(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078811
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】冷却器、復水器、及び化学蓄熱システム
(51)【国際特許分類】
F25B 39/04 20060101AFI20240604BHJP
F28D 3/02 20060101ALI20240604BHJP
F28B 1/02 20060101ALI20240604BHJP
F28D 20/00 20060101ALI20240604BHJP
F25B 17/08 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
F25B39/04 Q
F28D3/02
F28B1/02
F28D20/00 G
F25B17/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191376
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003942
【氏名又は名称】日新電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】下村 智章
【テーマコード(参考)】
3L093
3L103
【Fターム(参考)】
3L093NN04
3L093PP03
3L093PP04
3L093PP06
3L093QQ05
3L103AA36
3L103AA37
3L103BB33
3L103CC02
3L103DD08
3L103DD63
(57)【要約】
【課題】冷却対象の水を効率的に冷却することを可能にした冷却器、復水器、及び化学蓄熱システムを提供する。
【解決手段】復水器41は、凝縮させる水蒸気が流入される第3容器43を備える。復水器41は、第3容器43内に設けられる水貯留部A1と、第3容器43内の水貯留部A1よりも上方に設けられる熱交換室A2と、熱交換室A2を冷却可能に配置され、冷却媒体C1を流通する流路CLを有する第3熱交換器42とを備える。復水器41は、熱交換室A2に水蒸気を流入させる水蒸気流入部P1と、熱交換室A2に冷却対象となる水H1を流入させる水流入部P2aと、水貯留部A1に貯留された水W2を第3容器43の外部に流出させる水流出部P2bとを備える。熱交換室A2は、冷却対象の水H1の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で冷却対象の水H1を冷却する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却対象の水が流入される容器を備える冷却器であって、
前記容器内に設けられる水貯留部と、
前記容器内の前記水貯留部よりも上方に設けられる熱交換室と、
前記熱交換室を冷却可能に配置され、冷却媒体を流通する流路を有する熱交換器と、
前記熱交換室に前記冷却対象の水を流入させる水流入部と、
前記水貯留部に貯留された水を前記容器の外部に流出させる水流出部と、を備え、
前記熱交換室は、前記冷却対象の水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で前記冷却対象の水を冷却する、冷却器。
【請求項2】
前記水流入部は、前記冷却対象の水を鉛直方向と交差する方向に向けて噴射する噴射口を有する、請求項1に記載の冷却器。
【請求項3】
前記熱交換器は、前記熱交換室を上下に仕切るように配置され、
前記水流入部は、前記熱交換器よりも上方に前記冷却対象の水を噴射する噴射口を有する、請求項1に記載の冷却器。
【請求項4】
前記熱交換器は、複数の熱交換部材を有し、
前記複数の熱交換部材は、互いに平行となるように延びる前記流路を有し、
前記複数の熱交換部材は、鉛直方向と交差する方向に沿って隣り合うように配列される、請求項1に記載の冷却器。
【請求項5】
凝縮させる水蒸気が流入される容器を備える復水器であって、
前記容器内に設けられる水貯留部と、
前記容器内の前記水貯留部よりも上方に設けられる熱交換室と、
前記熱交換室を冷却可能に配置され、冷却媒体を流通する流路を有する熱交換器と、
前記熱交換室に前記水蒸気を流入させる水蒸気流入部と、
前記熱交換室に冷却対象となる水を流入させる水流入部と、
前記水貯留部に貯留された水を前記容器の外部に流出させる水流出部と、を備え、
前記熱交換室は、前記冷却対象の水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で前記冷却対象の水を冷却する、復水器。
【請求項6】
蓄熱動作時に脱水反応し、放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材と前記化学蓄熱材と熱交換する熱交換器とを有する蓄熱器と、
水蒸気を吸収する吸収材を有し、前記化学蓄熱材から発生した水蒸気を回収する回収器と、
前記吸収材から発生した水蒸気を凝縮させる復水器と、
前記化学蓄熱材と反応させる水蒸気を前記蓄熱器に供給する蒸発器と、を備える化学蓄熱システムであって、
前記回収器は、前記吸収材と熱交換する熱交換器を有し、
前記復水器と前記回収器との間には、前記復水器で冷却した水を前記回収器の前記熱交換器に循環可能にする流路を有し、
前記復水器は、
凝縮させる水蒸気が流入される容器と、
前記容器内に設けられる水貯留部と、
前記容器内の前記水貯留部よりも上方に設けられる熱交換室と、
前記熱交換室を冷却可能に配置され、冷却媒体を流通する流路を有する熱交換器と、
前記熱交換室に前記水蒸気を流入させる水蒸気流入部と、
前記熱交換室に冷却対象となる水を流入させる水流入部と、
前記水貯留部に貯留された水を前記容器の外部に流出させる水流出部と、を備え、
前記熱交換室は、前記冷却対象の水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で前記冷却対象の水を冷却する、化学蓄熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却器、復水器、及び化学蓄熱システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1,2に開示されるように、化学蓄熱材を備える蓄熱器と、水蒸気を吸収する吸収材を有する回収器とを備える化学蓄熱システムが知られている。回収器は、化学蓄熱システムの蓄熱動作の際に、蓄熱器の化学蓄熱材の脱水反応で発生する水蒸気を回収することで、蓄熱動作を促進する。このような回収器の吸収材を再生する際に吸収材から排出される水蒸気は、復水器を用いて凝縮することができる。復水器は、熱交換器と、熱交換器を収容する容器とを備えている。この復水器は、容器内に流入される水を冷却することも可能である。このため、復水器の容器内の水は、蓄熱動作時に回収器の冷却に使用することもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-220165号公報
【特許文献2】特開2014-153029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような復水器において、容器内に流入される冷却対象の水を効率的に冷却するという観点で未だ改善の余地がある。なお、容器内に流入される冷却対象の水を冷却する冷却器においても、同様の課題を有している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決する冷却器、復水器、及び化学蓄熱システムの各態様について説明する。
態様1の冷却器は、冷却対象の水が流入される容器を備える冷却器であって、前記容器内に設けられる水貯留部と、前記容器内の前記水貯留部よりも上方に設けられる熱交換室と、前記熱交換室を冷却可能に配置され、冷却媒体を流通する流路を有する熱交換器と、前記熱交換室に前記冷却対象の水を流入させる水流入部と、前記水貯留部に貯留された水を前記容器の外部に流出させる水流出部と、を備え、前記熱交換室は、前記冷却対象の水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で前記冷却対象の水を冷却する。
【0006】
この構成によれば、熱交換室は、冷却対象の水のフラッシュ蒸発を利用して、冷却対象の水を冷却することができる。このような熱交換室への冷却対象の水の流入では、水貯留部に貯留されている水中に冷却対象の水を流入させた場合よりも、上記フラッシュ蒸発を促進することができる。従って、冷却対象の水を効率的に冷却することが可能となる。
【0007】
態様2の冷却器では、態様1において、前記水流入部は、前記冷却対象の水を鉛直方向と交差する方向に向けて噴射する噴射口を有してもよい。この構成によれば、冷却対象の水が熱交換室に拡がり易くなるため、水のフラッシュ蒸発をより促進することが可能となる。
【0008】
態様3の冷却器では、態様1又は態様2において、前記熱交換器は、前記熱交換室を上下に仕切るように配置され、前記水流入部は、前記熱交換器よりも上方に前記冷却対象の水を噴射する噴射口を有してもよい。この構成によれば、熱交換器と、冷却対象の水との熱交換を効率的に行うことが可能となる。
【0009】
態様4の冷却器では、態様1から態様3のいずれか一つの態様において、前記熱交換器は、複数の熱交換部材を有し、前記複数の熱交換部材は、互いに平行となるように延びる前記流路を有し、前記複数の熱交換部材は、鉛直方向と交差する方向に沿って隣り合うように配列されてもよい。この構成によれば、例えば、熱交換器の複数の熱交換部材に付着した水が流下し易くなる。これにより、冷却対象の水と、熱交換部材の流路を流通する冷却媒体との熱交換を効率的に行うことが可能となる。
【0010】
態様5の復水器は、凝縮させる水蒸気が流入される容器を備える復水器であって、前記容器内に設けられる水貯留部と、前記容器内の前記水貯留部よりも上方に設けられる熱交換室と、前記熱交換室を冷却可能に配置され、冷却媒体を流通する流路を有する熱交換器と、前記熱交換室に前記水蒸気を流入させる水蒸気流入部と、前記熱交換室に冷却対象となる水を流入させる水流入部と、前記水貯留部に貯留された水を前記容器の外部に流出させる水流出部と、を備え、前記熱交換室は、前記冷却対象の水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で前記冷却対象の水を冷却する。
【0011】
態様6の化学蓄熱システムは、蓄熱動作時に脱水反応し、放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材と前記化学蓄熱材と熱交換する熱交換器とを有する蓄熱器と、水蒸気を吸収する吸収材を有し、前記化学蓄熱材から発生した水蒸気を回収する回収器と、前記吸収材から発生した水蒸気を凝縮させる復水器と、前記化学蓄熱材と反応させる水蒸気を前記蓄熱器に供給する蒸発器と、を備える化学蓄熱システムであって、前記回収器は、前記吸収材と熱交換する熱交換器を有し、前記復水器と前記回収器との間には、前記復水器で冷却した水を前記回収器の前記熱交換器に循環可能にする流路を有し、前記復水器は、凝縮させる水蒸気が流入される容器と、前記容器内に設けられる水貯留部と、前記容器内の前記水貯留部よりも上方に設けられる熱交換室と、前記熱交換室を冷却可能に配置され、冷却媒体を流通する流路を有する熱交換器と、前記熱交換室に前記水蒸気を流入させる水蒸気流入部と、前記熱交換室に冷却対象となる水を流入させる水流入部と、前記水貯留部に貯留された水を前記容器の外部に流出させる水流出部と、を備え、前記熱交換室は、前記冷却対象の水の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で前記冷却対象の水を冷却する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、冷却対象の水を効率的に冷却することが可能となるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、第1実施形態における化学蓄熱システムを示す概略図である。
【
図2】
図2は、化学蓄熱システムの蓄熱動作を説明する概略図である。
【
図3】
図3は、化学蓄熱システムの再生動作を説明する概略図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態における復水器の一部を切り欠いて示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1実施形態)
以下、復水器、及び化学蓄熱システムの第1実施形態について図面を参照して説明する。
【0015】
<化学蓄熱システムの全体構成>
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、蓄熱器21と、回収器31と、復水器41と、蒸発器51とを備えている。化学蓄熱システム11は、排熱源HSの熱を蓄熱した後、排熱源HSよりも高い温度の放熱を行うケミカルヒートポンプとして用いることができる。化学蓄熱システム11の放熱動作時には、加熱対象61に水蒸気を送ることができる。
【0016】
<蓄熱器>
蓄熱器21は、化学蓄熱システム11の蓄熱動作時に脱水反応し、化学蓄熱システム11の放熱動作時に水和反応する化学蓄熱材HMを有する。化学蓄熱材HMとしては、周知の固体材料を用いることができる。化学蓄熱材HMは、化学蓄熱物質のみから構成してもよいし、粒子状の化学蓄熱物質を水蒸気透過性樹脂等の水蒸気透過性のバインダーで結合した材料であってもよい。化学蓄熱物質としては、例えば、アルカリ土類金属のハロゲン化物、硫酸カルシウム等が挙げられる。化学蓄熱材HMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0017】
化学蓄熱物質の一種である塩化カルシウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(A)で表される。
CaCl2・H2O+H2O⇔CaCl2・2H2O・・・(A)
蓄熱器21は、化学蓄熱材HMと熱交換する第1熱交換器22を備えている。蓄熱器21は、化学蓄熱材HMから発生した熱を利用して第1熱交換器22の流路内で飽和蒸気を発生させる。蓄熱器21は、化学蓄熱材HM及び第1熱交換器22を収容する第1容器23を備えている。蓄熱器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの水和反応に用いられる水蒸気が導入可能に構成されている。また、蓄熱器21の第1容器23は、化学蓄熱材HMの脱水反応で生じる水蒸気が排出されるように構成されている。
【0018】
蓄熱器21の第1熱交換器22としては、例えば、フィンチューブ型の熱交換器、フィンレス熱交換器等が挙げられる。なお、以下で説明する熱交換器についても、特段の説明がない限り同様の熱交換器を用いることができる。
【0019】
<回収器>
回収器31は、水蒸気を吸収する吸収材LMを有している。回収器31は、蓄熱器21の化学蓄熱材HMから発生した水蒸気を吸収材LMにより回収する。回収器31は、吸収材LMと熱交換する第2熱交換器32と、吸収材LMと第2熱交換器32とを収容する第2容器33とを備えている。
【0020】
吸収材LMは、化学蓄熱材HMを脱水反応させる温度を下げるために用いられる。吸収材LMを用いることで、より低い温度の排熱であっても、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させて蓄熱することが可能となる。また、吸収材LMは、排熱源HSの温度において、脱水反応可能な物質が用いられる。これにより、排熱源HSを利用して吸収材LMを再生することができる。
【0021】
冷却源CSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Cは、排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも低いことで、化学蓄熱材HMの脱水反応を好適に促進することができる。一方、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、同じく排熱源HSの温度における化学蓄熱材HMの平衡蒸気圧VP1Hよりも高いことが好ましい。このような吸収材LMは、化学蓄熱材HMよりも脱水し易いため、排熱源HSを用いて吸収材LMを再生することで、次の蓄熱動作に効率的に使用することができる。また、排熱源HSの温度における吸収材LMの平衡蒸気圧VP2Hは、冷却源CSの温度における水の平衡蒸気圧VP3Cよりも高いことが好ましい。これにより、排熱源HSにより吸収材LMを加熱して発生した水蒸気を冷却源CSによる冷却で凝縮させることで、吸収材LMの再生を効率的に行うことができる。
【0022】
吸収材LMとしては、例えば、ゼオライト、水酸化リチウム、硫酸マグネシウム、臭化ストロンチウム、活性炭、多孔性金属錯体(MOF)等が挙げられる。吸収材LMは、一種を用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。
【0023】
吸収材LMの一種である臭化ストロンチウムの脱水反応及び水和反応は、例えば、下記式(B)で表される。
SrBr2・H2O+5H2O⇔SrBr2・6H2O・・・(B)
<復水器>
復水器41は、吸収材LMから発生した水蒸気を凝縮させる。復水器41は、冷却源CSから供給される冷却媒体を流通する第3熱交換器42と、第3熱交換器42を収容する第3容器43とを備えている。第3熱交換器42は、復水器41の第3容器43内に流入される水蒸気を冷却することで、凝縮させる。また、第3熱交換器42は、復水器41の第3容器43内に流入される水を冷却する。このような復水器41の詳細は、後述する。
【0024】
<蒸発器>
蒸発器51は、化学蓄熱材HMと反応させる水蒸気を蓄熱器21に供給する。蒸発器51は、排熱源HSから加熱媒体が供給される第4熱交換器52と、第4熱交換器52を収容する第4容器53とを備えている。蒸発器51の第4熱交換器52は、蒸発用流体である水W1を加熱することで、水蒸気を発生させる。蒸発器51には、復水器41の水W2が図示を省略した流路によって送液可能に構成されることが好ましい。これにより、復水器41の水W2を蒸発器51の水W1として再利用することができる。なお、蒸発器51は、外部から水を供給可能に構成することもできる。
【0025】
<流路構成>
次に、化学蓄熱システム11の主な流路構成について説明する。まず、化学蓄熱システム11の蓄熱動作に用いられる流路について説明する。
【0026】
図2に示すように、化学蓄熱システム11は、蓄熱器21から回収器31に水蒸気WV1を送る回収用水蒸気流路L1を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1をポンプ62によって蓄熱器21の第1熱交換器22に送る蓄熱器加熱用流路L2と、第1熱交換器22を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第1流路L3とを有している。化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却した水W2をポンプ63によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、第2熱交換器32を通じた水W2を復水器41に戻す復水器用第1流路L5とを有している。このように、復水器41と回収器31との間には、復水器41で冷却した水W2を回収器31の第2熱交換器32に循環可能にする流路を有している。
【0027】
次に、化学蓄熱システム11の再生動作に用いられる流路について説明する。
図3に示すように、化学蓄熱システム11は、回収器31から復水器41に水蒸気WV2を送る復水器用第2流路L6を有している。化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1をポンプ62によって回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7と、第2熱交換器32を通じた水W1を蒸発器51に戻す蒸発器用第2流路L8とを有している。
【0028】
化学蓄熱システム11は、
図2に示される回収器冷却用流路L4と
図3に示される回収器加熱用流路L7とが切り替え可能に構成されている。これにより、回収器冷却用流路L4を用いる化学蓄熱材HMの蓄熱と、回収器加熱用流路L7を用いる吸収材LMの再生とを交互に行うことができる。なお、回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7との切り替えは、バルブの開閉により行うことができる。
【0029】
次に、化学蓄熱システム11の放熱動作に用いられる流路について説明する。
図1に示すように、化学蓄熱システム11は、蒸発器51から蓄熱器21に水蒸気を送る蓄熱器用水蒸気流路L9を有している。化学蓄熱システム11は、蓄熱器21の第1熱交換器22内の水蒸気を加熱対象61に送る蒸気供給流路L10を備えている。加熱対象61は、特に限定されない。加熱対象61としては、例えば、蒸気発生装置等が挙げられる。
【0030】
<化学蓄熱システムの動作>
次に、化学蓄熱システム11の動作の一例について説明する。
(化学蓄熱システムの蓄熱動作)
図2に示すように、化学蓄熱システム11の蓄熱動作では、蓄熱器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1を回収器31により回収する。詳述すると、蓄熱器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1は、回収用水蒸気流路L1を通じて回収器31に送られる。回収器31の第2熱交換器32には、復水器41で冷却された水W2が回収器冷却用流路L4を通じて送られる。回収器31の第2熱交換器32に送られた水W2は、復水器用第1流路L5を通じて復水器41に戻される。このように復水器41で冷却された水W2は、回収器冷却用流路L4及び復水器用第1流路L5を通じて、復水器41と回収器31の第2熱交換器32との間を循環される。
【0031】
蓄熱器21の化学蓄熱材HMから排出される水蒸気WV1が回収器31に送られることで、化学蓄熱材HMの脱水反応が行われる。ここで、化学蓄熱材HMの脱水反応の進行に伴って、化学蓄熱材HMの温度が低下する。化学蓄熱材HMの温度が排熱源HSの加熱媒体の温度よりも低くなったとき、蒸発器51で加熱した水W1を蓄熱器加熱用流路L2及び蒸発器用第1流路L3を通じて、蓄熱器21の第1熱交換器22と蒸発器51との間を循環させる。蒸発器51では、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体を供給することで、水W1を加熱することができる。
【0032】
上記のように排熱源HSを利用して蓄熱器21の化学蓄熱材HMを加熱することで、化学蓄熱材HMの脱水反応を進行させる。化学蓄熱システム11の蓄熱動作は、蓄熱器21と回収器31との間のバルブを閉じることにより停止させることができる。
【0033】
(化学蓄熱システムの再生動作)
図3に示すように、化学蓄熱システム11の再生動作では、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2を復水器41によって凝縮させる。詳述すると、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2は、復水器用第2流路L6を通じて復水器41に送られる。復水器41の第3熱交換器42には、冷却源CSから冷却媒体が供給されている。化学蓄熱システム11の再生動作は、回収器31と復水器41との間のバルブを閉じることにより、停止させることができる。
【0034】
(化学蓄熱システムの放熱動作)
化学蓄熱システム11の放熱動作では、排熱源HSから蒸発器51の第4熱交換器52に加熱媒体を供給することで、蒸発器51で水蒸気を発生させる。蒸発器51で発生させた水蒸気は、
図1に示される蓄熱器用水蒸気流路L9を通じて蓄熱器21に送られる。これにより、蓄熱器21の化学蓄熱材HMの水和反応が行われる。
【0035】
蓄熱器21の第1熱交換器22の流路内の水は、化学蓄熱材HMの水和反応による発熱により加熱される。これにより、第1熱交換器22の流路内において水蒸気を発生させることができる。第1熱交換器22の流路内の水蒸気は、
図1に示される蒸気供給流路L10を通じて加熱対象61に送られる。化学蓄熱システム11の放熱動作は、蒸発器51と蓄熱器21との間のバルブを閉じることにより停止することができる。
【0036】
化学蓄熱システム11では、放熱動作の前に、蒸発器51で加熱した水W1を、上記蓄熱器加熱用流路L2を通じて蓄熱器21の第1熱交換器22に送ることが好ましい。
<蓄熱方法>
以上の化学蓄熱システム11を用いた蓄熱方法では、化学蓄熱材HMの脱水反応を行う蓄熱ステップと、化学蓄熱材HMの水和反応を行う放熱ステップとを交互に繰り返すことができる。蓄熱方法では、蓄熱ステップの後、次の蓄熱ステップを開始するまでに、吸収材LMを再生する再生ステップが行われる。蓄熱方法では、上述した回収器加熱用流路L7を用いて吸収材LMを再生する再生ステップと、上述した回収器冷却用流路L4を用いて化学蓄熱材HMに蓄熱する蓄熱ステップとを切り替える。蓄熱方法は、放熱ステップの前に、上記蓄熱器加熱用流路L2を用いて蓄熱器21の第1熱交換器22を加熱する蓄熱器加熱ステップを含むことが好ましい。
【0037】
<復水器の構成及び動作の詳細>
図4及び
図5に示すように、復水器41は、上記第3熱交換器42と第3容器43とを備えている。復水器41は、水貯留部A1と熱交換室A2とを備えている。復水器41は、水蒸気流入部P1と、水流入部P2aと、水流出部P2bとを備えている。
図4及び
図5に示すX軸及びY軸は、互いに直交する水平方向を示し、Z軸は、鉛直方向を示している。
【0038】
第3容器43は、底壁43aと、上壁43bと、底壁43aと上壁43bとの間に設けられる側壁43cとを備えている。本実施形態の側壁43cの形状は、円筒状であるが、例えば、楕円筒状であってもよいし、四角筒状等の多角筒状であってもよい。底壁43a及び上壁43bの形状についても、例えば、側壁43cの形状に応じて適宜変更することができる。第3容器43は、内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力に維持できる気密性を有している。第3容器43は、例えば、金属材料から構成される。
【0039】
水貯留部A1は、第3容器43内に設けられている。水貯留部A1は、第3容器43の底壁43aと側壁43cの一部(下部)とにより構成されている。水貯留部A1には、冷却された水W2が貯留されている。
【0040】
熱交換室A2は、第3容器43内の水貯留部A1よりも上方に設けられている。換言すると、熱交換室A2は、第3容器43内において、貯留された水W2の液面よりも上方の空間である。熱交換室A2は、貯留された水W2の液面よりも上方の側壁43cと上壁43bとにより構成されている。
【0041】
第3熱交換器42は、熱交換室A2を冷却可能に配置されている。第3熱交換器42は、冷却媒体C1を流通する流路CLを有している。第3熱交換器42は、熱交換室A2を上下に仕切るように配置されている。
【0042】
第3熱交換器42は、複数の熱交換部材42aを備えている。複数の熱交換部材42aは、熱交換室A2に配置されている。複数の熱交換部材42aは、水貯留部A1の水面よりも上方に配置されている。複数の熱交換部材42aは、鉛直方向と交差する方向に沿って延びるように配置されている。本実施形態の複数の熱交換部材42aは、水平方向(X軸)に沿って延びるように配置されているが、水平方向に対して傾斜する方向に沿って延びるように配置されていてもよい。
【0043】
複数の熱交換部材42aは、互いに平行となるように延びる流路を有している。複数の熱交換部材42aは、鉛直方向と交差する方向に沿って隣り合うように配列される。本実施形態の複数の熱交換部材42aは、水平方向(Y軸)に沿って隣り合うように配列されているが、水平方向に対して傾斜する方向に沿って隣り合うように配列されていてもよい。
【0044】
第3熱交換器42は、各熱交換部材42aに冷却媒体C1を供給する供給管42bと、各熱交換部材42aから冷却媒体C1を排出する排出管42cとを備えている。供給管42bには、各熱交換部材42aの流路方向における両端部のうち一端部が接続されている。排出管42cには、各熱交換部材42aの流路方向における両端部のうち他端部が接続されている。供給管42b及び排出管42cは、各熱交換部材42aの流路方向と交差する方向に延びる流路を有している。
【0045】
本実施形態の熱交換部材42aは、扁平管から構成されている。扁平管は、断面において長径方向と短径方向とを有している。扁平管は、長径方向が鉛直方向(Z軸)に沿って延びるように配置されている。扁平管の短径方向は、水平方向(Y軸)に沿って延びるように配置されている。扁平管は、短径方向において互いに対向する一対の平板部と、平板部の両端部をそれぞれ接続する曲部とを有している。
【0046】
各熱交換部材42aの流路の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。例えば、扁平管は、図示を省略するが、管内を区画する区画壁により仕切られることで形成された複数の流路を有する多穴扁平管であってもよい。各熱交換部材42aは、例えば、アルミニウム、マグネシウム、銅等の金属材料から構成される。
【0047】
水蒸気流入部P1は、熱交換室A2に水蒸気を流入させる。本実施形態の水蒸気流入部P1は、第3容器43の上壁43bに設けられているが、側壁43cに設けることもできる。
【0048】
水流入部P2aは、熱交換室A2に冷却対象の水H1を流入する。本実施形態の水流入部P2aは、第3容器43の上壁43bに設けられている。
図4に示すように、水流入部P2aは、流入管71と、流入管71の先端に設けられるノズル72とを備えている。ノズル72は、冷却対象の水H1を鉛直方向と交差する方向に向けて噴射する噴射口73を有する。また、ノズル72は、第3熱交換器42よりも上方に冷却対象の水H1を噴射する噴射口73を有する。
【0049】
詳述すると、水流入部P2aの流入管71は、第3容器43の上壁43bを貫通するように鉛直方向に沿って延びる流路を有している。ノズル72は、鉛直方向に沿って延びる第1ノズル流路72aと、第1ノズル流路72aに連通するとともに水平方向に沿って延びる第2ノズル流路72bとを有している。冷却対象の水H1は、第1ノズル流路72aから第2ノズル流路72bに流通した後、第2ノズル流路72bの下流端の噴射口73から熱交換室A2に噴射される。本実施形態のノズル72は、複数の第2ノズル流路72bを有している。複数の第2ノズル流路72bは、水平方向で向かい合う複数の第2ノズル流路72bを含む。また、複数の第2ノズル流路72bは、垂直方向に沿って配列される複数の第2ノズル流路72bを含む。
【0050】
熱交換室A2は、冷却対象の水H1の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で冷却対象の水H1を冷却する。熱交換室A2の圧力条件の設定について詳述すると、熱交換室A2内の気体を、図示を省略した真空ポンプ等の排気装置により排気することで、熱交換室A2内の圧力を低下させる。また、第3熱交換器42に冷却媒体C1を流通することで、熱交換室A2内を冷却する。熱交換室A2内の排気を停止することで、熱交換室A2内の圧力を水の平衡蒸気圧とする。このときの熱交換室A2の圧力は、理論的には、第3熱交換器42に流通される冷却媒体C1の温度における水の平衡蒸気圧に維持される。このような圧力条件の熱交換室A2では、流入される冷却対象の水H1の一部又は全体をフラッシュ蒸発させることができる。
【0051】
熱交換室A2に流入された冷却対象の水H1は、冷却後の水W2として水貯留部A1に貯留される。水流出部P2bは、水貯留部A1に貯留された水W2を第3容器43の外部に流出させる。
【0052】
次に、復水器41の動作について説明する。
本実施形態の復水器41は、化学蓄熱システム11の蓄熱動作において、回収器31の第2熱交換器32に水W2を送ることで回収器31を冷却する。回収器31の第2熱交換器32を通じた水W2は、冷却対象の水H1として復水器41に戻される。このとき、熱交換室A2は、冷却対象の水H1の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で冷却対象の水H1を冷却する。このような熱交換室A2は、冷却対象の水H1のフラッシュ蒸発を利用して、冷却対象の水H1を冷却することができる。熱交換室A2で冷却された水W2は、水貯留部A1に貯留される。水貯留部A1に貯留された水W2は、水流出部P2bから回収器31の第2熱交換器32に送られる。
【0053】
復水器41は、化学蓄熱システム11の再生動作において、回収器31の吸収材LMから排出される水蒸気WV2を凝縮させる。水蒸気WV2は、復水器41の水蒸気流入部P1から熱交換室A2に流入される。熱交換室A2内に流入された水蒸気WV2は、第3熱交換器42により冷却されることで、凝縮される。水蒸気WV2の凝縮により生成された水W2は、水貯留部A1に貯留される。
【0054】
<作用及び効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)復水器41は、凝縮させる水蒸気WV2が流入される第3容器43を備えている。復水器41は、第3容器43内に設けられる水貯留部A1と、第3容器43内の水貯留部A1よりも上方に設けられる熱交換室A2と、熱交換室A2を冷却可能に配置され、冷却媒体C1を流通する流路CLを有する第3熱交換器42とを備えている。復水器41は、熱交換室A2に水蒸気WV2を流入させる水蒸気流入部P1と、熱交換室A2に冷却対象となる水H1を流入させる水流入部P2aと、水貯留部A1に貯留された水W2を第3容器43の外部に流出させる水流出部P2bとを備えている。熱交換室A2は、冷却対象の水H1の温度における平衡蒸気圧よりも低い圧力条件で冷却対象の水H1を冷却する。
【0055】
この構成によれば、熱交換室A2は、冷却対象の水H1のフラッシュ蒸発を利用して、冷却対象の水H1を冷却することができる。このような熱交換室A2への冷却対象の水H1の流入では、水貯留部A1に貯留されている水W2中に冷却対象の水H1を流入させた場合よりも、上記フラッシュ蒸発を促進することができる。従って、冷却対象の水H1を効率的に冷却することが可能となる。
【0056】
本実施形態の復水器41では、上述したように冷却対象の水H1を効率的に冷却することが可能となるため、例えば、水貯留部A1に貯留されている水W2の温度をより低い温度に維持することが可能となる。これにより、例えば、ポンプ63により水W2を送液する際のキャビテーションの発生を抑えることが可能となる。また、上述したように冷却対象の水H1を効率的に冷却することが可能となるため、例えば、復水器41の大型化を回避することも可能となる。
【0057】
(1-2)復水器41の水流入部P2aは、冷却対象の水H1を鉛直方向と交差する方向に向けて噴射する噴射口73を有している。この場合、冷却対象の水H1が熱交換室A2に拡がり易くなるため、水H1のフラッシュ蒸発をより促進することが可能となる。これにより、冷却対象の水H1をより効率的に冷却することが可能となる。
【0058】
(1-3)復水器41の第3熱交換器42は、熱交換室A2を上下に仕切るように配置されている。復水器41の水流入部P2aは、第3熱交換器42よりも上方に冷却対象の水H1を噴射する噴射口73を有している。この場合、第3熱交換器42と、冷却対象の水H1との熱交換を効率的に行うことができる。
【0059】
(1-4)復水器41の第3熱交換器42は、複数の熱交換部材42aを有している。複数の熱交換部材42aは、互いに平行となるように延びる流路を有している。複数の熱交換部材42aは、鉛直方向と交差する方向に沿って隣り合うように配列されている。この場合、例えば、第3熱交換器42の複数の熱交換部材42aに付着した水が流下し易くなる。これにより、冷却対象の水H1と、熱交換部材42aの流路を流通する冷却媒体C1との熱交換を効率的に行うことが可能となる。
【0060】
(1-5)化学蓄熱システム11は、復水器41で冷却された水W2を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器冷却用流路L4と、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7とを備えている。回収器冷却用流路L4と回収器加熱用流路L7とは、切り替え可能に構成されている。なお、回収器加熱用流路L7を、蒸発器51で発生させた水蒸気を回収器31の第2熱交換器32に送るように変更することもできる。
【0061】
この構成によれば、冷却源CSの冷却媒体C1の流路とは独立した回収器冷却用流路L4を通じる水W2と、排熱源HSの加熱媒体の流路とは独立した回収器加熱用流路L7を通じる水W1により回収器31を冷却及び加熱することができる。このため、回収器31の第2熱交換器32において、冷却源CSの冷却媒体C1に排熱源HSの加熱媒体が混入することを回避することができる。これにより、冷却源CSの系統は、排熱源HSの加熱媒体の性質の影響を受けることはない。また、回収器31の第2熱交換器32において、排熱源HSの加熱媒体に冷却源CSの冷却媒体C1が混入することを回避することができる。これにより、排熱源HSの系統は、冷却源CSの冷却媒体C1の性質の影響を受けることはない。従って、化学蓄熱システム11の導入先における冷却源CSの系統と排熱源HSの系統とを独立した状態に維持することが可能となる。
【0062】
(1-6)化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を放熱動作の前に蓄熱器21の第1熱交換器22に送る蓄熱器加熱用流路L2をさらに備えている。この場合、蓄熱器21の第1熱交換器22を放熱動作の前に予め加熱することができるため、放熱動作時には、化学蓄熱材HMから発生した熱を効率的に輸送することができる。
【0063】
(1-7)蓄熱器21の第1熱交換器22に排熱源HSの加熱媒体を供給する場合では、第1熱交換器22が排熱源HSの加熱媒体の性質や清浄度の影響を受けることになる。これにより、例えば、第1熱交換器22のメンテナンス等に手間を要するおそれがある。これに対して、本実施形態の化学蓄熱システム11は、蒸発器51で加熱した水W1を蓄熱器21の第1熱交換器22に送る蓄熱器加熱用流路L2をさらに備えている。この場合、蓄熱器21の第1熱交換器22に供給される水W1の性質の安定化や清浄性の確保が容易である。これにより、例えば、蓄熱器21の第1熱交換器22のメンテナンス等の手間を軽減することが可能となる。
【0064】
(第2実施形態)
復水器41を変更した第2実施形態について第1実施形態と異なる点を中心に説明する。
【0065】
図6及び
図7に示すように、復水器41の第3熱交換器42は、熱交換室A2を左右に仕切るように配置されている。なお、ここでは、Y軸に沿った方向を左右方向として説明している。
【0066】
第3熱交換器42の複数の熱交換部材42aは、鉛直方向(Z軸)に沿って延びるように配置されている。複数の熱交換部材42aは、水平方向(X軸)に沿って隣り合うように配列されている。本実施形態の熱交換部材42aを構成する扁平管は、長径方向が水平方向(Y軸)に沿って延びるように配置されている。なお、扁平管の短径方向は、水平方向(X軸)に沿って延びるように配置されている。
【0067】
復水器41の水流入部P2aは、第3容器43の側壁43cを取り囲むように配置されている。水流入部P2aは、流入管81と、第3容器43の側壁43cの外周面に沿って設けられる流路壁82とを備えている。流入管81は、側壁43cと流路壁82との間に冷却対象の水H1を流入する。
【0068】
水流入部P2aは、第3容器43の側壁43c、上壁43b、及び下壁と、流路壁82とにより区画される外周流路83を備えている。外周流路83は、第3容器43の側壁43cを回り込むように冷却対象の水を送液する。第3容器43の側壁43cは、冷却対象の水H1を噴射する複数の噴射口84を有している。側壁43cの噴射口84は、冷却対象の水H1を鉛直方向と交差する方向に向けて噴射する。
【0069】
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)第2実施形態の復水器41についても、第1実施形態の(1-1)、(1-2)及び(1-4)欄に記載の効果と同様の効果が得られる。
【0070】
(2-2)復水器41の第3熱交換器42は、熱交換室A2を左右に仕切るように配置されている。水流入部P2aは、容器の側壁43cから第3熱交換器42に向けて冷却対象の水H1を噴射するように構成されている。この場合、第3熱交換器42と、冷却対象の水H1との熱交換を効率的に行うことができる。
【0071】
<変更例>
上記実施形態を次のように変更してもよい。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0072】
・第1実施形態の復水器41において、水流入部P2aの噴射口73を鉛直方向に向けて冷却対象の水H1を噴射する配置に変更してもよい。詳述すると、例えば、水流入部P2aのノズル72において、鉛直方向に沿って延びるノズル流路の下端を開口し、その開口を噴射口73として冷却対象の水H1を噴射するように構成することもできる。この場合、第3熱交換器42の熱交換部材42aに向けて冷却対象の水H1を噴射することができる。
【0073】
・第1実施形態の復水器41において、水流入部P2aを第3容器43の側壁43cに設けることもできる。
・第1実施形態の復水器41の水流入部P2aは、第3熱交換器42よりも下方に冷却対象の水H1を噴射する噴射口をさらに有していてもよい。この場合であっても、上記第1実施形態の(1-3)欄で述べた効果を得ることができる。
【0074】
・第1実施形態の復水器41の水流入部P2aは、第3熱交換器42よりも下方に冷却対象の水H1を噴射する噴射口のみを有していてもよい。
・第1実施形態の復水器41におけるノズル72の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。
【0075】
・第2実施形態の復水器41において、噴射口84の数は、単数であってもよいし、複数であってもよい。また、第2実施形態の噴射口84の形状は、円形状であるが、例えば、スリット形状であってもよい。
【0076】
・各実施形態において、復水器41における第3熱交換器42の熱交換部材42aは、扁平管により構成されているが、例えば、円管等の他の形状の熱交換部材に変更することもできる。
【0077】
・各実施形態において、復水器41の第3熱交換器42の熱交換部材42aの数は、単数であってもよい。
・各実施形態において、復水器41における第3熱交換器42は、フィンレス構造を有しているが、第3熱交換器42を隣り合う熱交換部材42aの間にフィンが配置されたフィン付き熱交換器に変更することもできる。
【0078】
・上記各実施形態の化学蓄熱システム11では、
図3に示すように、蒸発器51で加熱した水W1を回収器31の第2熱交換器32に送る回収器加熱用流路L7を備えているが、この流路を省略してもよい。すなわち、回収器31の第2熱交換器32に排熱源HSの加熱媒体を供給するように変更してもよい。
【0079】
・上記化学蓄熱システム11では、
図1に示すように、蓄熱器21の第1熱交換器22に蒸発器51で加熱した水W1を供給しているが、蓄熱器21の第1熱交換器22に蒸発器51で発生させた水蒸気を供給することもできる。この場合であっても、例えば、第1実施形態の(1-6)欄で述べた作用及び効果を得ることができる。
【0080】
・上記化学蓄熱システム11では、蒸発器51で加熱した水W1を蓄熱器21の第1熱交換器22に供給しているが、排熱源HSの加熱媒体を蓄熱器21の第1熱交換器22に供給するように変更することもできる。
【0081】
・上記化学蓄熱システム11の蓄熱動作において、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1の回収は、復水器41と回収器31とを用いて行うこともできる。すなわち、上記蓄熱方法において、化学蓄熱材HMの脱水反応を行う蓄熱ステップは、復水器作動ステップと、復水器作動ステップの後に行う回収器作動ステップとを含んでもよい。復水器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を復水器41に導入する。回収器作動ステップでは、化学蓄熱材HMから発生する水蒸気WV1を回収器31に導入する。
【0082】
・上記復水器41は、上記化学蓄熱システム11以外の化学蓄熱システムに用いることもできる。また、上記復水器41は、化学蓄熱システム以外の用途に用いることもできる。
【0083】
・上記各実施形態の復水器41は、水蒸気を凝縮させる動作を行わずに、冷却対象の水を冷却する動作のみを行う冷却器として用いることもできる。復水器41を冷却器として用いる場合、水蒸気流入部P1を省略することもできる。
【符号の説明】
【0084】
11…化学蓄熱システム
21…蓄熱器
22…第1熱交換器
31…回収器
32…第2熱交換器
41…復水器
42…第3熱交換器
42a…熱交換部材
43…第3容器
51…蒸発器
73,84…噴射口
A1…水貯留部
A2…熱交換室
C1…冷却媒体
CL…流路
H1,W2…水
HM…化学蓄熱材
LM…吸収材
L4…回収器冷却用流路
L5…復水器用第1流路
P1…水蒸気流入部
P2a…水流入部
P2b…水流出部
WV2…水蒸気