IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 凸版印刷株式会社の特許一覧

特開2024-78895距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法
<>
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図1
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図2
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図3
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図4
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図5
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図6
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図7
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図8
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図9
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図10
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図11
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図12
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図13
  • 特開-距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078895
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/4865 20200101AFI20240604BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20240604BHJP
   H04N 25/00 20230101ALI20240604BHJP
   G01S 17/894 20200101ALI20240604BHJP
【FI】
G01S7/4865
G01C3/06 120Q
G01C3/06 140
H04N25/00
G01S17/894
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191493
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】山本 和人
(72)【発明者】
【氏名】川端 武史
(72)【発明者】
【氏名】白川 雄也
【テーマコード(参考)】
2F112
5C024
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AD01
2F112BA03
2F112BA06
2F112CA12
2F112DA04
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA28
2F112EA03
2F112FA07
2F112FA12
2F112FA29
2F112FA33
2F112GA03
5C024CY17
5C024EX11
5C024GX02
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA07
5J084BA13
5J084BA36
5J084BA40
5J084BA50
5J084BB02
5J084CA03
5J084EA06
(57)【要約】
【課題】距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制する。
【解決手段】距離画像撮像装置は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える画素回路と、フレーム周期により光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで電荷蓄積部のそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて被写体までの距離を算出する距離演算部とを備え、光源部は、周期的に配列された2方向のライン光が互いに直交した光パルスを放射し、フレーム周期は、電荷を電荷蓄積部に蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期を有し、距離演算部は、複数のサブフレーム周期のうち、電荷量が、予め設定された閾値を超過していないサブフレーム周期を用いて、被写体までの距離を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体に光パルスを照射する光源部と、
入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、
前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、
を備え、
前記光源部は、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光である前記光パルスであって、2方向の前記ライン光が互いに直交した前記光パルスを放射し、
前記フレーム周期は、前記電荷を前記電荷蓄積部に蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期を有し、
前記距離演算部は、前記複数のサブフレーム周期のうち、前記電荷量が、予め設定された閾値を超過していない前記サブフレーム周期を用いて、前記被写体までの距離を算出する
距離画像撮像装置。
【請求項2】
前記複数のサブフレーム周期は、前記蓄積期間が予め設定された所定の期間である第1サブフレーム周期と、前記蓄積期間が前記所定の期間の2倍以上の期間である第2サブフレーム周期とであり、
前記距離演算部は、前記第1サブフレーム周期及び前記第2サブフレーム周期のうち、前記電荷量が前記閾値を超過していない、且つ、前記蓄積期間が長い方の前記サブフレーム周期を用いて、前記被写体までの距離を算出する
請求項1に記載の距離画像撮像装置。
【請求項3】
被写体に光パルスを照射する光源部と、
入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、
前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、
を備え、
前記光源部は、前記光パルスとして、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向の前記ライン光をそれぞれ放射可能であり、
前記フレーム周期は、前記ライン光のライン方向が異なる複数のサブフレーム周期を有し、
前記距離演算部は、前記ライン方向が異なる前記複数のサブフレーム周期のそれぞれで蓄積された前記電荷量に基づいて合成した前記被写体までの距離を算出する
距離画像撮像装置。
【請求項4】
前記光源部は、前記フレーム周期において、前記ライン方向が異なる前記ライン光を、前記サブフレーム周期ごとに、交互に変更して、前記光パルスを照射し、
前記距離演算部は、前記ライン方向が交互に変更された前記複数のサブフレーム周期のそれぞれで蓄積された前記電荷量に基づいて合成した前記被写体までの距離を算出する
請求項3に記載の距離画像撮像装置。
【請求項5】
前記光源部は、前記フレーム周期において、前記被写体の移動方向に応じて、前記複数のサブフレーム周期のうちの、前記2方向の前記ライン光のそれぞれに対応する前記サブフレーム周期の割合を変更して、前記光パルスを照射する
請求項3に記載の距離画像撮像装置。
【請求項6】
前記光源部は、前記フレーム周期において、前記2方向のうち、前記被写体の移動量が大きい方向に対応する前記サブフレーム周期の割合を、前記被写体の移動量が小さい方向に対応する前記サブフレーム周期の割合より多く変更して、前記光パルスを照射する
請求項5に記載の距離画像撮像装置。
【請求項7】
前記光源部は、それぞれ独立して前記光パルスを照射することが可能な複数の光源素子を有し、
前記ライン光は、前記複数の光源素子によって、複数のドット光を離散的にライン状に放射して形成、又は、前記複数のドット光をライン状に重複するように放射して形成される
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の距離画像撮像装置。
【請求項8】
前記ドット光の形状は、短軸長に対する長軸長の比が2以上である楕円形状であり、
前記ライン光は、長軸の方向に沿ってライン状に形成される
請求項7に記載の距離画像撮像装置。
【請求項9】
被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、を備える距離画像撮像装置の距離画像撮像方法であって、
前記光源部が、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光である前記光パルスであって、2方向の前記ライン光が互いに直交した前記光パルスを放射し、
前記フレーム周期は、前記電荷を前記電荷蓄積部に蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期を有し、
前記距離演算部が、前記複数のサブフレーム周期のうち、前記電荷量が、予め設定された閾値を超過していない前記サブフレーム周期を用いて、前記被写体までの距離を算出する
距離画像撮像方法。
【請求項10】
被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、を備える距離画像撮像装置の距離画像撮像方法であって、
前記光源部が、前記光パルスとして、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向の前記ライン光をそれぞれ放射可能であり、
前記フレーム周期は、前記ライン光のライン方向が異なる複数のサブフレーム周期を有し、
前記距離演算部が、前記ライン方向が異なる前記複数のサブフレーム周期のそれぞれで蓄積された前記電荷量に基づいて合成した前記被写体までの距離を算出する
距離画像撮像方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
光の速度が既知であることを利用し、空間(測定空間)における光の飛行時間に基づいて測定器と対象物との距離を測定する、タイム・オブ・フライト(Time of Flight、以下「TOF」という)方式の距離画像撮像装置が実現されている(例えば、特許文献1参照)。このような距離画像撮像装置では、パルス状の近赤外光である光パルスを照射した時点から被写体に反射した光パルスが戻ってくるまでの遅延時間を光電変換素子が発生した電荷を複数の電荷蓄積部に蓄積させることによって求め、遅延時間と光速とを用いて被写体までの距離を計算する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4235729号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
TOF方式により撮像するシステムにおいて測定可能な最長の距離を決定する要因の一つとして測定用光源のパワー(単位面積当たりの照射強度)が挙げられる。発光素子に流す電流を増やすことで光源出力を増加させることは可能であるが、発光素子に流す電流を増やすと撮像システムの発熱や消費電力増加につながると共に、人体に対するレーザー安全性が低下する問題がある。
【0005】
上記問題の対策として、通常測距光として使われている均一拡散光ではなく、ライン状に放射したライン光を用いる手段がある。例えば、平行した複数のライン光からなるライン群の2つが、直交するように放射することにより、均一拡散光を用いて距離画像を測定する場合と比べ、必要な光源出力を抑えつつ、解像度の低下を抑制できる。
【0006】
しかしながら、上記のライン光を用いる手段では、直交するライン光の交点の明るさは他の部分のライン光の明るさの倍になるため、交点に該当する画素の出力が飽和し、距離測定ができない可能性がある。一方で、飽和させないように出力を落とす場合、上記のライン光を用いる手段では、交点以外のライン部分の解像度、及び測距可能距離が低下する可能性があった。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、ライン光の交点と交点以外の部分との信号出力差を緩和し、距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制することができる距離画像撮像装置、及び距離画像撮像方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、を備え、前記光源部は、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光である前記光パルスであって、2方向の前記ライン光が互いに直交した前記光パルスを放射し、前記フレーム周期は、前記電荷を前記電荷蓄積部に蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期を有し、前記距離演算部は、前記複数のサブフレーム周期のうち、前記電荷量が、予め設定された閾値を超過していない前記サブフレーム周期を用いて、前記被写体までの距離を算出する距離画像撮像装置である。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の距離画像撮像装置において、前記複数のサブフレーム周期は、前記蓄積期間が予め設定された所定の期間である第1サブフレーム周期と、前記蓄積期間が前記所定の期間の2倍以上の期間である第2サブフレーム周期とであり、前記距離演算部は、前記第1サブフレーム周期及び前記第2サブフレーム周期のうち、前記電荷量が前記閾値を超過していない、且つ、前記蓄積期間が長い方の前記サブフレーム周期を用いて、前記被写体までの距離を算出してもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、を備え、前記光源部は、前記光パルスとして、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向の前記ライン光をそれぞれ放射可能であり、前記フレーム周期は、前記ライン光のライン方向が異なる複数のサブフレーム周期を有し、前記距離演算部は、前記ライン方向が異なる前記複数のサブフレーム周期のそれぞれで蓄積された前記電荷量に基づいて合成した前記被写体までの距離を算出する距離画像撮像装置である。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の距離画像撮像装置において、前記光源部は、前記フレーム周期において、前記ライン方向が異なる前記ライン光を、前記サブフレーム周期ごとに、交互に変更して、前記光パルスを照射し、前記距離演算部は、前記ライン方向が交互に変更された前記複数のサブフレーム周期のそれぞれで蓄積された前記電荷量に基づいて合成した前記被写体までの距離を算出してもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の距離画像撮像装置において、前記光源部は、前記フレーム周期において、前記被写体の移動方向に応じて、前記複数のサブフレーム周期のうちの、前記2方向の前記ライン光のそれぞれに対応する前記サブフレーム周期の割合を変更して、前記光パルスを照射してもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の距離画像撮像装置において、前記光源部は、前記フレーム周期において、前記2方向のうち、前記被写体の移動量が大きい方向に対応する前記サブフレーム周期の割合を、前記被写体の移動量が小さい方向に対応する前記サブフレーム周期の割合より多く変更して、前記光パルスを照射してもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の距離画像撮像装置において、前記光源部は、それぞれ独立して前記光パルスを照射することが可能な複数の光源素子を有し、前記ライン光は、前記複数の光源素子によって、複数のドット光を離散的にライン状に放射して形成、又は、前記複数のドット光をライン状に重複するように放射して形成されるようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の距離画像撮像装置において、前記ドット光の形状は、短軸長に対する長軸長の比が2以上である楕円形状であり、前記ライン光は、長軸の方向に沿ってライン状に形成されるようにしてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、を備える距離画像撮像装置の距離画像撮像方法であって、前記光源部が、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光である前記光パルスであって、2方向の前記ライン光が互いに直交した前記光パルスを放射し、前記フレーム周期は、前記電荷を前記電荷蓄積部に蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期を有し、前記距離演算部が、前記複数のサブフレーム周期のうち、前記電荷量が、予め設定された閾値を超過していない前記サブフレーム周期を用いて、前記被写体までの距離を算出する距離画像撮像方法である。
【0017】
また、本発明の一態様は、被写体に光パルスを照射する光源部と、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子及び前記電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部を備える二次元マトリクス状に複数配置された画素回路と、フレーム周期により前記光パルスの照射に同期させた蓄積タイミングで前記電荷蓄積部のそれぞれに前記電荷を振り分けて蓄積させる画素駆動回路と、前記蓄積タイミングでない期間において前記電荷を排出する電荷排出部とを有する受光部と、前記電荷蓄積部の各々に蓄積される電荷量に基づいて前記被写体までの距離を算出する距離演算部と、を備える距離画像撮像装置の距離画像撮像方法であって、前記光源部が、前記光パルスとして、周期的に配列されたライン光により構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向の前記ライン光をそれぞれ放射可能であり、前記フレーム周期は、前記ライン光のライン方向が異なる複数のサブフレーム周期を有し、前記距離演算部が、前記ライン方向が異なる前記複数のサブフレーム周期のそれぞれで蓄積された前記電荷量に基づいて合成した前記被写体までの距離を算出する距離画像撮像方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ライン光の交点と交点以外の部分との信号出力差を緩和し、距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1の実施形態による距離画像撮像装置の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態における距離画像センサの一例を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態における画素回路の一例を示すブロック図である。
図4】第1の実施形態におけるライン光の一例を示す第1の図である。
図5】第1の実施形態におけるライン光の一例を示す第2の図である。
図6】第1の実施形態におけるライン光の一例を示す第3の図である。
図7】第1の実施形態におけるフレーム周期の一例を示す図である。
図8】第1の実施形態による距離画像撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】第2の実施形態による距離画像撮像装置の一例を示すブロック図である。
図10】第2の実施形態におけるフレーム周期の一例を示す図である。
図11】第2の実施形態による距離画像撮像装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図12】第2の実施形態におけるフレーム周期の変形例を示す図である。
図13】第2の実施形態による距離画像撮像装置の動作の変形例を示すフローチャートである。
図14】第3の実施形態による距離画像撮像装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態による距離画像撮像装置及び距離画像撮像方法について、図面を参照して説明する。
【0021】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による距離画像撮像装置1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、距離画像撮像装置1は、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4とを備える。なお、図1では、距離画像撮像装置1を用いて距離を測定する対象物である被写体OBも併せて示している。距離画像撮像素子は、例えば、受光部3における距離画像センサ32(後述)である。
【0022】
光源部2は、被写体OBに光パルスPOを照射する。光源部2は、距離画像処理部4からの制御に従って、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体OBが存在する撮影対象の空間に光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、垂直共振器面発光レーザー(VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)などの面発光型の半導体レーザーモジュールである。光源部2は、例えば、周期的に配列されたライン光L(図4図6参照)により構成される構造化光である光パルスPOであって、2方向のライン光Lが互いに直交した光パルスPOを放射する。なお、ライン光Lの詳細については、図4図6を参照して後述する。
また、光源部2は、光源装置21と、拡散板22とを備える。
【0023】
光源装置21は、被写体OBに照射する光パルスPOとなる近赤外の波長帯域(例えば、波長が850nm~940nmの波長帯域)のレーザー光を発光する光源である。光源装置21は、例えば、半導体レーザー発光素子である。光源装置21は、測定制御部43からの制御に応じて、パルス状のレーザー光を発光する。
【0024】
拡散板22は、光源装置21が発光した近赤外の波長帯域のレーザー光を、被写体OBに照射する面の広さに拡散する光学部品である。拡散板22が拡散したパルス状のレーザー光が、光パルスPOとして出射され、被写体OBに照射される。
【0025】
受光部3は、距離画像撮像装置1において距離を測定する対象の被写体OBによって反射された光パルスPOの反射光RLを受光し、受光した反射光RLに応じた画素信号を出力する。受光部3は、レンズ31と、距離画像センサ32とを備える。
【0026】
レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32に導く光学レンズである。レンズ31は、入射した反射光RLを距離画像センサ32側に出射して、距離画像センサ32の受光領域に備えた画素回路321に受光(入射)させる。
【0027】
距離画像センサ32は、距離画像撮像装置1に用いられる撮像素子である。距離画像センサ32は、二次元の受光領域に複数の画素回路321と、画素回路321の各々を制御する画素駆動回路322とを備える。
【0028】
画素回路321は、1つの光電変換素子(例えば、後述する光電変換素子PD)と、この1つの光電変換素子に対応する複数の電荷蓄積部(例えば、後述する電荷蓄積部CS(CS1からCS4)と、それぞれの電荷蓄積部に電荷を振り分ける構成要素とが設けられている。
【0029】
画素駆動回路322は、光パルスPOの照射に同期した所定の蓄積タイミングで、電荷蓄積部CS(CS1からCS4)の各々に転送トランジスタG(後述)それぞれを導通させて、電荷を振分けて蓄積させる。
なお、画素回路321及び画素駆動回路322を備える距離画像センサ32の詳細については、図2を参照して後述する。
【0030】
距離画像センサ32は、測定制御部43からの制御に応じて、光電変換素子が発生した電荷をそれぞれの電荷蓄積部に振り分ける。また、距離画像センサ32は、電荷蓄積部に振り分けられた電荷量に応じた画素信号を出力する。距離画像センサ32には、複数の画素回路が二次元の行列状に配置されており、それぞれの画素回路の対応する1フレーム分の画素信号を出力する。
【0031】
ここで、図2を参照して、距離画像センサ32の詳細な構成について説明する。
図2は、本実施形態における距離画像センサの一例を示すブロック図である。
【0032】
図2に示すように、距離画像センサ32は、例えば、複数の画素回路321が配置された受光領域320と、画素駆動回路322とを備える。また、画素駆動回路322は、振り分け動作を有した垂直走査回路323と、水平走査回路324と、画素信号処理回路325と、制御回路326とを備える。
【0033】
受光領域320は、複数の画素回路321が配置された領域であって、図2では、8行8列に二次元の行列状に配置された例を示している。
画素回路321は、二次元マトリクス状に複数配置されており、受光した光量に相当する電荷を蓄積する。なお、画素回路321の詳細な構成については、図3を参照して後述する。
【0034】
制御回路326は、距離画像センサ32を統括的に制御する。制御回路326は、例えば、距離画像処理部4の測定制御部43からの指示に応じて、距離画像センサ32の構成要素の動作を制御する。なお、距離画像センサ32に備えた構成要素の制御は、測定制御部43が直接行う構成であってもよく、この場合、制御回路326を省略することも可能である。
【0035】
垂直走査回路323は、制御回路326からの制御に応じて、受光領域320に配置された画素回路321を行ごとに制御する回路である。垂直走査回路323は、画素回路321の電荷蓄積部CSそれぞれに蓄積された電荷量に応じた電圧信号を画素信号処理回路325に出力させる。この場合、垂直走査回路323は、光電変換素子により変換された電荷を画素回路321の電荷蓄積部それぞれに振り分けて蓄積させる。
【0036】
画素信号処理回路325は、制御回路326からの制御に応じて、それぞれの列の画素回路321から出力された電圧信号に対して、予め定めた信号処理(例えば、ノイズ抑圧処理やA/D変換処理など)を行う。
【0037】
水平走査回路324は、制御回路326からの制御に応じて、画素信号処理回路325から出力される信号を、順次、時系列に出力させる回路である。これにより、1フレーム分蓄積された電荷量に相当する画素信号が、距離画像処理部4に順次出力される。以下の説明においては、画素信号処理回路325がA/D変換処理を行い、画素信号がデジタル信号であるものとして説明する。
【0038】
次に、図3を参照して、距離画像センサ32に備える受光領域320内に配置された画素回路321の構成について説明する。
図3は、本実施形態における画素回路321の一例を示すブロック図である。
なお、図3に示す画素回路321は、4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)を備えた構成例である。
【0039】
図3に示すように、画素回路321は、1つの光電変換素子PDと、電荷排出トランジスタGDと、対応する出力端子O(O1からO4)から電圧信号を出力する4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)とを備える。画素信号読み出し部RUのそれぞれは、転送トランジスタGと、フローティングディフュージョンFDと、電荷蓄積容量Cと、リセットトランジスタRTと、ソースフォロアトランジスタSFと、選択トランジスタSLとを備える。フローティングディフュージョンFDと電荷蓄積容量Cとは、電荷蓄積部CSを構成している。
【0040】
図3に示す画素回路321において、出力端子O1から電圧信号を出力する画素信号読み出し部RU1は、転送トランジスタG1と、フローティングディフュージョンFD1と、電荷蓄積容量C1と、リセットトランジスタRT1と、ソースフォロアトランジスタSF1と、選択トランジスタSL1とを備える。画素信号読み出し部RU1では、フローティングディフュージョンFD1と電荷蓄積容量C1とによって電荷蓄積部CS1が構成されている。画素信号読み出し部RU2からRU4も同様の構成である。
【0041】
光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して、入射した光(入射光)に応じた電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである。本実施形態においては、入射光は測定対象の空間から入射される。
【0042】
画素回路321では、光電変換素子PDが入射光を光電変換して発生させた電荷を4つの電荷蓄積部CS(CS1からCS4)のそれぞれに振り分け、振り分けられた電荷の電荷量に応じたそれぞれの電圧信号を、画素信号処理回路325に出力する。
【0043】
また、距離画像センサ32に配置される画素回路の構成は、図3に示したような、4つの画素信号読み出し部RU(RU1からRU4)を備えた構成に限定されるものではなく、画素信号読み出し部RUが1個以上の複数の画素信号読み出し部RUを備えた構成の画素回路でもよい。
【0044】
また、画素回路321の駆動において、光パルスPOが照射時刻Toで照射され、遅延時間Td遅れて反射光RLが距離画像センサ32に受光される。画素駆動回路322は、測定制御部43に制御により、フレーム周期により光パルスPOの照射に同期させて、光電変換素子PDに発生する電荷を、転送トランジスタG(G1、G2、G3、G4)に対して、蓄積駆動信号TX1からTX4をそれぞれのタイミングにより供給して振り替えて、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3、CS4の順に蓄積させる。
【0045】
そして、画素駆動回路322は、リセットトランジスタRT及び選択トランジスタSLの各々を、駆動信号RST、SELそれぞれにより制御し、電荷蓄積部CSに蓄積された電荷を、ソースフォロアトランジスタSFにより電気信号に変換し、生成された電気信号を、出力端子Oを介して距離演算部42に出力する。
【0046】
また、画素駆動回路322は、測定制御部43の制御により、駆動信号RSTDにより、光電変換素子PDにおいて発生された電荷を電源VDDに流して放電する(電荷を消去する)。
【0047】
図1の説明に戻り、距離画像処理部4は、距離画像撮像装置1を制御し、被写体OBまでの距離を演算する。距離画像処理部4は、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、測定空間に存在する被写体OBまでの距離を測定距離として測定する。
また、距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、距離演算部42と、測定制御部43とを備える。
【0048】
タイミング制御部41は、測定制御部43の制御に応じて、測定に要する様々な制御信号を出力するタイミングを制御する。ここでの様々な制御信号とは、例えば、光パルスPOの照射を制御する信号、反射光RLを複数の電荷蓄積部に振り分けて蓄積させる信号、1フレームあたりの蓄積回数を制御する信号などである。蓄積回数とは、電荷蓄積部CSに電荷を振り分けて蓄積させる処理を繰返す回数であり、フレーム周期において予め設定された振り分け回数である。この蓄積回数と、電荷を振り分けて蓄積させる処理1回あたりに各電荷蓄積部に電荷を蓄積させる時間幅(蓄積時間幅)の積が露光時間となる。
【0049】
距離演算部42は、距離画像センサ32から出力された画素信号に基づいて、被写体OBまでの距離を演算した距離情報を出力する。距離演算部42は、複数の電荷蓄積部CSに蓄積された電荷量に基づいて、光パルスPOを照射してから反射光RLを受光するまでの遅延時間を算出する。距離演算部42は、算出した遅延時間に応じて被写体OBまでの距離を算出する。
【0050】
なお、本実施形態では、フレーム周期は、電荷を電荷蓄積部CSに蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期を有している。距離演算部42は、複数のサブフレーム周期のうち、電荷量が、予め設定された閾値を超過していない(電荷量が飽和していない)サブフレーム周期を用いて、被写体OBまでの距離を算出する。なお、フレーム周期及びサブフレーム周期の詳細については、後述する。
【0051】
距離演算部42は、反射光RL成分に相当する電荷量が、反射光RLが距離画像撮像装置1に入射されるまでの遅延時間Tdに応じた比率で、2つの電荷蓄積部CSに振り分けて蓄積されることを利用して、以下の(1)により、遅延時間Tdを算出する。距離演算部42は、式(1)で求めた遅延時間Tdに、光速(速度)を乗算させることにより、被写体OBまでの往復の距離を算出する。そして、距離演算部42は、上記で算出した往復の距離を1/2とすることにより、被写体OBまでの距離を求める。なお、式(1)においては、外光成分に相当する電荷量が電荷蓄積部CS1に蓄積され、反射光RL成分に相当する電荷量が電荷蓄積部CS2及びCS3に振り分けて蓄積されたことを前提とする。
【0052】
Td=To×(Q3-Q1)/(Q2+Q3-2×Q1) …(1)
但し、Toは光パルスPOが照射された期間である。
Q1は電荷蓄積部CS1に蓄積された電荷量である。
Q2は電荷蓄積部CS2に蓄積された電荷量である。
Q3は電荷蓄積部CS3に蓄積された電荷量である。
【0053】
測定制御部43は、タイミング制御部41を制御する。例えば、測定制御部43は、1フレームの蓄積回数及び蓄積時間幅を設定し、設定した内容で撮像が行われるようにタイミング制御部41を制御する。すなわち、測定制御部43は、複数のサブフレーム周期を含むフレーム周期の設定を行い、設定した内容で撮像が行われるようにタイミング制御部41を制御する。
【0054】
このような構成によって、距離画像撮像装置1では、光源部2が被写体OBに照射した近赤外の波長帯域の光パルスPOが被写体OBによって反射された反射光RLを受光部3が受光し、距離画像処理部4が、被写体OBとの距離を測定した距離情報(距離画像)を出力する。
【0055】
次に、図面を参照して、本実施形態による距離画像撮像装置1の動作について説明する。
まず、図4図6を参照して、本実施形態における光源部2が出力するライン光Lについて説明する。なお、図4図6において、X軸方向を横軸方向(横方向)とし、Y軸方向を縦軸方向(縦方向)として説明する。
【0056】
本実施形態では、光源部2が照射する光源に、ドット光を用いる。ドット光は、例えば、周期的に配列された複数のドット光により構成される構造化光である。
【0057】
ドット光を用いることにより、被写体OBに対し、均一でない局所的な光パルスPOが照射される。ドット光を用いることにより、光源出力を増加させることなく、照射する光のパワー(単位面積当たりの照射強度)を増大させることができ、照射光の到達距離を大きくして測定可能な距離を大きくすることが可能となる。一方、ドット光を用いた場合、ドット光が照射されない領域については距離を測定することができず、解像度が小さくなるという問題があった。
【0058】
この対策として、本実施形態では、光パルスPOとして楕円形状を有するドット光を用いるようにした。例えば、光源部2は、それぞれ独立して、光パルスPO(楕円形状を有するドット光を用いたライン光)を照射することが可能な複数の光源素子を有する。
【0059】
図4図6は、本実施形態におけるライン光Lの一例を示す図である。
図4図6では、距離画像撮像装置1が被写体OBに光パルスPOとしてのライン光Lを照射した様子が模式的に示されている。
【0060】
図4では、複数のドット光Dtを離散的に放射して、ライン光Lを形成する一例を示している。ここでは、横方向のライン光Lが照射された例を示している。
図4に示すように、ライン光Lは、複数のドット光Dtを離散的にライン状に放射して形成される。ここで、ドット光Dtは、短軸長SAに対する長軸長LAの比が閾値以上である楕円形状を有する。例えば、ドット光源の形状は、短軸長SAに対する長軸長LAの比が2以上である楕円形状である。
【0061】
このように、本実施形態では、楕円形状を有するドット光Dtを用いることによって、円形状のドット光Dtを用いる場合より被写体OBにおいて光が照射されない領域を少なくすることができる。したがって、解像度の低下を抑制することが可能となる。
【0062】
また、図5では、複数のドット光Dtを重複させて放射して、ライン光Lを形成する一例を示している。ここでは、横方向のライン光Lが照射された例を示している。
図5に示すように、ライン光Lは、ドット光Dtの一部を、他のドット光Dtの一部と重複させて形成される。このように、本実施形態においてドット光Dt1の少なくとも一部分と、ドット光Dt1の長軸方向に隣接する他のドット光Dt2の少なくとも一部分と、が重複するように照射することで、連続したライン光Lを形成することができる。なお、本実施形態におけるドット光源に代えて、或いは、ドット光源と共に、ライン光源を用いてもよい。
【0063】
また、図6には、複数のライン光Lを交差させた様子が示されている。このように、本実施形態において、光源部2は、複数のライン光Lが互いに異なる方向を示すように、被写体OBに光パルスを照射する。この場合、楕円形状のドット光Dtにおける長軸方向が互いに異なるように構成されてもよい。
これにより、被写体OBに対し網目状に光を照射させることができ、被写体OBにおいて光が照射されない領域をより少なくすることができる。
【0064】
また、図6では、ライン光L1~L6からなるグループ(縦ライン光)と、ライン光L7~L12からなるグループ(横ライン光)の各々におけるライン光の方向が互いに直交する、つまり90度である例が示されている。このように、複数の光源素子のうち、少なくとも2つの光源素子から放射される楕円形状のドット光Dtにおける長軸方向が互いに直交する。
【0065】
なお、二つのライン光Lのなす角度が90度である構成に限定されることはなく、少なくとも二つのライン光Lの方向が異なっていればよい。すなわち、二つのライン光Lのなす角度が、0度より大きく、且つ、90度以下であればよい。
【0066】
このように、本実施形態において、光源部2は、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光である光パルスPOであって、2方向のライン光Lが互いに直交した光パルスPOを放射する。
【0067】
次に、再び、図1から図3を参照して、距離画像撮像装置1の距離測定の基本動作について説明する。
【0068】
距離画像撮像装置1の画素回路321の駆動において、光パルスPOが照射時刻Toで照射され、遅延時間Td遅れて反射光RLが距離画像センサ32に受光される。垂直走査回路323は、光パルスPOの照射に同期させて、電荷蓄積部CS1、CS2、CS3及びCS4の順に、光電変換素子PDに発生する電荷を振り替えて、それぞれに蓄積させる。
【0069】
このとき、垂直走査回路323は、光電変換素子PDから電荷を電荷蓄積部CS1に転送する転送経路上に設けられた転送トランジスタG1をオン状態(導通状態)にする。これにより、光電変換素子PDにより光電変換された電荷が、転送トランジスタG1を介して電荷蓄積部CS1に蓄積される。その後、垂直走査回路323は、転送トランジスタG1をオフ状態(非導通状態)にする。これにより、電荷蓄積部CS1への電荷の転送が停止される。このようにして、垂直走査回路323は、電荷蓄積部CS1に電荷を蓄積させる。電荷蓄積部CS2からCS4においても同様である。
【0070】
このとき、電荷蓄積部CSに電荷の振り分けを行なう電荷蓄積期間において、蓄積駆動信号TX1からTX4の各々が、転送トランジスタG1からG4それぞれに供給される蓄積周期が繰返される。
【0071】
そして、転送トランジスタG1からG4の各々を介して、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに、光電変換素子PDから入射光に対応した電荷が転送される。電荷蓄積期間に複数の蓄積周期が繰返される。
これにより、電荷蓄積期間における電荷蓄積部CS1からCS4の各々の蓄積周期毎に、電荷蓄積部CS1からCS4それぞれに電荷が蓄積される。
【0072】
また、垂直走査回路323は、電荷蓄積部CS1からCS4の各々の蓄積周期を繰返す際、電荷蓄積部CS4に対する電荷の転送(振替)が終了した後、光電変換素子PDから電荷を排出する排出経路上に設けられた電荷排出トランジスタGDをオンさせる。
【0073】
これにより、電荷排出トランジスタGDは、電荷蓄積部CS1に対する蓄積周期が開始される前に、直前の電荷蓄積部CS4の蓄積周期の後に光電変換素子PDに発生した電荷を破棄する(すなわち、光電変換素子PDをリセットさせる)。
【0074】
そして、垂直走査回路323は、受光領域320内に配置された全ての画素回路321の各々から、それぞれ電圧信号を画素信号処理回路325に、画素回路321の行(横方向の配列)単位で順次出力させる。
【0075】
そして、画素信号処理回路325は、入力される電圧信号の各々に対してA/D変換処理などの信号処理を行ない、水平走査回路324に対して出力する。
水平走査回路324は、信号処理を行った後の電圧信号を、受光領域320の列の順番に、順次、距離演算部42に出力させる。
【0076】
上述したような、垂直走査回路323による電荷蓄積部CSへ電荷の蓄積と光電変換素子PDが光電変換した電荷の破棄とが、1フレームに渡って繰り返し行われる。これにより、所定の時間区間に距離画像撮像装置1に受光された光量に相当する電荷が、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積される。水平走査回路324は、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された、1フレーム分の電荷量に相当する電気信号を、距離演算部42に出力する。
【0077】
また、本実施形態では、フレーム周期FTが、複数のサブフレーム周期SFTを有している。ここで、図7を参照して、本実施形態におけるフレーム周期FT及びサブフレーム周期SFTについて説明する。
【0078】
図7は、本実施形態におけるフレーム周期FTの一例を示す図である。
図7に示すように、本実施形態におけるフレーム周期FTは、サブフレーム周期SFT1と、サブフレーム周期SFT2との2つのサブフレーム周期SFTを有している。サブフレーム周期SFT1と、サブフレーム周期SFT2とは、いずれも、図6に示すような直交する縦ライン光と横ライン光とを同時に被写体OBに照射される。
【0079】
サブフレーム周期SFT1(第1サブフレーム周期)は、電荷を電荷蓄積部CSに蓄積する蓄積期間Tc1(電荷蓄積期間)と、電荷蓄積部CSに蓄積された電荷を読み出す読み出し期間Trdとを有している。蓄積期間Tc1は、例えば、上述したライン光Lの交点において、電荷蓄積部CSの電荷が飽和しない(予め設定された閾値を超過しない)ように、予め設定された所定の期間である。蓄積期間Tc1は、サブフレーム周期SFT2の蓄積期間Tc2の(1/2)以下の期間である。なお、蓄積期間Tc1(電荷蓄積期間)は、蓄積回数により決定される。
【0080】
また、サブフレーム周期SFT2(第2サブフレーム周期)は、電荷を電荷蓄積部CSに蓄積する蓄積期間Tc2(電荷蓄積期間)と、電荷蓄積部CSに蓄積された電荷を読み出す読み出し期間Trdとを有している。サブフレーム周期SFT2は、サブフレーム周期SFT1と蓄積期間が異なるサブフレーム周期SFTである。蓄積期間Tc2は、例えば、上述したライン光Lの交点以外の部分において、適切に距離画像が計測できるように、予め設定された期間である。蓄積期間Tc2は、サブフレーム周期SFT1の蓄積期間Tc1の2倍以上の期間である。なお、蓄積期間Tc2は、蓄積期間Tc1と同様に、蓄積回数により決定される。
【0081】
距離演算部42は、上述したサブフレーム周期SFT1と、サブフレーム周期SFT2とのうち、電荷量が、予め設定された閾値を超過していないサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0082】
距離演算部42は、例えば、サブフレーム周期SFT2において、電荷量が、予め設定された閾値を超過していない場合に、距離演算部42は、サブフレーム周期SFT2を用いて、被写体OBまでの距離を算出する。また、距離演算部42は、電荷量が、予め設定された閾値を超過している場合に、サブフレーム周期SFT2よりも蓄積期間Tcが短いサブフレーム周期SFT1を用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0083】
すなわち、距離演算部42は、例えば、サブフレーム周期SFT1及びサブフレーム周期SFT2のうち、電荷量が閾値を超過していない、且つ、蓄積期間が長い方のサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。なお、距離演算部42は、被写体OBまでの距離を算出する際に、上述した式(1)を用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0084】
次に、図8を参照して、本実施形態による距離画像撮像装置1の被写体OBまでの距離の算出処理の詳細について説明する。
図8は、本実施形態による距離画像撮像装置1の動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、被写体OBまでの距離の算出処理の一例について説明する。
【0085】
図8に示すように、距離画像撮像装置1は、まず、異なる蓄積期間Tcを有する第1サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT1)と、第2サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT2)とを含むフレーム周期FTで、電荷蓄積及び電荷量の取得を実行する(ステップS101)。距離画像撮像装置1の測定制御部43は、タイミング制御部41に、フレーム周期FTによる電荷蓄積及び電荷量の取得を指示し、タイミング制御部41は、測定制御部43の制御に応じて、サブフレーム周期SFT1とサブフレーム周期SFT2とを含むフレーム周期FTにより電荷蓄積及び電荷量の取得を実行する。
【0086】
次に、距離画像撮像装置1の測定制御部43は、第2サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT2)で取得した電荷量が閾値を超過しているか否かを判定する(ステップS102)。測定制御部43は、サブフレーム周期SFT2で取得した電荷量が閾値を超過している場合(ステップS102:YES)に、処理をステップS104に進める。また、測定制御部43は、サブフレーム周期SFT2で取得した電荷量が閾値を超過していない場合(ステップS102:NO)に、処理をステップS103に進める。
【0087】
ステップS103において、測定制御部43は、距離演算部42に距離演算処理を指示し、距離演算部42は、第2サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT2)で取得した電荷量に基づいて、被写体OBまでの距離を算出する。距離演算部42は、例えば、式(1)と、サブフレーム周期SFT2で取得した電荷量とを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。ここでは、距離演算部42は、サブフレーム周期SFT2で取得した電荷量を用いて、ライン光Lの交点以外の部分の距離を算出する。ステップS103の処理後に、距離演算部42は、処理をステップS107に進める。
【0088】
ステップS104において、測定制御部43は、第1サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT1)で取得した電荷量が閾値を超過しているか否かを判定する。測定制御部43は、サブフレーム周期SFT1で取得した電荷量が閾値を超過している場合(ステップS104:YES)に、処理をステップS106に進める。また、測定制御部43は、サブフレーム周期SFT1で取得した電荷量が閾値を超過していない場合(ステップS104:NO)に、処理をステップS105に進める。
【0089】
ステップS105において、測定制御部43は、距離演算部42に距離演算処理を指示し、距離演算部42は、第1サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT1)で取得した電荷量に基づいて、被写体OBまでの距離を算出する。距離演算部42は、例えば、式(1)と、サブフレーム周期SFT1で取得した電荷量とを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。ここでは、距離演算部42は、サブフレーム周期SFT1で取得した電荷量を用いて、ライン光Lの交点の部分の距離を算出する。ステップS105の処理後に、距離演算部42は、処理をステップS107に進める。
【0090】
ステップS106において、測定制御部43は、エラー処理を実行する。この場合は、第1サブフレーム周期で取得した電荷量が閾値を超過している(飽和している)場合に相当するため、測定制御部43は、例えば、再測定処理や、警告出力、等のエラー処理を実行する。
【0091】
次に、ステップS107において、測定制御部43は、全画素回路321分の実行が完了したか否かを判定する。すなわち、測定制御部43は、1フレーム周期FT分の距離の算出処理が完了したか否かを判定する。測定制御部43は、全画素回路321分の実行が完了した場合(ステップS107:YES)に、処理を終了する。また、測定制御部43は、全画素回路321分の実行が完了していない場合(ステップS107:NO)に、処理をステップS102に戻し、次の画素回路321による距離の算出処理を実行する。
【0092】
このように、本実施形態による距離画像撮像装置1では、距離演算部42は、サブフレーム周期SFT1及びサブフレーム周期SFT2のうち、電荷量が閾値を超過していない、且つ、蓄積期間が長い方のサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0093】
以上説明したように、本実施形態による距離画像撮像装置1は、光源部2と、受光部3と、距離演算部42とを備える。光源部2は、被写体OBに光パルスPOを照射する。受光部3は、画素回路321と、画素駆動回路322と、電荷排出トランジスタGD(電荷排出部)と有する。画素回路321は、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子PD及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部CSを備える二次元マトリクス状に複数配置されている。画素駆動回路322は、フレーム周期FTにより光パルスPOの照射に同期させた蓄積タイミングで電荷蓄積部CSのそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる。電荷排出トランジスタGD(電荷排出部)は、蓄積タイミングでない期間において電荷を排出する。距離演算部42は、電荷蓄積部CSの各々に蓄積される電荷量に基づいて被写体OBまでの距離を算出する。光源部2は、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光である光パルスPOであって、2方向のライン光Lが互いに直交した光パルスPOを放射する。フレーム周期FTは、電荷を電荷蓄積部CSに蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期SFTを有する。距離演算部42は、複数のサブフレーム周期SFTのうち、電荷量が、予め設定された閾値を超過していないサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0094】
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1は、蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期SFTのうち、電荷量が、予め設定された閾値を超過していないサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。そのため、本実施形態による距離画像撮像装置1は、例えば、ライン光Lの交点において、電荷蓄積部CSが飽和していないサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出することができる。よって、本実施形態による距離画像撮像装置1は、ライン光Lの交点と交点以外の部分との信号出力差を緩和し、距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制することができる。また、本実施形態による距離画像撮像装置1は、ライン光Lを用いることにより、必要な光源出力を抑えつつ、解像度の低下を抑制することができる。
【0095】
また、本実施形態では、複数のサブフレーム周期SFTは、蓄積期間が予め設定された所定の期間(例えば、蓄積期間Tc1)であるサブフレーム周期SFT1(第1サブフレーム周期)と、蓄積期間が所定の期間の2倍以上の期間(例えば、蓄積期間Tc2)であるサブフレーム周期SFT2(第2サブフレーム周期)とである。距離演算部42は、サブフレーム周期SFT1及びサブフレーム周期SFT2のうち、電荷量が閾値を超過していない、且つ、蓄積期間が長い方のサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0096】
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1では、ライン光Lの交点では、サブフレーム周期SFT1(第1サブフレーム周期)を用いて、被写体OBまでの距離を算出し、交点以外の部分では、サブフレーム周期SFT2(第2サブフレーム周期)を用いて、被写体OBまでの距離を算出る。よって、本実施形態による距離画像撮像装置1では、ライン光Lの交点以外の部分の解像度を維持しつつ、ライン光Lの交点における電荷の飽和を抑制することができ、ライン光Lの交点において、精度良く被写体OBまでの距離を測定することができる。
【0097】
また、本実施形態では、光源部2は、それぞれ独立して光パルスPOを照射することが可能な複数の光源素子を有する。ライン光Lは、複数の光源素子によって、複数のドット光Dtを離散的にライン状に放射して形成、又は、複数のドット光Dtをライン状に重複するように放射して形成される(例えば、図4参照)。
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1は、ライン光Lを用いることで、解像度の低下を抑制することが可能となる。
【0098】
また、本実施形態では、ドット光Dtの形状は、短軸長に対する長軸長の比が2以上である楕円形状であり、ライン光Lは、長軸の方向に沿ってライン状に形成される。
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1は、楕円形状を有するドット光Dtを用いることによって、円形状のドット光Dtを用いる場合より被写体OBにおいて光が照射されない領域を少なくすることができるため、より解像度の低下を抑制することができる。
【0099】
また、本実施形態による距離画像撮像方法は、上述した光源部2と、受光部3と、距離演算部42と、を備える距離画像撮像装置1の距離画像撮像方法である。距離画像撮像方法では、光源部2が、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光である光パルスPOであって、2方向のライン光Lが互いに直交した光パルスPOを放射する。フレーム周期FTは、電荷を電荷蓄積部CSに蓄積する蓄積期間が異なる複数のサブフレーム周期SFTを有する。そして、距離演算部42が、複数のサブフレーム周期SFTのうち、電荷量が、予め設定された閾値を超過していないサブフレーム周期SFTを用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0100】
これにより、本実施形態による距離画像撮像方法は、上述した距離画像撮像装置1と同様の効果を奏し、ライン光Lの交点と交点以外の部分との信号出力差を緩和し、距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制することができる。
【0101】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による距離画像撮像装置1aについて説明する。第2の実施形態では、複数のサブフレーム周期において、縦方向のライン光Lの光パルスPOと横方向のライン光Lの光パルスPOとで交互に測定し、構成して被写体OBかでの距離を算出する変形例について説明する。
【0102】
図9は、第2の実施形態による距離画像撮像装置1aの一例を示すブロック図である。
図9に示すように、距離画像撮像装置1aは、光源部2と、受光部3と、距離画像処理部4aとを備える。なお、図9では、距離画像撮像装置1aを用いて距離を測定する対象物である被写体OBも併せて示している。距離画像撮像素子は、例えば、受光部3における距離画像センサ32である。
【0103】
なお、図9において、図1と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
また、距離画像センサ32及び画素回路321の構成は、上述した図2及び図3に示す第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0104】
距離画像処理部4aは、距離画像撮像装置1aを制御し、被写体OBまでの距離を演算する。距離画像処理部4aは、電荷蓄積部CSのそれぞれに蓄積された電荷量に基づいて、測定空間に存在する被写体OBまでの距離を測定距離として測定する。
また、距離画像処理部4は、タイミング制御部41と、距離演算部42aと、測定制御部43aとを備える。
【0105】
本実施形態では、距離演算部42a及び測定制御部43aの処理が異なる点を除いて、第1の実施形態と同様である。
測定制御部43aは、タイミング制御部41を用いて、複数のサブフレーム周期SFTを有するフレーム周期FTにより、被写体OBまでの距離測定を制御する。ここで、図10を参照して、本実施形態におけるフレーム周期FTについて説明する。
【0106】
図10は、本実施形態におけるフレーム周期FTの一例を示す図である。
図10に示すように、フレーム周期FTは、ライン光Lのライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFT(サブフレーム周期SFT1及びサブフレーム周期SFT2)を有している。
【0107】
サブフレーム周期SFT1(第1サブフレーム周期)は、縦方向に平行なライン光Lの光パルスPOを照射するサブフレーム周期SFTである。
また、サブフレーム周期SFT2(第2サブフレーム周期)は、横方向に平行なライン光Lの光パルスPOを照射するサブフレーム周期SFTである。
【0108】
このように、本実施形態では、光源部2は、光パルスPOとして、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向のライン光Lをそれぞれ放射可能である。また、測定制御部43aは、タイミング制御部41を用いて、ライン光Lのライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFTを有するフレーム周期FTにより、電荷蓄積及び電荷量の取得を実行する。
なお、本実施形態において、サブフレーム周期SFT1と、サブフレーム周期SFT2とは、同一の蓄積期間及び読み出し期間を有する。
【0109】
図9の説明に戻り、距離演算部42aは、ライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFTのそれぞれで蓄積された電荷量に基づいて合成した被写体OBまでの距離を算出する。距離演算部42aは、例えば、サブフレーム周期SFT1により取得した電荷量と、サブフレーム周期SFT2により取得した電荷量とを合成した電荷量に基づいて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0110】
なお、本実施形態では、光源部2は、図10に示すように、フレーム周期FTにおいて、ライン方向が異なるライン光Lを、サブフレーム周期SFTごとに、交互に変更して、光パルスPOを照射する。距離演算部42aは、ライン方向が交互に変更された複数のサブフレーム周期SFTのそれぞれで蓄積された電荷量に基づいて合成した被写体OBまでの距離を算出する。
【0111】
次に、図面を参照して、本実施形態による距離画像撮像装置1aの動作について説明する。
図11は、本実施形態による距離画像撮像装置1aの動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、本実施形態による被写体OBまでの距離の算出処理の一例について説明する。
【0112】
図11に示すように、距離画像撮像装置1aは、まず、縦ライン光の第1サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT1)と、横ライン光の第2サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT2)とを含むフレーム周期で、電荷蓄積及び電荷量の取得を実行する(ステップS201)。距離画像撮像装置1aの測定制御部43aは、タイミング制御部41に、例えば、図10に示すフレーム周期FTによる電荷蓄積及び電荷量の取得を指示し、タイミング制御部41は、測定制御部43aの制御に応じて、サブフレーム周期SFT1とサブフレーム周期SFT2とを含むフレーム周期FTにより電荷蓄積及び電荷量の取得を実行する。
【0113】
次に、測定制御部43aは、距離演算部42aに距離演算処理を指示し、距離演算部42aは、第1サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT1)で取得した電荷量と第2サブフレーム周期(サブフレーム周期SFT2)で取得した電荷量とを合成して、被写体OBまでの距離を算出する(ステップS202)。距離演算部42aは、例えば、サブフレーム周期SFT1で取得した電荷量と、サブフレーム周期SFT2で取得した電荷量とを合算して、上述した式(1)を用いて、被写体OBまでの距離を算出する。
【0114】
次に、測定制御部43aは、全画素回路321分の実行が完了したか否かを判定する(ステップS203)。すなわち、測定制御部43aは、1フレーム周期FT分の距離の算出処理が完了したか否かを判定する。測定制御部43aは、全画素回路321分の実行が完了した場合(ステップS203:YES)に、処理を終了する。また、測定制御部43aは、全画素回路321分の実行が完了していない場合(ステップS203:NO)に、処理をステップS202に戻し、次の画素回路321による距離の算出処理を実行する。
【0115】
次に、図12及び図13を参照して、本実施形態による距離画像撮像装置1aの変形例について説明する。
図12は、本実施形態におけるフレーム周期FTの変形例を示す図である。
図12に示す変形例では、フレーム周期FTは、3つのサブフレーム周期SFTを有している。
【0116】
本変形例では、光源部2は、フレーム周期FTにおいて、被写体OBの移動方向に応じて、複数のサブフレーム周期SFTのうちの、2方向のライン光Lのそれぞれに対応するサブフレーム周期SFTの割合を変更して、光パルスPOを照射する。ここで、光源部2は、フレーム周期FTにおいて、2方向のうち、被写体OBの移動量が大きい方向に対応するサブフレーム周期SFTの割合を、被写体OBの移動量が小さい方向に対応するサブフレーム周期SFTの割合より多く変更して、光パルスPOを照射する。
【0117】
例えば、図12(a)に示す例は、被写体OBが横方向に移動する場合の一例を示している。図12(a)では、フレーム周期FTは、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1-1と、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1-2と、横ライン光のサブフレーム周期SFT2とを有している。
【0118】
この場合、被写体OBが横方向に移動するため、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1の割合を増やすことで、被写体OBを検出し易くなり、測定精度を高めることができる。
【0119】
また、図12(b)に示す例は、被写体OBが縦方向に移動する場合の一例を示している。図12(b)では、フレーム周期FTは、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1と、横ライン光のサブフレーム周期SFT2-1と、横ライン光のサブフレーム周期SFT2-2とを有している。
【0120】
この場合、被写体OBが縦方向に移動するため、横ライン光のサブフレーム周期SFT2の割合を増やすことで、被写体OBを検出し易くなり、測定精度を高めることができる。
なお、本実施形態では、被写体OBが移動方向は、利用者によって指定されてもよいし、測定する画像情報から移動方向を判定してもよい。
【0121】
次に、図13を参照して、本実施形態による距離画像撮像装置1aのサブフレーム周期SFTの割合の変更処理について説明する。
図13は、本実施形態による距離画像撮像装置1aの動作の一例を示すフローチャートである。ここでは、被写体OBの移動方向に応じて、サブフレーム周期SFTの割合を変更する処理について説明する。
【0122】
図13に示すように、距離画像撮像装置1aの測定制御部43aは、被写体OBの移動方向が、横軸方向であるか否かを判定する(ステップS301)。測定制御部43aは、被写体OBの移動方向が、横軸方向である場合(ステップS301:YES)に、処理をステップS302に進める。また、測定制御部43aは、被写体OBの移動方向が、横軸方向でない(縦方向である)場合(ステップS301:NO)に、処理をステップS303に進める。
【0123】
ステップS302において、測定制御部43aは、縦軸方向のサブフレーム周期SFT1の割合を増加させる。測定制御部43aは、タイミング制御部41を制御して、例えば、図12(a)に示すように、縦軸方向(縦ライン光)のサブフレーム周期SFT1の割合を増加させる。ステップS302の処理後に、測定制御部43aは、処理を終了する。
【0124】
また、ステップS303において、測定制御部43aは、横軸方向のサブフレーム周期SFT2の割合を増加させる。測定制御部43aは、タイミング制御部41を制御して、例えば、図12(b)に示すように、横軸方向(横ライン光)のサブフレーム周期SFT2の割合を増加させる。ステップS303の処理後に、測定制御部43aは、処理を終了する。
【0125】
以上説明したように、本実施形態による距離画像撮像装置1aは、光源部2と、受光部3と、距離演算部42aとを備える。光源部2は、被写体OBに光パルスPOを照射する。受光部3は、画素回路321と、画素駆動回路322と、電荷排出トランジスタGD(電荷排出部)と有する。画素回路321は、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子PD及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部CSを備える二次元マトリクス状に複数配置されている。画素駆動回路322は、フレーム周期FTにより光パルスPOの照射に同期させた蓄積タイミングで電荷蓄積部CSのそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる。電荷排出トランジスタGD(電荷排出部)は、蓄積タイミングでない期間において電荷を排出する。距離演算部42aは、電荷蓄積部CSの各々に蓄積される電荷量に基づいて被写体OBまでの距離を算出する。光源部2は、光パルスPOとして、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向のライン光Lをそれぞれ放射可能である。フレーム周期FTは、ライン光Lのライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFT(例えば、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1と、横ライン光のサブフレーム周期SFT2)を有する。距離演算部42aは、ライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFTのそれぞれで蓄積された電荷量に基づいて合成した被写体OBまでの距離を算出する。
【0126】
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1aは、ライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFT(例えば、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1、及び横ライン光のサブフレーム周期SFT2)のそれぞれで蓄積された電荷量を用いる。本実施形態による距離画像撮像装置1aでは、一方向のサブフレーム周期SFTを照射するため、ライン光Lの交点において、2方向のライン光Lを同時に照射した場合のように電荷量(光量)が飽和することがない。よって、本実施形態による距離画像撮像装置1aは、ライン光Lの交点と交点以外の部分との信号出力差を緩和し、距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制することができる。
【0127】
また、本実施形態では、光源部2は、フレーム周期FTにおいて、ライン方向が異なるライン光Lを、サブフレーム周期SFTごとに、交互に変更して、光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、縦ライン光のサブフレーム周期SFT1と、横ライン光のサブフレーム周期SFT2とを交互に照射する。距離演算部42aは、ライン方向が交互に変更された複数のサブフレーム周期SFTのそれぞれで蓄積された電荷量に基づいて合成した被写体OBまでの距離を算出する。
【0128】
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1aは、ライン方向が異なるライン光Lを、サブフレーム周期SFTごとに、交互に変更して、光パルスPOを照射し、それぞれで蓄積された電荷量に基づいて合成した被写体OBまでの距離を算出するため、ライン方向が異なるライン光Lを同時に照射した場合(例えば、第1の実施形態の場合)と同等の効果が得られ、必要な光源出力を抑えつつ、解像度の低下を抑制することができる。
【0129】
また、本実施形態では、光源部2は、フレーム周期FTにおいて、被写体OBの移動方向に応じて、複数のサブフレーム周期SFTのうちの、2方向のライン光Lのそれぞれに対応するサブフレーム周期SFTの割合を変更して、光パルスPOを照射する。光源部2は、例えば、フレーム周期FTにおいて、2方向のうち、被写体OBの移動量が大きい方向に対応するサブフレーム周期SFTの割合を、被写体OBの移動量が小さい方向に対応するサブフレーム周期SFTの割合より多く変更して、光パルスPOを照射する。
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1aは、移動する被写体OBを検出し易くなり、測定精度を高めることができる。
【0130】
また、本実施形態による距離画像撮像方法は、上述した光源部2と、受光部3と、距離演算部42aと、を備える距離画像撮像装置1aの距離画像撮像方法である。距離画像撮像方法では、光源部2が、光パルスPOとして、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光であり、ライン方向が互いに直交した2方向のライン光Lをそれぞれ放射可能である。フレーム周期FTは、ライン光Lのライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFTを有している。そして、距離演算部42aが、ライン方向が異なる複数のサブフレーム周期SFTのそれぞれで蓄積された電荷量に基づいて合成した被写体OBまでの距離を算出する。
これにより、本実施形態による距離画像撮像方法は、上述した距離画像撮像装置1aと同様の効果を奏し、必要な光源出力を抑えつつ、解像度の低下を抑制することができる。
【0131】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による距離画像撮像装置1bについて説明する。第3の実施形態では、ライン光Lの交点に対応する画素回路321を、飽和防止用のものに置き換える手法について説明する。
【0132】
図14は、第3の実施形態による距離画像撮像装置1bの一例を示す図である。
図14では、本実施形態における距離画像センサ32aの構成例を示している。なお、本実施形態における距離画像センサ32a以外の構成は、第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0133】
図14において、反射光LHは、横方向(水平方向)のライン光Lの反射光を示し、反射光LVは、縦方向(垂直方向)のライン光Lの反射光を示している。
また、画素回路321a(第1画素回路)は、ライン光Lが互いに直交して照射される被写体OBからの反射光を受光する位置(反射光の交点)に対応する画素回路を示し、画素回路321(第2画素回路)は、その他の位置に対応する画素回路を示している。
【0134】
画素回路321a(第1画素回路)は、感度抑制部が設けられており、反射光に対する感度が、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より低く構成されている。
例えば、画素回路321aは、感度抑制部として、画素回路321aの上に配置された、反射光の一部を反射もしくは吸収するフィルタ層を備える。フィルタ層は、例えば、その他の位置の感度に比べて、画素回路321aの感度が、(1/2)以下になるように構成されている。ここで、フィルタ層は、例えば、フォトリソグラフィーなどの手法で反射光の一部を吸収する有機薄膜である。
【0135】
また、感度抑制部として、画素回路321a(第1画素回路)の電荷蓄積部CSの容量が、画素回路321(第2画素回路)の電荷蓄積部CSの容量より大きく構成されていてもよい。すなわち、図3に示す画素回路321aの電荷蓄積容量C1~電荷蓄積容量C4が、画素回路321に比べて、例えば、2倍以上の容量であってもよい。
【0136】
また、感度抑制部として、画素回路321aの光電変換素子PDの体積が、画素回路321の光電変換素子PDの体積より小さく構成されてもよい。すなわち、画素回路321aの光電変換素子PDの体積が、画素回路321に比べて、(1/2)以下であってもよい。
【0137】
また、感度抑制部として、画素回路321aのフレーム周期FT内における振り分け回数(積算回数)が、画素回路321のフレーム周期FT内における振り分け回数(積算回数)よりも少なく構成されてもよい。すなわち、画素回路321aの振り分け回数(積算回数)が、画素回路321の振り分け回数(積算回数)の(1/2)以下であってもよい。
【0138】
なお、本実施形態による距離画像撮像装置1bの動作は、フレーム周期FTは、サブフレーム周期SFTを備えずに、単独フレームとなる。すなわち、距離画像撮像装置1bは、図6に示すような、直交した2方向のライン光Lを同時に光パルスPOとして照射し、取得した電荷量に基づいて、画像距離を算出する。
【0139】
以上説明したように、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、光源部2と、受光部3と、距離演算部42とを備える。光源部2は、被写体OBに光パルスPOを照射する。受光部3は、画素回路321と、画素駆動回路322と、電荷排出トランジスタGD(電荷排出部)と有する。画素回路321は、入射した光に応じた電荷を発生する光電変換素子PD及び電荷を蓄積する複数の電荷蓄積部CSを備える二次元マトリクス状に複数配置されている。画素駆動回路322は、フレーム周期FTにより光パルスPOの照射に同期させた蓄積タイミングで電荷蓄積部CSのそれぞれに電荷を振り分けて蓄積させる。電荷排出トランジスタGD(電荷排出部)は、蓄積タイミングでない期間において電荷を排出する。距離演算部42は、電荷蓄積部CSの各々に蓄積される電荷量に基づいて被写体OBまでの距離を算出する。光源部2は、周期的に配列されたライン光Lにより構成される構造化光である光パルスPOであって、2方向のライン光Lが互いに直交した光パルスPOを放射する。そして、複数配置された画素回路321のうち、ライン光Lが互いに直交して照射される被写体OBからの反射光を受光する位置に対応する画素回路321a(第1画素回路)の反射光に対する感度が、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より低く構成されている。
【0140】
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、画素回路321a(第1画素回路)の反射光に対する感度が、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より低く構成されているため、ライン光Lの交点において、電荷量(光量)が飽和することを抑制することができる。よって、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、ライン光Lの交点と交点以外の部分との信号出力差を緩和し、距離画像全体の解像度、及び測距可能距離の低下を抑制することができる。また、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、ライン光Lを用いることにより、必要な光源出力を抑えつつ、解像度の低下を抑制することができる。
【0141】
また、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、画素回路321a(第1画素回路)の上に配置された、反射光の一部を反射もしくは吸収するフィルタ層を備える。
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、フィルタ層により、画素回路321a(第1画素回路)の反射光に対する感度を、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より適切に低くすることができる。
【0142】
また、本実施形態では、画素回路321aの電荷蓄積部CSの容量が、画素回路321(第2画素回路)の電荷蓄積部CSの容量より大きく構成されていてもよい。
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、画素回路321aの電荷蓄積部CSの容量が、画素回路321(第2画素回路)の電荷蓄積部CSの容量より大きいため、画素回路321aの反射光に対する感度を、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より適切に低くすることができる。
【0143】
また、本実施形態では、画素回路321aの光電変換素子PDの体積が、画素回路321aの光電変換素子PDの体積より小さく構成されていてもよい。
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、画素回路321aの光電変換素子PDの体積が、画素回路321aの光電変換素子PDの体積より小さいため、光電変換能力が低く、画素回路321aの反射光に対する感度を、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より適切に低くすることができる。
【0144】
また、本実施形態では、画素回路321aのフレーム周期FT内における振り分け回数(積算回数)が、画素回路321のフレーム周期FT内における振り分け回数(積算回数)よりも少なく構成されていてもよい。
【0145】
これにより、本実施形態による距離画像撮像装置1bは、画素回路321aの振り分け回数(積算回数)が、画素回路321の振り分け回数(積算回数)より少ない画素回路321aの反射光に対する感度を、他の位置に対応する画素回路321(第2画素回路)より適切に低くすることができる。
【0146】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、画素回路321(321a)が、4個の電荷蓄積部CS(CS1、CS2、CS3、CS4)を備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、3以上のN個の電荷蓄積部CSを備えるようにしてもよい。
【0147】
また、上記の各実施形態において、距離画像処理部4(4a)を距離画像撮像装置1(1a、1b)の内部に備える例を説明したが、これに限定されるものではなく、距離画像処理部4(4a)は、距離画像撮像装置1(1a、1b)の外部に備える構成であってもよい。
【0148】
また、上記の各実施形態において、光電変換素子PDは、入射した光を光電変換して電荷を発生させ、発生させた電荷を蓄積する埋め込み型のフォトダイオードである例を説明したが、これに限定されるものではなく、光電変換素子PDの構造は任意であってよい。光電変換素子PDは、例えば、P型半導体とN型半導体とを接合した構造のPNフォトダイオードであってもよいし、P型半導体とN型半導体との間にI型半導体を挟んだ構造のPINフォトダイオードであってもよい。また、光電変換素子PDは、フォトダイオードに限定されるものではなく、例えば、フォトゲート方式の光電変換素子であってもよい。
【0149】
また、上記の第1の実施形態において、フレーム周期FTが、蓄積期間が異なる2つのサブフレーム周期SFTを有する例を説明したが、これに限定されるものではなく、3つ以上のサブフレーム周期SFTを有するようにしてもよい。
【0150】
また、上記の第2の実施形態において、サブフレーム周期SFTの割合を増加させる際に、1つのサブフレーム周期SFT1-2(又は、サブフレーム周期SFT2-2)を追加する例を説明したが、2つ以上を追加するようにしてもよい。
【0151】
なお、上述した距離画像撮像装置1(1a、1b)が備える各構成は、内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した距離画像撮像装置1(1a、1b)が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した距離画像撮像装置1(1a、1b)が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
【0152】
また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0153】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に距離画像撮像装置1(1a、1b)が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0154】
また、上述した機能の一部又は全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。上述した各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、又は汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【符号の説明】
【0155】
1、1a,1b…距離画像撮像装置
2…光源部
3…受光部
4、4a…距離画像処理部
21…光源装置
22…拡散板
31…レンズ
32、32a…距離画像センサ
41…タイミング制御部
42、42a…距離演算部
43、43a…測定制御部
320…受光領域
321、321a…画素回路
322…画素駆動回路
323…垂直走査回路
324…水平走査回路
325…画素信号処理回路
326…制御回路
CS、CS1、CS2、CS3、CS4…電荷蓄積部
FD、FD1、FD2、FD3、FD4…フローティングディフュージョン
FT…フレーム周期
G、G1、G2、G3、G4…転送トランジスタ
GD…電荷排出トランジスタ
OB…被写体
PD…光電変換素子
PO…光パルス
RL…反射光
RT1、RT2、RT3、RT4…リセットトランジスタ
SF、SF1、SF2、SF3、SF4…ソースフォロアトランジスタ
SFT1、SFT2、SFT3…サブフレーム周期
SL、SL1、SL2、SL3、SL4…選択トランジスタ
Dt、Dt1、Dt2…ドット光
L、L1~L12…ライン光
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14