(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078840
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ディスプレイアンテナ
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/36 20060101AFI20240604BHJP
H01Q 21/06 20060101ALI20240604BHJP
H01Q 1/22 20060101ALI20240604BHJP
H01Q 1/44 20060101ALI20240604BHJP
G06F 3/041 20060101ALI20240604BHJP
G06F 3/044 20060101ALI20240604BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240604BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240604BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240604BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20240604BHJP
【FI】
H01Q3/36
H01Q21/06
H01Q1/22 Z
H01Q1/44
G06F3/041 400
G06F3/044 122
G09F9/33
G09F9/00 366A
G09F9/00 313
G09F9/30 349Z
H01L33/00 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191416
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】二瓶 亮太
(72)【発明者】
【氏名】船田 純一
(72)【発明者】
【氏名】若藤 健司
(72)【発明者】
【氏名】林 和幸
(72)【発明者】
【氏名】吉田 昂平
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 真吾
(72)【発明者】
【氏名】須尭 一志
(72)【発明者】
【氏名】小野 真和
(72)【発明者】
【氏名】奥村 藤男
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
5J021
5J046
5J047
【Fターム(参考)】
5C094AA51
5C094AA60
5C094BA23
5C094CA19
5C094FA01
5C094HA08
5F142BA32
5F142CB14
5F142CB23
5F142CD02
5F142DB52
5F142EA02
5F142EA34
5F142GA01
5G435AA00
5G435BB04
5G435CC09
5G435DD11
5G435EE49
5G435HH01
5G435LL08
5J021AA04
5J021AA05
5J021AA09
5J021AB06
5J021CA03
5J021DB03
5J021EA01
5J021FA06
5J021FA29
5J021FA31
5J021GA02
5J021HA10
5J046AA08
5J046AB13
5J046SA01
5J047AA08
5J047AB13
5J047EF05
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの機能を有し、指向性のある電波を送受信できるディスプレイアンテナを提供する。
【解決手段】格子状に配列された複数の発光器を含むディスプレイと、可視領域の波長帯の光が透過する複数のパッチアンテナが格子状に配列されたアンテナ集合体を有し、ディスプレイの上に重ねて配置されるアンテナアレイと、複数の発光器に挟まれた隙間領域に配置され、複数のパッチアンテナのうち少なくともいずれかに接続され、送受信対象の信号を移相する移相器と、を備えるディスプレイアンテナとする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
格子状に配列された複数の発光器を含むディスプレイと、
可視領域の波長帯の光が透過する複数のパッチアンテナが格子状に配列されたアンテナ集合体を有し、前記ディスプレイの上に重ねて配置されるアンテナアレイと、
隣接し合う前記発光器に挟まれた隙間領域に配置され、複数の前記パッチアンテナのうち少なくともいずれかに接続され、送受信対象の信号を移相する移相器と、を備えるディスプレイアンテナ。
【請求項2】
前記発光器は、
マイクロLED(Light-Emitting Diode)であり、
前記移相器は、
隣接し合う前記発光器に挟まれた前記隙間領域の上方に配置された少なくとも一つの伝送線路によって構成され、
給電電極を介して、複数の前記パッチアンテナのうち少なくともいずれかに電気的に接続される請求項1に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項3】
前記伝送線路は、
入力端と前記給電電極とを結ぶ主要線路と、移相スイッチを介して前記主要線路に接続された少なくとも一つの分岐線路とを含む請求項2に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項4】
前記伝送線路は、
入力端と前記給電電極とを結ぶ主要線路と、移相スイッチを介して前記主要線路に接続された少なくとも一つのオープンスタブとを含む請求項2に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項5】
前記伝送線路は、
入力端と前記給電電極とに接続された90度ハイブリッド回路と、移相スイッチを介して前記90度ハイブリッド回路に接続された少なくとも一つのオープンスタブとを含む請求項2に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項6】
スイッチの開閉を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
複数の前記パッチアンテナの間に配置された第1スイッチを閉じて、前記アンテナ集合体を形成させる請求項1に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項7】
前記制御手段は、
タッチセンサとして機能させる前記アンテナ集合体の頂点の位置にある前記パッチアンテナに接続された前記第1スイッチを閉じることによって、前記タッチセンサとして機能する複数の前記アンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルを構成し、
前記行方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された行と、前記列方向に配列された複数の前記アンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、前記タッチパネルにおける指示体の接触位置を検出する請求項6に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項8】
前記制御手段は、
前記タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースを前記ディスプレイに表示させ、
検出された前記指示体の接触位置と、前記ディスプレイにおいて前記接触位置に表示された入力画像とを対応付けて、選択された前記入力画像を判別する請求項7に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項9】
前記パッチアンテナは、
可視領域および近赤外領域の光が透過し、
前記発光器は、
近赤外領域の光を発光する発光部を含む第1発光器と、近赤外領域の光に感度があるフォトダイオードを含む第2発光器とを有し、
前記ディスプレイには、
前記第1発光器および前記第2発光器が交互に配列されたタッチパネルが構成される請求項1に記載のディスプレイアンテナ。
【請求項10】
スイッチの開閉を制御する制御手段を備え、
前記制御手段は、
前記タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースを前記ディスプレイに表示させ、
前記第2発光器に含まれる前記フォトダイオードによる近赤外領域の光の受光に応じて、指示体の接触位置を検出し、
検出された前記指示体の接触位置と、前記接触位置に表示された入力画像とを対応付けて、選択された前記入力画像を判別する請求項9に記載のディスプレイアンテナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ディスプレイとアンテナの機能を有するディスプレイアンテナに関する。
【背景技術】
【0002】
第5世代移動通信システム(5G)以降の移動通信のために、第4世代移動通信システム(4G)以前と比べて高い周波数帯の電波に対応した平面型アンテナが開発されている。パッチアンテナがアレイ状に配列された構成のアンテナアレイを用いれば、平面型のフェーズドアレイアンテナを構成できる。また、複数のパッチアンテナによって構成されるアンテナアレイは、タッチパネルとして機能させることもできる。
【0003】
特許文献1には、タッチ入力機能のためのタッチ電極と、通信機能のためのアンテナ電極とを含む表示装置について開示されている。特許文献1の装置は、映像を表示する表示パネルと、表示パネル上に配置されるタッチアンテナアレイとを含む。タッチアンテナアレイは、タッチ電極と、タッチ電極と電気的に連結されるタッチ配線と、アンテナ電極と、アンテナ電極と電気的に連結される給電線と、タッチ配線と給電線の間に配置される遮蔽電極とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のアンテナ電極パターンは、格子またはメッシュの形態である。また、特許文献1には、移相器に関する記載がない。移相器は、複数のアンテナ電極から送信される電波を、ビームフォーミングするために用いられる。そのため、特許文献1の手法では、複数のアンテナ電極から指向性のある電波を送信できなかった。
【0006】
本開示の目的は、指向性のある電波を送受信できるディスプレイアンテナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様のディスプレイアンテナは、格子状に配列された複数の発光器を含むディスプレイと、可視領域の波長帯の光が透過する複数のパッチアンテナが格子状に配列されたアンテナ集合体を有し、ディスプレイの上に重ねて配置されるアンテナアレイと、複数の発光器に挟まれた隙間領域に配置され、複数のパッチアンテナのうち少なくともいずれかに接続され、送受信対象の信号を移相する移相器と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、指向性のある電波を送受信できるディスプレイアンテナを提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイによって構成されるアンテナ集合体の一例を示す概念図である。
【
図3】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイによって構成されるタッチセンサの一例を示す概念図である。
【
図4】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図5】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるディスプレイの構成の一例を示す概念図である。
【
図6】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるディスプレイの構成の一例を示す概念図である。
【
図7】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれる移相器の構成の一例を示す概念図である。
【
図8】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれる移相器の構成の一例を示す概念図である。
【
図9】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれる移相器の構成の一例を示す概念図である。
【
図10】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイによって構成されるアンテナ集合体の一例を示す概念図である。
【
図11】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナに含まれるアンテナアレイによって構成されるタッチセンサの一例を示す概念図である。
【
図12】第1の実施形態に係るディスプレイアンテナが搭載された端末装置の画面に表示されたユーザインターフェースの一例を示す概念図である。
【
図13】第1の実施形態の変形例1に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図14】第1の実施形態の変形例1に係るディスプレイアンテナに含まれるスイッチの構成の一例を示す概念図である。
【
図15】第1の実施形態の変形例2に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図16】第1の実施形態の変形例3に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図17】第1の実施形態の変形例4に係るディスプレイアンテナに含まれる給電電極パターンの一例を示す断面図である。
【
図18】第1の実施形態の変形例4に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図19】第1の実施形態の変形例5に係るディスプレイアンテナに含まれる給電電極パターンの一例を示す断面図である。
【
図20】第1の実施形態の変形例5に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図21】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナの構成の一例を示すブロック図である。
【
図22】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナの内部構成の一例を示す断面図である。
【
図23】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナのディスプレイを構成する発光器の配置例を示す断面図である。
【
図24】第2の実施形態に係るディスプレイアンテナによる指示体の接触位置の検知について説明するための概念図である。
【
図25】第3の実施形態に係るディスプレイアンテナの構成の一例を示すブロック図である。
【
図26】各実施形態の制御や処理を実行するハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。ただし、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。なお、以下の実施形態の説明に用いる全図においては、特に理由がない限り、同様箇所には同一符号を付す。また、以下の実施形態において、同様の構成・動作に関しては繰り返しの説明を省略する場合がある。
【0011】
(第1の実施形態)
まず、第1の実施形態に係るディスプレイアンテナについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のディスプレイアンテナは、タッチセンサおよびアンテナの機能を有する。本実施形態においては、複数のパッチアンテナによってアンテナ集合体が構成される例をあげる。アンテナ集合体は、フェーズドアレイアンテナおよびタッチセンサとして機能させることができる。なお、アンテナ集合体は、フェーズドアレイアンテナの機能を発揮できればよく、タッチセンサとして機能させなくてもよい。
【0012】
(構成)
図1は、本実施形態に係るディスプレイアンテナ10の構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイアンテナ10は、アンテナアレイ11、移相器13、ディスプレイ15、および制御部17を備える。アンテナアレイ11および移相器13は、アンテナ装置100を構成する。アンテナ装置100には、制御部17が追加されてもよい。ディスプレイアンテナ10は、ディスプレイ15の上にアンテナ装置100を重ねた構造を有する。制御部17は、ディスプレイアンテナ10の外部に配置されてもよい。その場合、ディスプレイアンテナ10は、アンテナアレイ11、移相器13、およびディスプレイ15によって構成される。
【0013】
アンテナアレイ11は、複数のパッチアンテナを含む。パッチアンテナは、板状の放射素子である。例えば、パッチアンテナは正方形である。パッチアンテナは矩形や菱形であってもよい。送受信対象の波長帯の電波を受信できれば、パッチアンテナは正方形や矩形ではない形状であってもよい。パッチアンテナは、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明電極である。例えば、可視領域は、380~800nm(ナノメートル)の波長帯である。例えば、パッチアンテナは、酸化インジウムスズや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの材質によって実現される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、パッチアンテナの材質には限定を加えない。パッチアンテナは、可視領域ではない波長帯の光が透過する材質であってもよい。例えば、パッチアンテナは、近赤外領域や、赤外領域、紫外領域の光が透過する材質であってもよい。
【0014】
図2は、アンテナアレイ11の構成の一例を示す概念図である。アンテナアレイ11は、複数のパッチアンテナPが2次元アレイ状に配列された構成である。パッチアンテナPは、1辺に対応する長さの1/2波長の整数倍に一致する周波数で共振する。パッチアンテナPの大きさは、送受信対象の電波の波長に応じて設定される。
図2の例において、パッチアンテナPは正方形である。複数のパッチアンテナPは、それらのパッチアンテナPの外形を成す正方形の対角線の交点を回転中心として、45度回転された状態で配列されたパターン(ダイヤパターン)を形成する。すなわち、複数のパッチアンテナPは、ダイヤパターンで配列される。タッチセンサおよびフェーズドアレイアンテナの機能を発現できれば、複数のパッチアンテナPは、ダイヤパターンではないパターンで配列されてもよい。
【0015】
複数のパッチアンテナPは、X方向とY方向に沿って、2次元アレイ状に配列される。複数のパッチアンテナPは、いくつかのパッチアンテナPの単位でグループ化される。
図2の例では、16個のパッチアンテナPのグループを単位として、4×4で配列されたアンテナ集合体AEが構成される。後述するように、本実施形態のディスプレイアンテナ10において、アンテナ集合体AEを構成するパッチアンテナPの数や組み合わせは、任意に変更できる。
【0016】
第5世代移動通信システム(5G)以降の移動通信に対応する周波数帯で用いられるパッチアンテナPの最適な大きさは、タッチパネルに用いられるセンサ電極の最適な大きさとは異なる。送受信対象の電波の空間中における波長λに関して、隣接するパッチアンテナPの間隔(ピッチ)を0.7λよりも大きくすると、サイドローブが大きくなり、ゲインが低下する。また、隣接するパッチアンテナPのピッチを広げるほど、走査角が狭くなる。そのため、隣接するパッチアンテナPのピッチは、0.4~0.5λ程度に設定されることが好ましい。5G以降の移動通信に対応する周波数帯に応じて、パッチアンテナPの最適な大きさと、タッチパネルの電極の最適なピッチとは異なる。本実施形態においては、送受信対象の電波の波長に応じて、アンテナ集合体AEを構成するパッチアンテナPの数や組み合わせを変更することによって、複数の波長帯に対応する。
【0017】
図3は、アンテナアレイ11にタッチセンサが設定された状態の一例を示す概念図である。
図3の例では、4×4(16個)のパッチアンテナPを1組とするアンテナ集合体AEが構成される。
図3の例では、4×4(16個)のパッチアンテナPの一部が、タッチセンサの電極として機能する。電極として機能するパッチアンテナPのグループは、X方向に配列されたタッチセンサTS
Xを構成するアンテナ集合体AEと、Y方向に配列されたタッチセンサTS
Yを構成するアンテナ集合体AEとに分けられる。タッチセンサとして用いられるパッチアンテナPは、制御部17による制御によって選択できる。タッチセンサとして用いられないパッチアンテナPは、フェーズドアレイアンテナとして機能させる。X方向に連結された複数のアンテナ集合体AEによって構成された行と、Y方向に連結された複数のアンテナ集合体AEによって構成された列との交点における容量の変化に応じて、接触位置が判別される。
【0018】
図4は、ディスプレイアンテナ10の構造の一例について説明するための断面図である。
図4においては、ディスプレイアンテナ10の構成のうち一部を省略する。また、
図4の断面図においては、ハッチングを省略した箇所がある。
【0019】
基板170の上には、ディスプレイ15が形成される。ディスプレイ15は、複数の発光器150によって構成される。複数の発光器150は、2次元アレイ状に配置される。例えば、発光器150は、赤R(Red)、緑G(Green)、および青B(Blue)の各色に対応した波長帯の光を発光する発光部を有する。例えば、発光器150は、マイクロLED(Light-Emitting Diode)によって実現される。マイクロLEDは、赤Rの波長帯の光を発光する赤色LED、緑Gの波長帯の光を発光する緑色LED、および青Bの波長帯の光を発光する青色LEDを含む。赤R、緑G、および青Bの3原色の光を発光できれば、それらの光を混色させることによって、種々の色を表現できる。発光器150は、赤色LED、緑色LED、および青色LEDのうち少なくとも一つを有すればよい。また、発光器150は、赤色LED、緑色LED、および青色LEDとは異なる波長帯の光を発光する発光部を有してもよい。発光器150は、配線層171に含まれる配線を介して、駆動部(図示しない)に接続される。発光器150は、制御部17による駆動部の制御に応じて、赤色LED、緑色LED、および青色LEDを発光させる。
【0020】
図5は、ディスプレイ15を構成する発光器150の一例(発光器151)が配列された様子を示す概念図である。
図5は、複数の発光器151によって構成されたディスプレイ15の一部分を示す。発光器151は、赤色LED(R)、緑色LED(G)、および青色LED(B)は、マイクロLEDである。赤色LED、緑色LED、および青色LEDは、一か所に集中して配置される。赤色LEDには、行選択線L
Rと列選択線L
CRが接続される。緑色LEDには、行選択線L
Rと列選択線L
CGが接続される。青色LEDには、行選択線L
Rと列選択線L
CBが接続される。行選択線L
Rは、赤色LED、緑色LED、および青色LEDに共通の選択線である。行選択線L
Rと列選択線L
CRが選択されると、赤色LEDが発光する。行選択線L
Rと列選択線L
CGが選択されると、緑色LEDが発光する。行選択線L
Rと列選択線L
CBが選択されると、青色LEDが発光する。
【0021】
図6は、ディスプレイ15を構成する発光器150の別の一例(発光器152)が配列された様子を示す概念図である。
図6は、複数の発光器152によって構成されたディスプレイ15の一部分を示す。発光器152は、赤色、緑色、および青色の発光部が集積された集積型のマイクロLEDである。赤色LED、緑色LED、および青色LEDには、互いに共通の行選択線L
Rおよび列選択線L
Cが接続される。
図5の発光器151と比べて、
図6の発光器152の方が、外形が小さい。そのため、
図5の構成と比べて、
図6の構成の方が、発光器152の間隔が大きい。
【0022】
ディスプレイ15を構成する複数の発光器150は、制御部17の制御に応じて、発光する。複数の発光器150は、2次元アレイ状に配置される。例えば、複数の発光器150と配線層171との間には、絶縁層が形成される。絶縁層の材質に関しては、特に限定を加えない。例えば、複数の発光器150と配線層171との間には、空隙が形成されてもよい。
【0023】
ディスプレイ15には、画像が表示される。例えば、ディスプレイ15には、少なくとも1つの入力画像を含むタッチパネルの画像が表示される。例えば、入力画像は、操作を受け付けるボタンである。例えば、入力画像は、キーボードやテンキーなどの文字や数字、記号の入力を受け付けるキーの画像である。例えば、入力画像は、スライダーやタグなどのように、操作を受け付ける画像である。ディスプレイ15に表示された入力画像の位置において、タッチセンサとして機能しているパッチアンテナPによって接触が検出されると、その入力画像の位置で検出された操作に応じた入力がなされる。
【0024】
配線層171は、発光器150の間の領域に形成される。配線層171は、複数の発光器150の間に形成される。配線層171には、ディスプレイ15を駆動させるための配線が配置される。配線層171には、第1スイッチや各種の配線などが配置されてもよい。また、配線層171には、送受信対象の信号を伝播させる信号線が配置されてもよい。配線層171は、単一の層であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。例えば、デバイス転写技術を用いれば、微小な素子を配線層171に形成できる。配線層171における構成要素や、構成要素間の接続関係などの詳細に関しては、図面を省略する。
【0025】
複数の発光器150によって構成されるディスプレイ15の上部は、平坦化膜や保護膜が形成される。平坦化膜や保護膜は、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明な材質である。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、平坦化膜や保護膜の材質には限定を加えない。例えば、平坦化膜や保護膜は、酸化シリコンなどによって実現される。ディスプレイ15の上部には、空隙が形成されてもよい。
【0026】
配線層171が形成された領域の上方には、シールド電極172が配置される。シールド電極172は、発光器150の上方の領域を避けて配置される。シールド電極172は、そのシールド電極172の上方と下方の電磁結合を防ぐために形成される。シールド電極172の材質については、導電性があれば、特に限定を加えない。例えば、シールド電極172は、アルミニウムや銅などの金属を含む素材で実現される。シールド電極172は、図示しない導線等によって、筐体や接地端子に接続される。シールド電極172の電位は、そのシールド電極172が接続された接地箇所と同じ電位である。そのため、パッチアンテナPや配線層171、移相器形成層130と、シールド電極172との間には、それらの間に形成された誘電体層や空間の誘電率に応じた容量が形成される。
【0027】
シールド電極172の上方には、移相器形成層130が配置される。移相器形成層130には、移相器13が形成される。移相器13は、発光器150の上方を避けた位置に配置される。移相器13の給電点Fは、給電電極FEを介して、パッチアンテナPに接続される。移相器形成層130には、第1スイッチや各種の配線などが配置されてもよい。また、移相器形成層130には、送受信対象の信号を伝播させる信号線LSが配置されてもよい。移相器形成層130は、単一の層であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。例えば、デバイス転写技術を用いれば、微小な素子を移相器形成層130に形成できる。移相器形成層130における構成要素や、構成要素間の接続関係などの詳細に関しては、図面を省略する。
【0028】
図7は、移相器形成層130に配置される移相器13の一例(移相器131)である。
図7は、基板170の上面を上方の視座から見た平面図である。移相器131は、上面視において、複数の発光器150の間に配置される。移相器131は、線路切替型移相器の一例である。移相器131は、異なる線路長の分岐線路(R1、R2、R3、R4)が、移相スイッチSWPを介して、主要線路Mに接続された構成である。
図7の例では、入力端Iから給電点Fまでを結ぶ主要線路Mに、4つの分岐線路(R1、R2、R3、R4)が接続される。移相器131を通過した信号は、主要線路Mと分岐線路(R1、R2、R3、R4)との接続状態に応じた移相量で移相される。主要線路Mと分岐線路(R1、R2、R3、R4)との接続は、制御部17による移相スイッチSWPの開閉制御に応じて、切り替えられる。
【0029】
分岐線路R1は、22.5度の位相差を与える線路である。分岐線路R1を経由した信号の位相は、分岐線路R1を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、22.5度移相される。分岐線路R2は、45度の位相差を与える線路である。分岐線路R2を経由した信号の位相は、分岐線路R2を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、45度移相される。分岐線路R3は、90度の位相差を与える線路である。分岐線路R3を経由した信号の位相は、分岐線路R3を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、90度移相される。分岐線路R4は、180度の位相差を与える線路である。分岐線路R4を経由した信号の位相は、分岐線路R4を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、180度移相される。例えば、分岐線路R1および分岐線路R2を経由した信号の位相は、それらの線路を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、47.5度移相される。
【0030】
図8は、移相器形成層130に配置される移相器13の一例(移相器132)である。
図8は、基板170の上面を上方の視座から見た平面図である。移相器132は、上面視において、複数の発光器150の間に配置される。移相器132は、スタブ切替型移相器の一例である。移相器132は、異なる線路長のオープンスタブ(S1、S2、S3、S4)が、移相スイッチSWPを介して、主要線路Mに接続された構成である。
図8の例では、入力端Iから給電点Fまでを結ぶ主要線路Mに、4つのオープンスタブ(S1、S2、S3、S4)が接続される。移相器132を通過した信号は、主要線路Mとオープンスタブ(S1、S2、S3、S4)との接続状態に応じた移相量で移相される。主要線路Mとオープンスタブ(S1、S2、S3、S4)との接続は、制御部17による移相スイッチSWPの開閉制御に応じて、切り替えられる。
【0031】
オープンスタブS1は、22.5度の位相差を与えるスタブである。オープンスタブS1を経由した信号の位相は、オープンスタブS1を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、22.5度移相される。オープンスタブS2は、45度の位相差を与えるスタブである。オープンスタブS2を経由した信号の位相は、オープンスタブS2を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、45度移相される。オープンスタブS3は、90度の位相差を与えるスタブである。オープンスタブS3を経由した信号の位相は、オープンスタブS3を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、90度移相される。オープンスタブS4は、180度の位相差を与えるスタブである。オープンスタブS4を経由した信号の位相は、オープンスタブS4を経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、180度移相される。例えば、オープンスタブS1およびオープンスタブS2を経由した信号の位相は、それらのスタブを経由せずに主要線路Mを進行した信号の位相に対して、47.5度移相される。
【0032】
図9は、移相器形成層130に配置される移相器13の一例(移相器133)である。
図9は、基板170の上面を上方の視座から見た平面図である。移相器133は、上面視において、複数の発光器150の間に配置される。移相器133は、反射型移相器の一例である。移相器133は、90度ハイブリッド回路とスタブを組み合わせた構成である。伝送線路H1、伝送線路H2、伝送線路H3、および伝送線路H4が、90度ハイブリッド回路を構成する。90度ハイブリッド回路を構成する伝送線路H1、伝送線路H2、伝送線路H3、および伝送線路H4の電気長は、λ/4(90度)である。伝送線路H1および伝送線路H3の特性インピーダンスはZ
0である。伝送線路H2および伝送線路H4の特性インピーダンスはZ
0/√2である。
【0033】
移相器133は、スタブST1およびスタブST2を含む。
図9の例において、スタブST1およびスタブST2は、開放端(右端)を有するオープンスタブである。スタブST1およびスタブST2は、開放端(右端)が接地されたショートスタブであってもよい。スタブST1およびスタブST2の長さは、任意に設定できる。スタブST1およびスタブST2に伝播した信号は、その長さに応じた位相差で移相される。スタブST1およびスタブST2の長さは、可変であってもよい。例えば、スタブST1およびスタブST2の線路上にスイッチを配置すれば、そのスイッチをON/OFFすることによって、スタブST1およびスタブST2の長さを変更できる。
【0034】
伝送線路H1の第1端(上端)は、入力端Iに接続される。また、伝送線路H1の第1端(上端)は、伝送線路H2の第1端(左端)に接続される。伝送線路H1の第2端(下端)は、給電点Fに接続される。また、伝送線路H1の第2端(下端)は、伝送線路H4の第1端(左端)に接続される。
【0035】
伝送線路H2の第1端(左端)は、入力端Iに接続される。また、伝送線路H2の第1端(左端)は、伝送線路H1の第1端(上端)に接続される。伝送線路H2の第2端(右端)は、移相スイッチSWPを介して、スタブST1に接続される。また、伝送線路H1の第2端(右端)は、伝送線路H3の第1端(上端)に接続される。
【0036】
伝送線路H3の第1端(上端)は、伝送線路H2の第2端(右端)に接続される。また、伝送線路H3の第1端(上端)は、移相スイッチSWPを介して、スタブST1に接続される。伝送線路H3の第2端(下端)は、移相スイッチSWPを介して、スタブST2に接続される。また、伝送線路H3の第2端(下端)は、伝送線路H4の第2端(右端)に接続される。
【0037】
伝送線路H4の第1端(左端)は、給電点Fに接続される。また、伝送線路H4の第1端(左端)は、伝送線路H1の第2端(下端)に接続される。伝送線路H4の第2端(右端)は、伝送線路H3の第2端(下端)に接続される。また、伝送線路H4の第2端(右端)は、移相スイッチSWPを介して、スタブST2に接続される。
【0038】
移相器13を通過した信号は、SWの開閉状態に応じて、通過した線路やスタブの電気長に応じた移相量で移相される。移相器13の移相量は、制御部17による移相スイッチSWPの開閉制御に応じて、切り替えられる。
【0039】
複数の発光器150によって構成されるディスプレイ15および移相器形成層130の上方のシールド層には、接地電極173が配置される(
図4)。接地電極173は、接地電極173の上方と下方の電磁結合を防ぐために形成される。接地電極173は、透明な導電体によって構成される。例えば、パッチアンテナPと同様に、接地電極173は、酸化インジウムスズや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの材質によって実現される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、接地電極173の材質には限定を加えない。接地電極173は、図示しない導線等によって、筐体や接地端子に接続される。接地電極173の電位は、その接地電極173が接続された接地箇所と同じ電位である。そのため、パッチアンテナPや移相器形成層130に形成された移相器13や配線と、接地電極173との間には、それらの間に形成された誘電体層や空間の誘電率に応じた容量が形成される。
【0040】
接地電極173が形成されたシールド層の上方には、複数のパッチアンテナPが配置される。複数のパッチアンテナPは、給電電極FEを介して、移相器形成層130に形成された移相器13の給電点Fに電気的に接続される。給電電極FEは、パッチアンテナPと移相器13の給電点とを電気的に接続する導電性のビアである。導電性があれば、給電電極FEの材質には、特に限定を加えない。
【0041】
複数のパッチアンテナPの上方には、保護層177が形成される。保護層177は、可視領域の波長帯の光が透過可能な部材によって形成される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、保護層177の材質には、限定を加えない。例えば、保護層177は、ガラスやプラスチックなどの透明部材によって実現される。
【0042】
配線層171と保護層177との間の空間には、誘電体層(図示しない)が形成される。誘電体層は、可視領域の波長帯の光が透過可能な誘電体によって形成される。配線層171と保護層177との間の空間は、誘電体層を構成する誘電体で満たされていてもよいし、空隙が形成されてもよい。誘電体層の材質や形状、位置については、特に限定を加えない。
【0043】
送信対象の信号は、送信回路(図示しない)から出力される。送信回路から出力された信号は、信号線(図示しない)を通じて、移相器13に到達する。移相器13に到達した送信対象の信号は、移相器13に設定された移相量で移相される。移相器13を通過した信号は、給電電極FEを介して、パッチアンテナPに到達する。パッチアンテナPに到達した信号は、送信対象の波長帯の電波として送信される。ディスプレイアンテナ10から送信される電波は、アンテナ集合体AEごとに送信方向が制御される。
【0044】
また、パッチアンテナPで受信された受信対象の電波は、そのパッチアンテナPに接続された移相器13に設定された移相量で、移相される。移相された信号は、信号線を通じて、受信回路(図示しない)によって受信される。受信回路によって受信される信号に含まれる情報は、図示しないデコーダでデコードされる。
【0045】
制御部17(制御手段)は、アンテナアレイ11を制御して、アンテナ集合体AEを形成させる。制御部17は、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体AEの大きさを設定する。制御部17は、パッチアンテナPの間に配置された第1スイッチ(図示しない)のON/OFFを切り替えて、アンテナ集合体AEを構成するパッチアンテナPの組み合わせを変更する。その結果、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体AEの大きさが設定される。
【0046】
例えば、送受信対象の電波の周波数帯が70GHzの場合、制御部17は、1辺が6.8mmの方形領域になるように、アンテナ集合体AEの大きさを設定する。制御部17は、複数の第1スイッチを切り替えて、一辺が1.7mmのパッチアンテナPを16個(4×4)組み合わせる。制御部17は、16個のパッチアンテナPが同電位になるように、複数の第1スイッチを切り替える。その結果、4×4で配列された16個のパッチアンテナPが組み合わされて、1辺が6.8mmである方形領域のアンテナ集合体AEが設定される。制御部17は、アンテナアレイ11に関して、複数のアンテナ集合体AEを設定する。制御部17は、隣接したアンテナ集合体AEの間の接続に用いられる第1スイッチをOFFに設定する。複数のアンテナ集合体AEを組み合わせてさらに大きなアンテナ集合体AEを形成させる場合、制御部17は、隣接したアンテナ集合体AEの間の接続に用いられる第1スイッチをONに設定する。その場合、制御部17は、送受信対象の電波の波長帯に合わせて、隣接したアンテナ集合体AEの間の接続に用いられる第1スイッチをONに設定する。
【0047】
図10は、指の大きさに合わせて設定されたアンテナ集合体AE(16×16)の構成の一例を示す概念図である。
図10の例では、一つのアンテナ集合体AE(8×8)の一辺が3.2mmである。
図10の例において、アンテナ集合体AE(8×8)は、300GHzの周波数帯に対応する。制御部17は、指の大きさ合わせて、1辺が6.4mmの方形領域になるように、4つのアンテナ集合体AE(8×8)を組み合わせて、アンテナ集合体AE(16×16)を設定する。制御部17は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、一辺が3.2mmのアンテナ集合体AE(8×8)を4個組み合わせる。その結果、16×16で配列された256個のパッチアンテナ111が組み合わされて、1辺が6.4mmである方形領域のアンテナ集合体AE(16×16)が設定される。制御部17は、アンテナアレイ11に関して、タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体AEを設定する。
【0048】
また、制御部17は、移相器13の移相量を設定する。制御部17は、移相器13に配置された移相スイッチSWPのON/OFFを切り替えて、移相器13の移相量を設定する。制御部17は、移相量が設定された移相器13の入力端Iに接続された信号線に、送信対象の信号を供給する。また、制御部17は、電波の送信に用いられるアンテナ集合体AEを構成するパッチアンテナPと信号源(図示しない)との接続を切り替えるスイッチ(図示しない)をONに切り替える。信号源は、送信対象の電波の送信に用いられる高周波電源である。信号源は、送信対象の電波の周波数帯や、その電波の送信強度に応じた高周波電力を供給する。信号源に接続されたパッチアンテナPを含むアンテナ集合体AEには、その信号源から高周波電力が供給される。その結果、信号線から供給された送信対象の信号は、移相器13の移相量に応じて移相されて、アンテナ集合体AEから送信される。
【0049】
また、制御部17は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体AEを選択する。制御部17は、タッチセンサとして機能させる複数のアンテナ集合体AEが網目状に配列されるように、隣接し合うアンテナ集合体AEを選択する。制御部17は、選択されたアンテナ集合体AEのうち、隣接し合う2つのアンテナ集合体AEを電気的に接続させる。タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体AEのうち、隣接し合う2つのアンテナ集合体AEを接続する配線に配置された第1スイッチSW1をONに切り替える。その結果、ONに切り替えられた第1スイッチSW1で接続された複数のアンテナ集合体AEによって、網目状のタッチセンサが形成される。X方向に連結された複数のアンテナ集合体AEによって構成された行と、Y方向に連結された複数のアンテナ集合体AEによって構成された列との交点における容量の変化に応じて、接触位置を特定できる。制御部17による接触位置の検知の詳細については、説明を省略する。
【0050】
例えば、制御部17は、指の大きさに合わせて設定された、アンテナ集合体AEを構成するパッチアンテナPの組み合わせを選択する。パッチアンテナPの組み合わせは、指を含めた指示体の大きさ位に応じて、選択される。前述した
図3の例の場合、16個(4×4)のパッチアンテナPによって構成されたアンテナ集合体AEによって、タッチセンサ用の電極が1つ構成される。制御部17は、X方向の配線L
Xに配置された第1スイッチSW1をONに切り替えることによって、X方向に配列されたタッチセンサTS
Xを構成するアンテナ集合体AEを電気的に接続させる。制御部17は、Y方向の配線L
Yに配置された第1スイッチSW1をONに切り替えることによって、Y方向に配列されたタッチセンサTS
Yを構成するアンテナ集合体AEを電気的に接続させる。タッチセンサとして用いられるアンテナ集合体AEは、16個(4×4)ではない数のパッチアンテナPによって構成されてもよい。例えば、タッチセンサとして用いられるアンテナ集合体AEは、64個(8×8)のパッチアンテナPによって構成されてもよい。例えば、タッチセンサとして用いられるアンテナ集合体AEは、4個(2×2)のパッチアンテナPによって構成されてもよい。
【0051】
図11は、アンテナアレイ11におけるタッチセンサの設定例を示す概念図である。
図11は、フェーズドアレイアンテナとして機能させるアンテナ集合体AE1と、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体AE2とを構成するパッチアンテナPの数が異なる例である。制御部17は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、1辺が3.0mmのパッチアンテナPを16個(4×4)組み合わせて、アンテナ集合体AE1を形成させる。その結果、4×4で配列された16個のパッチアンテナPが組み合わされて、1辺が12mmである方形領域のアンテナ集合体AE1が設定される。例えば、1辺が12mmである方形領域のアンテナ集合体AE1は、周波数帯が40GHzの電波の送受信に用いられる。制御部17は、アンテナアレイ11に関して、複数のアンテナ集合体AE1を設定する。
【0052】
図11の例において、制御部17は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体AE2を選択する。制御部17は、複数の第1スイッチSW1を切り替えて、1辺が3.0mmのパッチアンテナPを4個(2×2)組み合わせて、アンテナ集合体AEを形成させる。その結果、2×2で配列された4個のパッチアンテナPが組み合わされて、タッチセンサとして機能するアンテナ集合体AE2が構成される。制御部17は、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xとして機能させるアンテナ集合体AE2の間の配線L
Xに配置された第1スイッチSW1を、ONに切り替える。制御部17は、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとして機能させるアンテナ集合体AE2の間の配線L
Yに配置された第1スイッチSW1を、ONに切り替える。その結果、X方向の位置検知用のタッチセンサTS
Xと、Y方向の位置検知用のタッチセンサTS
Yとが網目状に配置されたタッチパネルが構成される。
【0053】
さらに、制御部17は、ディスプレイ15の表示を制御する。制御部17は、操作入力を受け付けるユーザインターフェースが表示されるように、ディスプレイ15を構成する複数の発光器150を発光させる。制御部17は、アンテナアレイ11に設定されたタッチパネルの検出位置に対応付けて、その検出位置において選択や操作を行うための表示情報が表示されるように、複数の発光器150を発光させる。ユーザインターフェースを表示させない場合、制御部17は、タッチパネルとは無関係の画像が表示されるように、ディスプレイ15を構成する複数の発光器150を発光させてもよい。なお、ディスプレイ15の表示制御には、制御部17ではない表示制御部(図示しない)が用いられてもよい。
【0054】
図12は、ユーザが使用する端末装置に、ディスプレイアンテナ10が搭載されている例を示す概念図である。端末装置の画面180には、ディスプレイアンテナ10に含まれるディスプレイ15の画像が表示される。また、端末装置の画面180には、ディスプレイアンテナ10のタッチパネルの機能が設定される。
図12には、画面180にユーザインターフェースが表示される例を示す。
図12には、画面180に表示されたユーザインターフェースに含まれるボタンのうち一つが、ユーザによって選択された様子を示す。
図12には、タッチパネルを構成するタッチセンサの行方向および列方向のイメージを網目状のパターンで示すが、実際に形成されるタッチセンサの大きさや間隔を正確に表してはいない。
【0055】
図12の例において、ディスプレイアンテナ10は、ユーザの指が接触した位置を検出する。ディスプレイアンテナ10は、検出された位置に表示された表示情報に対応した入力を受け付ける。端末装置の画面180のうち、タッチパネルとして機能していない部分は、フェーズドアレイアンテナとして機能する。このように、ディスプレイアンテナ10は、タッチパネルの機能と、フェーズドアレイアンテナの機能とを同時に発揮できる。ディスプレイアンテナ10は、タッチパネルの機能のみを発現させてもよい。また、ディスプレイアンテナ10は、フェーズドアレイアンテナの機能のみを発現させてもよい。
【0056】
(変形例)
次に、本実施形態のディスプレイアンテナ10の変形例をあげる。ここでは、5つの変形例をあげる。以下の変形例に関する説明においては、ディスプレイアンテナ10と同様の部分については、説明を省略する。
【0057】
〔変形例1〕
図13は、変形例1に係るディスプレイアンテナ10-1の構成の一例を示す概念図である。
図13は、ディスプレイアンテナ10-1の断面構造の一例を示す。ディスプレイアンテナ10-1は、移相器形成層130に配置された少なくとも一部の移相器13に含まれる移相スイッチSWPを実現する構成の一例である。本変形例では、二酸化バナジウムVO
2の金属-絶縁体相転移(以下、相転移と呼ぶ)を利用したスイッチSWVが用いられる例をあげる。スイッチSWVは、ビアV1を介して、スイッチSWVの開閉制御を行うTFT(Thin Film Transistor)に接続される。
【0058】
図14は、スイッチSWVを実現する構成の一例を示す概念図である。
図14のスイッチSWVは、二酸化バナジウムVO
2の薄膜を含む。二酸化バナジウムVO
2は、常温から温度を上昇させると、摂氏67度付近で急激に電気抵抗が減少して、絶縁体から金属に相転移する。相転移温度よりも低温において、二酸化バナジウムVO
2は絶縁相である。相転移温度よりも高温において、二酸化バナジウムVO
2は金属相である。実際の二酸化バナジウムVO
2の相転移においては、温度の上昇と下降においてヒステリシスが発生する。そのため、ヒステリシスを考慮して、スイッチSWVのON/OFFが切り替わるように、温度設計される。
【0059】
図14の例において、スイッチSWVは、移相器13に含まれる配線Lに配置される。例えば、スイッチSWVは、分岐線路やスタブなどと主要線路との接続点に配置される。また、スイッチSWVには、電熱線Hが熱的に接続される。電熱線Hの第1端は、ビアV2を介して、電源線L
Pに電気的に接続される。また、電熱線Hの第2端は、ビアV1を介して、TFTのドレインdに電気的に接続される。電熱線Hは、スイッチSWVに含まれる二酸化バナジウムVO
2の薄膜の温度を制御するために用いられる。例えば、電熱線Hは、ニッケルNiやクロムCrを主成分とする合金で実現される。電熱線Hは、クロムCr、鉄Fe、およびアルミニウムAlを主成分とする合金で実現されてもよい。電流の印加に応じて温度が上がりやすい材質であれば、電熱線Hの材質には、特に限定を加えない。
【0060】
電熱線Hへの電流の供給は、TFTを用いて制御できる。TFTのゲートgに閾値電圧を越えた電圧が印加されると、TFTがONになる。TFTがONになると、接地線GNDに接続されたソースsとドレインdが同電位(0V)になり、電源線LPを介して電熱線Hに電流が供給され、電熱線の温度が上昇する。電熱線Hの熱は、スイッチSWVに含まれる二酸化バナジウムVO2の薄膜に伝わる。スイッチSWVに含まれる二酸化バナジウムVO2の薄膜の温度が相転移温度を超えると、その薄膜は金属相に相転移する。その結果、スイッチSWVがONの状態に遷移し、スイッチSWVが介在する配線Lが導通される。また、電熱線Hへの電流の供給が停止されると、電熱線Hの温度が下降する。スイッチSWVに含まれる二酸化バナジウムVO2の薄膜の温度が相転移温度を下回ると、その薄膜は絶縁相に相転移する。その結果、スイッチSWVがOFFの状態に遷移し、スイッチSWVが介在する配線Lが遮断される。
【0061】
本変形例によれば、二酸化バナジウムVO2の薄膜を含むスイッチSWVを用いることによって、ディスプレイアンテナ10-1を半導体プロセスで一括して製造できる。また、本変形例によれば、移相器形成層130に形成される移相器13を小型化できる。二酸化バナジウムVO2の薄膜を含むスイッチSWVは、ディスプレイアンテナ10-1に含まれるその他のスイッチに適用されてもよい。
【0062】
〔変形例2〕
図15は、変形例2に係るディスプレイアンテナ10-2の構成の一例を示す概念図である。
図15は、ディスプレイアンテナ10-2の断面構造の一例を示す。ディスプレイアンテナ10-2は、アンテナの機能(アンテナA1)とディスプレイの機能(ディスプレイD1)が分割された構成である。アンテナA1は、ディスプレイD1の上方に積層される。
【0063】
アンテナA1の最下層には、シールド電極172の替わりに、シールド層175が形成される。シールド層175は、そのシールド層175の上方と下方の電磁結合を防ぐために形成される。シールド層175は、透明な導電体によって構成される。例えば、パッチアンテナPと同様に、シールド層175は、酸化インジウムスズや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンなどの材質によって実現される。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、シールド層175の材質には限定を加えない。シールド層175は、図示しない導線等によって、筐体や接地端子に接続される。シールド層175の電位は、そのシールド層175が接続された接地箇所と同じ電位である。
【0064】
ディスプレイD1の上部には、平坦化膜や保護膜が形成される。平坦化膜や保護膜は、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明な材質である。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、平坦化膜や保護膜の材質には限定を加えない。例えば、平坦化膜や保護膜は、酸化シリコンなどによって実現される。ディスプレイD1の上部には、アンテナA1が配置される。アンテナA1に含まれる移相器形成層130は、ディスプレイD1に含まれる発光器150の上方の領域を避けて配置される。
【0065】
本変形例によれば、アンテナA1とディスプレイD1とを個別に製造できる。例えば、アンテナA1とディスプレイD1とは、異なる工場で製造されてもよい。このように、本変形例によれば、ディスプレイアンテナ10-2の製造における自由度が向上する。
【0066】
〔変形例3〕
図16は、変形例3に係るディスプレイアンテナ10-3の構成の一例を示す概念図である。
図16は、ディスプレイアンテナ10-3の断面構造の一例を示す。ディスプレイアンテナ10-3は、アンテナの機能(アンテナA2)とディスプレイの機能(ディスプレイD2)が分割された構成である。アンテナA2は、ディスプレイD2の上方に積層される。
【0067】
アンテナA2の最下層には、シールド電極172が形成される。シールド電極172は、シールド電極172の上方と、シールド電極172の下方に配置されるディスプレイD2との電磁結合を防ぐために形成される。シールド電極172の材質については、導電性があれば、特に限定を加えない。例えば、シールド電極172は、アルミニウムや銅などの金属を含む素材で実現される。シールド電極172は、図示しない導線等によって、筐体や接地端子に接続される。シールド電極172の電位は、そのシールド電極172が接続された接地箇所と同じ電位である。
【0068】
ディスプレイD2の上部には、平坦化膜や保護膜が形成される。平坦化膜や保護膜は、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明な材質である。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、平坦化膜や保護膜の材質には限定を加えない。例えば、平坦化膜や保護膜は、酸化シリコンなどによって実現される。ディスプレイD2の上部には、アンテナA2が配置される。アンテナA2に含まれる移相器形成層130およびシールド電極172は、ディスプレイD2に含まれる発光器150の上方の領域を避けて配置される。
【0069】
本変形例によれば、アンテナA2とディスプレイD2とを個別に製造できる。例えば、アンテナA2とディスプレイD2とは、異なる工場で製造されてもよい。このように、本変形例によれば、ディスプレイアンテナ10-3の製造における自由度が向上する。
【0070】
〔変形例4〕
図17は、変形例4に係るディスプレイアンテナ10-4の構成の一例について説明するための概念図である。
図17は、ディスプレイ15が構成された基板170の上面を、上方の視座から見た平面図である。
図17は、発光器150の間の上方領域に、給電電極パターンFP1が形成された例である。
【0071】
図18は、
図17のA-A切断線で切断された断面の一例を示す断面図である。
図18の断面図では、ハッチングを省略した箇所がある。給電電極パターンFP1を構成する給電電極FEは、移相器形成層130に形成された移相器13の給電点FとパッチアンテナPとを電気的に接続する。
【0072】
本変形例によれば、1つの給電電極FEで移相器13とパッチアンテナPとが接続された場合と比較して、移相器13とパッチアンテナPとが接続された部分の面積を大きく設定できる。
【0073】
〔変形例5〕
図19は、変形例5に係るディスプレイアンテナ10-5の構成の一例について説明するための概念図である。
図19は、ディスプレイ15が構成された基板170の上面を、上方の視座から見た平面図である。
図19は、発光器150の間の上方領域に、給電電極パターンFP2が形成された例である。
【0074】
図20は、
図19のB-B切断線で切断された断面の一例を示す断面図である。
図20の断面図では、ハッチングを省略した箇所がある。給電電極パターンFP2は、移相器形成層130に形成された移相器13の配線によって構成される。接地電極173は、給電電極パターンFP2の上方の領域を避けて配置される。給電電極パターンFP2の上面は、開口部分(スロット)を介して、パッチアンテナPの下面と対向する。パッチアンテナPは、接地電極173の間のスロットを介して、移相器形成層130に形成された給電電極パターンFP2と電磁結合される。パッチアンテナPと給電電極パターンFP2を、スロットを介して電磁結合させることによって、パッチアンテナPが励振される。
【0075】
本変形例によれば、電磁結合によって、パッチアンテナPと移相器13とを結合できる。また、本変形例の構成では、パッチアンテナPと移相器13とを物理的に接続させなくてもよい。そのため、本変形例では、パッチアンテナPと移相器13とを接続する給電電極FEを省略できるため、変形例4と比べて発光器150の視野角が広い。
【0076】
以上のように、本実施形態のディスプレイアンテナは、アンテナアレイ、移相器、ディスプレイ、および制御部を備える。ディスプレイは、格子状に配列された複数の発光器を含む。アンテナアレイは、可視領域の波長帯の光が透過する複数のパッチアンテナが格子状に配列されたアンテナ集合体を有する。アンテナアレイは、ディスプレイの上に重ねて配置される。移相器は、複数の発光器に挟まれた隙間領域に配置される。移相器は、複数のパッチアンテナのうち少なくともいずれかに接続される。移相器は、送受信対象の信号を移相する。制御部は、スイッチの開閉を制御する。制御部は、複数のパッチアンテナの間に配置された第1スイッチを閉じて、アンテナ集合体を形成させる。制御部は、タッチセンサとして機能させるアンテナ集合体の頂点の位置にあるパッチアンテナに接続された第1スイッチを閉じることによって、タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルを形成させる。制御部は、行方向に配列された複数のアンテナ集合体によって形成された行と、列方向に配列された複数のアンテナ集合体によって形成された列との交点における容量変化に応じて、タッチパネルにおける指示体の接触位置を検出する。
【0077】
本実施形態のディスプレイアンテナにおいては、複数の発光器に挟まれた隙間領域に移相器が配置される。そのため、本実施形態のディスプレイアンテナによれば、送受信対象の信号の位相を、移相器によって移相できる。また、本実施形態のディスプレイアンテナには、タッチセンサとして機能する複数のアンテナ集合体が行方向および列方向に配列されたタッチパネルが形成される。そのため、本実施形態によれば、アンテナ集合体アンテナの機能と、タッチパネルの機能とが共存するディスプレイアンテナを実現できる。すなわち、本実施形態によれば、タッチパネルの機能を有し、指向性のある電波を送受信するディスプレイアンテナを実現できる。
【0078】
本実施形態では、透明なパッチアンテナとマイクロLEDとを組み合わせることによって、アンテナ付きのディスプレイ(ディスプレイアンテナ)を実現する。通常の構造では、パッチアンテナに給電するために、隣接したマイクロLEDの間の隙間を通じて、給電電極(ビア)を配置する必要があった。そのような構造は、ビアや、ビアの貫通孔を微細加工する必要があり、製造することが難しかった。本実施形態のディスプレイアンテナの構造では、隣接したマイクロLEDの間の隙間に移相器を配置できる。そのため、本実施形態のディスプレイアンテナは、隣接したマイクロLEDの間の隙間にビアを形成しなくてもよいため、ビアが必要な場合と比較して製造しやすい。
【0079】
本実施形態の一態様において、発光器は、マイクロLED(Light-Emitting Diode)である。移相器は、隣接し合う発光器(マイクロLED)に挟まれた隙間領域の上方に配置された少なくとも一つの伝送線路によって構成される。移相器は、給電電極を介して、複数のパッチアンテナのうち少なくともいずれかに電気的に接続される。本態様では、発光器としてマイクロLEDを用いるため、ディスプレイ全体において発光器が占める面積を低減できる。本態様によれば、発光器としてマイクロLEDを用いることで発生した隙間領域の上方を、移相器の形成層として有効に活用できる。本態様のディスプレイアンテナは、隙間領域の上方に移相器を形成するため、ビアや、ビアの貫通孔を微細加工する必要がなく、製造しやすい。
【0080】
本実施形態の一態様において、伝送線路は、入力端と給電電極とを結ぶ主要線路と、移相スイッチを介して主要線路に接続された少なくとも一つの分岐線路とを含む。本態様によれば、分岐線路を選択することによって、所望の移相量を設定できる。
【0081】
本実施形態の一態様において、伝送線路は、入力端と給電電極とを結ぶ主要線路と、移相スイッチを介して主要線路に接続された少なくとも一つのオープンスタブとを含む。本態様によれば、オープンスタブを選択することによって、所望の移相量を設定できる。
【0082】
本実施形態の一態様において、伝送線路は、入力端と給電電極とに接続された90度ハイブリッド回路と、移相スイッチを介して90度ハイブリッド回路に接続された少なくとも一つのオープンスタブとを含む。本態様によれば、オープンスタブを選択することによって、所望の移相量を設定できる。
【0083】
本実施形態の一態様において、制御部は、タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースをディスプレイに表示させる。制御部は、検出された指などの指示体の接触位置と、ディスプレイにおいて接触位置に表示された入力画像とを対応付けて、選択された入力画像を判別する。本態様によれば、ディスプレイに表示された入力画像の選択に応じて、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェースを実現できる。
【0084】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るディスプレイアンテナについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のディスプレイアンテナは、第1の実施形態に係るディスプレイアンテナとは、接触を検知する原理が異なる。本実施形態のディスプレイアンテナは、光学的に接触を検知する。
【0085】
(構成)
図21は、本実施形態に係るディスプレイアンテナ20の構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイアンテナ20は、アンテナアレイ21、移相器23、ディスプレイ25、および制御部27を備える。アンテナアレイ21および移相器23は、アンテナ装置200を構成する。アンテナ装置200には、制御部27が追加されてもよい。ディスプレイアンテナ20は、ディスプレイ25の上にアンテナ装置200を重ねた構造を有する。制御部27は、ディスプレイアンテナ20の外部に配置されてもよい。その場合、ディスプレイアンテナ20は、アンテナアレイ21、移相器23、およびディスプレイ25によって構成される。
【0086】
アンテナアレイ21は、第1の実施形態のアンテナアレイ11と同様の構成である。アンテナアレイ21は、複数のパッチアンテナを含む。パッチアンテナは、可視領域および近赤外領域の波長帯の光が透過可能な透明電極である。例えば、可視領域は、380~800nmの波長帯である。例えば、近赤外領域は、0.7~2.5μm(マイクロメートル)の波長帯である。アンテナアレイ21は、接触の検知に用いられる光の波長帯に対して、透明であればよい。
【0087】
図22は、ディスプレイアンテナ20の構造の一例について説明するための断面図である。
図22においては、ディスプレイアンテナ20の構成のうち一部を省略する。また、
図22の断面図においては、ハッチングを省略した箇所がある。
【0088】
基板270の上には、ディスプレイ25が形成される。ディスプレイ25は、複数の第1発光器251および複数の第2発光器252によって構成される。複数の第1発光器251および複数の第2発光器252は、2次元アレイ状に配置される。
図23は、複数の第1発光器251および複数の第2発光器252の配置例を示す概念図である。
図23は、基板270の上方に配置された複数の第1発光器251および複数の第2発光器252の発光面を、上方の視座から見た平面図である。複数の第1発光器251および複数の第2発光器252は、交互に配置される。
【0089】
第1発光器251は、赤R(Red)、緑G(Green)、および青B(Blue)の各色に対応した波長帯の光を発光する発光部を有する。また、第1発光器251は、近赤外NIR(Near-infrared)の光を発する発光部を有する。近赤外NIRの光は、接触位置の検知に用いられる。例えば、第1発光器251は、マイクロLED(Light-Emitting Diode)によって実現される。例えば、第1発光器251は、赤Rの波長帯の光を発光する赤色LED、緑Gの波長帯の光を発光する緑色LED、青Bの波長帯の光を発光する青色LED、および近赤外NIRの波長帯の光を発光する近赤外LEDを含むマイクロLEDによって実現される。第1発光器251は、赤R、緑G、および青Bのうち少なくとも一つの波長帯の光と、近赤外NIRの波長帯の光とを発光する発光部を有すればよい。また、第1発光器251は、赤R、緑G、青B、および近赤外NIRとは異なる波長帯の光を発光する発光部を有してもよい。
【0090】
第1発光器251は、配線層271に含まれる配線を介して、駆動部(図示しない)に接続される。第1発光器251は、制御部27による駆動部の制御に応じて、赤R、緑G、青B、および近赤外NIRの波長帯の光を発光させる。
【0091】
第2発光器252は、赤R、緑G、および青Bの各色に対応した波長帯の光を発光する発光部を有する。また、第2発光器252は、近赤外NIRの波長帯の光に感度があるフォトダイオードPDを有する。例えば、第2発光器252は、マイクロLEDにフォトダイオードPDが追加された素子によって実現される。フォトダイオードPDは、指などの指示体の接触検知に用いられる。例えば、第2発光器252は、赤Rの波長帯の光を発光する赤色LED、緑Gの波長帯の光を発光する緑色LED、青Bの波長帯の光を発光する青色LED、および近赤外NIRの波長帯の光を受光するフォトダイオードPDを含む素子によって実現される。第2発光器252は、赤R、緑G、および青Bのうち少なくとも一つの波長帯の光を発光する発光部を有すればよい。また、第2発光器252は、赤R、緑G、および青Bとは異なる波長帯の光を発光する発光部を有してもよい。
【0092】
第2発光器252は、配線層271に含まれる配線を介して、駆動部(図示しない)に接続される。第2発光器252は、制御部27による駆動部の制御に応じて、赤R、緑G、および青Bの波長帯の光を発光させる。また、第2発光器252のフォトダイオードPDは、近赤外NIRの波長帯の光を受光する。フォトダイオードPDは、受光した近赤外NIRの波長帯の光を電気信号に変換する。フォトダイオードPDは、変換後の電気信号を制御部27に出力する。
【0093】
図24は、ディスプレイアンテナ20による接触検知の一例を示す概念図である。保護層277の一部に指が接触すると、第1発光器251から発光された光は、その指の下方に向けて反射される。第1発光器251から発光された光に含まれる近赤外NIRの光は、第1発光器251のフォトダイオードPDによって受光される。制御部27は、近赤外NIRの光を受光したフォトダイオードPDを含む第2発光器252の位置に応じて、接触箇所を特定する。
【0094】
ディスプレイ25には、少なくとも1つの入力画像を含むタッチパネルの画像が表示される。例えば、入力画像は、操作を受け付けるボタンである。例えば、入力画像は、キーボードやテンキーなどの文字や数字、記号の入力を受け付けるキーの画像である。例えば、入力画像は、スライダーやタグなどのように、操作を受け付ける画像である。ディスプレイ25に表示された入力画像の位置において、タッチセンサとして機能しているパッチアンテナPによって接触が検出されると、その入力画像の位置で検出された操作に応じた入力がなされる。
【0095】
配線層271は、第1の実施形態の配線層171と同様である。配線層271は、第1発光器251および第2発光器252の間の領域に形成される。配線層271には、ディスプレイ25を構成する複数の第1発光器251および第2発光器252に接続される配線が配置される。配線層271には、ディスプレイ25を駆動させるための配線が配置される。また、配線層271には、近赤外NIRの光を発光させるための配線や、受光された近赤外NIRの光に応じた電気信号が伝送される配線が配置される。配線層271には、第1スイッチや各種の配線などが配置されてもよい。また、配線層271には、送受信対象の信号を伝播させる信号線が配置されてもよい。配線層271は、単一の層であってもよいし、複数の層が積層された構造であってもよい。例えば、デバイス転写技術を用いれば、微小な素子を配線層271に形成できる。配線層271における構成要素や、構成要素間の接続関係などの詳細に関しては、図面を省略する。
【0096】
複数の第1発光器251および第2発光器252によって構成されるディスプレイ25の上部は、平坦化膜や保護膜が形成される。平坦化膜や保護膜は、可視領域の波長帯の光が透過可能な透明な材質である。可視領域の波長帯の光が透過可能であれば、平坦化膜や保護膜の材質には限定を加えない。例えば、平坦化膜や保護膜は、酸化シリコンなどによって実現される。ディスプレイ25の上部には、空隙が形成されてもよい。
【0097】
配線層271が形成された領域の上方には、シールド電極272が配置される。シールド電極272は、第1の実施形態のシールド電極172と同様の構成である。シールド電極272は、発光器250の上方の領域を避けて配置される。シールド電極272は、シールド電極272の上方と下方の電磁結合を防ぐために形成される。
【0098】
シールド電極272の上方には、移相器形成層230が配置される。移相器形成層230には、移相器23が形成される。移相器23は、第1の実施形態の移相器13と同様の構成である。移相器23は、第1発光器251および第2発光器252の上方を避けた位置に配置される。移相器23の給電点Fは、給電電極FEを介して、パッチアンテナPに接続される。
【0099】
移相器23を通過した信号は、SWの開閉状態に応じて、通過した線路やスタブの電気長に応じた移相量で移相される。移相器23の移相量は、制御部27による移相スイッチSWPの開閉制御に応じて、切り替えられる。
【0100】
複数の第1発光器251および第2発光器252によって構成されるディスプレイ25および移相器形成層230の上方のシールド層には、接地電極273が配置される。接地電極273は、第1の実施形態の接地電極173と同様の構成である。接地電極273は、接地電極273の上方と下方の電磁結合を防ぐために形成される。接地電極273は、透明な導電体によって構成される。
【0101】
接地電極273が形成されたシールド層の上方には、複数のパッチアンテナPが配置される。複数のパッチアンテナPは、給電電極FEを介して、移相器形成層230に形成された移相器23の給電点Fに電気的に接続される。給電電極FEは、パッチアンテナPと移相器23の給電点とを電気的に接続する導電性のビアである。導電性があれば、給電電極FEの材質には、特に限定を加えない。
【0102】
複数のパッチアンテナPの上方には、保護層277が形成される。保護層277は、可視領域および近赤外領域の波長帯の光が透過可能な部材によって形成される。可視領域および近赤外領域の光が透過可能であれば、保護層277の材質には、限定を加えない。例えば、保護層277は、ガラスやプラスチックなどの透明部材によって実現される。
【0103】
配線層271と保護層277との間の空間には、誘電体層(図示しない)が形成される。誘電体層は、可視領域の波長帯の光が透過可能な誘電体によって形成される。配線層271と保護層277との間の空間は、誘電体層を構成する誘電体で満たされていてもよいし、空隙が形成されてもよい。誘電体層の材質や形状、位置については、特に限定を加えない。
【0104】
送信対象の信号は、送信回路(図示しない)から出力される。送信回路から出力された信号は、信号線(図示しない)を通じて、移相器23に到達する。移相器23に到達した送信対象の信号は、移相器23に設定された移相量で移相される。移相器23を通過した信号は、給電電極FEを介して、パッチアンテナPに到達する。パッチアンテナPに到達した信号は、送信対象の波長帯の電波として送信される。ディスプレイアンテナ20から送信される電波は、アンテナ集合体AEごとに送信方向が制御される。
【0105】
また、パッチアンテナPで受信された受信対象の電波は、そのパッチアンテナPに接続された移相器23に設定された移相量で移相される。移相された信号は、信号線を通じて、受信回路(図示しない)によって受信される。受信回路によって受信される信号に含まれる情報は、図示しないデコーダでデコードされる。
【0106】
制御部27(制御手段)は、アンテナアレイ21を制御して、アンテナ集合体AEを形成させる。制御部27は、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体AEの大きさを設定する。制御部27は、パッチアンテナPの間に配置された第1スイッチ(図示しない)のON/OFFを切り替えて、アンテナ集合体AEを形成させるパッチアンテナPの組み合わせを変更する。その結果、送受信対象の電波の周波数帯に合わせて、アンテナ集合体AEの大きさが設定される。
【0107】
また、制御部27は、移相器23の移相量を設定する。制御部27は、移相器23に配置された移相スイッチSWPのON/OFFを切り替えて、移相器23の移相量を設定する。制御部27は、移相量が設定された移相器23の入力端Iに接続された信号線に、送信対象の信号を供給する。また、制御部27は、電波の送信に用いられるアンテナ集合体AEを構成するパッチアンテナPのうち少なくともいずれかを、信号源(図示しない)に接続させる。例えば、制御部27は、パッチアンテナPと信号源との間に配置されたスイッチを閉じて、パッチアンテナPと信号源とを接続させる。信号源は、送信対象の電波の送信に用いられる高周波電源である。信号源は、送信対象の電波の周波数帯や、その電波の送信強度に応じた高周波電力を供給する。信号源に接続されたパッチアンテナPを含むアンテナ集合体AEには、信号源SGから高周波電力が供給される。その結果、信号線から供給された送信対象の信号は、移相器23の移相量に応じて移相されて、アンテナ集合体AEから送信される。
【0108】
また、制御部27は、ディスプレイ25の表示を制御する。制御部27は、操作入力を受け付けるユーザインターフェースが表示されるように、ディスプレイ25を構成する複数の第1発光器251および複数の第2発光器252を発光させる。制御部27は、アンテナアレイ21に設定されたタッチパネルの検出位置に対応付けて、その検出位置において選択や操作を行うための表示情報が表示されるように、複数の第1発光器251および複数の第2発光器252を発光させる。ユーザインターフェースを表示させない場合、制御部27は、タッチパネルとは無関係の画像が表示されるように、ディスプレイ25を構成する複数の第1発光器251および複数の第2発光器252を発光させてもよい。なお、ディスプレイ25の表示制御には、制御部27ではない表示制御部(図示しない)が用いられてもよい。
【0109】
また、制御部27は、複数の第1発光器251に含まれる近赤外NIRの発光部を発光させる。近赤外NIRの発光部を発光させるタイミングは、任意に設定される。例えば、制御部27は、ディスプレイ25にユーザインターフェースを表示させている期間、近赤外NIRの発光部を発光させる。制御部27は、複数の第2発光器252に含まれるフォトダイオードPDによって受光された光に応じた電気信号を取得する。制御部27は、電気信号を出力したフォトダイオードPDを含む第2発光器252の位置を接触箇所として特定する。制御部27は、特定された位置に表示された表示情報に対応した入力を受け付ける。
【0110】
上記のように、ディスプレイアンテナ20は、タッチパネルの機能と、フェーズドアレイアンテナの機能とを同時に発揮できる。ディスプレイアンテナ20は、フェーズドアレイの機能を使わずに、タッチパネルとして用いられてもよい。また、ディスプレイアンテナ20は、タッチパネルの機能を使わずに、フェーズドアレイアンテナとして用いられてもよい。
【0111】
以上のように、本実施形態のディスプレイアンテナは、アンテナアレイ、移相器、ディスプレイ、および制御部を備える。ディスプレイは、格子状に配列された複数の発光器を含む。発光器は、近赤外領域の光を発光する発光部を含む第1発光器と、近赤外領域の光に感度があるフォトダイオードを含む第2発光器とを有する。ディスプレイには、第1発光器および第2発光器が交互に配列されたタッチパネルが構成される。アンテナアレイは、可視領域および近赤外領域の波長帯の光が透過する複数のパッチアンテナが格子状に配列されたアンテナ集合体を有する。アンテナアレイは、ディスプレイの上に重ねて配置される。移相器は、複数の発光器に挟まれた隙間領域に配置される。移相器は、複数のパッチアンテナのうち少なくともいずれかに接続され。移相器は、送受信対象の信号を移相する。制御部は、スイッチの開閉を制御する。制御部は、複数のパッチアンテナの間に配置された第1スイッチを閉じて、アンテナ集合体を形成させる。制御部は、タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースをディスプレイに表示させる。制御部は、第2発光器に含まれるフォトダイオードによる近赤外領域の光の受光に応じて、指示体の接触位置を検出する。制御部は、検出された指示体の接触位置と、接触位置に表示された入力画像とを対応付けて、選択された入力画像を判別する。
【0112】
本実施形態のディスプレイアンテナにおいては、複数の発光器に挟まれた隙間領域に、移相器が配置される。そのため、本実施形態のディスプレイアンテナによれば、送受信対象の信号の位相を、移相器によって移相できる。また、本実施形態のディスプレイアンテナには、第1発光器の発光部から出射された近赤外領域の光の反射光を第2発光器のフォトダイオードで受光する構成によって、タッチパネルが形成される。そのため、本実施形態によれば、フェーズドアレイアンテナの機能と、タッチパネルの機能とが共存するディスプレイアンテナを実現できる。すなわち、本実施形態によれば、タッチパネルの機能を有し、指向性のある電波を送受信するディスプレイアンテナを実現できる。
【0113】
本実施形態の一態様において、制御部は、タッチパネルにおける位置に対応付けられたユーザインターフェースをディスプレイに表示させる。制御部は、第2発光器に含まれるフォトダイオードによる近赤外領域の光の受光に応じて、タッチパネルにおける指示体の接触位置を検出する。制御部は、検出された指示体の接触位置と、ディスプレイにおいて接触位置に表示された入力画像とを対応付けて、選択された入力画像を判別する。本態様によれば、ディスプレイに表示された入力画像の選択に応じて、ユーザの操作を受け付けるユーザインターフェースを実現できる。
【0114】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るディスプレイアンテナについて図面を参照しながら説明する。本実施形態のディスプレイアンテナは、第1~第2の実施形態に係るディスプレイアンテナを簡略化した構成である。
【0115】
図25は、本実施形態に係るディスプレイアンテナ30の構成の一例を示すブロック図である。ディスプレイアンテナ30は、アンテナアレイ31、移相器33、およびディスプレイ35を備える。
【0116】
ディスプレイ35は、格子状に配列された複数の発光器を含む。アンテナアレイ31は、可視領域の波長帯の光が透過する複数のパッチアンテナが格子状に配列されたアンテナ集合体を有する。アンテナアレイ31は、ディスプレイ35の上に重ねて配置される。移相器33は、複数の発光器に挟まれた隙間領域に配置される。移相器33は、複数のパッチアンテナのうち少なくともいずれかに接続され。移相器33は、送受信対象の信号を移相する。
【0117】
以上のように、本実施形態のディスプレイアンテナは、複数の発光器に挟まれた隙間領域に、移相器が配置される。そのため、本実施形態のディスプレイアンテナは、送受信対象の信号の位相を、移相器によって移相できる。すなわち、本実施形態のディスプレイアンテナによれば、受信対象の信号の位相を移相することによって、指向性のある電波を送受信できる。
【0118】
(ハードウェア)
次に、本開示の各実施形態に係る制御や処理を実行するハードウェア構成について、図面を参照しながら説明する。ここでは、そのようなハードウェア構成の一例として、
図26の情報処理装置90(コンピュータ)をあげる。
図26の情報処理装置90は、各実施形態の制御や処理を実行するための構成例であって、本開示の範囲を限定するものではない。
【0119】
図26のように、情報処理装置90は、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96を備える。
図26においては、インターフェースをI/F(Interface)と略記する。プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、入出力インターフェース95、および通信インターフェース96は、バス98を介して、互いにデータ通信可能に接続される。また、プロセッサ91、主記憶装置92、補助記憶装置93、および入出力インターフェース95は、通信インターフェース96を介して、インターネットやイントラネットなどのネットワークに接続される。
【0120】
プロセッサ91は、補助記憶装置93等に格納されたプログラム(命令)を、主記憶装置92に展開する。例えば、プログラムは、各実施形態の制御や処理を実行するためのソフトウェアプログラムである。プロセッサ91は、主記憶装置92に展開されたプログラムを実行する。プロセッサ91は、プログラムを実行することによって、各実施形態に係る制御や処理を実行する。
【0121】
主記憶装置92は、プログラムが展開される領域を有する。主記憶装置92には、プロセッサ91によって、補助記憶装置93等に格納されたプログラムが展開される。主記憶装置92は、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)などの揮発性メモリによって実現される。また、主記憶装置92として、MRAM(Magneto resistive Random Access Memory)などの不揮発性メモリが構成/追加されてもよい。
【0122】
補助記憶装置93は、プログラムなどの種々のデータを記憶する。補助記憶装置93は、ハードディスクやフラッシュメモリなどのローカルディスクによって実現される。なお、種々のデータを主記憶装置92に記憶させる構成とし、補助記憶装置93を省略することも可能である。
【0123】
入出力インターフェース95は、規格や仕様に基づいて、情報処理装置90と周辺機器とを接続するためのインターフェースである。通信インターフェース96は、規格や仕様に基づいて、インターネットやイントラネットなどのネットワークを通じて、外部のシステムや装置に接続するためのインターフェースである。外部機器と接続されるインターフェースとして、入出力インターフェース95と通信インターフェース96とが共通化されてもよい。
【0124】
情報処理装置90には、必要に応じて、キーボードやマウス、タッチパネルなどの入力機器が接続されてもよい。それらの入力機器は、情報や設定の入力に使用される。入力機器としてタッチパネルが用いられる場合、タッチパネルの機能を有する画面がインターフェースになる。プロセッサ91と入力機器とは、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0125】
情報処理装置90には、情報を表示するための表示機器が備え付けられてもよい。表示機器が備え付けられる場合、情報処理装置90には、表示機器の表示を制御するための表示制御装置(図示しない)が備えられる。情報処理装置90と表示機器は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0126】
情報処理装置90には、ドライブ装置が備え付けられてもよい。ドライブ装置は、プロセッサ91と記録媒体(プログラム記録媒体)との間で、記録媒体に格納されたデータやプログラムの読み込みや、情報処理装置90の処理結果の記録媒体への書き込みを仲介する。情報処理装置90とドライブ装置は、入出力インターフェース95を介して接続される。
【0127】
以上が、本開示の各実施形態に係る制御や処理を可能とするためのハードウェア構成の一例である。
図26のハードウェア構成は、各実施形態に係る制御や処理を実行するためのハードウェア構成の一例であって、本開示の範囲を限定するものではない。各実施形態に係る制御や処理をコンピュータに実行させるプログラムも、本開示の範囲に含まれる。
【0128】
各実施形態に係るプログラムを記録したプログラム記録媒体も、本開示の範囲に含まれる。記録媒体は、例えば、CD(Compact Disc)やDVD(Digital Versatile Disc)などの光学記録媒体で実現できる。記録媒体は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)カードなどの半導体記録媒体によって実現されてもよい。また、記録媒体は、フレキシブルディスクなどの磁気記録媒体、その他の記録媒体によって実現されてもよい。プロセッサが実行するプログラムが記録媒体に記録されている場合、その記録媒体はプログラム記録媒体に相当する。
【0129】
各実施形態の構成要素は、任意に組み合わせられてもよい。各実施形態の構成要素は、ソフトウェアによって実現されてもよい。各実施形態の構成要素は、回路によって実現されてもよい。
【0130】
以上、実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0131】
10、20、30 ディスプレイアンテナ
11、21、31 アンテナアレイ
13、23、33 移相器
15、25、35 ディスプレイ
17、27 制御部
100 アンテナ装置
130 移相器形成層
131、132、133 移相器
150、151、152 発光器
170、270 基板
171、271 配線層
172、272 シールド電極
175 シールド層
173、273 接地電極
177、277 保護層
251 第1発光器
252 第2発光器