(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078832
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】CPAP装置の異常検知装置、及びCPAP装置
(51)【国際特許分類】
G01R 31/54 20200101AFI20240604BHJP
【FI】
G01R31/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191403
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慎
(72)【発明者】
【氏名】粉川 拓朗
(72)【発明者】
【氏名】竹原 優
【テーマコード(参考)】
2G014
【Fターム(参考)】
2G014AA02
2G014AA03
2G014AB52
2G014AB62
(57)【要約】
【課題】ヒータ抵抗における短絡状態及び断線状態を検知する。
【解決手段】異常検知装置500は、直流電源B、ヒータ抵抗R、スイッチング素子S1、コンデンサC1、及び電子回路100を備えている。直流電源Bは、高電位端子HT及び低電位端子LTを有している。ヒータ抵抗Rは、第1端子T1及び第2端子T2を有している。第1端子T1は、高電位端子HTに接続している。スイッチング素子S1は、第3端子T3及び第4端子T4を有している。第3端子T3は、第2端子T2に接続している。第4端子T4は低電位端子LTに接続している。コンデンサC1は、スイッチング素子S1に並列に接続している。電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたときの第3端子T3の電圧の変化に基づいて、ヒータ抵抗Rが正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高電位端子及び低電位端子を有する直流電源と、
第1端子及び第2端子を有し、前記第1端子が前記高電位端子に接続しているヒータ抵抗と、
第3端子及び第4端子を有し、前記第3端子が前記第2端子に接続しており、前記第4端子が前記低電位端子に接続しているスイッチング素子と、
前記スイッチング素子に並列に接続しているコンデンサと、
前記スイッチング素子のオンオフを制御する電子回路と、
を備えており、
前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたときの前記第3端子の電圧の変化に基づいて、前記ヒータ抵抗が正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知する
CPAP装置の異常検知装置。
【請求項2】
前記第3端子の電圧を、規定電圧と比較し、比較結果に応じた検知信号を出力するコンパレータと、をさらに備え、
前記電子回路は、前記検知信号に基づいて、前記ヒータ抵抗が断線状態であることを検知する
請求項1に記載のCPAP装置の異常検知装置。
【請求項3】
前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた後の前記第3端子の電圧上昇速度が、予め定められた規定速度よりも小さい場合に、前記ヒータ抵抗が短絡状態であることを検知する
請求項1に記載のCPAP装置の異常検知装置。
【請求項4】
前記コンデンサを未充電の状態から前記直流電源の電力で前記直流電源の電圧と等しい電圧まで蓄電するのに要する時間を規定時間としたとき、
前記電子回路は、
前記スイッチング素子を前記規定時間よりも短い時間、オン状態からオフ状態に切り替え、
前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた後、前記第3端子の電圧が上昇しないときには前記ヒータ抵抗が断線状態であることを検知し、
前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた後、前記第3端子の電圧が前記直流電源の電圧未満の範囲内で上昇したときには前記ヒータ抵抗が短絡状態であることを検知する
請求項1に記載のCPAP装置の異常検知装置。
【請求項5】
送風機を有するメインユニットと、
前記メインユニットに対して着脱可能であり、前記送風機が送風した空気を加湿する加湿器、及び前記加湿器が貯留する水を加熱するヒータ抵抗を有するサブユニットと、
前記ヒータ抵抗の異常を検知する異常検知部と、
を備え、
前記異常検知部は、
高電位端子及び低電位端子を有する直流電源と、
第1端子及び第2端子を有する前記ヒータ抵抗と、
第3端子及び第4端子を有し、前記第4端子が前記低電位端子に接続しているスイッチング素子と、
前記直流電源及び前記スイッチング素子に並列に接続しているコンデンサと、
前記スイッチング素子のオンオフを制御する電子回路と、
を有し、
前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられることに伴って、前記第1端子が前記高電位端子に接続され、前記第2端子が前記第3端子に接続され、
前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたときの前記第3端子の電圧の変化に基づいて、前記ヒータ抵抗が正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知する
CPAP装置。
【請求項6】
前記電子回路は、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられていることを条件に、前記ヒータ抵抗が断線状態であること、又は前記ヒータ抵抗が短絡状態であることを検知する
請求項5に記載のCPAP装置。
【請求項7】
前記異常検知部は、
定電圧源と、抵抗と、
を有し、
前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられることに伴って前記抵抗が前記定電圧源に直列接続され、
前記電子回路は、前記定電圧源と前記抵抗との間に位置するノードの電圧に基づいて、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられているか否かを判定する
請求項5に記載のCPAP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CPAP装置の異常検知装置、及びCPAP装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、ヒータの断線検知装置を開示している。ヒータの断線検知装置は、電源と、ヒータと、ヒータスイッチとを備えている。ヒータ及びヒータスイッチは、電源に対して直列に接続している。また、ヒータの断線検知装置は、フォトカプラと、抵抗と、電子回路と、を有している。フォトカプラは、発光部と受光部とを有している。発光部は、ヒータスイッチと並列に接続されている。受光部は、発光部が発した光を検知可能である。抵抗は、発光部に対して直列に、且つヒータスイッチに対して並列に接続している。
【0003】
電子回路は、ヒータスイッチのオン状態とオフ状態とを切り替える。ヒータスイッチがオン状態からオフ状態に変更された場合、発光部に電流が流れることにより、発光部が発光する。そして、受光部は、当該発光を受光することにより、オン状態になる。一方で、ヒータにおいて断線が発生している場合、ヒータスイッチがオフ状態に切り替えられたとしても、発光部に電流が流れない。そのため、受光部は、オフ状態になる。そして、電子回路は、受光部のオン状態又はオフ状態を検知することにより、ヒータに断線が生じているか否かを検知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のようなヒータにおいては、断線以外の異常が生じ得る。例えば、ヒータに対して電源側とヒータに対してヒータスイッチ側とが、短絡することがある。特許文献1の断線検知装置は、このようなヒータの短絡を検知することができない。したがって、ヒータの断線及びヒータの短絡を共に検知できる装置が求められる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、高電位端子及び低電位端子を有する直流電源と、第1端子及び第2端子を有し、前記第1端子が前記高電位端子に接続しているヒータ抵抗と、第3端子及び第4端子を有し、前記第3端子が前記第2端子に接続しており、前記第4端子が前記低電位端子に接続しているスイッチング素子と、前記スイッチング素子に並列に接続しているコンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する電子回路と、を備えており、前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたときの前記第3端子の電圧の変化に基づいて、前記ヒータ抵抗が正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知するCPAP装置の異常検知装置である。
【0007】
また、上記課題を解決するため、本発明は、送風機を有するメインユニットと、前記メインユニットに対して着脱可能であり、前記送風機が送風した空気を加湿する加湿器、及び前記加湿器が貯留する水を加熱するヒータ抵抗を有するサブユニットと、前記ヒータ抵抗の異常を検知する異常検知部と、を備え、前記異常検知部は、高電位端子及び低電位端子を有する直流電源と、第1端子及び第2端子を有する前記ヒータ抵抗と、第3端子及び第4端子を有し、前記第4端子が前記低電位端子に接続しているスイッチング素子と、前記直流電源及び前記スイッチング素子に並列に接続しているコンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する電子回路と、を有し、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられることに伴って、前記第1端子が前記高電位端子に接続され、前記第2端子が前記第3端子に接続され、前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたときの前記第3端子の電圧の変化に基づいて、前記ヒータ抵抗が正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知するCPAP装置である。
【0008】
上記構成によれば、スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたとき、ヒータ抵抗が正常状態の場合、断線状態の場合、短絡状態の場合のそれぞれで、第3端子の電圧の変化が異なっている。この電圧の変化に基づいて、電子回路は、ヒータ抵抗の状態を判定できる。
【発明の効果】
【0009】
ヒータ抵抗における短絡の有無と、ヒータにおける断線の有無とを検知できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】
図3は、CPAP装置の異常検知装置の回路図である。
【
図4】
図4は、正常時におけるスイッチング素子のオンオフ、第3端子の電圧、及びコンパレータの出力のタイミングチャートである。
【
図5】
図5は、断線が発生したときのスイッチング素子のオンオフ、第3端子の電圧、及びコンパレータの出力のタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、短絡が発生したときのスイッチング素子のオンオフ、第3端子の電圧、及びコンパレータの出力のタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、Continuous Positive Airway Pressure装置(以下、CPAP装置と記載する。)の異常検知装置の一実施形態について説明する。なお、図面は理解を容易にするために構成要素を拡大して示している場合がある。構成要素の寸法比率は実際のものと、又は別の図中のものと異なる場合がある。
【0012】
<CPAP装置の構造>
先ず、CPAP装置10の全体構成を説明する。
図1に示すように、CPAP装置10は、メインユニットMUと、サブユニットSUと、を備えている。サブユニットSUをメインユニットMUに取り付けた状態、すなわちCPAP装置10の使用状態では、CPAP装置10は、全体として略直方体状になっている。
【0013】
CPAP装置10のメインユニットMUは、略直方体状である。
図2に示すように、メインユニットMUは、送風機20を有している。送風機20は、空気を圧送するための送風ファンを格納している。また、メインユニットMUは、上流側流路61と、下流側流路62と、を有している。上流側流路61及び下流側流路62は、メインユニットMU内に区画されている。上流側流路61及び下流側流路62は、送風機20に接続している。送風機20は、上流側流路61内の空気を吸い込んで、下流側流路62に圧送する。
【0014】
図1に示すように、メインユニットMUは、操作部21を有している。操作部21は、メインユニットMUのうちの上面に位置している。操作部21は、送風機20のオンオフ等を操作するためのものである。
【0015】
CPAP装置10のサブユニットSUは、幅方向からの側面視でL字状になっている。そして、サブユニットSUのL字の内側にメインユニットMUを取り付けることで、上述したように、CPAP装置10が略直方体形状になる。すなわち、サブユニットSUは、メインユニットMUに対して着脱可能である。
【0016】
図2に示すように、サブユニットSUは、加湿器30と、サイレンサ40と、ヒータユニットHUと、を有している。サイレンサ40は、送風機20の駆動に伴って生じる騒音を消音するためのものである。図示は省略するが、サイレンサ40は、空気の流通路と、流通路内の空気の圧力変動が伝達可能な消音室とを有している。加湿器30は、内部に水を貯留可能である。加湿器30の内部には、送風機20の送風ファンから圧送された空気が流入可能である。
【0017】
ヒータユニットHUは、加湿器30に隣接している。ヒータユニットHUは発熱体として、後述のヒータ抵抗Rを有している。ヒータユニットHUは、加湿器30内に貯留された水を加熱する。加湿器30内の水は、ヒータユニットHUに加熱されることで揮発しやすくなる。これにより、加湿器30内の空気が加湿される。
【0018】
サブユニットSUは、第1流路51と、第2流路52と、第3流路53と、第4流路54と、を有している。第1流路51は、サブユニットSU内部に区画されている。第1流路51の第1端は、サブユニットSUの外部に開口している。第1流路51の第2端は、サイレンサ40に接続している。第2流路52は、サブユニットSU内部に区画されている。第2流路52の第1端は、サイレンサ40に接続している。第2流路52の第2端は、サブユニットSUの外部に開口している。
【0019】
第3流路53は、サブユニットSU内部に区画されている。第3流路53の第1端は、サブユニットSUの外部に開口している。第3流路53の第2端は、加湿器30に接続している。第4流路54は、サブユニットSU内部に区画されている。第4流路54の第1端は、加湿器30に接続している。第4流路54の第2端は、サブユニットSUの外部に開口している。
【0020】
図1に示すように、CPAP装置10は、ホース91と、マスク92と、を備えている。
図2に示すように、ホース91の第1端は、第4流路54の第2端に接続している。マスク92は、ホース91の第2端に接続している。
図1に示すように、マスク92は、使用者93の鼻又は口を覆うようにして取り付けられる。なお、図示は省略するが、ホース91の第1端は、メインユニットMUにおける下流側流路62に接続することもできる。
【0021】
<使用状態における空気の流通経路について>
上述したとおり、サブユニットSUは、メインユニットMUに対して取り付け可能である。サブユニットSUをメインユニットMUに取り付けた状態では、メインユニットMUの各流路とサブユニットSUの各流路とが一つながりとなる。具体的には、
図2に示すように、メインユニットMUの上流側流路61は、サブユニットSUにおける第2流路52の第2端に接続する。また、メインユニットMUの下流側流路62は、サブユニットSUにおける第3流路53の第1端に接続する。したがって、送風機20が駆動すると、第1流路51から取り込まれた空気が、サイレンサ40、第2流路52、上流側流路61を経て送風機20へと至る。そして、送風機20が圧送した空気は、下流側流路62、第3流路53、加湿器30、第4流路54、ホース91を経てマスク92へと至る。
【0022】
なお、図示は省略するが、CPAP装置10は、メインユニットMUからサブユニットSUを取り外した状態でも、使用可能である。この場合、空気は、上流側流路61、送風機20、下流側流路62、ホース91を経てマスク92へと至る。
【0023】
<CPAP装置の電子回路について>
図2に示すように、メインユニットMUは、電子回路100と、バッテリ101と、を備えている。電子回路100は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサ、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはそれらの組み合わせ、を含む回路(circuitry)として構成し得る。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリを含み、メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0024】
電子回路100は、操作部21から操作を示す信号を取得する。電子回路100は、操作部21から取得した信号に基づいて、送風機20に対して制御信号BAを出力する。電子回路100は、制御信号BAを通じて、送風機20のオンオフ、回転数などを制御する。また、電子回路100は、ヒータユニットHUに対して制御信号HAを出力する。電子回路100は、制御信号HAを通じて、ヒータユニットHUの発熱量を制御する。
【0025】
バッテリ101は、電子回路100に電力を供給する。バッテリ101は、繰り返し充電可能な二次電池である。また、サブユニットSUをメインユニットMUに取り付けた状態では、バッテリ101は、サブユニットSUのヒータユニットHUに電力を供給する。
【0026】
<CPAP装置の異常検知装置について>
CPAP装置10の異常検知装置500の回路について説明する。
図3に示すように、異常検知装置500は、直流電源Bと、ヒータ抵抗Rと、コンデンサC1と、スイッチング素子S1と、を備えている。
【0027】
直流電源Bは、高電位端子HT及び低電位端子LTを有している。直流電源Bは、例えば上述のバッテリ101である。直流電源Bの低電位端子LTは、グランド電位GVになっている。ヒータ抵抗Rは、第1端子T1と第2端子T2とを有している。ヒータ抵抗Rの第1端子T1は、直流電源Bの高電位端子HTに接続している。ヒータ抵抗Rは、上述したヒータユニットHUの発熱体を構成している。
【0028】
スイッチング素子S1は、N型のMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)である。スイッチング素子S1は、第3端子T3と第4端子T4とを有している。スイッチング素子S1の第3端子T3は、ヒータ抵抗Rの第2端子T2に接続している。スイッチング素子S1の第4端子T4は、直流電源Bの低電位端子LTに接続している。なお、スイッチング素子S1の第3端子T3はドレイン端子であり、スイッチング素子S1の第4端子T4はソース端子である。
【0029】
コンデンサC1は、第5端子T5と第6端子T6とを有している。コンデンサC1の第5端子T5は、直流電源Bの高電位端子HTに接続している。コンデンサC1の第6端子T6は、直流電源Bの低電位端子LTに接続している。すなわち、コンデンサC1は、ヒータ抵抗R及びスイッチング素子S1に対して並列に接続している。
【0030】
異常検知装置500は、電圧計102を備えている。電圧計102は、スイッチング素子S1の第3端子T3の電圧、具体的には、スイッチング素子S1の第3端子T3とグランド電位GVとの電位差を検知する。電圧計102は、検知した電位差を電子回路100に出力する。
【0031】
また、異常検知装置500は、コンパレータCPと、上述した電子回路100と、を備えている。コンパレータCPは、第1定電圧源V1と、第1抵抗CR1と、第2抵抗CR2と、ダイオードDと、を有している。
【0032】
第1抵抗CR1は、第7端子T7と第8端子T8とを有している。第1抵抗CR1の第7端子T7は、第1定電圧源V1に接続している。第1抵抗CR1の第8端子T8は、ダイオードDを介してスイッチング素子S1の第3端子T3に接続している。また、第1抵抗CR1の第8端子T8は、第2抵抗CR2及び電子回路100に接続している。
【0033】
第2抵抗CR2は、第9端子T9と第10端子T10とを有している。第2抵抗CR2の第9端子T9は、スイッチング素子S1の第3端子T3に接続している。第2抵抗CR2の第10端子T10は、グランド電位GVになっている。第2抵抗CR2の抵抗値は、第1抵抗CR1の抵抗値よりも十分に小さくなっている。また、第2抵抗CR2の抵抗値は、ヒータ抵抗Rの抵抗値よりも十分に大きくなっている。
【0034】
ダイオードDは、第1定電圧源V1側からスイッチング素子S1の第3端子T3側へ電流が流れることを許容する。その一方で、ダイオードDは、スイッチング素子S1の第3端子T3側から第1定電圧源V1側へと電流が流れることを許容しない。
【0035】
コンパレータCPは、スイッチング素子S1の第3端子T3の電圧を、規定電圧VRと比較し、比較結果に応じた検知信号を電子回路100に出力する。具体的には、第3端子T3の電圧が、規定電圧VRの電圧に対して大きい場合、コンパレータCPは、電子回路100にHレベルの電圧を、検知信号として出力する。また、第3端子T3の電圧が、規定電圧VRに対して小さい場合、コンパレータCPは、電子回路100に、上記Hレベルの電圧よりも低い電圧であるLレベルの電圧を、検知信号として出力する。なお、規定電圧VRは、第1定電圧源V1の電圧及び第1抵抗CR1の抵抗値に基づいて定まる電圧である。また、上述したとおり、第1抵抗CR1の抵抗値が十分に大きいので、上記規定電圧VRは、直流電源Bの電圧よりも小さな値となる。
【0036】
電子回路100は、スイッチング素子S1に、制御信号ESを出力する。具体的には、電子回路100は、スイッチング素子S1のゲート端子に、Hレベル又はLレベルの制御信号ESを出力する。なお、スイッチング素子S1は、Hレベルの制御信号ESを受けたときにオン状態となる一方で、Lレベルの制御信号ESを受けたときにオフ状態となる。
【0037】
異常検知装置500は、第2定電圧源V2と、第3抵抗CR3と、サーミスタ抵抗TH1と、を備えている。
第3抵抗CR3は、第11端子T11と第12端子T12とを有している。第3抵抗CR3の第11端子T11は、第2定電圧源V2に接続している。第3抵抗CR3の第12端子T12は、サーミスタ抵抗TH1及び電子回路100に接続している。換言すると、サーミスタ抵抗TH1は、第3抵抗CR3を介して、第2定電圧源V2に直列に接続している。
【0038】
サーミスタ抵抗TH1は、温度に応じて抵抗値が変化する。具体的には、サーミスタ抵抗TH1は、温度が高いほど抵抗値が小さくなるという負特性のものである。サーミスタ抵抗TH1は、第13端子T13と第14端子T14とを有している。サーミスタ抵抗TH1の第13端子T13は、第3抵抗CR3の第12端子T12に接続している。サーミスタ抵抗TH1の第14端子T14は、グランド電位GVになっている。このサーミスタ抵抗TH1は、上述の加湿器30内の温度が伝達される箇所に位置している。
【0039】
異常検知装置500を構成する各素子のうち、直流電源Bと、コンデンサC1と、スイッチング素子S1と、コンパレータCPと、第2定電圧源V2と、第3抵抗CR3と、電子回路100と、は、メインユニットMUに内蔵されている。一方、ヒータ抵抗Rと、サーミスタ抵抗TH1と、は、サブユニットSUに内蔵されている。したがって、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられることに伴って、ヒータ抵抗Rの第1端子T1が高電位端子HTに接続され、ヒータ抵抗Rの第2端子T2がスイッチング素子S1の第3端子T3に接続される。また、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられることに伴って、サーミスタ抵抗TH1の第13端子T13が第3抵抗CR3の第12端子T12に接続される。
【0040】
一方で、サブユニットSUをメインユニットMUから取り外した状態では、ヒータ抵抗Rは、直流電源Bから切り離される。また、サブユニットSUをメインユニットMUから取り外した状態では、サーミスタ抵抗TH1は、第2定電圧源V2から切り離される。
【0041】
<取り付け判定制御について>
電子回路100は、上述した送風機20等の制御の他に、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられているか否かを判定する制御、及び、ヒータ抵抗Rの異常を検知する制御を行う。
【0042】
取り付け判定制御では、電子回路100は、第2定電圧源V2とサーミスタ抵抗TH1との間に位置するノードの電圧に基づいて、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられているか否かを判定する。この実施形態では、上記ノードは、第3抵抗CR3の第12端子T12である。具体的には、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられている場合、第12端子T12の電圧は、加湿器30内に貯留されている水の温度によって変化する。具体的には、サーミスタ抵抗TH1の温度が小さいほど抵抗値が大きくなるため、サーミスタ抵抗TH1の温度が小さいほど第12端子T12の電圧は大きくなる。一方で、サーミスタ抵抗TH1の温度が大きいほど抵抗値が小さくなるため、サーミスタ抵抗TH1の温度が大きいほど第12端子T12の電圧は小さくなる。
【0043】
なお、電子回路100は、第12端子T12の電圧が目標の電圧に一致するように、スイッチング素子S1に制御信号ESを出力する。例えば、電子回路100は、制御信号ESのHレベル及びLレベルのデューティ比を変化させる。これにより、加湿器30内の水の温度が概ね一定に保たれる。
【0044】
サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられていない場合、第12端子T12の電圧は、第2定電圧源V2の電圧値及び第3抵抗CR3の抵抗値に応じた一定値となる。したがって、電子回路100は、第3抵抗CR3の第12端子T12の電圧値が上記一定値である場合には、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられていないと判定する。そして、電子回路100は、第3抵抗CR3の第12端子T12の電圧が上記一定値とは異なる場合には、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられていると判定する。
【0045】
<異常検知制御について>
電子回路100は、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられていることを条件に、異常検知制御を実行する。異常検知制御では、電子回路100は、ヒータ抵抗Rの異常を検知する。具体的には、電子回路100は、ヒータ抵抗Rの使用中に、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替える。そして、電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたときの第3端子T3の電圧の変化に基づいて、ヒータ抵抗Rが正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知する。
【0046】
なお、以下の説明では、各素子を繋ぐ配線の抵抗、オン状態のときのスイッチング素子S1の抵抗がゼロであるものとして説明する。また、電圧計102が検知するスイッチング素子S1の第3端子T3の電位と基準電位であるグランド電位GVとの電位差を、単に「第3端子T3の電圧」と呼称することがある。
【0047】
図4に示すように、電子回路100は、スイッチング素子S1がオン状態及びオフ状態のときの電圧計102から第3端子T3の電圧をそれぞれ取得する。また、電子回路100は、コンパレータCPから信号を取得する。なお、電子回路100がスイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替える時間は、予め実験及びシミュレーション等で定められる第1規定時間よりも短い時間である。この第1規定時間は、コンデンサC1を未充電の状態から直流電源Bの電力で直流電源Bの電圧と等しい電圧まで蓄電するのに要する時間である。さらに、この実施形態では、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替える時間は、第1規定時間よりもさらに短い第2規定時間よりも短い時間に定められている。第2規定時間は、コンデンサC1を未充電の状態から直流電源Bの電圧で第1定電圧源V1の電圧まで蓄電するのに要する時間である。
【0048】
先ず、ヒータ抵抗Rが正常状態、すなわち断線も短絡も生じていない状態について説明する。
図4に示すように、この正常状態下でスイッチング素子S1がオン状態のとき、第3端子T3の電圧はグランド電位GVとなる。したがって、電子回路100は、電圧計102から第3端子T3の電圧としてゼロを取得する。また、第3端子T3の電位がグランド電位GVであるため、電子回路100は、コンパレータCPからLレベルの検知信号を取得する。
【0049】
一方で、正常状態下でスイッチング素子S1がオフ状態のとき、第3端子T3の電圧は、直流電源Bの電圧に略等しい第1電圧VPとなる。すなわち、電子回路100は、電圧計102から第3端子T3の電圧として第1電圧VPを取得する。なお、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたとき、第3端子T3の電圧は、瞬間的に第1電圧VPに上昇する。そして、第3端子T3の電圧が、規定電圧VRより高い第1電圧VPであるので、スイッチング素子S1がオフ状態のとき、電子回路100は、コンパレータCPからHレベルの検知信号を取得する。
【0050】
上記のことから、電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えた後に、コンパレータCPからHレベルの検知信号を取得したときに、ヒータ抵抗Rが正常状態であることを検知する。
【0051】
次に、ヒータ抵抗Rに断線が発生している断線状態について説明する。
図5に示すように、この断線状態下でスイッチング素子S1がオン状態のとき、第3端子T3の電圧は、スイッチング素子S1の第4端子T4の電圧と等しくなるため、グランド電位GVとなる。すなわち、電子回路100は、電圧計102から第3端子T3の電圧としてゼロを取得する。また、スイッチング素子S1がオン状態のとき、第3端子T3の電圧はグランド電位GVであるので、電子回路100は、コンパレータCPからLレベルの検知信号を取得する。
【0052】
一方で、断線状態下でスイッチング素子S1がオフ状態のとき、ヒータ抵抗Rが断線しているため、第3端子T3の電圧は、第1抵抗CR1の抵抗値及び第2抵抗CR2の抵抗値に応じた値となる。ここで、上述したとおり、第1抵抗CR1の抵抗値は、第2抵抗CR2の抵抗値に対して十分に大きい。したがって、第3端子T3の電圧は、ゼロに近い値となる。すなわち、電子回路100は、電圧計102から第3端子T3の電圧としてゼロに近い値を取得する。なお、
図5では、便宜上、このときの第3端子T3の電圧をゼロであるものとして図示している。また、スイッチング素子S1がオフ状態のとき、電子回路100は、コンパレータCPからLレベルの検知信号を取得する。
【0053】
上記のことから、電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えた後、第3端子T3の電圧が上昇しないときには、ヒータ抵抗Rが断線状態であることを検知する。また、電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたとき、Lレベルの検知信号を取得することにより、ヒータ抵抗Rが断線状態であることを検知する。
【0054】
次に、ヒータ抵抗Rに短絡が発生している短絡状態について説明する。なお、ここでいうヒータ抵抗Rの短絡とは、直流電源Bの高電位端子HTがヒータ抵抗Rを介さずにスイッチング素子S1の第3端子T3に接続したような状態である。
図6に示すように、短絡状態下でスイッチング素子S1がオン状態のとき、第3端子T3の電圧は、グランド電位GVとなる。すなわち、電子回路100は、電圧計102から第3端子T3の電圧としてゼロを取得する。そして、短絡状態下でスイッチング素子S1がオン状態のとき、第3端子T3の電圧がグランド電位GVであるので、電子回路100は、コンパレータCPからLレベルの検知信号を取得する。
【0055】
なお、短絡状態下でスイッチング素子S1がオン状態のとき、コンデンサC1の第5端子T5の電位は、スイッチング素子S1を介してグランド電位GVに落とされる。したがって、コンデンサC1は、未充電の状態となっている。
【0056】
一方で、短絡状態下でスイッチング素子S1をオフ状態に切り替えた後、第3端子T3の電圧は、変化する。具体的には、スイッチング素子S1がオン状態からオフ状態に切り替えられた瞬間の第3端子T3の電位は、グランド電位GVである。その後、直流電源BからコンデンサC1に電力が充電される。すなわち、コンデンサC1の第5端子T5の電位は、徐々に上昇する。短絡状態下では第5端子T5の電位と第3端子T3の電位は等しいため、電圧計102から取得される第3端子T3の電位も上昇する。ここで、上述したとおり、スイッチング素子S1がオフ状態に切り替えられる時間は、第2規定時間よりも短い時間である。そのため、第3端子T3の電圧は、規定電圧VR未満の範囲内で上昇する。さらに、第3端子T3の電位の上昇速度は、正常状態下でスイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたときの第3端子T3の電位の上昇速度よりも小さい。
【0057】
上記のことから、電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えた後、第3端子T3の電圧が規定電圧VR未満の範囲内で上昇した場合に、第3端子T3の電圧上昇速度が小さいことを検知する。そして、電子回路100は、これをもってヒータ抵抗Rが短絡状態であることを検知する。
【0058】
<本実施形態の効果>
(1)上記実施形態の異常検知装置500の回路構成によれば、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたとき、ヒータ抵抗Rが正常状態の場合、断線状態の場合、短絡状態の場合のそれぞれで、第3端子T3の電圧の変化の仕方が異なっている。そのため、当該第3端子T3の電圧の変化に基づいて、電子回路100は、ヒータ抵抗Rの状態が、正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態を検知できる。
【0059】
(2)上記実施形態では、電子回路100は、コンパレータCPからの検知信号に基づいて、ヒータ抵抗Rが断線状態であることを検知できる。具体的には、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたとき、コンパレータCPからLレベルの検知信号を取得することにより、電子回路100は、ヒータ抵抗Rが断線状態であることを検知できる。
【0060】
(3)上記実施形態では、電子回路100は、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えた後の第3端子T3の電圧上昇速度が小さい場合に、ヒータ抵抗Rが短絡状態であることを検知する。具体的には、ヒータ抵抗Rが短絡状態にあるときには、スイッチング素子S1の第3端子T3の電圧は、規定電圧VR未満の範囲内で、徐々に上昇する。このような上昇の仕方を検知することで、電子回路100は、ヒータ抵抗Rの短絡状態を検知できる。
【0061】
(4)仮に、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられていない状態で異常検知制御を実行した場合、電子回路100は、ヒータ抵抗Rが正常であるか否かに拘わらず、ヒータ抵抗Rが断線状態の場合と同様の各種信号を受信する。サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられていることを条件に異常検知制御を実行することで、電子回路100がヒータ抵抗Rの断線状態を誤検知することを防げる。
【0062】
(5)上記実施形態では、異常検知制御においてスイッチング素子S1をオフ状態にする時間は、第1規定時間よりも短い時間である。そして、この第1規定時間は、コンデンサC1を未充電の状態から直流電源Bの電力で直流電源Bの電圧と等しい電圧まで蓄電するのに要する時間である。つまり、異常検知制御においてスイッチング素子S1をオフ状態にする時間は、極めて短い時間である。したがって、異常検知制御を行ったとしても、ヒータ抵抗Rの発熱量に与える影響は極めて軽微である。つまり、ヒータユニットHUによって加湿器30内の水を加熱しながら、上記の異常検知制御を行ったとしても、ユーザが感知できるほどの影響は与えにくい。
【0063】
(6)上記実施形態では、スイッチング素子S1をオフ状態に切り替える時間は第2規定時間よりも短い時間である。したがって、ヒータ抵抗Rが短絡状態でスイッチング素子S1をオフ状態に切り替えたときに、スイッチング素子S1の第3端子T3の電圧が規定電圧VRを超えることがない。換言すれば、ヒータ抵抗Rが短絡状態のときにコンパレータCPから電子回路100にHレベルの検知信号が出力されることがない。したがって、ヒータ抵抗Rが短絡状態であるにも拘らず、電子回路100が、ヒータ抵抗Rが正常状態であると誤判定するおそれを低減できる。
【0064】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0065】
・上記実施形態において、メインユニットMU及びサブユニットSUの形状等の構造は問わない。また、CPAP装置10は、メインユニットMU及びサブユニットSUが一体化した1つのユニットで構成されていてもよい。
【0066】
・上記実施形態において、コンパレータCPの構成は上記実施形態の例に限定されない。例えば特許文献1の
図2に図示されているような回路構成、すなわち定電圧源、フォトカプラ、及び抵抗を用いたコンパレータCPであってもよい。このようにコンパレータCPは、スイッチング素子S1の第3端子T3の電位が、直流電源Bの高電位端子HTに応じた電位なのか、グランド電位GVに応じた電位なのかを検知できるものであれば問わない。
【0067】
・上記実施形態において、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられているか否かを判定するのみであれば、サーミスタ抵抗TH1に代えて、抵抗値が固定の抵抗を採用してもよい。
【0068】
・上記実施形態において、異常検知装置500の各素子のうち、サーミスタ抵抗TH1、第2定電圧源V2、及び第3抵抗CR3を省略してもよい。また、これに伴い、電子回路100は、上記実施形態における取り付け判定制御を省略可能である。また、電子回路100は、別の方法においてサブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられているか否かを判定してもよい。
【0069】
・上記実施形態において、電子回路100は、サブユニットSUがメインユニットMUに取り付けられているか否かに拘わらず異常検知制御を実行してもよい。また、電子回路100は、異常検知制御と、取り付け判定制御を同時に実行してもよい。
【0070】
・上記実施形態において、異常検知装置500は、コンパレータCPを省略してもよい。電子回路100は、少なくとも、第3端子T3の電圧の変化を検知可能であれば、ヒータ抵抗Rの状態を検知できる。
【0071】
・上記実施形態において、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替える時間は、第2規定時間より長くてもよい。この場合、ヒータ抵抗Rが短絡状態であってもコンパレータCPがHレベルの検知信号を出力する可能性がある。したがって、この変更例の場合には、スイッチング素子S1をオフ状態にしたときに、第3端子T3の電圧の上昇速度が小さければ、コンパレータCPの出力に拘わらず、ヒータ抵抗Rが短絡状態であることを検知すればよい。
【0072】
・上記実施形態では、スイッチング素子S1の第3端子T3の電圧が規定電圧VR未満の範囲内で徐々に上昇することをもって、第3端子T3の電圧上昇速度が小さいものとした。これに代えて、第3端子T3の電圧上昇速度を、予め定められた規定速度と比較することにより、第3端子T3の電圧上昇速度が小さいことを検知してもよい。なお、上述したとおり、ヒータ抵抗Rが正常状態であれば、スイッチング素子S1をオン状態からオフ状態に切り替えたときに、第3端子T3の電圧は瞬間的に上昇する。つまり、このときの第3端子T3の電圧の上昇速度は非常に大きい。したがって、上記の規定速度は、ヒータ抵抗Rが正常状態であるときの第3端子T3の電圧上昇速度と切り分けることができるような値として定めておけばよい。この構成においても、電子回路100は、ヒータ抵抗Rの短絡状態を適切に検知できる。なお、この変更例の場合は、スイッチング素子S1をオフ状態に切り替える時間は、上記実施形態の第1規定時間以上の時間であっても構わない。
【0073】
・上記実施形態において、コンデンサC1は、スイッチング素子S1に対して並列に接続していれば、その接続位置は問わない。例えば、コンデンサC1の第5端子T5は、ヒータ抵抗Rの第2端子T2に接続していてもよい。
【0074】
・直流電源Bの高電位端子HTとヒータ抵抗Rの第1端子T1との間に、抵抗などの他の素子が介在していてもよい。この場合でも、ヒータ抵抗Rの第1端子T1は、直流電源Bの高電位端子HTに接続しているという。この点、ヒータ抵抗Rの第2端子T2とスイッチング素子S1の第3端子T3との間に関しても同様である。
【0075】
上記実施形態及び変更例から導き出せる技術思想を以下に記載する。
[1]高電位端子及び低電位端子を有する直流電源と、第1端子及び第2端子を有し、前記第1端子が前記高電位端子に接続しているヒータ抵抗と、第3端子及び第4端子を有し、前記第3端子が前記第2端子に接続しており、前記第4端子が前記低電位端子に接続しているスイッチング素子と、前記スイッチング素子に並列に接続しているコンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する電子回路と、を備えており、前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたときの前記第3端子の電圧の変化に基づいて、前記ヒータ抵抗が正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知するCPAP装置の異常検知装置。
【0076】
[2]前記第3端子の電圧を、規定電圧と比較し、比較結果に応じた検知信号を出力するコンパレータと、をさらに備え、前記電子回路は、前記検知信号に基づいて、前記ヒータ抵抗が断線状態であることを検知する[1]に記載のCPAP装置の異常検知装置。
【0077】
[3]前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた後の前記第3端子の電圧上昇速度が、予め定められた規定速度よりも小さい場合に、前記ヒータ抵抗が短絡状態であることを検知する[1]または[2]に記載のCPAP装置の異常検知装置。
【0078】
[4]前記コンデンサを未充電の状態から前記直流電源の電力で前記直流電源の電圧と等しい電圧まで蓄電するのに要する時間を規定時間としたとき、前記電子回路は、前記スイッチング素子を前記規定時間よりも短い時間、オン状態からオフ状態に切り替え、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた後、前記第3端子の電圧が上昇しないときには前記ヒータ抵抗が断線状態であることを検知し、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えた後、前記第3端子の電圧が前記直流電源の電圧未満の範囲内で上昇したときには前記ヒータ抵抗が短絡状態であることを検知する[1]~[3]のいずれか1つに記載のCPAP装置の異常検知装置。
【0079】
[5]送風機を有するメインユニットと、前記メインユニットに対して着脱可能であり、前記送風機が送風した空気を加湿する加湿器、及び前記加湿器が貯留する水を加熱するヒータ抵抗を有するサブユニットと、前記ヒータ抵抗の異常を検知する異常検知部と、を備え、前記異常検知部は、高電位端子及び低電位端子を有する直流電源と、第1端子及び第2端子を有する前記ヒータ抵抗と、第3端子及び第4端子を有し、前記第4端子が前記低電位端子に接続しているスイッチング素子と、前記直流電源及び前記スイッチング素子に並列に接続しているコンデンサと、前記スイッチング素子のオンオフを制御する電子回路と、を有し、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられることに伴って、前記第1端子が前記高電位端子に接続され、前記第2端子が前記第3端子に接続され、前記電子回路は、前記スイッチング素子をオン状態からオフ状態に切り替えたときの前記第3端子の電圧の変化に基づいて、前記ヒータ抵抗が正常状態であるか、断線状態であるか、短絡状態であるかを検知するCPAP装置。
【0080】
[6]前記電子回路は、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられていることを条件に、前記ヒータ抵抗が断線状態であること、又は前記ヒータ抵抗が短絡状態であることを検知する[5]に記載のCPAP装置。
【0081】
[7]前記異常検知部は、定電圧源と、抵抗と、を有し、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられることに伴って前記抵抗が前記定電圧源に直列接続され、前記電子回路は、前記定電圧源と前記抵抗との間に位置するノードの電圧に基づいて、前記サブユニットが前記メインユニットに取り付けられているか否かを判定する[5]または[6]に記載のCPAP装置。
【符号の説明】
【0082】
B…直流電源
C1…コンデンサ
CP…コンパレータ
HT…高電位端子
LT…低電位端子
R…ヒータ抵抗
S1…スイッチング素子
T1…第1端子
T2…第2端子
T3…第3端子
T4…第4端子
10…CPAP装置
20…送風機
30…加湿器
100…電子回路
500…異常検知装置