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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078814
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1368 20060101AFI20240604BHJP
   G02F 1/1333 20060101ALI20240604BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALN20240604BHJP
【FI】
G02F1/1368
G02F1/1333 505
G02F1/1335 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191380
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 政輝
(72)【発明者】
【氏名】廣澤 仁
【テーマコード(参考)】
2H190
2H192
2H291
【Fターム(参考)】
2H190HA06
2H190HB07
2H190HD03
2H192AA24
2H192BB12
2H192BC34
2H192CB02
2H192CB08
2H192CB37
2H192DA12
2H192DA23
2H192DA24
2H192EA04
2H192EA13
2H192EA15
2H192EA22
2H192EA34
2H192EA42
2H192EA43
2H192EA67
2H291FA15Y
2H291FA40Y
(57)【要約】
【課題】スルーホールの上面の遮光膜の反射防止効果を向上させ、画質を向上させる。
【解決手段】
有機パッシベーション膜115の上に画素電極116とコモン電極119が形成され、前記有機パッシベーション膜115には前記画素電極115とTFTを接続するためのスルーホール130が形成されたTFT基板と、液晶層を挟んで前記TFT基板と対向した対向基板が配置した液晶表示装置であって、前記コモン電極119と前記画素電極116の間には容量絶縁膜117が形成され、前記コモン電極119と積層して遮光膜118が形成され、前記スルーホール130は樹脂30で充填され、前記スルーホール130の上面において、前記樹脂30の上に前記容量絶縁膜117が形成され、前記容量絶縁膜117の上に前記遮光膜118及び前記コモン電極119が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体膜、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極を有するTFT(薄膜トランジスタ)を覆って有機パッシベーション膜が形成され、前記有機パッシベーション膜の上に画素電極とコモン電極が形成され、前記有機パッシベーション膜には前記画素電極と前記TFTを接続するためのスルーホールが形成されたTFT基板と、液晶層を挟んで前記TFT基板と対向した対向基板が配置した液晶表示装置であって、
前記コモン電極と前記画素電極の間には容量絶縁膜が形成され、前記コモン電極と積層して遮光膜が形成され、
前記スルーホールは樹脂で充填され、
前記前記スルーホールの上面において、前記樹脂の上に前記容量絶縁膜が形成され、
前記容量絶縁膜の上に前記遮光膜及び前記コモン電極が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記遮光膜の上に前記コモン電極が配置していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記遮光膜は、金属膜を含む多層膜によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記コモン電極は、透明酸化物導電膜によって形成され、
前記遮光膜は前記コモン電極の上に形成され、前記コモン電極の上には、前記コモン電極と同じ材料を有する第2の透明酸化物導電膜が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記第2の透明導電膜は、前記遮光膜と同じパターンで形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記第2の透明導電膜は、前記遮光膜の側面を覆うように形成されていることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記TFT基板には、第1の方向に延在し、第2の方向に配列した走査線と、前記第2の方向に延在し、前記第1の方向に配列した映像信号線が形成され、
前記スルーホールは、前記第1の方向に沿った断面と、前記第2の方向に沿った断面とは異なることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記第1の方向の断面において、スルーホールが形成された前記有機パッシベーション膜の上に、前記樹脂が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記画素電極は、前記スルーホール内に形成され、
前記スルーホール内において、前記画素電極は、前記有機パッシベーション膜と前記樹脂とで直接挟まれていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記有機パッシベーション膜の下にはカラーフィルタが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項11】
前記対向基板は、表示領域と周辺領域を有し、前記表示領域にはカラーフィルタ及び遮光膜は形成されていないことを特徴とする請求項10に記載の液晶表示装置。
【請求項12】
前記有機パッシベーション膜と前記樹脂とは同じ材料であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高精細液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置では画素電極および薄膜トランジスタ(TFT)等を有する画素がマトリクス状に形成されたTFT基板と、TFT基板に対向して対向基板が配置され、TFT基板と対向基板の間に液晶が挟持されている。そして画素毎に、液晶分子によりバックライトからの光の透過率を制御することによって画像を形成している。
【0003】
液晶表示装置は、VR(Virtual Reality)表示装置(以後VRともいう)等の、高精細画面を必要とする表示装置にも使用される。高精細画面では、画素ピッチが小さくなるので、画素の透過率が問題となる。また、画素容量を確保することが難しくなる。
【0004】
特許文献1には、画素電極とTFTのソース電極とを接続するスルーホールを充填膜で充填して平坦化し、かつ、画素電極を2層のコモン電極によって挟むことによって、画素容量を増加させる構成が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-144386号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
液晶表示装置が高精細化すると、液晶表示パネルの光透過率が問題となる。TFT、配線、接続のためのスルーホール等の要素は各画素から省略することはできないので、必然的に画像を形成するための光透過領域が小さくなる。一方、画素ピッチが小さくなるにしたがって、TFT基板と対向基板との平行方向のずれ(以後、横方向のずれともいう)の影響が出やすくなる。すなわち、従来では問題にならなかった横ずれの量でも、画素ピッチが小さくなると問題が出る場合があるからである。
【0007】
本発明の課題は、画素ピッチが小さい、高精細の液晶表示装置において、透過率の減少を抑制し、かつ、TFT基板と対向基板の間の横ずれの影響を軽減することが出来る液晶表示装置を実現することである。
【0008】
また、TFT基板と対向基板の横方向のずれに起因する問題は、対向基板に形成されていたカラーフィルタや遮光膜をTFT基板に形成することによって解決することが出来る。しかし、この場合には、新たな問題点が発生する。本発明は、このような構成における問題点を解決する構成を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題を克服するものであり、具体的な手段は次のとおりである。
【0010】
(1)半導体膜、ゲート電極、ドレイン電極、ソース電極を有するTFT(薄膜トランジスタ)を覆って有機パッシベーション膜が形成され、前記有機パッシベーション膜の上に画素電極とコモン電極が形成され、前記有機パッシベーション膜には前記画素電極と前記TFTを接続するためのスルーホールが形成されたTFT基板と、液晶層を挟んで前記TFT基板と対向した対向基板が配置した液晶表示装置であって、前記コモン電極と前記画素電極の間には容量絶縁膜が形成され、前記コモン電極と積層して遮光膜が形成され、前記前記スルーホールは樹脂で充填され、前記スルーホールの上面において、前記樹脂の上に前記容量絶縁膜が形成され、記容量絶縁膜の上に前記遮光膜及び前記コモン電極が形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【0011】
(2)前記遮光膜の上に前記コモン電極が配置していることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0012】
(3)前記遮光膜は、金属膜を含む多層膜によって形成されていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【0013】
(4)前記コモン電極は、透明酸化物導電膜によって形成され、前記遮光膜は前記コモン電極の上に形成され、前記コモン電極の上には、前記コモン電極と同じ材料で形成された第2の透明酸化物導電膜が形成されていることを特徴とする(1)に記載の液晶表示装置。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】液晶表示装置の平面図である。
図2図1のA-A断面図である。
図3】比較例1による液晶表示装置の表示領域の断面図である。
図4図3に対応する液晶表示装置のTFT基板側の表示領域の平面図である。
図5図4に対し、遮光膜の形成範囲の例を記載した平面図である。
図6】比較例2による液晶表示装置のスルーホール及びその付近の断面図である。
図7】実施例1による液晶表示装置のスルーホール及びその付近の断面図である。
図8】実施例1の第2の形態による液晶表示装置のスルーホール及びその付近の断面図である。
図9】実施例1の第3の形態による液晶表示装置のスルーホール及びその付近の断面図である。
図10】スルーホールを含む、画素の平面図である。
図11図10のB-B断面図である。
図12図10のC-C断面図である。
図13】スルーホールを含む、画素の他の平面図である。
図14図10のD-D断面図である。
図15図10のE-E断面図である。
図16】実施例3の液晶表示装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、実施例によって本発明の内容を詳細に説明する。液晶表示装置には、画素電極とコモン電圧の上下関係によって、画素電極トップ、コモン電極トップの方式が存在するが、本発明は、コモン電極トップの構成について説明する。また、従来は、カラーフィルタは対向基板に形成される場合が多かったが、高精細液晶表示装置では、TFT基板に形成される場合もある。これは、COA(Color Filter on Array)と呼ばれている。本発明は、このいずれの方式でも適用することが出来る。実施例1ではCOAの場合について説明し、実施例3では、カラーフィルタが対向基板に形成されている場合を説明する。
【実施例0016】
図1は液晶表示装置の平面図であり、図2図1のA-A断面図である。図1及び図2において、TFT基板100と対向基板200が周辺でシール材150を介して接着し、内部に液晶300が封止されている。TFT基板100と対向基板200が重なった領域に表示領域50が形成されている。表示領域50内のTFT基板100には、横方向(x方向)に走査線51が延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線52が縦方向に延在し、横方向に配列している。走査線51と映像信号線52に囲まれた領域に画素53が形成されている。
【0017】
TFT基板100は対向基板200よりも大きく形成され、TFT基板100が対向基板200と重なっていない部分は端子領域60となっている。端子領域60には、液晶表示装置に電源や信号を供給するためのフレキシブル配線基板62が接続している。また、端子領域60には、映像信号等を形成するための、ドライバIC61が配置している。なお、端子領域60の面積が小さい場合は、ドライバIC61はフレキシブル配線基板側に搭載される場合もある。
【0018】
TFT基板100と対向基板200の間隔、すなわち、液晶層300の厚さは、表示領域全体にわたって一定に保たれている必要がある。このために、図2においては、柱状スペーサ10、20を対向基板200側に配置し、TFT基板100と対向基板200の間隔を維持している。なお、柱状スペーサはTFT基板100側に形成される場合もある。
【0019】
柱状スペーサにはメイン柱状スペーサ10とサブ柱状スペーサ20が存在している。メイン柱状スペーサ10は通常状態において、TFT基板100と対向基板200の間隔を規定している。サブ柱状スペーサ20は、メイン柱状スペーサ10より高さが低く形成されている。サブ柱状スペーサ20は通常状態ではTFT基板100に接触していないが、対向基板200あるいはTFT基板100に押し圧力が加わった場合にTFT基板100に接触することによって、TFT基板100と対向基板200のギャップが極端に小さくなることを防止している。サブ柱状スペーサ20の直径はメイン柱状スペーサ10の直径よりも大きく、また、サブ柱状スペーサ20の数はメイン柱状スペーサ10の数よりも多い。
【0020】
図1において、図示していないが、表示領域50の両側の額縁部分には、走査信号を形成する走査信号駆動回路が形成されている。このような駆動回路には、ポリシリコン半導体を用いたTFTが使用される場合が多い。本実施例では、表示領域のTFTには、酸化物半導体が用いられている。酸化物半導体を用いたTFTの移動度はポリシリコン半導体よりも小さいが、リーク電流がポリシリコン半導体を用いたTFTよりも小さいので、画素におけるスイッチング素子として好適である。
【0021】
画素ピッチが小さくなると、従来の画素ピッチでは問題にならなかったような、TFT基板100と対向基板200の合わせ精度が問題となってくる。この問題を防止するためには、従来は、対向基板200に形成されていた、カラーフィルタ201、ブラックマトリクス(遮光膜202)をTFT基板100に形成することが効果的である。図3乃至図9で説明する比較例及び実施例1では、カラーフィルタ201及びブラックマトリクス(遮光膜)202をTFT基板100側に配置した構成について説明する。
【0022】
図3は、比較例1による液晶表示装置における、酸化物半導体TFTを有する画素領域の断面図である。図3において、例えば、ガラスで形成されたTFT基板100の上に下地膜101が形成されている。下地膜101の役割は、ガラス基板100等からの不純物が酸化物半導体107を汚染することを防止することである。下地膜101は一般には、窒化シリコン層(以後SiN層とも言う)と酸化シリコン層(以後SiOとも言う)の2層構造となっている。
【0023】
下地膜101の上には、第1遮光膜105が形成されている。第1遮光膜105は、図1における走査線51と同じ方向に延在し、走査線51と同じ方向に配列している。第1遮光膜105は、酸化物半導体TFT107、スルーホール130等を下側から覆って、バックライトからの光を遮光する。
【0024】
第1遮光膜105を覆って、第1層間絶縁膜絶縁膜106が形成されている。第1層間絶縁膜106は、2層構造であり、下層はSiN層で上側がSiO層となっている。第1層間絶縁膜106の上に形成される酸化物半導体107から酸素を抜かないようにするためである。なお、第1層間絶縁膜106から、SiN層は省略することも可能である。
【0025】
第1層間絶縁膜106の上に形成される酸化物半導体膜107は、ゲート電極109の下において、TFTのチャンネルを構成する。
【0026】
酸化物半導体膜107を覆ってゲート絶縁膜108が形成されている。ゲート絶縁膜107は2層のSiO層で形成されている。酸化物半導体膜107のチャンネル部に対応する部分は、酸素リッチな第1SiO層であり、その他の部分は緻密な膜を有する第2SiO膜である。第1SiO膜は酸化物半導体膜107に酸素を供給出来るようにするために、酸素リッチな膜としている。
【0027】
ゲート絶縁膜108の上にゲート電極109が形成されている。ゲート電極109の材料は、Molybdenum Tungsten Alloy(MoW)、Titanium(Ti)、又は、ITO (Indium Tin Oxide)、Titanium(Ti)、Aluminum(Al)、Titanium(Ti)の積層膜等が使用される。
【0028】
ところで、図3では、ゲート電極109の下にTFTのチャンネル部が形成されるトップゲートになっているが、金属材料によって形成された第1遮光膜105にゲート電圧を印加すれば、デュアルゲート方式のTFTとすることが出来る。
【0029】
ゲート電極109を覆って第2層間絶縁膜110が形成されている。第2層間絶縁膜110もSiN層及びSiO層の2層構造のものが多い。また、SiO層が下層の場合が多い。酸化物半導体膜107から酸素が抜かれないようにするためである。
【0030】
第2層間絶縁膜110を形成後、ゲート絶縁膜108及び第2層間絶縁膜110にスルーホール131を形成して映像信号線52及びその一部であるドレイン電極113を形成し、第3層間絶縁膜111を形成する。第2層間絶縁膜110及び第3層間絶縁膜111に形成されるスルーホール132を介してソース電極114が酸化物半導体膜107に接続される。また、ソース電極114及び第3層間絶縁膜111を覆って第4層間絶縁膜112が形成される。ドレイン電極113は金属で形成されるが、ソース電極114は透明電極であるITO(Indium Tin Oxide)で形成され、第4層間絶縁膜112に形成されたスルーホールを介して画素電極116と接続する。スルーホール131において、映像信号線52がドレイン電極113の役割を有し、導電性を付与された酸化物半導体膜107と接続する。映像信号線52の材料は、第1ゲート電極104等と同様に、MoW、Ti、又は、Ti-Al-Tiの積層膜等で形成することが出来る。また、第3層間絶縁膜111及び第4層間絶縁膜は、例えばSiN層のような無機絶縁膜である。
【0031】
ドレイン電極113、ソース電極114、第4層間絶縁膜112を覆って、カラーフィルタ201が形成され、カラーフィルタ201を覆って有機パッシベーション膜115が形成されている。カラーフィルタ201は、従来は、対向基板200側に形成されているが、本実施例及び比較例では、TFT基板100側に形成されている。TFT基板100と対向基板200の合わせ精度の影響をなくすためである。カラーフィルタは1乃至2μm、有機パッシベーション膜は1乃至2μmと、厚く形成されている。これらの膜を平坦化膜として作用させるためと、映像信号線52と、画素電極116あるいはコモン電極119との容量カップリングを抑制するためである。
【0032】
図3はコモン電極トップ構成であるから、有機パッシベーション膜115の上に画素電極116が透明導電膜であるITOによって形成される。画素電極116は画素の形に合わせて矩形となっている。有機パッシベーション膜115及びカラーフィルタ201には、画素電極116とソース電極114を接続するために、スルーホール130が形成されている。
【0033】
図3において、画素電極116の上に容量絶縁膜117が形成され、その上に金属の積層膜によって第2遮光膜118が形成され、その上にITOによってコモン電極119が形成されている。第2遮光膜118は、従来構成における対向基板に形成されたブラックマトリクスの役割を有している。第2遮光膜118は、Molybdenum(Mo)、ITO、Titanium(Ti)、Aluminum(Al)、Ti等の積層膜で形成され、厚さは合計で、70nm程度である。なお、図3では、第2遮光膜118は、コモン電極119と積層されて形成されており、コモン電極119と協働して反射防止膜を構成している。また、第2遮光膜118は、コモン電極119内における電圧変動を抑制している。
【0034】
図3において、第2遮光膜118を覆ってコモン電極119が形成されている。第2遮光膜118は、表示領域において、遮光が必要な部分を部分的に覆っているだけであるが、コモン電極119は表示領域全体を共通に覆っている。コモン電極119は透明導電膜であるITOによって形成されるが、抵抗値が金属に比較して大きい。しかし、金属で形成された第2遮光膜118の助けによって、表示領域全体が均一なコモン電圧になるように維持されている。
【0035】
一方、1フレーム期間、画素電極116の画素電圧を維持するために、画素電極116とコモン電極119との間に、容量絶縁膜117を介して、画素容量が形成される。図3では、画素容量を大きくするために、スルーホール130内にも、画素電極116に加えて、容量絶縁膜107、第2遮光膜118及びコモン電極119が形成されている。
【0036】
図3において、カラーフィルタ201及び有機パッシベーション膜115に形成されたスルーホール130は大きな面積と深さを有している。このような大きな孔が存在すると、この付近における液晶分子の配向乱れが大きくなる。また、配向膜形成時に、スルーホール130内に液体である配向膜材料が入り込まないという問題もある。さらに、外部から、TFT基板100あるいは対向基板200に押し圧力が加わったような場合、柱状スペーサ10あるいは20等がこのスルーホールに落ち込んでしまう可能性がある。このようなことを防止するために、図3では、スルーホール130内に埋込膜30を形成している。この埋込膜30は有機パッシベーション膜115と同じ材料で形成される。有機パッシベーション膜115は、例えば、感光性のアクリル樹脂等で形成される。すなわち、材料自体がレジストであるから、別途レジストを形成する必要はない。
【0037】
コモン電極119、埋込膜30を覆って第1配向膜120が形成されている。第1配向膜120は、対向基板200側に形成される第2配向膜204とともに、液晶分子の初期配向を規定する。配向膜120,204はポリイミドによって形成される。配向膜120,204の配向処理は、ラビング方法でもよいし、偏向紫外線による光配向処理でもよい。
【0038】
画素電極116に電圧が印加されると、コモン電極119のスリット11191において、画素電極116からコモン電極119に向かって液晶層300を通過する電気力線が発生し、液晶分子を回転させ、液晶層300の透過率を変化させる。液晶層300の透過率を画素毎に変化させて画像を形成する。すなわち、IPS(In Plane Switching)動作を行う。
【0039】
実施例1における画素の面積は非常に小さい。一方、有機パッシベーション膜115及びカラーフィルタ201の膜厚は小さくできないので、スルーホール130も小さくすることが難しい。そこで、スペースを節約するために、図3では、TFTの直上に有機パッシベーション膜115のスルーホール130を形成している。
【0040】
図3において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置している。図3においては、カラーフィルタ201もブラックマトリクス(遮光膜)202もTFT基板100側に形成されているので、対向基板200には、第2配向膜204のみ形成されている。したがって、対向基板200とTFT基板100の合わせ精度は、液晶表示装置の画質には影響しない。第2配向膜204の配向処理はTFT基板100側に形成される第1配向膜120と同じである。
【0041】
図4は、図3におけるTFT基板100側の平面図である。但し、図4は、全ての要素が記載されているわけではない。図面が複雑になるのを防ぐためである。図4において、第1遮光膜105と走査線109が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)配列している。また、映像信号線52が縦方向に延在し、横方向に配列している。図4において、第1遮光膜105と重複してTFTが形成されている。すなわち、TFT等は、バックライトから遮光されている。
【0042】
図4において、映像信号線52上に形成されたスルーホール131からドレイン配線としての、酸化物半導体膜107が走査線109側に画素内を縦方向に延在している。酸化物半導体膜107は導電性を付与されており、かつ透明なので、光透過率を大きく低下させることは無い。また、酸化物半導体膜107は、ゲート電極109及び第1遮光膜と重なる部分がチャネルとなり、TFTが形成される。
【0043】
図4において導電性を付与された酸化物半導体膜107はさらにy方向下側に延在し、スルーホール132においてITOで形成されたソース電極114と接続する。ソース電極114はy方向上側に延在し、スルーホール130及び第4層間絶縁膜112に形成されるスルーホールにおいて、図5に示す画素電極106と接続する。すなわち、図4において、スルーホール132からスルーホール130までは、ソース電極114と、導電性を付与された酸化物半導体107とは、平面で視て、重複して存在している。
【0044】
図5図4の構成に対し、TFT基板100に形成された第2遮光膜118の範囲の例を示す。第2遮光膜118は、表示領域全面に亘って形成されたコモン電極119の下層に形成さるので、平面的には、任意の範囲に形成することが可能である。図5において、第2遮光膜118の形成範囲は、シェーディングされた部分であり、第1遮光膜105及び映像信号線51と重複した位置に形成されている。すなわち、映像信号線52とスルーホール130を覆っている。
【0045】
第2遮光膜118は、反射防止膜の役割を有している。反射防止膜として作用させるために、多層膜で形成されているが、この多層膜は、平面状に形成された場合に最も効果が出るように設計されている。しかしながら、図3の構成では、スルーホール130内に第2遮光膜118が形成されている。したがって、この部分は十分な反射防止効果を得ることが出来ず、外光の反射が生ずる。これによって、画質が損なわれる。
【0046】
図6は、比較例2であり、これを対策したスルーホール130及びその付近の断面図である。なお、図6以後は、わかりやすくするために、スルーホール130及びその付近の構成のみ記載する。図6図5と異なる点は、SiNによる容量絶縁膜117が形成された後、スルーホール130内に充填膜30を形成し、スルーホール130内の表面を平坦にする。その後、第2遮光膜(反射防止膜)118を形成する。したがって、図6の構成によれば、第2遮光膜(反射防止膜)118は平坦な膜になるので、反射防止効果が発揮される。
【0047】
しかし、図6の構成では、スルーホール130内では画素容量は形成されないので、図3の場合に比較して画素容量が小さくなる。これを補うために、容量絶縁膜117の厚さを薄くすると、スルーホール130内に配置している容量絶縁膜117が破壊しやすくなり、当初の設計の目的に合わせることが難しくなる。
【0048】
図7は本発明の実施例1による、スルーホール130内およびその付近の断面図である。図7図6と異なる点は、スルーホール130の充填膜30を画素電極116の形成後に形成していることである。図7において、画素電極116をスルーホール130内に形成した後、充填膜30をスルーホール130内に形成する。その後、容量絶縁膜117を形成するが、この時は、スルーホール130の表面は、充填膜30によって平坦化されている。
【0049】
図7図6と異なる他の点は、第2遮光膜118が容量絶縁膜117の上に形成されている点である。したがって、容量絶縁膜117は、スルーホール130の段差を乗り越える必要が無い。つまり、容量絶縁膜117の薄膜化が可能である。
【0050】
このように、図7の構成によれば、スルーホール130の表面において、平坦化された面に容量絶縁膜117が形成されているので、画素容量を大きくするために、容量絶縁膜117の厚さを小さくしても、容量絶縁膜117の破壊は生じにくい。また、容量絶縁膜117の上に形成される第2遮光膜118も、平坦な容量絶縁膜117の上に形成されるので、遮光膜あるいは反射防止膜としての特性を十分に発揮することが出来る。
【0051】
図8は実施例1の第2の形態による、スルーホール130とその付近の構成を示す断面図である。図8図7と異なる点は、第2遮光膜118がITOで形成されたコモン電極119の上に配置し、第2遮光膜118の上に、反射防止用ITO121が配置している点である。
【0052】
図7の構成では、コモン電極119が第2遮光膜118を覆っているので、第2遮光膜119の端部において、コモン電極119が段切れを生ずる危険がある。これを防止するために、図8の構成では、第2遮光膜118をコモン電極119の上に形成している。
【0053】
しかし、第2遮光膜118が十分な遮光膜あるいは反射防止膜として作用するためには、最上面にITO膜が存在している必要がある。そこで、図8の構成では、第2遮光膜118の上に、反射防止用ITO膜121を形成している。反射防止用ITO膜121の厚さは、例えば、50nmから70nmである。
【0054】
また、第2遮光膜118と反射防止用ITO膜121は同じパターンとなっているので、フォトリソグラフィーは第2遮光膜118と共通に行うことが出来る。
【0055】
図9は実施例1の第3の形態による、スルーホール130とその付近の構成を示す断面図である。図9図8と異なる点は、第2遮光膜118の上に形成された反射防止用ITO121が第2遮光膜118の側面まで覆っていることである。図8の構成では、第2遮光膜118が腐食しやすい金属、例えば、Al等を有していると、側面から腐食が発生しやすい。
【0056】
一方、ITOは酸化物導電膜なので、化学的には安定である。したがって、金属で形成された第2遮光膜118が、側面から腐食される現象を防止することが出来る。
【0057】
ところで、実施例1の実施形態1乃至3に共通の構成では、スルーホール130内に形成された画素電極116は、両側において、アクリル樹脂等で形成された有機パッシベーション膜115と充填膜30によって直接挟まれている。また、充填膜30によって平坦化されたスルーホール130の上面に容量絶縁膜117が形成され、その上にコモン電極119または金属で形成された第2遮光膜118が形成されている。
【0058】
なお、以上の構成では、カラーフィルタ201が有機パッシベーション膜115の下側に形成されているとして記載したが、カラーフィルタ201が有機パッシベーション膜115の上側に形成されている構成でもよい。この場合は、スルーホール130内の画素電極は116、カラーフィルタ201と充填膜30によって直接挟まれる構成になる。
【実施例0059】
本実施例は、容量絶縁膜117、第2遮光膜118、コモン電極119等が形成される、スルーホール130の表面を、充填膜30によって平坦にするための、構成について開示するものである。
【0060】
図10は、画素において、映像信号線52、走査線51、スルーホール130のみ記載した平面図である。図10において、走査線51が横方向(x方向)に延在し、縦方向(y方向)に配列している。また、映像信号線52が縦方向に延在し、横方向に配列している。図10では、スルーホール130がそれほど大きくない場合である。図13において、スルーホール130内には、充填膜30が形成されており、充填膜30はハッチングで表されている。
【0061】
図10において、スルーホール130の縦ピッチはy1であり、横ピッチはx1である。スルーホール130とスルーホール130の縦方向の間隔はgyであり、横方向の間隔はgxである。図10において、間隔gxも間隔gyもスルーホール130の大きさに比べて十分に大きいので、各スルーホール130は独立して存在している。
【0062】
図11図10のB-B断面図である。図11は有機パッシベーション膜115、スルーホール130、及び充填膜30のみ記載されている。図11では、画素電極116、コモン電極119、容量絶縁膜117、第2遮光膜118等は省略されている。図11において、有機パッシベーション膜115と充填膜30は同じ材料で形成されているが、わかりやすくするために、充填膜30のみハッチングを施している。
【0063】
図11において、2個のスルーホール130は十分に離れており、互いに干渉することなく形成されている。したがって、充填膜30は、個々のスルーホール130に独立に充填されている。
【0064】
図12は、図10のC-C断面図である。図12におけるスルーホール130の間隔は、図11におけるスルーホール130間隔より小さいが、それでも、互いに干渉することなく、形成されている。したがって、充填膜30は、個々のスルーホール130に独立に充填されている。
【0065】
図13は、スルーホール130が大きい場合における画素において、映像信号線52、スルーホール130のみ記載した平面図である。図13では、スルーホール130の径が大きいために、横方向(x方向)に延在する走査線52は、スルーホール130の下に隠れて見えていない。スルーホール130の径は、有機パッシベーション膜115の膜厚が大きいと、大きくなる。
【0066】
図13において、スルーホール130の縦方向(y方向)のピッチy1及び横方向のピッチx1は、図10と同じであるいが、スルーホール130とスルーホール130の間隔が小さい。それでも、縦方向の間隔gyは十分大きいが、横方向の間隔gxは小さく、スルーホール130を形成するときに、互いに干渉し、スルーホール130が隣接する方向では、有機パッシベーション膜115の膜厚が小さくなる。
【0067】
そこで、図13の構成では、充填膜30を、スルーホール130の径よりも大きな幅で、横方向にストライプ状に形成する。そして、その後、平坦化に不要な充填膜30を除去する。そうすると、スルーホール130の縦方向(y方向)の断面図と横方向(x方向)の断面図とで、形状が異なってくる。
【0068】
図14は、図13のD-D断面図である。スルーホール130の径が大きくなっても、縦方向の間隔gyは十分に大きいので、スルーホール130は互いに干渉することなく独立している。したがって、充填膜30は、スルーホール130内に充填されている。
【0069】
図15は、図13のE-E断面図である。横方向では、スルーホール130の径が大きくなることによって、スルーホール130とスルーホール130の間隔が近接し、スルーホール130を形成する際、近接するスルーホール130との間に干渉が生ずる。すなわち、隣接するスルーホール130間の有機パッシベーション膜115の膜厚が小さくなる。
【0070】
したがって、スルーホール130の上面を平坦化しようとすると、スルーホール130の内部のみに充填膜を形成だけでは不十分であり、隣接するスルーホール130の間の有機パッシベーション膜115の上にも充填膜30を形成する必要がある。
【0071】
このような充填膜30を形成することによって、スルーホール130の径が大きくなったような場合であっても、スルーホール130の上面を平坦化出来るので、実施例1で説明したような、適切は遮光効果及び反射防止効果を有する遮光膜118を得ることが出来、また、必要な画素容量を確保することが出来る。
【実施例0072】
実施例1及び実施例2では、カラーフィルタ201をTFT基板100側に組み込んだ、いわゆるCOA方式について本発明を説明した。本発明は、これに限らず、対向基板200側にカラーフィルタ201やブラックマトリクス202が形成された、通常の構成の液晶表示装置についても適用することが出来る。
【0073】
図16は、実施例3における画素部の断面図である。図16において、対向基板200側にはカラーフィルタ201、ブラックマトリクス202、オーバーコート膜203が形成されている。図16におけるTFT基板100には、カラーフィルタ201は形成されていない。TFT基板100のその他の構成は、実施例1の実施形態1の構成と同じである。つまり、図16におけるスルーホール130及びその付近の構成は、図7に示す、実施例1の第1の形態の構成と同じになっている。
【0074】
図16において、液晶層300を挟んで対向基板200が配置している。対向基板200には、カラーフィルタ201、ブラックマトリクス202が形成されている。カラーフィルタ201はカラー画像を形成するためであり、ブラックマトリクス202は画像のコントラストを向上させるためである。カラーフィルタ201及びブラックマトリクス202を覆ってオーバーコート膜203が形成されている。オーバーコート膜203は、カラーフィルタ201内の色顔料が液晶層300の中に染み出すことを防止する。オーバーコート膜203を覆って第2配向膜204が形成されている。第2配向膜204の役割は第1配向膜120で説明したのと同じである。
【0075】
図16の構成においては、対向基板200側にブラックマトリクス202が形成されているので、TFT基板100側の第2遮光膜118は必須ではない。しかし、第2遮光膜118がTFT基板100側に存在すれば、ブラックマトリクス201で覆いきれなかった外光をカットできる、内部側からの光による混色を防止できる、コモン電極119の電圧低下を防止できる、等の効果があるので、第2遮光膜118は、TFT基板100側に存在しているほうがよい。
【0076】
なお、図16では、実施例1の図7で表される実施形態1を適用しているが、図8で表される、実施形態2、図9で表される実施形態3等を適用することも出来る。
【符号の説明】
【0077】
10…メイン柱状スペーサ、 20…サブ柱状スペーサ、 30…充填膜、 50…表示領域、 51…走査線、 52…映像信号線、 53…画素、 60…端子領域、 61…ドライバIC、 62…フレキシブル配線基板、 100…TFT基板、 101…下地膜、 105…第1遮光膜、 106…第1層間絶縁膜、 107…酸化物半導体膜、 108…ゲート絶縁膜、 109…ゲート電極、 110…第2層間絶縁膜、 111…第3層間絶縁膜、112…第4層間絶縁膜、113…ドレイン電極、 114…ソース電極、 115…有機パッシベーション膜、 116…画素電極、 117…容量絶縁膜、 118…第2遮光膜、 119…コモン電極、 120…第1配向膜、 130…画素スルーホール、 131…第1スルーホール、 132…第2スルーホール、 150…シール材、 200…対向基板、 201…カラーフィルタ、202…ブラックマトリクス、 203…オーバーコート膜、 204…第2配向膜、 300…液晶層、 1191…スリット
図1
図2
図3
図4
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図6
図7
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図9
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