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  • 特開-プレス成形装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078894
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】プレス成形装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 43/58 20060101AFI20240604BHJP
   B30B 15/22 20060101ALI20240604BHJP
   B30B 9/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B29C43/58
B30B15/22 B
B30B9/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191492
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000199810
【氏名又は名称】川崎油工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】魚住 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】松井 正俊
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 練
【テーマコード(参考)】
4E089
4F204
【Fターム(参考)】
4E089EA01
4E089EB03
4E089EC03
4E089ED03
4E089FA02
4E089FB03
4E089FC01
4F204AC03
4F204AD16
4F204AR02
4F204AR07
4F204FA01
4F204FB01
4F204FG09
4F204FN11
4F204FN15
4F204FQ09
(57)【要約】
【課題】塗料注入前のスライドのリフト量である金型開き量を設定値通りとすることができるプレス成形装置を提供する。
【解決手段】プレス成形装置1は、フレーム10、スライド15、加圧シリンダ14、複数のレベリングシリンダ4および制御装置8を含む。制御装置8は、圧力センサ6で検出されるレベリングシリンダ4の受圧室44の圧力が減少から増加に転じるまでは位置検出器7で検出されるレベリングシリンダ4のロッド42の上端位置に基づいてレベリングシリンダ4用のサーボバルブ5を制御し、その後は圧力センサ6で検出される圧力に基づいてサーボバルブ5を制御する。さらに、制御装置8は、FRP材2を成形する一次加圧後に加圧シリンダ14の負荷を除去する際も圧力センサ6で検出される圧力に基づいたサーボバルブ5の制御を継続することで、プレス構造体の撓み開放による変形に応じてレベリングシリンダ4のロッド42を上昇させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軟化したFRP材を下金型と上金型で形成されるキャビティの形状に成形し、その後に前記FRP材の上面を塗装するプレス成形装置であって、
ベッド、前記ベッドの上方に位置するクラウン、および前記ベッドから立ち上がって前記クラウンを支持するアップライトを含むフレームと、
前記フレーム内に配置されたスライドと、
前記ベッドに取り付けられた前記下金型と、
前記スライドに取り付けられた前記上金型と、
前記スライドを昇降させる加圧シリンダと、
上端が前記スライドと当接した後に前記スライドと共に下降するロッドを含む複数のレベリングシリンダと、
前記複数のレベリングシリンダへの作動油の供給および前記複数のレベリングシリンダからの作動油の排出を制御する複数のサーボバルブと、
前記複数のレベリングシリンダの前記ロッドの上端位置を検出する複数の位置検出器と、
前記複数のレベリングシリンダの受圧室の圧力を検出する複数の圧力センサと、
前記複数の圧力センサで検出される圧力が減少から増加に転じるまでは前記複数の位置検出器で検出される前記ロッドの上端位置に基づいて前記複数のサーボバルブを制御し、前記複数の圧力センサで検出される圧力が減少から増加に転じた後は前記複数の圧力センサで検出される圧力に基づいて前記複数のサーボバルブを制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記FRP材を成形する一次加圧後に前記加圧シリンダの負荷を除去する際も前記複数の圧力センサで検出される圧力に基づいた前記複数のサーボバルブの制御を継続することで、前記フレーム、前記スライド、前記下金型および前記上金型で構成されるプレス構造体の撓み開放による変形に応じて前記複数のレベリングシリンダのロッドを上昇させ、その後に前記複数のレベリングシリンダのロッドを所定ストローク上昇させることで、前記スライドを前記所定ストロークに等しいリフト量で上昇させ、前記FRP材と前記上金型との間に塗料注入用の空間を形成する、プレス成形装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FRP(Fiber Reinforced Plastic)材を成形するプレス成形装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、炭素繊維やガラス繊維などの繊維を含む、軟化したFRP材を、下金型と上金型とで形成されるキャビティ形状に成形するプレス成形装置が知られている。このようなプレス成形装置は、ベッド、前記ベッドの上方に位置するクラウン、および前記ベッドから立ち上がって前記クラウンを支持するアップライトを有するフレームと、前記フレーム内に配置されるスライドを含む。そして、前記ベッドに下金型が取り付けられ、前記スライドに上金型が取り付けられる。
【0003】
例えば、特許文献1には、複数のレベリングシリンダを用いてスライドの平衡を保ちながらスライドを下降させるプレス成形装置が開示されている。各レベリングシリンダへの作動油の供給および当該レベリングシリンダからの作動油の排出はサーボバルブにより制御される。
【0004】
具体的に、各レベリングシリンダは、上端がスライドと当接した後にスライドと共に下降するロッドを含む。ロッドの上端位置は位置検出器によって検出され、ロッドがスライドと共に下降する際はロッドの上端位置に基づいてサーボバルブが制御される。つまり、ロッドの下降速度(ロッドの上端位置の時間変化率)が設定速度となるようにレベリングシリンダからの作動油の排出量が調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭60-222216号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プレス成形装置に対しては、FRP材の成形とその後の塗装とを連続して行いたいという要望がある。これを実現するには、FRP材を成形する一次加圧後にスライドを所定のリフト量だけ上昇させてFRP材と上金型との間に空間を形成し、その空間に塗料を注入することが考えられる。塗料注入後はスライドを下降させて二次加圧を行いながら塗料を硬化させる。
【0007】
上記の一次加圧後のスライドの上昇に関しては、正確なリフト量でスライドを上昇させるという観点からレベリングシリンダでスライドを上昇させることが望ましい。このためには、一次加圧後に、まずスライドを昇降させる加圧シリンダの負荷を除去し、その後にレベリングシリンダのロッドを上昇させる。加圧シリンダの負荷の除去は、例えば加圧シリンダが油圧シリンダの場合は一次加圧時に高圧であった加圧シリンダの受圧室の圧力を低下させることによって行われる。
【0008】
しかしながら、加圧シリンダの負荷を除去したときには、フレーム、スライド、下金型および上金型で構成されるプレス構造体の撓みが解放されてプレス構造体が変形し、スライドがレベリングシリンダから浮き上がることがある。この場合、その後にレベリングシリンダのロッドを所定ストローク上昇させると、スライドはその所定ストロークから浮き上がり量を差し引いたリフト量だけしか上昇せず、実際のリフト量が設定リフト量である所定ストロークからずれることになる。
【0009】
そこで、本発明は、塗料注入前のスライドのリフト量である金型開き量を設定値通りとすることができるプレス成形装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、軟化したFRP材を下金型と上金型で形成されるキャビティの形状に成形し、その後に前記FRP材の上面を塗装するプレス成形装置であって、ベッド、前記ベッドの上方に位置するクラウン、および前記ベッドから立ち上がって前記クラウンを支持するアップライトを含むフレームと、前記フレーム内に配置されたスライドと、前記ベッドに取り付けられた前記下金型と、前記スライドに取り付けられた前記上金型と、前記スライドを昇降させる加圧シリンダと、上端が前記スライドと当接した後に前記スライドと共に下降するロッドを含む複数のレベリングシリンダと、前記複数のレベリングシリンダへの作動油の供給および前記複数のレベリングシリンダからの作動油の排出を制御する複数のサーボバルブと、前記複数のレベリングシリンダの前記ロッドの上端位置を検出する複数の位置検出器と、前記複数のレベリングシリンダの受圧室の圧力を検出する複数の圧力センサと、前記複数の圧力センサで検出される圧力が減少から増加に転じるまでは前記複数の位置検出器で検出される前記ロッドの上端位置に基づいて前記複数のサーボバルブを制御し、前記複数の圧力センサで検出される圧力が減少から増加に転じた後は前記複数の圧力センサで検出される圧力に基づいて前記複数のサーボバルブを制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記FRP材を成形する一次加圧後に前記加圧シリンダの負荷を除去する際も前記複数の圧力センサで検出される圧力に基づいた前記複数のサーボバルブの制御を継続することで、前記フレーム、前記スライド、前記下金型および前記上金型で構成されるプレス構造体の撓み開放による変形に応じて前記複数のレベリングシリンダのロッドを上昇させ、その後に前記複数のレベリングシリンダのロッドを所定ストローク上昇させることで、前記スライドを前記所定ストロークに等しいリフト量で上昇させ、前記FRP材と前記上金型との間に塗料注入用の空間を形成する、プレス成形装置を提供する。
【0011】
上記の構成によれば、一次加圧後もレベリングシリンダに対して圧力センサの検出結果に基づく圧力制御を継続することで、レベリングシリンダのロッドをプレス構造体の撓み解放による変形に追従して上昇させることができる。その結果、塗料注入前のスライドのリフト量である金型開き量を設定値通りとすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、塗料注入前のスライドのリフト量である金型開き量を設定値通りとすることができるプレス成形装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係るプレス成形装置の概略構成図である。
図2】レベリングシリンダのロッドの上端位置であるレベリング位置、およびスライドにおけるレベリングシリンダで受けられる位置であるスライド位置の経時的変化を示すグラフである。
図3】一次加圧開始前後の、レベリング位置およびレベリングシリンダの受圧室の圧力の経時的変化を示すグラフである。
図4】(a)は前記実施形態における一次加圧後にスライドを上昇させる際のスライド位置およびレベリング位置の経時的変化を示すグラフ、(b)は比較形態における一次加圧後にスライドを上昇させる際のスライド位置およびレベリング位置の経時的変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1に、本発明の一実施形態に係るプレス成形装置1を示す。このプレス成形装置1は、軟化したFRP材2(未成形の原材料)を下金型31と上金型32で形成されるキャビティ30の形状に成形し、その後にFRP材2の上面を塗装するものである。
【0015】
原材料であるFRP材2は、例えばシート状であるが、不定形のゲル状であってもよい。FRP材2中の繊維は、方向性を有してもよいし、方向性を有さなくてもよい。FRP材2中の繊維が方向性を有する場合、原材料であるFRP材2の大きさは、キャビティ30を平面展開した大きさとほぼ同じであってもよい。
【0016】
本実施形態では、FRP材2のマトリクス樹脂が熱硬化性樹脂である。このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ(EP)、ポリエステル(PEs)、フェノール(PH)などが挙げられる。ただし、FRP材2のマトリクス樹脂は熱可塑性樹脂であってもよい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリプロピレン(PP)、ポリアミド(PA)、ポリカーボネイト(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)などが挙げられる。
【0017】
FRP材2のマトリクス樹脂が熱硬化性樹脂である場合、FRP材2の軟化はマトリクス樹脂の流動性によってもたらされ、FRP材2のマトリクス樹脂が熱可塑性樹脂の場合、FRP材2がマトリクス樹脂のガラス転移点または融点以上に加熱されることで軟化する。
【0018】
具体的に、プレス成形装置1は、ベッド11、ベッド11の上方に位置するクラウン13、およびベッド11の四隅から立ち上がってクラウン13を支持するアップライト12を有するフレーム10を含む。また、プレス成形装置1は、フレーム10内に配置されたスライド15と、クラウン13に設けられた、スライド15を昇降させる少なくとも1つの加圧シリンダ14を含む。さらに、プレス成形装置1は、塗料注入装置16を含む。
【0019】
ベッド11の上面には下金型31が取り付けられ、スライド15の下面には上金型32が取り付けられている。塗料注入装置16は、FRP材2を成形する一次加圧後であってスライド15が上昇された後に、上金型32に設けられた注入路およびこの注入路を開閉する注入ヘッドを通じて上金型32の下面に面する空間へ塗料を注入する。
【0020】
スライド15を昇降させる加圧シリンダ14の数は1つであってもよいし、複数であってもよい。本実施形態では、加圧シリンダ14が油圧シリンダであるが、加圧シリンダ14は電動シリンダであってもよい。
【0021】
図示は省略するが、下金型31および上金型32にはヒータが組み込まれている。上述したように、本実施形態ではFRP材2のマトリクス樹脂が熱硬化性樹脂であるため、ヒータは下金型31および上金型32をFRP材2のマトリクス樹脂の硬化に適した温度(例えば、マトリクス樹脂がEPである場合は180℃)に保つ役割を果たす。FRP材2のマトリクス樹脂が熱可塑性樹脂である場合、ヒータは下金型31および上金型32をマトリクス樹脂のガラス転移点または融点未満の成形温度(例えば、マトリクス樹脂がPPである場合は140℃)に保つ役割を果たす。
【0022】
さらに、ベッド11には、スライド15の下面の四隅に対応する位置に、4つ(図1ではそのうちの2つのみを図示)のレベリングシリンダ4が設けられている。各レベリングシリンダ4は、上下方向に延びる管体ならびにこの管体の両端を閉塞する上カバーおよび下カバーを有するハウジング41と、ハウジング41内に配置されたピストン43と、ピストン43から上向きに延びてハウジング41の上カバーを貫通するロッド42を含む。ピストン43とハウジング41の下カバーとの間には受圧室44が形成されている。
【0023】
本実施形態では、ロッド42がピストン43から下向きにも延びてハウジング41の下カバーも貫通している。ただし、ロッド42は、ピストン43から上向きのみに延びてもよい。
【0024】
各レベリングシリンダ4のロッド42は、受圧室44に作動油が供給されることによって上昇し、上端がスライド15と当接した後にスライド15と共に下降する。各レベリングシリンダ4には、受圧室44への作動油の供給および受圧室44からの作動油の排出を制御するサーボバルブ5が設けられている。サーボバルブ5は制御装置8により制御される。
【0025】
制御装置8は、レベリングシリンダ4にそれぞれ設けられた4つの位置検出器7、およびレベリングシリンダ4にそれぞれ設けられた4つの圧力センサ6と電気的に接続されている。各位置検出器7は、対応するレベリングシリンダ4のロッド42の上端位置であるレベリング位置を検出し、各圧力センサ6は、対応するレベリングシリンダ4の受圧室44の圧力を検出する。例えば、位置検出器7は、ロッド42の内部に配置されたリニアスケールである。
【0026】
例えば、制御装置8は、ROMやRAMなどのメモリと、HDDやSSDなどのストレージと、CPUを有するコンピュータであり、ROMまたはストレージに格納されたプログラムがCPUにより実行される。
【0027】
次に、制御装置8が行う制御を具体的に説明する。本実施形態では、図2に示すように、一次加圧、塗料注入および二次加圧がこの順に行われる。図2は、レベリング位置、およびスライド15におけるレベリングシリンダ4で受けられる位置であるスライド位置の経時的変化を示す。なお、図2では、理解が容易となるようにスライド位置とレベリング位置とを離間させて描いているが、実際にはスライド15がレベリングシリンダ4に当接してから離間するまではスライド位置とレベリング位置は一致している。この点は、図4(a)および図4(b)でも同じである。
【0028】
制御装置8は、使用者から図略の入力装置(例えば、押しボタン)を介して成形開始が入力されると、図略の切換弁を制御して加圧シリンダ14を伸長させることでスライド15を下降させるとともに、サーボバルブ5を制御して各レベリングシリンダ4の受圧室44へ作動油を供給することで各レベリングシリンダ4のロッド42を上昇させる。
【0029】
スライド15が下降して全てのレベリングシリンダ4のロッド42の上端に当接した後は、制御装置8は、まずは、各圧力センサ6で検出される受圧室44の圧力が減少から増加に転じるまでは各位置検出器7で検出されるロッド42の上端位置に基づいて対応するサーボバルブ5を制御する。すなわち、制御装置8はレベリングシリンダ4に対して位置検出器7の検出結果に基づく位置制御を行う。具体的には、受圧室44からの作動油の排出量が、ロッド42の上端位置の時間変化率、すなわちロッド42の下降速度が設定速度となるように調整される。これにより、ロッド42およびスライド15が同一速度で下降する。
【0030】
上金型32がFRP材2に当接すると、スライド15に対する反力の一部をFRP材2が負担するため、レベリングシリンダ4の受圧室44の圧力が減少する。その後、キャビティ30内にFRP材2が充填されると、レベリングシリンダ4の受圧室44の圧力が増加する。
【0031】
制御装置8は、各圧力センサ6で検出される受圧室44の圧力が減少から増加に転じた後は、各圧力センサ6で検出される受圧室44の圧力に基づいて対応するサーボバルブ5を制御する。すなわち、制御装置8はレベリングシリンダ4に対して圧力センサ6の検出結果に基づく圧力制御を行う。本実施形態では、FRP材2のマトリクス樹脂が熱硬化性樹脂であるので、FRP材2がキャビティ30充填後のゲル化によって膨張する。このため、レベリングシリンダ4の受圧室44の圧力は膨張が収まるまで増加した後に減少する。
【0032】
制御装置8は、各圧力センサ6で検出される受圧室44の圧力が設定値Psまで減少すると、各圧力センサ6で検出される受圧室44の圧力が設定値Psに維持されるように対応するサーボバルブ5を制御する。すなわち、受圧室44への作動油の供給量または受圧室44からの作動油の排出量が調整される。これにより、スライド15に対する反力が一定に保たれる。
【0033】
その後、制御装置8は、FRP材2がある程度硬化または完全硬化して一次加圧が完了したときに、加圧シリンダ14の負荷を除去する。本実施形態では、加圧シリンダ14が油圧シリンダであるので、制御装置8は図略の切換弁を制御して、一次加圧時に高圧であった加圧シリンダ14の受圧室を作動油タンクと連通させる。
【0034】
一次加圧の完了に関しては、制御装置8は設定時間が経過したときにFRP材2がある程度硬化または完全硬化したと判定してもよい。あるいは、制御装置8は、レベリングシリンダ4のロッド42の上端位置が、圧力センサ6で検出される受圧室44の圧力が設定値Psになったときから所定量だけ下降したときに、FRP材2がある程度硬化または完全硬化したと判定してもよい。
【0035】
本実施形態では、制御装置8が、加圧シリンダ14の負荷を除去する際も、図4(a)に示すようにレベリングシリンダ4に対して圧力センサ6の検出結果に基づく圧力制御を継続する。これにより、フレーム10、スライド15、下金型31および上金型32で構成されるプレス構造体の撓み開放による変形に応じてレベリングシリンダ4のロッド42が上昇する。
【0036】
その後、制御装置8は、サーボバルブ5を制御してレベリングシリンダ4のロッド42を所定ストローク上昇させる。これにより、スライド15が前記所定ストロークに等しいリフト量で上昇し、FRP材2と上金型32との間に塗料注入用の空間が形成される。この空間に塗料注入装置16から塗料が注入される。塗料注入後はスライド15を下降させて二次加圧を行いながら塗料を硬化させる。
【0037】
レベリングシリンダ4のロッド42を所定ストローク上昇させるときは、レベリングシリンダ4に対して位置検出器7の検出結果に基づく位置制御が行われる。また、所定ストロークは、例えば50μm~5mmである。
【0038】
図4(b)に示す比較形態のように、一次加圧後の加圧シリンダ14の負荷を除去する際にレベリングシリンダ4のロッド42の位置を保持した場合には、プレス構造体の撓み解放による変形によってスライド15がレベリングシリンダ4から浮き上がることがある。
【0039】
これに対し、本実施形態では、一次加圧後もレベリングシリンダ4に対して圧力センサ6の検出結果に基づく圧力制御を継続することで、レベリングシリンダ4のロッド42をプレス構造体の撓み解放による変形に追従して上昇させることができる。その結果、塗料注入前のスライド15のリフト量である金型開き量を設定値通りとすることができる。
【0040】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0041】
1 プレス成形装置
10 フレーム
11 ベッド
12 アップライト
13 クラウン
14 加圧シリンダ
15 スライド
2 FRP材
30 キャビティ
31 下金型
32 上金型
4 レベリングシリンダ
42 ロッド
44 受圧室
5 サーボバルブ
6 圧力センサ
7 位置検出器
8 制御装置
図1
図2
図3
図4