(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078839
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】コンクリートブロック
(51)【国際特許分類】
E02D 29/02 20060101AFI20240604BHJP
E02B 7/02 20060101ALI20240604BHJP
E02D 17/20 20060101ALI20240604BHJP
E02B 3/14 20060101ALI20240604BHJP
E02B 3/02 20060101ALI20240604BHJP
E02B 5/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
E02D29/02 304
E02B7/02 B
E02D17/20 103H
E02B3/14 301
E02B3/02 C
E02B3/14
E02B5/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191414
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】592259794
【氏名又は名称】本間コンクリート工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003063
【氏名又は名称】弁理士法人牛木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 雅俊
【テーマコード(参考)】
2D044
2D048
2D118
【Fターム(参考)】
2D044DB53
2D048AA32
2D118AA06
2D118BA03
2D118CA07
2D118FA06
2D118HA03
2D118HA11
2D118HA17
2D118HA20
2D118HA33
2D118HB04
2D118HD03
(57)【要約】
【課題】上下のコンクリートブロックの位置合わせ作業が容易で施工性に優れたコンクリートブロックを提供する。
【解決手段】ブロック本体2の天端面3に複数の突起部21L,21,21R,22L,22,22Rを設けると共に、ブロック本体2の底面4に突起部21L,21,21R,22L,22,22Rに対応して溝部32L,31,32Rを設けたコンクリートブロック1において、溝部32L,31,32Rがブロック本体2の対向する側面たる前側面5と後側面6の間に連続すると共に前側面5と後側面6で開口するから、向きを合わせてブロック本体2,2を並べると、複数のブロック本体2,2の底面4に連続する溝部32L,31,32Rを形成することができ、上下のコンクリートブロック1の位置合わせ作業が容易となる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロック本体の天端面に複数の突起部を設けると共に、前記ブロック本体の底面に前記突起部に対応して溝部を設けたコンクリートブロックにおいて、前記溝部が前記ブロック本体の対向する側面間に連続すると共に前記側面で開口することを特徴とするコンクリートブロック。
【請求項2】
前記対向する側面の一方に側面突起部を設けると共に、前記対向する側面の他方に前記側面突起部が係入する受け溝を設けたことを特徴とする請求項1記載のコンクリートブロック。
【請求項3】
前記ブロック本体は4つの側面を有し、これら4つの側面の1つに側面突起部を設けると共に、他の3つの側面に前記側面突起部が係入する受け溝を設けた特徴とする請求項1記載のコンクリートブロック。
【請求項4】
前記ブロック本体を上下に重ね合わせ、下の前記ブロック本体の前記突起部を上の前記ブロック本体の前記溝部に係入した状態で、上の前記ブロック本体を前記溝部の長さ方向に移動可能なことを特徴とする請求項2又は3記載のコンクリートブロック。
【請求項5】
下の前記ブロック本体の前記突起部を上の前記ブロック本体の前記溝部に係入することにより、下の前記ブロック本体に対して上の前記ブロック本体が前記溝部の長さ方向に位置決めされることを特徴とする請求項2又は3記載のコンクリートブロック。
【請求項6】
下の前記ブロック本体の前記突起部を上の前記ブロック本体の前記溝部に係入することにより、下の前記ブロック本体に対して上の前記ブロック本体が前記溝部の幅方向に位置決めされることを特徴とする請求項4記載のコンクリートブロック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並設又は/及び積み重ねて構造体を形成するコンクリートブロックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、法面、砂防堰堤工、護岸工、土留工、護床工、根固工、落差工などには、コンクリートブロックが並設又は/及び積み重ねて用いられている。
【0003】
例えば、コンクリートブロックである被覆用ブロック(例えば特許文献1)では、方形のブロックの4側面のうち2側面の中央上面側に突起を設け、他の側面にこの突起と係合する凹部を設け、また、この突起と凹部との、上下左右の噛み合わせにより、ブロックの浮き上がり等に対して隣接ブロックが錘りとして作用し、並設するコンクリートブロックを一体化することができる。
【0004】
また、構造物を構築するコンクリートブロック(例えば特許文献2)では、基本単位が、直方体形状の本体部の上面中央部に角錐台又は円錐台形状の突出部が形成されており、その底面中央部には当該突出部がゆとりをもって嵌入することができる大きさ及び形状の嵌入穴が刻設されている立体形状物であり、この基本単位2個を、突出部同士が同じ方向を向くように、突出部を上にして相互の同形状の側面同士を密着させた立体形状物を二体型コンクリートブロックとし、この二体型コンクリートブロック本体2個を並列に配列して密着させた形状としている。
【0005】
上記特許文献2のコンクリートブロックで、例えば突起部を4個設けたものでは、コンクリートブロックを真上に積んだり、上下のコンクリートブロックを半分ずらして斜めに積んだりすることができる。
【0006】
しかし、上記特許文献1の被覆用ブロックでは、突起と凹部の噛み合いにより隣り合うブロックを一体化することができるが、被覆用ブロックを上下に積み上げる場合、安定性に欠ける面がある。
【0007】
一方、上記特許文献2のコンクリートブロックで突起部を4個設けたものでは、突起部を嵌合孔に嵌入することにより積上げた状態で安定するが、法面などの前面に、上下のコンクリートブロックを半分ずらして斜めに積み上げる場合、法面の傾斜に対応して積むことができないという問題がある。
【0008】
さらに、コンクリートブロックで突起部を4個設けたものでは、下に2つのコンクリートブロックを左右に並設し、これら2つのコンクリートブロックの中央に上のコンクリートブロックを重ねる場合、下の左のコンクリートブロックの右側の2個の突起部と、下の右のコンクリートブロックの左側の2個の突起部とに、上のコンクリートブロックの嵌合孔を合わせるようにして上のコンクリートブロックを吊下す必要があり、下の左右のコンクリートブロックが正確に位置合わせされていないと、嵌合孔に突起部が上手く嵌合しない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】実開平5-16825号公報
【特許文献2】特開2012-1958号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、上記問題点を解決するものであり、コンクリートブロックの位置合わせ作業が容易で施工性に優れたコンクリートブロックを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1の発明は、ブロック本体の天端面に複数の突起部を設けると共に、前記ブロック本体の底面に前記突起部に対応して溝部を設けたコンクリートブロックにおいて、前記溝部が前記ブロック本体の対向する側面間に連続すると共に前記側面で開口することを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、前記対向する側面の一方に側面突起部を設けると共に、前記対向する側面の他方に前記側面突起部が係入する受け溝を設けたことを特徴とする。
【0013】
請求項3の発明は、前記ブロック本体は4つの側面を有し、これら4つの側面の1つに側面突起部を設けると共に、他の3つの側面に前記側面突起部が係入する受け溝を設けた特徴とする。
【0014】
請求項4の発明は、前記ブロック本体を上下に重ね合わせ、下の前記ブロック本体の前記突起部を上の前記ブロック本体の前記溝部に係入した状態で、上の前記ブロック本体を前記溝部の長さ方向に移動可能なことを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、下の前記ブロック本体の前記突起部を上の前記ブロック本体の前記溝部に係入することにより、下の前記ブロック本体に対して上の前記ブロック本体が前記溝部の長さ方向に位置決めされることを特徴とする。
【0016】
請求項6の発明は、下の前記ブロック本体の前記突起部を上の前記ブロック本体の前記溝部に係入することにより、下の前記ブロック本体に対して上の前記ブロック本体が前記溝部の幅方向に位置決めされることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の構成によれば、側面間で連続する溝部が側面で開口するため、向きを合わせてブロック本体を並べると、複数のブロック本体の底面に連続する溝部を形成することができ、上下のコンクリートブロックの位置合わせ作業が容易となる。
【0018】
請求項2の構成によれば、側面突起部を受け溝に係入することにより、隣り合うコンクリートブロックを一体化することができる。
【0019】
請求項3の構成によれば、側面突起部と、この側面突起部が係入する受け溝との組み合わせにより、複数のブロック本体を一体化できる。
【0020】
請求項4の構成によれば、下のブロック本体に上のブロック本体を積み重ね、この上のブロックの隣の近くにブロック本体を並べた後、このブロック本体を隣りのブロック本体側に押すようにして移動することにより、ブロック本体同士を簡便に位置合わせすることができる。
【0021】
請求項5の構成によれば、上のブロック本体の溝部長さ方向の移動を規制することができる。
【0022】
請求項6の構成によれば、上のブロック本体の溝部幅方向の移動を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の実施例1を示すコンクリートブロックの斜視図である。
【
図2】同上、底面側から見たコンクリートブロックの斜視図である。
【
図3】同上、コンクリートブロックの平面図である。
【
図4】同上、コンクリートブロックの底面図である。
【
図5】同上、コンクリートブロックの側面図である。
【
図6】同上、コンクリートブロックの正面図である。
【
図7】同上、コンクリートブロックの平面図である。
【
図9】同上、コンクリートブロックの積み重ね状態を示す平面図である。
【
図10】本発明の実施例2を示す構造体の要部の平面図である。
【
図12】同上、コンクリートブロックの積み重ね状態を示す平面図である。
【
図13】同上、コンクリートブロックの他の積み重ね状態を示す平面図である。
【
図14】同上、コンクリートブロックの他の積み重ね状態を示す側面図である。
【
図15】本発明の実施例3を示す構造体の要部の平面図である。
【
図17】同上、コンクリートブロックの積み重ね状態を示す平面図である。
【
図18】本発明の実施例4を示す構造体の要部の平面図である。
【
図20】同上、コンクリートブロックの積み重ね状態を示す平面図である。
【
図21】本発明の実施例5を示す構造体の平面図である。
【
図22】本発明の実施例6を示す構造体の側面図である。
【
図23】本発明の実施例7を示す構造体の平面図である。
【
図24】本発明の実施例8を示す構造体の側面図である。
【
図25】本発明の実施例9を示すコンクリートブロックの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明における好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を限定するものではない。また、以下に説明される構成の全てが、本発明の必須要件であるとは限らない。
【実施例0025】
以下、本発明の実施例について添付図面を参照して説明する。
図1~
図9は本発明の実施例1を示し、コンクリートブロック1を法面に用いた例を示す。
【0026】
コンクリートブロック1のブロック本体2は、厚さT(
図5)が略一定で、平行に配置された上下の天端面3と底面4を備えると共に、周囲に4つの前後左右の側面5,6,7L,7Rを有し、
図7に示すように、前後の側面5,6間である前後幅H1と、左右の側面7L,7R間である左右幅H2が等しく、矩形形状をなす。また、ブロック本体2の四方の角部には、面取り状の角側面8,8,8,8が形成されている。
【0027】
前記コンクリートブロック1は、前記ブロック本体2の前記前側面5の左右方向中央に、平面等脚台形状で前方に突出した側面突起部11を設けると共に、前記後側面6の左右方向中央に、前記側面突起部11が係入する受け溝12が設けられ、この受け溝12は平面等脚台形状に凹んで形成されている。また、左右の側面7L,7Rの前後方向中央には、前記側面突起部11が係入する受け溝12が設けられている。そして、対向する前後の側面5,6の一方である前側面5に側面突起部11を設け、他方である後側面6に受け溝12を形成している。
【0028】
前記側面突起部11は受け溝12に比べて僅かに小さく形成されている。また、平面等脚台形状の側面突起部11は、両側の斜辺面11A,11Aの先端に前側面5と平行な先端面11Bを有し、それら斜辺面11A,11Aの挟角は100度以上、130度以下、好ましくは120度以下である。同様に平面等脚台形状の受け溝12は、両側の斜辺面12A,12Aの基端に側面と平行な溝底面12Bを有し、それら斜辺面12A,12Aの挟角は90度を超え、130度以下、好ましくは120度以下であり、斜辺面11A,11Aの挟角と等しい。
【0029】
また、前側面5において、側面突起部11の両側が他のブロック本体2の側面に当接する当接面13,13であり、後左右の側面5,6,6において、受け溝12の両側が他のブロック本体2の側面に当接する当接面13,13である。尚、当接面13に角側面8は含まれない。また、前記前後幅H1は、前後の側面5,6の当接面13,13の間隔であり、左右幅H2は、左右の側面7L,7Rの当接面13,13の間隔である。
【0030】
前記ブロック本体2の中央には、貫通孔15が形成され、この貫通孔15は略六角形形状をなし、吊り具のアタッチメント(図示せず)が係止可能な吊り具取付孔である。また、
図6に示すように、前記貫通孔15は、天端面3から底面4に向かって拡大するように形成されている。尚、前記アタッチメントは、貫通孔15に遊挿可能で、遊挿した状態から拡径することにより貫通孔15の内周面に圧接して連結可能なものである。
【0031】
前記天端面3の前後には、左右方向に並んだ3個の突起部21L,21,21R,22L,22,22Rが等間隔に配置されている。これら突起部21L,21,21R,22L,22,22Rは、同一形状であって、平面視で前後方向に長い長方形形状をなし、前後左右の立上り面23,23,23、23が上方に向かって僅かに間隔を狭めるように形成され、それら前後左右の立上り面23,23,23、23の上端に上面部24が設けられており、この上面部24は前記天端面3と平行である。また、前側面5の当接面13と突起部21L,21,21Rの間隔と、後側面6の当接面13と突起部22L,22,22Rの間隔は同一である。また、右側面7Rの当接面13と突起部21R,22Rの間隔と、左側面7Lの当接面13と突起部21L,22Rの間隔は同一である。
【0032】
また、側面突起部11は、左右の側面7L,7Rの当接面13,13の中央に位置し、受け溝12は該受け溝12を挟む当接面13,13の中央に位置する。
【0033】
中央の突起部21,22は、前記貫通孔15の前後に位置すると共に、貫通孔15の中心から等しく離れた位置にあり、それら中央の突起部21,22の左右にそれぞれ左右の突起部21L,21R,22L,22Rが配置されている。尚、
図3に示すように、前側の3個の突起部21L,21,21Rと後側の左右の突起部22L,22,22Rは、前後方向の仮想線K上に並んで配置されている。また、左右に並んだ突起部21L,21,21Rの中心の間隔WYに比べて、前後に並べた突起部21,22の間隔Wを大きく設定している。
【0034】
また、前側面5の当接面13と突起部21L,21,21Rの間隔と、後側面6の当接面13と突起部22L,22,22Rの間隔は同一である。また、右側面7Rの当接面13と突起部21R,22Rの間隔と、左側面7Lの当接面13と突起部21L,22Rの間隔は同一である。
【0035】
また、
図3に示すように、右側面7Rの当接面13と突起部21R,22Rの間隔Wyと、左側面7Lの当接面13と突起部21L,22Lの間隔Wyは、前記間隔WYの略2分の1である。
【0036】
前記底面4には、左右に並んだ3個の前記突起部21L,21,21R,22L,22,22Rを前後方向移動可能とする前後方向の3つの溝部32L,31,32Rが、左右等間隔に配置され、それら3つの溝部32L,31,32Rは突起部21L,21,21R,22L,22,22Rに対応して形成され、前記仮想線Kを中心として溝部32L,31,32Rが形成されている。また、それら3つの溝部32L,31,32Rは、ブロック本体2の前後の側面5,6間に連続して形成され、3つの溝部32L,31,32Rの前後に前後の側面5,6に開口するする開口部33,33が設けられている(
図2及び
図6)。尚、仮想線Kは、溝部31,32,32の左右方向の中心線でもある。尚、突起部21L,21,21R,22L,22,22Rは溝部31,32,32より小さく、上のブロック本体2を押すことにより、下のブロック本体2に対して上のブロック本体2の移動を許容する。
【0037】
また、前記底面4には、前記溝部32L,31,32Rに交差するように左右方向の左右溝部51,51が前後に形成されている。尚、図中Sは、左右溝部51の中心線であり、この中心線Sは突起部21L,21,21Rの前後方向の中心でもある。また、溝部31,32,51は、前記底面4が開口し、底面4より高い位置に平面状の溝底部39Tを有し、溝部32L,31,32R,51の溝底部39Tは同一平面上に位置する。また、溝底部39Tの左右又は前後には、底面4から立ち上がる後述する側壁部が設けられている。
【0038】
図4に示すように、前記中央の溝部31には、前側から、前記底面4から立ち上がる前記側壁部たる左右の側壁前部34,34と、貫通孔15の前後に設けられ左右の側壁中央前部35,35,左右の側壁中央後部36,36と、後部に設けられた左右の側壁後部37,37とを有し、側壁前部34に比べて、他は短く形成されている。また、前記中央の溝部31は、側壁前部34と側壁中央前部35との間で前の前記左右溝部51に交差すると共に、側壁中央後部36と側壁後部37との間で後の前記左右溝部51と交差する。
【0039】
前記左右の溝部32L,32Rの左右外側には、前,後に、底面4から立ち上がる前記側壁部たる側壁前部41,側壁後部42が設けられ、前記左右の溝部32L,32Rの左右内側には、前,中央,後に、底面4から立ち上がる前記側壁部たる側壁前部43,側壁中央部44,側壁後部45が設けられている。
【0040】
外側の前記側壁前部41と内側の前記側壁前部43は前端が同一位置であり、外側の側壁前部41が内側の側壁前部43に比べて前後方向に長く、
図7に示すように、外側の前記側壁前部41と内側の前記側壁中央部44の前側が重複部41Jにおいて前後方向に一部重複する。また、後端が同一位置である外側の前記側壁後部42と内側の前記側壁後部45は、外側の側壁後部42が内側の側壁後部45に比べて前後方向に長く、
図7に示すように、外側の前記側壁後部42と側壁中央部44の後側が重複部42Jにおいて前後方向に一部重複する。
【0041】
また、前の左右溝部51の左右は、左右外側の前記側壁前部41,41により塞がれ、後の左右溝部51の左右は、左右外側の前記側壁後部42,42により左右が塞がれている。
【0042】
一方、ブロック本体2の左右側面7L,7Rの底面4,4には、切欠き部55,55を設け、この切欠き部55は、
図4及び
図5など示すように、前記側壁前部41と前記側壁後部42との間に開口部56を有し、この開口部56は前記溝部32L,32Rの溝底部39Tに連通する。
【0043】
次に、前記コンクリートブロック1を用いた構造体たる擁壁61の構築に係る施工方法について説明する。
図8に示すように、法面62の前面にコンクリートブロック1を、法面62の傾斜に合わせて斜めに積み上げ、擁壁61を形成する。
【0044】
法面62の下部の設置面63に下段のコンクリートブロック1を敷設し、側面突起部11を前側にして法面62側からコンクリートブロック1を敷設すると共に、後側(法面側)のコンクリートブロック1の側面突起部11に、前側のコンクリートブロック1の後部の受け溝12を嵌めるようにして前側のコンクリートブロック1を敷設し、複数のコンクリートブロック1,1を前後方向に一列に並べる。こうすると、前後のコンクリートブロック1,1において、底面4の溝部32L,31,32Rが前後方向で一直線上に並んで連通する。また、同様に左右隣りに複数のコンクリートブロック1,1を前後方向に一列に並べる。
【0045】
1段目のコンクリートブロック1の上に法面側から2段目のコンクリートブロック1を重ねる。この例では、下のコンクリートブロック1の後側の3個の前記突起部22L,22,22Rが、上のコンクリートブロック1の溝部32L,31,32Rに嵌るように重ねる。嵌めた状態で、重ねた後、突起部22L,22,22Rの上面部24は溝部32L,31,32Rの溝底部39Tに当接しておらず、或いは圧接しておらず、下の天端面3に上の底面4が面接触しており、重ね合わせた状態で、上段のコンクリートブロック1を後に押すことにより、後方にスライドし、コンクリートブロック1の後側面6を法面62の傾斜に合わせることができる。
【0046】
また、2段目の法面62側のコンクリートブロック1の前で1段目のコンクリートブロック1,1上に、2段目のコンクリートブロック1を載置する。この場合、後のコンクリートブロック1の前に、隙間を置いて前のコンクリートブロック1を配置した後、前のコンクリートブロック1を後側に押して移動し、後のコンクリートブロック1の側面突起部11に前のコンクリートブロック1の受け溝12を嵌めることができる。
【0047】
これにより、従来のように、前のコンクリートブロック1を載置すると同時に、後のコンクリートブロック1の前面に前のコンクリートブロック1の後面を突き合わせる必要がなく、即ち、前のコンクリートブロック1の吊り卸し時に、後のコンクリートブロック1との位置合わせ作業が不要となり、ブロック積み作業における施工性を向上することができる。
【0048】
また、コンクリートブロック1の吊り卸し作業においては、貫通孔15に吊り具のアタッチメントを連結し、コンクリートブロック1を重機により吊る降ろすことができる。さらに、同様にして、上段(2段目)のコンクリートブロック1の上に、3段目のコンクリートブロック1を重ね、このようにして複数段に重ね合わせたコンクリートブロック1により法面62の前面を覆う。また、法面62の前のコンクリートブロック1と法面62との間の隙間64には、埋戻し材(図示せず)などを充填して埋める。
【0049】
このように本実施例では、請求項1に対応して、ブロック本体2の天端面3に複数の突起部21L,21,21R,22L,22,22Rを設けると共に、ブロック本体2の底面4に突起部21L,21,21R,22L,22,22Rに対応して溝部32L,31,32Rを設けたコンクリートブロック1において、溝部32L,31,32Rがブロック本体2の対向する側面たる前側面5と後側面6の間に連続すると共に前側面5と後側面6で開口するから、向きを合わせてブロック本体2,2を並べると、複数のブロック本体2,2の底面4,4に連続する溝部32L,31,32Rを形成することができ、上下のコンクリートブロック1の位置合わせ作業が容易となる。
【0050】
このように本実施例では、請求項2に対応して、対向する側面の一方である前側面5に側面突起部11を設けると共に、対向する側面の他方である後側面6に側面突起部11が係入する受け溝12を設けたから、側面突起部11を受け溝12に係入することにより、隣り合うコンクリートブロック1,1を一体化することができる。
【0051】
このように本実施例では、請求項3に対応して、ブロック本体2は4つの側面5,6,7L,7Rを有し、これら4つの側面5,6,7L,7Rの1つである前側面5に側面突起部11を設けると共に、他の3つの側面6,7L,7Rに側面突起部11が係入する受け溝12を設けたから、側面突起部11と、この側面突起部11が係入する受け溝12との組み合わせにより、複数のブロック本体2,2を一体化できる。
【0052】
このように本実施例では、請求項4に対応して、ブロック本体2を上下に重ね合わせ、下のブロック本体2の突起部22L,22,22Rを上のブロック本体2の溝部32,31,32Rに係入した状態で、上のブロック本体2が溝部32,31,32Rの長さ方向に移動可能であるから、下のブロック本体2に上のブロック本体2を積み重ね、この上のブロック本体2の隣の近くにブロック本体2を並べた後、このブロック本体2を隣りのブロック本体2側に押すようにして移動することにより、ブロック本体2,2同士を簡便に位置合わせすることができる。
【0053】
このように本実施例では、請求項6に対応して、
図9に示したように、下のブロック本体2の突起部21,22,22を上のブロック本体2の溝部32,31,32Rに係入することにより、下のブロック本体2に対して上のブロック本体2が溝部31,32,32の幅方向に位置決めされるから、上のブロック本体2の溝部幅方向の移動を規制することができる。
【0054】
以下、実施例上の効果として、平面等脚台形状の側面突起部11が、これより僅かに大きな平面等脚台形状の受け溝12に嵌合すると共に、当接面13,13同士が当接することにより、隣り合うコンクリートブロック1,1を位置合わせした状態で、一体化することができる。
【0055】
平面等脚台形状の側面突起部11は、両側の斜辺面11A,11Aの先端に前側面5と平行な先端面11Bを有し、それら斜辺面11A,11Aの挟角は100度以上、130度以下、好ましくは120度以下であるから、鋭角な角部が無く、側面突起部11と受け溝12の嵌合によりコンクリートブロック1,1同士を連結することができる。
【0056】
前記天端面3の前後には、左右方向に並んだ3個の突起部21L,21,21R,22L,22,22Rが等間隔に配置され、前記底面4には、左右に並んだ3個の前記突起部21L,21,21R,22L,22,22Rを前後方向移動可能とする前後方向の3つの溝部32L,31,32Rが、左右等間隔に配置され、右側面7Rの当接面13と突起部21R,22Rの間隔Wyと、左側面7Lの当接面13と突起部21L,22Lの間隔Wyは、前記間隔Wyの略2分の1であるから、左右隣り合うコンクリートブロック1,1に跨ってそれらの上にコンクリートブロック1,1を積み重ねることができる。
【0057】
また、外側の前記側壁前部41と内側の前記側壁中央部44の前側が重複部41Jにおいて前後方向に一部重複し、外側の前記側壁後部42と側壁中央部44の後側が重複部42Jにおいて前後方向に一部重複するから、重複部41J,42Jに突起部21L,21R、22L,22Rが嵌るように上下のコンクリートブロック1,1を重ね合わせることにより、上のコンクリートブロック1の溝部幅方向の移動を規制することができる。また、下のコンクリートブロック1の真上に上のコンクリートブロック1を重ね合わせた場合、左右の突起部21L,22L,21R,22Rが、側壁部たる左右の側壁前部41,41及び左右の側壁後部42,42に挟まれ、コンクリートブロック1の幅方向の移動が規制される。
【0058】
さらに、ブロック本体2の中央には、貫通孔15が形成され、この貫通孔15は、略六角形形状をなし、吊り具のアタッチメント(図示せず)が係止可能な吊り具取付孔であるから、貫通孔15を用いてコンクリートブロック1を簡便に吊り卸しすることができ、しかも、貫通孔15は、天端面3から底面4に向かって拡大するように形成されているから、アタッチメントにより安定して吊上げることができる。
【0059】
また、ブロック本体2の左右側面7L,7Rの底面4,4には、切欠き部55,55を設けたから、設置したコンクリートブロック1の底部の切欠き部55,55に吊上げ用の腕部(図示せず)を挿入し、この腕部を溝底部39Tに引っ掛けてコンクリートブロック1を吊り上げることができる。
砂防堰堤71は、複数のコンクリートブロック1を左右方向(河川70の幅方向)に並設すると共に、積み重ねてなる。各段のコンクリートブロック1は、前側面5の側面突起部11を砂防堰堤71の左右方向一側(図中で左側)に向けてその側面突起部11が左右方向に隣り合うコンクリートブロック1の後側面6の受け溝12に嵌るように並べられ、且つ複数のコンクリートブロック1が前後方向(河川70の長さ方向)の位置を合わせて並べられる。即ち、砂防堰堤71において、上下及び前後(河川の長さ方向)に隣り合うコンクリートブロック1,1・・・は、前側面5の当接面13の位置を合わせて並設及び積み重ねられている。
尚、この例では、各段に二つのコンクリートブロック1,1が重ね合わせて設けられ、各段では、下のコンクリートブロック1の真上にコンクリートブロック1が重ね合わされている。
また、実施例上の効果として、下のコンクリートブロック1の上に、上のコンクリートブロック1を重ねた後、上のコンクリートブロック1を溝部32L,31,32Rの長さ方向(河川70の幅方向)にずらすことができるから、施工性が向上する。
さらに、幅方向に3つの突起部21L,21,21Rを有すると共に、3つの溝部31L,31,31Rを有するから、積み方により前面71Aと後面71Bで異なる角度に形成できる。