりも径大の略円柱状に形成される。また、スポンジ部14は、全体に略円柱状に形成され、その中心線Csがスポンジブラシ11の中心軸C1と一致する。スポンジ部14は上下方向の切り込み14aを有する。接着部12bの外周面と切り込み14aの内側面とは接着剤によって接着されることにより固定されている。なお、図1(c)において、二箇所の符号12bを付しているが、一方の符号12bはヘッド部12のうち接着部12bが占める範囲を指し、他方の符号12bは接着部12bの上端から引き出した引出線を指す。
【0043】
ハンドル部13は上側である先端側に、弾性変形可能な変形構造である蛇腹部15を有するとともに、下側である基端側に、使用者等が手指を用いてスポンジブラシ11を把持するための把持部16を有する。蛇腹部15は、それぞれ中心軸C1から遠ざかる向きに鍔状に突出する複数の鍔状部17,18を有する。これら鍔状部17,18のうち、先端側の鍔状部を先端側鍔状部17とよび、先端側鍔状部17の基端側に隣り合う鍔状部を基端側鍔状部18とよぶ。
【0044】
図2は、スポンジブラシ11をヘッド部材120と中空部材130とが分かれるように上下方向に分解した状態の斜視図を表わす。ヘッド部材120と中空部材130とは、上下方向に脱着自在に連結する。ヘッド部材120は、中空部材130と組み合わされた状態でヘッド部12を構成する。ヘッド部材120にスポンジ部14が固定されている。中空の筒状に形成された中空部材130は、ヘッド部材120と組み合わされた状態でハンドル部13を構成する。このとき、中空部材130の下述する先端部131は、ヘッド部材120の内側に位置してヘッド部12の一部を構成する。ヘッド部材120の中心軸C2と中空部材130の中心軸C3とは、これらが組み合わされた状態で、スポンジブラシ11の中心軸C1と一致する。
【0045】
ヘッド部材120と中空部材130とは別体に形成される。ヘッド部材120は、ポリプロピレン(PP)、飽和ポリエステル(PET)、ポリアセタール(POM)等熱可塑性樹脂を含む各種の合成樹脂を材料とする、例えば射出成形による成形品である。
【0046】
図3(a)はスポンジ部14が固定された状態のヘッド部材120の正面図を示す。ヘッド部材120はスポンジ部14を固定して支持する。図3(b)はスポンジ部14を支持していない状態のヘッド部材120の右側面部分断面図を示す。そして、図3(c)はヘッド部材120の底面図を示す。ヘッド部材120の下底側には下方に開口する開口部121が設けられている。開口部121は上側ほど縮径する略円錐台状の内部空間を有する。その内部空間の内周部分を被嵌入領域122とよぶ。ヘッド部材120の下端は外周が円形に形成され、開口部121の出口である開口端縁123を構成する。スポンジ部14を支持していない状態のヘッド部材120の正面部分断面図は図3(b)の右側面部分断面図と共通する。左側面部分断面図及び背面部分断面図も同様である。
【0047】
スポンジ部14は材質が多孔構造を有する軟質ウレタンフォーム、硬質ウレタンフォーム等のポリウレタンであり、平面視中央位置に上下方向の切り込み14aを有する略円柱状に形成される。図4(a)(b)は、ヘッド部材120に固定されていない状態のスポンジ部14のそれぞれ平面図及び正面図を表わす。切り込み14aは、横断面が左右方向に長い略長方形となるように形成されている。また、図4(c)(d)は、スポンジ部14の下側からヘッド部材120を嵌め込み、接着部12bの外周面と切り込み14aの内側面とが固定された状態のそれぞれ平面図及び部分正面図を表わす。切り込み14aは、内側に接着部12bを有することにより、変形してスポンジ部14の径方向外向きに拡がっている。スポンジ部14がヘッド部材120に固定された状態において、スポンジ部14の中心線Csは、スポンジブラシ11の中心軸C1及びヘッド部材120の中心軸C2と一致する。
【0048】
そして、接着部12bの外周面と切り込み14aの内側面との間が化合物を用いた接着剤によって接着される。この接着剤の種類には、シアノアクリレート系の接着剤、または、オレフィン系若しくはEVA系を含む熱可塑性ポリマーの接着剤が含まれる。その結果、固形化された接着剤によって形成される接着層が接着部12bの外周面と切り込み14aの内側面との間に介在する。なお、各図においては、特に記載を行わない限り接着層の図示を省略する。
【0049】
図5(a)は図3(b)と同様にヘッド部材120の右側面部分断面図を示す。また、図5(b)は図5(a)のうちヘッド部材120の下底側を拡大した図を示す。被嵌入領域122は、径方向内向きに突出する略円環状のアンダーカット部124を有する。図5(c)はアンダーカット部124の拡大図を示す。アンダーカット部124は被嵌入領域122の内側全周にわたって設けられる。このアンダーカット部124を設けることにより、被嵌入領域122のうちアンダーカット部124よりも上側の部分は、アンダーカット124の最も内側に位置する頂部に比べて一段径大な、径方向外向きに凹んでいる係着凹状部125を形成する。
【0050】
また、被嵌入領域122は、周方向に均一な間隔を空けて配置され且つ径方向外向きに凹むように形成される四箇所の被係止凹部126を有する。各被係止凹部126は、内側に下側ほど幅広な略四角推台状の空間を形成する。そして、各被係止凹部126は、平面視における時計向きCLに面する内壁である時計向き被係止面127aを有する。また、平面視における反時計向きUCに面し、周方向において各時計向き被係止面127aと対向する内壁である反時計向き被係止面127bを有する。従って、被嵌入領域122全体には四面の時計向き被係止面127aと四面の反時計向き被係止面127bとが形成される。
【0051】
中空部材130は、低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)などの熱可塑性樹脂を含む各種の弾性を有する合成樹脂を材料とする、例えばブロー成形による成形品である。また、全体が一体に成形されている。図6(c)は中空部材130の正面図を表わす。図6(a)及び図6(b)は図6(c)の姿勢から中心軸C3を中心に中空部材130を反時計向きに45°回転させた状態の平面図及び側面図を表わす。図6(d)は、図6(b)(c)の上下方向の対応する位置における横断面の端面を表わす。中空部材130の上端には上側ほど縮径する円錐台状の先端部131が設けられている。先端部131を含む、先端部131から鍔状部17の最上部までの外周部分を嵌入領域132とよぶ。ヘッド部材120と中空部材130とは、嵌入領域132が被嵌入領域122に嵌入することによって連結して組み合わされる。嵌入領域132は、ヘッド部材120と中空部材130とが連結された状態で、開口部121の径方向内側に位置してヘッド部12の一部を構成する。
【0052】
図6(b)~(d)が示す先端側鍔状部17のうち中心軸C3から最も外側に形成される山の頂を先端側山部17aとよび、また、基端側鍔状部18のうち中心軸C3から最も外側に形成される山の頂を基端側山部18aとよぶ。先端側山部17aと基端側山部18aとは、それらの内周径が同一であり、また、それらの外周径が同一である。そして、先端側鍔状部17と基端側鍔状部18との間に位置し、中心軸C3寄りの最も内側に形成される谷の底を先端側谷部17bとよび、また、蛇腹部15の最も下側に位置し、中心軸C3寄りの最も内側に形成される谷の底を基端側谷部18bとよぶ。基端側谷部18bの下側に把持部16が連続する。先端側谷部17bと基端側谷部18bとは、それらの内周径が同一であり、また、それらの外周径が同一である。各山部17a,18aは、内周径と外周径とが共に各谷部17b,18bよりも大径となるように形成される。なお、各山部17a,18aは、下述する中空部材130全体の湾曲に支障をきたさなければ、それぞれの内周径が異なり、また、それぞれの外周径が異なってもよい。そして、各谷部17b,18bは、同様に、それぞれの内周径が異なり、また、それぞれの外周径が異なっていてもよい。
【0053】
図6(d)の各横断面図及び図6の中空部材130の縦断面図が示す通り、中空部材130は内部全体が一つの中空空間Eを成す中空構造を有する。図7図6(a)に示すA-A線から視た中空部材130のA-A線断面図である。すなわち、先端部131を含む先端部分、蛇腹部15及び把持部16とも中空構造を有し、かつ、筒状の中空部材130全体の中空空間と先端部131、下述する山部17a,17bなどの中空空間とが連通して一つの中空空間Eを形成している。
【0054】
また、中空部材130は肉厚が全体に略均一となるように形成されている。ここで言う肉厚を図7において符号tにより表わす。なお、中空部材130の肉厚tは、中空部材130全体の強度を保つことができ且つ下述する湾曲に支障をきたさなければ略均一でなくともよい。
【0055】
図7が示すように、内側から視て各谷部17b,18bは中空空間Eにおいて中心軸C3に近付く向きに凸設される。逆に、各山部17a,18aは中空空間Eにおいて中心軸C3から遠ざかる向きに凹設される。
【0056】
中空部材130の横断面は、図6(d)の各横断面図が示すようにいずれも円形に形成される。
【0057】
図8は、図7に示した中空部材130全体の縦断面のうち、先端付近の部分拡大縦断面図を表わす。中空部材130は笠状であり且つ円環状である笠状部161,171,172,181,182を複数有する。各笠状部161,171,172,181,182の中心線は、中空部材130の中心軸C3と一致する。複数の笠状部161,171,172,181,182は、先端側から、第1笠状部171、第2笠状部172、第3笠状部181、第4笠状部182及び第5笠状部161の順に配置される。
【0058】
第1笠状部171及び第2笠状部172は、先端側山部17aを上下方向の境界にして、それぞれ先端側鍔状部17の上側部分と下側部分とを構成する。また、第3笠状部181及び第4笠状部182は、基端側山部18aを上下方向の境界にして、それぞれ後端側鍔状部18の上側部分と下側部分とを構成する。第5笠状部161は、蛇腹部15の最も基端側部分に位置し、把持部16の周面の先端側縁から先端向きに且つ中心軸C3に近付くように縮径する部分を占める。そして、先端側谷部17bは第2笠状部172と第3笠状部181との境界を成し、また、基端側谷部18bは第4笠状部182と第5笠状部161との境界を成す。これらのように、第1~5笠状部171,172,181,182,161は、先端側山部17a、先端側谷部17b、基端側山部18a及び基端側谷部18bにおいて上下方向に連続する。
【0059】
また、第1笠状部171、第3笠状部181及び第5笠状部161は基端側ほど拡径するように傾斜する。その逆に、第2笠状部172及び第4笠状部182は先端側ほど拡径するように傾斜する。
【0060】
このように、それぞれの中心線方向において第1笠状部171と、第1笠状部171と反対向きに傾斜する第2笠状部172とが隣り合う。同様に、第2笠状部172と、第2笠状部172と反対向きに傾斜する第3笠状部181とが、第3笠状部181と、第3笠状部181と反対向きに傾斜する第4笠状部182とが、および、第4笠状部182と、第4笠状部182と反対向きに傾斜する第5笠状部161とが隣り合う。これらによって、複数の笠状部161,171,172,181,182が蛇腹状に配置される蛇腹構造の蛇腹部15が形成される。
【0061】
図9(a)(b)は、ハンドル部13の把持部16を使用者等が把持しつつ、ヘッド部12に対して右向きの力を加えてスポンジブラシ11を屈曲させたときの縦断面における中空部材130の先端側の部分拡大端面を表わす。各笠状部161,171,172,181,182の中心線を、順に符号C161,C171,C172,C181,C182を付して表わす。これらの部分拡大端面は、スポンジブラシ11を右向き以外の向きに屈曲する場合においても同様に表わされる。図9(a)は、力を加えていないときの図8の状態から少し右向きの力を加えた場合の拡大端面を表わす。また、図9(b)は、図9(a)の状態からさらに右向きの力を加えた場合の拡大端面を表わす。それぞれの図が示すように、中空部材130の元々の中心軸C3に対して、円錐台状の先端部131の中心線C131は、先端ほど右方に位置するように傾いている。このとき、一部又は全部の笠状部161,171,172,181,182のそれぞれの中心線C161,C171,C172,C181,C182も、元々の中心軸C3に対して上側ほど右方に位置するように傾いている。
【0062】
なお、発明者は、試作品を用意して変形試験を行った結果、条件が揃う場合、図9(a)及び(b)が示すように、蛇腹部15のうち、先に谷部17b,18bをそれぞれ中心軸C方向に挟む一対の笠状部172,181及びもう一方の一対の笠状部182,161どうしの間隔が広がり又は狭くなるように弾性変形して中空部材130が湾曲し、かつ、次に山部17a,18aを同じく挟む一対の笠状部171,172及びもう一方の一対の笠状部181,182どうしの間隔が広がり又は狭くなるように弾性変形して中空部材130が湾曲するときがあることを見出した。しかも、この場合に、それぞれ各谷部17b,18bのうち、または、各山部17a,18aのうちでも先端側から基端側への順に前記各一対の笠状部が弾性変形して、次第々々に中空部材130が湾曲することを見出した。
【0063】
このとき、各笠状部171,172,181,182,161の縦断面右側に着目すると、最初に、第2笠状部172の第2笠状部右領域172rと第3笠状部181の第3笠状部右領域181rとが当接又は略当接する。次に、第4笠状部182の第4笠状部右領域182rと第5笠状部161の第5笠状部右領域161rとが当接又は略当接する。これらの後に、第1笠状部171の第1笠状部右領域171rと第2笠状部右領域172rとが接近する。最後に、第3笠状部右領域181rと第4笠状部右領域182rとが接近する。
【0064】
同様に、各笠状部171,172,181,182,161の縦断面左側に着目すると、最初に、第2笠状部172の第2笠状部左領域172lと第3笠状部181の第3笠状部左領域181lとが離れる。次に、第4笠状部182の第4笠状部左領域182lと第5笠状部161の第5笠状部左領域161lとが離れる。これらの後に、第1笠状部171の第1笠状部左領域171lと第2笠状部左領域172lとが離れる。最後に、第3笠状部左領域181lと第4笠状部左領域182lとが離れる。
【0065】
なお、図9(a)(b)においては弾性変形する範囲の状態を表わし、弾性変形域を超えて塑性変形する状態を表わしていない。
【0066】
このように、蛇腹部15の変形パターンが法則性を有する場合、使用者等は、蛇腹部15の塑性変形が始まるタイミングを予測することができる。これにより、中空部材130の塑性変形を避けて、スポンジブラシ11をできるだけ長く使用することができる。
【0067】
図10は中空部材130の右側面図における先端部131近傍を拡大した部分図を示す。嵌入領域132は、上下方向の途中において全周に渡り且つ下向きに形成される段差133を有する。この段差133よりも下側の首状部分を首部134とよぶ。そして、段差133よりも上側に位置する先端部131は下端付近部分が首部134よりも一段径大であり、径方向外向きに突出している係着凸状部135を形成する。首部134の径と、アンダーカット124の最も内側に位置する頂部の径とが略同一する。
【0068】
また、嵌入領域132は、首部134の外周に均一な間隔を空けて配置され且つ径方向外向きに突出するように形成される四箇所の係止凸部136を有する。各係止凸部136は、下側ほど幅広な略四角推台状の形状を有するとともに、その底面は先端側鍔状部17の第1笠状部171と一体に形成されている。そして、各係止凸部136は、平面視において時計向きCLに面する外壁である時計向き係止面137aを有する。また、平面視における反時計向きUCに面する外壁であり、周方向において各時計向き係止面137aと対向する反時計向き係止面137bを有する。従って、嵌入領域132全体には四面の時計向き係止面137aと四面の反時計向き係止面137bとが形成される。
【0069】
図11は、ヘッド部材120と中空部材130とが脱着自在に連結している状態を示す。ヘッド部材120については図3(b)、図5(a)(b)と同様に部分右側面断面図が表わされている。中空部材130については図10と同様に右側面から視ることのできる外形線が表わされている。ヘッド部材120と中空部材130とを組み立てるため、先端部131を開口部121に対して上向きに嵌入する。このとき、係着凸状部135は弾性変形して外径がわずかにアンダーカット124の最も内側に位置する頂部の径よりも小さくなってこの頂部を通過する。こうして、嵌入領域132と被嵌入領域122とが当接するとともに係着凸状部135と係着凹状部125とが係着する。また、アンダーカット124は段差133の下側に位置するため、先端部131を上向きに係止する。
【0070】
このように先端部131を開口部121に対して上向きに嵌入する際、各被係止凹部126に対して、対応する各係止凸部136が嵌まるように先端部131の中心軸線C3周りの開口部121に対する角度を調節する。各被係止凹部126に対して各係止凸部136が組み合わさることにより、周方向において、各時計向き係止面137aは各時計向き被係止面127aと対向する。また、各反時計向き係止面137bは各反時計向き被係止面127bと対向する。これにより、各係止面137a,137bが各被係止面127a,127bを周方向に係止することによりヘッド部材120と中空部材130とはお互いの回転が制止されるように構成される。
【0071】
逆に、中空部材130をヘッド部材120から取り外すためには、先端部131を開口部121から下向きに引き抜く。このときも、係着凸状部135は弾性変形して外径がわずかにアンダーカット124の最も内側に位置する頂部の径よりも小さくなってこの頂部を通過する。こうして、嵌入領域132と被嵌入領域122とが離隔するとともに係着凸状部135と係着凹状部125とが係脱する。これらにより、ヘッド部材120と中空部材130とは脱着自在に連結するように構成される。
【0072】
ヘッド部材120と中空部材130とが連結した状態において、図11が示すように、開口縁端123は先端側鍔状部17の第1笠状部171と上下方向に隣り合う。
【0073】
図12(a)(b)は、ヘッド部材120が中空部材130に対して傾く状態をスポンジブラシ11の平面から視た図を示す。図12(a)はスポンジブラシ11が屈曲してヘッド部材120が傾く前の状態を表わす。図12(b)は、一例としてスポンジ部14に対して後ろ向きの力が加わった場合にヘッド部材120が後ろ向きに傾く状態を表わす。また、スポンジ部14に対して加わる力が緩まるときは、ヘッド部材120が元の姿勢に戻り、元の図12(a)の状態に復元する。
【0074】
また、ヘッド部12に対して後ろ向き以外の向きの力が加わる場合でも図12(b)と同様にヘッド部材120はその向きに傾く。本実施形態のスポンジブラシ11は、左右前後の方向次第でヘッド部材120の中空部材130に対する可能な傾きの大小、その傾きを得るために必要な力の大小などが異なるような構造を有していないことによって、ヘッド部材120が左右前後360°の向きに対して自在に傾くことができる。
【0075】
図13(a)(b)は、ヘッド部材120がスポンジ部14と共に中空部材130に対して傾く前後のスポンジブラシ11の右側面から視た図を示す。図13(a)はヘッド部材120が傾く前の状態を表わす。図13(b)は、一例としてスポンジ部14に対して後ろ向きの力が加わる場合にヘッド部材120が傾く状態を表わす。すなわち、ヘッド部120が傾くにつれて、ヘッド部材120の中心軸C2と変形する前の中空部材130の中心軸C3とが成す角度は次第に大きくなる。
【0076】
図13(b)が示すように、ヘッド部材120が傾くのに従い、中空部材130は弾性的に変形する。このとき、主に、蛇腹部15の後側部分が上下方向に押しつぶされる。その反対に、蛇腹部15の前側部分が上下方向に伸びる。そして、ヘッド部材120が傾くための力が緩まるときは、弾性材料により形成される中空部材130の形状が復元してヘッド部材120が元の位置及び姿勢に戻る。
【0077】
また、図14(a)(b)は、スポンジ部14と共にヘッド部材120が把持部16に対して上下方向に変位する状態を示す。すなわち、ヘッド部材120は中心軸C1に沿って変位する。図14(a)は、図13(a)に示した変化前の状態に比べて、ヘッド部材120が上方に変位している状態を示す。図14(b)は、同じくヘッド部材120が下方に変位している状態を示す。これらのとき、中空部材130の蛇腹部15が上下方向に伸長し又は縮小する。すなわち、蛇腹部15はスポンジブラシ11の中心軸C1と一致する中空部材130の中心軸C3方向に変形する。詳細には、蛇腹部15が変形して、互いに隣り合う笠状部171,172,181,182,161同士の上下方向の距離が離隔し又は接近する。
【0078】
そして、蛇腹部15が弾性的に変形するため、図14(a)が示すようにヘッド部材120が上向きの力によって上方に変位する場合は、伸びた蛇腹部15によって下向きの反発力が生じるため、上向きの力が緩まることによって蛇腹部15が縮小するとともにヘッド部材120が元の位置に復元することができる。逆に、図14(b)が示すようにヘッド部材120が下向きの力によって下方に変位する場合は、縮んだ蛇腹部15によって上向きの反発力が生じるため、下向きの力が緩まることによって蛇腹部15が伸長するとともにヘッド部材120が元の位置に復元することができる。
【0079】
また、図示しないが、蛇腹部15は、図13(b)のように曲がるとともに図14(a)(b)のように伸縮するという複合的な変形が可能である。これにより、ヘッド部材120は左右前後360°の向きと上下の向きとに同時に変位することができる。
【0080】
なお、本明細書においては、第1笠状部171及び第2笠状部172を順に「第1の笠状部」及び「第2の笠状部」とよぶことがある。または、第2笠状部172及び第3笠状部181を順に「第1の笠状部」及び「第2の笠状部」とよぶことがある。または、第3笠状部181及び第4笠状部182を順に「第1の笠状部」及び「第2の笠状部」とよぶことがある。または、第4笠状部182及び第5笠状部161を順に「第1の笠状部」及び「第2の笠状部」とよぶことがある。そして、各図が示すように、各笠状部161,171,172,181,182は、「第1の笠状部」と「第2の笠状部」とが、それぞれの中心線C161,C171,C172,C181,C182方向において反対向きに傾斜する。また、「第1の笠状部」及び「第2の笠状部」は、各中心線C161,C171,C172,C181,C182方向においてお互いに隣り合っている。
【0081】
図15(a)は、スポンジブラシ11の正面断面図を表わす。図の符号14bは、固形化された接着剤によって形成される接着層を示す。接着層14bは、接着部12bの外周面と切り込み14aの内側面との間に介在する。また、この接着層14bの一部は、接着剤の一部が多孔構造を有するスポンジ部14の内部に浸潤して固定化されることにより部分的に切り込み14aの表面部分と一体化する。この固形化された接着剤の量が多く、不規則な形状に固定化された接着層14b´の例を図15(b)に示す。図15(b)の不規則な形状に固定化された接着層14b´は、図15(a)の接着層14bよりも鋭利な角を多く有している。
【0082】
なお、ヘッド部12とスポンジ部14との上下方向の位置関係は、図16(a)の例が示すように、接着部12bの上端とスポンジ部14の上端とが上下方向において同位置にあってもよい。また、図16(b)及び(c)の例が示すように、接着部12bの上端がスポンジ部14の上端に比べて低い位置にあってもよい。さらに、切り込みは、スポンジ部14を上下方向に貫通せずに、図17が示す切り込み14a´のように、スポンジ部14の上下方向の途中から下端にまで設けられてもよい。この場合、接着部12bの上端は、上方が塞がれた状態でスポンジ部14の内部に留まる。
【0083】
図18及び図19は、ヘッド部材120に固定されていない状態のスポンジ部の変形例を示す。図18(a)(b)(c)は、一の変形例であるスポンジ部14Tのそれぞれ平面図、正面図及び斜視図を表わす。スポンジ部14Tは上下方向の中心線Csを有する三角柱状の立体形状に形成される。また、スポンジ部14Tは、図4に示したスポンジ部14と同様に、下側からヘッド部材120を嵌め込むための切り込み14Taを有する。特に記載しない限り、構成は図4のスポンジ部14と共通する。
【0084】
この変形例のスポンジ部14Tは、三面の側面14Tc,14Td,14Teを有する。また、これらの各側面14Tc~e同士が鋭角θtである60°を成すように交差する稜線14Tfを三本有する。この変形例のスポンジ部14Tは、上下方向の稜線14Tfを有することによって、使用者等がスポンジブラシ11を左右前後方向に動かすときに、この動かす方向と略直交する方向の各稜線14Tfが使用者本人又は被介助者の口腔内の部位に当接して清掃する。これにより、高い口腔内の清掃効果を得ることができる。
【0085】
図19(a)(b)(c)は、図18の例と異なる一の変形例であるスポンジ部14Pのそれぞれ平面図、正面図及び斜視図を表わす。スポンジ部14Pは一本の上下方向の中心線Csを共有する複数の円錐台を組み合わせた立体形状に形成される。この立体形状は、最上段に上側ほど拡径する円錐台が配置され、第二段に上側ほど縮径する円錐台が配置され、第三段以降にそれぞれ上側ほど拡径する円錐台と上側ほど縮径する円錐台とが交代に配置される形状である。また、スポンジ部14Pは、図4に示したスポンジ部14と同様に、下側からヘッド部材120を嵌め込むための切り込み14Paを有する。特に記載しない限り、構成は図4のスポンジ部14と共通する。
【0086】
この変形例のスポンジ部14Pは、上面14Pg、最上段の円錐台の側面14Ph、第二段の円錐台の側面14Pi、および、第三段以降の各円錐台の側面14Pj~14Pnを有する。また、互いに隣り合うこれらの上面14Pg及び各側面14Ph~n同士が交差する稜線14Phi~14Pmnを有する。このとき、上面14Pgと最上段の円錐台の側面14Phとは鋭角θp1である45°を成すように交差して稜線14Phiを成す。また、第二段の円錐台の側面14Piと第三段の円錐台の側面14Pjとは直角θp2を成すように交差して稜線14Pijを成す。同様に、第四段~第七段の各円錐台の側面14Pk~14Pn同士は直角θp2を成すように交差して稜線14Pkl,14Pmnを成す。この変形例のスポンジ部14Pは、こうした周方向の稜線14Phi~14Pmnを有することによって、使用者等がスポンジブラシ11を上下方向に動かすときに、この動かす方向と略直交する方向の各稜線14Phi~14Pmnが使用者本人又は被介助者の口腔内の部位に当接して清掃する。これにより、高い口腔内の清掃効果を得ることができる。
【0087】
以上の構成により、本発明のスポンジブラシ11は、中空であり且つ弾性材料により形成される変形構造である蛇腹部15を有するため、ハンドル部13の中心軸C1方向において伸縮し、同じく元の中心軸C1方向に対して曲がり、また、伸縮し且つ曲がるといった複合的な変形が可能である。そのため、口腔内において使用者等がスポンジ部14を無理な方向に動かしてしまうときでも、蛇腹部15が変形することにより、無理な方向に対して加わる力を緩衝することができる。
【0088】
また、使用者等がスポンジ部14を本来当たるべきでない部分に当ててしまうときでも、蛇腹部15が中心軸C1方向に伸縮することにより、当たるべきでない部分に加わる力を緩衝することができる。さらに、過大な回数にわたってスポンジ部14を往復動させてしまう場合も同様に力を緩衝することができる。
【0089】
これらにより、スポンジブラシ11は、蛇腹部15が様々な方向の力を緩衝することにより、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0090】
しかも、蛇腹部15が中心軸C3方向に伸縮するため、使用者本人がスポンジブラシ11をくわえた状態で転倒するようなときでも、床、洗面台等からスポンジブラシ11が受ける力を吸収することができる。そのため、使用者本人はスポンジブラシ11によって自分の喉を突いて傷付ける虞が小さい。
【0091】
さらに、中空の筒状である中空部材130を備えるため、その中空空間Eを有するぶん重量が小さい。そのため、使用者等が小さい力でスポンジブラシ11を把持することができる。
【0092】
次に、スポンジブラシ11は、ヘッド部材120に固定されるスポンジ部14を有し、かつ、このヘッド部材120と中空部材130とが脱着自在に連結する。そのため、スポンジブラシ11を一回又は複数回使用した後に、中空部材130からヘッド部材120を取外し、代りのヘッド部材120を同じ中空部材130に装着することができる。このとき、それぞれのヘッド部材120がスポンジ部14を固定することにより、ヘッド部材120と同時にスポンジ部14を取り替えることができる。こうして、スポンジブラシ11は、中空部材130を再利用しつつ、ヘッド部材120及びスポンジ部14を取り替えることにより、常に衛生な状態を保つことができる。
【0093】
次に、スポンジブラシ11は、中空部材130が円環状の笠状部161,171,172,181,182を有するため、中空部材130の中心軸C3方向と直交するいずれの方向においても変形し得る。このように、いずれの方向にも曲がることができるため、より広い範囲の可動域を有することができる。こうした広範囲の力の緩衝により、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0094】
また、それぞれが変形する複数の笠状部161,171,172,181,182が中心軸C3方向に連続して重なることにより、これら重なる笠状部の数が増えるほど、中空部材130全体において変形することのできる長さは増大する。また、同じく中空部材130全体の曲がる角度は増大する。これらにより、スポンジブラシ11はより大きな力を緩衝することができる。
【0095】
さらに、変形構造である蛇腹部15全体の変形が、弾性変形するそれぞれの笠状部161,171,172,181,182によって分担されるため、一つ一つの笠状部は塑性変形し難い。そのため、スポンジブラシ11は、繰り返しの使用にもかかわらず弾性変形を続け、長い期間にわたって、口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0096】
次に、中空部材130の材質が合成樹脂のため、製造者は原料の樹脂を加熱溶融させた後に冷却して望む形状に成形することができる。このとき、合成樹脂は種類によって硬さなどの機械的な特性が異なる場合があることが知られている。また、冷却する前の肉厚を増減させることにより、成形後の中空部材130の肉厚に変化を持たせることができる。これらにより、製造者は、材質又は肉厚を変えて製造することにより、使用時、転倒時等に加わる力の緩衝度合、質量の大小、使用者等の口腔内の部位に加わる圧力の加わり具合などを変化させたスポンジブラシ11を得ることができる。その結果、使用者等の事情に合った最適なスポンジブラシ11を提供することができる。
【0097】
次に、中空部材130の把持部16が変形構造である蛇腹部15よりも下側に設けられているため、使用者等は、スポンジブラシ11を使用する際に、これを把持する手指によって蛇腹部15に触れる必要がない。そのため、スポンジブラシ11は、使用時に蛇腹部15の変形に支障をきたすことがなく、口腔内の部位を傷付ける虞がより小さく、また、痛みなどを感じる虞がより小さい。
【0098】
次に、スポンジ部14が固形化した接着剤によってヘッド部材120に固着され、例えば、不規則な形状に固形化された接着層14b´が図15(b)に示したような鋭利な角を有する場合がある。
【0099】
これに対して、スポンジブラシ11はこうした鋭利な角を有するときでも、変形構造である蛇腹部15が力を緩衝することにより、スポンジ部14を通して口腔内の部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0100】
次に、例えば、図18のスポンジ部14T、図19のスポンジ部14Pなどのように、面同士が鋭角を成すように交差する稜線14Tf,14Pghを有するような場合、使用者等が力を入れて口腔内を清掃するとき、これら鋭角の稜線14Tf,14Pghが口腔内の部位に局所的に当たってしまう。
【0101】
このように、鋭角の稜線14Tf,14Pghが局所的に口腔内の部位に当たる場合でも、スポンジブラシ11は、変形構造である蛇腹部15が力を緩衝することにより、スポンジ部14T,14Pがこれらの部位を傷付ける虞が小さく、また、痛みなどを感じる虞が小さい。
【0102】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態を、図20図26を用いて説明する。図20の正面図において21はスポンジブラシである。スポンジブラシ21はヘッド部22を有するとともに、ヘッド部22よりも基端側において隣接するハンドル部23を有する。ヘッド部22の先端側にはスポンジ部24が固着されている。使用者等はスポンジ部24を使用者本人又は被介助者の口腔内に誘導するためハンドル部23を把持する。
【0103】
スポンジブラシ21の中心軸をC1の中心線により表わす。ハンドル部23は中心軸C1より遠ざかる向きに膨出する上下二箇所の膨出部29を有し、また、中心軸C1に近付く向きに括れる上下二箇所の括れ部30を有する。このとき、上から下への順に上段の括れ部30a、上段の膨出部29a、下段の括れ部30b及び下段の膨出部29bが配置される。また、ハンドル部23は上段の括れ部30aの上側に、中心軸C1から遠ざかる向きに鍔状に突出する鍔状部27を有する。
【0104】
図21は、スポンジブラシ21をヘッド部材220と中空部材230とが分かれるように上下方向に分解した状態の斜視図を表わす。ヘッド部材220と中空部材230とは、上下方向に脱着自在に連結する。ヘッド部材220は、中空部材230と組み合わされた状態でヘッド部22を構成する。ヘッド部材220にスポンジ部14が固定されている。中空の筒状に形成された中空部材230は、ヘッド部材220と組み合わされた状態でハンドル部23を構成する。このとき、中空部材230の先端部231は、ヘッド部材220の内側に位置してヘッド部22の一部を構成する。ヘッド部材220の中心軸C2と中空部材230の中心軸C3とは、これらが組み合わされた状態で、スポンジブラシ21の中心軸C1と一致する。
【0105】
図22(c)は中空部材230の正面図を表わす。図22(a)及び図22(b)は図22(c)の姿勢から中心軸C3を中心に中空部材230を反時計向きに30°回転させた状態の平面図及び側面図を表わす。図22(d)は上下方向の対応する位置における横断面の端面及び底面を表わす。
【0106】
中空部材230の横断面は、図22(d)の各横断面図が示すように、鍔状部27が円形に形成され、上段の括れ部30aが鍔状部27よりも径小な円形に形成され、また、上下の各膨出部29a,29bが頂角の丸まった略正六角形に形成される。図示されていないが、下段の括れ部30bも頂角の丸まった略正六角形に形成される。
【0107】
図23は中空部材230の右側面図における先端部231近傍を拡大した部分図を示す。鍔状部27のうち中心軸C3から最も外側に形成される山の頂を山部27aとよぶ。鍔状部27は、山部27aよりも上側の第1笠状部271及び同じく下側の第2笠状部272によって構成される。第1笠状部271と第2笠状部272とは上下方向に連続する。この第1笠状部271は、上方ほど縮径する凸状の部分球面を有する。
【0108】
図24は、ヘッド部材220と中空部材230とが脱着自在に連結している状態を示す。ヘッド部材220については部分右側面断面図が表わされている。中空部材230については右側面から視ることのできる外形線が表わされている。ヘッド部材220と中空部材230とを組み立てるため、先端部231を開口部221に対して上向きに嵌入する。
【0109】
ヘッド部材220と中空部材230とが連結した状態において、開口縁端223は第1笠状部271側において鍔状部27と上下方向に隣り合う。
【0110】
図25(a)~(c)は、ヘッド部材220がスポンジ部24と共に中空部材230に対して次第に傾く状態をスポンジブラシ21の右側面から視た図を示す。図25(a)はヘッド部材220が傾く前の状態を表わす。図25(b)(c)は、一例として植毛面22bに対して後ろ向きに力が加わる場合にヘッド部材220が傾く状態を表わす。すなわち、ヘッド部材220の中心軸C2と中空部材230の中心軸C3とが成す角度は次第に大きくなる。なお、ヘッド部材220が後ろ向きに傾く状態の例を示すが、前向き、左向き、右向きなどに傾く場合もスポンジブラシ21は同様に変化する。
【0111】
図25(b)(c)が示すように、ヘッド部材220が傾くのに従い、中空部材230は弾性的に変形する。このとき、主に、鍔状部27の第1笠状部271と第2笠状部272との後側部分が上下方向に押しつぶされる。また、その反対に、第1笠状部271と第2笠状部272との前側部分が上下方向に伸びる。そして、図24が示すように係着凸状部235と係着凹状部225とが係着しているため、中空部材230がヘッド部材220から抜脱することはない。加わる力が緩められるときは、弾性材料により形成される中空部材230の形状が復元してヘッド部材220が元の位置及び姿勢に戻る。このように、中空部材230は鍔状に突出する鍔状部27を含み且つ弾性変形可能な変形構造を有する。
【0112】
図26(a)~(c)は、ヘッド部材220が中空部材230に対して次第に傾く状態を表わす右側面断面図である。図26(b)(c)の通り、ヘッド部材220の傾きに従って、図24のようにヘッド部材220の被嵌入領域222に嵌まっている中空部材230の嵌入領域232も同様に傾く。これに伴い、嵌入領域232と隣接する鍔状部27が傾く。これらの傾きにより、第1笠状部271と第2笠状部271とは、嵌入領域232と、上段の括れ部30aとの間に挟まっていることにより、後側においてお互いに近付くように潰れる。また、前側においてお互いに離れるように伸びる。このとき、中空部材230の元々の中心軸C3に対して、笠状部271,272のうち、少なくとも第1笠状部271の中心線C271は上側ほど後方に位置するように傾いている。
【0113】
ところで、ヘッド部材220の傾きが大きくない段階では、鍔状部27の形状が変形前の形状と大差ないため、第1笠状部271と第2笠状部272とが元の立体構造を維持しようとして傾きを生じさせるために必要な力は傾きの大きさに伴って増大する。しかし、例えば図26(c)の状態のように、ヘッド部材220の傾きがある程度大きくなった段階では、第1笠状部271と第2笠状部272とが略当接する状態にあるため、元の立体構造から二次元構造に近い状態へと変化する。発明者は、この段階においてさらなる傾きを生じさせるために必要な力が、傾きの大きさにかかわらず一定のもので足りることを見出した。
【0114】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0115】
以上の構成により、スポンジブラシ21は、ハンドル部23が弾性変形可能である上に膨出部29を有するために、使用者等が太い膨出部29を手指又は手指及び掌によって把持することにより、高齢者、幼児らの弱い握力でもスポンジブラシ21を容易に支持することができる。しかも、ハンドル部23は中空構造を有する中空部材230により構成されているために柔らかく、握力の弱い使用者等であっても中空の膨出部29をしっかり握ることができる。そのため、スポンジブラシ21は、歯を清掃する最中に手から落としてしまう虞が少ない。
【0116】
また、スポンジブラシ21は括れ部30を有するため、使用者等が括れ部30に手指を当てることにより、歯を清掃するときにスポンジブラシ21の姿勢を安定させて支持することができる。特に、上段の括れ部30aが鍔状部17と上段の膨出部29aとの間に設けられているため、使用者等は、例えば人差し指を上段の括れ部30aに当て、中指、薬指などを各膨出部29a,29bに当てることによって、人差し指がヘッド部22の位置、角度等を制御しつつ、中指、薬指などがハンドル部23を確実に把持することが可能である。こうして、スポンジブラシ21によって効率的な歯の清掃を行うことができる。
【0117】
そして、スポンジブラシ21は、鍔状部27の第1笠状部271が凸状の部分球面を有するため、中空部材230の、鍔状部27よりも上側の部分が傾くことによって第1笠状部271と第2笠状部272とが近付くように潰れる。発明者はこのとき、傾きを生じさせるために加える力がある程度の傾き(変形量)を超えると、その力が一定となることを見出した。そのため、スポンジブラシ21は口腔内の清掃時に誤って一定の力よりもさらに大きな力がスポンジブラシ21に加わるようなときでも、その力を適度に緩衝することができる。このように、本発明のスポンジブラシ21の構造により、製作時に各笠状部271,272の厚さ、形状、材質等の構成を調整することによって加わる力の緩衝の度合を容易に加減することができる。
【0118】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態を図27を用いて説明する。図27の正面図において31はスポンジブラシである。スポンジブラシ31はヘッド部32を有するとともに、ヘッド部32よりも基端側において隣接するハンドル部33を有する。ヘッド部32の先端側にはスポンジ部34が固着されている。使用者等はスポンジ部34を使用者本人又は被介助者の口腔内に誘導するためハンドル部33を把持する。図示しないが、スポンジブラシ31は中心軸C1方向にヘッド部材320と中空部材330に分解される。ヘッド部材320と中空部材330とは、上下方向に脱着自在に連結する。ヘッド部材320は、中空部材330と組み合わされた状態でヘッド部32を構成し、スポンジ部34を支持している。また、中空の略筒状に形成された中空部材330は、ヘッド部材320と組み合わされた状態でハンドル部33を構成する。
【0119】
ハンドル部33は先端側に蛇腹部35を有するとともに、基端側に、使用者等が手指を用いてスポンジブラシ31を把持するための把持部36を有する。弾性変形可能な変形構造である蛇腹部35は、それぞれ中心軸C1から遠ざかる向きに鍔状に突出する複数の鍔状部37,38A,38Bを有する。これら鍔状部37,38A,38Bのうち、先端側の鍔状部を先端側鍔状部37とよび、先端側鍔状部37の基端側に隣り合う鍔状部を第1基端側鍔状部38Aとよび、第1基端側鍔状部38Aのさらに基端側に隣り合う鍔状部を第2基端側鍔状部38Bとよぶ。
【0120】
先端側鍔状部37のうち中心軸C1から最も外側に形成される山の頂を先端側山部37aとよぶ。そして、先端側鍔状部37は、先端側山部37aよりも上側の第1笠状部371及び同じく下側の第2笠状部372によって構成される。こうして、第1笠状部371と第2笠状部372とは上下方向に隣り合って連続する。そして、第1笠状部371及び第2笠状部372を含む複数の笠状部が蛇腹状に配置される変形構造の蛇腹部35が形成される。
【0121】
先端側鍔状部37は円盤状に形成され、その外径Dが各基端側鍔状部38A,38Bの外径よりも大きい。また、先端側鍔状部37の外径Dは、スポンジ部34の外径dよりも大きい。図が示すように、スポンジ部34の外径dとは、スポンジ部34の中心線Cs方向と直交する方向である左右方向の長さを指す。
【0122】
その他の構成は、第1の実施形態と共通する。
【0123】
以上の構成により、スポンジブラシ31はスポンジ部34よりも大径である先端側鍔状部37を有する。そのため、使用者等が清掃するためにスポンジ部34を口腔内の奥に挿入するとき、先端側鍔状部37は使用者本人又は被介助者の前歯に当たる可能性が高く、それによって、先端側鍔状部37よりも基端側の部分が口腔内に進入することが難しい。
【0124】
これにより、スポンジブラシ31はスポンジ部34が口腔内に入っても、ハンドル部33が口腔内に入りにくい。そのため、使用中に転倒してスポンジブラシ31の基端が床などに当たることがあっても、ハンドル部33が口腔内に入らないことにより、スポンジブラシ31の先端によって口腔内を傷付けてしまう事故の発生を低減することができる。
【0125】
[第4の実施形態]
本発明の第4の実施形態を、図28及び図29を用いて説明する。図28(a)の右側面図における530はスポンジブラシ51の中空部材である。中空部材530は、鍔状部57,58を含み且つ弾性変形可能な変形構造である蛇腹部55を有する。
【0126】
先端側鍔状部57、基端側鍔状部58及び把持部56は、中空部材530の中心軸C3から離れる向きに突設され且つ中心軸C3と平行する方向に延設されるリブ536を有する。すなわち、スポンジブラシ51は第2笠状部572及び第3笠状部581の間においてこれらと一体に形成されたリブ536の上半分を有し、また、第4笠状部581及び第5笠状部561の間においてこれらと一体に形成されたリブ536の下半分を有する。図28の例においては、1カ所のリブ536が後ろ向きに突設される。
【0127】
リブ536は中空構造を有し、その中空空間が中空部材530の中空空間Eと連通して共通する。また、リブ536は中空部材530の他の部分と一体であり、同じ材質を用い、かつ、同じ工程において成形される。図28(b)は、中空部材530の横断面における端面を示し、上から順に、先端側山部57aの端面、先端側谷部57bの端面、基端側山部58aの端面及び基端側谷部58bの端面をそれぞれ示す。これらのうち、各谷部57b,58bの端面に後ろ向きに突設されたリブ536が示されている。
【0128】
また、図29の例においては、3カ所のリブ536,537l,537rがそれぞれ後ろ向き、左向き、右向きに突設される。図29(a)の正面図には左向きに突設されるリブ537l及び右向きに突設されるリブ537rが示される。また、図29(b)の右側面図には右向きに突設されるリブ537r、および、図28と同様に後ろ向きに突設されるリブ536が示される。図29(c)の先端側谷部57bの端面及び基端側谷部58bの端面に、図の上から時計回りに左向きに突設されるリブ537l、後ろ向きに突設されるリブ536及び右向きに突設されるリブ537rがそれぞれ表わされている。
【0129】
その他の構成は、第1の実施形態、第2の実施形態又は第3の実施形態と共通する。
【0130】
以上の構成から、笠状部561,571,572,581,582にリブ536,537l,537rが突設されることにより、中空部材530は、リブ536,537l,537rが設けられている向きにおいて湾曲し難い。これにより、製造者は、リブ536,537l,537rを突設することにより、中空部材530が特定の向きには湾曲し難いようなスポンジブラシ51を製造することができる。そのため、向きにより湾曲の難易を変えることによって、使用者等の事情に合った最適なスポンジブラシ51を提供することができる。
【0131】
例えば、図28の例においてはスポンジブラシ51が、リブ536が突設される後ろ向きに湾曲することが困難である。また、リブ536と反対向きである前向きにも、他の左向き又は右向きに比べてやや湾曲し難い。そのため、使用者等がスポンジブラシ51を把持して加える力は、後ろ向きに逃げることが少なく、効率良く他の向きに伝わる。図29の例においては、リブ536,537l,537rが突設される左向き、後ろ向き及び右向きに湾曲することが困難である。そのため、力は効率良く前向きに伝わる。このように、力が効率良く伝わる向きを意図的に設定することができる。
【0132】
なお、図に示していないが、2カ所の、左向きに突設するリブ537l及び右向きに突設するリブ537rだけを設けるなどのように、自在な数のリブを自在な向きに設けることができる。
【0133】
[第5の実施形態]
本発明の第5の実施形態を、図30及び図31を用いて説明する。図30(a)の右側面図における630はスポンジブラシ61の中空部材である。中空部材630は、鍔状部67,68を含み且つ弾性変形可能な変形構造である蛇腹部65を有する。
【0134】
図30(b)は、中空部材630の横断面における端面を示し、上から順に、先端側山部67aの端面、先端側谷部67bの端面、基端側山部68aの端面、基端側谷部68bの端面をそれぞれ示し、さらに、把持部66の端面が続く。これらの端面の例において、中空部材630の中空空間Eにおける内壁を符号638により示す。この内壁を中空部材内壁638とよぶ。
【0135】
この例において、中空部材630の蛇腹部65及び把持部66は、中空部材内壁638の横断面における形状が円形であり、その円形が、同じく横断面における外周円と偏心する円形となるように形成される。すなわち、図30(b)の各端面において、中空部材内壁638の中心は外周円の中心よりも前方に偏っている。例えば、先端側山部67aの端面において、中空部材630の外周円の中心点C3に比べて中空部材内壁638の中心点C4は前方に偏って位置する。これにより、中空部材630は蛇腹部65及び把持部66において肉厚が周方向位置によって異なる部分があり、後側の肉厚が最も厚く、前側の肉厚が最も薄く、左側及び右側の肉厚がこれらの中間の厚さとなっている。
【0136】
図31(b)も、中空部材630の横断面における端面を示し、図30(b)と同様に、上から順に先端側山部67aの端面、先端側谷部67bの端面、基端側山部68aの端面、基端側谷部68bの端面をそれぞれ示し、さらに、把持部66の端面が続く。これらの端面の例において、中空部材630の中空空間Eにおける内壁を符号639により示す。この内壁を中空部材内壁639とよぶ。
【0137】
この例において、中空部材630の蛇腹部65及び把持部66は、横断面における外周円が円形であるのに対して、中空部材内壁638の横断面における形状が前後方向の長軸を有する楕円形となるように形成される。その楕円形の中心点が外周円の中心点C3と一致する。これにより、中空部材630は蛇腹部65及び把持部66において肉厚が周方向位置によって異なる部分があり、前側及び後側の肉厚が最も薄く、左側及び右側の肉厚が最も厚く、その他の箇所の肉厚がこれらの中間の厚さとなっている。
【0138】
なお、これらの例のように、蛇腹部65及び把持部66の全体において中空部材内壁637,638が偏心し又は楕円形である必要はなく、蛇腹部65及び把持部66の一部においてのみ偏心し又は楕円形であってもよい。また、嵌入領域632の全体若しくは一部の中空部材内壁637,638においても偏心し又は楕円形であってもよい。さらに、円形同士が偏心する又は内壁が楕円形である以外の変則的な形状であることによって、肉厚が周方向位置によって異なっていてもよい。
【0139】
その他の構成は、第1の実施形態、第2の実施形態、第3の実施形態又は第4の実施形態と共通する。
【0140】
以上の構成により、中空部材630の一部又は全部は、中心軸C3の周方向における一部の肉厚が異なる一部の肉厚よりも大きいのであって、この周方向位置によって肉厚の厚薄が異なる偏肉構造を有する。そのため、中空部材630は、厚肉である中心軸周り位置において曲がることによる変形に対する抵抗が大きく、逆に、薄肉である中心軸周り位置において曲がることによる変形に対する抵抗が小さい。そのため、本発明のスポンジブラシ61は、その製造者が、曲げる向きによって比較的容易に曲げることができる角度、または、ある角度まで曲げるために加えなければならない力を変えることができる。これにより、製造者は、製造するスポンジブラシ61による力の吸収度合などを、曲げる向きによって変化させることが可能となり、使用者等の事情に合った最適なスポンジブラシを提供することができる。
【0141】
例えば、図30の例におけるスポンジブラシ61は、比較的肉厚である後ろ向きに湾曲することが困難である。逆に、比較的肉薄である前向きに湾曲することが容易である。そのため、使用者等がスポンジブラシ61を把持して加える力は後ろ向きに逃げることが少なく、効率良く前向きに伝わる。図31の例におけるスポンジブラシ61は、比較的肉厚である左向き及び右向きに湾曲することが困難である。逆に、比較的肉薄である前向き及び後ろ向きに湾曲することが容易である。これらのように、力が効率良く伝わる向きを意図的に設定することができる。
【0142】
以上、本発明の実施形態について例示したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0143】
例えば、ヘッド部材の材質はポリプロピレン(PP)、飽和ポリエステル(PET)、ポリアセタール(POM)などに限らず、スポンジ部を接着することができ、かつ、口腔内の清掃に耐える強度を有する材料であれば、これら以外の合成樹脂又は合成樹脂以外の材料であってもよい。また、射出成形以外の製造方法によって形成されてもよい。
【0144】
また、中空部材の材質は低密度ポリエチレン(LDPE)、ポリプロピレン(PP)などに限らず、中空に形成することができ、弾性を有し、かつ、ヘッド部材を支持するのに耐える強度を有する材料であれば、これら以外の合成樹脂又は合成樹脂以外の材料であってもよい。また、ブロー成形以外の製造方法によって形成されてもよい。
【0145】
ヘッド部材の横断面又は下端が円形以外の形状に形成されてもよく、また、中空部材の横断面が円形、略正六角形以外の形状に形成されてもよい。ヘッド部材は、中空部材との接合構造を収めることができる形状であれば、例えば、横断面が多角形でもよい。また、蛇腹部を含む中空部材の横断面は、手指及び掌によって容易に把持することができ且つ蛇腹部の湾曲が困難でなければ、例えば、楕円、長円、六角形以外の多角形、正多角形以外の多角形などでもよい。
【0146】
蛇腹部における笠状部の数は、上記の各実施形態が示すような第1・第2笠状部又は第1~第5笠状部の場合に限らず、口腔内の清掃、湾曲若しくは湾曲後の復元に支障をきたさない限りもっと少なくともよく、また、多くともよい。
【0147】
スポンジ部の切り込みは、スポンジ部の横断面における形状が一文字の切り込みに限らず、内側面とヘッド部材の接着部の外周面とが確実に固着することができれば、横断面における形状がY字、十文字等であってもよい。また、スポンジ部には切り込みに代わって竪穴を穿設して、竪穴の内側面と接着部の外周面とを固着してもよい。
【0148】
ヘッド部材とスポンジ部とは接着によって固定されなくとも、スポンジ部が外れないようにヘッド部材によって支持されていれば、他の方法によって固定されていてもよい。例えば、スポンジ部がヘッド部材側に設けられたクリップによって挟まれていてもよく、また、ヘッド部材側の凸状部とスポンジ部側の凹状部とが組み合わされていてもよい。
【0149】
スポンジ部の形状は、図4に示した円柱形状、図18に示した三角柱状及び図19に示した複数の円錐台を組み合わせた立体形状に限らず、ヘッド部材によって支持することができ且つ使用者本人又は被介助者の口腔内に容易に挿入することができる形状であれば、楕円柱状、三角柱状以外の角柱状、変則的な柱状などの立体形状でもよい。
【0150】
また、図32が例示するように、ヘッド部材の被嵌入領域に雌ネジ部を有し、中空部材の嵌入領域に雄ネジ部を有してもよい。これにより、ヘッド部材と中空部材とは、雌ネジ部と雄ネジ部とが螺合するとともに被嵌入領域に嵌入領域が嵌入して連結することによって組み合わさることができる。
【0151】
さらに、ヘッド部は上側ほど次第に細くなるような形状に限らなくともよく、歯を清掃する上での重さのバランスなどが悪くなければ、図33の部分正面図が例示するような途中から径が小さくなる二段の形状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明は、スポンジ部によって使用者等の口腔内を清掃するためのスポンジブラシに利用できる。
【符号の説明】
【0153】
11,21,31,51,61 スポンジブラシ
12,22,32,52,62 ヘッド部
12a,22a ネック部
12b 接着部
13,23,33,53,63 ハンドル部
14,24,34,54,64 スポンジ部
14a 切り込み
15,25,35,55,65 蛇腹部
16,26,36,56,66 把持部
17,37,57,67 先端側鍔状部
17a,37a,57a,67a 先端側山部
17b,57b,67b 先端側谷部
18,38,58,68 基端側鍔状部
18a,58a,68a 基端側山部
18b,58b,68b 基端側谷部
27 鍔状部
27a 山部
29 膨出部
30 括れ部
120,220,320,520,620 ヘッド部材
130,230,330,530,630 中空部材
161,561,661 第5笠状部
171 ,271,371,571,671 第1笠状部
172 ,272,372,572,672 第2笠状部
181 ,581,681 第3笠状部
182 ,582,682 第4笠状部

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