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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024078906
(43)【公開日】2024-06-11
(54)【発明の名称】半導体装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/28 20060101AFI20240604BHJP
   H10B 43/27 20230101ALI20240604BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20240604BHJP
   H01L 21/285 20060101ALI20240604BHJP
【FI】
H01L21/28 301R
H10B43/27
H01L29/78 371
H01L21/88 M
H01L21/88 B
H01L21/285 C
H01L21/285 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022191519
(22)【出願日】2022-11-30
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】別府 貴幸
(72)【発明者】
【氏名】田原 寛子
(72)【発明者】
【氏名】北村 政幸
(72)【発明者】
【氏名】豊田 啓
(72)【発明者】
【氏名】大鳥 博之
【テーマコード(参考)】
4M104
5F033
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
4M104AA01
4M104BB16
4M104BB18
4M104BB30
4M104CC05
4M104DD43
4M104DD45
4M104EE02
4M104EE14
4M104EE16
4M104FF18
4M104GG16
4M104HH12
4M104HH16
5F033HH19
5F033HH20
5F033HH33
5F033JJ20
5F033JJ33
5F033MM13
5F033NN06
5F033NN07
5F033NN13
5F033PP06
5F033RR03
5F033RR04
5F033TT06
5F033VV16
5F033WW02
5F033WW03
5F033WW04
5F033XX01
5F033XX10
5F083EP18
5F083EP23
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP76
5F083GA10
5F083GA25
5F083GA27
5F083JA04
5F083JA19
5F083JA36
5F083JA39
5F083JA40
5F083JA56
5F083KA01
5F083MA06
5F083MA16
5F083MA19
5F083PR21
5F083ZA01
5F101BA45
5F101BB05
5F101BD16
5F101BD22
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH02
5F101BH21
(57)【要約】
【課題】金属元素を含む複数の層を好適に形成することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【解決手段】一の実施形態によれば、半導体装置は、金属元素を含む第1層を備える。前記装置はさらに、前記第1層に接しており、シリコンおよび酸素を含む第1絶縁膜を備える。前記装置はさらに、前記第1絶縁膜に接しており、モリブデンまたはタングステンを含む第2層を備える。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属元素を含む第1層と、
前記第1層に接しており、シリコンおよび酸素を含む第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に接しており、モリブデンまたはタングステンを含む第2層と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
前記第1層は、前記金属元素としてアルミニウムを含む絶縁膜であるか、または、前記金属元素としてチタンを含む導体層である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
基板と、
前記基板上に交互に設けられた複数の電極層および複数の絶縁膜とをさらに備え、
前記複数の電極層のうちの少なくとも1つの電極層は、前記第2層を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の電極層のうちの前記少なくとも1つの電極層は、前記第1層と前記第1絶縁膜とをさらに含む、請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
基板と、
前記基板上に設けられたプラグとをさらに備え、
前記プラグは、前記第2層を含む、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記プラグは、前記第1層と前記第1絶縁膜とをさらに含む、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜は、SiO膜である(Siはシリコンを表し、Oは酸素を表し、xは0<x<2を満たす実数である)、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1絶縁膜内の酸素原子の濃度は、5.0×1021~5.0×1023atoms/cmである、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記第1絶縁膜の膜厚は、7nm以下である、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
基板と、
前記基板上に設けられた第1配線層とを備え、
前記第1配線層は、
第1金属元素を含む第1層と、
前記第1層に接しており、シリコンおよび酸素を含む第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜に接しており、第2金属元素を含む第2層とを含む、
半導体装置。
【請求項11】
前記第2金属元素は、前記第1金属元素と異なる、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第2金属元素は、モリブデンまたはタングステンである、請求項10に記載の半導体装置。
【請求項13】
金属元素を含む第1層を形成し、
前記第1層に接し、シリコンを含む第1膜を形成し、
前記第1膜を、前記第1層に接し、シリコンおよび酸素を含む第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜に接し、モリブデンまたはタングステンを含む第2膜とに変化させ、
前記第2膜に接し、モリブデンまたはタングステンを含む第3膜を形成して、前記第2膜と前記第3膜とを含む第2層を形成する、
ことを含む半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1膜は、アモルファス膜である、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記第1膜の膜厚は、7nm以下である、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
モリブデンまたはタングステンを含む第1ガスを用いて、前記第1膜を前記第1絶縁膜と前記第2膜とに変化させる、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1ガスは、モリブデンまたはタングステンと、酸素とを含む、請求項16に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1ガスは、MoOClガス、MoOClガス、WOClガス、またはWOClガスを含む(Moはモリブデン、Wはタングステン、Oは酸素、Clは塩素を表す)、請求項17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記第1膜を、600℃以下で、前記第1絶縁膜と、モリブデンを含む前記第2膜とに変化させる、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1膜を、400~500℃で、前記第1絶縁膜と、タングステンを含む前記第2膜とに変化させる、請求項13に記載の半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属元素を含む第1および第2の層を順に形成する場合、第1の層の影響で第2の層を好適に形成できない場合がある。例えば、ブロック絶縁膜またはバリアメタル層の表面に電極材層を形成して、3次元半導体メモリの電極層(ワード線)を形成する場合、ブロック絶縁膜またはバリアメタル層の結晶性の影響等により、電極材層の電気抵抗が高くなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開US2018/0247821号公報
【特許文献2】米国特許出願公開US2020/0027738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
金属元素を含む複数の層を好適に形成することが可能な半導体装置およびその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置は、金属元素を含む第1層を備える。前記装置はさらに、前記第1層に接しており、シリコンおよび酸素を含む第1絶縁膜を備える。前記装置はさらに、前記第1絶縁膜に接しており、モリブデンまたはタングステンを含む第2層を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(1/4)である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(2/4)である。
図4】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(3/4)である。
図5】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図(4/4)である。
図6】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。
図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法の別の例を示す断面図である。
図9】第1実施形態の半導体装置の利点を説明するための断面図である。
図10】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(1/2)である。
図11】第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図(2/2)である。
図12】第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
図13】第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
図14】第3実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図14において、同一の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す斜視図である。本実施形態の半導体装置は、例えば3次元半導体メモリを備えている。
【0009】
本実施形態の半導体装置は、コア絶縁膜1と、チャネル半導体層2と、トンネル絶縁膜3と、電荷蓄積層4と、ブロック絶縁膜5と、電極層6とを備えている。ブロック絶縁膜5は、絶縁膜5aと、絶縁膜5bとを含んでいる。電極層6は、バリアメタル層6aと、絶縁膜6bと、電極材層6cとを含んでいる。絶縁膜5bおよびバリアメタル層6aは、第1層の例である。絶縁膜6bは、第1絶縁膜の例である。電極材層6cは、第2層である。電極層6は、第1配線層の例である。
【0010】
図1では、基板上に複数の電極層および複数の絶縁膜が交互に積層されており、これらの電極層および絶縁膜内にメモリホールH1が設けられている。図1は、これらの電極層のうちの1つの電極層6を示している。これらの電極層は例えば、3次元半導体メモリのワード線として機能する。図1は、基板の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向とは一致していなくてもよい。
【0011】
コア絶縁膜1、チャネル半導体層2、トンネル絶縁膜3、電荷蓄積層4、および絶縁膜5aは、メモリホールH1内に形成されており、3次元半導体メモリのメモリセルを構成している。絶縁膜5aは、メモリホールH1内の電極層および絶縁膜の側面に形成されており、電荷蓄積層4は、絶縁膜5aの側面に形成されている。電荷蓄積層4は、3次元半導体メモリの信号電荷を蓄積することが可能である。トンネル絶縁膜3は、電荷蓄積層4の側面に形成されており、チャネル半導体層2は、トンネル絶縁膜3の側面に形成されている。チャネル半導体層2は、3次元半導体メモリのチャネルとして機能する。コア絶縁膜1は、チャネル半導体層2の側面に形成されている。
【0012】
絶縁膜5aは、例えばSiO膜(シリコン酸化膜)である。電荷蓄積層4は、例えばSiN膜(シリコン窒化膜)である。トンネル絶縁膜3は例えば、SiO膜である。チャネル半導体層2は、例えばポリシリコン層である。コア絶縁膜1は、例えばSiO膜である。
【0013】
絶縁膜5b、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cは、上記複数の絶縁膜のうちの2つの絶縁膜間に形成されており、上側の絶縁膜の下面と、下側の絶縁膜の上面と、絶縁膜5aの側面とに順に形成されている。バリアメタル層6aは、絶縁膜5bに接しており、絶縁膜6bは、バリアメタル層6aに接しており、電極材層6cは、絶縁膜6bに接している。本実施形態では、絶縁膜5bが、金属元素を含む絶縁膜であり、バリアメタル層6aおよび電極材層6cの各々が、金属元素を含む導体層である。なお、本実施形態の半導体装置は、絶縁膜5bと絶縁膜6bとの間にバリアメタル層6aを備えていなくてもよい。この場合、絶縁膜6bは、絶縁膜5bに接している。
【0014】
絶縁膜5bは、例えばAl膜(アルミニウム酸化膜)である。バリアメタル層6aは、例えばTiN膜(チタン窒化膜)である。絶縁膜6bは、例えばSiO膜またはSiO膜(xは0<x<2を満たす実数)である。電極材層6cは、例えばMo(モリブデン)層またはW(タングステン)層である。アルミニウムおよびチタンは、第1金属元素の例である。モリブデンおよびタングステンは、第1金属元素と異なる第2金属元素の例である。
【0015】
本実施形態の電極層6は、バリアメタル層6aと電極材層6cとの間に絶縁膜6bを備えている。絶縁膜6bは、電極層6がワード線として機能することを妨げない態様で形成されており、例えば、厚すぎない膜厚を有している。絶縁膜6bの膜厚は、例えば7nm以下である。また、絶縁膜6b内の酸素原子の濃度は、例えば5.0×1021~5.0×1023atoms/cmとなっている。絶縁膜6bのさらなる詳細は、後述する。
【0016】
図2図5は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0017】
まず、基板11を用意し、基板11上に積層膜12を形成する(図2)。積層膜12は、基板11上に複数の犠牲層13および複数の絶縁膜14を交互に積層することにより形成される。積層膜12は、基板11上に直接形成されてもよいし、基板11上に他の層を介して形成されてもよい。基板11は例えば、Si(シリコン)基板などの半導体基板である。犠牲層13は例えば、SiN膜である。絶縁膜14は例えば、SiO膜である。
【0018】
次に、フォトリソグラフィおよびRIE(Reactive Ion Etching)により、積層膜12内に複数のメモリホールH1を形成する(図2)。図2は、これらのメモリホールH1のうちの1つを示している。
【0019】
次に、各メモリホールH1内の積層膜12の側面に、絶縁膜5a、電荷蓄積層4、トンネル絶縁膜3、チャネル半導体層2、およびコア絶縁膜1を順に形成する(図3)。次に、積層膜12内に複数のスリット(不図示)を形成し、これらのスリットからのウェットエッチングにより犠牲層13を除去する(図4)。その結果、積層膜12内に複数の凹部H2が形成される。
【0020】
次に、各凹部H2内の絶縁膜5a、14の表面に、絶縁膜5b、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cを順に形成する(図5)。その結果、絶縁膜5a、5bを含むブロック絶縁膜5が形成される。さらには、各凹部H2内に、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、電極材層6cを含む電極層6が形成される。さらには、基板11上に、複数の電極層6および複数の絶縁膜14を交互に含む積層膜12が形成される。絶縁膜6bの膜厚は、例えば1~7nmに設定される。
【0021】
このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される(図5)。図1は、図5に示す半導体装置の一部分を示している。
【0022】
次に、図6図12を参照し、第1実施形態とその比較例とを比較する。
【0023】
図6は、第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法を示す断面図である。図6は、ブロック絶縁膜5の表面に電極層6を形成する方法を示している。
【0024】
まず、絶縁膜5bの表面にバリアメタル層6aを形成し、バリアメタル層6aの表面にMoN膜(モリブデン窒化膜)21を形成する(図6(a))。MoN膜21は例えば、300℃で、ALD(Atomic Layer Deposition)などのCVD(Chemical Vapor Deposition)により形成される。
【0025】
次に、MoN膜21の少なくとも一部をMo膜(モリブデン膜)22に変化させるMoコンバージョンを行う(図6(b))。図6(b)では、MoN膜21の一部がMo膜22に変化し、MoN膜21の残部がMoN膜21に維持され、その結果、MoN膜21の表面にMo膜22が形成されている。図6(b)のMoコンバージョンは例えば、MoN膜21を614℃で加熱することにより行われる。
【0026】
次に、Mo膜22の表面にMo膜23を形成する(図6(c))。図6(c)では、Mo膜22の表面にMo膜23を形成する際に、Moコンバージョンがさらに進行している。その結果、MoN膜21がすべてMo膜22に変化し、バリアメタル層6aの表面に、Mo膜22、23を含む電極材層6cが形成されている。Mo膜23は例えば、614℃で、ALDなどのCVDにより形成される。
【0027】
バリアメタル層6aの表面にMo膜を直接形成すると、バリアメタル層6aの結晶性の影響で、Mo膜内の結晶粒の粒径が小さくなり、Mo膜の電気抵抗が高くなる。そこで、本比較例では、バリアメタル層6aの表面にMoN膜21(初期膜)を形成し、MoN膜21からMo膜22を形成し、Mo膜22の表面にMo膜23を形成する。これにより、バリアメタル層6aの結晶性がMo膜22、23に影響することを抑制し、Mo膜22、23内の結晶粒の粒径を大きくすることが可能となる。しかしながら、本比較例では、Mo膜23を形成する際に、MoN膜21から窒素原子が脱離し、窒素原子がMo膜23内に侵入する。これが、Mo膜23のラフネスを悪化させ、Mo膜23の電気抵抗を高めてしまう。
【0028】
図7は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す断面図である。図7も、ブロック絶縁膜5の表面に電極層6を形成する方法を示している。
【0029】
まず、絶縁膜5bの表面にバリアメタル層6aを形成し、バリアメタル層6aの表面にa-Si膜(アモルファスシリコン膜)31を形成する(図7(a))。a-Si膜31は例えば、500℃で、ALDなどのCVDにより形成される。a-Si膜31の膜厚は、例えば7nm以下である。a-Si膜31は、第1膜の例である。図7(a)では、a-Si膜31が、バリアメタル層6aに接している。なお、バリアメタル層6aを形成しない場合には、a-Si膜31が、絶縁膜5bに接することになる。図7(a)では、a-Si膜31の代わりに、アモルファスではないシリコン膜(例えばポリシリコン膜)を使用してもよい。
【0030】
次に、a-Si膜31の少なくとも一部をMo膜32に変化させるMoコンバージョンを行う(図7(b))。図7(b)では、a-Si膜31の一部がMo膜32に変化し、a-Si膜31の残部が絶縁膜(SiO膜)6bに変化し、その結果、絶縁膜6bの表面にMo膜32が形成されている。図7(b)のMoコンバージョンは例えば、モリブデンおよび酸素を含む原料ガスを用いて、a-Si膜31を614℃で加熱することにより行われる。Mo膜32の膜厚は、例えば5nm以下である。Mo膜32は、第2膜の例である。図7(b)では、絶縁膜6bが、バリアメタル層6aに接しており、Mo膜32が、絶縁膜6bに接している。なお、絶縁膜6bは、SiO膜の代わりにSiO膜でもよい。
【0031】
次に、Mo膜32の表面にMo膜33を形成する(図7(c))。その結果、絶縁膜6bの表面に、Mo膜32、33を含む電極材層6cが形成される。Mo膜33は例えば、614℃で、ALDなどのCVDにより形成される。Mo膜33の膜厚は、例えばMo膜32の膜厚よりも厚く設定される。Mo膜33は、第3膜の例である。図7(c)では、Mo膜33が、Mo膜32に接している。
【0032】
バリアメタル層6aの表面にMo膜を直接形成すると、バリアメタル層6aの結晶性の影響で、Mo膜内の結晶粒の粒径が小さくなり、Mo膜の電気抵抗が高くなる。そこで、本実施形態では、バリアメタル層6aの表面にa-Si膜31(初期膜)を形成し、a-Si膜31からMo膜32および絶縁膜6bを形成し、Mo膜32の表面にMo膜33を形成する。これにより、バリアメタル層6aの結晶性がMo膜32、33に影響することを抑制し、Mo膜32、33内の結晶粒の粒径を大きくすることが可能となる。加えて、本実施形態では、MoN膜21の代わりにa-Si膜31を初期膜として用いて、Mo膜32、33を形成する。これにより、窒素原子がMo膜33のラフネスを悪化させることを抑制し、Mo膜33の電気抵抗を低くすることが可能となる。
【0033】
本実施形態では、絶縁膜6b内のシリコンが、a-Si膜31内のシリコンに由来し、絶縁膜6b内の酸素が、上記原料ガス内の酸素に由来する。原料ガスは例えば、MoOClガスまたはMoOClガスである(Clは塩素を表す)。原料ガスは第1ガスの例である。なお、Mo膜32の代わりにW(タングステン)膜を形成し、かつ、Mo膜33の代わりにW膜を形成する場合には、上記原料ガスは例えば、WOClガスまたはWOClガスとする。
【0034】
図8は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の別の例を示す断面図である。図8も、ブロック絶縁膜5の表面に電極層6を形成する方法を示している。
【0035】
図8(a)~図8(c)の工程はそれぞれ、図7(a)~図7(c)の工程と同様に行われる。図7(b)のMoコンバージョンが、高温で行われるのに対し、図8(b)のMoコンバージョンは、低温で行われる。図8(b)のMoコンバージョンは例えば、モリブデンおよび酸素を含む原料ガスを用いて、a-Si膜31を600℃以下(例:350℃)で加熱することにより行われる。図8(c)では、Mo膜33が例えば、Moコンバージョンの温度よりも高い温度(例:614℃)で形成される。
【0036】
本実施形態では、Moコンバージョンを低温で行うことで、Mo膜32のラフネスを改善することが可能となり、これにより、Mo膜33のラフネスをさらに改善することが可能となる。よって、本実施形態によれば、電極材層6cの電気抵抗をより低減することが可能となる。
【0037】
なお、Mo膜32の代わりにW膜を形成し、かつ、Mo膜33の代わりにW膜を形成する場合には、Moコンバージョンの代わりにWコンバージョンを行う。Wコンバージョンは、高温で行っても低温で行ってもよいが、低温で行うことが望ましい。Wコンバージョンは例えば、タングステンおよび酸素を含む原料ガスを用いて、a-Si膜31を400~500℃以下で加熱することにより行われる。この場合、Mo膜33の代わりのW膜は例えば、Wコンバージョンの温度よりも高い温度で形成される。
【0038】
図9は、第1実施形態の半導体装置の利点を説明するための断面図である。
【0039】
図9(a)は、上記比較例における図6(b)または図6(c)の工程を示している。上記比較例では、図6(b)または図6(c)の工程で酸素原子が生じると、酸素原子が例えば電極材層6cからメモリセル内などに侵入するおそれがある。その結果、3次元半導体メモリの特性が酸素原子により悪化するおそれがある。
【0040】
図9(b)は、本実施形態における図7(b)または図7(c)の工程を示している。本実施形態の電極層6は、バリアメタル層6aと電極材層6cとの間に絶縁膜6b(SiO膜)を備えている。よって、図7(b)または図7(c)の工程で酸素原子が生じても、酸素原子が電極材層6cからメモリセル内などに侵入することを、絶縁膜6bにより抑制することが可能となる。これにより、3次元半導体メモリの特性が酸素原子により悪化することを抑制することが可能となる。これは、本実施形態における図8(b)または図8(c)の工程でも同様である。
【0041】
このような酸素原子は例えば、モリブデンおよび酸素を含む上記の原料ガスを使用することで生じる。本実施形態によれば、上記の原料ガス内の酸素が、3次元半導体メモリの特性を悪化させることを抑制することが可能となる。これは、モリブデン以外の金属元素に関し、金属元素および酸素を含む原料ガスを用いて、金属元素を含む電極材層6cを形成する際にも同様である。このような金属元素の例は、タングステンである。
【0042】
図10および図11は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。図10および図11は、図4および図5に示す工程の詳細を示している。
【0043】
図10(a)は、図4と同様に、積層膜12内に形成された複数の絶縁膜14および複数の凹部H2を示している。図10(a)はさらに、積層膜12内に形成された凹部H3を示している。凹部H3は、図4の説明で登場した複数のスリットのうちの1つである。
【0044】
まず、凹部H2、H3に露出した絶縁膜5a、14の表面に、絶縁膜5bとバリアメタル層6aとを順に形成する(図10(a))。次に、バリアメタル層6aの表面に、a-Si膜31を形成する(図10(b))。このa-Si膜31は、図7(a)または図8(a)の工程と同様に形成される。このa-Si膜31の膜厚は、例えば1~7nmに設定される。
【0045】
次に、a-Si膜31の一部をMo膜32に変化させるMoコンバージョンを行う(図11(a))。その結果、a-Si膜31の一部がMo膜32に変化し、a-Si膜31の残部が絶縁膜(SiO膜)6bに変化する。これにより、バリアメタル層6aの表面に絶縁膜6bが形成され、絶縁膜6bの表面にMo膜32が形成される。このMoコンバージョンは、図7(b)または図8(b)の工程と同様に行われる。このMo膜32の膜厚は、例えば3~5nmに設定される。
【0046】
次に、Mo膜32の表面に、Mo膜33を形成する(図11(b))。このMo膜33は、図7(c)または図8(c)の工程と同様に形成される。
【0047】
その後、凹部H3から、不要な絶縁膜5b、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、Mo膜32、およびMo膜33を除去する。その結果、各凹部H2内に絶縁膜5bを介して電極層6が形成される。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0048】
図12は、第1実施形態の比較例の半導体装置の製造方法の詳細を示す断面図である。
【0049】
まず、凹部H2、H3に露出した絶縁膜5a、14の表面に、絶縁膜5b、バリアメタル層6a、およびMoN膜21を順に形成する(図11(a))。このMoN膜21は、図6(a)の工程と同様に形成される。
【0050】
次に、Moコンバージョンとその後のCVDにより、バリアメタル層6aの表面に電極材層6c(Mo膜)を形成する(図11(b))。このMoコンバージョンとその後のCVDは、図6(b)および図6(c)の工程と同様に行われる。この際、図11(a)の工程で形成されたMoN膜21は、Mo膜に変化する。
【0051】
本比較例の電極材層6cは、ラフネスが悪くなるように形成される。そのため、図12(b)に示す凹部H2内では、電極材層6cの埋め込み不良が生じている。一方、本実施形態によれば、電極材層6cのラフネスを改善することが可能となる。よって、図11(b)に示す凹部H2内では、電極材層6cの埋め込み不良が抑制されている。
【0052】
以上のように、本実施形態の電極層6は、a-Si膜31を絶縁膜6bおよび電極材層6cに変化させることで形成され、その結果、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cとを備えている。よって、本実施形態によれば、バリアメタル層6aの表面に絶縁膜6bを介して電極材層6cを好適に形成することが可能となり、好適な電極層6を形成することが可能となる。例えば、電極材層6c内の結晶粒の粒径を大きくすることや、電極材層6cのラフネスを改善することで、電極材層6cの電気抵抗を低くすることが可能となる。これは、バリアメタル層6aを形成せず、絶縁膜5bの表面に絶縁膜6bを介して電極材層6cを形成する場合でも同様である。
【0053】
(第2実施形態)
図13は、第2実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0054】
本実施形態の半導体装置は、基板11と、層間絶縁膜41と、配線層42と、ビアプラグ43とを備えている。本実施形態の半導体装置はさらに、基板11上に、図1図5に示す構造を備えていてもよい。
【0055】
層間絶縁膜41は、基板11上に形成されている。配線層42は、基板11上に形成されており、層間絶縁膜41で覆われている。配線層42は、バリアメタル層42aと、配線材層42bとを順に含んでいる。ビアプラグ43は、層間絶縁膜41内に形成されたビアホールH4に埋め込まれており、配線層42上に設けられている。ビアプラグ43は、ビアホールH4内に順に設けられたバリアメタル層43a、絶縁膜43b、およびプラグ材層43cを含んでいる。
【0056】
バリアメタル層43a、絶縁膜43b、およびプラグ材層43cは例えばそれぞれ、TiN膜、SiO膜、およびMo膜である。バリアメタル層43a、絶縁膜43b、およびプラグ材層43cは例えばそれぞれ、図7(a)~図7(c)または図8(a)~図8(c)の工程により、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cと同様に形成されてもよい。これにより、ビアプラグ43について電極層6と同様のメリットを享受することが可能となる。ビアプラグ43は、第1配線層の例であり、かつ、プラグの例である。バリアメタル層43a、絶縁膜43b、およびプラグ材層43cはそれぞれ、第1層、第1絶縁膜、および第2層の例である。
【0057】
(第3実施形態)
図14は、第3実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0058】
本実施形態の半導体装置は、基板11と、層間絶縁膜41と、トンネル絶縁膜51と、電荷蓄積層52と、ブロック絶縁膜53と、制御ゲート54と、複数の拡散層61と、コンタクトプラグ62と、複数のコンタクトプラグ63とを備えている。本実施形態の半導体装置はさらに、基板11上に、図1図5に示す構造を備えていてもよいし、かつ/または、図13に示す構造を備えていてもよい。
【0059】
層間絶縁膜41は、第2実施形態と同様に、基板11上に形成されている。トンネル絶縁膜51、電荷蓄積層52、ブロック絶縁膜53、および制御ゲート54は、基板11上に順に形成されており、平面型半導体メモリのセルトランジスタを構成している。制御ゲート54は、ブロック絶縁膜53上に順に形成されたバリアメタル層54a、絶縁膜54b、および電極材層54cを含んでいる。上記複数の拡散層61は、基板11内に形成されており、セルトランジスタのソース領域およびドレイン領域として機能する。
【0060】
コンタクトプラグ62は、層間絶縁膜41内に形成されたコンタクトホールH5に埋め込まれており、制御ゲート54(電極材層54c)上に設けられている。コンタクトプラグ62は、コンタクトホールH5内に順に設けられたバリアメタル層62a、絶縁膜62b、およびプラグ材層62cを含んでいる。上記複数のコンタクトプラグ63はそれぞれ、層間絶縁膜41内に形成された複数のコンタクトホールH6に埋め込まれており、上記複数の拡散層61上に設けられている。各コンタクトプラグ63は、対応するコンタクトホールH6内に順に設けられたバリアメタル層63a、絶縁膜63b、およびプラグ材層63cを含んでいる。
【0061】
バリアメタル層54a、絶縁膜54b、および電極材層54cは例えばそれぞれ、TiN膜、SiO膜、およびMo膜である。バリアメタル層54a、絶縁膜54b、および電極材層54cは例えばそれぞれ、図7(a)~図7(c)または図8(a)~図8(c)の工程により、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cと同様に形成されてもよい。これにより、制御ゲート54について電極層6と同様のメリットを享受することが可能となる。制御ゲート54は、第1配線層の例である。バリアメタル層54a、絶縁膜54b、および電極材層54cはそれぞれ、第1層、第1絶縁膜、および第2層の例である。
【0062】
バリアメタル層62a、絶縁膜62b、およびプラグ材層62cは例えばそれぞれ、TiN膜、SiO膜、およびMo膜である。バリアメタル層62a、絶縁膜62b、およびプラグ材層62cは例えばそれぞれ、図7(a)~図7(c)または図8(a)~図8(c)の工程により、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cと同様に形成されてもよい。これにより、コンタクトプラグ62について電極層6と同様のメリットを享受することが可能となる。コンタクトプラグ62は、第1配線層の例であり、かつ、プラグの例である。バリアメタル層62a、絶縁膜62b、およびプラグ材層62cはそれぞれ、第1層、第1絶縁膜、および第2層の例である。
【0063】
バリアメタル層63a、絶縁膜63b、およびプラグ材層63cは例えばそれぞれ、TiN膜、SiO膜、およびMo膜である。バリアメタル層63a、絶縁膜63b、およびプラグ材層63cは例えばそれぞれ、図7(a)~図7(c)または図8(a)~図8(c)の工程により、バリアメタル層6a、絶縁膜6b、および電極材層6cと同様に形成されてもよい。これにより、各コンタクトプラグ63について電極層6と同様のメリットを享受することが可能となる。各コンタクトプラグ63は、第1配線層の例であり、かつ、プラグの例である。バリアメタル層63a、絶縁膜63b、およびプラグ材層63cはそれぞれ、第1層、第1絶縁膜、および第2層の例である。
【0064】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な装置および方法は、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した装置および方法の形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0065】
1:コア絶縁膜、2:チャネル半導体層、3:トンネル絶縁膜、
4:電荷蓄積層、5:ブロック絶縁膜、5a:絶縁膜、5b:絶縁膜、
6:電極層、6a:バリアメタル層、6b:絶縁膜、6c:電極材層、
11:基板、12:積層膜、13:犠牲層、14:絶縁膜、
21:MoN膜、22:Mo膜、23:Mo膜、
31:a-Si膜、32:Mo膜、33:Mo膜、
41:層間絶縁膜、42:配線層、42a:バリアメタル層、42b:配線材層、
43:ビアプラグ、43a:バリアメタル層、43b:絶縁膜、43c:プラグ材層、
51:トンネル絶縁膜、52:電荷蓄積層、53:ブロック絶縁膜、
54:制御ゲート、54a:バリアメタル層、54b:絶縁膜、54c:電極材層、
61:拡散層、62:コンタクトプラグ、62a:バリアメタル層、
62b:絶縁膜、62c:プラグ材層、63:コンタクトプラグ、
63a:バリアメタル層、63b:絶縁膜、63c:プラグ材層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14