(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078901
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
B41J 11/00 20060101AFI20240604BHJP
B41J 29/13 20060101ALI20240604BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
B41J11/00 A
B41J29/13
B41J2/01 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191508
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】田中 貢
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
2C061
【Fターム(参考)】
2C056FA13
2C056HA27
2C056HA58
2C056HA60
2C056KD10
2C058AB11
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF22
2C058BA02
2C058BA19
2C058BA27
2C061AQ05
2C061AS06
2C061AS07
2C061CD07
2C061CD14
(57)【要約】
【課題】カバーが開けられた状態において駆動力伝達部の意図しない回転を防止することにある。
【解決手段】プリンタ100は、開口31を有する筐体30と、開口31を開放する開位置、および開口31を塞ぐ閉位置に移動する第2上カバー31Bと、筐体30の内部空間30Aに位置するサブフレーム66,67と、搬送路43に沿ってシートSを搬送方向P1に搬送する搬送部71と、モータ47と、サブフレーム66,67に支持された回転部材80を有しており、モータ47の駆動力を搬送部71に伝達する駆動力伝達部24と、回転部材80の回転を停止するロック位置と、回転部材80の回転を許容する解除位置とに移動するロック部材25と、を備えており、ロック部材25は、第2上カバー31Bが開位置に位置するときロック位置に位置し、第2上カバー31Bが閉位置に位置するときに解除位置に位置する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を有する筐体と、
上記開口を開放する開位置、および上記開口を塞ぐ閉位置に移動するカバーと、
上記筐体の内部空間に位置するフレームと、
搬送路に沿ってシートを搬送方向に搬送する搬送部と、
駆動源と、
上記フレームに支持された回転部材を有しており、上記駆動源の駆動力を上記搬送部に伝達する駆動力伝達部と、
上記回転部材の回転を停止するロック位置と、上記回転部材の回転を許容する解除位置とに移動するロック部材と、を備えており、
上記ロック部材は、上記カバーが上記開位置に位置するとき上記ロック位置に位置し、上記カバーが上記閉位置に位置するときに上記解除位置に位置する搬送装置。
【請求項2】
上記ロック部材は、上記フレームに回動可能に支持されている請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記ロック部材を上記ロック位置へ付勢する弾性部材をさらに有しており、
上記カバーは、回動可能であって、上記開位置において上記ロック部材から離間し、上記閉位置において上記ロック部材と当接して上記弾性部材の付勢力に抗して上記ロック部材を上記解除位置へ移動する当接片を有する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記ロック部材は、上記カバーが上記閉位置にあるとき上記当接片と接触する接触片を有しており、
上記接触片は、上記カバーが上記閉位置にあるときに上記当接片に向かって突出し、先端が円弧形状である突出部分を有している請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記回転部材は、回転中心から離間した位置において軸線に沿って突出する凸片を有しており、
上記ロック部材は、上記ロック位置にあるときに上記凸片に当接し上記解除位置にあるときに上記凸片から離間するロック片を有しており、
上記ロック片は、上記ロック位置において上記解除位置に向かう方向と逆方向への移動が規制されており、
上記凸片は、上記ロック位置に位置する上記ロック片に対して、上記ロック片が上記解除位置から上記ロック位置に向かう方向へ向けて当接する請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【請求項6】
上記搬送部は、上記搬送方向における最も下流に位置してシートを上記筐体から排出する排出ローラを有しており、
上記駆動力伝達部は、上記排出ローラに駆動力を伝達する排出ギヤを有しており、
上記カバーは、上記排出ギヤよりも上記搬送方向における上流において、上記搬送方向に交差する方向を軸に回動可能に支持されている請求項1から4のいずれかに記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送装置としては、例えば、特許文献1に記載されたプリンタが知られている。特許文献1に記載されたプリンタでは、カバーの開閉に連動させてリンクが往復移動する。リンクが往復移動によりB2方向に移動すると、先端部が上段ギアを支持するギア支持板の当接部に当接してギア支持板がD2方向に回動する。このとき、給紙ローラのギアと上段ギアとの噛合が解除され、モータからの動力が給紙ローラへ伝わらない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
モータからの動力が給紙ローラへ伝わらない状態においてカバーが開けられたときには、ギアが露出した状態であり回動自在な状態である。このため、使用者の接触などにより意図せずにギアが回動するおそれがある。
【0005】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、カバーが開けられた状態において駆動力伝達部の意図しない回転を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明に係る搬送装置は、開口を有する筐体と、上記開口を開放する開位置、および上記開口を塞ぐ閉位置に移動するカバーと、上記筐体の内部空間に位置するフレームと、搬送路に沿ってシートを搬送方向に搬送する搬送部と、駆動源と、上記フレームに支持された回転部材を有しており、上記駆動源の駆動力を上記搬送部に伝達する駆動力伝達部と、上記回転部材の回転を停止するロック位置と、上記回転部材の回転を許容する解除位置とに移動するロック部材と、を備える。上記ロック部材は、上記カバーが上記開位置に位置するとき上記ロック位置に位置し、上記カバーが上記閉位置に位置するときに上記解除位置に位置する。
【0007】
上記構成によれば、カバーを開けたときに回転部材の回転を停止させることができるため、駆動力伝達部の意図しない回転を防止できる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記ロック部材は、上記フレームに回動可能に支持されている。
【0009】
(3) 好ましくは、上記ロック部材を上記ロック位置へ付勢する弾性部材をさらに有しており、上記カバーは、回動可能であって、上記開位置において上記ロック部材から離間し、上記閉位置において上記ロック部材と当接して上記弾性部材の付勢力に抗して上記ロック部材を上記解除位置へ移動する当接片を有する請求項2に記載の搬送装置。
【0010】
上記構成によれば、閉位置のカバーを開位置に回動させることで当接片がロック部材から離間する。このとき、ロック部材が付勢力によってロック位置に移動するため、回転部材の回転を機械的に停止させることができる。これにより、回転部材に駆動力が加わっても回転しないようにできる。
【0011】
(4) 好ましくは、上記ロック部材は、上記カバーが上記閉位置にあるとき上記当接片と接触する接触片を有しており、上記接触片は、上記カバーが上記閉位置にあるときに上記当接片に向かって突出し、先端が円弧形状である突出部分を有している。
【0012】
上記構成によれば、カバーの当接片をロック部材の回動と干渉することなく接触片へ当接させることができる。また、先端が円弧形状の突出部分に当接片が当接するため、ロック部材が円滑に回動する。
【0013】
(5) 好ましくは、上記回転部材は、回転中心から離間した位置において軸線に沿って突出する凸片を有しており、上記ロック部材は、上記ロック位置にあるときに上記凸片に当接し上記解除位置にあるときに上記凸片から離間するロック片を有しており、上記ロック片は、上記ロック位置において上記解除位置に向かう方向と逆方向への移動が規制されており、上記凸片は、上記ロック位置に位置する上記ロック片に対して、上記ロック片が上記解除位置から上記ロック位置に向かう方向へ向けて当接する。
【0014】
上記構成によれば、回転部材に駆動源の駆動力が加えられても、ロック位置に位置するロック片が凸片から外れない。このため、意図しないロック解除を防止できる。
【0015】
(6) 好ましくは、上記搬送部は、上記搬送方向における最も下流に位置してシートを上記筐体から排出する排出ローラを有しており、上記駆動力伝達部は、上記排出ローラに駆動力を伝達する排出ギヤを有しており、上記カバーは、上記排出ギヤよりも上記搬送方向における上流において、上記搬送方向に交差する方向を軸に回動可能に支持されている。
【0016】
排出ギヤ周辺においてスペースが確保できるためメンテナンスし易い。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、カバーが開けられた状態において駆動力伝達部が意図せずに回転することが防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、プリンタ100の外観を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の線II-IIに沿うプリンタ100の縦断面を示す模式図である。
【
図3】
図3は、サイドフレーム20,21を模式的に示す斜視図である。
【
図4】
図4は、搬送部71および駆動力伝達部24を下方から視た斜視図である。
【
図5】
図5は、駆動力伝達部24を模式的に示す図である。
【
図6】
図6は、ロック位置のロック部材25を回転部材80とともに示す左側面図である。
【
図7】
図7は、解除位置のロック部材25を回転部材80とともに示す左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明において、プリンタ100が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、排出口33が設けられている側を手前側(前面)として前後方向8が定義され、プリンタ100を手前側(前面)から見て左右方向9が定義される。
【0020】
[プリンタ100の外観構成]
図2に示されるように、プリンタ100は、ロール体37からシートSを引き出して前方にシートSを搬送可能な搬送装置10と、シートSに画像をインクジェット記録方式で記録可能なヘッド38と、を有する。なお、シートSは、ファンフォールド紙であってもよい。シートSには連続して画像記録されるラベルが貼られていてもよい。
【0021】
図1、
図2に示されるように、搬送装置10は、開口31を有する筐体30、シートSが搬送される搬送路43、及びシートSを搬送する搬送部71を備える。筐体30は、全体として概ね直方体形状であって、卓上に載置可能な大きさである。筐体30は、右壁部30R及び左壁部30Lと、上壁部30U及び下壁部30Dと、前壁部30F及び後壁部30Bと、を有する。右壁部30R及び左壁部30Lは、左右方向9に離れて位置する。上壁部30U及び下壁部30Dは、上下方向7に離れて位置する。前壁部30F及び後壁部30Bは、前後方向8に離れて位置する。
【0022】
前壁部30Fには、ヘッド38によって記録されたシートSが排出される排出口33が形成されている。排出口33は、前壁部30Fの上部に位置している。排出口33は、上下方向7よりも左右方向9に長い矩形状である。前壁部30Fの上部には操作パネル44が設けられている。操作パネル44は、プリンタ100を動作させたり各種設定を確定したりするための入力を作業者から受け付ける。
【0023】
筐体30は、第1上カバー31Aと第2上カバー(カバーの一例)31Bとサイドカバー19とを有する。第1上カバー31Aは、上壁部30Uの後方側の一部と右壁部30Rの後方側の上部を形成している(
図1参照)。第1上カバー31Aは、左右方向9に延びる回動軸を中心に回動可能に後壁部30Bの上端部に連結されている。
【0024】
第2上カバー31Bは、第1上カバー31Aの前方に位置している。第2上カバー31Bは、左壁部30Lの上部と右壁部30Rの前方側の上部と上壁部30Uの前方側と上壁部30Uの後方側の一部とを形成している(
図1参照)。第2上カバー31Bは、左右方向9に延びる回動軸C1(
図2参照)を中心に回動可能に後壁部30Bの上端部に連結されている。
【0025】
第2上カバー31Bは、
図1に示される閉位置から、上壁部30Uの前方側の一部が上方へ持ち上げられるようにして回動軸C1を中心に回動されて開位置まで回動する。閉位置の第2上カバー31Bは、筐体30の開口31を塞ぐ。開位置の第2上カバー31Bは、筐体30の開口31を外部に対して開放する。第2上カバー31Bは、下側における前寄りの位置において当接片22(
図4参照)を有している。当接片22は、第2上カバー31Bの下面から下方に向けて突出している。当接片22は、上下方向7および前後方向8に拡がる平板形状である。当接片22は、左右方向9から視て、第2上カバー31Bからロック部材25に向かって先細る台形形状である。
【0026】
図1に示されるように、サイドカバー19は、右壁部30Rの後方側に位置している。サイドカバー19は、右壁部30Rの一部を形成している。サイドカバー19は、前後方向8に延びる回動軸を中心に回動可能に下壁部30Dに連結されている。サイドカバー19は、
図1に示される閉位置から、右方に回動した開位置まで回動可能である。閉位置のサイドカバー19は、筐体30の内部空間30Aを塞ぐ。開位置のサイドカバー19は、筐体30の内部空間30Aを外部に対して開く。
【0027】
図2に示されるように、搬送路43は、筐体30の内部空間30Aにおいてロール紙収容空間30Cから上方に延びた後、排出口33まで前方に延びている。搬送路43は、ロール紙収容空間30Cから隙間42を通って後述のテンショナ45の上端45Aまで上方に延びた後、排出口33まで前方に延びている。
【0028】
図3に示されるように、筐体30内においては、内部空間30Aの左方に位置する左サイドフレーム20と、右方に位置する右サイドフレーム21が設けられている。左右のサイドフレーム20,21は、鋼板からなる平板形状であり、支持する部材に応じた形状の切り欠きや貫通孔が適宜形成されている。サイドフレーム20,21は、内部空間30Aにおいて左右方向9に離れて位置する。サイドフレーム20,21は、筐体30の下壁部30Dに連結されている。サイドフレーム20,21の連結は、ネジ止めや溶接によりなされている。右サイドフレーム21の後下隅部には切欠き部21Aが形成されている。切欠き部21Aは、ロール紙収容空間30C(
図2参照)へロール体37を装填するための開口である。
【0029】
[プリンタ100の内部構成]
筐体30の内部空間30Aにおけるサイドフレーム20,21の間には、
図2、
図4に示されるように、ロール体ホルダ35、テンショナ45、搬送部71、駆動力伝達部24、回転部材80、ロック部材25、コイルバネ(弾性部材の一例)26、ヘッド38、支持機構116、CISユニット27、基準板29、カッターユニット28が配置されている。図には示されていないが、内部空間30Aには、コントローラが配置されている。コントローラは、プリンタ100の動作を制御するものである。
【0030】
図2に示されるように、筐体30の内部空間30Aには、隔壁41が設けられている。隔壁41は、内部空間30Aの後方側の下部を仕切って、ロール紙収容空間30Cを区画する。ロール紙収容空間30Cは、隔壁41、後壁部30B、及び下壁部30Dによって包囲され、ヘッド38などから隔離された空間である。
【0031】
[ロール体ホルダ35]
ロール紙収容空間30Cには、ロール体37、及びロール体ホルダ35が収容される。ロール体37は、芯管と、長尺のシートSとを有している。シートSは、芯管の軸芯の周方向にロール状に芯管に巻回されている。シートSは、プリンタ100が画像を記録可能な最小幅から最大幅までの幅をとり得る。すなわち、ロール紙収容空間30Cには、幅が異なる複数種類のロール体37が収容可能である。なお、ロール体37は、芯管を有さず、シートSがロール体ホルダ35に装着可能にロール状に巻回されていてもよい。ロール体ホルダ35は、モータ47(
図4参照)からの駆動力がロール体ギヤ(不図示)によって伝達されることでロール体37を回転させる。これにより、ロール体ホルダ35は、ロール体37からシートSを繰り出す。
【0032】
ロール紙収容空間30Cは、後部において上方に開口している。詳細には、隔壁41と後壁部30Bとの間、すなわち、ロール体37の後端の上方に隙間42が形成されている。シートSは、搬送部71によってロール体37の後端から上方に引き出され隙間42を介してテンショナ45へと案内される。
【0033】
[テンショナ45]
テンショナ45は、内部空間30Aの後部において隔壁41よりも上方に位置する。テンショナ45は、筐体30の内部空間30Aに設けられたサイドフレーム20,21に回動可能に支持されている。テンショナ45は、左右方向9に延びる第2回動軸Bと、第2回動軸Bから延びるフラップ45Bとを有する。第2回動軸Bは、サイドフレーム20,21に回動可能に軸支されている。フラップ45Bは、後方に向かって付勢されている。搬送部71については後述する。
【0034】
[ヘッド38]
図2に示されるように、ヘッド38は、搬送ローラ対36の前方であって、第1排出ローラ対40よりも後方に位置する。ヘッド38は、複数のノズル38Aを有する。複数のノズル38Aは、支持ローラ83に支持されたシートSへ向かってインクを液滴として下方へ吐出する。これにより、シートSの上面に画像が記録される。ヘッド38には、筐体30の内部空間30Aに配置されたインクタンク(図示せず)がチューブ(図示せず)によってインクを供給可能に接続されている。インクとしては、例えば、水、顔料、熱可塑性樹脂微粒子を含む水性インクが用いられる。
【0035】
[支持ローラ83]
支持ローラ83は、搬送ローラ対36の前方であって、ヘッド38の下方に位置する。支持ローラ83は、ヘッド38と上下方向7に対向している。支持ローラ83は、駆動ローラ83Aと、従動ローラ83Bと、ローラベルト83Cとを有している。ローラベルト83Cは、無端ベルトであり、駆動ローラ83Aと従動ローラ83Bとに張架されている。モータ47からの駆動力がベルトギヤ76によって駆動ローラ83Aに伝達されることで回転する。駆動ローラ83Aには、モータ47の駆動力がベルトギヤ76から入力される。従動ローラ83Bは、駆動ローラ83Aの後方に離間して、回転自在にサイドフレーム20,21に支持されている。シートSは、ローラベルト83Cによって支持されつつ、駆動ローラ83Aの回転によって搬送路43に沿って搬送される。
【0036】
[CISユニット27]
CISユニット27は、シートSに記録された画像を読み取る。CISユニット27は、サイドフレーム20,21に支持されている。CISユニット27は、支持ローラ83よりも前方に位置している。より具体的には、CISユニット27は、第1排出ローラ対40と、第2排出ローラ対60の間に位置する。CISユニット27は、前後方向8よりも左右方向9に長い。
【0037】
[基準板29]
基準板29は、前後方向8において第1排出ローラ対40と、第2排出ローラ対60の間の位置であって、CISユニット27に対向して位置する。基準板29は、サイドフレーム20,21に支持される。基準板29は、第1排出ローラ40Aおよび第2排出ローラ60Aの各上端と概ね同じ上下位置で前後左右に拡がる支持面を有する。支持面は、上方を向いており、白色に着色されている。
【0038】
[カッターユニット28]
カッターユニット28は、第2排出ローラ対60の前方に位置する。カッターユニット28は、シートSを切断するカッター刃49と、カッター刃49を保持するカッターホルダ48とを有する。カッターユニット28は、シートSを左右方向9に沿って切断できれば、特に限定されない。例えば、カッターユニット28は、左右方向9に移動することによってシートSを切断してもよい。
【0039】
[搬送部71]
搬送部71は、ロール紙収容空間30Cに収納されたロール体37のシートSが搬送路43に沿って搬送方向P1に搬送可能に構成されている。搬送部71は、搬送ローラ対36と、第1排出ローラ対40と、第2排出ローラ対60とを有している。
【0040】
搬送ローラ対36は、テンショナ45の前方に位置する。搬送ローラ対36は、テンショナ45によって案内されたシートSを前方に搬送する。具体的には、搬送ローラ対36は、搬送ローラ36Bとピンチローラ36Aとを有する。搬送ローラ36Bは、サイドフレーム20,21に回転可能に支持されている。搬送ローラ36Bは、ピンチローラ36Aとの間にシートSをニップしつつ前方に搬送する。
【0041】
第1排出ローラ対40は、シートSを筐体30から排出するローラであり、ヘッド38の前方に位置する。第1排出ローラ対40は、シートSの下面に当接する第1排出ローラ40AとシートSの上面に当接する第1拍車40Bとを有する。第1排出ローラ40Aは、左サイドフレーム20の右方に位置する左サブフレーム66と、右サイドフレーム21の左方に位置する右サブフレーム67とに回転可能に支持されている。第1排出ローラ40Aは、第1拍車40Bとの間にシートSをニップしつつ前方に搬送する。
【0042】
第2排出ローラ対60は、シートSを筐体30から排出するローラであり、CISユニット27の前方に位置する。第2排出ローラ対60は、シートSの下面に当接する第2排出ローラ(排出ローラの一例)60Aと、シートSの上面に当接する第2拍車60Bとを有する。第2排出ローラ60Aは、第2拍車60Bとの間にシートSをニップしつつ前方に搬送する。
【0043】
図5に示されるように、駆動力伝達部24は、モータ(駆動源の一例)47の駆動力を搬送部71の各ローラに伝達する。駆動力伝達部24は、第1ギヤ列72と、第2ギヤ列73とを有している。第1ギヤ列72は、搬送ギヤ75と、第1プーリギヤ101とを有している。搬送ギヤ75は、モータ47の駆動力によって回転する同軸上のモータギヤ147の回転にともなって回転駆動される。搬送ギヤ75には、モータ47の動力を1つのギヤを介して伝達される。搬送ギヤ75は、回転軸が搬送ローラ36Bの回転軸に一致している。第1プーリギヤ101は、搬送ギヤ75の回転にともなって回転駆動される。第1プーリギヤ101は、段付きギヤであり、第1プーリギヤ101には、搬送ギヤ75の回転力が1つのギヤを介して伝達される。第1プーリギヤ101が回転することで、同軸上に位置する第1プーリ102が回転する。
【0044】
第2ギヤ列73は、第2プーリギヤ103と、ベルトギヤ76と、第1排出ギヤ77と、第2排出ギヤ(排出ギヤの一例)78とを有している。第2プーリギヤ103は、第2プーリと同軸上に位置する段付きギヤであり、第2プーリ104の回転にともなって回転駆動される。第1プーリ102および第2プーリ104には、プーリベルト105が張架されている。プーリベルト105には、上方から第3プーリ106によってテンションが付与されており、第1プーリ102の回転力が第2プーリ104に伝達される。
【0045】
ベルトギヤ76は、第2プーリギヤ103の回転にともなって回転駆動される。ベルトギヤ76には、第2プーリギヤ103の回転力が1つのギヤを介して伝達される。ベルトギヤ76は、回転軸が支持ローラ83の回転軸に一致している。第1排出ギヤ77は、ベルトギヤ76の回転にともなって回転駆動される。第1排出ギヤ77には、ベルトギヤ76の回転力が3つのギヤと1つの段付きギヤを介して伝達される。第1排出ギヤ77は、回転軸が第1排出ローラ40Aの回転軸に一致している。第2排出ギヤ78は、第1排出ギヤ77の回転にともなって回転駆動される。第2排出ギヤ78には、第1排出ギヤ77の回転力が1つのギヤを介して伝達される。第2排出ギヤ78は、回転軸が第2排出ローラ60Aの回転軸に一致している。第2排出ギヤ78は、第2上カバー31Bの回動軸C1よりも搬送方向P1における下流に位置する。
【0046】
図4、
図5に示されるように、回転部材80は、第2排出ローラ60Aの軸部分である。回転部材80は、左右方向9に延出する円柱形状であり、サブフレーム66,67に回転可能に支持されている。回転部材80の左右の両端は、サブフレーム66,67から外方に突出している。回転部材80は、フランジ62と、凸片63とを有している。
【0047】
フランジ62は、回転部材80の左端に位置する。フランジ62は、円盤形状である。フランジ62は、回転中心が回転部材80の軸線L1と一致する。フランジ62は、第2排出ギヤ78によって駆動力が伝達されて時計回りD1に回転する。凸片63は、フランジ62の左方を向く面から、回転部材80の軸線L1に沿いつつ左方に向かって突出している。凸片63は、回転部材80の軸線L1を中心とする円弧形状である。凸片63は、フランジ62の回転中心から径方向の外方に離間した仮想円周C2上に沿って3つが位置している。3つの凸片63同士の間には、仮想円周C2上に沿って3箇所の空間が形成されおり、後述するロック片86が嵌合可能である。凸片63は、時計回りに向く先端において、第1当接面64を有している。
【0048】
ロック部材25は、第2上カバー31Bの開位置への移動に連動して回転部材80の回転をロック可能である。ロック部材25はサブフレーム66,67のうち、左右方向9における左方に位置する左サブフレーム66に位置している。ロック部材25は、左右方向9において、左サブフレーム66よりも外方に位置している。ロック部材25は、支持片85と、ロック片86と、接触片87と、延出片88とを有している。ロック部材25は、回転部材80の回転を許容する解除位置(
図5参照)と、回転部材80の回転を停止するロック位置(
図6参照)とに移動可能である。ロック部材25は、第2上カバー31Bが閉位置に位置するとき解除位置に位置し、開位置に位置するときロック位置に位置する。
【0049】
支持片85は、回転部材80よりも前方であって、フランジ62の径方向の外方に位置している。支持片85は、左サブフレーム66においてロック部材25を回動可能に支持する。支持片85は、回動中心が回転部材80の回転中心と平行である。
【0050】
ロック片86は、支持片85から回転部材80側に延出している。より具体的には、ロック片86は、支持片85の左端から直交する方向に延出している。ロック片86は、先端部分において第2当接面90を有している。より具体的には、ロック片86は、ロック部材25が解除位置にあるときにおいて第2当接面90が第1当接面64と離間し(
図5参照)、ロック部材25がロック位置にあるときにおいて第2当接面90が第1当接面64に当接する(
図6参照)。
【0051】
接触片87は、支持片85の左端からロック片が延出する方向と逆の方向に延出している。接触片87は、第2上カバー31Bが閉位置にあるとき、当接片22と当接する。接触片87は、先端部分において当接片22に向かって円弧形状に突出する突出部分91を有している。
【0052】
延出片88は、接触片87から、支持片85、ロック片86および接触片87のそれぞれに対して直交する方向に延出している。延出片88には、先端部分においてコイルバネ26の一端が連結されている。コイルバネ26は、他端が左サブフレーム66から左方に突出する連結片93に連結されている。連結片93は、接触片87よりも下方であって、延出片88よりも前方に位置している。コイルバネ26は、ロック部材25をロック位置に付勢する。第2上カバー31Bが閉位置に位置するとき、当接片22が接触片87の突出部分91に当接するため、ロック部材25がコイルバネ26の付勢力に抗して解除位置に位置する。第2上カバ-31Bが開位置に位置するとき、当接片22が接触片87の突出部分91から離間するため、ロック部材25がコイルバネ26の付勢力によってロック位置に位置する。
【0053】
[ロック部材25および回転部材80の動作]
図6に示されるように、ロック部材25は、ロック位置においてロック片86の延出方向が前後方向8に沿うように位置する。このとき、ロック片86は、解除位置から更に解除位置からロック位置に向かう支持片85を中心とする反時計回り方向への動きが規制されている。具体的には、ロック部材25がロック位置にあるとき、コイルバネ26が最大限に縮んだ状態となる。この状態において、時計回りD1に回転する回転部材80において前方且つ下方に向く第1当接面64が、ロック部材25において後方且つ上方に向く第2当接面90に対して当接する。このとき、第1当接面64は、ロック片86が解除位置からロック位置に向かう方向に第2当接面90に対して当接する。より具体的には、第2当接面90は、第1当接面64から前方且つ下方に向かって力を受ける。このため、モータ47の駆動力以外の外力がロック部材25に加わらない限り、第1当接面64が時計回りの回動が規制されて第2当接面90に対して外れることがない。ロック部材25は、ロック位置から解除位置に移動するときは、
図7に示されるように、接触片87が当接片22によって上方から押されてロック片86が支持片85を中心に時計回りに回動し、第1当接面64からの前方且つ下方に向かう力に抗して第2当接面90が第1当接面64から離間する。
【0054】
[プリンタ100の作用効果]
本実施形態におけるプリンタ100では、第2上カバー31Bを開けたときに回転部材80の回転を停止させることができるため、駆動力伝達部24の意図しない回転を防止できる。
【0055】
閉位置の第2上カバー31Bを開位置に回動させることで当接片22がロック部材25から離間する。このとき、ロック部材25が付勢力によってロック位置に移動するため、回転部材80の回転を機械的に停止させることができる。これにより、回転部材80に駆動力が加わっても回転しないようにできる。
【0056】
第2上カバー31Bの当接片22をロック部材25の回動と干渉することなく接触片87へ当接させることができる。また、先端が円弧形状の突出部分91に当接片22が当接するため、ロック部材25が円滑に回動する。
【0057】
回転部材80にモータ47の駆動力が加えられても、ロック位置に位置するロック片86が凸片63から外れない。このため、意図しないロック解除を防止できる。
【0058】
第2排出ギヤ78周辺においてスペースが確保できるためメンテナンスし易い。
【0059】
[変形例]
プリンタ100では、ロック部材25は左サブフレーム66の外方に位置している場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ロック部材25は、回転部材80とともに右サブフレーム67に位置してもよい。また、ロック部材25はサブフレーム66,67の内側に位置してもよい。さらには、ロック部材25は、回転部材80の回転を機械的に停止できるものであればよい趣旨であり、サブフレーム66,67以外の箇所、例えばサイドフレーム20,21に位置するものであってもよい。
【0060】
プリンタ100では、第2上カバー31Bの当接片22の移動に連動して、ロック部材25がコイルバネ26によってロック位置に移動する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ロック部材25のロック位置への移動は、使用者のレバー操作によって切り替えられてもよい。
【0061】
プリンタ100では、接触片87が、先端部分において当接片22に向かって円弧形状に突出する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。例えば、接触片87は、先端部分において円弧形状以外の突出部分91を有していてもよい。また、接触片87は、先端部分において突出部分91を有しなくてもよい。
【0062】
プリンタ100では、ロック部材25がロック位置にあるとき、回転部材80が時計回りD1に回転する一方で、第2当接面90が第1当接面64に当接することでロック部材25がロックされる場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。ロック部材25は、回転部材80の3つの凸片63同士の空間に嵌まるものであればよい趣旨である。例えば、ロック片は、ロック部25から凸片63同士の空間に向かって出退可能な機構を有しており、凸片63に向かって突出したロック位置において回転部材80の第1当接片64に当接してもよい。この場合、ロック片は、解除位置において第1当接片64から離間してロック部材25に退避する。
【0063】
プリンタ100では、第2上カバー31Bの左右方向9に延びる回動軸が、第2排出ギヤ78よりも搬送方向P1における上流に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。第2上カバー31Bの回動軸は、例えば、左右方向9に延びるものであって、搬送方向P1の下流に位置してもよい。また、第2上カバー31Bの回動軸は、前後方向8に延びるものであって、筐体30の前端或いは後端などに位置してもよい。
【符号の説明】
【0064】
10・・・搬送装置
22・・・当接片
24・・・駆動力伝達部
25・・・ロック部材
26・・・コイルバネ(弾性部材)
30・・・筐体
30A・・・内部空間
31・・・開口
31B・・・第2上カバー(カバー)
43・・・搬送路
47・・・モータ(駆動源)
60A・・・第2排出ローラ(排出ローラ)
63・・・凸片
66,67・・・サブフレーム(フレーム)
71・・・搬送部
78・・・第2排出ギヤ(排出ギヤ)
80・・・回転部材
86・・・ロック片
87・・・接触片
91・・・突出部分