IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公立大学法人公立諏訪東京理科大学の特許一覧

<>
  • 特開-危険方向教示ディバイス 図1
  • 特開-危険方向教示ディバイス 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078905
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】危険方向教示ディバイス
(51)【国際特許分類】
   A61F 11/04 20060101AFI20240604BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20240604BHJP
   H04R 25/00 20060101ALI20240604BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
A61F11/04
H04R3/00 310
H04R3/00 320
H04R25/00 Z
G09B21/00 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191518
(22)【出願日】2022-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 一般社団法人電気学会、2022年電気学会電子・情報・システム部門大会講演集、479頁から484頁、令和4年8月29日
(71)【出願人】
【識別番号】518212241
【氏名又は名称】公立大学法人公立諏訪東京理科大学
(72)【発明者】
【氏名】橋元 伸晃
(72)【発明者】
【氏名】田中 駿佑
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220AA34
5D220BA30
(57)【要約】
【課題】一側性難聴者は聴力が片側に限定されるため、音源定位が困難である。一側性難聴者は、日常生活において危険が迫っている場合、危険音の方向認識ができず、危険感知が遅れてしまう可能性がある。本発明により危険音の方向を皮膚に知らせることで、一側性難聴者の定位認識のサポートを提供する。
【解決手段】危険音の判断手段と、指向性音源収集手段、皮膚刺激手段からなる危険方向教示ディバイスである。
危険音の判断手段で、特定の危険音を認識した場合、前記指向性音源収集手段と、前記皮膚刺激手段が起動する。前記指向性音源収集手段で前記特定の危険音の危険方向を含む情報を収集し、前記皮膚刺激手段で、収集された危険方向を装着者の体に伝達する。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
危険音の判断手段と、指向性音源収集手段、皮膚刺激伝達手段から構成される危険方向教示ディバイス
【請求項2】
前記危険音判断手段は、特定の危険音を学習させた人工知能で危険音を判断することを特徴とする前記請求項1記載の危険方向教示ディバイス。
【請求項3】
前記記載の指向性音源収集手段は、指向性をもつマイクで構成された請求項1から請求項2記載の危険方向教示ディバイス。
【請求項4】
前記皮膚刺激伝達手段は、前記指向性音源収集手段で収集した信号を増幅する増幅器と、増幅された信号を皮膚への刺激とする電極で構成される請求項1から請求項3記載の危険方向教示ディバイス。
【請求項5】
前記皮膚刺激伝達手段は、危険音を増幅する増幅器と増幅された信号を機械的な振動に変換するディバイスと、機械的な振動をするアクチュエータで構成される請求項1から請求項3記載の危険方向教示ディバイス。
【請求項6】
前記危険方向教示ディバイスは、複数の指向性音源収集手段と、危険方向と同方向の皮膚を刺激する刺激伝達手段を指向性音源収集手段と同数個搭載することを特徴とする請求項1から請求項5記載の危険方向教示ディバイス。
【請求項7】
前記危険方向教示ディバイスは、前記電極又は前記機械的な振動をするアクチュエータを頭部周囲や首周囲に取り付けることを特徴とする請求項1から請求項6の危険方向教示ディバイス。








【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一側性難聴者の危険方向を皮膚に伝達するために使用される危険方向教示ディバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一側性難聴者が聴覚を補助するために用いる補聴器の1つで、難聴耳側にマイクを備え、このマイクで捉えた音声信号を良耳側に送り両耳で音声を聴く方式を採用している先行技術文献に示されるようなクロス型補聴器が知られていた。
【0003】
しかしながら、 一側性難聴者は聴力が片側に限定されるため、両耳時間差や強度差が利用できないため、音源定位が困難であり、クロス型補聴器では音源の定位情報を含んでおらず、音源定位は改善されていない。一側性難聴者は、日常生活の危険が迫っている場合においては危険音の方向認識ができず、危険感知が遅れてしまうという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8-307997公報
【特許文献2】特開2010-154432公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】「一側性難聴者に対するCROS補聴器の装用による音源定位」,立入哉,鶴旨由子,2021年,Audiology Japan,No.64,pp.322~327.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上のような従来の課題に鑑み、一側性難聴者に定位情報を持たせたディバイスによって危険方向を伝達する危険方向教示ディバイスを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の危険方向教示ディバイスは、危険音の判断手段と、指向性音源収集手段と、皮膚刺激伝達手段と、から構成されている。従って、危険音の判断手段で危険音の検知を行い、危険音が検知されると、指向性音源収集手段によって、危険方向の情報を収集し、皮膚刺激伝達手段によって、危険方向を体中の皮膚触覚に伝達することができるという効果を有する。
【0008】
(2) 本発明の危険方向教示ディバイスの危険音の判断手法は、特定の危険音を学習させた人工知能によって危険音を判断する構成としている。そのため、前記危険方向教示ディバイスの装着者の周囲の音の観測をし続け、特定の危険音の検知を自動的に行うことができるという効果を有する。
【0009】
(3) 本発明の危険方向教示ディバイスの指向性音源収集手段は、4つ以上の単一指向性マイクを、体の水平方向の周囲に均等に配置し、前記危険音の判断手法によって、危険音を検知した場合に動作する構成としている。前記危険音の判断手法によって危険音を検知した場合、水平方向に複数個設置された、指向性マイクのうち、危険方向に配置されているマイクのみが危険音を収集し、その方向の皮膚刺激で脳に伝達されるため、危険方向の情報を収集することができるという効果を有する。
【0010】
(4) 本発明の危険方向教示ディバイスの皮膚刺激伝達手段は、危険音を増幅する増幅器と、増幅された信号を皮膚への刺激とする電極で構成されている。そのため、指向性音源収集手段によって収集された危険音信号を増幅器によって信号を増幅し、増幅された信号をJISの安全規格内の電流で電気刺激として、皮膚へ伝達するという効果を有する。
【0011】
(5)あるいは、前記皮膚刺激伝達手段は、危険音を増幅する増幅器と、増幅された信号を皮膚への機械的な振動に変換するディバイスと、機械的な振動をするアクチュエータによって構成されることを特徴とする。そのため、指向性音源収集手段によって収集された危険音信号を増幅器によって信号を増幅し、機械的な振動に変換するディバイスに送信され、機械的な振動を動作させ、皮膚へ伝達するという効果を有する。
【0012】
(6)本発明の危険方向教示ディバイスの電極や信号を機械的な振動に変換するディバイスは、前記指向性音源収集手段の指向性マイクと同数で同方向に配置され、危険方向教示ディバイスの装着者の頭部周囲や首周囲に取り付ける構成としている。指向性音源収集手段によって収集した危険方向情報を、収集した指向性マイクと同じ方向に取り付けられた電極、あるいは信号を機械的な振動に変換するアクチュエータによって頭部や首周囲に刺激を与えことで、より正確に危険方向を装着者に教示できるという効果を有する。
【0013】
(7)皮膚刺激伝達手段の電極や機械的な振動に変換するアクチュエータは、頭部の周囲や首の周囲に取り付けられ、頭部の周りの皮膚を刺激する構成とした。これによってより正確に、危険音の方向認識がおこなえるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態に係る危険方向教示ディバイスの概略構成を示す
図2】危険方向教示ディバイス構成装置の動作手順のフローチャートを示す
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0016】
図1に本発明の実施形態にかかわる危険方向教示ディバイスの概略攻勢を示す。図1は危険音判断装置1と指向性音源収集手段2、皮膚刺激手段3、電極または機械振動装置4で構成されている。また図1は実施例として危険方向教示ディバイスをヘッドギアに搭載することで、常時着用できる構成とし、危険音判断装置1は1つ、指向性収集手段2と皮膚刺激手段3と電極または機械振動装置4は4つ以上搭載されている。
【0017】
図1の危険音判断手段1は、ヘッドギアの頭頂部に取り付けられている。特定の危険音を学習させた人工知能によって危険音を判断し、装着者の周囲の音を聴取し続ける。危険音判断手段の人工知能が危険音を検知したとき、自動的に指向性収集手段と皮膚刺激手段が動作する。
【0018】
図1の指向性音源収集手段2は、4つ以上の指向性マイクをヘッドギアの水平方向の周囲に均等に配置し、設置された指向性マイクで危険方向の情報を収集し皮膚刺激手段3に信号を送信する。
【0019】
図1の皮膚刺激伝達手段3は、危険音を増幅する増幅器と、増幅された信号を皮膚への刺激とする電極によって構成されている。皮膚刺激伝達手段はヘッドギアに4つ以上搭載されている。指向性音源収集手段から受信した信号を増幅器で信号増幅し、危険方向に取り付けられた電極が皮膚を刺激することで、危険方向を認識する。
【0020】
図1の皮膚刺激伝達手段3は、電極以外に信号を機械的な振動に変換するアクチュエータによる皮膚へ刺激を用いた構成も作成した。皮膚刺激伝達手段はヘッドギアに4つ以上搭載されている。指向性音源収集手段から受信した信号を増幅器で信号増幅し、増幅された信号をA/DコンバータによってON,OFFの信号に変換し,機械的な振動を行うアクチュエータによって、皮膚を刺激する。これによって危険方向を認識する。
【0021】
図1の指向性音源収集手段2と皮膚刺激伝達手段3は、同数個、ヘッドギア上にそれぞれ等間隔に配置され、指向性音源収集手段の指向性マイクが収集した危険方向情報を、その指向性マイクと同じ方向の頭部周囲に取り付けられた皮膚刺激伝達手段のアクチュエータによって、皮膚の刺激を行う。これによって、装着者により正確な危険音の方向教示を行う。
【0022】
図2に危険方向教示ディバイス構成装置の動作手順をフローチャートに示す。図2は、危険音教示ディバイスを装着している間、危険音判断装置1で音を観測し続け、学習させた特定の危険音を観測すると、指向性収集手段2が起動する。指向性収集手段2では、ヘッドギアの水平方向の周囲に複数の指向性マイクを等間隔で設置しており、この複数個設置された指向性マイクによって、危険方向情報を収集する。皮膚刺激手段3では、指向性収集手段2で収集された危険方向情報の信号を増幅する増幅器と増幅された信号を電極の電気刺激あるいは機械的な振動に変換するディバイス4の機械的な振動によって、危険音の方向を皮膚へ伝達する。
【符号の説明】
【0023】
1 危険音判断装置
2 指向性音源収集手段
3 皮膚刺激装置
4 電極あるいは機械的な振動に変換するアクチュエータ
















図1
図2