IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特開-CPAP装置 図1
  • 特開-CPAP装置 図2
  • 特開-CPAP装置 図3
  • 特開-CPAP装置 図4
  • 特開-CPAP装置 図5
  • 特開-CPAP装置 図6
  • 特開-CPAP装置 図7
  • 特開-CPAP装置 図8
  • 特開-CPAP装置 図9
  • 特開-CPAP装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078904
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】CPAP装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 16/00 20060101AFI20240604BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61M16/00 305A
H05K7/20 G
H05K7/20 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191515
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山中 淑雄
(72)【発明者】
【氏名】白井 誠之
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 慎
(72)【発明者】
【氏名】新 耕華
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322BA01
5E322BA03
5E322BA04
5E322BA05
5E322BB03
5E322BB05
5E322BC02
(57)【要約】
【課題】センサの冷却効果を高めたCPAP装置を実現する。
【解決手段】
CPAP装置10は、筐体20、通気管50、送風機80、および、センサSを備える。筐体20は、第1開口281および第2開口291を有する。通気管50は、筐体20の内部に配置され、第1開口281に連通する吸気口OP51、および、排気口OP52を有する。センサSは、通気管50の内部空間を通る気体の温度または湿度を計側する。通気管50は、通気管50の壁から外方に突起する箱体52と、箱体52の内部に形成された壁53とを備える。壁53は、それぞれが通気管50の内部空間に連通する空間SP521、空間SP522、および、空間SP521と空間SP522とを連通する空間SP523を形成する形状で、箱体52に配置される。センサSは、箱体52の壁に配置されている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1開口および第2開口を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記第1開口に連通する吸気口、および、排気口を有する通気管と、
前記筐体の内部に配置され、前記排気口から流入した気体を前記第2開口に導く送風機と、
前記通気管の内部空間を通る気体の温度または湿度を計測するセンサと、
を備え、
前記通気管は、前記通気管の壁から外方に突起する凸部を有し、前記凸部の内部に形成された分流壁とを備え、
前記分流壁は、少なくとも一部が前記凸部の内部に位置し、前記凸部を形成する凸部形成壁と共に第1連通口と第2連通口とを形成し、前記第1連通口と前記第2連通口とが前記凸部の内部で連通可能となるよう配置され、 前記センサは、前記凸部形成壁に配置されている、
CPAP装置。
【請求項2】
前記分流壁は、前記通気管における主流路を形成する壁よりも内側の空間に突出する、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項3】
前記分流壁は、前記突出の方向に対して直交する両端において、前記凸部形成壁に接続する、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項4】
前記分流壁は平板面を有する板形状を有し、前記分流壁の平板面は、前記凸部が接続する位置での前記通気管の延びる方向に対して直交する、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項5】
前記分流壁は、前記通気管における前記排気口よりも前記吸気口に近い位置に配置される、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項6】
前記分流壁は、前記吸気口を正面視して、前記吸気口に重なっている、
請求項1または請求項5に記載のCPAP装置。
【請求項7】
前記分流壁は、前記吸気口を前記正面視して中心よりも前記排気口側の位置に配置される、
請求項6に記載のCPAP装置。
【請求項8】
前記凸部における前記センサが配置される凸部形成壁は、前記センサが実装される回路基板であり、
前記回路基板は、前記センサの周囲に溝を有する、
請求項1に記載のCPAP装置。
【請求項9】
前記通気管は、前記吸気口の開口面積より小さい開口面積の狭小部を有し、
前記分流壁は、前記狭小部よりも上流側に設ける、
請求項1に記載のCPAP装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度および湿度を制御した気体をユーザに供給するCPAP装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、加湿装置が記載されている。特許文献1の加湿装置は、プリント配線基板上に湿度センサを装着している。
【0003】
プリント配線基板は、凸形状部を有しており、温度センサは、凸形状部に装着されている。加湿装置の通風路は、凸形状部を囲むように形成されている。
【0004】
また、現在、温度および湿度を制御した気体をユーザに供給する装置として、CPAP(持続陽圧呼吸療法)装置が実用化されている。CPAP装置が送出した気体は、ユーザの口、鼻を通じて、呼吸器に直接供給される。このため、十分な温度および湿度管理が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-170762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の加湿装置では、温度または湿度を計測するセンサに当たる気流が小さい。このため、センサは、十分に冷却されず、温度や湿度の測定誤差は、大きくなることがあった。このため、特許文献1に記載の加湿装置の機構をそのままCPAP装置に適用しても、十分な温度および湿度管理を行えない。
【0007】
したがって、本発明の目的は、センサの冷却効果を高めたCPAP装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明のCPAP装置は、筐体、通気管、送風機、および、センサを備える。筐体は、第1開口および第2開口を有する。通気管は、筐体の内部に配置され、第1開口に連通する吸気口、および、排気口を有する。送風機は、筐体の内部に配置され、排気口から流入した気体を第2開口に導く。センサは、通気管の内部空間を通る気体の温度または湿度を計測する。
【0009】
通気管は、通気管の壁から外方に突起する凸部と、該凸部の内部に形成された分流壁とを備える。分流壁は、少なくとも一部が凸部の内部に位置し、凸部を形成する凸部形成壁と共に第1連通口と第2連通口とを形成し、第1連通口と第2連通口とが凸部の内部で連通可能となるよう配置される。センサは、凸部形成壁に配置されている。
【0010】
この構成では、通気管の主空間を流れる気体の一部は、凸部の内部を通じて、主空間に戻る。これにより、凸部を形成する壁に平行な気流が発生する。この気流によって、センサは冷却される。すなわち、CPAP装置は、CPAP装置としての機能に利用する気流の一部を分流して、センサの冷却に利用できる。
【発明の効果】
【0011】
この発明によれば、センサの冷却効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の外観斜視図である。
図2図2(A)は、本発明の実施形態に係るCPAP装置を平面図であり、図2(B)は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の第1側面図であり、図2(C)は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の第2側面図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る通気管の外観斜視図および概略的な気流を示す図である。
図4図4(A)は、本発明の実施形態に係る通気管を平面図であり、図4(B)は、本発明の実施形態に係る通気管の第1側面図であり、図4(C)は、本発明の実施形態に係る通気管の第2側面図である。
図5図5(A)は、本発明の実施形態に係る箱体の部分を拡大した平面図であり、図5(B)は、本発明の実施形態に係る箱体の部分を拡大した第1側面図であり、図5(C)は、本発明の実施形態に係る箱体の部分を拡大した第2側面図である。
図6図6は、本発明の実施形態に係る箱体の部分をさらに拡大した側面断面図である。
図7図7(A)、図7(B)は、本発明の実施形態に係るセンサの配置の他の態様の一例を示す拡大断面図である。
図8図8(A)、図8(B)は、本発明の実施形態に係る分流壁の他の態様の一例を示す拡大断面図である。
図9図9は、本発明の実施形態に係る箱体の配置の他の態様の一例を示す図である。
図10図10は、本発明の実施形態に係る箱体の他の態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態に係るCPAP装置について、図を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の外観斜視図である。図2(A)は、本発明の実施形態に係るCPAP装置を平面図であり、図2(B)は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の第1側面図であり、図2(C)は、本発明の実施形態に係るCPAP装置の第2側面図である。なお、本実施形態を含む各実施形態で示す平面、側面は、説明の便宜上に名付けているものであり、CPAP装置の使い方を限定するものではない。
【0014】
図1図2(A)、図2(B)、図2(C)に示すように、CPAP装置10は、筐体20、通気管50、回路基板522、送風機80、および、操作ボタン90を備える。
【0015】
筐体20は、略直方体形状であり、上壁201、下壁202、正壁203、背壁204、側壁205、および、側壁206を備える。上壁201と下壁202とは、互いに対向する。正壁203と背壁204とは互いに対向する。側壁205と側壁206とは、互いに対向する。
【0016】
正壁203、背壁204、側壁205、および、側壁206は、上壁201および下壁202の周部に接続している。これにより、筐体20は、正壁203、背壁204、側壁205、および、側壁206によって囲まれる筐体内部空間200を有する。
【0017】
正壁203は、第1開口281および第2開口291を有する。第1開口281および第2開口291は、正壁203を厚み方向に貫通している。これら第1開口281および第2開口291によって、筐体20の筐体内部空間200は、筐体20の外部空間に連通する。機能的には、第1開口281が、筐体20の吸気口であり、第2開口291が、筐体20の排気口である。
【0018】
正壁203には、排気路290が設置されている。排気路290は、正壁203の外面から突出する形状である。排気路290の中央の開口部が正壁203に形成された第2開口291に繋がり、この部分も第2開口291として機能する。
【0019】
エアフィルタ40は、第1開口281を正面視して第1開口281に重なる位置で、筐体20に配置される。
【0020】
フィルタカバー30は、第1開口281を正面視してエアフィルタ40が配置された第1開口281に重なる位置で、筐体20の正壁203に設置される。フィルタカバー30は、複数柱によるスリットを備えており、複数のスリットによって通気可能である。フィルタカバー30の一部(複数の柱の突起部と枠体)がエアフィルタ40に当接することで、エアフィルタ40は、筐体20に保持される。
【0021】
通気管50、回路基板522、および、送風機80は、筐体20の内部(筐体内部空間200)に配置される。
【0022】
通気管50は筒状であり、筒状の一方の開口端は吸気口OP51であり、筒状の他方の開口端は排気口OP52である。通気管50の吸気口OP51は、筐体20の第1開口281に連通する。通気管50の排気口OP52は、筐体内部空間200における送風機80の近傍に配置される。なお、通気管50の具体的な形状は後述する。
【0023】
回路基板522は、筐体内部空間200における上壁201の近傍に配置される。この際、回路基板522の主平面と上壁201の筐体内部空間200側の面とは略平行である。回路基板522には、センサS(図3図4等参照)が実装されている。また、回路基板522は、送風機のモータに電気的に接続し、操作ボタン90に接続する。回路基板522は、操作ボタン90への操作を検出し、この検出結果によって送風機80の駆動、停止を制御する。
【0024】
送風機80は、例えば、モータとフィンとによって構成される。送風機80は、フィンを回転させることで送風し、フィンの回転数を制御することで、風量を調整する。
【0025】
送風機80が駆動されると、第1開口281を通じて筐体20の内部に気体が吸入される。第1開口281と吸気口OP51が連通しているので、第1開口281から吸入された気体は、吸気口OP51から通気管50に流入する。通気管50を通った気体は、排気口OP52から筐体内部空間200に流入する。送風機80は、この気体を第2開口291へと導き、第2開口291から筐体20の外部の送出する。
【0026】
これにより、CPAP装置10は、所望の流量(圧力)で、気体をユーザに供給できる。
【0027】
(通気管50)
図3は、本発明の実施形態に係る通気管の外観斜視図および概略的な気流を示す図である。図4(A)は、本発明の実施形態に係る通気管を平面図であり、図4(B)は、本発明の実施形態に係る通気管の第1側面図であり、図4(C)は、本発明の実施形態に係る通気管の第2側面図である。
【0028】
図3図4(A)、図4(B)、図4(C)に示すように、通気管50は、第1管状体511、第2管状体512、第3管状体513、第4管状体514、箱体52、および、壁53を備える。壁53が本発明の分流壁に対応する。
【0029】
第1管状体511は、長手方向を有する筒状である。第1管状体511は、壁5111、壁5112、壁5113、壁5114、壁5115を備える。壁5111、壁5112、壁5113、および、壁5114は、第1管状体511の長手方向に平行であり、壁5115は、第1管状体511の長手方向に直交する。壁5111と壁5112とが対向し、壁5113と壁5114とが対向する。壁5111および壁5112は、壁5113および壁5114に接続する。壁5115は、壁5111、壁5112、壁5113および壁5114の長手方向の一方端に接続する。これにより、第1管状体511は、第1内部空間SP511を有する。
【0030】
第2管状体512は、長手方向を有する筒状の壁5120を備える。第2管状体512の長手方向は、第1管状体511の長手方向に略直交する。第2管状体512は、壁5120によって囲まれる第2内部空間SP512を有する。
【0031】
第3管状体513は、平面視において湾曲する筒状の壁5130を備える。第3管状体513は、壁5130によって囲まれる第3内部空間SP513を有する。第3管状体513は、第1管状体511および第2管状体512に接続する。これにより、第3管状体513は、第1内部空間SP511と第2内部空間SP512とに連通する。
【0032】
第4管状体514は、筒状の壁5140を備え、壁5140によって囲まれる第4内部空間SP514を有する。第4管状体514の壁5140は、第1管状体511の壁5111に接続する。第1管状体511における第4管状体514が接続する部分には、開口が設けられている。これにより、第4内部空間SP514は、第1内部空間SP511に連通する。
【0033】
このような構成により、通気管50は、第4管状体514、第1管状体511、第3管状体513、第2管状体512の順に接続される構造を有し、通気管50の内部空間は、第4管状体514側の端と、第2管状体512側の端によって、通気管50の外部に連通する。第1内部空間SP511、第2内部空間SP512、第3内部空間SP513、および、第4内部空間SP514からなる空間が、本発明の通気管の主空間に対応する。
【0034】
通気管50における第4管状体514側の開口は、通気管50の吸気口OP51である。通気管50における第2管状体512側の開口は、通気管50の排気口OP52である。すなわち、筐体20に流入された気体は、吸気口OP51を通じて通気管50に流入され、第4管状体514の第4内部空間SP514、第1管状体511の第1内部空間SP511、第3管状体513の第3内部空間SP513、第2管状体512の第2内部空間SP512を通り、排気口OP52から送出される。
【0035】
(箱体52および壁53)
図5(A)は、本発明の実施形態に係る箱体の部分を拡大した平面図であり、図5(B)は、本発明の実施形態に係る箱体の部分を拡大した第1側面図であり、図5(C)は、本発明の実施形態に係る箱体の部分を拡大した第2側面図である。図6は、本発明の実施形態に係る箱体の部分をさらに拡大した側面断面図である。図6は、図5(C)と同じ視線の図である。
【0036】
箱体52は、筒体521と回路基板522とを備える。筒体521は、第1管状体511の壁5113から通気管50の外部に突起する形状である。箱体52が、本発明の凸部に対応する。
【0037】
筒体521は、壁5211、壁5212、壁5213、および、壁5214を備える。壁5211、壁5212、壁5213、壁5214、回路基板522が、本発明の凸部形成壁に対応する。壁5211と壁5212とが対向し、壁5213と壁5214とが対向する。壁5211および壁5212は、壁5213および壁5214に接続する。壁5211は、第1管状体511の壁5111に平行であり、壁5111に接続する。壁5212は、第1管状体511の壁5112に平行であり、壁5112に接続する。壁5113および壁5114は、第1管状体511の壁5111および壁5112に直交している。壁5113は、壁5114よりも第1管状体511の壁5115側に配置される。
【0038】
筒体521の一方開口は、第1管状体511の第1内部空間SP511に連通する。筒体521の他方開口は、回路基板522によって塞がれている。すなわち、箱体52は、筒体521と回路基板522の一部とによって形成され、筒体521および回路基板522によって囲まれる内部空間SP520を有する。回路基板522における内部空間SP520側の面には、センサSには実装されている。
【0039】
壁53は、箱体52の内部空間SP520(副空間)に配置される。より具体的には、壁53は、平板である。壁53は、平板面が筒体521の壁5213および壁5214と平行になるように配置される。
【0040】
壁53の幅方向の一方端は、壁5211に接続する。壁53の幅方向の他方端は、壁5212に接続する。なお、壁53の幅方向は、壁5213および壁5214に平行な方向であり、第1管状体511の延びる方向(長手方向)に直交する方向であり、後述する壁53が第1内部空間SP511に突出する方向に対して直交する方向である。
【0041】
壁53の高さ方向の一方端(上端)は、内部空間SP520内にあり、回路基板522から離間した位置にある。この構成によって、内部空間SP520は、壁53と壁5213との間の空間SP521(第1副空間)、壁53と壁5214との間の空間SP522(第2副空間)、壁53と回路基板522との間の空間SP523(第3副空間)によって構成される。空間SP521と空間SP522とは、空間SP523を通じて連通する。
【0042】
壁53の高さ方向の他方端(下端)は、第1管状体511の第1内部空間SP511に、高さH1で突出する。さらに、壁53の高さ方向の他方端(下端)は、吸気口OP51に直交する方向に視て(正面視して)、吸気口OP51の領域に重なり、吸気口OP51に対して高さH2で突出する。
【0043】
(通気管50での気流)
図3図6の太線矢印に示すように、通気管50では、CPAP装置10の機能として主に利用される主流FLmは、吸気口OP51から流入し、第4内部空間SP514、第1内部空間SP511、第3内部空間SP513、第2内部空間SP512を順に通じて、排気口OP52から流出する。この主流FLmが流れる流路が、主流路に対応する。
【0044】
この際、図6に示すように、壁53が第1内部空間SP511に突出していることで、主流FLmの一部が壁53によって遮られ、副流FLsが生じる。副流FLsは、箱体52の内部空間SP520を通り、第1内部空間SP511に戻る。より具体的には、副流FLsは、空間SP521、空間SP523、空間SP522を順に流れて、第1内部空間SP511に戻る。第1管状体511、箱体52の壁5213、および、壁53によって形成された第1内部空間SP511と内部空間SP521が連通する部分が、本発明の第1連通口に対応する。第1管状体511、箱体52の壁5214、および、壁53によって形成された第1内部空間SP511と内部空間SP522が連通する部分が、本発明の第2連通口に対応する。
【0045】
これにより、副流FLsは、回路基板522の近傍で、センサSの実装面に沿って流れる。したがって、センサSは、副流FLsによって効果的に冷却される。
【0046】
このようにセンサSが冷却されることで、センサSは、気流の温度または湿度を精度良く計測できる。特に、CPAP装置10では、送風機80が大きく発熱するため、回路基板522の温度が上昇し易い。したがって、センサSは、この回路基板522の温度上昇の影響を受け易い。しかしながら、上記構成を備えることで、CPAP装置10は、センサSを効果的に冷却でき、気流の温度または湿度を精度良く計測できる。
【0047】
また、CPAP装置10では、壁53が第1管状体511の第1内部空間SP511に対して、高さH1で突出している。これにより、CPAP装置10は、箱体52に流入させる副流FLsを、より確実に発生させることができる。
【0048】
また、高さH1を適宜設定することで、副流FLsの流量、流速を調整できる。したがって、CPAP装置10は、主流FLmへの影響を適宜抑制しながら、所望の流量および流速の副流FLsを発生し、センサSを冷却できる。
【0049】
また、壁53は、第1管状体511の長手方向の直交する平板面を有する。これにより、CPAP装置10は、箱体52に流入する副流FLsをより効率的に発生できる。
【0050】
また、壁53は、幅方向の両端が箱体52の壁に接続する。これにより、箱体52に流入した副流FLsは、全てセンサSの位置まで導かれる。したがって、CPAP装置10は、センサSに対して効率的に副流FLsを供給でき、センサSをより効果的に冷却できる。
【0051】
また、壁53は、吸気口OP51の内側に、高さH2で突出する。これにより、CPAP装置10は、吸気口OP51から流入した気体を箱体52の内部空間SP520に、より確実に流入させることができる。この際、高さH2を調整することで、副流FLsの流量、流速を調整できる。したがって、CPAP装置10は、主流FLmへの影響を適宜抑制しながら、所望の流量および流速の副流FLsを発生し、センサSを冷却できる。
【0052】
また、壁53は、上述のように吸気口OP51の近傍に配置される。すなわち、壁53は、排気口OP52よりも吸気口OP51に近い位置に配置される。ここで、吸気口OP51の開口面積は、排気口OP52の開口面積よりも大きい。したがって、通気管50において、吸気口OP51での気流は、排気口OP52での気流よりも遅い。これにより、副流FLsの流速は遅くなる。この結果、CPAP装置10は、副流FLsによる騒音やや圧損を低減できる。
【0053】
また、気体の流路における第3管状体513(第3内部空間SP513)以降は開口面積が小さくなり(通気管の狭小部)、流速も速くなる。箱体52および壁53を第3内部空間SP513よりも上流に配置すると、開口面積は大きいため、流速は遅くなる。したがって、CPAP装置10は、騒音や圧損を低減できる。
【0054】
また、第2内部空間SP512、第3内部空間SP513の形状により、吸入直後の気体と送風機80が収まっている空間とで差圧が発生し、気体の流量が測定できる。かつ、送風機80の騒音は、吸気口OP51から筐体の20外部に出づらくなり、CPAP装置10は、筐体20の外部に出る騒音を低減できる。
【0055】
また、センサSが吸気口OP51に近いほど、周囲環境の気体そのものを測定できるため、CPAP装置10は、気体の温度を精度良く測定できる。
【0056】
また、送風機80が収められる筐体20の内部空間と通気管50とは、壁5112等により区画されている。ここで、気体の流路における第3内部空間SP513以降は開口面積を小さくし、圧損を発生させることで、送風機80が収められる筐体20の内部空間と通気管50との圧力差が生まれている。CPAP装置10は、図2(A)に示すように、差圧センサ60を備える。差圧センサ60は、送風機80が収められる筐体20の内部空間と通気管50との圧力差を計測する。それにより、CPAP装置10は、呼気、吸気の判断や、流量の測定が可能になる。このような差圧センサ60を備える場合には、開口面積が小さく流速の大きい箇所が発生するが、上述の位置にセンサSを配置することで、CPAP装置10は、センサSを最適な位置に配置できる。
【0057】
また、壁53は、第1管状体511における第2管状体512への接続端に近い位置、言い換えれば、気体の流路において排気口OP52に近い側の位置に配置される。これにより、CPAP装置10は、副流FLsの流速を或程度の大きさにできる。したがって、CPAP装置10は、センサSの冷却不足を抑制できる。
【0058】
また、CPAP装置10は、略直方体形状の箱体52に副流FLsを流入し、センサSを冷却する。これにより、CPAP装置10は、センサSの冷却機構を簡素な構成で実現できる。また、CPAP装置10は、センサSの冷却機構を小型に実現できる。この結果、CPAP装置10の設計自由度は向上する。
【0059】
なお、壁53の平板面は、壁5213および壁5214に対して平行であることに限らない。例えば、壁53は、壁5211および壁5212に対して平行にすることも可能であり、壁53は、箱体52を平面視した対角線に対して平行にすることも可能である。ただし、壁53の平板面が壁5213および壁5214に対して平行であることで、CPAP装置10は、副流FLsをより効率的に発生させることができる。
【0060】
また、上述の実施形態では、CPAP装置10の通気管50の断面(流路に直交する断面)が矩形であるが、これに限るものではない。
【0061】
(センサSの配置の他の態様)
図7(A)、図7(B)は、本発明の実施形態に係るセンサの配置の他の態様の一例を示す拡大断面図である。図7(A)、図7(B)に示すように、通気管50Aおよび通気管50Bは、上述の通気管50に対してセンサの配置態様において異なる。通気管50Aおよび通気管50Bの他の構成は通気管50と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0062】
図7(A)の例では、箱体52Aは、上述の箱体52との相違点として、壁522Aを備え、回路基板5213Aを備える。回路基板5213Aは、壁53の平板面に平行であり、第1管状体511における第3管状体513への接続側と反対側に配置される。センサSは、回路基板5213Aにおける壁53側(空間SP521)に配置される。
【0063】
図7(B)の例では、箱体52Bは、上述の箱体52との相違点として、壁522Bを備え、回路基板5214Bを備える。回路基板5214Bは、壁53の平板面に平行であり、第1管状体511における第3管状体513への接続側に配置される。センサSは、回路基板5214Bにおける壁53側(空間SP522)に配置される。
【0064】
このような構成によって、CPAP装置は、センサSを冷却できる。
【0065】
(分流壁の他の態様)
図8(A)、図8(B)は、本発明の実施形態に係る分流壁の他の態様の一例を示す拡大断面図である。図8(A)、図8(B)に示すように、通気管50Cおよび通気管50Dは、上述の通気管50に対して分流壁の形状において異なる。通気管50Cおよび通気管50Dの他の構成は通気管50と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0066】
図8(A)の例では、壁53Cは、略全体として同じ厚みでありながら、第1管状体511の第1内部空間SP511に突出する下端部において、壁53Cの下端に近づくにつれて厚みが大きくなる形状である。
【0067】
図8(B)の例では、壁53Dは、回路基板522に近接する上端から第1管状体511の第1内部空間SP511に突出する下端に向かって、徐々に厚みが大きくなる形状である。
【0068】
これらの構成によって、CPAP装置は、副流FLsをより確実に発生でき、センサSを冷却できる。
【0069】
(箱体の配置の他の態様)
図9は、本発明の実施形態に係る箱体の配置の他の態様の一例を示す図である。図9に示すように、通気管50Eは、上述の通気管50に対して、箱体52の配置態様において異なる。通気管50Eの他の構成は通気管50と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0070】
通気管50Eは、箱体52が壁5112に接続されている。壁53の平板面は、第1管状体511の長手方向に直交する。
【0071】
この構成によって、通気管50Eを備えるCPAP装置は、副流FLsを発生でき、センサSを冷却できる。
【0072】
なお、箱体52は、壁5114に接続されていてもよい。また、箱体52は、壁5111に接続されていてもよい。箱体52が壁5111に接続される場合、箱体52は、第1管状体511における第4管状体514が接続する部分よりも第3管状体513側の位置に接続される。
【0073】
さらには、箱体52は、第3管状体513または第2管状体512に接続されていてもよい。ただし、上述のように、通気管における気流の上流ほど、副流FLsによるセンサSの冷却効果が得やすいので、箱体52は、第1管状体511に接続されることが好ましい。
【0074】
(センサ周りの切欠き)
図10は、本発明の実施形態に係る箱体の他の態様の一例を示す図である。図10に示すように、通気管50Fは、上述の通気管50に対して、箱体52を構成する回路基板522において異なる。通気管50Fの他の構成は通気管50と同様であり、同様の箇所の説明は省略する。
【0075】
回路基板522は、センサSの実装位置の周囲に、溝SLを有する。溝SLは、回路基板522を厚み方向に貫通する。なお、溝SLは、回路基板522を厚み方向に貫通していなくてもよく、適宜深さを有していればよい。ただし、溝SLは、回路基板522を厚み方向に貫通することが好ましい。
【0076】
このような構成によって、センサSは、回路基板522の溝SLよりも外方からの熱を受け難い。これにより、センサSの不所望な温度上昇を抑制できる。
【0077】
なお、溝SLの幅は、熱の遮断性、副流FLsに対する流路抵抗に基づいて決定される。すなわち、溝SLは、副流FLsに対して流路抵抗が高いことが好ましい。これにより、通気管50Fは、副流FLsの溝SLへの流れ込みを抑制できる。
【0078】
(1) 第1開口および第2開口を有する筐体と、
前記筐体の内部に配置され、前記第1開口に連通する吸気口、および、排気口を有する通気管と、
前記筐体の内部に配置され、前記排気口から流入した気体を前記第2開口に導く送風機と、
前記通気管の内部空間を通る気体の温度または湿度を計測するセンサと、
を備え、
前記通気管は、前記通気管の壁から外方に突起する凸部を有し、前記凸部の内部に形成された分流壁とを備え、
前記分流壁は、少なくとも一部が前記凸部の内部に位置し、前記凸部を形成する凸部形成壁と共に第1連通口と第2連通口とを形成し、前記第1連通口と前記第2連通口とが前記凸部の内部で連通可能となるよう配置され、 前記センサは、前記凸部形成壁に配置されている、CPAP装置。
【0079】
(2) 前記分流壁は、前記通気管における主流路を形成する壁よりも内側の空間に突出する、(1)のCPAP装置。
【0080】
(3) 前記分流壁は、前記突出の方向に対して直交する両端において、前記凸部形成壁に接続する、(1)または(2)のCPAP装置。
【0081】
(4) 前記分流壁は平板面を有する板形状を有し、前記分流壁の平板面は、前記凸部が接続する位置での前記通気管の延びる方向に対して直交する、(1)乃至(3)のいずれかのCPAP装置。
【0082】
(5) 前記分流壁は、前記通気管における前記排気口よりも前記吸気口に近い位置に配置される、(1)乃至(4)のいずれかのCPAP装置。
【0083】
(6) 前記分流壁は、前記吸気口を正面視して、前記吸気口に重なっている、(1)乃至(5)のいずれかのCPAP装置。
【0084】
(7) 前記分流壁は、前記吸気口を前記正面視して中心よりも前記排気口側の位置に配置される、(6)のCPAP装置。
【0085】
(8) 前記凸部における前記センサが配置される凸部形成壁は、前記センサが実装される回路基板であり、
前記回路基板は、前記センサの周囲に溝を有する、(1)乃至(7)のいずれかのCPAP装置。
【0086】
(9) 前記通気管は、前記吸気口の開口面積より小さい開口面積の狭小部を有し、
前記分流壁は、前記狭小部よりも上流側に設ける、(1)乃至(8)のいずれかのCPAP装置。
【符号の説明】
【0087】
10:CPAP装置
20:筐体
30:フィルタカバー
40:エアフィルタ
50、50A、50B、50C、50D、50E、50F:通気管
52、52A、52B:箱体
53、53C、53D:壁
60:差圧センサ
80:送風機
90:操作ボタン
200:筐体内部空間
201:上壁
202:下壁
203:正壁
204:背壁
205、206:側壁
281:第1開口
290:排気路
291:第2開口
511:第1管状体
512:第2管状体
513:第3管状体
514:第4管状体
521:筒体
522、5213A、5214B:回路基板
5111、5112、5113、5114、5115、5120、5130、5140、5211、5212、5213、5214、522A、522B:壁
FLm:主流
FLs:副流
H1:高さ
H2:高さ
OP51:吸気口
OP52:排気口
S:センサ
SL:溝
SP511:第1内部空間
SP512:第2内部空間
SP513:第3内部空間
SP514:第4内部空間
SP520:内部空間
SP521、SP522、SP523:空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10