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  • 特開-電子制御装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078816
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】電子制御装置
(51)【国際特許分類】
   G01P 3/56 20060101AFI20240604BHJP
   B60T 8/173 20060101ALI20240604BHJP
   B60T 8/171 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
G01P3/56 A
B60T8/173
B60T8/171 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191382
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】301065892
【氏名又は名称】株式会社アドヴィックス
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹谷 佑介
(72)【発明者】
【氏名】山本 勇作
【テーマコード(参考)】
3D246
【Fターム(参考)】
3D246AA08
3D246BA02
3D246DA01
3D246GB39
3D246HA28A
3D246HA64A
3D246HA81A
3D246HA93A
3D246KA02
3D246KA13
(57)【要約】
【課題】ノイズ成分を除去しつつもフィルタ処理の実施に伴う位相遅れの少ない状態量検出値を算出できるようにすること。
【解決手段】ECU40は、車輪速センサ51の検出信号を数値化した車輪速生値に対して第1フィルタ処理を施すことによって、第1車輪速処理値を導出する第1フィルタ処理部101と、車輪速生値に対して第2フィルタ処理を施すことによって、第2車輪速処理値を導出する第2フィルタ処理部102と、第2車輪速処理値に対して第1フィルタ処理を施すことによって、第3車輪速処理値を導出する第3フィルタ処理部103と、第3車輪速処理値と第2車輪速処理値との差分と第1車輪速処理値とに基づいて、車輪速検出値を算出する状態量算出部104とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機の動力で移動する輸送機器の状態量を検出するセンサを備える前記輸送機器に搭載される電子制御装置であって、
前記センサの検出信号を数値化した生値に対して、ローパスフィルタを用いる第1フィルタ処理を施すことによって、第1状態量処理値を導出する第1フィルタ処理部と、
前記生値に対して前記第1フィルタ処理を施した場合と同等以上の前記生値からのノイズの除去効率を有する第2フィルタ処理を前記生値に対して施すことによって、第2状態量処理値を導出する第2フィルタ処理部と、
前記第2状態量処理値に対して前記第1フィルタ処理を施すことによって、第3状態量処理値を導出する第3フィルタ処理部と、
前記第3状態量処理値と前記第2状態量処理値との差分と前記第1状態量処理値とに基づいて、前記状態量の検出値である状態量検出値を算出する状態量算出部と、を備える
電子制御装置。
【請求項2】
前記第2フィルタ処理は、前記生値に対して前記第1フィルタ処理を施した場合よりも前記生値からのノイズの除去効率の高い処理である
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項3】
前記第2フィルタ処理は、ローパスフィルタを用いるフィルタ処理である
請求項1に記載の電子制御装置。
【請求項4】
前記第2フィルタ処理のローパスフィルタのカットオフ周波数は、前記第1フィルタ処理のローパスフィルタのカットオフ周波数よりも低い
請求項3に記載の電子制御装置。
【請求項5】
前記センサは、速度を検出するセンサであり、
前記状態量算出部は、前記状態量検出値として速度の検出値を算出する
請求項1から請求項4のうち何れか一項に記載の電子制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原動機の動力で移動する輸送機器に搭載される電子制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、車輪速センサの検出値を基に、車輪のスリップ度合いを推定する制御装置を開示している。当該制御装置は、車輪速センサの出力値に基づいた車輪速に対して第1フィルタ処理を施すことによって算出した第1車輪速フィルタ値と、当該車輪速に対して第2フィルタ処理を施すことによって算出した第2車輪速フィルタ値との差分を取得する。第1フィルタ処理及び第2フィルタ処理は何れもローパスフィルタを用いたフィルタ処理である。第1フィルタ処理と第2フィルタ処理とではローパスフィルタのカットオフ周波数が異なる。そのため、車輪速が減速している場合には、車輪のスリップ率が高いほど上記差分が大きくなる。したがって、制御装置は上記差分に基づいて車輪のスリップ度合いを推定できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-182884号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車輪速センサなどのように車両の状態量を検出するセンサの検出信号を数値化した生値には、ノイズ成分が重畳している。そのため、一般的には、生値に対してフィルタ処理を施すことによって状態量検出値が導出される。しかしながら、フィルタ処理を生値に施した場合、当該フィルタ処理による位相遅れが生じるため、制御装置が導出した状態量検出値と状態量の実値との間に乖離が生じるおそれがある。なお、こうした課題は、車両以外の他の輸送機器の状態量を検出する場合でも生じうる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための電子制御装置は、原動機の動力で移動する輸送機器の状態量を検出するセンサを備える前記輸送機器に搭載される装置である。当該電子制御装置は、前記センサの検出信号を数値化した生値に対して、ローパスフィルタを用いる第1フィルタ処理を施すことによって、第1状態量処理値を導出する第1フィルタ処理部と、前記生値に対して前記第1フィルタ処理を施した場合と同等以上の前記生値からのノイズの除去効率を有する第2フィルタ処理を前記生値に対して施すことによって、第2状態量処理値を導出する第2フィルタ処理部と、前記第2状態量処理値に対して前記第1フィルタ処理を施すことによって、第3状態量処理値を導出する第3フィルタ処理部と、前記第3状態量処理値と前記第2状態量処理値との差分と前記第1状態量処理値とに基づいて、前記状態量の検出値である状態量検出値を算出する状態量算出部と、を備えている。なお、原動機の動力で移動する輸送機器としては、例えば、車両、航空機及び船舶を挙げることができる。
【0006】
上記電子制御装置は、生値に対して第2フィルタ処理を施すことによって第2状態量処理値を導出する。また、電子制御装置は、第2状態量処理値に対して第1フィルタ処理を施すことによって、第3状態量処理値を導出する。第3状態量処理値と第2状態量処理値との差分は、生値に対して第1フィルタ処理を施した場合の位相遅れに対応する。そこで、上記電子制御装置は、当該差分と第1状態量処理値とに基づいて、状態量検出値を算出する。これにより、上記電子制御装置は、ノイズ成分を除去しつつもフィルタ処理の実施に伴う位相遅れの少ない状態量検出値を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の電子制御装置と、制動アクチュエータと、摩擦ブレーキと、車輪とを示す概略構成図である。
図2図2は、図1の電子制御装置で実行される各種の処理の流れを説明するブロック図である。
図3図3は、車輪速の推移を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、原動機の動力で移動する輸送機器に搭載される電子制御装置の一実施形態を図1から図3に従って説明する。本実施形態では、上記輸送機器は車両である。車両は、エンジン及び電気モータのうちの少なくとも一方を原動機として備えている。以降では、電子制御装置を「ECU」と記載する。
【0009】
図1は、車輪11と、摩擦ブレーキ20と、制動アクチュエータ30と、ECU40とを備える車両10を示す模式図である。車両10は、回生制動力を発生させることのできる電動車両である。
【0010】
<摩擦ブレーキと制動アクチュエータ>
摩擦ブレーキ20は、ホイールシリンダ21と、回転体22と、摩擦部材23とを備えている。回転体22は車輪11と一体に回転する。摩擦部材23を回転体22に押し付けることにより、車輪11に制動力が発生する。摩擦ブレーキ20は、ホイールシリンダ21の液圧が高いほど摩擦部材23を回転体22に押し付ける力が大きくなるように構成されている。以降では、摩擦ブレーキ20の作動によって車輪11に発生する制動力を「摩擦制動力」ともいう。
【0011】
制動アクチュエータ30は、ホイールシリンダ21にブレーキ液を供給できるように構成されている。すなわち、制動アクチュエータ30は、ホイールシリンダ21の液圧を調整することによって車輪11に発生する摩擦制動力を調整する。
【0012】
<車両の検出系>
車両10の検出系は、車両10の状態量を検出する複数種類のセンサを備えている。複数種類のセンサは、車輪速センサ51を含んでいる。車輪速センサ51は、車両10の状態量の一例である車輪11の回転速度を、例えば、車輪11の回転に伴って発生するパルス信号として検出する。車輪速センサ51の検出信号はECU40に出力される。
【0013】
<ECU>
ECU40は、センサの検出信号に基づいて制動アクチュエータ30を制御する処理回路41を備えている。処理回路41はCPU42とメモリ43とを有している。メモリ43は、CPU42によって実行される制御プログラムを記憶している。
【0014】
処理回路41は、CPU42が制御プログラムを実行することによって、第1フィルタ処理部101、第2フィルタ処理部102、第3フィルタ処理部103、状態量算出部104及び制動制御部110として機能する。第1フィルタ処理部101、第2フィルタ処理部102、第3フィルタ処理部103及び状態量算出部104は、車輪速センサ51の検出信号を基に、車両10の状態量の検出値として車輪速検出値VWADJを算出するための機能部である。制動制御部110は、制動アクチュエータ30を制御するための機能部である。
【0015】
なお、処理回路41は、車輪速センサ51からECU40に入力された検出信号に基づいて、当該検出信号を数値化した生値である車輪速生値VWSEを算出する。車輪速生値VWSEは、ソフトウェアによるフィルタ処理を施していない車輪速度の算出値である。フィルタ処理は、ノイズ成分を除去するための処理である。ここで、信号の検出時、及び、車輪速センサ51からECU40に信号が伝達される過程で、車輪速センサ51の検出信号にノイズ成分が重畳してしまうことがある。この場合、上記のようなフィルタ処理が施されていない車輪速生値VWSEは、ノイズ成分を含んだ算出値となってしまう。
【0016】
<機能部>
図1図2及び図3を参照し、上述した複数の機能部について説明する。
第1フィルタ処理部101は、車輪速センサ51の生値である車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理M11を施すことによって、第1車輪速処理値VWLP1を導出する。第1車輪速処理値VWLP1が「第1状態量処理値」に対応する。第1フィルタ処理M11は、ローパスフィルタを用いたフィルタ処理である。第1フィルタ処理M11で用いるローパスフィルタを「第1ローパスフィルタ」という。第1ローパスフィルタは、車輪速生値VWSEに重畳するノイズ成分の除去効率が比較的低いフィルタである。ただし、カットオフ周波数は、第1車輪速処理値VWLP1に残存するノイズ成分が制動力制御の精度に影響を与えない程度の値に設定されている。
【0017】
第2フィルタ処理部102は、車輪速生値VWSEに対して第2フィルタ処理M12を施すことによって、第2車輪速処理値VWLP2を導出する。第2車輪速処理値VWLP2が「第2状態量処理値」に対応する。本実施形態では、第2フィルタ処理M12は、車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理を施した場合よりも車輪速生値VWSEからのノイズ成分の除去効率が高くなるように構成されている。例えば、第2フィルタ処理M12はローパスフィルタを用いたフィルタ処理である。第2フィルタ処理M12で用いるローパスフィルタを「第2ローパスフィルタ」という。第2ローパスフィルタは、車輪速生値VWSEに重畳するノイズ成分の除去効率が比較的高いフィルタである。すなわち、第2ローパスフィルタのカットオフ周波数は、第1ローパスフィルタのカットオフ周波数よりも低い。そのため、第2車輪速処理値VWLP2にはノイズ成分がほとんど残存しない。ただし、図3に示すように車輪11での制動力の発生によって車輪速が低下する場合において、車輪速の実値に対する第2車輪速処理値VWLP2の応答遅れは、車輪速の実値に対する第1車輪速処理値VWLP1の応答遅れよりも大きい。
【0018】
第3フィルタ処理部103は、第2車輪速処理値VWLP2に対して第1フィルタ処理M11を施すことによって、第3車輪速処理値VWLP3を導出する。第3車輪速処理値VWLP3が「第3状態量処理値」に対応する。
【0019】
状態量算出部104は、第3車輪速処理値VWLP3と第2車輪速処理値VWLP2との差分DVWと、第1車輪速処理値VWLP1とに基づいて、車輪速検出値VWADJを算出する。すなわち、状態量算出部104は、第1算出処理M14、第2算出処理M15及びガード処理M16を実行することによって、車輪速検出値VWADJを算出する。
【0020】
状態量算出部104は、第1算出処理M14において、第3車輪速処理値VWLP3から第2車輪速処理値VWLP2を引いた値を、第3車輪速処理値VWLP3と第2車輪速処理値VWLP2との差分DVWとして算出する。
【0021】
状態量算出部104は、第2算出処理M15において、第1車輪速処理値VWLP1から差分DVWを引いた値を、車輪速検出値の仮値VWADJaとして算出する。
状態量算出部104は、ガード処理M16において、車輪速検出値の仮値VWADJaと0(零)とのうち、大きい方を車輪速検出値VWADJとして算出する。すなわち、状態量算出部104は、第1車輪速処理値VWLP1から差分DVWを引くことによって車輪速検出値VWADJを算出する。
【0022】
制動制御部110は、車両10の制動力の要求値である要求制動力を導出する。制動制御部110は、そのときの車両10の回生制動力を取得すると、要求制動力から回生制動力を引いた値を、摩擦制動力の要求値である要求摩擦制動力として算出する。そして、制動制御部110は、要求摩擦制動力を基に制動アクチュエータ30を作動させる。
【0023】
なお、車両10に回生制動力が付与されている場合に車輪速が低速になると、制動制御部110は、回生制動力を摩擦制動力にすり替えるすり替え制御を実施する。具体的には、制動制御部110は、車輪速検出値VWADJが車輪速判定値以下になると、すり替え制御を実施する。制動制御部110は、すり替え制御において、回生制動力を0(零)まで減少させるとともに、回生制動力の減少に合わせて摩擦制動力が増大するように制動アクチュエータ30を作動させる。
【0024】
<作用及び効果>
図3を参照し、ECU40の作用及び効果について説明する。
ECU40において、処理回路41は、車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理M11を施すことによって第1車輪速処理値VWLP1を導出する。処理回路41は、車輪速生値VWSEに対して第2フィルタ処理M12を施すことによって、ノイズ成分を大幅に除去した第2車輪速処理値VWLP2を導出する。処理回路41は、第2車輪速処理値VWLP2に対して第1フィルタ処理M11を施すことによって、第3車輪速処理値VWLP3を導出する。
【0025】
第3車輪速処理値VWLP3と第2車輪速処理値VWLP2との差分DVWは、車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理M11を施したことに起因する値の応答遅れと同等となる。特に車輪速が一定速度で変化する場合では、当該応答遅れは上記差分DVWとほぼ一致する。
【0026】
そこで、処理回路41は、第1車輪速処理値VWLP1から差分DVWを引くことにより、車輪速検出値VWADJを算出する。これにより、ECU40では、ノイズ成分を除去しつつもフィルタ処理の実施に伴う位相遅れの少ない車輪速検出値VWADJを算出できる。
【0027】
ECU40では、車輪速が低速である場合においても、ノイズ成分を除去しつつ車輪速検出値VWADJを精度良く算出できる。そのため、上述したすり替え制御を実施するに際し、すり替え制御の開始が、すり替え制御の適切な開始タイミングから遅れたり、当該開始タイミングよりも早まったりすることを抑制できる。
【0028】
なお、第2フィルタ処理M12は、車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理M11を施した場合よりも車輪速生値VWSEからのノイズ成分の除去効率の高い処理である。そのため、第2車輪速処理値VWLP2には、ノイズ成分がほとんど残っていない。こうした第2車輪速処理値VWLP2に対して第1フィルタ処理M11を施すことによって、第3車輪速処理値VWLP3が導出される。そのため、第2車輪速処理値VWLP2と第3車輪速処理値VWLP3との差分DVWと、車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理M11を施したことに起因する位相遅れとの相関性を高くできる。
【0029】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0030】
・第2フィルタ処理は、車輪速生値VWSEに対して第1フィルタ処理M11を施した場合と同等以上の車輪速生値VWSEからのノイズの除去効率を有していればよい。例えば、第2フィルタ処理は、第1フィルタ処理と同程度のノイズ成分効率を有するフィルタ処理であってもよい。この場合、第2フィルタ処理で用いられるローパスフィルタのカットオフ周波数は、第1フィルタ処理で用いられるローパスフィルタのカットオフ周波数と同じとなる。
【0031】
・第2フィルタ処理は、車輪速生値VWSEからノイズ成分を除去できるのであれば、ローパスフィルタを用いないフィルタ処理であってもよい。例えば、第2フィルタ処理は、車輪速生値VWSEを移動平均することによって第2車輪速処理値を導出する処理であってもよい。
【0032】
・状態量算出部104は、ガード処理M16を実施しなくてもよい。
・センサは、回転する部材の回転速度を検出するセンサであれば、車輪速センサ51以外の他のセンサであってもよい。他のセンサとしては、例えば、車載の電気モータの出力軸の回転を検出するセンサを挙げることができる。
【0033】
・センサは、車両10の状態量を検出できるセンサであれば車輪速センサ51以外の他のセンサであってもよい。他のセンサとしては、例えば、加速度を検出する加速度センサ、ヨーレートを検出するヨーレートセンサを挙げることができる。例えばヨーレートセンサの場合、ECU40では、上記実施形態で説明した手法と同等の処理を実施することによって、ヨーレートの検出値が状態量検出値として算出される。
【0034】
・ECUは、制動アクチュエータ30以外の他の車載のアクチュエータを制御するECUであってもよい。
・処理回路41は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、処理回路41は、以下(a)から(c)の何れかの構成であればよい。
【0035】
(a)処理回路41は、コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
【0036】
(b)処理回路41は、各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記であり、FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
【0037】
(c)処理回路41は、各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
【0038】
・上記ECUが搭載される車両は、電動車両でなくてもよい。
・上記ECUが搭載される輸送機器は、原動機の動力で移動するものであれば、車両以外の他の輸送機器であってもよい。他の輸送機器としては、例えば、航空機や船舶などのように車輪を備えない輸送機器を挙げることができる。
【符号の説明】
【0039】
10…車両
40…ECU(電子制御装置)
41…処理回路
51…車輪速センサ
101…第1フィルタ処理部
102…第2フィルタ処理部
103…第3フィルタ処理部
104…状態量算出部
図1
図2
図3