(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078823
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】動物用ブラシ
(51)【国際特許分類】
A01K 13/00 20060101AFI20240604BHJP
A46B 1/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A01K13/00 L
A46B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191389
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】597036477
【氏名又は名称】ライオンペット株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】磯田 由美
(72)【発明者】
【氏名】大沼 京子
(72)【発明者】
【氏名】玉津 知洋
(72)【発明者】
【氏名】定家 恵実
(72)【発明者】
【氏名】荻島 敦子
【テーマコード(参考)】
3B202
【Fターム(参考)】
3B202AA40
3B202AB02
3B202AB15
3B202BA05
3B202CA03
3B202EA03
3B202EB18
3B202EE06
3B202EF03
3B202EG01
(57)【要約】
【課題】ペットが嫌がらず心地よく、かつ好適にブラッシングできる動物用ブラシを提供する。
【解決手段】
動物用ブラシ1は、面形状を備えるベース部11と、ベース部の外周部12に固定され、複数本の第1ブラシ21を備える外周ブラシ部20と、ベース部の内周部13に固定されるとともに、第1ブラシの最大径よりも径が細くかつ第1ブラシより柔軟である複数本の第2ブラシ33を備える内周ブラシ部30と、を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面形状を備えるベース部と、
前記ベース部の外周部に固定され、複数本の第1ブラシを備える外周ブラシ部と、
前記ベース部の内周部に固定されるとともに、前記第1ブラシの最大径よりも径が細くかつ前記第1ブラシより柔軟である複数本の第2ブラシを備える内周ブラシ部と、を有する、動物用ブラシ。
【請求項2】
前記第2ブラシは、土台を介して、前記ベース部に固定され、
前記第2ブラシの長さは、前記第1ブラシの長さよりも短い、請求項1に記載の動物用ブラシ。
【請求項3】
前記第2ブラシは、使用時における上下方向に対して傾斜するように配置される、請求項1または2に記載の動物用ブラシ。
【請求項4】
前記ベース部から、複数本の前記外周ブラシ部を結ぶ外接線および内接線に囲まれた領域として定義される外周部を除いた領域として定義される内周部の植毛密度は、1.2~3.6本/cm2である、請求項1または2に記載の動物用ブラシ。
【請求項5】
複数本の前記外周ブラシ部を結ぶ外接線および内接線に囲まれた領域として定義される外周部、ならびに前記ベース部から前記外周部を除いた領域として定義される内周部において、
前記内周部における面積は、前記外周部における面積の1.5~4倍である、請求項1または2に記載の動物用ブラシ。
【請求項6】
前記第2ブラシの先端部には、少なくとも2つの突起が形成されている、請求項1または2に記載の動物用ブラシ。
【請求項7】
前記第1ブラシの先端部には、少なくとも2つの突起が形成されている、請求項1または2に記載の動物用ブラシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物用ブラシに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ペットの室内飼育率が9割になり、ペットのボディの清潔さを保つために、動物用ブラシが使用される。動物用ブラシは、猫や犬のようなペットの被毛から抜け毛を取り除くためや、絡み合った毛を梳きほぐすために用いられる。
【0003】
このような動物用ブラシとして、従来から様々なものが提案されている(例えば、下記の特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の発明者等は、上記の動物用ブラシでは、外周に配置されるブラシが短く柔軟なため、好適にブラッシングを行うことが困難であることを見出した。また、ペットが嫌がらず心地よくブラッシングすることができることも求められている。
【0006】
本発明の発明者等は、上記課題の解決を図るにあたり、鋭意努力を重ねた結果、本発明の動物用ブラシを案出するに至った。
【0007】
本発明は、ペットが嫌がらず心地よく、かつ好適にブラッシングできる動物用ブラシを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記の手段によって達成される。
【0009】
(1)
面形状を備えるベース部と、
前記ベース部の外周部に固定され、複数本の第1ブラシを備える外周ブラシ部と、
前記ベース部の内周部に固定されるとともに、前記第1ブラシの最大径よりも径が細くかつ前記第1ブラシより柔軟である複数本の第2ブラシを備える内周ブラシ部と、を有する動物用ブラシ。
【0010】
(2)
前記第2ブラシは、土台を介して、前記ベース部に固定され、
前記第2ブラシの長さは、前記第1ブラシの長さよりも短い、請求項1に記載の動物用ブラシ。
【0011】
(3)
前記第2ブラシは、使用時における上下方向に対して傾斜するように配置される、(1)または(2)に記載の動物用ブラシ。
【0012】
(4)
前記ベース部から、複数本の前記外周ブラシ部を結ぶ外接線および内接線に囲まれた領域として定義される外周部を除いた領域として定義される内周部の植毛密度は、1.2~3.6本/cm2である、(1)~(3)のいずれか1つに記載の動物用ブラシ。
【0013】
(5)
複数本の前記外周ブラシ部を結ぶ外接線および内接線に囲まれた領域として定義される外周部、ならびに前記ベース部から前記外周部を除いた領域として定義される内周部において、
前記内周部における面積は、前記外周部における面積の1.5~4倍である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の動物用ブラシ。
【0014】
(6)
前記第2ブラシの先端には、少なくとも2つの突起が形成されている、(1)~(5)のいずれか1つに記載の動物用ブラシ。
【0015】
(7)
前記第1ブラシの先端には、少なくとも2つの突起が形成されている、(1)~(6)のいずれか1つに記載の動物用ブラシ。
【発明の効果】
【0016】
上述の動物用ブラシによれば、外周ブラシ部は、比較的径が太く柔軟性が低い複数本の第1ブラシを備えるため、好適にブラッシングすることができる。また、内周ブラシ部は、比較的径が細く柔軟な複数本の第2ブラシを備えるため、ペットが嫌がらず心地よくブラッシングすることができる。以上から、ペットが嫌がらず心地よく、かつ好適にブラッシングできる動物用ブラシを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る動物用ブラシを上方から視たときの斜視図である。
【
図2】本実施形態に係る動物用ブラシを下方から視たときの斜視図である。
【
図3】本実施形態に係る動物用ブラシを下方から視たときの分解斜視図である。
【
図4】本実施形態に係る動物用ブラシのブラシ本体部を下方から視たときの斜視図である。
【
図5】本実施形態に係る動物用ブラシのブラシ本体部を示す下面図である。
【
図8】本実施形態に係る動物用ブラシのブラシ本体部に形成された凹部を説明するための斜視図である。
【
図9】動物用ブラシに付着した毛をまとめて除去する様子を示す図である。
【
図10】本実施形態に係る動物用ブラシのブラシ本体部を示す下面図であって、外周部および内周部の領域を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態を、
図1~
図8を参照しつつ説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る動物用ブラシ1を上方から視たときの斜視図である。
図2は、本実施形態に係る動物用ブラシ1を下方から視たときの斜視図である。
図3は、本実施形態に係る動物用ブラシ1を下方から視たときの分解斜視図である。
図4は、本実施形態に係る動物用ブラシ1のブラシ本体部10を下方から視たときの斜視図である。
図5は、本実施形態に係る動物用ブラシ1のブラシ本体部10を示す下面図である。
図6は、
図5の6-6線に沿う断面図である。
図7は、
図5の7-7線に沿う断面図である。
図8は、本実施形態に係る動物用ブラシ1のブラシ本体部10に形成された凹部11Cを説明するための斜視図である。
【0020】
以下の説明において、
図5の左方向をX方向と称し、
図5の上方向をY方向と称し、
図1の上方向をZ方向と称する。また、
図1に示す使用時における動物用ブラシ1の姿勢において上側を上方として、下側を下方とする。すなわち、
図2、
図3において上側が下方となり、下側が上方となる。
【0021】
本実施形態に係る動物用ブラシ1は、
図1~
図3に示すように、外周ブラシ部20および内周ブラシ部30を備えるブラシ本体部10と、ブラシ本体部10が固定されるグリップ部40と、を有する。
【0022】
<ブラシ本体部10>
ブラシ本体部10は、
図2~
図5に示すように、下方から視たとき、略楕円形状を有している。ブラシ本体部10は、動物用ブラシ1のうち、使用時に下側となるように配置されている。
【0023】
ブラシ本体部10は、
図2~
図7に示すように、面形状を備えるベース部11と、ベース部11の外周部12に固定される外周ブラシ部20と、ベース部11の内周部13に固定される内周ブラシ部30と、を有する。
【0024】
ブラシ本体部10は、
図3、
図4に示すように、ベース部11の周縁からZ方向のマイナス側に向けて延在する縦壁部14を有する。縦壁部14には、
図3、
図4に示すように、ベース部11の径方向外方に向けて突出する2つの凸部15が形成されている。2つの凸部15は、後述するようにグリップ部40の溝部44A(
図3参照)に嵌められて、係合される。
【0025】
ベース部11は、面形状を備える。ブラシ本体部10のベース部11は、
図4、
図8に示すように、Z方向のプラス側の面およびマイナス側の面において、Z方向のマイナス側に凸となるように湾曲した構造を備えている。
【0026】
ベース部11のZ方向のプラス側の面には、
図8に示すように、凹部11Cが形成されている。
【0027】
ベース部11における、外周ブラシ部20および内周ブラシ部30の植毛密度は、特に限定されないが、例えば1.2~5.5本/cm2である。
【0028】
また、ベース部11の面積は、特に限定されないが、25~55cm2である。
【0029】
<外周ブラシ部20>
外周ブラシ部20は主に、ペットの抜け毛を取り除いたり、絡み合った毛を梳きほぐしたりするために設けられる。
【0030】
外周ブラシ部20は、ベース部11に一体的に構成されている。外周ブラシ部20は、ベース部11の外周部12に配置される複数本の第1ブラシ21を備える。
【0031】
第1ブラシ21は、Z方向のマイナス側に延在するように配置される。また、第1ブラシ21は、
図5、
図6に示すように、外方に傾斜するように配置される。第1ブラシ21のZ方向からの傾斜角度θ1(
図6参照)は、特に限定されないが、5~20度であることが好ましい。この構成によれば、第1ブラシがZ方向に延在する構成と比較して、ブラッシングの際に第1ブラシ21が外方に倒れやすくなり、優しい力でブラッシングできるため、ペットがブラッシングを嫌がることを抑制することができる。
【0032】
第1ブラシ21は、
図5に示すように、ベース部11の外周部12に32個配置される。なお、第1ブラシ21の個数は特に限定されない。隣り合う第1ブラシ21間の距離L1(
図5参照)は特に限定されないが、3~10mmであることが好ましい。第1ブラシ21の設けられる個数は32個に限定されず、例えば、12~140個とすることができる。
【0033】
第1ブラシ21は、断面が円形状となるように構成されている。第1ブラシ21は、
図6に示すように、ベース部11に接続される根元部22における径が、根元部22の反対側の先端部23における径よりも太くなるように構成されており、より具体的には、第1ブラシ21は、根元部22から先端部23に向けて、径が連続的に細くなるように構成されている。ペットの毛に入り込みやすくするために先細の形状が好ましい。
【0034】
第1ブラシ21の根元部22における径は、特に限定されないが、2~8mmである。また、第1ブラシ21の先端部23における径は、特に限定されないが、1~5mmである。また、第1ブラシ21の長さは特に限定されないが、7~17mmである。
【0035】
第1ブラシ21の先端部23には、
図5に示すように、Z方向のマイナス側に延在する3つの突起24が形成されている。3つの突起24は、
図5に示すように、下方から視たときに、突起24の中心を結んだ線が略正三角形となるように配置されている。突起24の先端は丸みを帯びた形状を備えている。
【0036】
突起24は、断面が円形状となるように構成されている。突起24のZ方向の長さは特に限定されないが、0.5~2.5mmである。また、突起24の径は特に限定されないが、0.5~1.5mmである。突起24の先端は丸みを帯びた形状を備えている。
【0037】
図10に示すように、複数本の外周ブラシ部20を結ぶ外接線L3および内接線L4に囲まれた領域(
図10の薄いグレー色)として定義される外周部20Rの植毛密度は、特に限定されないが、例えば2.5~6.5本/cm
2である。捕捉した毛を周囲に飛散させることなく、ブラシに付着した毛をまとまった状態で除去する観点から、2.8本/cm
2以上が好ましい。
【0038】
根元部22における径の面積の総和を外周部20Rの面積で割った値は、特に限定されないが、0.2~1.0とすることができる。
【0039】
<内周ブラシ部30>
内周ブラシ部30は主に、使用者が動物用ブラシ1をペットに押し付けた際にマッサージの効果を奏するために設けられる。
【0040】
内周ブラシ部30は、
図5に示すように、10個のブラシ集合体31から構成される。10個のブラシ集合体31は、
図5に示すように、Y方向のプラス側から2、3、3、2個となるように配置されている。ブラシ集合体31は、ベース部11に一体的に構成されている。ブラシ集合体31の設けられる個数は10個に限定されず、5~15個とすることができる。
【0041】
ブラシ集合体31は、土台32と、土台32に一体的に構成される6本の第2ブラシ33と、を有する。すなわち、第2ブラシ33は、合計60個配置される。なお、第2ブラシ33の設けられる個数は60個に限定されず、18~155個とすることができる。
【0042】
土台32は、
図5に示すように、下方から視たときに、略円形状を有する。土台32の径は特に限定されないが、5~15mmである。土台32のZ方向の長さは特に限定されないが、2~10mmである。
【0043】
第2ブラシ33は、Z方向のマイナス側に延在するように配置される。また、第2ブラシ33は、
図5、
図6に示すように、土台32の中心から外方に傾斜するように配置される。第2ブラシ33のZ方向からの傾斜角度θ2(
図6参照)は、特に限定されないが、5~25度であることが好ましい。この構成によれば、第2ブラシがZ方向に延在する構成と比較して、ブラッシングの際に第2ブラシ33が土台32の中心から外方に倒れやすくなり、ペットを対して所望の圧力を付与して好適にマッサージすることができる。
【0044】
第2ブラシ33は、
図5に示すように、土台32の外周部に6個配置される。なお、第2ブラシ33の個数は特に限定されない。隣り合う第2ブラシ33間の距離L2は特に限定されないが、2~9mmであることが好ましい。
【0045】
6個の第2ブラシ33は、
図5に示すように、下方から視たときに、第2ブラシ33の中心を結んだ線が略正六角形となるように配置されている。
【0046】
第2ブラシ33は、断面が円形状となるように構成されている。第2ブラシ33は、
図6に示すように、土台32に接続される根元部34から先端部35にかけて略同一の径を備えている。
【0047】
第2ブラシ33の根元部および先端部における径は、特に限定されないが、1~5mmである。本実施形態において、第2ブラシ33の径は、第1ブラシ21の根元部22における径および第1ブラシ21の先端部23における最大径よりも細くなるように構成されている。第2ブラシ33を構成する材料は、第1ブラシ21を構成する材料と同一であるため、第2ブラシ33は、第1ブラシ21よりも柔軟である。このため、第1ブラシ21でブラッシングする際に、第2ブラシ33は変形しやすいため、ペットに対して好適にマッサージすることができる。
【0048】
第2ブラシ33の長さは特に限定されないが、3~8mmである。
【0049】
第2ブラシ33の先端部35には、
図5に示すように、Z方向のマイナス側に延在する3つの突起37が形成されている。3つの突起37は、
図5に示すように、下方から視たときに、突起37の中心を結んだ線が略正三角形となるように配置されている。突起37の先端は丸みを帯びた形状を備えている。
【0050】
このように、外周ブラシ部20の第1ブラシ21の先端部23に突起24が設けられるとともに、内周ブラシ部30は第2ブラシ33の先端部35に突起37が設けられるため、
図9に示すように、突起24、37間で、ペットの毛を好適にまとめてキャッチすることができるとともに、動物用ブラシ1に付着した毛をまとまった状態で除去することができる。
【0051】
突起37は、断面が円形状となるように構成されている。突起37の長さおよび径は、突起24と略同一である。
【0052】
図6、
図7に示すように、第1ブラシ21の先端部23に形成される突起24および第2ブラシ33の先端部35に形成される突起37は、XY平面において同一平面となる。換言すれば、外周ブラシ部20および内周ブラシ部30のZ方向の高さは略同一である。このため、内周ブラシ部30には土台32が形成されている分、第2ブラシ33は第1ブラシ21よりも短くなる。この構成によれば、第2ブラシ33のコシが向上して、ペットを好適にマッサージすることができる。また、外周ブラシ部20および内周ブラシ部30のZ方向の高さは略同一であるため、ペットの皮膚表面に対して、突起24、37が面状に触れるため、局所的に接触する違和感を鈍らせ、ペットが撫でられている感覚になる。
【0053】
図10に示すように、ベース部11から外周部20Rを除いた領域(
図10の濃いグレー色)として定義される内周部30Rの植毛密度は、特に限定されないが、例えば1.2~3.6本/cm
2である。ブラシに付着した毛をまとまった状態で除去するとともに、ペット用ドライシャンプーやニオイ除去剤等の液剤を使用した際に液剤を均一に行き渡らせることができる観点から、1.8~3.2本/cm
2が好ましい。
【0054】
特に限定されないが、内周部30Rの面積は、外周部20Rにおける面積の1.5~4倍であることが好ましい。捕捉した毛を周囲に飛散させることなく、ブラシに付着した毛をまとまった状態で除去する観点から、2~3.5倍であることがさらに好ましい。
【0055】
ブラシ本体部10を構成する材料は、特に限定されないが、ゴム弾性を示す高分子を用いるのが好ましく、中でもスチレン系熱可塑性エラストマーが好ましい。着色用の顔料を含む混合物を適宜用いることができる。
【0056】
顔料としては、酸化チタン、チタンイエロー、弁柄、カーボンブラック、分散剤を用いることができる。顔料の混合する量は、スチレン系熱可塑性エラストマーを100としたとき、25~75%にすることが好ましい。顔料は上述したものに限定されない。
【0057】
ブラシ本体部10の色は特に限定されないが、例えばベージュ(肌色)を用いることができる。このようにブラシ本体部10の色としてベージュ(肌色)を用いることによって、ペットが使用者の手と思いこむため、ブラッシングの際に嫌がることを好適に抑制できる。
【0058】
<グリップ部40>
グリップ部40は、使用者が動物用ブラシ1を使用する際に把持される部材である。グリップ部40は、動物用ブラシ1のうち、使用時に上側となるように配置されている。
【0059】
グリップ部40は、
図1に示すように、丸みを帯びた形状を備える本体部41と、本体部41のZ方向のプラス側に設けられる固定部42と、を有する。
【0060】
本体部41は、
図3に示すように、Z方向のプラス側に凹む凹部43と、凹部43に連続する側壁44と、を有する。凹部43は、Z方向に沿って視たときに、
図3に示すように、ブラシ本体部10と同様に、略楕円形状を有している。
【0061】
側壁44は、凹部43に連続してZ方向のマイナス側に延在するように形成される。側壁44の内周側の面には、
図3に示すように、径方向の外方に向けて凹む溝部44Aが形成されている。
【0062】
ブラシ本体部10の2つの凸部15をグリップ部40の溝部44Aに係合することによって、ブラシ本体部10およびグリップ部40が互いに固定される。
【0063】
固定部42は、
図1に示すように、使用者が動物用ブラシ1を使用する際に、使用者の人差し指および中指によって挟まれる第1固定部42Aと、人差し指および中指が抜けないように、人差し指および中指の一部を覆うように構成された第2固定部42Bと、を有する。なお、固定部42の構成は上記の構成に限定されない。
【0064】
第1固定部42Aおよび第2固定部42Bは、使用者が把持しやすいように、丸みを帯びた形状を備える。
【0065】
グリップ部40を構成する材料としては特に限定されないが、合成樹脂製、好ましくは硬質樹脂製であり、熱可塑性樹脂が好ましく、スチレン・アクリロニトリル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、アクリル、ポリブチレンテレフタレート、メラミンなどが使用できる。
【0066】
グリップ部40の色は特に限定されないが、グリップ部40は有色であることが好ましく、ブラシ嫌いのペットにとってブラシの視認性が高まりその存在を意識しやすくなることを抑制するために、ナチュラル系の色、例えばブラウン、ベージュ、ピンク系であることがより好ましい。グリップ部40を有色にすることによって、例えばグリップ部40内部に被毛が侵入したり、汚れが発生したりしたとしてもグリップ部40内部を視認できないため意匠性を担保することができる。
【0067】
グリップ部40は、手の中に収まる大きさであることが好ましい。また、グリップ部40の形状は特に限定されないが、円形または長円形であることが好ましく、X方向に沿う幅は、55~95mmであることが好ましい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る動物用ブラシ1は、ベース部11と、ベース部11の外周部12に固定される複数本の第1ブラシ21を備える外周ブラシ部20と、ベース部11の内周部13に固定されるとともに、第1ブラシ21の最大径よりも径が細くかつ第1ブラシ21より柔軟である、複数本の第2ブラシ33を備える内周ブラシ部30と、を有する。このように構成された動物用ブラシ1によれば、外周ブラシ部20は、比較的径が太く柔軟性が低い複数本の第1ブラシ21を備えるため、好適にブラッシングすることができる。また、内周ブラシ部30は、比較的径が細く柔軟な複数本の第2ブラシ33を備えるため、ペットが嫌がらず心地よくブラッシングすることができる。以上から、ペットが嫌がらず心地よく、かつ好適にブラッシングできる動物用ブラシ1を提供することができる。
【0069】
また、第2ブラシ33は、土台32を介して、ベース部11に固定され、第2ブラシ33の長さは、第1ブラシ21の長さよりも短い。このように構成された動物用ブラシ1によれば、第2ブラシ33のコシが向上して、ペットを好適にマッサージすることができる。
【0070】
また、第2ブラシ33は、土台32の中心から外方に傾斜するように配置される。このように構成された動物用ブラシ1によれば、鉛直方向に延在する構成と比較して、ブラッシングの際に第2ブラシ33が土台32の中心から外方に倒れやすくなり、ペットに対して所望の圧力を付与して好適にマッサージすることができる。
【0071】
また、内周ブラシ部30は、6本の第2ブラシ33が土台32に固定されてなるブラシ集合体31が10個集まって構成される。このように構成された動物用ブラシ1によれば、10個のブラシ集合体31が、ペットに対して好適にフィットして、好適にマッサージすることができる。
【0072】
また、第2ブラシ33の先端部35には、少なくとも2つの突起37が形成され、第1ブラシ21の先端部23には、少なくとも2つの突起24が形成されている。このように構成された動物用ブラシ1によれば、突起24、37間でペットの毛を好適にまとめてキャッチすることができるとともに、動物用ブラシ1に付着した毛をまとまった状態で除去することができる。
【0073】
<実施例>
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。
【0074】
<ブラッシング時の力>
実施例として、本実施形態に係る動物用ブラシ1を準備した。比較例1として、市販のスリッカーブラシを準備した。比較例2として、市販のラバーブラシを準備した。
【0075】
測定装置としては、ハンディタイプのブラッシング荷重測定器を用いた。それぞれのブラシを荷重測定器に連結して、モデル毛(ラビット)をブラッシングした際の荷重を測定した。
【0076】
本実施形態に係る動物用ブラシ1の荷重値は200g荷重、比較例1に係るスリッカーブラシは370g荷重、比較例2に係るラバーブラシは400g荷重であった。この結果より、本実施形態に係る動物用ブラシ1であれば、優しい力でブラッシングすることができ、ペットが嫌がることを抑制できる。
【0077】
<液剤の行き渡りやすさ>
実施例として、本実施形態に係る動物用ブラシ1を準備した。比較例1として、市販のスリッカーブラシを準備した。比較例2として、市販のラバーブラシを準備した。
【0078】
使用サンプルとして、白色モデル毛皮で小型犬や猫のボディサイズを想定し、35cmのものを準備した。
【0079】
このサンプルに対して、着色した液剤を1プッシュ(1cc)だけ、各ブラシに乗せて、20回ブラッシングした。
【0080】
本実施形態に係る動物用ブラシ1では、25cmだけ液剤を延ばすことができ、比較例1に係るスリッカーブラシでは、ほぼ液剤を延ばすことができず、比較例2に係るラバーブラシでは、13cmだけ液剤を延ばすことができた。この結果より、本実施形態に係る動物用ブラシ1であれば、好適に液剤を行き渡らせることができる。
【0081】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で種々改変することができる。
【0082】
例えば、上述した実施形態では、ブラシ本体部10およびグリップ部40は、別体として構成された。しかしながら、ブラシ本体部およびグリップ部は、同一の材料で一体的に構成されていてもよい。
【0083】
また、上述した実施形態では、ベース部11、外周ブラシ部20、および内周ブラシ部30は、一体的に構成された。しかしながら、外周ブラシ部および内周ブラシ部はベース部に対して別部材として構成され、外周ブラシ部および内周ブラシ部がベース部に対して例えば接着剤によって接着される構成であってもよい。
【0084】
また、上述した実施形態では、ブラシ本体部10の凸部15が、グリップ部40の溝部44Aに係合されることによって、ブラシ本体部10およびグリップ部40を互いに固定した。しかしながら、ブラシ本体部10およびグリップ部40を互いに固定する方法は、上記の係合に限定されず、例えば接着剤によって固定されてもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、Z方向から視たときに、ベース部11は、略楕円形状を有していたが、ベース部11は、真円形状や矩形形状を有していてもよい。
【0086】
また、上述した実施形態では、第2ブラシ33の径は、第1ブラシ21の根元部22における径および第1ブラシ21の先端部23における径よりも細くなるように構成されていた。しかしながら、第2ブラシ33の径は、第1ブラシ21の最大径よりも径が細くなっている限りにおいて、限定されない。
【0087】
また、上述した実施形態では、第1ブラシ21は、周方向に沿って1列に配置された。しかしながら、第1ブラシは、周方向に沿って、千鳥状に配置されてもよい。
【0088】
また、上述した実施形態では、第2ブラシ33は、土台32の中心に対して外方に傾斜するように構成されていたが、第2ブラシは、使用時における上下方向に対して、任意の方向に傾斜する構成であってもよい。この構成であって、ペットに対して、マッサージの効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0089】
1 動物用ブラシ、
10 ブラシ本体部、
11 ベース部、
20 外周ブラシ部、
21 第1ブラシ、
24 突起、
30 内周ブラシ部、
31 ブラシ集合体、
32 土台、
33 第2ブラシ、
37 突起。