(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078850
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】ガイドワイヤ
(51)【国際特許分類】
A61M 25/092 20060101AFI20240604BHJP
A61M 25/09 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61M25/092 500
A61M25/09 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191432
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】早川 悠暉
(72)【発明者】
【氏名】中園 美保
(72)【発明者】
【氏名】上津原 才司
(72)【発明者】
【氏名】今村 勝
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA29
4C267BB02
4C267BB07
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB40
4C267BB52
4C267CC09
4C267EE03
4C267HH03
4C267HH08
(57)【要約】
【課題】手術時間を短縮させる。
【解決手段】前後方向に延びる第1可撓管体11と、前後方向に延びるとともに、第1可撓管体11の内側に周方向に間隔をあけて設けられた複数の操作ワイヤ12と、操作ワイヤ12の前端縁が固着された被固着体13と、被固着体13の後方に設けられ、被固着体13との間で、第1可撓管体11を前後方向に挟む支持体14と、第1可撓管体11より径方向の内側に設けられ、複数の操作ワイヤ12が前後方向に貫く被貫通体16と、を備え、第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面は、前後方向から見て非円形状を呈し、第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面が互いに当接することで、第1可撓管体11、および被貫通体16の、このガイドワイヤ1の中心軸線O回りの相対回転が規制される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる第1可撓管体と、
前後方向に延びるとともに、前記第1可撓管体の内側に周方向に間隔をあけて設けられた複数の操作ワイヤと、
前記操作ワイヤの前端縁が固着された被固着体と、
前記被固着体の後方に設けられ、前記被固着体との間で、前記第1可撓管体を前後方向に挟む支持体と、
前記第1可撓管体より径方向の内側に設けられ、前記複数の操作ワイヤが前後方向に貫く被貫通体と、を備え、
前記第1可撓管体の内周面、および前記被貫通体の外周面は、前後方向から見て非円形状を呈し、前記第1可撓管体の内周面、および前記被貫通体の外周面が互いに当接することで、前記第1可撓管体、および前記被貫通体の、このガイドワイヤの中心軸線回りの相対回転が規制される、ガイドワイヤ。
【請求項2】
前後方向に延びるとともに、弾性変形可能に形成され、複数の前記操作ワイヤにより径方向の外側から囲まれたコアシャフトを備え、
前記コアシャフトは、前記支持体に前後方向に移動可能に支持され、前記コアシャフトの前端縁は前記被固着体に固着されている、請求項1に記載のガイドワイヤ。
【請求項3】
前記被貫通体は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されるとともに、前後方向に間隔をあけて複数設けられている、請求項1または2に記載のガイドワイヤ。
【請求項4】
前記操作ワイヤは、前記被貫通体を前後方向に相対移動可能に貫き、
前後方向で互いに隣り合う前記被貫通体同士の間、並びに、前後方向で互いに隣り合う前記被貫通体と前記被固着体との間には、前後方向の両端部が、前記被貫通体、若しくは前記被固着体に当接した内側可撓管体が設けられている、請求項3に記載のガイドワイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドワイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるような、前後方向に延びる第1可撓管体(外側可撓管体4)と、第1可撓管体の前端部が支持された被固着体(先端ロー付け部41)と、被固着体の後方に設けられ、被固着体との間で、第1可撓管体を前後方向に挟む支持体と、を備えるガイドワイヤが知られている。一般に、ガイドワイヤは、血管内に挿入され、血管内の慢性完全閉塞病変部等を貫いた状態で、バルーンやステントを慢性完全閉塞病変部等に案内するために用いられる。
ガイドワイヤにより慢性完全閉塞病変部等を貫通する際、例えば次の手順がとられている。
まず、ガイドワイヤを、マイクロカテーテル内に挿入した状態で血管内に進入させ、血管内の慢性完全閉塞病変部等に到達させたときに、マイクロカテーテルは血管内に残したまま、これまで用いていたガイドワイヤを抜き出し、その後、このガイドワイヤより先端荷重等が高いガイドワイヤを、改めてマイクロカテーテル内に挿入して慢性完全閉塞病変部等に突き刺し、ガイドワイヤおよびマイクロカテーテルにより慢性完全閉塞病変部等を貫通する。その後、マイクロカテーテルは慢性完全閉塞病変部等を貫通した状態で血管内に残したまま、先端荷重等が高いガイドワイヤを抜き出し、先端荷重等が低い元のガイドワイヤを再度マイクロカテーテル内に挿入して、慢性完全閉塞病変部等を貫く位置まで到達させた後に、このガイドワイヤを残したまま、マイクロカテーテルを抜き出す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のガイドワイヤでは、慢性完全閉塞病変部等を貫通するためには、先端荷重等の曲げ剛性が異なるガイドワイヤを血管等に対して抜き差しして交換し使い分ける必要があり、また、慢性完全閉塞病変部等に到達させるためには、例えば、血管分岐部において血管を選択して目的の血管に進入させる必要等もあり、手術時間の短縮が求められていた。
【0005】
本発明は、手術時間を短縮させることができるガイドワイヤを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係るガイドワイヤは、前後方向に延びる第1可撓管体と、前後方向に延びるとともに、前記第1可撓管体の内側に周方向に間隔をあけて設けられた複数の操作ワイヤと、前記操作ワイヤの前端縁が固着された被固着体と、前記被固着体の後方に設けられ、前記被固着体との間で、前記第1可撓管体を前後方向に挟む支持体と、前記第1可撓管体より径方向の内側に設けられ、前記複数の操作ワイヤが前後方向に貫く被貫通体と、を備え、前記第1可撓管体の内周面、および前記被貫通体の外周面は、前後方向から見て非円形状を呈し、前記第1可撓管体の内周面、および前記被貫通体の外周面が互いに当接することで、前記第1可撓管体、および前記被貫通体の、このガイドワイヤの中心軸線回りの相対回転が規制される。
【0007】
複数の操作ワイヤを全て後方に引くと、被固着体が後方に移動して、第1可撓管体が支持体との間で前後方向に圧縮変形することで、第1可撓管体の曲げ剛性が高くなる。したがって、ガイドワイヤを血管内に挿入した状態で、操作ワイヤを操作することで、第1可撓管体の曲げ剛性を変化させることができる。
これにより、ガイドワイヤにより慢性完全閉塞病変部等を貫通する際、ガイドワイヤを、血管内に進入させ、血管内の慢性完全閉塞病変部等に到達させるまでは、第1可撓管体の曲げ剛性を低くしておき、ガイドワイヤを慢性完全閉塞病変部等に突き刺して、ガイドワイヤにより慢性完全閉塞病変部等を貫通するときに、操作ワイヤを後方に引いて第1可撓管体の曲げ剛性を高くし、慢性完全閉塞病変部等の貫通後は、操作ワイヤの操作を解除して第1可撓管体の曲げ剛性を元の低い状態に戻すことができる。したがって、慢性完全閉塞病変部等を貫通するために、曲げ剛性の異なるガイドワイヤを血管等に対して抜き差しして交換し使い分ける必要を無くすことができる。
複数の操作ワイヤのうちの一部を後方に引くと、被固着体が、ガイドワイヤの中心軸線に対して傾いた状態で後方に移動することで、第1可撓管体の前端部が、後方に引かれた操作ワイヤ側に向けて曲げられることとなり、操作ワイヤを操作して、ガイドワイヤを曲げながら、血管分岐部において血管を選択して目的の血管に進入させることができる。これにより、ガイドワイヤを血管に沿わせながら慢性完全閉塞病変部等に到達させる際の、医師の操作感覚に対する依存を低減することができるとともに、前端部の曲率が異なるガイドワイヤを血管等に対して抜き差しして交換し使い分ける必要を無くすことができる。
以上より、手術時間を短縮させることができる。
【0008】
第1可撓管体より径方向の内側に設けられ、複数の操作ワイヤが前後方向に貫く被貫通体を備えるので、複数の操作ワイヤの周方向の相対位置を安定させることが可能になり、操作ワイヤを操作して、第1可撓管体を意図した形状および曲げ剛性に精度よく変化させることができる。
【0009】
第1可撓管体の内周面、および被貫通体の外周面が、前後方向から見て非円形状を呈し、第1可撓管体の内周面、および被貫通体の外周面が互いに当接することで、第1可撓管体、および被貫通体の、ガイドワイヤの中心軸線回りの相対回転が規制されるので、ガイドワイヤを、血管内に進入させて慢性完全閉塞病変部等に到達させるまでの間に、操作ワイヤが第1可撓管体に対して捩じれるのを抑制することが可能になり、ガイドワイヤの高い操作性を確保することができる。
【0010】
前後方向に延びるとともに、弾性変形可能に形成され、複数の前記操作ワイヤにより径方向の外側から囲まれたコアシャフトを備え、前記コアシャフトは、前記支持体に前後方向に移動可能に支持され、前記コアシャフトの前端縁は前記被固着体に固着されてもよい。
【0011】
コアシャフトが、支持体に前後方向に移動可能に支持されているので、複数の操作ワイヤを全て後方に引いたときに、コアシャフトも後方に移動し、また、コアシャフトの前端縁が被固着体に固着されているので、複数の操作ワイヤのうちの一部を後方に引いたときに、被固着体の移動に追従して、コアシャフトの前端部が弾性変形することとなる。したがって、操作ワイヤによる操作状況に依らず、第1可撓管体だけでなくコアシャフトもガイドワイヤの剛性に寄与することとなり、ガイドワイヤの剛性を容易に確保することができる。
【0012】
前記被貫通体は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されるとともに、前後方向に間隔をあけて複数設けられてもよい。
【0013】
被貫通体が、表裏面が前後方向を向く板状に形成されるとともに、前後方向に間隔をあけて複数設けられているので、被貫通体が例えば前後方向に延びる筒状に形成されている場合等と比べて、複数の操作ワイヤを被貫通体に容易に組み付けることができる。
【0014】
前記操作ワイヤは、前記被貫通体を前後方向に相対移動可能に貫き、前後方向で互いに隣り合う前記被貫通体同士の間、並びに、前後方向で互いに隣り合う前記被貫通体と前記被固着体との間には、前後方向の両端部が、前記被貫通体、若しくは前記被固着体に当接した内側可撓管体が設けられてもよい。
【0015】
操作ワイヤが、被貫通体を前後方向に相対移動可能に貫いているので、複数の操作ワイヤを被貫通体に容易に組み付けることができる。
前後方向で互いに隣り合う被貫通体同士の間、並びに、前後方向で互いに隣り合う被貫通体と被固着体との間に、前後方向の両端部が、被貫通体、若しくは被固着体に当接した内側可撓管体が設けられているので、前後方向で互いに隣り合う、前述したそれぞれの間の間隔が、操作ワイヤの操作状況に応じて大きく変動しやすくなるのを抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明の上記態様によれば、手術時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】一実施形態のガイドワイヤの縦断面図である。
【
図3】
図1において、複数の操作ワイヤを全て後方に引き、第1可撓管体の前端部の曲げ剛性を高くした状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、ガイドワイヤの一実施形態を、
図1~
図3を参照しながら説明する。
ガイドワイヤ1は、第1可撓管体11と、操作ワイヤ12と、被固着体13と、支持体14と、コアシャフト15と、被貫通体16と、内側可撓管体17、18と、を備えている。第1可撓管体11、操作ワイヤ12、被固着体13、支持体14、コアシャフト15、および内側可撓管体17、18は、例えば金属材料等で形成されている。被貫通体16は、例えば樹脂材料等で形成されている。
なお、コアシャフト15、被貫通体16、および内側可撓管体17、18は設けなくてもよい。また、第1可撓管体11、操作ワイヤ12、被固着体13、支持体14、コアシャフト15、被貫通体16、および内側可撓管体17、18を形成する材質は、適宜変更してもよい。
【0019】
第1可撓管体11、コアシャフト15、および内側可撓管体17、18は、共通軸と同軸に配設されている。
以下、この共通軸を中心軸線Oといい、中心軸線Oに沿う被固着体13側を前側といい、中心軸線Oに沿う支持体14側を後側といい、中心軸線Oに沿う方向を前後方向という。前後方向から見て、中心軸線Oに交差する方向を径方向といい、前後方向から見て、中心軸線O回りに周回する方向を周方向という。
【0020】
第1可撓管体11は、前後方向に延びるコイルばねとなっている。なお、第1可撓管体11は、前後方向に弾性変形可能に形成された筒体であってもよい。
第1可撓管体11の外径は、血管内に挿入可能な大きさとなっている。第1可撓管体11を形成する線材の直径は、全長にわたって同じになっている。前後方向から見た第1可撓管体11の外形形状、およびその大きさは、前後方向の全長にわたって同じになっている。なお、第1可撓管体11を形成する線材の直径は、全長にわたって同じになっていなくてもよく、また、前後方向から見た第1可撓管体11の外形形状、およびその大きさは、前後方向の全長にわたって同じになっていなくてもよい。例えば、第1可撓管体11の外径は、前方に向かうに従い小さくなっていてもよい。
第1可撓管体11のうち、前端部は、前端部より後方に位置する後部分と比べて、前後方向で互いに隣り合う線材同士の間隔(ピッチ間隔)が広くなっている。これにより、第1可撓管体11に前後方向の圧縮荷重が加えられたときに、第1可撓管体11のうち、前端部が後部分と比べて大きく前後方向に縮小する。なお、ピッチ間隔は、第1可撓管体11における全域にわたって同じであってもよい。
【0021】
操作ワイヤ12は、前後方向に延びるとともに、第1可撓管体11の内側に周方向に間隔をあけて複数設けられている。操作ワイヤ12は、前後方向に真直ぐ延びている。操作ワイヤ12は、周方向に等間隔をあけて2つ以上(図示の例では4つ)設けられている。なお、周方向で隣り合う操作ワイヤ12同士の間隔は、適宜変更してもよい。
【0022】
被固着体13には、操作ワイヤ12の前端縁が固着されている。被固着体13は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されている。被固着体13の後面に、操作ワイヤ12の前端縁が、例えばろう付け、若しくは加締め等により固着されている。被固着体13の後面に、第1可撓管体11の前端部が突き当てられている。前後方向から見た被固着体13および第1可撓管体11それぞれの外形形状、およびその大きさは、互いに同じになっている。被固着体13の前面は、前方に向けて突の球面状に形成されている。なお、前後方向から見た被固着体13および第1可撓管体11それぞれの外形形状、およびその大きさを、互いに異ならせてもよい。
【0023】
支持体14は、被固着体13の後方に設けられ、被固着体13との間で、第1可撓管体11を前後方向に挟んでいる。図示の例では、支持体14は、複数の操作ワイヤ12を前後方向に移動可能に支持している。支持体14には、複数の操作ワイヤ12が、前後方向に移動可能に各別に挿通された複数の第1挿通孔14aが形成されている。操作ワイヤ12は、支持体14を前後方向に貫いている。
なお、支持体14とは別に、操作ワイヤ12を支持する部材を設けてもよい。また、支持体14として、例えば操作ワイヤ12を操作可能なコントローラ等を採用してもよい。
【0024】
コアシャフト15は、前後方向に延びるとともに、弾性変形可能に形成され、複数の操作ワイヤ12により径方向の外側から囲まれている。コアシャフト15は、前後方向に真直ぐ延びている。コアシャフト15は、支持体14に前後方向に移動可能に支持され、コアシャフト15の前端縁は被固着体13に固着されている。コアシャフト15の前端縁は、被固着体13の後面に、例えばろう付け、若しくは加締め等により固着されている。支持体14には、コアシャフト15が、前後方向に移動可能に挿通された第2挿通孔14bが形成されている。第2挿通孔14bは、中心軸線Oと同軸に配設されている。コアシャフト15は、支持体14を前後方向に貫いている。
【0025】
被貫通体16は、第1可撓管体11より径方向の内側に設けられ、複数の操作ワイヤ12が前後方向に貫いている。操作ワイヤ12は、被貫通体16を前後方向に相対移動可能に貫いている。被貫通体16は、表裏面が前後方向を向く板状に形成されるとともに、前後方向に間隔をあけて複数設けられている。被貫通体16の外周縁部を、操作ワイヤ12が前後方向に貫いている。
図2に示されるように、前後方向から見た被貫通体16の外周面の形状は、前後方向から見た第1可撓管体11の内周面の形状と同じになっている。前後方向から見て、被貫通体16の外周面は、第1可撓管体11の内周面からわずかに径方向の内側に離れている。
なお、被貫通体16は、前後方向に延びる筒状に形成されてもよい。
【0026】
内側可撓管体17、18は、前後方向で互いに隣り合う被貫通体16同士の間、並びに、前後方向で互いに隣り合う被貫通体16と被固着体13との間に1つずつ設けられている。内側可撓管体17、18の前後方向の両端部は、被貫通体16、若しくは被固着体13に当接している。複数の内側可撓管体17、18は、前後方向に延びるコイルばねとなっている。
なお、内側可撓管体17、18は筒体であってもよい。複数の内側可撓管体17、18のうちの一部のみを前後方向に弾性変形可能に形成してもよい。
【0027】
図示の例では、複数の内側可撓管体17、18のうち、被固着体13と被貫通体16との間に位置する内側可撓管体17は、残りの複数の内側可撓管体18よりばね定数が低くなっている。前者の内側可撓管体17によって、例えばガイドワイヤ1において曲げ剛性を可変にできる長さ範囲、および曲げ剛性の可変範囲を調整できる。
なお、前者の内側可撓管体17のばね定数を、後者の内側可撓管体18のばね定数以上としてもよい。また、後者の複数の内側可撓管体18のばね定数を互いに異ならせてもよい。
【0028】
第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面は、前後方向から見て非円形状を呈し、第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面が互いに当接することで、第1可撓管体11、および被貫通体16の、中心軸線O回りの相対回転が規制される。
【0029】
図示の例では、第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面は、前後方向から見て楕円形状を呈する。第1可撓管体11および被貫通体16それぞれの長軸は、互いに一致し、第1可撓管体11および被貫通体16それぞれの短軸は、互いに一致している。つまり、第1可撓管体11および被貫通体16それぞれの周方向の向きが互いに一致している。操作ワイヤ12は、第1可撓管体11内における長軸方向、および短軸方向それぞれの両端部に1本ずつ設けられており、被貫通体16の外周縁部における長軸方向、および短軸方向それぞれの両端部を各別に前後方向に貫いている。
【0030】
以上説明したように、本実施形態によるガイドワイヤ1によれば、
図3に示されるように、複数の操作ワイヤ12を全て後方に引くと、被固着体13が後方に移動して、第1可撓管体11が支持体14との間で前後方向に圧縮変形することで、第1可撓管体11の曲げ剛性が高くなる。したがって、ガイドワイヤ1を血管内に挿入した状態で、操作ワイヤ12を操作することで、第1可撓管体11の曲げ剛性を変化させることができる。
【0031】
これにより、ガイドワイヤ1により慢性完全閉塞病変部等を貫通する際、ガイドワイヤ1を、血管内に進入させ、血管内の慢性完全閉塞病変部等に到達させるまでは、第1可撓管体11の曲げ剛性を低くしておき、ガイドワイヤ1を慢性完全閉塞病変部等に突き刺して、ガイドワイヤ1により慢性完全閉塞病変部等を貫通するときに、操作ワイヤ12を後方に引いて第1可撓管体11の曲げ剛性が高くし、慢性完全閉塞病変部等の貫通後は、操作ワイヤ12の操作を解除して第1可撓管体11の曲げ剛性を元の低い状態に戻すことができる。したがって、慢性完全閉塞病変部等を貫通するために、曲げ剛性の異なるガイドワイヤを血管等に対して抜き差しして交換し使い分ける必要を無くすことができる。
【0032】
複数の操作ワイヤ12のうちの一部を後方に引くと、被固着体13が、ガイドワイヤ1の中心軸線Oに対して傾いた状態で後方に移動することで、第1可撓管体11の前端部が、後方に引かれた操作ワイヤ12側に向けて曲げられることとなり、操作ワイヤ12を操作して、ガイドワイヤ1を曲げながら、血管分岐部において血管を選択して目的の血管に進入させることができる。これにより、ガイドワイヤ1を血管に沿わせながら慢性完全閉塞病変部等に到達させる際の、医師の操作感覚に対する依存を低減することができるとともに、前端部の曲率が異なるガイドワイヤを血管等に対して抜き差しして交換し使い分ける必要を無くすことができる。
【0033】
以上より、手術時間を短縮させることができる。
【0034】
第1可撓管体11より径方向の内側に設けられ、複数の操作ワイヤ12が前後方向に貫く被貫通体16を備えるので、複数の操作ワイヤ12の周方向の相対位置を安定させることが可能になり、操作ワイヤ12を操作して、第1可撓管体11を意図した形状および曲げ剛性に精度よく変化させることができる。
【0035】
第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面が、前後方向から見て非円形状を呈し、第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面が互いに当接することで、第1可撓管体11、および被貫通体16の、中心軸線O回りの相対回転が規制されるので、ガイドワイヤ1を、血管内に進入させて慢性完全閉塞病変部等に到達させるまでの間に、操作ワイヤ12が第1可撓管体11に対して捩じれるのを抑制することが可能になり、ガイドワイヤ1の高い操作性を確保することができる。
【0036】
コアシャフト15が、支持体14に前後方向に移動可能に支持されているので、複数の操作ワイヤ12を全て後方に引いたときに、コアシャフト15も後方に移動し、また、コアシャフト15の前端縁が被固着体13に固着されているので、複数の操作ワイヤ12のうちの一部を後方に引いたときに、被固着体13の移動に追従して、コアシャフト15の前端部が弾性変形することとなる。したがって、操作ワイヤ12による操作状況に依らず、第1可撓管体11だけでなくコアシャフト15もガイドワイヤ1の剛性に寄与することとなり、ガイドワイヤ1の剛性を容易に確保することができる。
【0037】
被貫通体16が、表裏面が前後方向を向く板状に形成されるとともに、前後方向に間隔をあけて複数設けられているので、被貫通体16が例えば前後方向に延びる筒状に形成されている場合等と比べて、複数の操作ワイヤ12を被貫通体16に容易に組み付けることができる。
【0038】
操作ワイヤ12が、被貫通体16を前後方向に相対移動可能に貫いているので、複数の操作ワイヤ12を被貫通体16に容易に組み付けることができる。
前後方向で互いに隣り合う被貫通体16同士の間、並びに、前後方向で互いに隣り合う被貫通体16と被固着体13との間に、前後方向の両端部が、被貫通体16、若しくは被固着体13に当接した内側可撓管体17、18が設けられているので、前後方向で互いに隣り合う、前述したそれぞれの間の間隔が、操作ワイヤ12の操作状況に応じて大きく変動しやすくなるのを抑えることができる。
【0039】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0040】
例えば、第1可撓管体11の内周面、および被貫通体16の外周面は、前後方向から見て、例えば三角形状、および四角形状等の角形状等を呈してもよい。
【0041】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した実施形態、および変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ガイドワイヤ
11 第1可撓管体
12 操作ワイヤ
13 被固着体
14 支持体
15 コアシャフト
16 被貫通体
17、18 内側可撓管体