IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ イビデン株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078852
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プリント配線板
(51)【国際特許分類】
   H05K 3/46 20060101AFI20240604BHJP
【FI】
H05K3/46 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191435
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122622
【弁理士】
【氏名又は名称】森 徳久
(72)【発明者】
【氏名】古谷 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】後藤 英之
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA02
5E316AA12
5E316AA15
5E316AA43
5E316CC04
5E316CC08
5E316CC32
5E316CC34
5E316DD17
5E316DD24
5E316DD32
5E316DD33
5E316EE33
5E316FF07
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG16
5E316GG17
5E316GG22
5E316GG23
5E316HH40
(57)【要約】
【課題】高い品質を有するプリント配線板の提供。
【解決手段】プリント配線板は、第1導体層と、第1面と第2面と第1開口とを有し、第1導体層上に積層されている第1樹脂絶縁層と、第1樹脂絶縁層の第1面上に形成されている第2導体層と、第1開口内に形成されていて、第1導体層と第2導体層とを接続する第1ビア導体と、第3面と第4面と第2開口とを有し、第2導体層上に積層されている第2樹脂絶縁層と、第2樹脂絶縁層の第3面上に形成されている第3導体層と、第2開口内に形成されていて、第2導体層と第3導体層とを接続する第2ビア導体とを有する。第2導体層は第1ビア導体の直上に形成されている第1部分と第1部分を囲み第1面上に形成されている第2部分とからなるランドを含んでいる。ランドの上面は第2開口により部分的に露出され、第1部分の上面と第2部分の上面は同じ面を形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導体層と、
第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る第1開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている第1樹脂絶縁層と、
前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、
前記第1開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続する第1ビア導体と、
第3面と前記第3面と反対側の第4面と前記第3面から前記第4面に至る第2開口とを有し、前記第4面が前記第2導体層と対向するように前記第2導体層上に積層されている第2樹脂絶縁層と、
前記第2樹脂絶縁層の前記第3面上に形成されている第3導体層と、
前記第2開口内に形成されていて、前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第2ビア導体、とを有するプリント配線板であって、
前記第2導体層は前記第1ビア導体の直上に形成されている第1部分と前記第1部分を囲み前記第1面上に形成されている第2部分とからなるランドを含んでおり、前記ランドの上面は前記第2開口により部分的に露出され、前記第1部分の上面と前記第2部分の上面は同じ面を形成する。
【請求項2】
請求項1のプリント配線板であって、前記第1樹脂絶縁層は樹脂と無機粒子を含み、前記無機粒子は前記樹脂に部分的に埋まっている第1無機粒子と前記樹脂に完全に埋まっている第2無機粒子を含み、前記第1無機粒子は前記樹脂から突出する第3部分と前記樹脂に埋まっている第4部分で形成され、前記第1面は前記樹脂の上面と前記樹脂の上面から露出する前記第3部分の露出面で形成されている。
【請求項3】
請求項2のプリント配線板であって、前記第2樹脂絶縁層は前記樹脂と前記無機粒子を含み、前記第3面は前記樹脂の上面と前記樹脂の上面から露出する前記第3部分の前記露出面で形成されている。
【請求項4】
請求項2のプリント配線板であって、前記第3部分の体積と前記第1無機粒子の体積との比は0より大きく0.4以下である。
【請求項5】
請求項2のプリント配線板であって、前記第1面の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。
【請求項6】
請求項2のプリント配線板であって、前記無機粒子は前記第1開口の第1内壁面を形成する第3無機粒子をさらに含み、前記第1内壁面は前記第3無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第3無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記第1内壁面を形成する。
【請求項7】
請求項3のプリント配線板であって、前記無機粒子は前記第2開口の第2内壁面を形成する第3無機粒子をさらに含み、前記第2内壁面は前記第3無機粒子と前記樹脂によって形成されており、前記第3無機粒子は平坦部を有し、前記平坦部が前記第2内壁面を形成する。
【請求項8】
請求項6のプリント配線板であって、前記第1内壁面の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【請求項9】
請求項6のプリント配線板であって、前記第3無機粒子の形状は球を平面で切断することで得られる。
【請求項10】
請求項9のプリント配線板であって、前記第3無機粒子の形状は前記第2無機粒子を平面で切断することで得られる。
【請求項11】
請求項1のプリント配線板であって、前記第3導体層と前記第2ビア導体はシード層と前記シード層上の電解めっき層で形成されており、前記シード層の厚みは0.5μm未満である。
【請求項12】
請求項1のプリント配線板であって、複数の樹脂絶縁層と複数の導体層を交互に積層することで形成されるビルドアップ層をさらに有し、前記複数の樹脂絶縁層は前記第1樹脂絶縁層と前記第2樹脂絶縁層を含み、前記複数の導体層は前記第1導体層と前記第2導体層と前記第3導体層を含み、前記導体層の数は5以上である。
【請求項13】
請求項1のプリント配線板であって、前記プリント配線板の各辺の長さが50mm以上である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書によって開示される技術は、プリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フィルドビア導体とフィルドビア導体を覆う絶縁層を備える配線基板を開示する。フィルドビア導体の表面は凸状に膨らんでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-258430号公報
【発明の概要】
【0004】
[特許文献1の課題]
フィルドビア導体を覆う絶縁層にフィルドビア導体を露出させる開口を形成することが考えられる。フィルドビア導体の上面が凸状に膨らんでいると、照射されるレーザ光の一部が膨らみの影響で外に向かって反射すると考えられる。その反射光により、開口の側壁に複雑な形状を有する凹みができると考えられる。複雑な凹みを有する側壁上にスパッタリングで連続しているシード層を形成することが難しいと考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のプリント配線板は、第1導体層と、第1面と前記第1面と反対側の第2面と前記第1面から前記第2面に至る第1開口とを有し、前記第2面が前記第1導体層と対向するように前記第1導体層上に積層されている第1樹脂絶縁層と、前記第1樹脂絶縁層の前記第1面上に形成されている第2導体層と、前記第1開口内に形成されていて、前記第1導体層と前記第2導体層とを接続する第1ビア導体と、第3面と前記第3面と反対側の第4面と前記第3面から前記第4面に至る第2開口とを有し、前記第4面が前記第2導体層と対向するように前記第2導体層上に積層されている第2樹脂絶縁層と、前記第2樹脂絶縁層の前記第3面上に形成されている第3導体層と、前記第2開口内に形成されていて、前記第2導体層と前記第3導体層とを接続する第2ビア導体、とを有する。前記第2導体層は前記第1ビア導体の直上に形成されている第1部分と前記第1部分を囲み前記第1面上に形成されている第2部分とからなるランドを含んでいる。前記ランドの上面は前記第2開口により部分的に露出され、前記第1部分の上面と前記第2部分の上面は同じ面を形成する。
【0006】
本発明の実施形態のプリント配線板では、ランドの第1部分の上面と第2部分の上面は共通な面を形成する。そのため、第2開口を形成するためのレーザ光の一部が外に向かって反射することが抑制される。第2開口の側壁に複雑な凹みが形成され難い。スパッタリングでシード層が形成されても、ビア導体用の開口の側壁上に連続するシード層を形成することができる。高い品質を有するプリント配線板が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態のプリント配線板を模式的に示す断面図。
図2】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図3】実施形態のプリント配線板の一部を模式的に示す拡大断面図。
図4A】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4B】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4C】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4D】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図4E】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4F】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図4G】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4H】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図4I】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す拡大断面図。
図4J】実施形態のプリント配線板の製造方法を模式的に示す断面図。
図5】実施形態の改変例のプリント配線板を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
図1は実施形態のプリント配線板2を示す断面図である。図2図3は実施形態のプリント配線板2の一部を示す拡大断面図である。図1に示されるように、プリント配線板2は、絶縁層4と第1導体層10と第1樹脂絶縁層20と第2導体層30と第1ビア導体40と第2樹脂絶縁層120と第3導体層130と第2ビア導体140を有する。
【0009】
絶縁層4は樹脂を用いて形成される。絶縁層4はシリカ等の無機粒子を含んでもよい。絶縁層4は、ガラスクロス等の補強材を含んでもよい。絶縁層4は、第5面6(図中の上面)と第5面6と反対側の第6面8(図中の下面)を有する。
【0010】
第1導体層10は絶縁層4の第5面6上に形成されている。第1導体層10は信号配線12とパッド14を含む。図に示されていないが、第1導体層10は信号配線12とパッド14以外の導体回路も含んでいる。信号配線12の上面とパッド14の上面は平坦である。第1導体層10は主に銅によって形成される。第1導体層10は、絶縁層4上のシード層10aとシード層10a上の電解めっき層10bで形成されている。シード層10aの厚みは0.5μm未満である。シード層10aは第5面6上の第1層11aと第1層11a上の第2層11bで形成されている。第1層11aの厚みと第2層11bの厚みとの比(第1層の厚み/第2層の厚み)は0.25以上、0.7以下である。第2層11bの厚みは第1層11aの厚みより厚い。第1層11aは銅と特定卑金属を含む合金(銅合金)で形成されている。特定卑金属は銅以外の卑金属である。特定卑金属は例えばアルミニウムである。第2層11bは銅で形成されている。電解めっき層10bは銅で形成されている。第1層11aは絶縁層4に接している。
【0011】
第1層11aを形成している銅合金中の銅の含有率は90at%より大きい。第1層11aの銅合金中の銅の含有率は99at%未満である。銅合金中の銅の含有率は98at%以下である。第2層11bを形成している銅の含有率は99.9at%以上である。第2層11b中の銅の含有率は99.95at%以上であることが好ましい。
【0012】
第1樹脂絶縁層20は絶縁層4の第5面6と第1導体層10上に形成されている。第1樹脂絶縁層20は第1面22(図中の上面)と第1面22と反対側の第2面24(図中の下面)を有する。第1樹脂絶縁層20の第2面24は第1導体層10と対向する。第1樹脂絶縁層20はパッド14を部分的に露出する第1開口26を有している。第1開口26の底部の径は20μm以上50μm以下である。第1樹脂絶縁層20は樹脂80と樹脂80内に分散されている多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80はエポキシ系樹脂である。樹脂の例は熱硬化性樹脂と光硬化性樹脂である。無機粒子90は例えばシリカやアルミナである。無機粒子90の平均粒径は0.5μm以下である。第1樹脂絶縁層20中の無機粒子90の量は75wt%以上である。
【0013】
図1図2に示されるように、無機粒子90は、樹脂80に部分的に埋まっている第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第1無機粒子91と第2無機粒子92の形は球である。図2に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第3部分91aと樹脂80に埋まっている第4部分91bで形成されている。第1樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80の上面と樹脂80の上面から露出する第3部分91aの露出面で形成されている。
【0014】
第3部分91aの体積と第1無機粒子91の体積との比R(第3部分の体積/第1粒子の体積)は0より大きく0.4以下である。比Rは0.2以下であることが好ましい。比Rは0.1以下であることがより好ましい。比Rは0.05以下であることが最も好ましい。樹脂80から第3部分91aが突出すると第1樹脂絶縁層20の第1面22が僅かな凹凸を有する。しかし樹脂80の上面は荒らされていない。そのため第1面22は凹部をほぼ有していない。第1面22の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。第1面22の粗さRaは0.05μm以下であることが好ましい。第1面22の粗さRaは0.03μm以下であることがより好ましい。
【0015】
図1図3に示されるように、無機粒子90は、第1開口26の第1内壁面27を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93の形状は球を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは第1内壁面27を形成する。第1内壁面27は樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと第1内壁面27を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。第1内壁面27を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。第1内壁面27を形成する樹脂80の面はほぼ平滑である。平坦部93aの露出面(第1内壁面27を形成する面)上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面は平滑である。第1内壁面27は平滑に形成される。第1内壁面27の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0016】
図1に示されるように、第2導体層30は第1樹脂絶縁層20の第1面22上に形成されている。第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36を含む。図に示されていないが、第2導体層30は第1信号配線32と第2信号配線34とランド36以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成している。第1信号配線32と第2信号配線34は隣り合っている。第1信号配線32の上面と第2信号配線34の上面とランド36の上面は共通な平面を形成する。
【0017】
図3に示されるように、ランド36は、第1ビア導体40の直上に形成されている第1部分36aと第1部分36aを囲み第1面22上に形成されている第2部分36bとからなる。ランド36の上面は第2開口126により部分的に露出される。第1部分36aの上面と第2部分36bの上面は同じ面を形成する。
【0018】
第2導体層30は主に銅によって形成される。第2導体層30は、第1面22上のシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。シード層30aは第1面22上の第1層31aと第1層31a上の第2層31bで形成されている。シード層30aの厚みは0.5μm未満である。第1層31aの厚みと第2層31bの厚みとの関係と第1層11aの厚みと第2層11bの厚みとの関係は同様である。第1層31aと第2層31bは第2導体層30を形成し、第1層11aと第2層11bは第1導体層10を形成する。第1層31aは銅と特定卑金属を含む合金(銅合金)で形成されている。特定卑金属は銅以外の卑金属である。特定卑金属は例えばアルミニウムである。第2層31bは銅で形成されている。電解めっき層30bは銅で形成されている。第1層31aは第1面22に接している。
【0019】
第1層31aを形成している銅合金中の銅の含有率は90at%より大きい。第1層31aの銅合金中の銅の含有率は99at%未満である。銅合金中の銅の含有率は98at%以下である。第2層31bを形成している銅の含有率は99.9at%以上である。第2層31b中の銅の含有率は99.95at%以上であることが好ましい。
【0020】
第1ビア導体40は第1開口26内に形成されている。第1ビア導体40は第1導体層10と第2導体層30を接続する。図1では第1ビア導体40はパッド14とランド36を接続する。第1ビア導体40はシード層30aとシード層30a上の電解めっき層30bで形成されている。第1ビア導体40を形成するシード層30aと第2導体層30を形成するシード層30aは共通である。第1層31aは第1内壁面27に接している。
【0021】
図1図3に示されるように、第2樹脂絶縁層120は第1樹脂絶縁層20の第1面22と第2導体層30上に形成されている。第2樹脂絶縁層120は第3面122(図中の上面)と第3面122と反対側の第4面124(図中の下面)を有する。第2樹脂絶縁層120の第4面124は第2導体層30と対向する。第2樹脂絶縁層120はランド36を部分的に露出する第2開口126を有している。第2開口126は第1部分36aを部分的に露出する。第2開口126の底部の径は20μm以上50μm以下である。第2樹脂絶縁層120は樹脂80と多数の無機粒子90で形成されている。樹脂80と無機粒子90は第1樹脂絶縁層20内のものと同様である。
【0022】
図1図3に示されるように、第2樹脂絶縁層120内の無機粒子90は、樹脂80に部分的に埋まっている第1無機粒子91と、樹脂80内に埋まっている第2無機粒子92を含む。第1無機粒子91と第2無機粒子92の形は球である。図3に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第3部分91aと樹脂80に埋まっている第4部分91bで形成されている。第2樹脂絶縁層120の第3面122は樹脂80の上面と樹脂80の上面から露出する第3部分91aの露出面で形成されている。
【0023】
第3部分91aの体積と第1無機粒子91の体積との比R(第3部分の体積/第1粒子の体積)は0より大きく0.4以下である。比Rは0.2以下であることが好ましい。比Rは0.1以下であることがより好ましい。比Rは0.05以下であることが最も好ましい。樹脂80から第3部分91aが突出すると第2樹脂絶縁層120の第3面122が僅かな凹凸を有する。しかし樹脂80の上面は荒らされていない。そのため第3面122は凹部をほぼ有していない。第3面122の算術平均粗さ(Ra)は0.08μm未満である。第3面122のRaは0.05μm以下であることが好ましい。第3面122のRaは0.03μm以下であることがより好ましい。
【0024】
図1図3に示されるように、第2樹脂絶縁層120内の無機粒子90は、第2開口126の第2内壁面127を形成する第3無機粒子93をさらに含む。第3無機粒子93の形状は球を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状は第2無機粒子92を平面で切断することで得られる。第3無機粒子93の形状と第2無機粒子92の形状は異なる。第3無機粒子93は平坦部93aを有する。平坦部93aは第2内壁面127を形成する。第2内壁面127は樹脂80と平坦部93aで形成されている。平坦部93aと第2内壁面127を形成する樹脂80の面は、ほぼ共通な面を形成する。第2内壁面127を形成する樹脂80上に凹凸が形成されない。第2内壁面127を形成する樹脂80の面はほぼ平滑である。平坦部93aの露出面(第2内壁面127を形成する面)上に凹凸が形成されない。平坦部93aの露出面は平滑である。第2内壁面127は平滑に形成される。第2内壁面127の算術平均粗さ(Ra)は1.0μm以下である。
【0025】
図1に示されるように、第3導体層130は第2樹脂絶縁層120の第3面122上に形成されている。第3導体層130は第1信号配線132と第2信号配線134とランド136を含む。図に示されていないが、第3導体層130は第1信号配線132と第2信号配線134とランド136以外の導体回路も含んでいる。第1信号配線132と第2信号配線134はペア配線を形成している。第1信号配線132と第2信号配線134は隣り合っている。第1信号配線132の上面と第2信号配線134の上面とランド136の上面は平坦である。
【0026】
図3に示されるように、ランド136は、第2ビア導体140の直上に形成されている第1部分136aと第1部分136aを囲み第3面122上に形成されている第2部分136bとからなる。第1部分136aの上面と第2部分136bの上面は同じ面を形成する。
【0027】
第3導体層130は主に銅によって形成される。第3導体層130は、第3面122上のシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。シード層130aはスパッタ層である。シード層130aは第3面122上の第1層131aと第1層131a上の第2層131bで形成されている。シード層130aの厚みは0.5μm未満である。第1層131aは銅と特定卑金属を含む合金(銅合金)で形成されている。特定卑金属は銅以外の卑金属である。特定卑金属は例えばアルミニウムである。第2層131bは銅で形成されている。電解めっき層130bは銅で形成されている。第1層131aは第3面122に接している。
【0028】
第1層131aを形成している銅合金中の銅の含有率は90at%より大きい。第1層131aの銅合金中の銅の含有率は99at%未満である。銅合金中の銅の含有率は98at%以下である。第2層131bを形成している銅の含有率は99.9at%以上である。第2層131b中の銅の含有率は99.95at%以上であることが好ましい。
【0029】
第2ビア導体140は第2開口126内に形成されている。第2ビア導体140は第2導体層30と第3導体層130を接続する。第2ビア導体140はランド36とランド136を接続する。第2ビア導体140はシード層130aとシード層130a上の電解めっき層130bで形成されている。第2ビア導体140を形成するシード層130aと第3導体層130を形成するシード層130aは共通である。第1層131aは第2内壁面127に接している。
【0030】
図に示されないが、プリント配線板2の各辺の長さは50mm以上である。各辺の長さは100mm以上であることが好ましい。各辺の長さは250mm以下である。
【0031】
[実施形態のプリント配線板2の製造方法]
図4A図4Jは実施形態のプリント配線板2の製造方法を示す。図4A図4C図4E図4G図4Jは断面図である。図4D図4Fは拡大断面図である。図4Aは絶縁層4と絶縁層4の第5面6上に形成されている第1導体層10を示す。第1導体層10はセミアディティブ法によって形成される。第1層11aと第2層11bはスパッタリングで形成される。第1層11aと第2層11bは真空中で形成される。電解めっき層10bは電解めっきで形成される。
【0032】
図4Bに示されるように、絶縁層4と第1導体層10上に第1樹脂絶縁層20と保護膜50が形成される。第1樹脂絶縁層20の第2面24が絶縁層4の第5面6と対向している。第1樹脂絶縁層20の第1面22上に保護膜50が形成されている。第1樹脂絶縁層20は樹脂80と無機粒子90(第2無機粒子92)を有する。無機粒子90は樹脂80内に埋まっている。
【0033】
保護膜50は第1樹脂絶縁層20の第1面22を完全に覆っている。保護膜50の例は、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のフィルムである。保護膜50と第1樹脂絶縁層20との間に離型剤が形成されている。
【0034】
図4Cに示されるように、保護膜50の上からレーザ光Lが照射される。レーザ光Lは保護膜50と第1樹脂絶縁層20を同時に貫通する。第1導体層10のパッド14に至るビア導体用の第1開口26が形成される。レーザ光Lは例えばUVレーザ光、CO2レーザ光である。第1開口26によりパッド14が露出される。第1開口26が形成される時、第1面22は保護膜50で覆われている。そのため、第1開口26が形成される時、樹脂が飛散しても、第1面22に樹脂が付着することが抑制される。パッド14の上面は平坦である。そのため、第1開口26の形成時に照射されるレーザ光Lの一部が外に向かって反射することが抑制される。もし、レーザ光Lが外に向かって反射すると、反射光により、第1開口26を形成する第1樹脂絶縁層20が除かれる。実施形態では、反射光が第1開口26の側壁の一部を除去することが抑制される。第1開口26の側壁に複雑な凹みが形成され難い。
【0035】
図4Dは、レーザ光照射後の第1開口26の第1内壁面27bを示す。第1内壁面27bは樹脂80と樹脂80から突出している無機粒子90で形成されている。内壁面の形状を制御するため、レーザ光照射後の第1内壁面27bは処理される。樹脂80から突出している無機粒子90を選択的に除去することが好ましい。これにより、無機粒子90から第3無機粒子93が形成される。例えば、レーザ光照射後の第1内壁面27bを薬品で処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。あるいは、レーザ光照射後の第1内壁面27bをプラズマで処理することで、樹脂80から突出している無機粒子90が選択的に除去される。選択的に除去することは、無機粒子90のエッチング速度が樹脂80のエッチング速度より大きいことを含む。例えば、両者のエッチング速度差は10倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は50倍以上である。あるいは、両者のエッチング速度差は100倍以上である。レーザ光照射後の第1内壁面27bを処理することで、平坦部93a(図3参照)を有する第3無機粒子93が得られる。レーザ光照射後の第1内壁面27bを処理するための条件を制御することで、第1内壁面27の形状を制御することができる。条件の例は、温度、濃度、時間、ガスの種類や圧力である。無機粒子90のエッチング速度と樹脂のエッチング速度が制御される。
【0036】
第1樹脂絶縁層20にレーザ光Lを照射することで、樹脂80に埋まっている第2無機粒子92の一部がレーザ光照射後の第1内壁面27bを形成する。レーザ光照射後の第1内壁面27bを形成する第2無機粒子92は、樹脂80から突出している突出部分Pと樹脂80に埋まっている部分Eで形成される。レーザ光照射後の第1内壁面27bが処理される。例えば、四フッ化メタンを含むガスのプラズマで第1内壁面27bが処理される。突出部分Pが選択的に除去され、実施形態の第1内壁面27(図1図3)が形成される。第2無機粒子92から第3無機粒子93が形成される。突出部分Pを選択的に除去することで、平坦部93aを有する第3無機粒子93が形成される。平坦部93aは平面である。球の形を持つ第2無機粒子92が平面で切断されると、第3無機粒子93の形状が得られる。第1内壁面27は平坦部93aと樹脂80の面80aで形成される。平坦部93aの露出面93bと樹脂80の面80aはほぼ同一平面上に位置する。例えば、スパッタリングで第1内壁面27b上にシード層30aが形成されると、突出部分Pはスパッタ膜の成長を阻害する。例えば、第1内壁面27b上に連続しているシード層30aが形成されない。あるいは、シード層30aの厚みを大きくしなければならない。微細な導体回路を形成することができない。実施形態では、突出部分Pが除去される。スパッタで形成されるシード層30aの厚みを薄くできる。スパッタリングで形成されるシード層30aの厚みが薄くても、連続しているシード層30aが得られる。シード層30aの厚みは0.05μm以上、0.5μm未満である。
【0037】
第1内壁面27上に凹凸が形成されない。第1内壁面27は平滑に形成される。レーザ光照射後の第1内壁面27bを処理するための条件を制御することで、凹凸の大きさが制御される。
【0038】
第1開口26内が洗浄される。第1開口26内を洗浄することにより第1開口26形成時に発生する樹脂残渣が除去される。第1開口26内の洗浄はプラズマによって行われる。即ち洗浄はドライプロセスで行われる。洗浄はデスミア処理を含む。第1樹脂絶縁層20の第1面22は保護膜50で覆われているためプラズマの影響を受けない。この時点で第1樹脂絶縁層20の第1面22には凹凸が形成されない。第1面22に無機粒子90が露出しない。第1面22は荒らされていない。
【0039】
レーザ光照射後の第1内壁面27bを処理することが第1開口26内を洗浄することを含む場合、第1開口26内を洗浄することを削除することができる。
【0040】
図4Eに示されるように、第1開口26内を洗浄することの後に、第1樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の第1内壁面27bを処理することが第1開口26内を洗浄することを含む場合、レーザ光照射後の第1内壁面27bを処理することの後に、第1樹脂絶縁層20から保護膜50が除去される。レーザ光照射後の第1内壁面27bが処理される時、保護膜50は第1樹脂絶縁層20の第1面22を覆っている。
【0041】
保護膜50の除去後、第1樹脂絶縁層20の第1面22がクリーニングされる。第1面22がドライエッチングされる。ドライエッチングはアルゴンガスを用いるスパッタリング(アルゴンスパッタリング)によって行われる。図4F(a)(b)はドライエッチング前後の第1樹脂絶縁層20の第1面22を模式的に示す。図4F(a)(b)に示されるように、ドライエッチングによって第1樹脂絶縁層20を形成する樹脂80が20nm程度除去される。例えば、保護膜50を第1樹脂絶縁層20に接着するための接着材が除去される。ドライエッチングによって、樹脂80が選択的に除去される。樹脂80の厚みが薄くなる。無機粒子90(第2無機粒子92)の一部は、ドライエッチングによって部分的に樹脂80の上面から露出する。樹脂80に埋まっている第2無機粒子92を樹脂80の上面から露出することで、第1無機粒子91が得られる。第1無機粒子91は第2無機粒子92から形成される。第1無機粒子91の形と第2無機粒子92の形は同じである。両者の形は球である。図4F(b)に示されるように、第1無機粒子91は、樹脂80から突出する第3部分91aと樹脂80に埋まっている第4部分91bで形成されている。第1樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから突出している第3部分91aの露出面91aRで形成されている。ドライエッチングによって第3部分91aの露出面91aRが露出する。第1樹脂絶縁層20の第1面22は荒らされていない。そのため第1面22には凹部がほぼ形成されない。
【0042】
比Rは、例えば、図4F(b)に示される第1無機粒子91の断面図を用いて算出される。図4F(b)は上面80Rに垂直な面で第1樹脂絶縁層20を切断することで得られる。図4F(b)には、第2導体層30が省略されている。図4F(b)中の第1無機粒子91上に第2導体層30が形成されている。図4F(b)中の露出面91aRは第2導体層30で覆われている。図4F(b)を用いて、第3部分91aの断面積91aSが求められる。同様に、第1無機粒子91の断面積91Sが求められる。例えば、比Rは断面積91aSと断面積91Sの比(第3部分91aの断面積91aS/第1無機粒子91の断面積91S)で代表される。例えば、比Rが評価される時、50個の第1無機粒子91が観察される。50個の第1無機粒子91が比Rを満足する。
【0043】
図4Gに示されるように、第1樹脂絶縁層20の第1面22上にシード層30aが形成される。シード層30aはスパッタリングによって形成される。シード層30aの形成はドライプロセスで行われる。第1層31aが第1面22上にスパッタリングで形成される。同時に、第1開口26から露出する第1内壁面27とパッド14上に第1層31aがスパッタリングで形成される。第1面22上には凹部がほとんど形成されていない。そのため、第1面22上の第1層31aはほぼ平坦に形成される。その後、第1層31a上に第2層31bがスパッタリングで形成される。第2層31bはほぼ平坦に形成される。第1層31aと第2層31bは真空中で形成される。シード層30aは第1開口26から露出するパッド14の上面と第1開口26の第1内壁面27に形成される。第1層31aは銅と特定卑金属(アルミニウム)を含む合金で形成される。第2層31bは銅で形成される。
【0044】
第1面22は凹部を有していない。第1内壁面27は平滑に形成されている。そのためスパッタ膜(第1層31a、第2層31b)の厚みが薄くても連続するシード層30aを形成することができる。その結果、微細な配線を形成することができる。
【0045】
シード層30a上にめっきレジスト60(図4H参照)が形成される。めっきレジスト60は、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36(図1)を形成するための開口を有する。第1面22が凹部を有すると、その凹部に起因する空気がめっきレジストとシード層30a間に閉じ込められやすい。しかしながら、実施形態では、第1面22は凹部をほとんど有していない。そのため、第1面22上のシード層30aはほぼ平坦に形成される。シード層30aがほぼ凹部を有さない。めっきレジストとシード層30aの間に空気が残りがたい。めっきレジストとシード層30a間の接触面積が大きい。第1信号配線32と第2信号配線34間の空間を形成するためのめっきレジストの幅が10μm以下であっても、めっきレジストがシード層30aの上面から剥がれがたい。実施形態によれば、めっきレジストの幅が3μm以上、8μm以下であっても、めっきレジストをシード層30a上に形成することができる。めっきレジストの幅が6μm以下であっても、めっきレジストがシード層30aから剥がれ難い。
【0046】
図4Hに示されるように、めっきレジスト60から露出するシード層30a上に電解めっき層30bが形成される。電解めっき層30bは第1開口26を充填する。電解めっき層30bは、めっきレジスト60の開口を充填する。電解めっき層30bはめっきレジスト60の上面を覆う。電解めっき層30bの厚み(シード層30aの上面からの高さ)はめっきレジスト60の厚みより大きい。
【0047】
図4Iに示されるように、電解めっき層30bの上面とめっきレジスト60の上面が研磨される。研磨により、電解めっき層30bが所望の厚みを有する。第1面22上のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1信号配線32と第2信号配線34とランド36が形成される。第2導体層30が形成される。電解めっき層30bの上面を研磨することで、第2導体層30を形成する各導体回路の上面は同じ面を形成する。第1信号配線32の上面と第2信号配線34の上面とランド36の上面は平坦である。ランド36は、第1ビア導体40の直上に形成されている第1部分36aと第1部分36aを囲み第1面22上に形成されている第2部分36bとからなる(図3)。第1部分36aの上面と第2部分36bの上面は同じ面を形成する(図3)。第1開口26内のシード層30aと電解めっき層30bによって、第1ビア導体40が形成される。第1ビア導体40は、パッド14とランド36を接続する。第1信号配線32と第2信号配線34はペア配線を形成する。
【0048】
図4Jに示されるように、めっきレジスト60が除去される。電解めっき層30bから露出するシード層30aが除去される。シード層30aはウェットエッチングによって除去される。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は過酸化水素水と硫酸を含む水溶液である。ウェットエッチングにより第1層31aと第2層31bは同時に除去される。第2導体層30と第1ビア導体40は同時に形成される。
【0049】
その後、第2樹脂絶縁層120と第3導体層130と第2ビア導体140が形成される。第2樹脂絶縁層120と第3導体層130と第2ビア導体140の形成手法は、第1樹脂絶縁層20と第2導体層30と第1ビア導体40の形成手法と同様である。実施形態のプリント配線板2(図1)が得られる。
【0050】
実施形態のプリント配線板2では、ランド36を形成する第1部分36aの上面と第2部分36bの上面は共通な面を形成する(図3)。そのため、第2開口126を形成するために照射されるレーザ光の一部が外に向かって反射しがたい。そのため、ランド36と第2樹脂絶縁層120間に隙間が形成され難い。ランド36と第2樹脂絶縁層120間に隙間が形成されると、その隙間内にスパッタリングでシード層130aを形成することが難しい。スパッタリングを用いて第2ビア導体140用の第2開口126内に連続するシード層130aを形成することができる。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0051】
実施形態のプリント配線板2では、第1樹脂絶縁層20の第1面22は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第3部分91aの露出面91aRで形成されている(図2)。第1面22が凹部を有していない。そのため、第1樹脂絶縁層20上にスパッタによってシード層30aが形成される場合、スパッタ膜の厚みが薄くても連続するシード層30aを形成することができる。シード層30aは薄く形成される。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。同様に、第2樹脂絶縁層120の第3面122は樹脂80の上面80Rと樹脂80の上面80Rから露出する第3部分91aの露出面91aRで形成されている。第3面122が凹部を有していない。シード層130aは薄く形成される。第1信号配線132と第2信号配線134を有する第3導体層130が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0052】
実施形態のプリント配線板2では、第1開口26の第1内壁面27は第3無機粒子93の平坦部93aと樹脂80によって形成される。平坦部93aと第1内壁面27を形成する樹脂80の面80aは共通な面を形成する。第1内壁面27は平滑に形成される。そのため、第1開口26の第1内壁面27上に均一な厚みのシード層30aが形成される。シード層30aは薄く形成される(図4G)。シード層30aが除去される時、エッチング量が少ない。そのため、電解めっき層30bのエッチング量が少ない。第1信号配線32と第2信号配線34を有する第2導体層30が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。同様に、第2開口126の第2内壁面127は第3無機粒子93の平坦部93aと樹脂80によって形成される。平坦部93aと第2内壁面127を形成する樹脂80の面80aは共通な面を形成する。第2内壁面127は平滑に形成される。第2開口126の第2内壁面127上に均一な厚みのシード層130aが形成される。シード層130aは薄く形成される。第1信号配線132と第2信号配線134を有する第3導体層130が設計値通りの幅を有する。微細な配線が形成される。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0053】
実施形態のプリント配線板2では、シード層30a、130aの第1層31a、131aと第2層31b、131bはスパッタリングで形成される(図4G)。スパッタリングは真空中で行われるため、第2層31b、131bが形成される時、第1層31a、131aの酸化が起こりがたい。第1層31a、131aと第2層31b、131bが十分に密着する。第2層31b、131bが第1層31a、131aから剥がれがたい。第1開口26の径が小さくても第1ビア導体40とパッド14間の接続信頼性が高い。第2開口126の径が小さくても第2ビア導体140とランド36間の接続信頼性が高い。ビア導体(第1ビア導体40、第2ビア導体140)を介する接続抵抗が上昇しがたい。図4(E)に示されるように、第1ビア導体40の径(第1開口26の直径)Dはパッド14上で測定される。径Dは20μm以上、50μm以下である。プリント配線板2の各辺の長さが50mmを超えてもビア導体を介する接続抵抗が上昇しがたい。プリント配線板2の各辺の長さが100mm以上であっても長期間接続抵抗が上昇しがたい。高い品質を有するプリント配線板2が提供される。
【0054】
[実施形態の別例1]
実施形態の別例1では、特定卑金属は、チタン、ニッケル、クロム、スズ、カルシウムの中から選ばれる。
【0055】
[実施形態の別例2]
実施形態の別例2では、シード層10a、30a、130aの第1層11a、31a、131aは、銅と第2元素で形成されている。第2元素は、ケイ素、アルミニウム、チタン、ニッケル、クロム、炭素、酸素、スズ、カルシウムの中から選ばれる。第1層11a、31a、131aは銅を含む合金で形成される。第2層11b、31b、131bは銅で形成される。第2層11b、31b、131bを形成している銅の量は99.9at%以上である。99.95at%以上が好ましい。
【0056】
[実施形態の改変例]
図5は実施形態の改変例を示す。図5に示されるように、改変例のプリント配線板102は絶縁層4上にビルドアップ層500を有する。ビルドアップ層500は複数の導体層と複数の樹脂絶縁層を有する。導体層と樹脂絶縁層は交互に積層される。ビルドアップ層500は5層の導体層と4層の樹脂絶縁層を有する。5層の導体層は第1導体層10と第2導体層30、第3導体層130、第4導体層230、第5導体層330を含む。第1導体層10と第2導体層30と第3導体層130は実施形態と同様である。第4導体層230と第5導体層330は、第2導体層30、第3導体層130と共通する構成(シード層と電解めっき層)を有する。第4導体層230と第5導体層330は、第2導体層30と同様の方法によって形成される。
【0057】
4層の樹脂絶縁層は第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320を含む。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120は実施形態と同様である。第3樹脂絶縁層220と第4樹脂絶縁層320は、第1樹脂絶縁層20、第2樹脂絶縁層120と共通する構成(樹脂と無機粒子)を有する。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320は実施形態の第1樹脂絶縁層20と同様の方法で形成される。第1樹脂絶縁層20と第2樹脂絶縁層120、第3樹脂絶縁層220、第4樹脂絶縁層320はそれぞれ第1開口26、第2開口126、第3開口226、第4開口326を有している。
【0058】
ビルドアップ層500は4個のビア導体40、140、240、340を有する。第1ビア導体40は第1開口26内に形成されており、第1導体層10と第2導体層30を接続する。第2ビア導体140は第2開口126内に形成されており、第2導体層30と第3導体層130を接続する。第3ビア導体240は第3開口226内に形成されており、第3導体層130と第4導体層230を接続する。第4ビア導体340は第4開口326内に形成されており、第4導体層230と第5導体層330を接続する。第2ビア導体140、第3ビア導体240、第4ビア導体340は第1ビア導体40の直上に積層されている。4個のビア導体40、140、240、340はスタックビアを形成する。
【0059】
改変例のプリント配線板102は5層の導体層10、30、130、230、330と、4個のビア導体40、140、240、340で形成されるスタックビアを含んでいる。プリント配線板102の使用に伴って最も下の第1ビア導体40と第1導体層10(パッド14)の接続部分に大きい応力が加わる。しかしながら、改変例では、第1ビア導体40と第1導体層10(パッド14)間の接続信頼性は高い。第1ビア導体40を介する接続抵抗が上昇しがたい。
【0060】
[改変例の別例]
ビルドアップ層500は5層以上の導体層を有する。ビルドアップ層500は10層以上の導体層を有することが好ましい。導体層の数は20以下である。
【符号の説明】
【0061】
2 :プリント配線板
4 :絶縁層
10 :第1導体層
20 :樹脂絶縁層
22 :第1面
24 :第2面
26 :第1開口
27 :第1内壁面
30 :第2導体層
30a :シード層
31a :第1層
31b :第2層
36 :ランド
36a :第1部分
36b :第2部分
40 :ビア導体
80 :樹脂
90 :無機粒子
91 :第1無機粒子
91a :第3部分
91b :第4部分
92 :第2無機粒子
93 :第3無機粒子
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図5