(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078820
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 47/20 20060101AFI20240604BHJP
B65D 47/12 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B65D47/20 220
B65D47/20 110
B65D47/12 300
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191386
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB13
3E084DC03
3E084FC04
3E084GA06
3E084GB11
3E084KB01
3E084LA12
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LE02
3E084LE06
(57)【要約】
【課題】 二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができる注出キャップを提供すること。
【解決手段】 外容器A1と内容器A2からなり、内容器A2を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器A1と内容器A2との間に外気が導入されて、外容器A1のみを元の形状に保持する二重容器Aに装着される注出キャップであって、注出キャップは、内容器A2からの内容液を一時貯留するポンプ室αと、ポンプ室αから内容液を吐出する注出部12とを備え、ポンプ室αは、ポンプ室α内を加圧および減圧する押ボタン部14と、減圧時に開口し、内容器A2からポンプ室α内に内容液を吸い上げる第1弁部Dと、加圧時に開口し、ポンプ室αから内容液を注出部12に吐出する第2弁部F1とを有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外容器と内容器からなり、内容器を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器と内容器との間に外気が導入されて、外容器のみを元の形状に保持する二重容器に装着される注出キャップであって、
注出キャップは、内容器からの内容液を一時貯留するポンプ室と、ポンプ室から内容液を吐出する注出部とを備え、
ポンプ室は、ポンプ室内を加圧および減圧する押ボタン部と、減圧時に開口し、内容器からポンプ室内に内容液を吸い上げる第1弁部と、加圧時に開口し、ポンプ室から内容液を注出部に吐出する第2弁部とを有することを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
ポンプ室は、二重容器の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の内周に装着され、口筒部の上端部を閉塞する栓体と、栓体に開口された栓開口を開閉する第1弁部とを有し、
キャップ本体は、上部に形成された押圧変形可能な押ボタン部と、内容液を吐出する注出部と、注出部の内方に形成された弁開口を開閉する第2弁部とを有することを特徴とする請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
栓体は、第2弁部と対向し、弁開口を閉鎖する突出弁座部を有することを特徴とする請求項2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
キャップ本体は、押ボタン部の裏面と、第2弁部とが弾性樹脂により一体成形されることを特徴とする請求項2に記載の注出キャップ。
【請求項5】
キャップ本体は、押ボタン部の裏面と、第2弁部とが弾性樹脂により一体成形されることを特徴とする請求項3に記載の注出キャップ。
【請求項6】
注出部は、内周に沿って複数の邪魔板片を有することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注出キャップに関し、特に、外容器内に、減容変形可能な内容器を形成した二重容器に装着する注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容し、内容液の品質維持が可能な容器として、これらの内容液を収容するとともに、減容変形可能に設けられる内容器と、この内容器を内側に収める外容器とを備える二重容器であるデラミ容器(積層剥離容器)が知られており、このような二重容器として、外容器の胴部をスクイズ(押圧)することで注出キャップの注出口から内容液を吐出させるスクイズタイプの二重容器が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の二重容器では、外容器の胴部をスクイズして注出キャップの注出口から内容液を吐出させた後、注出キャップに設けられた外気導入孔から空気が導入され、外気導入孔から導入された空気は、内容器と外容器との間に形成された空間に流入し、外容器を元の形状に復元させる。
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の二重容器では、内容液の残量が少なくなると、外容器の胴部をスクイズしても、内容器を押し切ることができず、内容液を最後まで使い切るのが困難であるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、注出キャップとして、外容器と内容器からなり、内容器を減容変形させて内容液を吐出すると、外容器と内容器との間に外気が導入されて、外容器のみを元の形状に保持する二重容器に装着される注出キャップであって、注出キャップは、内容器からの内容液を一時貯留するポンプ室と、ポンプ室から内容液を吐出する注出部とを備え、ポンプ室は、ポンプ室内を加圧および減圧する押ボタン部と、減圧時に開口し、内容器からポンプ室内に内容液を吸い上げる第1弁部と、加圧時に開口し、ポンプ室から内容液を注出部に吐出する第2弁部とを有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
注出キャップの実施形態として、ポンプ室は、二重容器の口筒部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体の内周に装着され、口筒部の上端部を閉塞する栓体と、栓体に開口された栓開口を開閉する第1弁部とを有し、キャップ本体は、上部に形成された押圧変形可能な押ボタン部と、内容液を吐出する注出部と、注出部の内方に形成された弁開口を開閉する第2弁部とを有することを特徴とする構成、また、栓体は、第2弁部と対向し、弁開口を閉鎖する突出弁座部を有することを特徴とする構成、また、キャップ本体は、押ボタン部の裏面と、第2弁部とが弾性樹脂により一体成形されることを特徴とする構成、また、注出部は、内周に沿って複数の邪魔板片を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出キャップは、上記構成を採用することにより、二重容器を傾けて押ボタン部を押圧したり、押圧を解除したりすることによって、内容液の残量が少なくなっても、二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1実施例である注出キャップを装着した二重容器の閉蓋時の側面断面図である。
【
図2】本発明の第1実施例である注出キャップを構成するヒンジキャップの開蓋時の上面図である。
【
図3】本発明の第1実施例である注出キャップを構成するヒンジキャップの閉蓋時の側面断面図である。
【
図4】本発明の第1実施例である注出キャップを構成する栓体および第1弁部を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面断面図である。
【
図5】本発明の第1実施例である注出キャップを装着した二重容器の押ボタン部押圧時の側面断面図である。
【
図6】本発明の第1実施例である注出キャップを装着した二重容器の押ボタン部押圧解除後の側面断面図である。
【
図7】本発明の第2実施例である注出キャップを装着した二重容器の閉蓋時の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の注出キャップの実施形態について、実施例をあげ、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図1でみて、上方向を「上」、下方向を「下」、左方向を「注出方向」、右方向を「背面方向」とする。
【0012】
(第1実施例)
図1において、Aは二重容器、Bは二重容器Aに装着されるヒンジキャップ、Cは二重容器Aの口筒部1内方を塞ぐとともに、ヒンジキャップB内に装着される栓体、Dは栓体Cの上面に装着され、開口からの内容液の戻りを止める第1弁部であり、ヒンジキャップBと、栓体Cと、第1弁部Dとにより注出キャップが構成されている。
【0013】
ヒンジキャップBは、二重容器Aに装着されるキャップ本体B1と、キャップ本体B1にヒンジ部B3を介して連設される上蓋B2とから構成されている。
栓体C、第1弁部DおよびヒンジキャップBの主要部分は、ポリプロピレンやポリエチレンなどの通常の基本樹脂Eで形成され、キャップ本体B1の特定部分は、弾性変形可能なエラストマーなどの軟質材の弾性樹脂Fで形成されている。
【0014】
図1に示すように、二重容器Aは、外容器A1と、外容器A1の内側で外容器A1に対して剥離可能に積層される内容器A2とを有する積層剥離容器(デラミ容器)として形成され、外容器A1の口筒部1の上端面2には、内容器A2の端部3が積層されており、外容器A1内を閉塞している。
外容器A1の口筒部1の外周面には、上部に雄ねじ部5が形成され、その下に係合突条6が突設され、口筒部1の雄ねじ部5下端部付近の所定の個所には、雄ねじ部5の外側から内方に貫通し、外容器A1と内容器A2との間に外気を導入するための貫通口7が配設され、また、雄ねじ部5の貫通口7が位置する個所には、上下方向に切り欠く溝部8が形成されている。
【0015】
内容器A2は、減容変形可能な樹脂で、外容器A1は、ある程度保形性のある樹脂で形成され、内容液の使用により内容器A2が外容器A1内で剥離して減容変形するとともに、貫通口7から外容器A1と内容器A2との間に外気が吸入され、外容器A1内で内容器A2が減容変形させたまま収容される。
なお、内容器A2は、外容器A1内で剥離せず、減容変形可能であれば、どのような形態でも構わない。また、外容器A1は、胴部をスクイズ可能な形態としてもよい。
【0016】
図1~
図3に示すように、ヒンジキャップBは、開蓋した状態で形成されるキャビティ(第1金型)とコア(第2金型)を係合させ、基本樹脂Eを射出してヒンジキャップB全体を形成した後、コアをキャビティに対してコアバックし、エラストマーなどの軟質材の弾性樹脂Fを射出し、キャップ本体B1の一部分に第2弁部F1および押圧変形部F2を一体成形する二色成形技術(コアバック)で形成される。
また、ヒンジキャップBは、二色成形技術に限らずインサート成形などで一体成形することができ、基本樹脂Eの部分と弾性樹脂Fの部分とを一体成形できれば、成形方法は問わない。
【0017】
キャップ本体B1は、二重容器Aの口筒部1の外周に装着される装着部15としての外周筒壁10と、外周筒壁10の上端内縁から内方に延設され、下面に栓体Cおよび第1弁部Dの外周上端面が係合して装着されるリング状の上壁11と、上壁11の内縁の注出方向から開口12aを穿設して上方に延びる注出筒12と、注出筒12の外縁から連設されるとともに、他の上壁11内縁から縮径されて間に変形口13を形成して円錐台状に形成された押ボタン部14とが、基本樹脂Eで形成され、また、注出筒12の下面に形成され、開口12a内に延びるように形成される第2弁部F1と、押ボタン部14の下面および変形口13を下から塞ぎ上壁11内縁に連設される押圧変形部F2とが、軟質材の弾性樹脂Fで形成されている。
【0018】
外周筒壁10の内周には、上部に栓体Cの外周と係合し固定する装着部15と、装着部15より間隔面10aを開けて下方に、二重容器Aの口筒部1に設けられた雄ねじ部5の外周部と係合(螺合)する縦リブ16が等間隔に複数配設され、縦リブ16より下方は係合突条6外周面と密着する内周下部面10bとなっており、また、装着部15の所定の個所には、上下に外気を案内する案内溝17が凹設されている。なお、本実施例では、ヒンジキャップBを二重容器Aに打栓して装着し、それぞれの縦リブ16の内側には、クリープ現象により応力緩和が生じることによって、口筒部1の雄ねじ部5の形状が転写され、ねじ溝が形成される。
外周筒壁10の外周には、上端部の所定の位置に、ヒンジ部B3が連設されている。
【0019】
上壁11には、外周に上蓋B2の閉蓋を維持する蓋係合部18が設けられ、所定の個所(本実施例では、ヒンジ部B3側)に、上面から内面に貫通し、外周筒壁10の案内溝17に外気を導入する外気導入孔19が配設され、下面に、第1弁部Dを固定して装着する下凹部20が凹設されている。
注出筒12は、先端部の注出方向が液切れが良いようにラッパ状に形成されている。
【0020】
押ボタン部14は、内方に傾斜して延びる傾斜周壁21と、傾斜周壁21の内周上端を塞ぐ天壁22とから円錐台状に形成され、注出方向には、内方から凹設され、変形可能となる変形薄肉部23が設けられ、背面方向の天壁22および傾斜周壁21の部分が押し込み変形可能となっている。
【0021】
第2弁部F1は、軟質材の弾性樹脂Fで、注出筒12の下端面に一体成形されるリング壁25と、リング壁25内縁から内方に開口12aの中心よりも注出方向側に弁開口26aを形成して開口12aの内方に向かい傾斜して延びる変形可能な弁壁26が形成されている。
【0022】
押圧変形部F2は、第2弁部F1のリング壁25の背面方向から連なり、上壁11内縁に連設されるとともに、変形口13を下から塞ぎ、円錐台状に形成された押ボタン部14の下面に合わせて一体成形されており、特に、変形口13を下から塞ぐ部分は変形可能な開口連結部27となっている。
押圧変形部F2は、押ボタン部14の変形薄肉部23による押し込み変形もともに変形し、また、開口連結部27も変形するので、常に、押ボタン部14より内方を密封して、押し込み、弾性復元をすることができる。
【0023】
上蓋B2は、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される側周壁31と、頂壁30の下面の注出方向側から垂設され、閉蓋時に注出筒12の内周上部に挿入される密封筒32が形成されている。
側周壁31は、外周下端部の所定の位置に、ヒンジ部B3が連設され、ヒンジ部B3と反対側に、指などを掛ける摘み部33が設けられ、内周の下端部に、閉蓋時にキャップ本体B1の蓋係合部18と嵌合し、閉蓋を維持する係合部34が設けられている。
【0024】
図1および
図4に示すように、栓体Cは、外周がキャップ本体B1の外周筒壁10の内周の装着部15に係合し固定されるとともに、下面が二重容器Aの内容器A2の端部3上面に当接するリング状の外壁部35と、外壁部35の下面内縁から垂設され、内容器A2の内周上部に挿入される内筒36と、外壁部35の内周上端を塞ぐ隔壁栓部37とから構成され、外壁部35の上面には、第1弁部Dを装着する上凹部38が凹設されている。
隔壁栓部37には、中央より背面方向に寄った位置に上下を貫通する栓開口40が形成され、注出方向側の上面には、キャップ本体B1へのセット時に、先端部がキャップ本体B1の第2弁部F1の弁壁26の下面に密着して弁開口26aを塞ぐ突出弁座部41が注出筒12の中心軸線よりも注出方向側に立設されており、これにより、弁壁26の背面方向側を変形し易くしている。
なお、本実施例では、突出弁座部41は、栓体Cに設けられているが、第1弁部Dに突出弁座部41を設けてもよい。
【0025】
図1および
図4に示すように、第1弁部Dは、上部がキャップ本体B1の上壁11の下凹部20に係合し、下部が栓体Cの外壁部35の上凹部38に係合して装着される係合筒部45と、係合筒部45の内方を塞ぐとともに、栓体Cの隔壁栓部37の上面に装着される隔壁弁部46とから構成されている。
隔壁弁部46には、注出方向側に、突出弁座部41の径より大きい径で穿設され、栓体Cとのセット時に、突出弁座部41が貫通する位置合わせ口47と、背面方向に寄った位置を中心として開口した弁口48と、弁口48内縁と間に隙間48aを介在し、栓体Cの隔壁栓部37の栓開口40周辺の上面と当接して栓開口40を塞ぐ弁板49と、弁口48と弁板49とを連設するとともに、変形可能に形成される複数(本実施例では等間隔で3個)の変形連結片50とが配設されている。
【0026】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
ヒンジキャップBは、
図2に示すように、キャップ本体B1と上蓋B2とをヒンジ部B3を介して開蓋した状態で、基本樹脂Eと弾性樹脂Fとで、二色成形により一体成形される。
【0027】
ヒンジキャップBの成形後は、ヒンジ部B3を支点として折り曲げ、キャップ本体B1に対して上蓋B2を閉蓋方向に回動させて閉蓋する。
閉蓋時には、
図3に示すように、キャップ本体B1の外周筒壁10より上方を上蓋B2が覆うとともに、上蓋B2の側周壁31の内周に設けられた係合部34は、キャップ本体B1の上壁11外周の蓋係合部18に嵌合して、閉蓋状態を維持する。
また、上蓋B2の密封筒32の下部外周は、キャップ本体B1の注出筒12の内周上部に挿入され、注出筒12内をシールする。
【0028】
次に、栓体Cの上方から第1弁部Dを被せ、位置合わせ口47に突出弁座部41を貫通させて位置合わせをして、栓体Cの外壁部35の上凹部38に第1弁部Dの係合筒部45の下部を係合させて装着する。
その際、第1弁部Dの弁板49下面は、栓体Cの栓開口40付近の隔壁栓部37上面に密着して栓開口40を閉塞する。
【0029】
第1弁部Dを装着した栓体Cは、突出弁座部41の先端部が、キャップ本体B1の第2弁部F1の弁壁26の弁開口26aの下に来るように位置合わせして、キャップ本体B1の下方から装着し、本実施例の注出キャップとしてセットが完了する。
その際、栓体Cの突出弁座部41の先端部は、第2弁部F1の弁壁26下面に密着して弁開口26aを塞ぎ、また、第1弁部Dの係合筒部45の上部は、キャップ本体B1の上壁11の下凹部20に係合され、さらに、栓体Cの外壁部35の外周は、キャップ本体B1の外周筒壁10の装着部15に係合される。
また、キャップ本体B1の第2弁部F1および押圧変形部F2の下面と、上壁11の内方面と、第1弁部Dの上面および内側面とでポンプ室αが形成される。
【0030】
次いで、セットされた注出キャップのキャップ本体B1を、内容器A2に内容液が充填された二重容器Aの口筒部1に打栓すると、キャップ本体B1の縦リブ16の内側に雄ねじ部5の形状が転写され、縦リブ16に形成されたねじ溝を二重容器Aの雄ねじ部5に係合させるとともに、栓体Cの外壁部35下面および内筒36外周面は、二重容器Aの内容器A2の端部3上面および内周面に密着する。
本実施例では、注出キャップを二重容器Aの口筒部1に打栓によって装着しているが、口筒部1に螺設された雄ねじ部5に、キャップ本体B1の外周筒壁10に螺設された雌ねじ部を螺合させて装着してもよい。
【0031】
セットしたキャップ本体B1の外周筒壁10の内周下部面10bに外容器A1の係合突条6外周が密着し、下方から外周筒壁10内が密封される。
また、キャップ本体B1の上壁11に開孔した外気導入孔19から、外周筒壁10の装着部15の案内溝17、間隔面10aと二重容器Aの外周との隙間、外容器A1の雄ねじ部5の溝部8、を導入路として、貫通口7から二重容器Aの外容器A1と内容器A2との間に外気が導入される。
【0032】
二重容器A内の内容液を使用するには、上蓋B2の摘み部33に指を掛けて持ち上げると、上蓋B2の係合部34とキャップ本体B1の蓋係合部18との嵌合が外れ、ヒンジ部B3を支点に上蓋B2が回動し、開蓋する。
開蓋すると、上蓋B2の密封筒32の外周下部と、キャップ本体B1の注出筒12の内周上部とのシールが外され、注出筒12が開口する。
【0033】
次に、
図5に示すように、注出筒12が下を向くように、二重容器Aを傾けながら、キャップ本体B1の押ボタン部14を矢印方向に押圧すると、押ボタン部14の変形とともに押圧変形部F2も変形され、ポンプ室α内が加圧される。
加圧されたポンプ室α内の空気は、第1弁部Dの弁板49を栓体Cの隔壁栓部37に押し付けるとともに、第2弁部F1の弁壁26を内方から押圧して押し広げ、栓体Cの突出弁座部41先端との密着を解除し、弁開口26aの背面方向側を開口させて加圧された空気を外に排出する。
【0034】
押ボタン部14の押圧を解除すると、
図6に示すように、押ボタン部14および押圧変形部F2の変形が復元するとともに、弁壁26が再び突出弁座部41先端と密着し、弁開口26aを塞ぎ、ポンプ室α内が負圧になる。
ポンプ室α内が負圧になると、変形連結片50を介して連結された弁板49が内方に吸引され、弁板49が栓体Cの隔壁栓部37上面から離れ、栓開口40が開口することにより、栓開口40を介して内容器A2内の内容液がポンプ室α内に吸い込まれる。
【0035】
押ボタン部14および押圧変形部F2の変形が復元し終わると、ポンプ室α内が常圧に戻り、第1弁部Dの弁板49の吸引が止まり、弁板49が元の位置に戻り、弁板49と栓体Cの隔壁栓部37上面が密着し、速やかに栓開口40が封鎖され、ポンプ室α内に吸い込まれた内容液が残る。
同時に、内容器A2内の内容液が減少することで内容器A2は、減容し、貫通口7を介して導入路から外気が導入されるので、徐々に内容器A2が外容器A1から剥離して離れていき、内容液を吸引した分だけ内容器A2だけが外容器A1内で減容する。
【0036】
再び、キャップ本体B1の押ボタン部14を押圧すると、ポンプ室α内に残った内容液が加圧され、第2弁部F1の弁壁26を押し広げて弁開口26aを開口させ、加圧された内容液を弁開口26aを介して注出筒12内に流入させるので、押ボタン部14を押圧した分だけ内容液を注出筒12から吐出できる。
【0037】
押ボタン部14の押圧および解除を繰り返すことで、内容液をポンプ室α内に吸い込んだ後、ポンプ室αから弁開口26aを介して外部へ吐出することができる。
また、押ボタン部14および押圧変形部F2の押圧を解除すると、ポンプ室α内が負圧になり、弁壁26が速やかに復元し、突出弁座部41先端と密着して弁開口26aを塞ぐので、ポンプ室α内の負圧と弁壁26の復元のタイムラグにより、弁開口26aから注出筒12内に残った内容液を少し内方に引き戻すので、内容液が外に垂れることがない。
【0038】
内容液を使用することで内容器A2が減容しながらポンプ室α内に移動するので、最初の2、3回の押圧操作で、内容器A2内に残った空気およびポンプ室α内に残った空気を弁壁26から排出でき、以降は、内容液に空気が触れることを抑制することができる。
【0039】
本実施例のヒンジキャップBは、特定部分を弾性変形可能な弾性樹脂Fとし、残りの主要部分を基本樹脂Eとして、両樹脂を一体成形することができるので、別々の樹脂で成形した後、組み立てる手間がなく、また、組み立て後に外れることもないので、生産性がよく、また、一体成形される弾性樹脂Fの押圧変形部F2を押した時の使用感および弾性変形の安定感がよい。
【0040】
(第2実施例)
次に、第1実施例のヒンジキャップBの注出筒12の構成を変更した第2実施例について、第1実施例と同一の構成部分には同一の符号を付し、相違点を中心に説明する。
図7において、ヒンジキャップBaは、二重容器Aに装着されるキャップ本体Ba1と、キャップ本体Ba1にヒンジ部Ba3を介して連設される上蓋Ba2とから構成されている。
【0041】
キャップ本体Ba1は、外周筒壁10と、リング状の上壁11と、上壁11の内縁の注出方向から開口55aを穿設して上方に延びる注出筒55と、押ボタン部14とが、基本樹脂Eで形成され、第2弁部F1と、押圧変形部F2とが、軟質材の弾性樹脂Fで形成され、一体成形されている。
注出筒55の内周には、下端部の開口55aの上部から上端まで開口55aより拡径された内周拡径部56が形成され、開口55aの内周上端には、所定の間隔を開けて中央上方に向けて延びる複数の邪魔板片57が配設されている。
【0042】
上蓋Ba2は、頂壁30と、側周壁31と、頂壁30の下面の注出方向側から垂設され、閉蓋時に注出筒55の内周拡径部56の内周上部に挿入される密封筒58が形成されている。
【0043】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップBaは、開口55aの内周上端に、所定の間隔を開けて邪魔板片57が複数配設されているので、内容液の吐出時に、内容液が邪魔板片57に当たるので、押ボタン部14の押圧が強すぎても、注出筒55から内容液が飛散することを防止できる。
【0044】
また、注出筒55の内周拡径部56が拡径されているので、ポンプ室α内の負圧と弁壁26の復元のタイムラグによる内容液の引き戻しとともに、注出筒55の内周拡径部56の内周に内容液が留まらず流れ落ちるようになり、注出筒55に内容液が残らない。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の注出キャップは、二重容器を傾けて押ボタン部を押圧したり、押圧を解除したりすることによって、内容液の残量が少なくなっても、二重容器をスクイズすることなく内容液を吸い上げ、吐出することができるので、品質維持を必要とする各種の食品調味料をはじめ、化粧料や薬剤等の内容液を収容する二重容器の注出キャップとして好適である。
【符号の説明】
【0046】
A 二重容器
A1 外容器
A2 内容器
B、Ba ヒンジキャップ
B1、Ba1 キャップ本体
B2、Ba2 上蓋
B3、Ba3 ヒンジ部
C 栓体
D 第1弁部
E 基本樹脂
F 弾性樹脂
F1 第2弁部
F2 押圧変形部
α ポンプ室
1 口筒部
2 上端面
3 端部
5 雄ねじ部
6 係合突条
7 貫通口
8 溝部
10 外周筒壁
10a 間隔面
10b 内周下部面
11 上壁
12、55 注出筒(注出部)
12a、55a 開口
13 変形口
14 押ボタン部
15 装着部
16 縦リブ
17 案内溝
18 蓋係合部
19 外気導入孔
20 下凹部
21 傾斜周壁
22 天壁
23 変形薄肉部
25 リング壁
26 弁壁
26a 弁開口
27 開口連結部
30 頂壁
31 側周壁
32、58 密封筒
33 摘み部
34 係合部
35 外壁部
36 内筒
37 隔壁栓部
38 上凹部
40 栓開口
41 突出弁座部
45 係合筒部
46 隔壁弁部
47 位置合わせ口
48 弁口
48a 隙間
49 弁板
50 変形連結片
56 内周拡径部
57 邪魔板片