(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078826
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】超音波プローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 8/12 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
A61B8/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191395
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武田 咲希恵
(72)【発明者】
【氏名】牧田 裕久
(72)【発明者】
【氏名】長崎 祐也
【テーマコード(参考)】
4C601
【Fターム(参考)】
4C601EE09
4C601EE11
4C601FE01
4C601FF02
4C601FF05
4C601FF06
4C601GA01
4C601GA17
4C601GB04
(57)【要約】
【課題】穿刺針を刺入させやすくする。
【解決手段】実施形態の超音波プローブは、ヘッド部と、音響放射部と、照射部と、を持つ。ヘッド部は、穿刺針を案内する穿刺ガイドを有する。音響放射部は、前記ヘッド部に設けられ、超音波を放射する。照射部は、前記音響放射部が前記超音波を放射する方向と反対方向の第1方向及び前記第1方向とは異なる第2方向に向けてレーザ光を照射する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穿刺針を案内する穿刺ガイドを有するヘッド部と、
前記ヘッド部に設けられ、超音波を放射する音響放射部と、
前記音響放射部が前記超音波を放射する方向と反対方向の第1方向及び前記第1方向とは異なる第2方向に向けてレーザ光を照射する照射部と、を備える、
超音波プローブ。
【請求項2】
前記穿刺ガイドは、前記第1方向とは異なる一方向に沿って形成されており、
前記第2方向は、前記穿刺ガイドの延在方向に沿った方向である、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記照射部は、前記第1方向に前記レーザ光を照射する第1光源と、前記第2方向に前記レーザ光を照射する第2光源と、を備える、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記第2光源は、複数の前記第2方向に向けて前記レーザ光を照射可能である、
請求項3に記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記第2光源は、複数の前記第2方向のそれぞれに向けて前記レーザ光を照射する複数の光源を備える、
請求項4に記載の超音波プローブ。
【請求項6】
前記照射部は、レーザ光を照射する光源と、前記光源により前記レーザ光を照射する方向を複数の方向の中から指定する指定構造を備える、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項7】
前記照射部が、前記第1方向と前記第2方向の間の方向に向けてレーザ光を照射可能となるように光源を揺動させる揺動構造を更に備える、
請求項1に記載の超音波プローブ。
【請求項8】
穿刺針を案内する穿刺ガイドを有するヘッド部と、
前記ヘッド部に設けられ、超音波を放射する音響放射部と、
前記音響放射部が前記超音波を放射する方向と反対方向の第1方向に向けて、不可視光であるレーザ光を照射する照射部と、を備え、
前記照射部は、前記照射部から見て前記第1方向に配置され、不可視光を感知するデバイスに向けて前記レーザ光を照射する、
超音波プローブ。
【請求項9】
前記照射部は、前記第1方向と異なる第2方向にも向けて、前記レーザ光を照射し、
前記デバイスは、前記照射部から見て前記第2方向にも配置される、
請求項8に記載の超音波プローブ。
【請求項10】
前記デバイスは、被検体の体表または前記穿刺針を操作する術者が装着する眼鏡に設けられている、
請求項8に記載の超音波プローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡下手術は、術部位の周辺に小さな孔を複数空け、トラカールと呼ばれる筒状の部材を通して手術器具及び超音波プローブをはじめとする診断器具を体内に挿入して行われる。腹腔鏡下手術で使用される超音波プローブの先端には、例えば、穿刺ガイド(穿刺用の孔または溝)が設けられており、穿刺針を穿刺ガイドに通すことで、臓器に対して任意の角度で穿刺を行うことができるようになる。
【0003】
腹腔鏡下手術では、一般的に、超音波プローブをトラカールから体内に挿入し、穿刺針を体表から直接穿刺して超音波プローブに設けられた穿刺ガイドにアクセスする。ところが、穿刺ガイドは、術者が直接視認することが困難である被検体の皮膚で隠れた裏側に位置する。このため、術者が穿刺ガイドの位置を把握するのは簡単ではなく、穿刺針を配置する穿刺位置や穿刺針を刺入する際の穿刺角度の決定しにくくなるので、穿刺針を刺入させることが難しかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題は、穿刺針を刺入させやすくすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の超音波プローブは、ヘッド部と、音響放射部と、照射部と、を持つ。ヘッド部は、穿刺針を案内する穿刺ガイドを有する。音響放射部は、前記ヘッド部に設けられ、超音波を放射する。照射部は、前記音響放射部が前記超音波を放射する方向と反対方向の第1方向及び前記第1方向とは異なる第2方向に向けてレーザ光を照射する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の超音波プローブ10の使用中の状態を側面から見た図。
【
図2】第1実施形態の超音波プローブ10を上方から見た状態を示す図。
【
図3】変形例の超音波プローブ10を上方から見た状態を示す図。
【
図4】第1実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図。
【
図5】第1実施形態の体表P3に第1レーザ光L1と第2レーザ光L2を照射した状態を示す図。
【
図6】第2実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図。
【
図7】第2実施形態の体表P3に第1レーザ光L1~第4レーザ光L4を照射した状態を示す図。
【
図8】第3実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図。
【
図9】第3実施形態の体表P3にレーザ光Lを照射した状態を示す図。
【
図10】第4実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、実施形態の超音波プローブについて説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の超音波プローブ10の使用中の状態を側面から見た図である第1実施形態の超音波プローブ10は、例えば、腹腔鏡下手術(以下、手術)において用いられる。超音波プローブ10は、照射部20を備えている。手術は、例えば、超音波プローブ10と、穿刺針30と、内視鏡40と、第1トラカールT1と、第2トラカールT2を用いて実行される。
【0010】
手術が実行される間、第1トラカールT1と第2トラカールT2により、被検体Pの体内と内外に連通路が形成される。超音波プローブ10は、第1トラカールT1を通じて被検体Pの体内に導入される。内視鏡40は、第2トラカールT2を通じて被検体Pの体内に導入される。穿刺針30は、被検体Pの腹壁P1に刺入される。なお、
図1において、穿刺針30は、破線で示している。
【0011】
超音波プローブ10は、例えば、送受信ヘッド11と、支持部12と、屈曲部13と、音響放射部14と、照射部20と、を備える。送受信ヘッド11には、穿刺穴15が形成されている。超音波プローブ10は、例えば、被検体Pを検査するにあたり、被検体Pの体内の超音波画像を取得するために用いられる。
【0012】
術者は、例えば、一方の手で超音波プローブ10を把持し、他方の手で穿刺針30を把持しながら手術を実行する。以下の説明において、送受信ヘッド11から穿刺針30を術者が差し込む側(上面側)を表面側、穿刺針30が進出する側(下面側)を裏面側と称する。
【0013】
送受信ヘッド11は、屈曲部13を介して支持部12の先端に取り付けられた板状の部材である。送受信ヘッド11の内部には、音響放射部14が設けられている。送受信ヘッド11の一端側は、屈曲部13により支持されている。送受信ヘッド11の他端側には、穿刺穴15が形成されている。送受信ヘッド11は、被検体Pの手術を実行する際に、例えば、被検体Pの腹壁P1と臓器P2の間に配置される。送受信ヘッド11は、ヘッド部の一例である。
【0014】
支持部12は、長尺の細径の部材である。支持部12の先端には、屈曲部13が接続されている。屈曲部13の基端には、支持部12が接続されており、先端には送受信ヘッド11が接続されている。支持部12の先端には、屈曲部13を介して送受信ヘッド11が取り付けられている。支持部12と送受信ヘッド11の間に屈曲部13が設けられることにより、送受信ヘッド11を臓器P2の表面に沿って設置することができる。
【0015】
音響放射部14は、例えば、複数の超音波素子がアレイ方向に並べられ、超音波を臓器P2に向けて放射する。音響放射部14における臓器P2側には、超音波放射面USが形成される。音響放射部14は、放射した超音波が臓器P2反射して生成される反射波を受信する。音響放射部14は、受信した超音波の反射波に基づく反射波情報を制御装置に送信する。制御装置では、送信された反射波情報に基づいて、超音波画像を生成する。超音波画像は、例えば、被検体Pを左右に切った状態の音響放射面の状態を示す画像である。
【0016】
穿刺穴15は、術者が操作する穿刺針30をガイドする。送受信ヘッド11を貫通して形成されている。
図2は、第1実施形態の超音波プローブ10を上方から見た状態を示す図である。穿刺穴15は、送受信ヘッド11の表面において、照射部20よりも屈曲部13から見た遠い側の端部に配置されている。
【0017】
穿刺穴15は、送受信ヘッド11の表面側よりも裏面側の方が湾曲部に近い位置となるように、第2方向に沿って形成されている。第2光源22は、第2レーザ光L2の照射方向が穿刺穴15の延在方向に沿うように設けられている。穿刺穴15は、穿刺ガイドの一例である。
【0018】
穿刺ガイドは、以下に示す変形例のように、穿刺穴15とは異なる態様でもよい。
図3は、変形例の超音波プローブ10を上方から見た状態を示す図である。穿刺ガイドは、
図2に示す穿刺穴15に代えて、
図3に示す穿刺溝16でもよい。変形例の超音波プローブ10における送受信ヘッド11には、穿刺溝16が形成されている。穿刺溝16は、送受信ヘッド11の端部が切り欠かれて形成されている。穿刺穴15や穿刺溝16は、いずれも複数形成されていてもよく、穿刺穴15と穿刺溝16の両方が形成されていてもよい。
【0019】
図4は、第1実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図である。照射部20は、送受信ヘッド11における穿刺穴15の近傍において、穿刺穴15に隣接して設けられている。照射部20は、例えば、第1光源21と、第2光源22と、を備える。第1光源21及び第2光源22は、互いに近接した位置に並設されている。
【0020】
第1光源21は、例えば、音響放射部14が超音波を放射する方向と反対方向(以下、第1方向)に可視光であるレーザ光(以下、第1レーザ光)を照射する。第1方向は、例えば、音響放射部14が超音波を放射する方向(以下、放射方向)を向いた直線上で、放射方向に相反する方向となる。
【0021】
第2光源22は、例えば、第1方向とは異なる一方向(以下、第2方向)に向けて、可視光であるレーザ光(以下、第2レーザ光)を照射する。第2方向は、例えば、穿刺穴15が延在する方向に沿った方向であり、例えば、放射方向に沿った直線に対して90°未満、例えば20°程度の傾斜を持った方向である。第2方向は、その他の方向でもよい。
【0022】
図5は、第1実施形態の体表P3に第1レーザ光L1と第2レーザ光L2を照射した状態を示す図である。
図4に示す第1光源21と第2光源22が近接しているのに対して、体表P3において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の照射位置は、互いに離間している。第1レーザ光L1と第2レーザ光L2の照射位置の間の離間距離は、第1光源21と第2光源22の離間距離よりも長い。
【0023】
第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、被検体Pの体表P3を透過することで、腹壁P1(
図1)の表面における体表P3に表示される。体表P3に表示される第1レーザ光L1の照射位置は、送受信ヘッド11における表面側の穿刺穴15の位置の目印となる。体表P3に表示される第2レーザ光L2の照射位置は、穿刺針30を刺入するために適した位置となる。
【0024】
穿刺針30は、術者により操作され、被検体Pの血液や体液、細胞などを採取するために、体外から内臓などに刺入される針である。内視鏡40は、先端にカメラが設けられた細径の装置である。内視鏡40は、例えば、超音波プローブ10の送受信ヘッド11や穿刺針30を撮像する。内視鏡40は、カメラにより撮像した画像を制御装置に送信する。制御装置は、例えば、内視鏡40により送信された画像をモニタなど表示させる。
【0025】
照射部20には、制御装置50が配線51を介して電気的に接続されている。制御装置50には、スイッチ52が電気的に接続されている。スイッチ52は、術者が操作可能な位置に配置されるスイッチ52は、術者の操作に応じて照射部20を作動させたり(ONにしたり)、作動を停止させたり(OFFにしたり)することができる。
【0026】
制御装置50は、術者によるスイッチ52の操作に応じた制御信号を照射部20に出力する。術者が照射部20を「ON」にする操作(以下、作動操作)をスイッチ52に対して行った場合、制御装置50は、作動信号を照射部20に出力する。術者が照射部20を「OFF」にする操作(以下、停止操作)をスイッチ52に対して行った場合、制御装置50は、停止信号を照射部20に出力する。
【0027】
照射部20は、第1光源21及び第2光源22による第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射を行っていないときに制御装置50により作動信号を出力された場合に、第1光源21及び第2光源22による第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射を開始する。照射部20は、第1光源21及び第2光源22による第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射を行っているときに制御装置50により停止信号を出力された場合に、第1光源21及び第2光源22による第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射を終了する。
【0028】
照射部20は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射を常時行うようにしてもよい。第1光源21及び第2光源22は、第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2をそれぞれ照射するようにしてもよいし、第1光源21及び第2光源22のいずれかが、第1レーザ光L1または第2レーザ光L2を照射するようにしてもよい。制御装置50により出力される信号は、無線により照射部20に出力されてもよい。
【0029】
第1実施形態の超音波プローブ10は、レーザ光Lを照射する照射部20を備える。照射部20は、穿刺穴15の近傍に配置されているので、術者は、照射部20により照射され、被検体Pの体表P3を透過することで表示されたレーザ光Lを視認することにより、穿刺穴15の位置を把握しやすくなる。その結果、術者に穿刺針30を刺入させやすくすることができる。
【0030】
また、照射部20は、第1光源21と第2光源22を備え、第1光源21は、第1方向に第1レーザ光L1を照射し、第2光源22は、第2方向に第2レーザ光L2を照射する。術者は、被検体Pの体表P3に表示された第1レーザ光L1を見ることにより、穿刺穴15の送受信ヘッド11における表面側の位置を容易に確認することができる。
【0031】
ところが、送受信ヘッド11における表面側の穿刺穴15の位置を確認したとしても、穿刺穴15の傾きがわからないと、穿刺針30を被検体Pの体表P3のどの位置から刺入してよいか迷うことが考えられる。この点、第1実施形態の超音波プローブ10では、第2方向に第2レーザ光L2を照射する。このため、被検体Pの体表P3における穿刺針30を刺入する位置を確認することができる。したがって、術者に穿刺針30をさらに刺入させやすくすることができる。
【0032】
また、第2光源22は、穿刺穴15の延在方向に沿って第2レーザ光L2を照射する。このため、被検体Pの体表P3に表示された第2レーザ光L2が示す位置から穿刺穴15に向けて差し込まれ穿刺針30は、穿刺穴15が延在する方向に沿った方向を向きやすくなる。したがって、穿刺針30を穿刺穴15に差し込みやすくすることができるので、術者に穿刺針30をさらに刺入させやすくすることができる。
【0033】
(第2実施形態)
続いて、第2実施形態の超音波プローブ10について説明する。第2実施形態の超音波プローブ10は、第1実施形態と比較して、照射部の構成が主に異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第2実施形態について説明する。以下の説明において、第1実施形態と同一の要素等については、同一の符号を付してその説明を省略することがある。
【0034】
図6は、第2実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図である。第2実施形態の超音波プローブ10において、照射部20は、第1光源21と、第2光源22と、第3光源23と、第4光源24とを備える。第1光源21~第4光源24のうち、第1光源21は、最も屈曲部13に近い位置に配置される。
【0035】
第2光源22は、屈曲部13から最も遠い位置(送受信ヘッド11の鵜端部に最も近い位置)に配置される。第3光源23は、第1光源21の次に屈曲部13に近い位置に配置され、第4光源24は、第2光源22の次に屈曲部13に近い位置(第2光源22と第3光源23の間)に配置される。
【0036】
第1光源21~第4光源24は、第1レーザ光L1から第4レーザ光L4をそれぞれ異なる方向に照射する。第1方向は、第1実施形態と同様に、第1光源21が第1レーザ光を照射する方向である。第2実施形態では、複数の第2方向が複数設定されている。第2実施形態において、第2方向は、第2光源22~第4光源24がそれぞれ第2レーザ光L2~第4レーザ光L4を照射する方向である。第1レーザ光L1と第2レーザ光L2がなす角度は、例えば、第1実施形態における第1レーザ光L1と第2レーザ光L2がなす角度と同一である。
【0037】
照射部20は、第1光源21とともにレーザ光を照射させる光源を第2光源22~第4光源24の中から指定することにより、第2方向としてレーザ光を照射する方向を複数の方向の中から指定する。第2光源22~第4光源24を備える照射部20は、指定構造の一例である。照射部20は、第1光源21によりレーザ光を照射させることなく、第2光源22~第4光源24のいずれかによりレーザ光を照射させるようにしてもよい。
【0038】
第1レーザ光L1と第3レーザ光L3がなす角度は、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2がなす角度より小さい。第3レーザ光L3と第4レーザ光L4がなす角度及び第4レーザ光L4と第2レーザ光L2がなす角度は、第1レーザ光L1と第3レーザ光L3がなす角度と同一である。照射部20に設けられる光源の数は4個以外の数でもよく、3個でもよいし、5個以上でもよい。照射部20における隣り合う光源同士の間のなす角は、互いに同一でもよいし異なっていてもよい。
【0039】
図7は、第2実施形態の体表P3に第1レーザ光L1~第4レーザ光L4を照射した状態を示す図である。第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2は、いずれも被検体Pの体表P3における第1実施形態と同様の位置を照射する。第3レーザ光L3及び第4レーザ光L4は、いずれも被検体Pの体表P3における第1レーザ光L1及び第2レーザ光L2の照射位置の間を照射する。以下の説明において、第1レーザ光L1と第2レーザ光L2~第4レーザ光L4のそれぞれとがなす角度を第2光源22~第4光源24の照射角度という。
【0040】
照射部20には、第1実施形態と同様の制御装置50が配線51を介して接続され、制御装置50にはスイッチ52が接続されている。術者は、スイッチ52を操作することにより、照射部20を作動させたり照射部20の作動を停止させたりすることができるほか、第1光源21~第4光源24のうち、作動または停止させる光源を選択して指定することができる。
【0041】
制御装置50は、術者が作動させる光源を指定する操作をスイッチ52に対して行った場合には、指定信号を照射部20に出力する。照射部20は、出力された指定信号に基づいて、第1光源21とともにレーザ光を照射させる光源を、第2光源22~第4光源24の中から指定する。このため、術者は、第1光源21とともにレーザ光を照射させる光源及び第2方向を指定することができる。
【0042】
第2実施形態の超音波プローブ10は、第1実施形態の超音波プローブ10と同様の作用効果を奏する。さらに、第2実施形態の超音波プローブ10において、照射部20は、第1光源21から第4光源24を備える。このうち、第1光源21は、第1方向に第1レーザ光L1を照射し、第2光源22~第4光源24は、いずれも第1方向とは異なる第2方向にレーザを照射する。
【0043】
術者は、レーザ光を照射する光源を第2光源22~第4光源の中から選択することにより、第2方向を指定できるので、被検体Pの体表P3における穿刺針30を刺入する位置を自身の好みの位置に指定することができる。したがって、術者に穿刺針30をさらに刺入させやすくすることができる。
【0044】
第2実施形態では、術者は、第2光源22~第4光源24を選択することにより、第2方向を指定することができるが、他の態様で第2方向を指定できるようにしてもよい。例えば、第2実施形態における第2光源22が向く方向と第3光源23が向く方向の間を光源に揺動させる機構を備えて、第2光源22の照射角度を変えられるようにして第2方向を指定できるようにしてもよい。
【0045】
第2実施形態の超音波プローブ10では、レーザ光を照射する第2方向を複数の方向の中から指定する態様として、複数の光源として第2光源22~第4光源24を設け、これらの中からレーザ光を照射する光源を選択するが、他の態様としてもよい。例えば、光源によりレーザ光を照射する方向(角度)を調整する調整機構を設け、調整機構でレーザ光照射する角度を調整することにより、第2方向を複数の方向の中から指定するようにしてもよい。
【0046】
(第3実施形態)
続いて、第3実施形態の超音波プローブ10について説明する。第3実施形態の超音波プローブ10は、第1実施形態と比較して、照射部の構成が主に異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第3実施形態について説明する。
図8は、第3実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図である。
【0047】
第3実施形態において、照射部20は、例えば、第1光源21と、揺動構造25と、を備える。第1光源21は、第1光源21が照射する第1レーザ光L1の照射方向が第1方向と第2方向の間で移動するように第1光源21を揺動可能とされている。揺動構造25は、第1方向と第2方向の間の方向に向けて第1レーザ光L1を照射可能となるように第1光源21を揺動させる。
【0048】
揺動構造25には、駆動源、例えばモータが接続されており、モータにより駆動する。モータは、送受信ヘッド11の内部に設けられていてもよいし、送受信ヘッド11の外部に設けられていてもよい。モータが送受信ヘッド11の外部に設けられる場合には、モータの駆動力が伝達機構などを介して揺動構造25に伝達されてよい。
【0049】
照射部20には、第1実施形態と同様の制御装置50が配線51を介して接続され、制御装置50にはスイッチ52が接続されている。術者は、スイッチ52を操作することにより、第1光源21を作動させたり第1光源21の作動を停止させたりすることができるほか、揺動構造25により第1光源21を揺動させたり揺動を停止させたりすることができる。
【0050】
図9は、第3実施形態の体表P3にレーザ光Lを照射した状態を示す図である。第1光源21が作動した状態で揺動構造25が第1光源21を揺動させると、レーザ光Lは、体表P3において、第1方向と第2方向をつないだ直線を長径とする楕円形をなすように表示される。
【0051】
第3実施形態の超音波プローブ10は、第1実施形態の超音波プローブ10と同様の作用効果を奏する。さらに、第3実施形態の超音波プローブ10において、照射部20は、第1光源21を揺動させる揺動構造25を備える。このため、第1光源21により第1方向と第2方向のいずれに対してもレーザ光Lを照射することができる。さらに、第1光源21が作動した状態で揺動構造25が第1光源21を揺動させて第1方向と第2方向をつなぐ直線を長径とする楕円形を表示させることにより、穿刺穴15の位置と、穿刺針30を刺入する位置とをわかりやすくすることができる。
【0052】
(第4実施形態)
続いて、第4実施形態の超音波プローブ10について説明する。第4実施形態の超音波プローブ10は、第1実施形態と比較して、照射部の構成及び不可視光検出デバイスを備える点が主に異なる。以下、第1実施形態との相違点を中心として、第4実施形態について説明する。
【0053】
図10は、第4実施形態の超音波プローブ10を側面から見た状態を示す図である。第4実施形態の超音波プローブ10は、例えば、400nm~700nmを外れる不可視光であるレーザ光L3を照射する照射部28を備える。照射部28は、第1方向にレーザ光L3を照射する。
【0054】
被検体Pの体表P3における照射部28から見て第1方向にある位置には、不可視光検出デバイス60が設けられる。不可視光検出デバイス60は、不可視光を感知したときに、検出音を出力して不可視光の検出を報知する。不可視光検出デバイス60は、検出音を出力する態様に代えてまたは加えて、例えば、ランプの点灯、点滅、ディスプレイへの表示、バイブレータの作動などにより、不可視光の検出を報知してもよい。
【0055】
例えば、術者は、穿刺針30を刺入する際に、不可視光検出デバイス60を体表P3に載置する。術者は、不可視光検出デバイス60により不可視光が検出されて検出音が出力されるまで体表P3の表面に沿って不可視光検出デバイス60を移動させる。その後、不可視光検出デバイス60により検出音が出力されることにより、不可視光検出デバイス60が体表P3における照射部28から見て第1方向にある状態となることが報知される。術者は、このときの不可視光検出デバイス60の位置をもって穿刺穴15の位置を認識することができる。
【0056】
第4実施形態の超音波プローブ10において、術者は、不可視光検出デバイス60の位置により穿刺穴15の位置を認識することができる。このため、第4実施形態の超音波プローブ10は、術者に穿刺針30を刺入させやすくすることができる。さらに、第4実施形態の超音波プローブ10は、不可視光検出デバイス60が不可視光を検出することにより、穿刺穴15の位置を術者に認識させる。このため、例えば、体表P3の皮膚が厚く、可視光を通しにくい場合でも、穿刺穴15の位置を術者に認識させやすくすることができる。その結果、術者に穿刺針30を刺入させやすくすることができる。
【0057】
第4実施形態においては、不可視光検出デバイス60を被検体Pの体表P3に載置しているが、不可視光検出デバイス60は、他の位置に配置してもよい。不可視光検出デバイスは、例えば、術者が装着する眼鏡に設けてもよい。この場合には、不可視光検出デバイスを手などで動かすことなく穿刺穴15の位置を術者に認識させやすくすることができ、術者に穿刺針30を刺入させやすくすることができる。
【0058】
さらに、第4実施形態において、照射部28は、第1方向のほかに第2方向に不可視光を照射し、第2方向に照射した不可視光を検出する不可視光検出デバイスを体表P3に載置したり、術者が装着する眼鏡に設けたりしてもよい。この場合、第1実施形態と同様、被検体Pの体表P3における穿刺針30を刺入する位置を確認することができる。したがって、術者に穿刺針30をさらに刺入させやすくすることができる。
【0059】
上記各実施形態において、照射部が複数のレーザ光を照射する場合に、各レーザ光は同様のレーザ光としているが、複数のレーザ光の態様を異ならせるようにしてもよい。例えば、複数のレーザ光ごとに、色、形、大きさなどを異ならせるようにしてもよい。また、第2方向に複数のレーザ光を照射する場合には、第2方向に照射するレーザ光の態様は共通とし、第1方向に照射するレーザ光の態様とは異ならせるようにしてもよい。
【0060】
また、上記第1実施形態~第3実施形態において、照射部20は、第1方向及び第2方向にレーザ光を照射するが、第1方向または第2方向のいずれかにレーザ光を照射するようにしてもよい。第1方向及び第2方向にレーザ光を照射する際には、両方向に同時にレーザ光を照射してもよいし、タイミングをずらしてレーザ光を照射してもよい。
【0061】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、穿刺針を案内する穿刺ガイドを有するヘッド部と、前記ヘッド部に設けられ、超音波を放射する音響放射部と、前記音響放射部が前記超音波を放射する方向と反対方向の第1方向及び前記第1方向とは異なる第2方向に向けてレーザ光を照射する照射部と、を備える、ことにより、穿刺針を刺入させやすくすることができる。
【0062】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0063】
10…超音波プローブ
11…送受信ヘッド
12…支持部
13…屈曲部
20…照射部
21…第1光源
22…第2光源
23…第3光源
24…第4光源
30…穿刺針
40…内視鏡
50…制御装置
51…配線
52…スイッチ
P…被検体
P1…腹壁
P2…臓器
T1…第1トラカール
T2…第2トラカール