(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024007882
(43)【公開日】2024-01-19
(54)【発明の名称】コイル部品およびコイル部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 17/04 20060101AFI20240112BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240112BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240112BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240112BHJP
【FI】
H01F17/04 F
H01F27/29 G
H01F41/04 B
H01F37/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022109261
(22)【出願日】2022-07-06
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】本田 裕行
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克志
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062FF01
5E062FF02
5E070AB03
5E070BA03
(57)【要約】
【課題】コイル特性を向上させることができるコイル部品を提供する。
【解決手段】コイル部品は、軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第1対向面には、前記天板側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第2対向面には、前記第1鍔部の前記凸部の前記凸形状に対応する凹形状の凹部が設けられている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第1対向面には、前記天板側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第2対向面には、前記第1鍔部の前記凸部の前記凸形状に対応する凹形状の凹部が設けられている、コイル部品。
【請求項2】
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記断面において、前記第1鍔部の前記凸部の最上部は、前記天板の前記天面に平行な方向における前記第1鍔部の中央に配置されている、請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記断面において、前記コアから前記天板に向かう方向を上側としたとき、(i)前記凹部の内面の最上部、(ii)前記凸部の最上部、および(iii)前記天板の前記天面に平行な方向における前記凹部の両端部のうちの少なくとも一方は、前記天板側からこの順に配置されている、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項4】
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記凸部および前記凹部の各々は、互いに重なる部分となる領域を有し、
前記断面において、前記天板の前記天面に平行な方向の前記重なる部分となる領域の両端部における前記凸部と前記凹部との間の距離は、前記天板の前記天面に平行な方向の前記重なる部分となる領域の中央における前記凸部と前記凹部との間の距離よりも大きい、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項5】
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面と、前記天面と反対側で且つ前記第2対向面を含む底面と、を有し、
前記天板の前記底面は、前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に平行な方向の両端部のうちの少なくとも一方に切り欠きを有する、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項6】
前記断面において、前記コアから前記天板に向かう方向を上側としたとき、前記切り欠きの内面の最上部と、前記凹部の内面の最上部と、前記凸部の最上部と、前記天板の前記天面に平行な方向における前記凹部の両端部のうち、前記切り欠きが設けられている側の端部とは、前記天板側からこの順に配置されている、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項7】
前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記切り欠きは、前記第1鍔部の前記凸部と重なっている、請求項5に記載のコイル部品。
【請求項8】
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面と、前記天面と反対側で且つ前記第2対向面を含む底面と、を有し、
前記天板の前記凹部は、前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記天板の前記底面のうちの前記巻芯部と重なる領域にまで延びている、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項9】
前記断面において、前記天板の前記凹部の曲率半径は、前記第1鍔部の前記凸部の曲率半径よりも大きい、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項10】
前記断面において、前記天板の前記凹部の曲率円の中心は、前記第1鍔部の外側に位置する、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項11】
前記断面において、前記第1鍔部の前記凸部の曲率円の中心は、前記第1鍔部の外側に位置する、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項12】
前記コアと前記天板とを接着する接着剤をさらに備え、
前記接着剤は、磁性粉を含有する、請求項1または2に記載のコイル部品。
【請求項13】
コア材料を第1プレス成形してコア成形体を形成し、前記コア成形体を焼成して、第1鍔部に凸部を有するコアを形成する工程と、
天板材料を第2プレス成形して天板成形体を形成し、前記天板成形体を焼成して、凹部を有する天板を形成する工程と、
前記コアの巻芯部にコイルを巻き回す工程と、
前記コイルが巻き回された前記コアと前記天板とを組み合わせる工程と、を備える、コイル部品の製造方法。
【請求項14】
前記第1プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、前記コア成形体を圧縮する、請求項13に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項15】
前記第2プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、前記天板成形体を圧縮する、請求項13または14に記載のコイル部品の製造方法。
【請求項16】
軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第2対向面には、前記軸方向からみて、前記第1鍔部側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第1対向面には、前記天板の前記凸部の前記凸形状に対応するような凹形状の凹部が設けられている、コイル部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイル部品およびコイル部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コイル部品としては、特開2018-152576号公報(特許文献1)に記載されたものがある。このコイル部品は、軸方向に延在する巻芯部と、巻芯部の軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、巻芯部に巻き回されたコイルと、第1鍔部と第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特開2018-152576号公報では、コイル部品の高さ方向における第1鍔部の上面および第2鍔部の上面の各々は、平坦面であるように記載されている。しかしながら、本発明者らが、圧粉成形によりコアおよび天板を実際に製造したところ、以下の課題を見出した。
【0005】
コアは、第1鍔部と第2鍔部と巻芯部とを含む複雑な構造であるため、第1鍔部の上面および第2鍔部の上面の各々において、極微小の凸部が発生しやすいことが分かった。一方、天板は板状であり、複雑な構造ではないため、天板の底面を平坦面にすることは容易であった。
【0006】
そのため、コアと天板とを組み合わせてコイル部品を製造した際に、第1鍔部の上面および第2鍔部の上面と、天板の底面と、の間の距離が所望の距離よりも大きくなる場合があった。その結果、当該部分の磁気抵抗が大きくなり、コイル特性が悪化し得ることが分かった。
【0007】
そこで、本開示の目的は、コイル特性を向上させることができるコイル部品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本開示の一態様であるコイル部品は、
軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第1対向面には、前記天板側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第2対向面には、前記第1鍔部の前記凸部の前記凸形状に対応する凹形状の凹部が設けられている。
【0009】
前記態様によれば、第1鍔部に設けられた凸部の凸形状と、天板に設けられた凹部の凹形状と、が対応しているため、第1鍔部の上面に凸部を有するコアと、平坦な底面を有する天板と、を組み合わせる場合よりも、天板側の対向面と第1鍔部側の対向面との間の距離を小さくすることができる。その結果、天板側の対向面と第1鍔部側の対向面との間の空間により生じる磁気抵抗を低減させて、コイル特性を向上させることができる。
【0010】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記断面において、前記第1鍔部の前記凸部の最上位置は、前記天板の前記天面に平行な方向における前記第1鍔部の中央に配置されている。
【0011】
前記実施形態によれば、第1鍔部が、天板に対して、軸方向に直交し且つ天板の天面に平行な方向にずれて配置された場合でも、天板の天面に直交する方向の凸部の最上位置において、より確実に天板側の対向面と第1鍔部側の対向面との間の距離を小さくできる。
【0012】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記断面において、前記コアから前記天板に向かう方向を上側としたとき、(i)前記凹部の内面の最上位置、(ii)前記凸部の最上部、および(iii)前記天板の前記天面に平行な方向における前記凹部の両端部のうちの少なくとも一方は、前記天板側からこの順に配置されている。
【0013】
前記実施形態によれば、軸方向に直交し且つ天板の天面に平行な方向に渡って、より確実に第2対向面と第1対向面との間の距離を小さくできる。
【0014】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記凸部および前記凹部の各々は、互いに重なる部分となる領域を有し、
前記断面において、前記天板の前記天面に平行な方向の前記重なる部分となる領域の両端部における前記凸部と前記凹部との間の距離は、前記天板の前記天面に平行な方向の前記重なる部分となる領域の中央における前記凸部と前記凹部との間の距離よりも大きい。
【0015】
前記実施形態によれば、軸方向に直交し且つ天板の天面に平行な方向における前記重なる部分となる領域の中央において、より確実に第2対向面と第1対向面との間の距離を小さくできる。
【0016】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面と、前記天面と反対側で且つ前記第2対向面を含む底面と、を有し、
前記天板の前記底面は、前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に平行な方向の両端部のうちの少なくとも一方に切り欠きを有する。
【0017】
前記実施形態によれば、天板が切り欠きを有するため、コアと天板とを接着剤を用いて接着する際に、切り欠きに接着剤を誘導し溜めることができる。このため、接着剤の量が過多になった場合でも、接着剤がコイル部品の外部にはみ出ることを抑制できる。
【0018】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記断面において、前記コアから前記天板に向かう方向を上側としたとき、前記切り欠きの内面の最上部と、前記凹部の内面の最上部と、前記凸部の最上部と、前記天板の前記天面に平行な方向における前記凹部の両端部のうち、前記切り欠きが設けられている側の端部とは、前記天板側からこの順に配置されている。
【0019】
前記実施形態によれば、切り欠きのサイズを大きくできるため、切り欠きに接着剤をより多く誘導し溜めることができるため、接着剤がコイル部品の外部にはみ出ることをより確実に抑制できる。
【0020】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記切り欠きは、前記第1鍔部の前記凸部と重なっている。
【0021】
前記実施形態によれば、切り欠きが第1鍔部の凸部と重なっていない場合と比較して、軸方向に直交し且つ天板の天面に平行な方向の凹部の端部から接着剤がコイル部品の外側に漏れることを抑制でき、より確実に切り欠きに接着剤を誘導することができる。
【0022】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面と、前記天面と反対側で且つ前記第2対向面を含む底面と、を有し、
前記天板の前記凹部は、前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記天板の前記底面のうちの前記巻芯部と重なる領域にまで延びている。
【0023】
前記実施形態によれば、第1鍔部が、天板に対して、上記巻芯部と重なる領域側にずれて配置された場合でも、第2対向面と第1対向面との間の距離を小さくすることができ、コイル特性を向上させることができる。
【0024】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記断面において、前記天板の前記凹部の曲率半径は、前記第1鍔部の前記凸部の曲率半径よりも大きい。
【0025】
前記実施形態によれば、天板の凹部の曲率半径が第1鍔部の凸部の曲率半径よりも小さい場合と比較して、天板の天面に直交する方向の凸部の最上部において、より確実に天板側の対向面と第1鍔部側の対向面との間の距離を小さくできる。
【0026】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記断面において、前記天板の前記凹部の曲率円の中心は、前記第1鍔部の外側に位置する。
【0027】
前記実施形態によれば、天板の凹部の曲率円の中心が第1鍔部の内側に位置する場合と比較して、天板の凹部の曲率半径を大きくすることができる。これにより、天板成形時の凹部の深さを制御し易くなり、凹部の深さばらつきを小さくできる。その結果、コイル特性のばらつきも小さくできる。
【0028】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記断面において、前記第1鍔部の前記凸部の曲率円の中心は、前記第1鍔部の外側に位置する。
【0029】
前記実施形態によれば、第1鍔部の凸部の曲率円の中心が第1鍔部の内側に位置する場合と比較して、第1鍔部の凸部の曲率半径を大きくすることができる。これにより、コア成形時の凸部の高さを制御し易くなり、凸部の高さばらつきを小さくできる。その結果、コイル特性のばらつきも小さくできる。
【0030】
好ましくは、コイル部品の一実施形態では、
前記コアと前記天板とを接着する接着剤をさらに備え、
前記接着剤は、磁性粉を含有する。
【0031】
前記実施形態によれば、接着剤が磁性粉を含有するため、接着剤が磁性粉を含有しない場合よりもコイル特性を向上させることができる。
【0032】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、
コア材料を第1プレス成形してコア成形体を形成し、前記コア成形体を焼成して、第1鍔部に凸部を有するコアを形成する工程と、
天板材料を第2プレス成形して天板成形体を形成し、前記天板成形体を焼成して、凹部を有する天板を形成する工程と、
前記コアの巻芯部にコイルを巻き回す工程と、
前記コイルが巻き回された前記コアと前記天板とを組み合わせる工程と、を備える。
【0033】
前記実施形態によれば、コイル特性を向上させることができるコイル部品を製造できる。
【0034】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、
前記第1プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、前記コア成形体を圧縮する。
【0035】
前記実施形態によれば、コアの第1鍔部に容易に凸部を形成できる。
【0036】
好ましくは、コイル部品の製造方法の一実施形態では、
前記第2プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、前記天板成形体を圧縮する。
【0037】
前記実施形態によれば、天板成形体を容易に製造できる。
【0038】
本開示の一態様であるコイル部品は、
軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第2対向面には、前記軸方向からみて、前記第1鍔部側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第1対向面には、前記天板の前記凸部の前記凸形状に対応するような凹形状の凹部が設けられている。
【0039】
前記態様によれば、天板に設けられた凸部の凸形状と、第1鍔部に設けられた凹部の凹形状と、が対応しているため、第1鍔部の上面に凸部を有するコアと、平坦な底面を有する天板と、を組み合わせる場合よりも、天板側の対向面と第1鍔部側の対向面との間の距離を小さくすることができる。その結果、天板側の対向面と第1鍔部側の対向面との間の空間により生じる磁気抵抗を低減させて、コイル特性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0040】
本開示の一態様であるコイル部品によれば、コイル特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】コイル部品の第1実施形態を示す下方からみた斜視図である。
【
図4】第1鍔部および第2鍔部の上面側からコアをみた図である。
【
図6】天板の凹部の曲率円と第1鍔部の凸部の曲率円とを説明するための断面図である。
【
図7A】コア成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図7B】コア成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図7C】コア成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図7D】コア成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図7E】コア成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図7F】コア成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図8A】天板成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図8B】天板成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図8C】天板成形体の形成方法を説明するための図である。
【
図9】コイル部品の第2実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本開示の一態様であるコイル部品およびコイル部品の製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0043】
[第1実施形態]
(全体構成)
図1は、コイル部品の第1実施形態を示す下方からみた斜視図である。
図1に示すように、コイル部品1は、コア10と、コア10に巻き回された第1ワイヤ21および第2ワイヤ22と、コア10に設けられ第1ワイヤ21および第2ワイヤ22が電気的に接続された第1端子電極31、第2端子電極32、第3端子電極33および第4端子電極34と、コア10に取り付けられた天板15とを備える。第1ワイヤ21および第2ワイヤ22が、特許請求の範囲に記載の「コイル」に相当する。
【0044】
コア10は、軸AX方向に延在する巻芯部13と、巻芯部13の軸AX方向の両端に設けられた第1鍔部11および第2鍔部12と、を有する。具体的に述べると、コア10は、軸AX方向に延びる形状であって第1ワイヤ21および第2ワイヤ22が巻き回された巻芯部13と、巻芯部13の軸AX方向の第1端に設けられ、軸AX方向と直交する方向に張り出す第1鍔部11と、巻芯部13の軸AX方向の第2端に設けられ、軸AX方向と直交する方向に張り出す第2鍔部12とを有する。
【0045】
巻芯部13の形状は特に限定されないが、この実施形態では、巻芯部13の軸AX方向に直交する横断面の形状は、矩形状にされている。当該横断面の形状は、六角形状などの他の多角形状や、円状、楕円状、これらを適宜組み合わせた形状であってもよい。コア10の材料は、例えば、フェライトの焼結体や、磁性粉含有樹脂の成型体などの磁性体が好ましく、アルミナや、樹脂などの非磁性体であってもよい。
【0046】
なお、以下では、コア10の底面を実装基板に実装される面とし、コア10の底面と反対側の面をコア10の天面とする。巻芯部13の軸AX方向をL方向とし、コア10の底面においてL方向と直交する方向をW方向とし、コア10の底面と天面の対向方向をT方向とする。T方向は、L方向およびW方向に直交する。T方向の正方向を上方とし、T方向の負方向を下方とする。つまり、コア10の底面は、鉛直方向下方に対応し、コア10の天面は、鉛直方向上方に対応する。L方向をコア10の長さ方向、W方向をコア10の幅方向、T方向をコア10の高さ方向ともいう。W方向が、特許請求の範囲に記載の「軸方向に直交し且つ天板の天面に平行な方向」に相当する。T方向が、特許請求の範囲に記載の「天板の天面に直交する方向」に相当する。
【0047】
第1鍔部11は、巻芯部13側を向く内端面111と、内端面111と反対側を向く外端面112と、内端面111と外端面112を連結しかつ実装時において実装基板側に向けられる下面113と、下面113と反対側を向く上面114と、内端面111と外端面112を連結しかつ下面113と上面114を連結する2つの側面115とを有する。
【0048】
第2鍔部12は、巻芯部13側を向く内端面121と、内端面121と反対側を向く外端面122と、内端面121と外端面122を連結しかつ実装時において実装基板側に向けられる下面123と、下面123と反対側を向く上面124と、内端面121と外端面122を連結しかつ下面123と上面124を連結する2つの側面125とを有する。
【0049】
天板15は、一対の第1鍔部11と第2鍔部12とに跨るように固定されている。天板15は、コア10側を向く底面151と、底面151と反対側を向く天面152と、を有する。天板15は、天面152がWL面と平行になるように配置されている。T方向からみたときの天板15の形状は特に限定されないが、この実施形態では、L方向に平行な長辺と、W方向に平行な短辺と、を有する長方形状にされている。天面152が、特許請求の範囲に記載の「第2対向面と反対側の天面」に相当する。底面151が、特許請求の範囲に記載の「天面と反対側で且つ第2対向面を含む底面」に相当する。
【0050】
天板15は、接着剤51により、第1鍔部11の上面114と第2鍔部12の上面124とに取り付けられている。接着剤51は、熱硬化性のあるエポキシ樹脂であることが好ましい。接着剤51は、熱衝撃耐性向上のため、シリカフィラーのような無機フィラーが添加されていることが好ましい。接着剤51の塗布方法としては、例えば以下の工法が挙げられる。接着剤51をコア10のみに塗布する場合、第1鍔部11の上面114と第2鍔部12の上面124とを接着剤51でディップする工法が挙げられる。接着剤51を天板15のみに塗布する場合、ディスペンサにより天板15に接着剤51を塗布する工法、または、印刷機により天板15に接着剤51を印刷する工法が挙げられる。接着剤51は、磁性粉を含有することが好ましい。これにより、接着剤51が磁性粉を含有しない場合よりもコイル特性を向上させることができる。
【0051】
天板15の材料は、例えば、コア10と同じである。コア10と天板15は、ともに磁性体であるので、閉磁路を構成し、インダクタンス値の取得効率が向上する。したがって、磁気効率が上がり、少ないワイヤ数で所望のインダクタンス値が得られる。
【0052】
天板15の底面151は、W方向の両端部のうちの少なくとも一方に切り欠き(樹脂だめ)15nを有することが好ましい。これにより、コア10と天板15とを接着剤51を用いて接着する際に、切り欠き15nに接着剤51を誘導し溜めることができ。このため、接着剤51の量が過多になった場合でも、接着剤51がコイル部品1の外部にはみ出ることを抑制できる。この実施形態では、切り欠き15nは、天板15の底面151の全周に渡って設けられている。言い換えると、切り欠き15nは、天板15の底面151と側面との間の稜線部の全体に設けられている。なお、切り欠き15nは、天板15の底面151における外周の一部に設けられていてもよいし、天板15に設けられていなくてもよい。
【0053】
第1鍔部11の形状は、上面114の形状以外は特に限定されない。この実施形態では、第1鍔部11は、下面113側に、2つの足部を有し、一方の足部に、第1端子電極31が設けられ、他方の足部に、第2端子電極32が設けられている。同様に、第2鍔部12の形状は、上面124の形状以外は特に限定されない。この実施形態では、第2鍔部12は、下面123側に、2つの足部を有し、第1端子電極31が設けられた足部と同じ側にある一方の足部に、第3端子電極33が設けられ、第2端子電極32が設けられた足部と同じ側にある他方の足部に、第4端子電極34が設けられている。
図1に示すように、下面113および下面123は、それぞれ足部の底面部分から足部間の股部の側面部分を通って股部の底面部分を含む部分を指す。
【0054】
第1から第4端子電極31~34の導電材料は特に限定されないが、Ag、Cuなどの良導性金属を含むことが好ましい。第1から第4端子電極31~34の形成方法としては、例えば、AgとSiと樹脂を含むAgペーストをディップ工法により第1鍔部11の下面113および第2鍔部12の下面123に塗布し焼成して下地電極を形成する。その後、Cu/Ni/Snなどの薄膜をめっきすることにより形成される。第1から第4端子電極31~34は、第1鍔部11の下面113および外端面112、ならびに、第2鍔部12の下面123および外端面122に金属板を接着剤で貼り付けて形成されてもよい。
【0055】
第1ワイヤ21および第2ワイヤ22は、例えば銅、銀、金などの良導性金属からなる導線がポリウレタンやポリアミドイミドなどの樹脂からなる被膜で覆われた絶縁被膜付導線であることが好ましい。第1ワイヤ21および第2ワイヤ22の各々のワイヤ径は、20μm以上50μm以下が好ましい。第1ワイヤ21は、一端が第1端子電極31と、他端が第3端子電極33と電気的に接続されている。第2ワイヤ22は、一端が第2端子電極32と、他端が第4端子電極34と電気的に接続されている。第1ワイヤ21および第2ワイヤ22と、第1から第4端子電極31~34とは、例えば熱圧着、ろう付け、溶接などによって接続される。
【0056】
第1ワイヤ21および第2ワイヤ22は、巻芯部13に対して、同じ方向に巻回されている。これにより、コイル部品1では、差動信号など第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とに逆相の信号が入力されれば、第1ワイヤ21および第2ワイヤ22により発生する磁束が打ち消し合い、インダクタとしての働きが弱まり、当該信号を通過させる。一方、外来ノイズなど第1ワイヤ21と第2ワイヤ22とに同相の信号が入力されれば、第1ワイヤ21および第2ワイヤ22により発生する磁束が強め合い、インダクタとしての働きが強まり、当該ノイズの通過を遮断する。したがって、コイル部品1は、差動信号などのディファレンシャルモードの信号の通過損失を低下しつつ、外来ノイズなどのコモンモードの信号を減衰させるコモンモードチョークコイルとして機能する。
【0057】
コイル部品1は、実装基板に実装される際、第1鍔部11の下面113および第2鍔部12の下面123が実装基板に対向する。このとき、巻芯部13の軸AX方向と、実装基板の主面は平行となる。すなわち、コイル部品1は、第1ワイヤ21および第2ワイヤ22の巻回軸が実装基板と平行となる横巻型である。
【0058】
(天板の底面および第1,第2鍔部の上面の詳細構成)
次に、天板15の底面151および第1,第2鍔部11,12の上面114,124の詳細構成について説明する。
図2は、コイル部品1をL方向からみた図である。
図3は、天板15を底面151側からみた図である。
図4は、第1鍔部11および第2鍔部12の上面114,124側からコア10をみた図である。
【0059】
図2と
図3と
図4に示すように、第1鍔部11および天板15の各々には、互いに対向する対向面を有する。具体的に述べると、第1鍔部11の上面114は、天板15と対向する第1対向面11fを有する。第1対向面11fは、第1鍔部11の上面114のうち、T方向からみたときに、天板15と重なる部分である。この実施形態では、第1対向面11fは、第1鍔部11の上面114の全面である。
【0060】
天板15の底面151は、第1鍔部11と対向する第2対向面15f1を有する。第2対向面15f1は、天板15の底面151のうち、T方向からみたときに、第1鍔部11と重なる部分である。この実施形態では、第2対向面15f1は、天板15の底面151のうち、第1鍔部11側の端部である。
【0061】
第1鍔部11側の第1対向面11fには、軸AX方向に直交し且つ第1鍔部11と交差する断面において、天板15側に凸となる凸形状の凸部Pが設けられている。凸部Pの凸形状は、軸AX方向からみて、天板15側に凸な凸曲面である。この実施形態では、凸部Pは、第1鍔部11の上面114の全体に設けられている。すなわち、第1鍔部11の上面114の全体が、軸AX方向からみて、天板15側に凸な凸曲面とされている。しかしこれに限定されず、凸部Pは、第1鍔部11の上面114の一部に設けられていてもよい。例えば、第1鍔部11の上面114のうち、W方向の両端部は平坦面にされていて、両端部以外の部分が凸曲面にされていてもよい。
【0062】
凸部Pは、軸AX方向からみて、最上部P1を有する。最上部P1は、凸部Pのうちの最も上方に位置する部分である。この実施形態では、最上部P1は、T方向からみて、L方向に延在している。すなわち、凸部Pは、軸AX方向に直交する任意の断面において、同一の形状にされている。しかしこれに限定されず、凸部Pは、軸AX方向に直交する断面によっては、異なる形状にされていてもよい。なお、
図4では、便宜上、凸部Pの存在する位置に斜線を施している。
【0063】
天板15側の第2対向面15f1には、第1鍔部11の凸部Pの凸形状に対応する凹形状の凹部Cが設けられている。凸部Pの凸形状に対応する凹形状とは、凹部Cと凸部PとをT方向に近づけたときに、凹部Cの内面の全体が凸部Pの表面に接触するような凹形状、または、凹部Cの内面形状が凸部Pの表面形状に沿った形状であり、凹部Cと凸部PとをT方向に近づけたときに、凹部Cの内面の一部が凸部Pの表面の一部に接触し且つ凹部Cの内面の他の部分は凸部Pの表面と僅かな距離を有して離隔するような凹形状を指す。僅かな距離とは、例えば0μm超10μm以下であり、より具体的には1μm以上5μm以下である。
【0064】
この実施形態では、凹部Cの凹形状は、軸AX方向からみて、天板15の内側に凹む凹曲面である。第2対向面15f1には、W方向の両端部と、L方向の第1鍔部11側の端部と、にそれぞれ切り欠き15nが設けられ、切り欠き15n以外の部分の全体に凹部Cが設けられている。すなわち、第2対向面15f1のうち、切り欠き15n以外の部分の全体が、軸AX方向からみて、天板15の内側に凹む凹曲面にされている。しかしこれに限定されず、凹部Cは、第2対向面15f1のうち、切り欠き15n以外の部分の一部に設けられていてもよい。なお、切り欠き15nが天板15に設けられていない場合、第2対向面15f1の全体に凹部Cが設けられていてもよい。
【0065】
凹部Cの内面は、軸AX方向からみて、最上部C1を有する。最上部C1は、凹部Cの内面のうちの最も上方に位置する部分である。この実施形態では、最上部C1は、T方向からみて、L方向に延在している。すなわち、凹部Cは、軸AX方向に直交する任意の断面において、同一の形状にされている。しかしこれに限定されず、凹部Cは、軸AX方向に直交する断面によっては、異なる形状にされていてもよい。なお、
図3では、便宜上、凹部Cの存在する位置に斜線を施している。
【0066】
凸部Pの凸形状および凹部Cの凹形状は、例えば、レーザーテック社製ハイブリッドレーザーマイクロスコープ(OPTELICS HYBRID+)を用いて、非接触の光学式測定で確認することができる。光学式測定では、例えば、位相シフト干渉測定を行えばよい。
【0067】
なお、この実施形態では、天板15の天面152は、平坦面であるが、平坦面でなくてもよい。例えば、天面152は、天板15の内側に凹む凹曲面であってもよい。この場合、特許請求の範囲に記載の「天板の天面に平行な方向」および「天板の天面に直交する方向」における「天面」は、天板15の天面152の周縁を接続する仮想平面とすればよい。また、例えば、天板15の天面152の周縁に切り欠きが設けられている場合やR面取りされている場合、特許請求の範囲に記載の「天板の天面に平行な方向」および「天板の天面に直交する方向」における「天面」は、天面152から、切り欠きが設けられている部分やR面取りされている部分を除いた部分とすればよい。
【0068】
以上説明した構成は、第2鍔部12においても同様である。すなわち、第2鍔部12および天板15の各々には、互いに対向する対向面を有する。第2鍔部12側の第1対向面12fには、軸AX方向からみて、天板15側に凸となる凸形状の凸部Pが設けられている。天板15側の第2対向面15f2には、第2鍔部12の凸部Pの凸形状に対応するような凹形状の凹部Cが設けられている。
【0069】
コイル部品1によれば、第1鍔部11および第2鍔部12に設けられた凸部Pの凸形状と、天板15に設けられた凹部Cの凹形状と、が対応しているため、第1鍔部11の上面および第2鍔部の上面に凸部を有するコアと、平坦な底面を有する天板と、を組み合わせる場合よりも、天板15側の第2対向面15f1,15f2と第1鍔部11側および第2鍔部12側の第1対向面11f,12fとの間の距離を小さくすることができる。その結果、天板15側の第2対向面15f1,15f2と第1鍔部11側および第2鍔部12側の第1対向面11f,12fとの間の空間により生じる磁気抵抗を低減させて、実効透磁率を増大させることにより、コイル特性を向上させることができる。コイル特性は、例えばインダクタンスおよびコモンモードノイズ減衰特性Scc21である。
【0070】
(その他の好ましい構成)
図5は、
図1のV-V断面図である。
図5は、WT平面でコイル部品1を切断したときの断面図である。
図5の断面が、特許請求の範囲に記載の「軸方向に直交し且つ第1鍔部と交差する断面」に相当する。
図5では、便宜上、接着剤51の記載を省略している。
【0071】
図5に示すように、好ましくは、第1鍔部11の凸部Pの最上部P1は、W方向における第1鍔部11の中央に配置されている。この構成によれば、第1鍔部11が、天板15に対して、W方向にずれて配置された場合でも、凸部Pの最上部P1において、より確実に天板15側の第2対向面15f1と第1鍔部11側の第1対向面11fとの間の距離を小さくできる。同様に、軸AX方向からみて、第2鍔部12の凸部Pの最上部P1は、W方向における第2鍔部12の中央に配置されていてもよい。
【0072】
好ましくは、(i)凹部Cの内面の最上部C1、(ii)凸部Pの最上部P1、および(iii)W方向における凹部Cの両端部のうちの少なくとも一方は、天板15側からこの順に配置されている。具体的に述べると、T方向において、凹部Cの内面の最上部C1と、凸部Pの最上部P1と、W方向における凹部Cの第1端部CE1とは、天板15側からこの順に配置されている。また、T方向において、凹部Cの内面の最上部C1と、凸部Pの最上部P1と、W方向における凹部Cの第2端部CE2とは、天板15側からこの順に配置されている。この構成によれば、W方向に渡って、より確実に天板15側の第2対向面15f1と第1鍔部11側の第1対向面11fとの間の距離を小さくできる。
【0073】
好ましくは、T方向からみて、凸部Pおよび凹部Cの各々は、互いに重なる部分となる領域を有し、上記重なる部分となる領域のW方向の両端部における凸部Pと凹部Cとの間の距離は、W方向の上記重なる部分となる領域の中央における凸部Pと凹部Cとの間の距離よりも大きい。
【0074】
具体的に述べると、凹部Cは、T方向からみて凸部Pと重なる部分となる領域R1を有する。凸部Pは、T方向からみて凹部Cと重なる部分となる領域R2を有する。領域R1,R2のW方向の一方側の端部における凸部Pと凹部Cとの間の距離D2は、領域R1,R2のW方向の中央における凸部Pと凹部Cとの間の距離D1よりも大きい。また、領域R1,R2のW方向の他方側の端部における凸部Pと凹部Cとの間の距離D3は、領域R1,R2のW方向の中央における凸部Pと凹部Cとの間の距離D1よりも大きい。距離D1は、例えば0μm以上2μm以下である。距離D1が0μmとは、天板15と第1鍔部11とが、領域R1,R2のW方向の中央において接触していることを意味している。距離D2および距離D3は、例えば0μm超10μm以下であり、より具体的には1μm以上5μm以下である。この構成によれば、W方向における領域R1,R2の中央において、より確実に天板15側の第2対向面15f1と第1鍔部11側の第1対向面11fとの間の距離を小さくできる。特に、距離D2および距離D3を10μm以下にした場合、さらにコイル部品1のコイル特性を向上させることができる。
【0075】
好ましくは、切り欠き15nの内面の最上部と、凹部Cの内面の最上部C1と、凸部Pの最上部P1と、W方向における凹部Cの両端部のうち、切り欠き15nが設けられている側の端部CE1,CE2とは、天板15側からこの順に配置されている。切り欠き15nの内面の最上部とは、切り欠き15nの内面のうちの最も上方に位置する部分である。
【0076】
具体的に述べると、切り欠き15nの内面は、WL面に沿って広がる内天面15n1と、LT面に沿って広がる内側面15n2と、を有する。この実施形態では、内天面15n1が、切り欠き15nの内面の最上部となる。そして、T方向において、内天面15n1と、凹部Cの内面の最上部C1と、凸部Pの最上部P1と、W方向における凹部Cの両端部のうち、切り欠き15nが設けられている側の端部CE1,CE2とは、天板15側からこの順に配置されている。なお、切り欠き15nの内面の形状は、特に限定されない。この構成によれば、切り欠き15nのサイズを大きくできるため、切り欠き15nに接着剤をより多く誘導し溜めることができるため、接着剤がコイル部品1の外部にはみ出ることをより確実に抑制できる。
【0077】
好ましくは、T方向からみて、切り欠き15nは、第1鍔部11の凸部Pと重なっている。この構成によれば、切り欠き15nが第1鍔部11の凸部Pと重なっていない場合と比較して、W方向の凹部Cの端部CE1,CE2から接着剤51がコイル部品1の外側に漏れることを抑制でき、より確実に切り欠き15nに接着剤51を誘導することができる。
【0078】
好ましくは、
図3に示すように、天板15の凹部Cは、T方向からみて、天板15の底面151のうちの巻芯部13と重なる領域R3にまで延びている。具体的に述べると、天板15の凹部Cは、T方向からみて、第2対向面15f1に設けられている凹部Cの部分から、L方向に延在し、第2対向面15f2に設けられている凹部Cの部分に接続している。
【0079】
上記構成によれば、第1鍔部11が、天板15に対して、巻芯部13と重なる領域R3側にずれて配置された場合でも、天板15側の第2対向面15f1と第1鍔部11側の第1対向面11fとの間の距離を小さくすることができ、コイル特性を向上させることができる。同様に、第2鍔部12が、天板15に対して、巻芯部13と重なる領域R3側にずれて配置された場合でも、天板15側の第2対向面15f2と第2鍔部12側の第1対向面12fとの間の距離を小さくすることができ、コイル特性を向上させることができる。
【0080】
図6は、天板15の凹部Cの曲率円と第1鍔部11の凸部Pの曲率円とを説明するための断面図である。
図6は、
図5と同一の断面である。
図6では、便宜上、接着剤51および端子電極31,32の記載を省略している。
図6に示すように、好ましくは、天板15の凹部Cの曲率半径r1は、第1鍔部11の凸部Pの曲率半径r2よりも大きい。曲率半径r1は、例えば70mmである。曲率半径r2は、例えば60mmである。
【0081】
上記構成によれば、天板15の凹部Cの曲率半径r1が第1鍔部11の凸部Pの曲率半径r2よりも小さい場合と比較して、T方向の凸部Pの最上部P1において、より確実に天板15側の第2対向面15f1と第1鍔部11側の第1対向面11fとの間の距離を小さくできる。同様に、第2鍔部12側において、軸AX方向からみて、天板15の凹部Cの曲率半径が、第2鍔部12の凸部Pの曲率半径より大きくてもよい。
【0082】
好ましくは、天板15の凹部Cの曲率円CCの中心CC1は、第1鍔部11の外側に位置する。この構成によれば、天板15の凹部Cの曲率円CCの中心CC1が第1鍔部11の内側に位置する場合と比較して、天板15の凹部Cの曲率半径r1を大きくすることができる。これにより、天板15成形時の凹部Cの深さを制御し易くなり、凹部Cの深さばらつきを小さくできる。その結果、コイル特性のばらつきも小さくできる。同様に、第2鍔部12側において、軸AX方向からみて、天板15の凹部Cの曲率円の中心が、第2鍔部12の外側に位置してもよい。
【0083】
好ましくは、第1鍔部11の凸部Pの曲率円PCの中心PC1は、第1鍔部11の外側に位置する。この構成によれば、第1鍔部11の凸部Pの曲率円PCの中心PC1が第1鍔部11の内側に位置する場合と比較して、第1鍔部11の凸部Pの曲率半径r2を大きくすることができる。これにより、コア10成形時の凸部Pの高さを制御し易くなり、凸部Pの高さばらつきを小さくできる。その結果、コイル特性のばらつきも小さくできる。同様に、第2鍔部12側において、軸AX方向からみて、第2鍔部12の凸部Pの曲率円の中心が、第2鍔部12の外側に位置してもよい。
【0084】
(製造方法)
次に、コイル部品1の製造方法について説明する。コイル部品1の製造方法は、
コア材料を第1プレス成形してコア成形体を形成し、コア成形体を焼成して、第1鍔部11に凸部Pを有するコア10を形成する工程と、
天板材料を第2プレス成形して天板成形体を形成し、天板成形体を焼成して、凹部Cを有する天板15を形成する工程と、
コア10の巻芯部13に第1ワイヤ21および第2ワイヤ22を巻き回す工程と、
第1ワイヤ21および第2ワイヤ22が巻き回されたコア10と天板15とを組み合わせる工程と、を備える。
【0085】
好ましくは、第1プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、コア成形体を圧縮する。この構成によれば、コア10の第1鍔部11に容易に凸部を形成できる。また、複数の上パンチと複数の下パンチとによりコア成形体を圧縮する場合よりも、製造コストを低減させることができる。
【0086】
好ましくは、第2プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、天板成形体を圧縮する。この構成によれば、天板成形体を容易に製造できる。また、複数の上パンチと複数の下パンチとにより、天板成形体を圧縮する場合よりも、製造コストを低減させることができる。
【0087】
図7Aから
図7Fおよび
図8Aから
図8Cを参照して、コイル部品1の製造方法の一例について具体的に説明する。
図7Aから
図7Fは、コア成形体の形成方法を説明するための図である。
図8Aから
図8Cは、天板成形体の形成方法を説明するための図である。
図7Aから
図7Fが、特許請求の範囲に記載の「第1プレス成形」に相当する。
図8Aから
図8Cが、特許請求の範囲に記載の「第2プレス成形」に相当する。なお、以下で説明する方法は一例であり、コイル部品1の製造方法は、以下で説明する方法に限定されない。
【0088】
<コアの形成>
図7Aに示すように、コア材料1010が充填されたフィーダー(原料供給部)61を、ダイ62上に移動させる。ダイ62の下側の開口部には、下パンチ71lが配置されている。下パンチ71lの上面は、形成するコア10の形状に対応した形状にされている。コア材料1010は、例えばフェライト粉末である。
【0089】
図7Bに示すように、ダイ62内にコア材料1010を充填する。
図7Cに示すように、コア材料1010の充填が完了したフィーダー61を取り除いた後に、上パンチ71uをダイ62上に配置する。上パンチ71uの下面は、形成するコア10の形状に対応した形状にされている。また、上パンチ71uの下面は、第1鍔部11および第2鍔部12の凸部Pの凸形状を形成するための凹形状を有している。
【0090】
図7Dに示すように、上パンチ71uをダイ62内に挿入し、コア材料1010を圧縮する。これにより、コア10となるコア成形体10mが形成される。このように、1つの上パンチ71uと1つの下パンチ71lとにより、コア成形体10mを圧縮する。すなわち、1つの上パンチ71uと1つの下パンチ71lとにより、巻芯部13となる部分と、第1鍔部11となる部分および第2鍔部12となる部分と、を同時に形成する。しかしこれに限定されず、複数の上パンチにより、コア成形体10mを圧縮してもよい。具体的に述べると、第1上パンチにより、巻芯部13となる部分を形成し、第1上パンチと異なる第2上パンチにより、第1鍔部11となる部分および第2鍔部12となる部分を形成してもよい。
【0091】
図7Eに示すように、上パンチ71uを上側に移動させる。
図7Fに示すように、上パンチ71uを取り除いた後に、下パンチ71lを上側に移動させて、コア成形体10mを取り出す。コア成形体10mには、第1鍔部11となる第1部分11aと、第2鍔部12となる第2部分12aと、巻芯部13となる第3部分13aが形成されている。第1部分11aの上面および第2部分12aの上面には、凸部Pとなる凸部P0が形成されている。その後、コア成形体10mを焼成して、第1鍔部11および第2鍔部12に凸部Pを有するコア10を形成する。その後、バレル研磨してバリ取りを行う。その後、コア10の底面側をAgペーストにディップし焼成した後に、Cu/Ni/Snの薄膜をメッキして、第1から第4端子電極31~34を形成する。
【0092】
なお、凸部Pの形成方法は、上記に限定されない。例えば、コア成形体10mにおいて、粉体の密度を不均一にして、焼成後に凸部Pを形成してもよい。具体的に述べると、例えば、コア成形体10mにおいて、第1鍔部11となる第1部分11aの粉体の密度、および、第2鍔部12となる第2部分12aの粉体の密度を、巻芯部13となる第3部分13aの粉体の密度よりも小さくする。粉体の密度が小さい部分は、粉体の密度が大きい部分よりも、焼成後の収縮率が大きくなる。そのため、第1部分11aおよび第2部分12aにおいて焼成後の収縮率が大きくなり、第1鍔部11および第2鍔部12に凸部Pが形成される。
【0093】
<天板の形成>
図8Aに示すように、ダイ63内に天板材料1015を充填する。ダイ63の下側の開口部には、下パンチ72lが配置されている。下パンチ72lの上面は、形成する天板15の形状に対応した形状にされている。天板材料1015は、例えばフェライト粉末である。
【0094】
図8Bに示すように、上パンチ72uをダイ63内に挿入し、天板材料1015を圧縮する。これにより、天板15となる天板成形体15mが形成される。このように、1つの上パンチ72uと1つの下パンチ72lとにより、天板成形体15mを圧縮する。上パンチ72uの下面は、形成する天板15の形状に対応した形状にされている。また、上パンチ72uの下面は、天板15の凹部Cの凹形状を形成するための凸形状を有している。
【0095】
図8Cに示すように、上パンチ72uを取り除いた後に、下パンチ72lを上側に移動させて、天板成形体15mを取り出す。天板成形体15mの上面には、天板15の凹部Cとなる凹部C0が形成されている。その後、天板成形体15mを焼成して、凹部Cを有する天板15を形成する。
【0096】
<コイルの巻回およびコイル部品の組立>
その後、ノズルにより、コア10の巻芯部13に第1ワイヤ21および第2ワイヤ22を巻線する。その後、ヒーターチップにより、第1から第4端子電極31~34に第1ワイヤ21および第2ワイヤ22を圧着する。その後、接着剤51によりコア10に天板15を組み付けて、コイル部品1を製造する。
【0097】
[第2実施形態]
図9は、コイル部品の第2実施形態を示す断面図である。
図9は、第1実施形態の
図5に対応する。第2実施形態は、第1実施形態とは、天板側に凸部が設けられ、第1鍔部側および第2鍔部側に凹部が設けられている点が相違する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0098】
図9に示すように、天板15A側の第2対向面15f1には、軸AX方向からみて、第1鍔部11A側に凸となる凸形状の凸部Pが設けられている。第1鍔部11A側の第1対向面11fには、天板15Aの凸部Pの凸形状に対応する凹形状の凹部Cが設けられている。同様に、第2鍔部側において、天板15A側の第2対向面には、軸AX方向からみて、第2鍔部側に凸となる凸形状の凸部Pが設けられ、第2鍔部側の第1対向面には、天板15Aの凸部Pの凸形状に対応する凹形状の凹部Cが設けられている。
【0099】
上記構成によれば、天板15Aに設けられた凸部Pの凸形状と、第1鍔部11Aおよび第2鍔部に設けられた凹部Cの凹形状と、が対応しているため、第1鍔部11Aの上面および第2鍔部の上面に凸部を有するコアと、平坦な底面を有する天板と、を組み合わせる場合よりも、天板15A側の第2対向面と第1鍔部11A側および第2鍔部側の第1対向面との間の距離を小さくすることができる。その結果、天板15A側の第2対向面と第1鍔部11A側および第2鍔部側の第1対向面との間の空間により生じる磁気抵抗を低減させて、コイル特性を向上させることができる。
【0100】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。
【0101】
前記実施形態では、コイル部品は、2本のワイヤを有しているが、1本または3本以上のワイヤを有していてもよい。また、前記実施形態では、コイル部品を、コモンモードチョークコイルとして用いているが、例えば、トランス、結合インダクタなどのワイヤが巻芯部に巻回される巻線型コイルとして用いてもよい。
【0102】
前記第1実施形態では、第1鍔部および第2鍔部の各々に凸部が設けられていたが、凸部は、第1鍔部および第2鍔部の何れか一方のみに設けられていてもよい。この場合、凹部は、天板の底面のうち、凸部が設けられている側の鍔部の上面と対向する対向面に少なくとも設けられていればよい。同様に、前記第2実施形態では、第1鍔部および第2鍔部の各々に凹部が設けられていたが、凹部は、第1鍔部および第2鍔部の何れか一方のみに設けられていてもよい。この場合、凸部は、天板の底面のうち、凹部が設けられている側の鍔部の上面と対向する対向面に少なくとも設けられていればよい。
【0103】
前記第1実施形態では、軸方向に直交し且つ第1鍔部と交差する断面において、凹部の内面の最上部と、凸部の最上部と、天板の前記天面に平行な方向における凹部の両端部とが、天板側からこの順に配置されていたが、(i)凹部の内面の最上部、(ii)凸部の最上部、および(iii)天板の前記天面に平行な方向における凹部の両端部のうちの何れか一方の端部が、天板側からこの順に配置されていてもよい。
【0104】
前記第1実施形態では、天板の底面は、軸方向に直交し且つ天板の前記天面に平行な方向の両端部に切り欠きを有していたが、天板の底面は、軸方向に直交し且つ天板の前記天面に平行な方向の両端部のうちの何れか一方のみに切り欠きを有していてもよい。
【0105】
<1>
軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第1対向面には、前記天板側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第2対向面には、前記第1鍔部の前記凸部の前記凸形状に対応する凹形状の凹部が設けられている、コイル部品。
<2>
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記断面において、前記第1鍔部の前記凸部の最上部は、前記天板の前記天面に平行な方向における前記第1鍔部の中央に配置されている、<1>に記載のコイル部品。
<3>
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記断面において、前記コアから前記天板に向かう方向を上側としたとき、(i)前記凹部の内面の最上部、(ii)前記凸部の最上部、(iii)前記天板の前記天面に平行な方向における前記凹部の両端部のうちの少なくとも一方は、前記天板側からこの順に配置されている、<1>または<2>に記載のコイル部品。
<4>
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記凸部および前記凹部の各々は、互いに重なる部分となる領域を有し、
前記断面において、前記天板の前記天面に平行な方向の前記重なる部分となる領域の両端部における前記凸部と前記凹部との間の距離は、前記天板の前記天面に平行な方向の前記重なる部分となる領域の中央における前記凸部と前記凹部との間の距離よりも大きい、<1>から<3>の何れか一つに記載のコイル部品。
<5>
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面と、前記天面と反対側で且つ前記第2対向面を含む底面と、を有し、
前記天板の前記底面は、前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に平行な方向の両端部のうちの少なくとも一方に切り欠きを有する、<1>から<4>の何れか一つに記載のコイル部品。
<6>
前記断面において、前記コアから前記天板に向かう方向を上側としたとき、前記切り欠きの内面の最上部と、前記凹部の内面の最上部と、前記凸部の最上部と、前記天板の前記天面に平行な方向における前記凹部の両端部のうち、前記切り欠きが設けられている側の端部とは、前記天板側からこの順に配置されている、<5>に記載のコイル部品。
<7>
前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記切り欠きは、前記第1鍔部の前記凸部と重なっている、<5>または<6>に記載のコイル部品。
<8>
前記天板は、前記第2対向面と反対側の天面と、前記天面と反対側で且つ前記第2対向面を含む底面と、を有し、
前記天板の前記凹部は、前記軸方向に直交し且つ前記天板の前記天面に直交する方向からみて、前記天板の前記底面のうちの前記巻芯部と重なる領域にまで延びている、<1>から<7>の何れか一つに記載のコイル部品。
<9>
前記断面において、前記天板の前記凹部の曲率半径は、前記第1鍔部の前記凸部の曲率半径よりも大きい、<1>から<8>の何れか一つに記載のコイル部品。
<10>
前記断面において、前記天板の前記凹部の曲率円の中心は、前記第1鍔部の外側に位置する、<1>から<9>の何れか一つに記載のコイル部品。
<11>
前記断面において、前記第1鍔部の前記凸部の曲率円の中心は、前記第1鍔部の外側に位置する、<1>から<10>の何れか一つに記載のコイル部品。
<12>
前記コアと前記天板とを接着する接着剤をさらに備え、
前記接着剤は、磁性粉を含有する、<1>から<11>の何れか一つに記載のコイル部品。
<13>
コア材料を第1プレス成形してコア成形体を形成し、前記コア成形体を焼成して、第1鍔部に凸部を有するコアを形成する工程と、
天板材料を第2プレス成形して天板成形体を形成し、前記天板成形体を焼成して、凹部を有する天板を形成する工程と、
前記コアの巻芯部にコイルを巻き回す工程と、
前記コイルが巻き回された前記コアと前記天板とを組み合わせる工程と、を備える、コイル部品の製造方法。
<14>
前記第1プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、前記コア成形体を圧縮する、<13>に記載のコイル部品の製造方法。
<15>
前記第2プレス成形は、1つの上パンチと1つの下パンチとにより、前記天板成形体を圧縮する、<13>または<14>に記載のコイル部品の製造方法。
<16>
軸方向に延在する巻芯部と、前記巻芯部の前記軸方向の両端に設けられた第1鍔部および第2鍔部と、を有するコアと、
前記巻芯部に巻き回されたコイルと、
前記第1鍔部と前記第2鍔部とに跨るように設けられた天板と、を備え、
前記第1鍔部は、前記天板と対向する第1対向面を有し、
前記天板は、前記第1鍔部と対向する第2対向面を有し、
前記軸方向に直交し且つ前記第1鍔部と交差する断面において、
前記第2対向面には、前記軸方向からみて、前記第1鍔部側に凸となる凸形状の凸部が設けられ、
前記第1対向面には、前記天板の前記凸部の前記凸形状に対応するような凹形状の凹部が設けられている、コイル部品。
【符号の説明】
【0106】
1、1A コイル部品
10 コア
10m コア成形体
11、11A 第1鍔部
11f 第1鍔部側の第1対向面
12 第2鍔部
12f 第2鍔部側の第1対向面
13 巻芯部
15、15A 天板
15m 天板成形体
15f1、15f2 第2対向面
15n 切り欠き
151 天板の底面
152 天板の天面
21 第1ワイヤ
22 第2ワイヤ
31 第1端子電極
32 第2端子電極
33 第3端子電極
34 第4端子電極
51 接着剤
71l、72l 下パンチ
71u、72u 上パンチ
1010 コア材料
1015 天板材料
r1、r2 曲率半径
C 凹部
C1 凹部の最上部
CE1、CE2 第1端部、第2端部
D1~D3 距離
P 凸部
P1 凸部の最上部
CC、PC 曲率円
CC1、PC1 曲率円の中心
R1、R2 重なる部分となる領域
R3 巻芯部と重なる領域
AX 巻芯部の軸